JP4489937B2 - ゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐ブリード性ゴム組成物に関するものである。更に詳しくは、耐ブリード性、外観、感触、耐磨耗性及び耐油性に優れたゴム組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ラジカル架橋性オレフィン系エラストマー等のゴム状重合体とPP等のラジカル架橋性のないオレフィン系樹脂とをラジカル開始剤の存在下、押出機中で溶融混練させながら架橋する、いわゆる動的架橋による熱可塑性エラストマー組成物は、既に公知の技術であり、自動車部品等の用途に広く使用されている。
【0003】
このようなオレフィン系エラストマーとして、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)またはメタロセン触媒により製造されたオレフィン系エラストマー(特開平8−120127号公報、特開平9−137001号公報)が知られている。しかしながら、上記組成物は耐ブリード性が必ずしも充分でなく、実用的使用に耐えるゴム組成物が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち耐ブリード性、外観、感触、耐磨耗性及び耐油性に優れたゴム組成物を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は耐ブリード性に優れたゴム組成物を鋭意検討した結果、ゴム状重合体が特定の粒子径を有することにより、驚くべきことに耐ブリード性だけでなく、感触、外観、耐磨耗性、及び耐油性をも飛躍的に向上せしめることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
即ち本発明は、(A)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンを含有するエチレン・α−オレフィン共重合体、主鎖および側鎖に二重結合を有する単独重合体及び/またはランダム共重合体からなる不飽和ゴムの全二重結合の50%以上が水素添加された水素添加ゴムから選ばれる一種以上の架橋性ゴム状重合体と、(B)オレフィン系樹脂と、(D)軟化剤とからなる、(C)架橋剤で架橋されたゴム組成物において、(A)架橋性ゴム状重合体の粒子径0.01〜3μmの粒子の全体積が全粒子体積中で10%以下であることを特徴とするゴム組成物を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関して詳しく述べる。
【0008】
本発明の組成物は、特定のゴム形態を有する、(A)架橋性ゴム状重合体と(B)オレフィン系樹脂とからなる架橋されたゴム組成物である。
【0009】
ここで、粒子径が0.01〜3μmの粒子の全体積が全粒子体積中で10%以下であることが必須であり、好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下、最も好ましくは1%以下であり、極めて好ましくは上記範囲の粒子径の独立粒子が全く存在しない場合である。図1は、(A)架橋性ゴム状重合体の代表的な形状を示した図であり、黒塗り部分は(A)成分を示し、白い部分は(B)成分を示す。
【0010】
耐ブリード性の向上のためには、軟化剤等のブリード性成分の拡散を抑制することが重要であり、そのためにはゴム粒子の表面積を増大させることが必要となる。本発明者は、特定の粒子径の全体積が上記範囲の時のみ耐ブリード性、外観、感触、耐磨耗性および耐油性が向上することを見出し、本発明を完成した。
【0011】
以下に本発明の各成分について詳細に説明する。
【0012】
本発明において(A)架橋性ゴム状重合体は、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下であることが好ましく、このようなゴム状重合体は、例えば、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム及びエチレン−プロピレ共重合体ゴム、エチレン−プロピレンン−ジエンモノマー三元共重合体ゴム(EPDM)、エチレン−オクテン共重合体ゴム等の架橋ゴムまたは非架橋ゴム、並びに上記ゴム成分を含有する熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
【0013】
本発明において(A)架橋性ゴム状重合体の中でも、特にエチレン・α−オレフィン共重合体が好ましく、エチレンおよび炭素数が3〜20のα−オレフィンを含有するエチレン・α−オレフィン共重合体が更に好ましい。
【0014】
