JP2001316841A - 樹脂クロメート処理金属板 - Google Patents

樹脂クロメート処理金属板

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JP2001316841A
JP2001316841A JP2000130327A JP2000130327A JP2001316841A JP 2001316841 A JP2001316841 A JP 2001316841A JP 2000130327 A JP2000130327 A JP 2000130327A JP 2000130327 A JP2000130327 A JP 2000130327A JP 2001316841 A JP2001316841 A JP 2001316841A
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chromium
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hexavalent chromium
resin chromate
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Etsuo Hamada
悦男 濱田
Shinya Okude
進也 奥出
Kaoru Sato
馨 佐藤
Akira Matsuzaki
晃 松崎
Takafumi Yamaji
隆文 山地
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Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クロムを難溶化しつつ、耐食性、特に加工部
や傷部での耐食性を向上させ、長期的な耐食性を維持す
ることができる樹脂クロメート処理金属板を提供する。
さらに、六価クロムに依存せずに耐食性、特に加工部や
傷部での耐食性を向上させることができる樹脂クロメー
ト処理金属板を提供する。 【解決手段】 亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム系めっ
き鋼板、亜鉛合金板、アルミニウム合金板、または鋼板
の表面に樹脂クロメート皮膜を形成する。該樹脂クロメ
ート皮膜は、六価クロムを保持することができかつ六価
クロムの溶出後にも腐食性物質に対するバリヤー効果を
発揮する物質に六価クロムを保持させて皮膜中に分散さ
せたもの、あるいは、皮膜中のクロムの大部分が三価と
して存在し、腐食環境下において適度に三価クロムが溶
出させるものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、亜鉛系めっき鋼
板、アルミニウム系めっき鋼板、亜鉛合金板、アルミニ
ウム合金板、または鋼板の表面に、耐食性、特に加工部
や傷つき部での耐食性に優れ、かつ、環境中への有毒な
六価クロムの溶出量を低減し、クロム溶出後も平板部耐
食性に優れる樹脂クロメート処理皮膜を形成した金属板
に関する。
【0002】
【従来の技術】クロメート処理は、亜鉛系めっき鋼板、
アルミニウム系めっき鋼板等の金属板の防錆処理とし
て、その性能の高さから広く用いられている。現在使用
されているものには大きく分けて、三価クロムが主成分
となる電解クロメートや反応クロメートと、六価クロム
を含有する塗布クロメートがある。可溶性の六価クロム
が残存する塗布クロメートは自己補修機能を発揮するた
め高耐食性を示し、特に、加工部、傷部での耐食性に優
れる。ところが六価クロムは有毒かつ可溶性であるた
め、環境中への流出、汚染が懸念されている。
【0003】クロムの難溶化に関する公知技術として、
特開平3-215683号、特開平4-358082号、特開平5ー287548
号公報などに見られるように、六価クロムを還元、固定
してしまう方法があるものの、いずれも六価クロムの自
己修復機能が犠牲にされているため耐食性は劣る。
【0004】さらに、特開平9-71877号、特開平9-22806
5号公報に見られるように、樹脂皮膜中にクロム酸化合
物を斑点状に分散させることで、六価クロムの溶出の低
