JP2001316545A - ポリスチレン系熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

ポリスチレン系熱可塑性エラストマー組成物

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JP2001316545A JP2001046944A JP2001046944A JP2001316545A JP 2001316545 A JP2001316545 A JP 2001316545A JP 2001046944 A JP2001046944 A JP 2001046944A JP 2001046944 A JP2001046944 A JP 2001046944A JP 2001316545 A JP2001316545 A JP 2001316545A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 傷つき性、即ち耐摩耗性に優れ、更に塗装
性、溶剤接着性、印刷性等にも優れた熱可塑性エラスト
マーを提供する。 【解決手段】 (A)ポリスチレン系樹脂を必須成分と
する熱可塑性樹脂 (B)芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重合体及び
/または水素添加芳香族ビニル/共役ジエンランダム共
重合体よりなり且つ部分的または完全に架橋されたゴム
状重合体及び必要に応じて (C)相溶化剤 よりなる組成物であって、(A)成分+(B)成分+
(C)成分を100重量部とした時、該組成物中の
(B)成分は、40〜90重量部であり且つ(C)成分
は、40重量部未満よりなるポリスチレン系熱可塑性エ
ラストマー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリスチレン系樹
脂を必須成分とする熱可塑性樹脂、具体的には、ポリス
チレン系樹脂あるいはポリスチレン系樹脂とポリスチレ
ン系樹脂以外の熱可塑性樹脂との混合物、好ましくはポ
リスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との混合物よ
りなる熱可塑性樹脂と部分的または完全に架橋された芳
香族ビニル/共役ジエンランダム共重合体及び/または
部分的にあるいは完全に水素添加された芳香族ビニル/
共役ジエンランダム共重合体よりなるゴム状重合体とか
らなり、耐磨耗性、塗装性、溶剤接着性、印刷性に優れ
たポリスチレン系熱可塑性エラストマー組成物に関する
ものである。また、ポリスチレン(PS)、耐衝撃性ポ
リスチレン(HIPS)等のポリスチレン系樹脂との接
着性に優れ積層体とすることも可能なポリスチレン系熱
可塑性エラストマー組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性エラストマーとしては、ジエン
系、水素添加ジエン系、ポリオレフィン系、塩ビ系、ポ
リウレタン系、ポリアミド系が知られている。これらの
中で、塩ビ系は環境に優しくない、ジエン系は耐候性に
問題があるあるいは水素添加ジエン系、ポリウレタン
系、ポリアミド系は高価である等の問題がある。この
為、環境に優しく、比較的耐候性にも優れ、且つ低価格
で供給できるオレフィン系熱可塑性エラストマーが主体
となりつつある。特に、EPDM(エチレン・プロピレ
ン・ジエン共重合体)よりなるゴム状重合体とPP(ポ
リプロピレン)を架橋剤の存在下、押出機等の中で溶融
混練させながら架橋する、いわゆる動架橋により製造さ
れたオレフィン系熱可塑性エラストマーが中心となりつ
つある。軟質塩ビ代替として自動車部品、事務機器、建
材等に幅広く採用されつつあり、今後期待される材料で
ある。
【0003】このオレフィン系熱可塑性エラストマー
は、熱可塑性を付与する為に流動性のあるPPよりなる
マトリツクス成分とEPDMよりなるゴム状重合体とか
らなる。この際、オレフィン系熱可塑性エラストマーを
ゴムライクにする為に、ゴム状重合体は、部分的または
完全に架橋させてある。この様な組成よりなるオレフィ
ン系熱可塑性エラストマーは、ゴム的な性質を持つ。し
かしながら、このオレフィン系熱可塑性エラストマーを
上記自動車部品、事務機器、建材等の用途に幅広く使用
しようとすると大きな問題がある。即ち、軟質塩ビは、
傷つき難い、塗装し易い、印刷し易い、溶剤接着し易い
等の優れた特徴を持っているが、このオレフィン系熱可
塑性エラストマーは、これらの性能を満足しない。この
為、利用範囲が限られているのが現状である。その為、
傷つき性、塗装性、溶剤接着性、印刷性等に優れ且つ比
較的安価な熱可塑性エラストマーの開発が期待されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑み、傷つき性、即ち耐摩耗性に優れ、更に塗装
性、溶剤接着性、印刷性等にも優れた熱可塑性エラスト
マーを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の目
的を達成すべく検討を進めた結果、オレフィン系熱可塑
性エラストマーにポリスチレン系樹脂を共存させること
により耐摩耗性、塗装性等に優れた熱可塑性エラストマ
ーとすることができること、即ち、ゴム成分を一般にオ
レフィン系熱可塑性エラストマーに使用されているEP
DM等のエチレン・α−オレフィン系共重合体とし、そ
れを部分的または完全に架橋し、且つ流動性を付与する
マトリツクス成分をポリスチレン系樹脂あるいはポリス
チレン系樹脂と他樹脂、好ましくはポリオレフイン系樹
脂との混合物よりなる熱可塑性樹脂とすることにより耐
摩耗性、塗装性等に優れた熱可塑性エラストマーとする
ことができることを見出した。
【0006】しかしながら、この熱可塑性エラストマー
は、マトリックス成分がポリスチレン系樹脂の場合は、
ポリスチレン系樹脂とゴム成分であるエチレン・α−オ
レフィン系共重合体と、またマトリックスがポリスチレ
ン系樹脂とポリオレフイン系樹脂との混合物よりなる場
合は、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂及び
ゴム成分であるエチレン・α−オレフィン系共重合体と
に親和性、即ち相溶性が無い為にゴム成分とマトリック
スの界面接着性に欠けるあるいはポリスチレン系樹脂と
好ましく用いるポリオレフイン系樹脂とが相剥離する等
で強度が低い。
【0007】その為には、ポリスチレン系樹脂とゴム成
分であるエチレン・α−オレフィン系共重合体及びポリ
オレフィン系樹脂とに親和性を持たせる為に相溶化剤が
必要となる。しかしながら、相溶化剤を使用した場合強
度は上がるが必ずしも十分とは言えない。更に、この熱
可塑性エラストマーをポリスチレン(PS)、耐衝撃性
ポリスチレン(HIPS)等のポリスチレン系樹脂基材
と積層し積層体として使用する場合には、リサイクル使
用が難しい等の問題点も生ずる。即ち、積層品を粉砕し
てそれを基材として再利用する場合は、相溶化剤が希釈
される為に基材の強度低下が起こる。相溶化剤を添加す
れば、強度は保持できるが、リサイクルに手間がかかる
と同時にコストもかかる等の問題点が生ずる。
【0008】この様な問題点を解決する為に発明者等は
更に鋭意検討を進めた結果、ゴム状重合体をポリスチレ
ン系樹脂と親和性を持つゴム、即ち、ゴム状重合体を芳
香族ビニル/共役ジエンランダム共重合体及び/または
