JP3247502B2 - 金属板の防食用コ−ティング剤およびその表面処理金属板 - Google Patents
金属板の防食用コ−ティング剤およびその表面処理金属板Info
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、環境、人体に悪影響を
与えず、しかも、クロメ−ト処理剤と同等の防食性能を
有するノンクロム型の金属板用コ−ティング剤、詳しく
は、アントシアン錯化合物のイオン化傾向を利用して金
属板を防食する金属板のコ−ティング剤およびそのコ−
ティング剤をコ−ティングした表面処理金属板に関す
る。
与えず、しかも、クロメ−ト処理剤と同等の防食性能を
有するノンクロム型の金属板用コ−ティング剤、詳しく
は、アントシアン錯化合物のイオン化傾向を利用して金
属板を防食する金属板のコ−ティング剤およびそのコ−
ティング剤をコ−ティングした表面処理金属板に関す
る。
【０００２】
【従来技術】従来、鋼板の防食処理には、防錆油やクロ
メ−ト処理剤が使用されているが、防錆油は高価で脱脂
などの取り扱いも不便なため、特別な場合を除いてあま
り使用されない。このため、多くの場合、クロメ−ト処
理剤を使用しているが、クロメ−ト処理剤は有害な６価
クロムを含有しているため、廃液が土壌に浸透したり、
海に流れたりすると、環境を汚染するという問題があ
る。また、６価クロムを含有するものはクロメ−ト処理
製品に限らず、防錆顔料なども６価クロムが溶出して人
体に悪影響を与えるのではないかとの懸念が大きいた
め、最近は安全衛生上嫌われる傾向にある。
メ−ト処理剤が使用されているが、防錆油は高価で脱脂
などの取り扱いも不便なため、特別な場合を除いてあま
り使用されない。このため、多くの場合、クロメ−ト処
理剤を使用しているが、クロメ−ト処理剤は有害な６価
クロムを含有しているため、廃液が土壌に浸透したり、
海に流れたりすると、環境を汚染するという問題があ
る。また、６価クロムを含有するものはクロメ−ト処理
製品に限らず、防錆顔料なども６価クロムが溶出して人
体に悪影響を与えるのではないかとの懸念が大きいた
め、最近は安全衛生上嫌われる傾向にある。
【０００３】このため、近年種々のノンクロム型防錆処
理剤が提案されている。この処理剤としては、ジルコニ
ウム系、シリケ−ト系、薄膜の樹脂系などがあるが、い
ずれもクロメ−ト処理剤に比べると防錆性が劣るのが実
情である。
理剤が提案されている。この処理剤としては、ジルコニ
ウム系、シリケ−ト系、薄膜の樹脂系などがあるが、い
ずれもクロメ−ト処理剤に比べると防錆性が劣るのが実
情である。
【０００４】金属板が亜鉛系めっき鋼板やアルミニウム
系めっき鋼板の場合、切り口端面に鉄地が露出している
ため、めっき鋼板の板厚やめっき付着量、環境などによ
っては、金属板の犠牲防食作用が及ばず、錆が発生し易
いが、いずれの防錆処理剤もこの端面防食には効果がな
い。とくに、アルミニウム系めっき鋼板の場合はアルミ
ニウムの端面防食作用が小さいため、犠牲防食作用を有
する防錆処理剤が要望されていた。
系めっき鋼板の場合、切り口端面に鉄地が露出している
ため、めっき鋼板の板厚やめっき付着量、環境などによ
っては、金属板の犠牲防食作用が及ばず、錆が発生し易
いが、いずれの防錆処理剤もこの端面防食には効果がな
い。とくに、アルミニウム系めっき鋼板の場合はアルミ
ニウムの端面防食作用が小さいため、犠牲防食作用を有
する防錆処理剤が要望されていた。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、ク
ロメ−ト処理剤に匹敵する防食作用を有し、しかも、端
面防食作用も備えたノンクロム型防錆処理剤およびその
表面処理金属板を提供するものである。
ロメ−ト処理剤に匹敵する防食作用を有し、しかも、端
面防食作用も備えたノンクロム型防錆処理剤およびその
表面処理金属板を提供するものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明のノンクロム型防
錆処理剤は、アントシアンの金属錯化合物で、その配位
金属が被防食金属板よりイオン化傾向の大きい金属のも
のを溶媒に溶解してなる金属板の防食用コ−ティング剤
であり、表面処理金属板はそのコ−ティング剤を金属板
にコ−ティングして、溶媒を蒸発させてなるものであ
る。
錆処理剤は、アントシアンの金属錯化合物で、その配位
金属が被防食金属板よりイオン化傾向の大きい金属のも
のを溶媒に溶解してなる金属板の防食用コ−ティング剤
であり、表面処理金属板はそのコ−ティング剤を金属板
にコ−ティングして、溶媒を蒸発させてなるものであ
る。
【０００７】
【作用】アントシアンは、天然色素として植物の花や果
実に含まれており、人体に無害であるので、食品の着色
などに従来より多く使用されている。このアントシアン
は、遊離状態では不安定であるが、錯化合物は安定して
いる。そこで、本発明ではアントシアン錯化合物とし