減と、加工部、傷部耐食性を両立させる方法もあるが、
六価クロムが流出した後の皮膜が多孔質になるため、長
期的な耐食性に劣るという問題点がある。
【0005】六価クロムを原料に用いない方法として特
開昭53-37550号公報のように水溶性三価クロム化合物を
使用している事例があるが、耐食性はクロメート処理後
の上塗り塗装によるところが大きい。また、上塗り塗装
による工程の増加、コストの上昇などが問題となる。こ
の上塗りがない場合、屋外などの降雨や湿気にさらされ
る環境下では、水溶性クロム化合物が溶出してしまうた
めに長期的な耐食性に劣る。
【0006】クロムを難溶化しつつ、耐食性、特に加工
部や傷部での耐食性を向上させることや、長期的な耐食
性を維持することは従来の技術では困難であった。ま
た、六価クロムに依存せずに耐食性、特に加工部や傷部
での耐食性を向上させることは従来の技術では困難であ
った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、クロムを難
溶化しつつ、耐食性、特に加工部や傷部での耐食性を向
上させ、長期的な耐食性を維持することができる樹脂ク
ロメート処理金属板を提供することを目的としている。
さらに、六価クロムに依存せずに耐食性、特に加工部や
傷部での耐食性を向上させることができる樹脂クロメー
ト処理金属板を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明の手段は以下のとおりである。 (1)亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム系めっき鋼板、
亜鉛合金板、アルミニウム合金板、または鋼板の表面に
樹脂クロメート皮膜を形成した金属板であり、該樹脂ク
ロメート皮膜は、六価クロムを保持することができかつ
六価クロムの溶出後にも腐食性物質に対するバリヤー効
果を発揮する物質に六価クロムを保持させて皮膜中に分
散させたことを特徴とする樹脂クロメート処理金属板
(第1発明)。
【0009】(2)亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム系
めっき鋼板、亜鉛合金板、アルミニウム合金板、または
鋼板の表面に樹脂クロメート皮膜を形成した金属板であ
り、該樹脂クロメート皮膜は、皮膜中のクロムが三価と
して存在し、腐食環境下において適度に三価クロムが溶
出すること特徴とする樹脂クロメート処理金属板(第2
発明)。
【0010】(3)亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム系
めっき鋼板、亜鉛合金板、アルミニウム合金板、または
鋼板の表面に樹脂クロメート皮膜であり、該樹脂クロメ
ート皮膜は、三価クロムを保持することができかつ腐食
環境下において適度に三価クロムを溶出する物質に三価
クロムを保持させて皮膜中に分散させたことを特徴とす
る樹脂クロメート処理金属板(第3発明)。
【0011】(4)前記(1)〜(3)において、皮膜
中にカルシウムを含有することを特徴とする樹脂クロメ
ート処理金属板(第4発明)。
【0012】(5)前記(1)〜(4)において、皮膜
中にリン酸塩を分散させたことを特徴とする樹脂クロメ
ート皮膜処理金属板(第5発明)。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明者らは、有毒な六価クロム
の環境中への溶出量を低減しながら、耐食性を向上させ
るには、六価クロムの優れた自己修復機能を損なわない
で六価クロムを難溶化し、さらに六価クロム溶出後も皮
膜が十分なバリアー性を有すること、また、六価クロム
の環境中への溶出を完全になくすには、クロムを無害な
三価クロムとし、この状態でクロメート皮膜の耐食性を
向上させることが有効であると考え、種々検討した結
果、本発明に至った。以下、これらについて詳述する。
【0014】本発明者らは、クロムを難溶化しつつ、耐
食性、特に加工部や傷部での耐食性を向上させ、長期的
な耐食性を維持するため、次のような性質を有する物質
を樹脂皮膜中に分散させることが有効であると考察し