部分的にあるいは完全に水素添加された芳香族ビニル/
共役ジエンランダム共重合体よりなるゴムとすることに
よりこれらの問題点をも解決できることを見出し本発明
を完成するに至った(ここで、及び/またはの意味は、
ゴム状重合体は、芳香族ビニル/共役ジエンランダム共
重合体のみであってもよっても良いし、部分的にあるい
は完全に水素添加された芳香族ビニル/共役ジエンラン
ダム共重合体のみであっても良いし、また、芳香族ビニ
ル/共役ジエンランダム共重合体と部分的にあるいは完
全に水素添加された芳香族ビニル/共役ジエンランダム
共重合体との混合物等であっても良いことを示す)更に
ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂以外の樹
脂、例えばポリスチレンと相溶するポリフェニレンエー
テル系樹脂を共存させることにより耐熱性等にも優れた
熱可塑性エラストマーとすることもできることも見出し
本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明は、基本的には (A)ポリスチレン系樹脂を必須成分とする熱可塑性樹
脂 (B)芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重合体及び
/または水素添加芳香族ビニル/共役ジエンランダム共
重合体よりなり且つ部分的または完全に架橋されたゴム
状重合体 よりなるポリスチレン系熱可塑性エラストマー組成物に
関するものである。
【0010】本発明は、通常、相溶化剤は必要としない
が、例えば、芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重合
体中の芳香族ビニル量が少ない場合は、強度が充分でな
い場合もある。この場合は、必要に応じて相溶化剤を添
加することもある。従って、本発明は、 (A)ポリスチレン系樹脂を必須成分とする熱可塑性樹
脂 (B)芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重合体及び
/または水素添加芳香族ビニル/共役ジエンランダム共
重合体よりなり且つ部分的または完全に架橋されたゴム
状重合体及び必要に応じて (C)相溶化剤よりなるポリスチレン系熱可塑性エラス
トマー組成物に関するものである。この組成物において
成分量は、(A)成分+(B)成分+(C)成分を10
0重量部とした時、該組成物中の(B)成分は、40〜
90重量部であり且つ(C)成分は、40重量部未満よ
りなる。
【0011】以下、本発明に関して詳しく述べる。まず
本発明の各成分について詳細に説明する。本発明のポリ
スチレン系熱可塑性エラストマー組成物中の(A)成分
である熱可塑性樹脂の必須成分であるポリスチレン系樹
脂は、基本的には、スチレン単量体の重合体、即ち、ポ
リスチレン若しくはスチレン単量体と他の単量体との共
重合体である。共重合の単量体としては、例えば、α−
メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチ
レン、2,4,5−トリブロモスチレン等のスチレン系
単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不
飽和ニトリル系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸
ブチル等のアクリル酸エステル単量体、メタクリル酸メ
チル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル単
量体、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物単
量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニ
ルマレイミド等のマレイミド系単量体、アクリル酸、メ
タクリル酸等の有機酸単量体等を挙げることができる。
これらの中でも、ポリスチレンは、安価であり最も好ま
しい。また、スチレン単量体とアクリル酸エステル単量
体及びメタクリル酸エステル単量体との共重合体よりな
るポリスチレン系樹脂は、これを(A)成分としたポリ
スチレン系熱可塑性エラストマー組成物より得られる成
形品の耐候性に優れ好ましい。
【0012】なお、使用するポリスチレン系樹脂のメル
トフローレート(MFR)は、0.1〜50g/10分
(200℃、5kg荷重下測定)の範囲であることが好
ましい。更に、0.5〜 30g/10分の範囲である
ことがより好ましい。0.1g/10分未満では、得ら
れるポリスチレン系熱可塑性エラストマー組成物の流動
性が低い。また、 50g/10分を超えると得られる
ポリスチレン系熱可塑性エラストマー組成物より成形さ
れた成形品の機械的強度が低い。
【0013】(A)成分である熱可塑性樹脂は、ポリス
チレン系樹脂をメイン成分とすることが好ましい。この
熱可塑性樹脂は、ポリスチレン系樹脂若しくはポリスチ
レン系樹脂と他樹脂、好ましくはポリオレフィン系樹脂
との混合物よりなる。この際、ポリスチレン系樹脂は、
好ましくは40重量%以上、より好ましくは50重量%
以上である。ポリスチレン系樹脂をメイン成分とする理
由は、例えば(A)成分である熱可塑性樹脂がポリスチ
レン系樹脂とポリオレフィン系樹脂よりなり且つポリオ
レフィン系樹脂がメインである場合は、塗装性、溶剤接
着性、印刷性に劣り、これらの特性が必要な用途、例え
ば軟質塩ビ代替用途である玩具用途、防水シート等の建
材用途等に使用することが出来ない。しかしながらポリ
スチレン系樹脂をメイン成分とすることによりこれらの
用途にも展開できることによる。
【0014】本発明のポリスチレン系熱可塑性エラスト
マー中の(A)成分である熱可塑性樹脂は、ポリスチレ
ン系樹脂あるいはポリスチレン系樹脂と他樹脂、好まし
くはポリオレフィン系樹脂との混合物よりなるが、この
時に好ましく使用するポリオレフィン系樹脂は、大きく
分けてポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂ある
いはポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂の混合
物を使用することができる。
【0015】ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリ
エチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDP
E)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、アク
リル系ビニルモノマーとエチレンとの共重合体(EE
A、EMMA等)あるいは酢酸ビニルモノマーとエチレ
ンとの共重合体(EVA)等を挙げることができる。し
かしながら、これらの中でも高密度ポリエチレン(HD
PE)、低密度ポリエチレン(LDPE)及び直鎖状低
密度ポリエチレン(LLDPE)は、安価に入手できる
為、特に好ましい。これらのポリエチレン系樹脂は、単
独で用いても良いし、また、2種以上を組み合わせて用
いても良い。
【0016】高密度ポリエチレン(HDPE)を使用す
る場合、その密度は、一般に、0.930〜0.970
g/cm2の範囲であり、メルトフローレート(MF
R)は、0.05〜100g/10分(190℃、2.