上記炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1等が挙げられる。中でもヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1が好ましく、特に好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィンであり、とりわけプロピレン、ブテン−1、オクテン−1が最も好ましい。
【0015】
また、エチレン・α−オレフィン共重合体は、必要に応じて、不飽和結合を有する単量体を含有することができ、例えば、ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィン、1,4−ヘキサジエン等の非共役ジオレフィン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン誘導体等の環状ジエン化合物、及びアセチレン類が好ましく、とりわけエチリデンノルボルネン(ENB)、ジシクロペンタジエン(DCP)が最も好ましい。
【0016】
本発明において好適に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、公知のメタロセン系触媒を用いて製造することが好ましい。
【0017】
一般にはメタロセン系触媒は、チタン、ジルコニウム等のIV族金属のシクロペンタジエニル誘導体と助触媒からなり、重合触媒として高活性であるだけでなく、チーグラー系触媒と比較して、得られる重合体の分子量分布が狭く、共重合体中のコモノマーである炭素数3〜20のα−オレフィンの分布が均一である。
【0018】
本発明において用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、α−オレフィンの共重合比率が1〜60重量%であることが好ましく、更に好ましくは10〜50重量%、最も好ましくは20〜45重量%である。α−オレフィンの共重合比率が60重量%を越えると、組成物の硬度、引張強度等が低下する傾向にあり、一方、1重量%未満では柔軟性、機械的強度が低下する傾向にある。
【0019】
エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、0.8〜0.9g/cm3の範囲にあることが好ましい。この範囲の密度を有するエチレン・α−オレフィン共重合体を用いることにより、柔軟性に優れ、硬度の低い組成物を得ることができる。
【0020】
本発明にて用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、長鎖分岐を有していることが望ましい。長鎖分岐が存在することで、機械的強度を落とさずに、共重合されているα−オレフィンの比率(重量%)に比して、密度をより小さくすることが可能となり、低密度、低硬度、高強度のエラストマーを得ることができる。長鎖分岐を有するオレフィン系エラストマーとしては、USP5278272等に記載されている。
【0021】
また、エチレン・α−オレフィン共重合体は、室温以上にDSCの融点ピークを有することが望ましい。融点ピークを有するとき、融点以下の温度範囲では形態が安定しており、取扱い性に優れ、ベタツキも少ない。
【0022】
また、本発明にて用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体のメルトインデックスは、0.01〜100g/10分(190℃、2.16kg荷重)の範囲のものが好ましく用いられ、更に好ましくは0.2〜10g/10分である。100g/10分を越えると、組成物の架橋性が不十分な傾向にあり、また0.01g/10分より小さいと流動性が悪く、加工性が低下する傾向にある。
【0023】
本発明にて用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、複数の種類のものを混合して用いても良い。そのような場合には、加工性のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0024】
本発明において(A)架橋性ゴム状重合体の中でも好ましいものの一つとして、熱可塑性エラストマーがあるが、その中でも特にポリスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましく、芳香族ビニル単位と共役ジエン単位からなるブロック共重合体、または上記共役ジエン単位部分が部分的に水素添加またはエポキシ変性されたブロック共重合体等が挙げられる。
【0025】
上記ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であり、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0026】
また、上記ブロック共重合体を構成する共役ジエン単量体は、1,3−ブタジエン、イソプレン等を挙げることができる。