た。すなわち、(1)六価クロムを吸着、もしくは吸収
し、クロムを還元することなく六価のまま保持できる。
(2)腐食環境下で自己修復機能を果たすのに必要な分だ
け六価クロムを放出する。(3)六価クロムを放出後も、
その物質自身が腐食性物質に対するバリヤー効果を有す
る。
【0015】発明者らは、上記のような性質を満足する
物質を種々探索した結果、非晶質のシリカやカルシウム
シリケートが有効であることを見出した。図1はシリカ
に六価クロムを担持させた後、公知の手法で作製した樹
脂クロメート皮膜中のCrの状態をXANES(X-ray Absorpti
on Near Edge Structure)法で分析した結果である。な
お、シリカに担持させたクロム以外のクロム、すなわち
樹脂中に含有させたクロムはあらかじめ還元し三価クロ
ムにした。図1のスペクトルには六価クロムに特有な吸
収(矢印の部分)が強く観察されており、シリカ表面へ
の吸着反応や樹脂との反応などでは還元されず、六価ク
ロムとして保持されていることが分かった。さらに、蒸
留水中にこの試料を浸漬し、クロムの溶出挙動を調査し
たところ、単純に皮膜中へクロム酸化合物を分散させた
場合に比べて、溶出速度は1/5になった。
【0016】次に、公知の手法で皮膜中のクロムを樹脂
との反応でほぼ全て還元した上で、シリカを混入して作
製した樹脂クロメート処理金属板と、シリカを混入しな
かった樹脂クロメート処理金属板で、平板部、加工部、
傷部耐食性の比較を行ったところ、有為差は見られなか
った。つまり、六価クロムが溶出した後も、シリカのバ
リアー効果によって、三価クロムを主体とする皮膜と同
等の耐食性が維持されていることが分かった。上記の挙
動は、カルシウムシリケートにおいても再現された。
【0017】そこで、本発明者らは、表面に六価クロム
を保持することができ、かつ六価クロムの溶出後にも腐
食性物質に対するバリヤー効果を発揮する物質として、
シリカもしくはカルシウムシリケートを選択し、これら
の物質にあらかじめ六価クロムを保持させて皮膜中に分
散させたところ、クロムの難溶化、耐食性、特に加工部
や傷部での耐食性の向上が実現できた。
【0018】六価クロムを保持させたシリカもしくはカ
ルシウムシリケートは、粒径が小さいものを用いて皮膜
中に高密度で分布させる方が、粒径が大きいものを低密
度で分布させるよりも、クロム溶出による自己修復機能
が長期にわたり維持される。従って、シリカもしくはカ
ルシウムシリケートは、粒径が数nm〜数十nmのものが望
ましい。
【0019】理由は明らかではないが、皮膜中にカルシ
ウムを含有させるとさらに、加工部、傷部耐食性が向上
した。また、皮膜中にリン酸塩化合物を分散させるとさ
らに、平板部での耐食性が向上した。
【0020】また、本発明者らは、クロムを無害な三価
クロムとし、三価クロムに従来考えられていたバリヤー
効果のみでなく、自己修復機能を発現させるべく検討を
行った。その結果、三価クロムであっても、腐食環境中
でCr3+イオンとして解離して存在していれば自己修復機
能を有し、加工部や傷部での耐食性向上に有効なことを
知見した。そこで、腐食環境下で自己修復機能を果たす
のに必要な分だけ、解離した三価クロムイオンを放出す
るようなクロム化合物を樹脂皮膜中に存在させること、
もしくは、次のような性質を有する物質に三価クロムを
保持させて、樹脂皮膜中に分散させることが有効である
と考察した。すなわち、(1)三価クロムを吸着、もしく
は吸収し、そのまま保持できる。(2)腐食環境下で自己
修復機能を果たすのに必要な分だけ、解離した三価クロ
ムイオンを放出する。(3)三価クロムを放出後も、その
物質自身が腐食性物質に対するバリヤー効果を有する。
【0021】発明者らは、上記のような性質を満足する
物質を種々探索した結果、非晶質のシリカやカルシウム
シリケートが有効であることを見出した。そこで、本発
明者らは、表面に三価クロムを保持することができ、か
つ三価クロムの溶出後にも腐食性物質に対するバリヤー
効果を発揮する物質として、シリカもしくはカルシウム
シリケートを選択し、これらの物質にあらかじめ三価ク
ロムを保持させて皮膜中に分散させたところ、クロムを
難溶化しつつ、耐食性、特に加工部や傷部での耐食性の