16kg荷重下測定)の範囲であることが好ましい。低
密度ポリエチレン(LDPE)あるいは直鎖状低密度ポ
リエチレン(LLDPE)を使用する場合、その密度
は、一般に、0.900〜0.930g/cm2の範囲
であり、メルトフローレート(MFR)は、0.05〜
100g/10分(190℃、2.16kg荷重下測
定)の範囲であることが好ましい。メルトフローレート
が100g/10分を越えると、本発明のポリスチレン
系熱可塑性エラストマー組成物から得られる成形品の機
械的強度、耐熱性が不十分であり、また0.05g/1
0分より小さいと本発明のポリスチレン系熱可塑性エラ
ストマー組成物を成形する際、流動性が悪く、成形加工
性が低下して望ましくない。
【0017】ポリプロピレン系樹脂としては、ホモのポ
リプロピレン、プロピレンとエチレン、ブテン−1、ペ
ンテン−1、ヘキセン−1等の他のα−オレフィンとの
共重合樹脂(ブロック、ランダムを含む)等を挙げるこ
とができる。ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレー
ト(MFR)は、0.1〜100g/10分(230
℃、2.16kg荷重下測定)の範囲であることが好ま
しい。メルトフローレートが100g/10分を越える
と、本発明のポリスチレン系熱可塑性エラストマー組成
物より得られる成形品の機械的強度、耐熱性が不十分で
あり、また0.1g/10分より小さいと本発明のポリ
スチレン系熱可塑性エラストマー組成物を成形する際、
流動性が悪く、成形加工性が低下して望ましくない。
【0018】本発明のポリスチレン系熱可塑性エラスト
マー組成物で(A)成分としてポリスチレン系樹脂と併
用する場合のポリオレフィン系樹脂は、上述の如くポリ
エチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂からな
るが、ホモのポリプロピレン系樹脂は耐熱性が高くより
好ましい。しかしながら、ホモのポリプロピレンは一般
に酸化分解し易く長期使用時分子量低下により機械的強
度が低下する傾向にある。
【0019】一方、ポリエチレン系樹脂は一般に酸化分
解せず架橋し機械的強度を維持あるいは向上する傾向が
ある。この為、ポリプロピレン系樹脂を使用する際、特
に、耐久性が要求される用途に使用する場合は、ホモの
ポリプロピレンとポリエチレン系樹脂と併用するかある
いはプロピレンとエチレン系のランダムあるいはブロッ
クポリマーを使用することが好ましい。何れにしてもポ
リプロピレン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂に比較して
耐熱性が高く、ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプ
ロピレン系樹脂が最も好ましい。
【0020】なお、(A)成分である熱可塑性樹脂中の
ポリスチレン系樹脂の量は、好ましくは40〜100重
量%である。更に好ましくは、50〜100重量%であ
る。40重量%未満では、ポリスチレン系樹脂以外の樹
脂がポリオレフィン系樹脂である場合、塗装性、溶剤接
着性、印刷性に劣る。ポリスチレン系樹脂以外の樹脂が
ポリオレフィン系樹脂でない場合は、安価なポリスチレ
ン系樹脂をメイン成分とするメリットが薄れる。
【0021】次に(B)成分である部分的または完全に
架橋されたゴム状重合体について述べる。ゴム状重合体
は、芳香族ビニル単位と共役ジエン単位からなるランダ
ム共重合体よりなる。このランダム共重合体は、共役ジ
エン成分の二重結合を部分的にあるいは完全に水素添加
したものも含む。共役ジエンとしては、ブタジエン、イ
ソプレン等を挙げることができる。本発明のゴム状重合
体は共役ジエン成分の二重結合を部分的にあるいは完全
に水素添加したものも含むが、水素添加した芳香族ビニ
ル/共役ジエンランダム共重合体と水素添加しない芳香
族ビニル/共役ジエンランダム共重合体を比較すると、
水素添加した芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重合
体の方が耐候性に優れる。本発明のポリスチレン系熱可
塑性エラストマー組成物を耐候性が必要な用途に使用す
る場合は、水素添加率は、50%以上とすることが好ま
しい。しかしながら、部分的に水素添加あるいは水素添
加した芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重合体は、
下記に述べる本発明のポリスチレン系熱可塑性エラスト
マーを製造する一つの方法である動架橋時、架橋し難い
等の欠点もある。高い耐候性を必要としない用途に使用
する場合は、水素添加率は、50%以下とすることが好
ましい。
【0022】本発明組成物の(B)成分のゴム状重合体
である芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重合体中の
芳香族ビニル量は、好ましくは1〜70重量%、より好
ましくは5〜60重量%、更により好ましくは10〜5
0重量%である。1重量%未満の場合は、このゴム状重
合体を(B)成分とした本発明のポリスチレン系熱可塑
性エラストマー組成物を成形して得られる成形品の強度
が低い。この理由は、(C)成分である相溶化剤を使用
しない場合、ゴム成分とマトリックスであるポリスチレ
ン系樹脂との相溶性が低く、従って、界面強度が低いこ
とによる。相溶化剤を使用しても充分な界面強度を付与
することが困難となる。70重量%を超えるとゴム的性
質が低下し、エラストマーとしての性能が低い。
【0023】芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重合
体中の共役ジエンは、1,2結合と1,4結合を有す
る。分子内に1,2結合と1、4結合を共に持つことに
よりゴム弾性が高く且つガラス転移温度(Tg)も低下
し低温特性も上がる。共役ジエンの1,2結合量、即ち
1,2ビニル結合量は、好ましくは5〜95%である。
より好ましくは、10〜90%である。1,2ビニル結
合量が5%以下の場合及び95%以上の場合は、ゴム弾
性及び低温特性も好ましくない。
【0024】本発明組成物の(B)成分であるゴム状重
合体である芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重合体
は、水素添加したものも含め部分的に結晶化したものと
結晶成分を有しない非結晶のものとがある。部分的に結
晶化した芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重合体
は、それを本発明組成物とする際の原材料として使用す
る際、ペレット状あるいはクラム状とすることが可能と
なり、取り扱いが容易となると同時にこのゴム状重合体
をゴム成分としたポリスチレン系熱可塑性エラストマー
より得られる成形品は耐傷つき性、耐油性等に優れる。
本発明のポリスチレン系熱可塑性エラストマー組成物を
耐傷つき性、耐油性等が必要とされる用途に使用する場
合は、部分的に結晶化した芳香族ビニル/共役ジエンラ
ンダム共重合体を使用することが好ましい。しかしなが
ら、一方では、結晶化することによりゴム弾性が低下し
低硬度の熱可塑性エラストマーとし難い等の欠点もあ
る。本発明のポリスチレン系熱可塑性エラストマー組成
物を低硬度の熱可塑性エラストマー用途に使用する場合
は、非結晶の芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重合
体を使用することが好ましい。
【0025】本発明組成物の(B)成分であるゴム状重
合体のメルトフローレート(MFR)は、特にゴム状重
合体が好ましく使用する水素添加芳香族ビニル/共役ジ
エンランダム共重合体である場合は、そのメルトフロー
レート(MFR)は、0.01〜20g/10分(19
0℃、2.16kg荷重下測定)の範囲にあるものが好
ましく用いられる。更に好ましくは0.1〜10g/1
0分である。メルトフローレートが20g/10分を越
えると機械的強度が低い熱可塑性エラストマーとなる。
また、0.01/10分より小さいと本発明のポリスチ
レン系熱可塑性エラストマーを製造する際、流動性が悪
く、加工性が低下して好ましくない。
【0026】本発明組成物の(B)成分であるゴム状重