【0027】
そして、ブロック共重合体のブロック構造は、芳香族ビニル単位からなる重合体ブロックをSで表示し、共役ジエン及び/またはその部分的に水素添加された単位からなる重合体ブロックをBで表示する場合、SB、S(BS)n、(但し、nは1〜3の整数)、S(BSB)n、(但し、nは1〜2の整数)のリニアーブロック共重合体や、(SB)nX(但し、nは3〜6の整数。Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポリエポキシ化合物等のカップリング剤残基。)で示され、B部分を結合中心とする星状(スター)ブロック共重合体であることが好ましい。なかでもSBの2型、SBSの3型、SBSBの4型のリニアーブロック共重合体が好ましい。
【0028】
本発明において、(A)架橋性ゴム状重合体のもう一つの好ましいものは、主鎖および側鎖に二重結合を有する単独重合体及び/またはランダム共重合体からなる不飽和ゴムの全二重結合の50%以上が水素添加された水素添加ゴムである。
【0029】
上記水素添加ゴム中の全二重結合は、50%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上が水素添加され、そして主鎖の残存二重結合が5%以下、側鎖の残存二重結合が5%以下であることが好ましい。このようなゴムの具体例としては、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等のジエン系ゴムを部分的または完全に水素添加したゴム状重合体を挙げることができ、特に水素添加ブタジエン系または水素添加イソプレン系ゴムが好ましい。
【0030】
このような水素添加ゴムは、上述のゴムを公知の水素添加方法で部分水素添加することにより得られる。例えば、F.L.Ramp,etal,J.Amer.Chem.Soc.,83,4672(1961)記載のトリイソブチルボラン触媒を用いて水素添加する方法、Hung Yu Chen,J.Polym.Sci.Polym.Letter Ed.,15,271(1977)記載のトルエンスルフォニルヒドラジドを用いて水素添加する方法、あるいは特公昭42−8704号公報に記載の有機コバルト−有機アルミニュウム系触媒あるいは有機ニッケル−有機アルミニュウム系触媒を用いて水素添加する方法等を挙げることができる。ここで、特に好ましい水素添加の方法は、低温、低圧の温和な条件下で水素添加が可能な触媒を用いる特開昭59−133203号、特開昭60−220147号公報あるいは不活性有機溶媒中にて、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム化合物と、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子またはセシウム原子を有する炭化水素化合物とからなる触媒の存在下に水素と接触させる特開昭62−207303号公報に示される方法である。
【0031】
また、水素添加ゴムの100℃で測定したムーニー粘度(ML)は20〜90、25℃における5重量%スチレン溶液粘度(5%SV)は、20〜300センチポイズ(cps)の範囲にあることが好ましい。特に好ましい範囲は25〜150cpsである。
【0032】
そして、水素添加ゴムの結晶性の指標である吸熱ピーク熱量の制御は、テトラヒドロフラン等の極性化合物の添加または重合温度の制御により行う。吸熱ピーク熱量の低下は、極性化合物を増量するか、または重合温度を低下させて、1,2−ビニル結合を増大させることにより達成される。
【0033】
本発明にて用いられる(A)架橋性ゴム状重合体は、複数の種類のものを混合して用いても良い。そのような場合には、加工性のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0034】
本発明において(B)オレフィン系樹脂は、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂等であり、特に制限されないが、中でもプロピレン系樹脂が好ましい。
【0035】
本発明で最も好適に使用されるプロピレン系樹脂を具体的に示すと、ホモのアイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、プロピレンとエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1等の他のα−オレフィンとのアイソタクチック共重合樹脂(ブロック、ランダムを含む)等が挙げられる。
【0036】
本発明において、(B)オレフィン系樹脂の中でも、(B−1)ホモのアイソタクチックポリプロピレンまたは(B−2)エチレンとプロピレンとのランダム共重合樹脂等のプロピレン系ランダム共重合樹脂あるいは(B−3)プロピレン系ブロック共重合樹脂が好ましい。このような架橋型オレフィン系樹脂と分解型オレフィン系樹脂の二種のオレフィン系樹脂を組み合わせることにより、外観と機械的強度が更に向上する。