向上が実現できた。
【0022】三価クロムを保持させたシリカもしくはカ
ルシウムシリケートは、六価クロムを保持させた場合と
同様、粒径が小さいものを用いて皮膜中に高密度で分布
させる方が、粒径が大きいものを低密度で分布させるよ
りも、クロム溶出による自己修復機能が長期にわたり維
持される。従って、シリカもしくはカルシウムシリケー
トは、粒径が数nm〜数十nmのものが望ましい。
【0023】また、理由は明らかではないが、六価クロ
ムを保持させた場合と同様、皮膜中にカルシウムを含有
させるとさらに、加工部、傷部耐食性が向上し、また皮
膜中にリン酸塩化合物を分散させると、さらに平板部で
の耐食性が向上した。
【0024】本発明では、前記皮膜を形成する金属板と
して、亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム系めっき鋼板だ
けでなく、めっきを施してない鋼板、また亜鉛合金板、
アルミニウム合金板等の金属板を使用できる。
【0025】
【実施例】(実施例1)クロメート処理を施す金属板と
して、溶融亜鉛めっき鋼板(めっき付着量90g/m2、記号
GI)、Alを55wt%含有する溶融Al-Zn系合金めっき鋼板
(めっき付着量150g/m2、記号GL)、溶融アルミめっき
鋼板(めっき付着量100g/m2、記号AL)を用いた。供試
材の基本的な皮膜構成は、下記1),2)ではCr付着量を20m
g/m2、モル比でリン酸/Cr=0.82、平均皮膜厚さを2μm
とし、下記3)〜5)では、以下に記載するように下記2)の
皮膜に、更に炭酸カルシウム、リン酸亜鉛の一方または
両方を添加した皮膜とした。供試材に関するその他の詳
細は以下の通りである。
【0026】1)六価クロム酸化合物分散型皮膜(比較
例) 特開平9-71877号などに記載されている、公知の手法で
作製した。この手法ではシリカを添加しているが、六価
クロムはシリカに保持されているのではなく、クロム酸
化合物として皮膜中に分散している。全クロムに対する
六価クロムの割合は20%とした。
【0027】2)シリカもしくはカルシウムシリケート添
加皮膜 本実施例では粒径が数十nm程度のシリカ、もしくはカル
シウムシリケートにあらかじめ六価クロムを吸着させ
た。六価クロム源にはクロム酸を用いた。これを公知の
手法による樹脂クロメート処理液に分散させて、全クロ
ムに対する六価クロムの割合が20%になるようにした。
この場合、シリカに保持されていない樹脂中のCrは全て
還元させる条件で成膜したので、六価クロムは全てシリ
カに保持されているクロムに起因している。
【0028】3)シリカ、カルシウム複合添加皮膜 2)に記載の皮膜に、樹脂に対する重量比で10%の炭酸カ
ルシウムを添加した。成膜した後にはX線回折で炭酸カ
ルシウムのピークが見られなくなるので、炭酸カルシウ
ムは溶解し、樹脂中に取り込まれるか、他の陰イオンと
非晶質の化合物を形成しているものと考えられる。
【0029】4)シリカ、リン酸化合物複合添加皮膜 2)に記載の皮膜に、樹脂に対する重量比で10%のリン酸
亜鉛を添加した。成膜した後にもX線回折でリン酸亜鉛
のピークが見られ、走査型電子顕微鏡観察でもリン酸亜
鉛が皮膜中に分散しているのが観察されるので、リン酸
亜鉛はほとんど溶解せずに皮膜中に分散しているものと
考えられる。
【0030】5)シリカ、カルシウム、リン酸化合物複合
添加皮膜 2)に記載の皮膜に、樹脂に対する重量比で10%の炭酸カ
ルシウムと10%のリン酸亜鉛を添加した。成膜した後の
炭酸カルシウム、リン酸亜鉛の存在形態は、3)、4)に記
載したものと同様である。
【0031】各供試材について、以下のような特性試験
を実施した。 (a)平板部耐食性 JIS-Z-2371規格に準拠した塩水噴霧試験により、3000時
間後の錆発生の程度に応じて下記の基準により評価し
た。 ◎:錆発生なし ○:錆発生面積率が2%未満 △:錆発生面積率が2%以上、10%未満 □:錆発生面積率が10%以上、30%未満 ×:錆発生面積率が30%以上
【0032】(b)傷部耐食性 幅0.3mm、長さ5cmにわたって鋼板に到達する切り込みを
入れ、 JIS-Z-2371規格に準拠した塩水噴霧試験を240時