合体は、複数の種類のものを混合して用いても良い。例
えば、水素添加しない芳香族ビニル/共役ジエンランダ
ム共重合体と水素添加した芳香族ビニル/共役ジエンラ
ンダム共重合体の組み合わせ、芳香族ビニル含有量また
は1,2ビニル量の異なる芳香族ビニル/共役ジエンラ
ンダム共重合体あるいは芳香族ビニル含有量または1,
2ビニル量の異なる水素添加芳香族ビニル/共役ジエン
ランダム共重合体等がある。この様な場合には、加工性
あるいはエラストマー特性等の更なる向上を図ることが
可能となる。
【0027】更に、本発明組成物の(B)成分であるゴ
ム状重合体は、基本的には、上記の芳香族ビニル/共役
ジエンランダム共重合体及び/または水素添加芳香族ビ
ニル/共役ジエンランダム共重合体であるが、性能を落
とさない範囲で他のゴム状重合体、例えば芳香族ビニル
/共役ジエンブロック共重合体、水素添加芳香族ビニル
/共役ジエンブロック共重合体あるいはエチレン・α−
オレフィン系共重合体(EPDM等)等を併用すること
も可能である。
【0028】本発明組成物の(B)成分であるゴム状重
合体は、部分的または完全に架橋していることが必要で
ある。本発明のポリスチレン系熱可塑性エラストマー組
成物から得られる成形品は、架橋した場合と架橋してい
ない場合とを比較すると、耐熱性、圧縮永久歪み、反発
弾性等が大きく向上しゴム弾性の高いものになる。本発
明のポリスチレン系熱可塑性エラストマー組成物中の全
ゴム状重合体中の架橋しているゴム状重合体(溶媒に溶
解しないゴム状重合体)の比率を架橋度で定義すると、
架橋度は、30%以上、更に50%以上であることが好
ましい。
【0029】なお、特開平11−293046号公報及
び特開平11−293072号公報には、芳香族ビニル
−オレフインランダム共重合体をゴム状重合体とし且つ
流動成分をスチレン系樹脂と結晶性オレフィン系樹脂あ
るいはスチレン系樹脂とする動架橋熱可塑性エラストマ
ーが開示されている。本発明のポリスチレン系熱可塑性
エラストマーのゴム状重合体は、芳香族ビニル/共役ジ
エンランダム共重合体あるいは部分的若しくは完全に水
素添加した芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重合体
よりなるが、本発明のゴム状重合体を使用した場合と該
公報の芳香族ビニル−オレフィンランダム共重合体より
なるゴム状重合体を使用した場合とを比較すると、エラ
ストマーとしての性能、即ちゴム弾性で芳香族ビニル/
共役ジエンランダム共重合体あるいは部分的若しくは完
全に水素添加した芳香族ビニル/共役ジエンランダム共
重合体の方が大きく優れる。この理由は、以下の通りで
ある。
【0030】即ち、概公報で使用しているスチレン−エ
チレンランダム共重合体中のスチレン含有量は、ゴムラ
イクにする為に11.5〜37.1モル%(32.6〜
68.7重量%)にある。この範囲のスチレン−エチレ
ンランダム共重合体のガラス転移温度(Tg)は、室温
付近にあり、低温でのゴム弾性が悪い。一方、本発明組
成物の(B)成分であるゴム状重合体は、同じスチレン
系の共重合体であるが、共役ジエンを使用している。更
にこの共役ジエンは、1,2結合及び1,4結合に任意
にコントロールして共重合させることができる。1,2
結合と1,4結合の比率でガラス転移温度(Tg)は−
50℃以下にすることも可能となり、本発明のゴム状重
合体を用いたポリスチレン系熱可塑性エラストマーは低
温特性にも優れた熱可塑性エラストマーとすることがで
きる。
【0031】次に、本発明のポリスチレン系熱可塑性エ
ラストマー組成物中の必要に応じて添加する(C)成分
である相溶化剤について述べる。(A)成分であるポリ
スチレン系樹脂と特に(B)成分のゴム状重合体である
芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重合体中の共役ジ
エン成分あるいは水素添加共役ジエン成分とを相溶化さ
せる機能を有する相溶化剤あるいは(A)成分がポリス
チレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との混合物である
場合、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを
相溶化させる機能を有する相溶化剤を必要に応じて使用
する。
【0032】(C)成分である相溶化剤としては、分子
内にポリスチレン成分とポリオレフィン成分を合わせも
つものを挙げることができる。例えば、Aがポリスチレ
ンあるいはポリスチレンとの共重合体、好ましくはポリ
スチレン、Bがポリエチレン、ポリプロピレン、エチレ
ンと炭素数3〜20のα−オレフィンを主体としたエチ
レン・α−オレフィン共重合体、水素化ポリブタジエ
ン、水素化ポリイソプレン等からなるA−B型ブロック
共重合体、Aグラフト化B共重合体及びBグラフト化A
共重合体等を挙げることができる。更に、B重合体成分
にAがランダムに導入された共重合体、具体的には、例
えば下記に挙げるエチレン−スチレンランダム重合体の
様にポリエチレンからなるB重合体成分にA単量体成
分、即ちスチレン単量体がランダムに導入された共重合
体等も挙げることができる。ここで、Bは、単一であっ
ても良いし、また、2つ以上の組み合わせであっても良
い。
【0033】これらの具体的な例としては、ポリスチレ
ングラフトポリプロピレン、ポリスチレングラフトポリ
エチレン、エチレン/スチレンランダム共重合体あるい
は本発明組成物の(B)成分でもあるが、組成の異なる
芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重合体あるいは水
添芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重合体、更に芳
香族ビニル/共役ジエンブロック共重合体あるいは水添
芳香族ビニル/共役ジエンブロック共重合体等も使用す
ることができる。なお、芳香族ビニル/共役ジエンラン
ダム共重合体あるいは水素添加芳香族ビニル/共役ジエ
ンランダム共重合体が相溶化剤としての機能を発現する
には、これが架橋していないことが必要である。本発明
のポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物中の(C)成分で
ある相溶化剤を使用する場合は、一種で有っても良い
し、また、複数の組み合わせであっても良い。
【0034】本発明のポリスチレン系熱可塑性エラスト
マー組成物は、(A)成分であるポリスチレン系樹脂あ
るいはポリスチレン系樹脂と他樹脂、好ましくはポリオ
レフィン系樹脂との混合物、(B)成分である部分的ま
たは完全に架橋された芳香族ビニル/共役ジエンランダ
ム共重合体あるいは部分的若しくは完全に水素添加した
芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重合体よりなるゴ
ム状重合体及び必要に応じて(C)成分である相溶化剤
よりなり、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計
量を100重量部とした時、(B)成分は、40〜90
重量部、好ましくは45〜80重量部、更に好ましくは
50〜70重量部である。また、(C)成分は、(A)
成分と(B)成分と(C)成分の合計量を100重量部
とした時、40重量部未満、好ましくは20重量未満、
更に好ましくは10重量部未満、特に好ましくはゼロで
ある。(B)成分が40重量部未満の場合は、本発明組
成物のゴム弾性に欠け、エラストマーとしての性能が劣
る。90重量部を超える場合、結果として(A)成分で
ある流動性を付与する熱可塑性樹脂の量が少なくなり、
組成物の流動性に劣り成形加工が困難となる。(C)成
分が40重量部を超える場合は、相溶化剤の種類によっ
てはゴム弾性が低下すると同時に相溶化剤は一般に高価
であることにより、経済性が悪い。
【0035】本発明のポリスチレン系熱可塑性エラスト
マーの(A)成分である熱可塑性樹脂は、基本的には、
ポリスチレン系樹脂あるいはポリスチレン系樹脂と他樹
脂、好ましくはポリオレフィン系樹脂との混合物よりな
るが、ポリスチレン系樹脂と併用する熱可塑性樹脂とし
ては、ポリオレフィン系樹脂以外に、例えば、ポリフェ