て、被防食金属板よりイオン化傾向の大きい金属の錯化
合物を用い、これを溶媒に溶解して、金属板にコ−ティ
ングするようにしたのである。
実に含まれており、人体に無害であるので、食品の着色
などに従来より多く使用されている。このアントシアン
は、遊離状態では不安定であるが、錯化合物は安定して
いる。そこで、本発明ではアントシアン錯化合物とし
て、被防食金属板よりイオン化傾向の大きい金属の錯化
合物を用い、これを溶媒に溶解して、金属板にコ−ティ
ングするようにしたのである。
【０００８】金属板にコ−ティングした場合、溶媒を蒸
発すれば、乾燥皮膜になるが、錯化合物の配位金属は被
防食金属板よりイオン化傾向が大きいので、水分が存在
すると、金属板より溶出した金属イオンと置換され、金
属板よりの溶出金属イオンはアントシアンにより捕捉さ
れる。このため、金属板よりの溶出金属イオンは捕捉さ
れて、錆になることはない。溶出金属イオンを捕捉した
アントシアンは金属板に固着して安定して存在するた
め、金属板が雰囲気と接触するのを遮断する。また、金
属板よりの溶出金属イオンと置換した配位金属イオンは
金属板より電位が卑であるので、金属板を腐食させるよ
うなことはない。
発すれば、乾燥皮膜になるが、錯化合物の配位金属は被
防食金属板よりイオン化傾向が大きいので、水分が存在
すると、金属板より溶出した金属イオンと置換され、金
属板よりの溶出金属イオンはアントシアンにより捕捉さ
れる。このため、金属板よりの溶出金属イオンは捕捉さ
れて、錆になることはない。溶出金属イオンを捕捉した
アントシアンは金属板に固着して安定して存在するた
め、金属板が雰囲気と接触するのを遮断する。また、金
属板よりの溶出金属イオンと置換した配位金属イオンは
金属板より電位が卑であるので、金属板を腐食させるよ
うなことはない。
【０００９】アントシアンには、ペラルゴニジン系、シ
アニジン系、デルフィニジン系などがあるが、これらは
いずれも金属と錯化合物を形成するので、金属錯化合物
として使用可能である。また、アグリコンであるアント
シアニジンの金属錯化合物も使用可能である。
アニジン系、デルフィニジン系などがあるが、これらは
いずれも金属と錯化合物を形成するので、金属錯化合物
として使用可能である。また、アグリコンであるアント
シアニジンの金属錯化合物も使用可能である。
【００１０】アントシアン金属錯化合物の配位金属とし
ては、金属板よりイオン化傾向の大きいものにするので
あるが、金属板が冷延鋼板、アルミニウム板のように単
独金属のものであるならば、それらよりイオン化傾向の
大きいものにすればよい。しかし、金属板が亜鉛めっき
鋼板やアルミニウムめっき鋼板のように複数の金属から
構成されている場合にはその中で最も電位の卑な金属よ
りイオン化傾向の大きいものにする。例えば、亜鉛めっ
き鋼板の場合は亜鉛よりイオン化傾向の大きいカルシウ
ム、ナトリウム、マグネシウムのようなアルカリ金属、
アルカリ土類金属にする。
ては、金属板よりイオン化傾向の大きいものにするので
あるが、金属板が冷延鋼板、アルミニウム板のように単
独金属のものであるならば、それらよりイオン化傾向の
大きいものにすればよい。しかし、金属板が亜鉛めっき
鋼板やアルミニウムめっき鋼板のように複数の金属から
構成されている場合にはその中で最も電位の卑な金属よ
りイオン化傾向の大きいものにする。例えば、亜鉛めっ
き鋼板の場合は亜鉛よりイオン化傾向の大きいカルシウ
ム、ナトリウム、マグネシウムのようなアルカリ金属、
アルカリ土類金属にする。
【００１１】アントシアンの金属錯化合物を溶解する溶
媒としては、アントシアン金属錯化合物が溶解するもの
であればよく、安価なものとしては水、アルコ−ルなど
が挙げられる。溶液中にはコ−ティング性をよくするた
め、あるいはアントシアンの徐放性をコントロ−ルする
ため、樹脂を添加してもよい。ｐＨは中性にするのが好
ましい。
媒としては、アントシアン金属錯化合物が溶解するもの
であればよく、安価なものとしては水、アルコ−ルなど
が挙げられる。溶液中にはコ−ティング性をよくするた
め、あるいはアントシアンの徐放性をコントロ−ルする
ため、樹脂を添加してもよい。ｐＨは中性にするのが好
ましい。
【００１２】アントシアン金属錯化合物溶液の金属板へ
のコ−ティングは、公知方法、例えば、スプレ−法、刷
毛塗り法、ロ−ルコ−ト法、静電霧化法などによればよ
い。金属板としては、普通鋼鋼板、ステンレス鋼板、各
種めっき鋼板などのような鋼板類、アルミニウム板、銅
板、亜鉛板のような非鉄金属板でもよい。
のコ−ティングは、公知方法、例えば、スプレ−法、刷
毛塗り法、ロ−ルコ−ト法、静電霧化法などによればよ
い。金属板としては、普通鋼鋼板、ステンレス鋼板、各
種めっき鋼板などのような鋼板類、アルミニウム板、銅
板、亜鉛板のような非鉄金属板でもよい。
【００１３】
【実施例】３,５,７−トリヒドロキシフラビニウムの３
位糖置換体のナトリウム錯化合物の１０％水溶液に０.