【0037】
(B−2)プロピレン系ランダム共重合樹脂として、例えばエチレンとプロピレンのランダム共重合樹脂を挙げることができ、エチレン成分がポリマー主鎖中に存在する場合は、それが架橋反応の架橋点となり、架橋型オレフィン系樹脂の特性を示す。
【0038】
(B−3)プロピレン系ブロック共重合樹脂はα−オレフィンが主成分であり、ポリマー主鎖中にエチレン単位を含まないことが好ましい。但し、プロピレン系ブロック共重合樹脂のようにエチレン・α−オレフィン共重合体が分散相として存在する場合は、分解型オレフィン系樹脂の特性を示す。
【0039】
(B)オレフィン系樹脂は、複数個の(B−2)プロピレン系ランダム共重合樹脂、(B−3)プロピレン系ブロック共重合樹脂の組み合わせでも良い。
【0040】
また、本発明にて好適に用いられる(B)オレフィン系樹脂のメルトインデックスは、0.1〜100g/10分(230℃、2.16kg荷重)の範囲のものが好ましく用いられる。100g/10分を越えると、組成物の耐熱性、機械的強度が不十分となる傾向にあり、また0.1g/10分より小さいと流動性が悪く、成形加工性が低下する傾向にある。
【0041】
(A)架橋性ゴム状重合体と(B)オレフィン系樹脂からなる組成物100重量部において、(B)オレフィン系樹脂は、1〜99重量部の組成比で用いられる。好ましくは5〜90重量部、更に好ましくは20〜80重量部である。1重量部未満では組成物の流動性、加工性が低下する傾向にあり、99重量部を越えると組成物の柔軟性が不十分となる傾向にある。
【0042】
本発明の架橋されたゴム組成物は、(C)架橋剤で架橋されることが好まい。(C)架橋剤は、(C−1)架橋開始剤を必須成分とし、必要に応じて(C−2)多官能単量体、(C−3)単官能単量体を含有する。
【0043】
上記(C)架橋剤は、(A)架橋性ゴム状重合体と(B)オレフィン系樹脂からなる組成物100重量部に対し0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜3重量部の量で用いられる。0.01重量部未満では架橋が不十分となる傾向にあり、10重量部を越えると組成物の外観、機械的強度が低下する傾向にある。
【0044】
ここで、(C−1)架橋開始剤は、有機過酸化物、有機アゾ化合物等のラジカル開始剤等が挙げられ、具体的な例として、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類を挙げることができる。
【0045】
また、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドおよびm−トリオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、およびクミルパーオキシオクテート等のパーオキシエステル類を挙げることができる。
【0046】
さらに、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイドおよび1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類を挙げることができる。
【0047】
これらの化合物の中では、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が好ましい。
【0048】
上記(C−1)架橋開始剤は、(C)架橋剤成分中で好ましくは1〜80重量%、更に好ましくは10〜50重量%の量が用いられる。1重量%未満では架橋が不十分である傾向にあり、80重量%を越えると機械的強度が低下する傾向にある。
【0049】
本発明において、(C)架橋剤の一つの(C−2)多官能単量体は、官能基としてラジカル重合性の官能基が好ましく、とりわけビニル基がこのましい。官能基の数は2以上であるが、(C−3)単官能単量体との組み合わせで特に3個以上の官能基を有する場合には有効である。具体例としては、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ダイアセトンジアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジイソプロペニルベンゼン、P−キノンジオキシム、P,P’−ジベンゾイルキノンジオキシム、フェニルマレイミド、アリルメタクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、1,2−ポリブタジエン等が好ましく用いられる。特にトリアリルイソシアヌレートが好ましい。これらの多官能単量体は複数のものを併用して用いてもよい。