ニレンエーテル系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系、
ポリエステル系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリカ
ーボネート系、ポリメタクリレート系等の熱可塑性樹脂
を挙げることができる。この中でも、ポリフェニレンエ
ーテル系樹脂は、ポリスチレン系樹脂との相溶性が良く
最も好ましい。これ以外の熱可塑性樹脂を併用する場合
は、この樹脂とポリスチレン系樹脂及び芳香族ビニル/
共役ジエンランダム共重合体あるいは部分的若しくは完
全に水素添加した芳香族ビニル/共役ジエンランダム共
重合体と相溶する新たな相溶化剤を添加することが好ま
しい。
【0036】本発明のポリスチレン系熱可塑性エラスト
マー組成物には、各種の添加剤を添加することができ
る。この例としては、軟質剤、ガラス繊維、ポリアクリ
ロニトリル繊維あるいは炭素繊維等の有機あるいは無機
繊維、銅あるいは黄銅等の金属繊維、チタン酸カリウ
ム、マグネシウムオキシサルフェート、硼酸アルミニウ
ム等のウイスカー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、シリカ、カーボンブラック、酸化チタン、クレー、
マイカ、タルク、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニ
ウム等の粉末状の無機フィラー、ポリエチレングリコー
ル、ジオクチルフタレート(DOP)等の可塑剤の他、
有機・無機顔料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、光安定剤、難燃剤、シリコンオイル、アンチブロッ
キング剤、発泡剤、帯電防止剤、抗菌剤等を挙げること
ができる。これらの中でも軟質剤は、本発明のポリスチ
レン系熱可塑性エラストマーを成形して得られる成形品
の硬度を低下する効果があり、非常に有効な成分とな
る。この軟質剤としては、パラフィン系、ナフテン系な
どのプロセスオイルが特に好ましい。これらの軟質剤を
添加する場合、その配合量は、本発明組成物100重量
部に対して0.5〜200重量部、好ましくは1〜10
0重量部、更に好ましくは1〜50重量部、特に好まし
くは1〜30重量部用いる。0.5重量部未満では軟質
剤添加の効果が低い。200重量部を越えると軟質剤の
ブリードアウトが顕著になり好ましくない。
【0037】次に本発明のポリスチレン系熱可塑性エラ
ストマー組成物の製造方法について述べる。本発明のポ
リスチレン系熱可塑性エラストマー組成物は、この方法
に限定される訳ではないが、例えば次の様な方法で製造
することができる。第一の方法は、(A)成分であるポ
リスチレン系樹脂あるいはポリスチレン系樹脂とポリス
チレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂、好ましくはポリスチ
レン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との混合物、(B)
成分の原料である芳香族ビニル/共役ジエンランダム共
重合体あるいは部分的若しくは完全に水素添加した芳香
族ビニル/共役ジエンランダム共重合体よりなるゴム状
重合体、必要に応じて(C)成分である相溶化剤及びラ
ジカル開始剤、架橋助剤等よりなる架橋剤を二軸押出
機、バンバリーミキサー等で熱処理しゴム状重合体を部
分的にまたは完全に動架橋する方法である。なお、相溶
化剤を使用する場合、この相溶化剤がラジカル開始剤、
架橋助剤で架橋する場合は、相溶化剤を添加せずに架橋
させ、ゴム状重合体の架橋後相溶化剤を追添あるいは得
られた熱可塑性エラストマーと相溶化剤を二軸押出機、
バンバリーミキサー等で溶融混練する方法等で本発明の
ポリスチレン系熱可塑性エラストマー組成物とする。
【0038】第二の方法は、(A)成分の熱可塑性樹脂
が、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との混
合物である場合、ポリオレフィン系樹脂と(B)成分の
原料である芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重合体
あるいは部分的若しくは完全に水素添加した芳香族ビニ
ル/共役ジエンランダム共重合体よりなるゴム状重合
体、架橋剤及び架橋助剤を二軸押出機、バンバリーミキ
サー等で熱処理しゴム状重合体をラジカル開始剤、架橋
助剤等よりなる架橋剤共存下部分的にまたは完全に架橋
し、得られた動架橋オレフィン熱可塑性エラストマー
(以下ポリオレフィン系樹脂と芳香族ビニル/共役ジエ
ンランダム共重合体あるいは部分的若しくは完全に水素
添加芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重合体よりな
るゴム状重合体とを架橋剤共存下部分的まは完全に架橋
したエラストマーをオレフィンマトリックス熱可塑性エ
ラストマーと称する)とポリスチレン系樹脂とを二軸押
出機、バンバリーミキサー等で溶融混練する方法であ
る。
【0039】相溶化剤を添加する場合、この相溶化剤
は、その相溶化剤がラジカル開始剤、架橋助剤により架
橋反応を起こさないものであれば、このオレフィンマト
リックス熱可塑性エラストマー製造時にポリオレフィン
系樹脂とゴム状重合体に共存させても良いが、一般に
は、架橋反応を起こさないもの及び架橋反応を起こすも
のも含めて、オレフィンマトリックス熱可塑性エラスト
マーとポリスチレン系樹脂とを溶融混練する際に添加す
ることが好ましい。
【0040】なお、オレフィンマトリックス熱可塑性エ
ラストマー製造時に使用するポリオレフィン系樹脂は、
ポリエチレン系樹脂単独を用いた場合は、マトリックス
も架橋し得られたオレフインマトリックス熱可塑性エラ
ストマーが熱可塑性を示さない場合もある。その為、ポ
リオレフィン系樹脂は、架橋しないポリプロピレン系樹
脂を主体とするあるいはポリプロピレン系樹脂とポリエ
チレン系樹脂との混合物とすることが好ましい。
【0041】第三の方法は、第二の方法で得られたオレ
フィンマトリックス熱可塑性エラストマーにスチレンモ
ノマーを含浸させ、ラジカル開始剤存在下スチレンを重
合する方法等が挙げられる。第三の方法で相溶化剤は、
ラジカル開始剤、架橋助剤により架橋しない相溶化剤を
使用する場合は、オレフィンマトリックス熱可塑性エラ
ストマー製造時に添加しても良いし、又、スチレンを重
合した後、相溶化剤を添加し、溶融混練して本発明の組
成物としても良い。これらの方法の中でも第一の方法
は、一段で本発明のポリスチレン系熱可塑性エラストマ
ー組成物を製造でき最も好ましい。
【0042】上記製造方法で製造する場合、使用する架
橋剤であるラジカル開始剤若しくは重合開始剤として
は、有機過酸化物、有機アゾ化合物等のラジカル開始剤
が挙げられる。具体的な例としては、1,1−ビス(t
−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロ
ヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス
(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−
ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1
−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,
2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチ
ル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n
−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレ
レート等のパーオキシケタール類;ジ−t−ブチルパー
オキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミ
ルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオ
キシ−m−イソプロピル)ベンゼン、α,α’−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、
2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキル
パーオキサイド類;アセチルパーオキサイド、イソブチ
リルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デ
カノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、
3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、
ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイ
ルパーオキサイドおよびm−トリオイルパーオキサイド
等のジアシルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシ
アセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t
−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−
ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシ
ベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレー
ト、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオ
キシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t
−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、および
クミルパーオキシオクテート等のパーオキシエステル
類;ならびに、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ク
メンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼン
ハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−
2,5−ジハイドロパーオキサイドおよび1,1,3,
3−テトラメチルブチルパーオキサイド等のハイドロパ
ーオキサイド類を挙げることができる。
【0043】これらの化合物の中では、1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミ
ルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメ
チル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン
−3が好ましい。前記第一あるいは第二の方法でゴム状
重合体を架橋させる場合、これらのラジカル開始剤は、
ゴム状重合体100重量部に対し0.02〜3重量部、
好ましくは0.05〜1重量部の量で用いられる。架橋
のレベルは、主としてこの量で決まる。0.02重量部
未満では架橋が不十分であり、3重量部を越えても大き
く架橋率が向上することは無い為、好ましい方向ではな
い。
【0044】架橋助剤としては、ジビニルベンゼン、ト
リアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、
ダイアセトンジアクリルアミド、ポリエチレングリコー
ルジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリ
レート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレング
リコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジ
メタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレー
ト、ジイソプロペニルベンゼン、P−キノンジオキシ
ム、P,P’−ジベンゾイルキノンジオキシム、フェニ
ルマレイミド、アリルメタクリレート、N,N’−m−
フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、テト
ラアリルオキシエタン、1,2−ポリブタジエン等が好
ましく用いられる。これらの架橋助剤は複数のものを併
用して用いてもよい。
【0045】架橋助剤は、ゴム状重合体100重量部に
対し0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜2重量部の
量で用いられる。0.1重量部未満では架橋率が低く好
ましくない。5重量部を越えても架橋率が大きく向上す
ることはなく、また、過剰の架橋助剤が残存し、好まし
い方向ではない。架橋の方法として上記の様にラジカル
開始剤と架橋助剤を使用することが好ましいが、これ以
外にフェノール樹脂あるいはビスマレイミド等を架橋剤
として使用することもできる。
【0046】本発明組成物の(B)成分である芳香族ビ
ニル/共役ジエンランダム共重合体あるいは部分的若し
くは完全に水素添加した芳香族ビニル/共役ジエンラン
ダム共重合体よりなるゴム状重合体を部分的または完全
に架橋する為の設備としては、バンバリーミキサー、ニ
ーダー、単軸押出機、二軸押出機等が使用できる。とり
わけ効率的に架橋を達成する為には、二軸押出機が好ま
しく用いられる。二軸押出機は、ゴム状重合体と熱可塑
性樹脂とを均一且つ微細に分散させ、更に架橋剤による
架橋反応も好ましく実施でき、架橋体を連続的に製造す
るのに適している。
【0047】最も好ましい製造方法を具体的に述べると
次の様な加工工程を経由して製造することができる。即
ち、芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重合体あるい
は部分的若しくは完全に水素添加した芳香族ビニル/共
役ジエンランダム共重合体よりなるゴム状重合体とポリ
スチレン系樹脂あるいはポリスチレン系樹脂とポリスチ
レン系樹脂以外の熱可塑性樹脂、好ましくはポリオレフ
ィン系樹脂との混合物を押出機のホッパーに投入する。
【0048】ラジカル開始剤、架橋助剤等の架橋剤は、
ゴム状重合体と上記熱可塑性樹脂と共に当初から添加し
ても良いしあるいは押出機の途中から添加しても良い。
軟質剤としてオイルを添加する場合は、押出機の途中か
ら添加しても良いし、当初と途中とに分けて添加しても
良い。ゴム状重合体と熱可塑性樹脂はその一部を押出機
の途中から添加しても良い。押出機内で加熱溶融し混練
される際に、ゴム状重合体とラジカル開始剤及び架橋助
剤とが反応し、更に必要に応じてオイル等を添加して溶
融混練することにより架橋反応と混練分散とを充分させ
た後、押出機から取り出す。ペレタイズして本発明ポリ
スチレン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得
ることができる。
【0049】この様にして得られた本発明のポリスチレ
ン系熱可塑性エラストマー組成物は、任意の成形方法で
各種の成形品の製造が可能である。成形方法としては、
射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダ
ー成形、発泡成形等が好ましく用いられる。本発明のポ
リスチレン系熱可塑性エラストマー組成物は、耐摩耗性
に優れる。更に塗装性、溶剤接着性、印刷性等にも優れ
た熱可塑性エラストマーとなり各種の自動車部品、事務
機器、建材、玩具等に広く使用することが可能となる。
【0050】更にこの本発明のポリスチレン系熱可塑性
エラストマー組成物は、一般に、芳香族ビニル/共役ジ
エンランダム共重合体あるいは部分的若しくは完全に水
素添加した芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重合体
よりなる0.2〜2μmの架橋ゴム状重合体粒子とポリ
スチレン系樹脂を主体としたマトリックスよりなる。従
って、ポリスチレン(PS)あるいは耐衝撃性ポリスチ