間行った。切れ込み線の左右両側に2.5mmずつの領域を
考え、この領域内における錆発生の程度に応じて下記の
基準により評価した。 ◎:錆発生なし ○:錆発生面積率が2%未満 △:錆発生面積率が2%以上、10%未満 □:錆発生面積率が10%以上、30%未満 ×:錆発生面積率が30%以上
【0033】(c)六価クロム溶出後の耐食性 供試材を沸騰水中に一時間浸漬し、六価クロムを全て溶
出させた後、JIS-Z-2371規格に準拠した塩水噴霧試験に
より、500時間後の錆発生の程度に応じて下記の基準に
より評価した。 ◎:錆発生なし ○:錆発生面積率が2%未満 △:錆発生面積率が2%以上、10%未満 □:錆発生面積率が10%以上、30%未満 ×:錆発生面積率が30%以上
【0034】表1に、上記特性試験により得られた皮膜
特性を示す。本発明例では平板部耐食性、傷部耐食性、
六価クロム溶出後の耐食性において、比較例に比べて優
れた性能が得られている。
【0035】
【表1】
【0036】(実施例2)クロメート処理を施す金属板
として、実施例1と同様の金属板を用い、供試材の基本
的な皮膜構成は、下記1),2)ではCr付着量を20mg/m2、モ
ル比でリン酸/Cr=0.82、平均皮膜厚さを2μmとし、下
記3)〜5)では、以下に記載するように下記2)の皮膜に、
更に炭酸カルシウム、リン酸亜鉛の一方または両方を添
加した皮膜とした。また、シリカもしくはカルシウムシ
リケートの必要量は、比表面積や表面物性により六価ク
ロムの吸着量が異なるため、一概には規定できないが、
以下の2)〜5)では、六価クロムの割合を20%として残存
させたとき、シリカの付着量は60mg/m2であった。供試
材に関するその他の詳細は以下の通りである。
【0037】1)六価クロム化合物分散型皮膜(比較例) 実施例1の1)と同様、特開平9-71877号などに記載され
ている、公知の手法で作製した。この手法ではシリカを
添加しているが、クロムはシリカに保持されているので
はなく、クロム酸化合物として皮膜中に分散している。
全クロムに対する六価クロムの割合は20%とした。
【0038】2)三価クロム担持シリカもしくは三価クロ
ム担持カルシウムシリケート分散皮膜 本実施例では粒径が数十nm程度のシリカ、もしくはカル
シウムシリケートにあらかじめ三価クロムを吸着させ
た。三価クロム源には酢酸クロムを用いた。これを公知
の手法による樹脂クロメート処理液に分散させた。
【0039】3)シリカ、カルシウム複合添加皮膜 2)に記載の皮膜に、樹脂に対する重量比で10%の炭酸カ
ルシウムを添加した。成膜した後にはX線回折で炭酸カ
ルシウムのピークが見られなくなるので、炭酸カルシウ
ムは溶解し、樹脂中に取り込まれるか、他の陰イオンと
非晶質の化合物を形成しているものと考えられる。
【0040】4)シリカ、リン酸化合物複合添加皮膜 2)に記載の皮膜に、樹脂に対する重量比で10%のリン酸
亜鉛を添加した。成膜した後にもX線回折でリン酸亜鉛
のピークが見られ、走査型電子顕微鏡観察でもリン酸亜
鉛が皮膜中に分散しているのが観察されるので、リン酸
亜鉛はほとんど溶解せずに皮膜中に分散しているものと
考えられる。
【0041】5)シリカ、カルシウム、リン酸化合物複合
添加皮膜 2)に記載の皮膜に、樹脂に対する重量比で10%の炭酸カ
ルシウムと10%のリン酸亜鉛を添加した。樹脂に混合
し、成膜した後の炭酸カルシウム、リン酸亜鉛の存在形
態は、3)、4)に記載したものと同様である。
【0042】各供試材について、実施例1と同様の(a)
平板耐食性、(b)傷部耐食性に加え、(c)曲げ加工部耐食
性に関する以下のような特性試験を実施した。 (c)曲げ加工部耐食性 5T曲げ加工を行い(鋼板厚0.5mm)、JIS-Z-2371規格に
準拠した塩水噴霧試験を240時間行った。下記の基準に
より評価した。 ◎:加工部にめっき皮膜の腐食生成物がほとんど見られ
ない ○:加工部にめっき皮膜の腐食生成物が見られる △:加工部全体にめっき皮膜の腐食生成物が見られる ×:地鉄からの赤錆が見られる。
【0043】表2に、上記特性試験により得られた皮膜
特性を示す。本発明例では平板部耐食性、傷部耐食性、