【0050】
上記(C−2)多官能単量体は、(C)架橋剤成分中で好ましくは1〜80重量%、更に好ましくは10〜50重量%の量が用いられる。1重量%未満では架橋が不十分である傾向にあり、80重量%を越えると機械的強度が低下する傾向にある。
【0051】
本発明において用いられる前記(C−3)単官能単量体は、架橋反応速度を制御するために加えるビニル系単量体であり、ラジカル重合性のビニル系単量体が好ましく、芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体、アクリル酸エステル単量体、メタクリル酸エステル単量体、アクリル酸単量体、メタクリル酸単量体、無水マレイン酸単量体、N−置換マレイミド単量体等を挙げることができる。
【0052】
上記(C−3)単官能単量体は、(C)架橋剤成分中で好ましくは1〜80重量%、更に好ましくは10〜50重量%の量が用いられる。1重量%未満では架橋が不十分である傾向にあり、80重量%を越えると機械的強度が低下する傾向にある。
【0053】
本発明においては、ゴム組成物の加工性を向上させるために、必要に応じて、(D)軟化剤を配合することができる。
【0054】
上記(D)軟化剤は、パラフィン系、ナフテン系などのプロセスオイルが好ましい。これらは組成物の硬度、柔軟性の調整用に、(A)架橋性ゴム状重合体と(B)オレフィン系樹脂からなる組成物100重量部に対して、5〜500重量部、好ましくは10〜150重量部用いる。5重量部未満では柔軟性、加工性が不足する傾向にあり、500重量部を越えるとオイルのブリードが顕著となる傾向にある。
【0055】
本発明における(A)架橋性ゴム状重合体の粒子径の制御は、(C−1)架橋開始剤、架橋助剤の種類、添加量、反応温度、反応方式により行われる。本発明の要件を満足する、大粒子であり、かつ不均一粒子であるためには、(A)架橋性ゴム状重合体と(B)オレフィン系樹脂の溶融粘度比を大きくすることが重要である。また架橋速度を高めることによっても達成することができる。具体的には、(A)架橋性ゴム状重合体に比較して低分子量の(B)オレフィン系樹脂を用いることである。また、(C−1)架橋開始剤または架橋助剤を増量し、かつ(C−1)架橋開始剤の分解温度以上の、できるだけ高温・長時間反応を行うことにより達成される。また架橋助剤として(C−2)多官能単量体を用い、2官能より3官能単量体がより好ましい。但し、(C−1)架橋開始剤、架橋助剤の過度の添加、または、過度に高活性な(C−1)架橋開始剤、架橋助剤、または高温反応条件は、ゴム状重合体の凝集が発生し、本発明の要件を満足しない場合がある。
【0056】
本発明の組成物は、先に説明した(A)架橋性ゴム状重合体、(B)オレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂、(D)軟化剤を特定の組成比で組み合わせることにより、機械的強度と柔軟性、加工性のバランスが改善され、好ましく用いることができる。
【0057】
また、本発明の組成物には、その特徴を損ねない程度に無機フィラーおよび可塑剤を含有することが可能である。ここで用いる無機フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、カーボンブラック、ガラス繊維、酸化チタン、クレー、マイカ、タルク、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。また、可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート(DOP)等のフタル酸エステル等が挙げられる。また、その他の添加剤、例えば、有機・無機顔料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、シリコンオイル、アンチブロッキング剤、発泡剤、帯電防止剤、抗菌剤等も好適に使用される。
【0058】
本発明の組成物の製造には、通常の樹脂組成物、ゴム組成物の製造に用いられるバンバリーミキサー、ニーダー、単軸押出機、2軸押出機、等の一般的な方法を採用することが可能である。とりわけ効率的に動的架橋を達成するためには2軸押出機が好ましく用いられる。2軸押出機は、(A)架橋性ゴム状重合体と(B)オレフィン系樹脂とを均一かつ微細に分散させ、さらに他の成分を添加させて、架橋反応を生じせしめ、本発明の組成物を連続的に製造するのに、より適している。
【0059】