レン(HIPS)等のスチレン系樹脂と溶融接着するこ
とが可能となり、基材をポリスチレン(PS)あるいは
耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)とし表皮材を本発明
のポリスチレン系熱可塑性エラストマー組成物とした積
層品、即ち、表面軟質化された高強度材料とすることも
可能となる。この積層品は、建材用途、例えば階段の手
すり、風呂場の滑り留めマット、デッキボード等に利用
することも可能となる。
【0051】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例、比較例に
より更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定され
るものではない。なお、これら実施例および比較例にお
いて、各種物性の評価に用いた試験法、原材料及び配合
に使用した熱可塑性エラストマーの製造方法は以下の通
りである。
【0052】1.試験法 (1)硬度 2mm厚シートを4枚重ねて、ASTM D2240に
準じ、Aタイプにて23℃雰囲気下にて評価した。
【0053】(2)引張破断強度[MPa] JIS K6251に準じ、23℃にて評価した。 (3)引張破断伸度[%] JIS K6251に準じ、23℃にて評価した。 (4)圧縮永久歪み(C−セット)[%] JIS K6301に準じ、70℃×22時間にて評価
した。
【0054】(5)耐摩耗性 評価は、学振型摩耗試験機を用いて行った。評価条件は
以下の通りである。温度条件:23℃雰囲気下 ストローク:120mm 周波数:1往復/2秒 荷重:500g 摩耗物:綿布100% かなきん3号(JIS L 0
803準拠)三つ折りにして装着 接触面積:1cm2 評価結果は、2000回の往復時の摩耗量(g)で表
す。
【0055】(6)接着性 本発明のポリスチレン系熱可塑性エラストマーをプレス
成形により0.2mm厚のシートを得た。このシートを
射出成形機(東芝IS45PNV)の金型に貼り付け、
市販の耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)を2mm厚に
射出成形した。得られた積層品のポリスチレン系熱可塑
性エラストマーとHIPSとの接着性を評価した。判断
基準は以下の通り。 ◎ 全く剥がれない(基材が破壊する) ○ 強い力で剥がすと剥がれる △ 接着はしいてるが比較的容易に剥がすことができる × 全く接着せず
【0056】(7)塗装性 市販のウレタン塗料(溶剤型)を本発明のポリスチレン
系熱可塑性エラストマーシートの上にハケ塗りし、乾燥
した。エラストマーを屈曲させた時に、基材から剥離す
るかどうかで評価した。判断基準は以下の通り。 ○ 剥離せず △ 剥離せず。しかし何度も屈曲すると一部剥離 × 剥離する
【0057】(8)架橋度 架橋熱可塑性エラストマー0.5gを、キシレン200
ml中で4時間リフラックスさせる。溶液を定量用濾紙
で濾過し、濾紙上の残さを真空乾燥後定量し、架橋熱可
塑性エラストマー中のゴム状重合体の重量に対する残さ
の重量の比率(%)として算出した。
【0058】(9)水素添加率 水素添加前の芳香族ビニル/共役ジエン共重合体を重ク
ロロホルムに溶解し、FT−NMR(270メガ、日本
電子製)にて化学シフト4.7〜5.2ppm(シグナ
ルC0とする)の1,2−ビニルによるプロトン(=CH
−)と、化学シフト5.2〜5.8ppm(シグナルD0
とする)のビニルプロトン(=CH2−)の積分強度よ
り(V)を次式により計算した。 (V)=[0.5C0/〔0.5C0+0.5(D0−0.5C0)〕]×100 次に、水素添加芳香族ビニル/共役ジエン共重合体を重
クロロホルムに溶解し、同様にFT−NMRにて化学シ
フト0.6〜1.0ppm(シグナルA1とする)の水素
添加された1,2結合によるメチル基プロトン(−C
3) 化学シフト4.7〜5.2ppm(シグナルC1
する)の水素添加されていない1,2−ビニルによるプ
ロトン(=CH−)、化学シフト5.2〜5.8ppm
(シグナルD01とする)の水素添加されていないビニル
プロトン(=CH2−)の積分強度より1,2−ビニル
結合部分の水素添加率(B)、1,4−ビニルの水素添加
率(C)を算出し全体の水添率(A)を計算した。 (B)=[(A11/3)/〔(A11/3)+(C11/2)〕]×100 (C)=[〔0.5(D0−0.5C0)−0.5(D11−0.5C11)〕/0.5(D
0−0.5C0)]×100 ここでA11=pA1、C11=pC1、D11=pD1、p=0.5C0/(0.5
C1+A1/3)とする。
【0059】(10) 1,2−ビニル結合量 (V)×(B)/100により計算した。
【0060】2.原材料 (1)ゴム状重合体 (a)スチレン−ブタジエンランダム共重合体 表1のスチレン−ブタジエンランダム共重合体及び水素
添加スチレン−ブタジエンランダム共重合体を製造し
た。重合方法は公知の方法で実施した。(SBRと称す
る)製造したSBR1〜6の組成及び水素添加率を表1
に示す。なお、示差走査熱量測定法(DSC法)測定し
た結果、SBR2〜4は融点ピークを持たず非結晶ゴム
であった。一方SBR1及び5、6は融点ピークを持ち
部分的結晶化ゴムであった。 (b)スチレン−イソプレンランダム共重合体 表1の水素添加スチレン−イソプレンランダム共重合体
を製造した。重合方法は公知の方法で実施した。(SI
Rと称する) (c)エチレン−スチレンランダム共重合体 特開平7−70223号公報に記載の方法により製造し
た。共重合体のエチレン/スチレンの組成比は、30/
70(重量比)であった(ESPと称する)
【0061】(2)ポリスチレン系樹脂 (a)旭化成工業(株)製 ポリスチレン(商品名:GP
685)(PSと称する) (b)旭化成工業(株)試作品 スチレン/メチルメタク
リレート共重合体(メチルメタクリレート20重量%)
(MSと称する) (c)旭化成工業(株)試作品 スチレン/n−ブチルア
クリレート共重合体(n−ブチルアクリレート5重量
%)(BSと称する)
【0062】(3)オレフィン系樹脂 ポリプロピレン 日本ポリオレフィン(株)製、アイソタクチックホモポ
リプロピレン(商品名:PM900A)(PPと称す
る) (4)ポリフェニレンエーテル系樹脂 旭化成工業(株)製、ポリフェニレンエーテルパウダー ηsp/C=0.5(クロロホルム)(PPEと称する) (5)ラジカル開始剤 日本油脂社(株)製、2,5−ジメチル−2,5−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン( 商品名:パーヘ
キサ25B)(POXと称する)
【0063】(6)架橋助剤 日本化成(株)社製、トリアリルイソシアヌレート(T
AICと称する) (7)軟化剤(パラフィンオイル) 出光興産(株)製、ダイアナプロセスオイル(商品名:
PW−380) (8)相溶化剤 水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体 旭化成工業(株)製、タフテック(スチレン含有量60
%)(HTRと称する)
【0064】3.オレフィンマトリックス熱可塑性エラ
ストマーの製造 押出機として、バレル中央部に注入口を有した2軸押出
機(40mmφ、L/D=47)を用いた。スクリュー
としては注入口の前後に混練部を有した2条スクリュー
を用いた。SBR(表1のSBR−3)/PP/POX
/TAIC=70.0/30.0/0.5/1.0(重
量比)を混合しシリンダー温度220℃とし溶融押出を
行った。この溶融押出する際、中央部にある注入口より
SBRとPPの合計量100重量部に対して軟化剤(P
W−380)を42重量部注入した。得られた熱可塑性
エラストマーの架橋度は、80%であった。このオレフ
ィンマトリックス熱可塑性エラストマーをTPOと称す
る。なお、このTPOの組成は、SBR/PP/軟質剤
=49.3/21.1/29.6(重量比)であった。
【0065】
【実施例1〜12、比較例1】バンバリーミキサーを使
用し、220〜240℃の温度で表2の仕込み組成で動
架橋をした。この際、架橋剤は、POXとTAICを使
用し、その添加量は、ゴム状重合体100重量部に対し
て実施例2は、POXを0.2重量部、TAICを0.