８ｍｍの溶融アルミニウムめっき鋼板を浸漬して、ロ−
ルで絞り、アントシアニン金属錯化合物付着量１０.ｍ
ｇ/ｍ2の試料を作成した。次に、この鋼板に２Ｔ折り曲
げ加工を施して、温度５０℃、相対湿度９８％の湿潤雰
囲気中に１００時間放置する湿潤試験を実施した。な
お、湿潤試験の際には比較材として、同様に折り曲げ加
工を施したクロメ−ト処理溶融アルミニウムめっき鋼板
（板厚０.８ｍｍ、クロム付着量２０ｍｇ/ｍ2）を使用
した。この結果を表１に示す。
位糖置換体のナトリウム錯化合物の１０％水溶液に０.
８ｍｍの溶融アルミニウムめっき鋼板を浸漬して、ロ−
ルで絞り、アントシアニン金属錯化合物付着量１０.ｍ
ｇ/ｍ2の試料を作成した。次に、この鋼板に２Ｔ折り曲
げ加工を施して、温度５０℃、相対湿度９８％の湿潤雰
囲気中に１００時間放置する湿潤試験を実施した。な
お、湿潤試験の際には比較材として、同様に折り曲げ加
工を施したクロメ−ト処理溶融アルミニウムめっき鋼板
（板厚０.８ｍｍ、クロム付着量２０ｍｇ/ｍ2）を使用
した。この結果を表１に示す。
【００１４】
【表１】 評価基準 ○： 発錆なし △： ２０〜２５％発錆 ×： ５０〜８０％発錆
【００１５】
【発明の効果】以上のように、本発明は、天然色素を金
属板の防食コ−ティング剤に使用するのであるから、環
境、人体に悪影響を与えることがない。また、防食性は
クロメ−ト処理とほぼ同等であるので、従来のノンクロ
ム型防錆処理剤より優れている。とくにめっき鋼板の切
り口端面に適用した場合、クロメ−ト処理剤より優れた
防食性を発揮する。
属板の防食コ−ティング剤に使用するのであるから、環
境、人体に悪影響を与えることがない。また、防食性は
クロメ−ト処理とほぼ同等であるので、従来のノンクロ
ム型防錆処理剤より優れている。とくにめっき鋼板の切
り口端面に適用した場合、クロメ−ト処理剤より優れた
防食性を発揮する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−11281（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) C23C 26/00
Claims (2)
- 【請求項１】 アントシアンの金属錯化合物で、その
配位金属が被防食金属板よりイオン化傾向の大きい金属
のものを溶媒に溶解してなる金属板の防食用コ−ティン
グ剤。 - 【請求項２】 請求項１の防食用コ−ティング剤を金
属板にコ−ティングして、溶媒を蒸発させてなる表面処
理金属板。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP18707793A JP3247502B2 (ja) | 1993-06-30 | 1993-06-30 | 金属板の防食用コ−ティング剤およびその表面処理金属板 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP18707793A JP3247502B2 (ja) | 1993-06-30 | 1993-06-30 | 金属板の防食用コ−ティング剤およびその表面処理金属板 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0718467A JPH0718467A (ja) | 1995-01-20 |
| JP3247502B2 true JP3247502B2 (ja) | 2002-01-15 |
Family
ID=16199736
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP18707793A Expired - Fee Related JP3247502B2 (ja) | 1993-06-30 | 1993-06-30 | 金属板の防食用コ−ティング剤およびその表面処理金属板 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3247502B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US9592171B2 (en) | 2011-08-25 | 2017-03-14 | Undersea Breathing Systems, Inc. | Hyperbaric chamber system and related methods |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP5007386B2 (ja) | 2005-07-28 | 2012-08-22 | 国立大学法人佐賀大学 | ラジカル滅菌装置 |
-
1993
- 1993-06-30 JP JP18707793A patent/JP3247502B2/ja not_active Expired - Fee Related
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|---|---|---|---|---|
| US9592171B2 (en) | 2011-08-25 | 2017-03-14 | Undersea Breathing Systems, Inc. | Hyperbaric chamber system and related methods |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0718467A (ja) | 1995-01-20 |
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