本発明の組成物は、好適な具体例として、次のような加工工程を経由して製造することができる。すなわち、(A)架橋性ゴム状重合体と(B)オレフィン系樹脂とをよく混合し、押出機のホッパーに投入する。(C)架橋剤を、(A)架橋性ゴム状重合体と(B)オレフィン系樹脂とともに当初から添加してもよいし、押出機の途中から添加してもよい。また(D)軟化剤を押出機の途中から添加してもよいし、当初と途中とに分けて添加してもよい。(A)架橋性ゴム状重合体と(B)オレフィン系樹脂の一部を押出機の途中から添加してもよい。押出機内で加熱溶融し混練される際に、前記(A)架橋性ゴム状重合体と(C)架橋剤とが架橋反応し、さらに(D)軟化剤を添加して溶融混練することにより架橋反応と混練分散とを充分させたのち押出機から取り出すことにより、本発明の組成物のペレットを得ることができる。
【0060】
また特に好ましい溶融押出法としては、原料添加部を基点としてダイ方向に長さLを有し、かつL/Dが5から100(但しDはバレル直径)である二軸押出機を用いる場合である。二軸押出機は、その先端部からの距離を異にするメインフィード部とサイドフィード部の複数箇所の供給用部を有し、複数の上記供給用部の間及び上記先端部と上記先端部から近い距離の供給用部との間にニーディング部分を有し、上記ニーディング部分の長さが、それぞれ3D〜10Dであることが好ましい。
【0061】
また本発明において用いられる製造装置の一つの二軸押出機は、二軸同方向回転押出機でも、二軸異方向回転押出機でもよい。また、スクリューの噛み合わせについては、非噛み合わせ型、部分噛み合わせ型、完全噛み合わせ型があり、いづれの型でもよい。低いせん断力をかけて低温で均一な樹脂を得る場合には、異方向回転・部分噛み合わせ型スクリューが好ましい。やや大きい混練を要する場合には、同方向回転・完全噛み合わせ型スクリューが好ましい。さらに大きい混練を要する場合には、同方向回転・完全噛み合わせ型スクリューが好ましい。
【0062】
本発明の組成物の製造方法において、以下の混練度を満足することがより好ましい。
M=(π2/2)(L/D)D3(N/Q)
10×106≦M≦1000×106
但し、L:原料添加部を基点としてダイ方向の押出機長(mm)、D:押出機バレル内径(mm)、Q:吐出量(kg/h)、N:スクリュー回転数(rpm)
【0063】
Mが10×106未満ではゴム粒子が肥大化、凝集するために外観が低下する傾向にあり、一方Mが1000×106を越えると過度のせん断力のために、機械的強度が低下する傾向にある。
【0064】
そして、更に良好な外観と機械的強を達成するためには、以下の関係式の溶融温度を満足することが好ましい。即ち、溶融温度T2(℃)で、まず溶融混練し、次いで溶融温度T3(℃)で溶融混練し、とりわけ原料添加口を基点としてダイ方向に長さLを有する溶融押出機において、原料添加口から0.1L〜0.5Lの長さの押出機ゾーンを溶融温度T2(℃)で、まず溶融混練し、次いでその後の押出機ゾーンを溶融温度T3(℃)で溶融混練する。
【0065】
ここで、特にT1が150〜250℃であることが好ましく、溶融押出機の各ゾーンのT2またはT3は均一温度であっても良いし、または温度勾配を有していても良い。
T1:(C)架橋剤の1分間半減期温度(℃)
T1−100<T2<T1+40
T2+1<T3<T2+200
【0066】
こうして得られたゴム系組成物は任意の成形方法で各種成型品の製造が可能である。射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、発泡成形等が好ましく用いられる。
【0067】
【実施例】
以下、本発明を実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、これら実施例および比較例において、各種物性の評価に用いた試験法は以下の通りである。
【0068】
(1)ゴム状重合体の粒子径及び粒子体積
ゴム状重合体の粒子径及び粒子体積は、組成物の超薄切片法により撮影した透過型電子顕微鏡写真中の500個のゴム状重合体の各粒子を以下の方法で算出する事により得られる。すなわち、各粒子の粒子径は各粒子の面積Sを求め、Sを用いて、(4S/π)0.5を各粒子の粒子径とする。また粒子体積は粒子面積Sの3/2乗のS1.5で定義し、全粒子体積は各粒子体積の和で表される。
【0069】
たとえ0.01〜3μmの粒子が存在していても、それが凝集して互いに接触している場合は、凝集粒子を1つの粒子として扱う。
【0070】
(2)耐ブリード性
120℃雰囲気下にて、100時間放置後、成形品表面を観察し評価した。
◎:極めて良好。
○:良好。
△:成形品表面に少しオイル状物質が付着している。
×:成形品表面にオイル状物質が多量に付着し、べたつき感が著しい。
【0071】
(3)耐摩耗性
評価は学振型摩耗試験機を用いて行った。評価条件は以下の通り。
温度条件:23℃雰囲気下
ストローク:120mm
周波数:1往復/2秒
荷重:200g
摩擦物:綿布100% かなきん3号(JIS L 0803準拠)三つ折りにして装着
接触面積:1平方cm
【0072】
評価は、成形品表面皮シボが消滅するまでの摩擦往復回数で示した。