4重量部、実施例3及び実施例5は、 POXを0.3
3重量部、TAICを0.66重量部、それ以外は、
POXを0.50重量部、TAICを1.00重量部と
した。得られた熱可塑性エラストマーをカットした。こ
のカット品を射出成形機(東芝IS45PNV)により
230℃で成形し成形品を得た。成形品の各成分の比率
及び特性を表2に示す。表中、( )内は、本発明組
成物の組成である。
【0066】
【比較例2】実施例1の仕込み組成をESP/PS/P
OX/TAICとしたこと以外実施例1と同様にしてゴ
ム状重合体をESPとした熱可塑性エラストマーを得
た。これを成形した成形品のA硬度は88であった。こ
の成形品は、室温では柔らかくエラストマーチックであ
るが、これを−10℃に冷却した所、硬くなりエラスト
マーとしての性能が低下した。実施例1で得られた成形
品は、−10℃に冷却しても室温と変化せずエラストマ
ーとして優れた性能を示した。なお、ここで得られた熱
可塑性エラストマーの組成は、PS/ESP/軟化剤=
27.8/55.6/16.7(重量比)であった。
【0067】
【実施例14〜17】2軸押出機(40mmφ、L/D
=47)を用いて表1の仕込み組成で各種のポリスチレ
ン系樹脂とTPOとを溶融混練押出ペレタイズした。シ
リンダー温度は220℃で行った。得られたペレットを
射出成形機(東芝IS45PNV)により成形し成形品
を得た。成形品の各成分の比率及び特性を表2に示す。
表中、( )内は、本発明組成物の組成である。
【0068】
【実施例18】ゴム状重合体をSIR(イソプレン/ス
チレン比は80/20、水添率は、98%)を変えるこ
と以外実施例4と同様にして熱可塑性エラストマーを
得、同様に成形して成形品を得た。得られた熱可塑性エ
ラストマーの組成は、PS/SIR/軟化剤=27.8
/55.6/16.7であった。本発明組成物の組成
は、(A)成分が33.3重量部、(B)成分が66.
7重量部である。ここで得られた熱可塑性エラストマー
の物性は以下の通りであった。A硬度:85、引張強
度:8.5MPa、伸び:250%、圧縮永久歪み:7
6、耐磨耗性:0.022gであった。HIPSとの接
着性、塗装性は各々◎、○。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
【発明の効果】本発明の流動成分であるマトリックス
が、ポリスチレン系樹脂を必須成分とする熱可塑性樹
脂、具体的にはポリスチレン系樹脂あるいはポリスチレ
ン系樹脂とポリスチレン系樹脂以外の樹脂との混合物、
好ましくはポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂
との混合物よりなり、且つゴム成分が、部分的または完
全に架橋された芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重
合体及び/または部分的または完全に水素添加された芳
香族ビニル/共役ジエンランダム共重合体よりなるゴム
状重合体からなるポリスチレン系熱可塑性エラストマー
組成物は、耐摩耗性、塗装性、溶剤接着性、印刷性等に
優れた材料となる。この材料は、包装材料、住宅・建材
関連材料、自動車用材料、OA機器用材料、工具、玩
具、日用品等を始めとする用途に広く利用することがで
き、産業界に果たす役割は大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AC08Y BB00X BB02X BB03X BB06X BB07X BB08X BB11X BB12X BC02W BC03W BC04W BC05Y BC06W BC07W BC11W EK016 EK026 EK036 EK046 EK056 EK066 EQ016 FD010 FD146 FD150 GC00 GG02 GL00 GN00 GQ00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリスチレン系樹脂を必須成分と
    する熱可塑性樹脂 (B)芳香族ビニル/共役ジエンランダム共重合体及び
    /または水素添加芳香族ビニル/共役ジエンランダム共
    重合体よりなり且つ部分的または完全に架橋されたゴム
    状重合体及び必要に応じて (C)相溶化剤 よりなる組成物であって、(A)成分+(B)成分+
    (C)成分を100重量部とした時、該組成物中の
    (B)成分は、40〜90重量部であり且つ(C)成分
    は、40重量部未満よりなるポリスチレン系熱可塑性エ
    ラストマー組成物。
  2. 【請求項2】 (A)成分である熱可塑性樹脂は、ポリ
    スチレン系樹脂よりなる請求項1記載のポリスチレン系
    熱可塑性エラストマー組成物
  3. 【請求項3】 (A)成分である熱可塑性樹脂は、ポリ
    スチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂よりなる請求項
    1記載のポリスチレン系熱可塑性エラストマー組成物
  4. 【請求項4】 該ポリスチレン系熱可塑性エラストマー
    組成物は、(A)成分であるポリスチレン系樹脂よりな
    る熱可塑性樹脂あるいはポリスチレン系樹脂とポリオレ
    フィン系樹脂よりなる熱可塑性樹脂と(B)成分である
    ゴム状重合体とを架橋剤共存下動架橋したものである請
    求項1〜3記載のポリスチレン系熱可塑性エラストマー
    組成物。
  5. 【請求項5】 該ポリスチレン系熱可塑性エラストマー
    組成物は、(A)成分である熱可塑性樹脂がポリスチレ
    ン系樹脂とポリオレフィン系樹脂よりなる場合、(A)
    成分であるポリオレフィン系樹脂よりなる熱可塑性樹脂
    と(B)成分であるゴム状重合体とを架橋剤共存下動架
    橋したオレフィン系熱可塑性エラストマーとポリスチレ
    ン系樹脂とを溶融混合したものである請求項1〜3記載
    のポリスチレン系熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 【請求項6】 ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレ
    ン系樹脂を主体とするものである請求項3〜5記載のポ
    リスチレン系熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 【請求項7】 (B)成分であるゴム状重合体は、1〜
    70重量%の芳香族ビニル単量体と99〜30重量%の
    共役ジエン単量体よりなる芳香族ビニル/共役ジエンラ
    ンダム共重合体及び/または水素添加芳香族ビニル/共
    役ジエンランダム共重合体である請求項1〜6記載のポ
    リスチレン系熱可塑性エラストマー組成物。
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