曲げ加工部耐食性において、比較例に比べて優れた性能
が得られている。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によると,
耐食性、特に加工部や傷つき部での耐食性に優れ、か
つ、環境中への六価クロム溶出量が少なく、またクロム
溶出後も平板部耐食性に優れるクロメート処理金属板が
得られる。あるいは、また、有毒な六価クロムの溶出を
完全に防止でき、耐食性、特に加工部や傷つき部での耐
食性に優れ、かつ、環境中へのクロムの溶出量が少ない
クロメート処理金属板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリカに六価クロムを担持させた後、公知の手
法で作製した樹脂クロメート皮膜中のCr K-edge XANES
(X-ray Absorption Near Edge Structure)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 馨 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 松崎 晃 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山地 隆文 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K026 AA02 AA07 AA09 AA13 AA22 BA06 BB08 CA16 CA18 CA19 CA20 CA23 CA39 CA41

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム系めっ
    き鋼板、亜鉛合金板、アルミニウム合金板、または鋼板
    の表面に樹脂クロメート皮膜を形成した金属板であり、
    該樹脂クロメート皮膜は、六価クロムを保持することが
    できかつ六価クロムの溶出後にも腐食性物質に対するバ
    リヤー効果を発揮する物質に六価クロムを保持させて皮
    膜中に分散させたことを特徴とする樹脂クロメート処理
    金属板。
  2. 【請求項2】 亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム系めっ
    き鋼板、亜鉛合金板、アルミニウム合金板、または鋼板
    の表面に樹脂クロメート皮膜を形成した金属板であり、
    該樹脂クロメート皮膜は、皮膜中のクロムの大部分が三
    価として存在し、腐食環境下において適度に三価クロム
    が溶出すること特徴とする樹脂クロメート処理金属板。
  3. 【請求項3】 亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム系めっ
    き鋼板、亜鉛合金板、アルミニウム合金板、または鋼板
    の表面に樹脂クロメート皮膜であり、該樹脂クロメート
    皮膜は、三価クロムを保持することができかつ腐食環境
    下において適度に三価クロムを溶出する物質に三価クロ
    ムを保持させて皮膜中に分散させたことを特徴とする樹
    脂クロメート処理金属板。
  4. 【請求項4】 皮膜中にカルシウムを含有することを特
    徴とする請求項1〜3に記載の樹脂クロメート処理金属
    板。
  5. 【請求項5】 皮膜中にリン酸塩を分散させたことを特
    徴とする請求項1〜4に記載の樹脂クロメート皮膜処理
    金属板。
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JP2014534351A (ja) * 2011-11-28 2014-12-18 エコ−グリーン コーティングス、エル.エル.シー. 亜鉛又は亜鉛合金被覆基材用乾式適量耐食性被覆
WO2023167264A1 (ja) * 2022-03-04 2023-09-07 株式会社神戸製鋼所 異種材料接合体及び異種材料接合体の製造方法、並びにスタッド付きアルミニウム部材

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