【0073】
(4)感触
23℃雰囲気下にて、実際に手で触ってそのさらっと感(べたつきの無いこと)と指紋跡が成形品表面に残るか否かを評価した。
◎:極めて手触り感が良好かつさらっとしており、指紋跡も残らない。
○:成形品表面に指紋の跡が残るが、べたつきは感じられない。
×:指紋跡が残り、べたつき感や、ぬめり感がある。
【0074】
(5)射出成形品外観
射出成形品から以下の基準で外観評価を行った。
◎ 極めて良好。
○ 良好。
△ 良好であるが、やや凝集物が見られる。
× 全体的に凝集物多く、光沢無し。
【0075】
(6)耐油性
前もって2mm厚さの組成物シートの重量W0を測定した後に、組成物シートを80℃の流動パラフィン中で20時間静置した後に、組成物シートの重量(W1)を測定し、以下のように重量変化率を算出する。ここで、数値が小さいほど耐油性が優れていることを示す。
重量変化率=(W1−W0)/W0×100(%)
【0076】
(7)共役ジエン系ゴムの分析
1)水素添加率(%)
NMRで以下の手順で測定した。
【0077】
まず、水素添加前のポリブタジエンゴムを重クロロホルムに溶解し、FT−NMR(270メガ、日本電子製)にて化学シフト4.7〜5.2ppm(シグナルC0とする)の1,2−ビニルによるプロトン(=CH2)と、化学シフト5.2〜5.8ppm(シグナルD0とする)のビニルプロトン(=CH−)の積分強度より、次式で計算した。
(V)=〔0.5C0/{0.5C0+0.5(D0−0.5C0)}〕×100
【0078】
次に、部分水素添加後のポリブタジエンゴムを重クロロホルムに溶解し、同様にFT−NMRにて、化学シフト0.6〜1.0ppm(シグナルA1とする)の水素添加された1,2結合によるメチル基プロトン(−CH3)、化学シフト4.7〜5.2ppm(シグナルC1とする)の水素添加されていない1,2−ビニルによるプロトン(=CH2)、化学シフト5.2〜5.8ppm(シグナルD1とする)の水素添加されていないビニルプロトン(=CH−)の積分強度から次式により計算した。
【0079】
まず、p=0.5C0/(0.5C1+A1/3)、A11=pA1,C11=pC1,D11=pD1とし、
1,2−ビニル結合部分の水素添加率(B)
(B)=〔(A11/3)/{A11/3+C11/2}〕×100
1,4−二重結合部分の水素添加率(C)
(C)=[{0.5(D0−0.5C0)−0.5(D11−0.5C11)}/0.5(D0−0.5C0)]×100
ブタジエン部全体の水素添加率(A)
(A)=(V)×(B)/100+〔100−(V)〕×(C)×100
【0080】
2)ミクロ構造
上記で定義した記号で以下に記載した。
水素添加前の1,2−ビニル結合=(V)×(B)/100(%)
水素添加前の1,4結合={100−(V)}×(C)/100(%)
水素添加後の1,2−ビニル結合=(V)×{100−(B)}/100(%)
水素添加後の1,4−結合={100−(V)}×{100−(B)}/100(%)
【0081】
実施例、比較例で用いる各成分は以下のものを用いた。
【0082】
(イ)ゴム状重合体
1)エチレンとオクテン−1との共重合体(TPE−1)
特開平3−163088号公報に記載のメタロセン触媒を用いた方法により製造した。共重合体のエチレン/オクテン−1の組成比は、72/28(重量比)である(TPE−1と称する)。
2)エチレンとオクテン−1との共重合体(TPE−2)
通常のチーグラー触媒を用いた方法により製造した。共重合体のエチレン/オクテン−1の組成比は、72/28(重量比)である(TPE−2と称する)。
3)エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン(ENB)共重合体(TPE−3)
【0083】
特開平3−163088号公報に記載のメタロセン触媒を用いた方法により製造した。共重合体のエチレン/プロピレン/ENBの組成比は、72/24/4(重量比)である(TPE−3と称する)。
【0084】
(ロ)オレフィン系樹脂
ポリプロピレン(PP)
日本ポリオレフィン(株)製、MFRの異なったアイソタクチックホモポリプロピレン[MFR(1〜60g/分)(ASTM D 1238に準じ、230℃、2.16kg荷重)](PPと称する)。
【0085】
(ハ)架橋剤
1)架橋開始剤(C−1)
日本油脂社製、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(商品名パーヘキサ25B)(POX−1と称する)
2)架橋開始剤(C−1)
日本油脂社製、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(商品名パーヘキシン25B)(POX−2と称する)
3)多官能単量体(C−2)
和光純薬(株)製、ジビニルベンゼン(DVBと称する)
4)多官能単量体(C−2)
日本化成(株)製、トリアリルイソシアヌレート(TAICと称する)
5)多官能単量体(C−2)
大内新興化学(株)製、N,N’−mフェニレンビスマレイミド(PMIと称する)
6)単官能単量体(C−3)
旭化成工業(株)製、メタクリル酸メチル(MMAと称する)
【0086】
(ニ)パラフィン系オイル
出光興産(株)製、ダイアナプロセスオイル、PW−90(MOと称する)
【0087】
<実施例1〜5、比較例1〜3>
バレル中央部に注入口を有した11ブロックからなる二軸押出機(25mmφ、L/D=47)を用いて、(A)TPE−1/(B)PP/(C−1)POX−1/(C−2)TAIC/(D)MO=70/30/0.5/1.0/40(重量比)からなる組成物を以下の溶融条件を基準として、以下の方式で溶融混練を行った。スクリューとしては注入口の前後に混練部を有した2条スクリューを用いた。尚、ゴム状重合体の粒子径の制御は、PPのMFR、POX、TAICの量、スクリュー回転数、シリンダー設定温度の変更により行った。大粒子であり、かつ不均一粒子であるためには、(A)(B)の粘度比を高め、かつ凝集物が生成しない範囲で架橋速度を促進することが重要である。具体的には、高MFRのPPを用い、かつPOXまたはTAICを増量し、かつPOXの分解温度以上の、できるだけ高温反応を行うことにより達成される。
【0088】
(基準溶融条件)
1)溶融押出温度 250℃一定
2)吐出量Q=12kg/h
3)押出機 バレル内径D=25mm
4)押出機長さをL(mm)とした時のL/D=47
5)スクリュー回転数N=280rpm
【0089】
このようにして得られたエラストマー組成物から200℃にて射出成形により2mm厚のシートを作成し、各特性を評価した。その結果を表1に示した。
【0090】
【表1】
【0091】
表1によると、本発明の要件を満足する場合には、耐ブリード性、射出成形外観、感触、耐磨耗性、及び耐油性に優れていることが分かる。
【0092】
<実施例6〜15、比較例4,5>
実施例1において、(A)として、水素添加ゴム、TPE−2,TPE−3に変更すること以外、同様の実験を繰り返した。但し、粒子径が0.01〜3μmであるゴム粒子体積が全粒子体積中で10%以下となるように反応条件を制御した。その結果を表2に記載した。
【0093】
【表2】
【0094】
表2によると、(A)として、メタロセン触媒を用いて製造されたエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンからなるエチレン・α−オレフィン共重合体及び/または主鎖および側鎖に二重結合を有する単独重合体及び/またはランダム共重合体からなる不飽和ゴムの全二重結合の50%以上が水素添加された水素添加ゴムを用いた場合は、耐ブリード性、射出成形外観、感触、耐磨耗性、及び耐油性に優れていることが分かる。
【0095】
<実施例16〜21>
実施例1において、(C−1)(C−2)を表3記載の(C−1)(C−2)(C−3)に変更すること以外、同様の実験を繰り返した。但し、粒子径が0.01〜3μmであるゴム粒子体積が全粒子体積中で10%以下となるように反応条件を制御した。その結果を表3に示した。尚、(C−2)(C−3)を併用する場合は、両者を等量使用した。
【0096】
【表3】
【0097】
表3によると、(C−2)としてTAICを用いる場合は耐ブリード性が特に優れていることが分かる。
【0098】
【発明の効果】
本発明のゴム組成物は、耐ブリード性、外観、感触、耐磨耗性及び耐油性に優れている。
【0099】
本発明のゴム組成物は、自動車用部品、自動車用内装材、エアバッグカバー、機械部品、電気部品、ケーブル、ホース、ベルト、玩具、雑貨、日用品、建材、シート、フィルム等を始めとする用途に幅広く使用可能であり、産業界に果たす役割は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)架橋性ゴム状重合体の代表的な形状を示した図である。
Claims (1)
- (A)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンを含有するエチレン・α−オレフィン共重合体、主鎖および側鎖に二重結合を有する単独重合体及び/またはランダム共重合体からなる不飽和ゴムの全二重結合の50%以上が水素添加された水素添加ゴムから選ばれる一種以上の架橋性ゴム状重合体と、(B)オレフィン系樹脂と、(D)軟化剤とからなる、(C)架橋剤で架橋されたゴム組成物において、(A)架橋性ゴム状重合体の粒子径0.01〜3μmの粒子の全体積が全粒子体積中で10%以下であることを特徴とするゴム組成物。
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