JP2004149709A - 良外観熱可塑性エラストマー組成物の製法 - Google Patents

良外観熱可塑性エラストマー組成物の製法 Download PDF

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一 西原
Shoji Imai
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Abstract

【課題】機械的強度、耐油性及び外観に優れた熱可塑性エラストマー組成物の製法の提供。
【解決手段】(A)架橋性ゴム状重合体と(B)熱可塑性樹脂からなる架橋された熱可塑性エラストマー組成物の製法において、(A)と(B)とを溶融混合後、(C)架橋剤により架橋することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製法、とりわけ(C)架橋剤により架橋する際に、(C)を分割添加し、逐次架橋することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製法。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性エラストマー組成物の製法に関するものである。更に詳しくは、機械的強度、耐油性及び外観に優れた熱可塑性エラストマー組成物の製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ラジカル架橋性エラストマーとPP等のラジカル架橋性のない樹脂とをラジカル開始剤の存在下、押出機中で溶融混練させながら架橋する、いわゆる動的架橋による熱可塑性エラストマー組成物は、既に公知の技術であり、自動車部品等の用途に広く使用されている。
このようなゴム組成物として、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)またはメタロセン触媒により製造されたオレフィン系エラストマー(特開平8−120127号公報、特開平9−137001号公報)を用いる技術が知られている。しかしながら、機械的強度、耐油性を向上させるために架橋レベルを上げると、架橋ゴムに起因する巨大分散体が生成し、機械的強度と外観が著しく低下する。
【0003】
一方、動的架橋されたオレフィン系ゴムの物性を向上させる従来技術として、動的熱処理を複数回繰り返して行うことを特徴とする、オレフィンゴムとオレフィン系樹脂を架橋してなる熱可塑性ゴム組成物の製造法(特開昭58−145741号公報)、架橋剤である有機過酸化物を途中添加するゴム組成物の製造法(特開平9−95540号公報)、有機過酸化物とポリプロピレン系樹脂のマスターバッチを途中添加するゴム組成物の製造法(特開平6−170914号公報)、ゴム成分の全量及び架橋剤の一部量で混練架橋させた後に、樹脂成分を混練し、架橋剤の残量を混練架橋する製造方法(特開2002−194096号公報)が開示されているが、機械的強度、耐油性、及び外観のバランス特性が充分でなく、実用的使用に耐える熱可塑性エラストマー組成物が求められている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−120127号公報、
【特許文献2】
特開平9−137001号公報
【特許文献3】
特開昭58−145741号
【特許文献4】
特開平9−95540号公報
【特許文献5】
特開平6−170914号公報
【特許文献6】
特開2002−194096号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち機械的強度、耐油性及び外観に優れた熱可塑性エラストマー組成物の製法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は熱可塑性エラストマー組成物の改良を鋭意検討した結果、特定の製造法により、驚くべきことに機械的強度、耐油性及び外観が飛躍的に向上する事を見出した。
即ち本発明は、(A)架橋性ゴム状重合体と(B)熱可塑性樹脂からなる架橋された熱可塑性エラストマー組成物の製法において、(A)と(B)とを溶融混合後、(C)架橋剤により架橋することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製法、とりわけ(C)架橋剤により架橋する際に、(C)を分割添加し、逐次架橋することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関して詳しく述べる。
本発明の組成物は、(A)架橋性ゴム状重合体と(B)熱可塑性樹脂とからなる架橋された熱可塑性エラストマー組成物の製法である。
ここで、(A)と(B)とを溶融混合後、(C)架橋剤により架橋することが重要である。
【0008】
一般に機械的強度と耐油性を向上させるためには、架橋レベルを向上させなければならないが、その手段として架橋剤の増量で対処される。しかし、架橋剤の増量は急激な架橋反応を招き、(A)の凝集物が多く生成し、外観と機械的強度が著しく低下する。本発明者らは、上記製造法に加えて、さらに(C)架橋剤により架橋する際に、(C)を分割添加し、逐次架橋することにより、組成物中の粒子径100μm以上の(A)の分散体が、組成物の平板試験片の表面について測定したときに平均1個/mm以下になり、その結果機械的強度、耐油性及び外観が向上することを見出し、本発明を完成した。
以下に本発明の各成分について詳細に説明する。
【0009】
(A)成分
本発明において、(A)架橋性ゴム状重合体は、ガラス転移温度(Tg)が−10℃以下であることが好ましく、このようなゴム状重合体は、例えば、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム及びエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー三元共重合体ゴム(EPDM)、エチレン−オクテン共重合体ゴム等の架橋ゴムまたは非架橋ゴム、並びに上記ゴム成分を含有する熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
また(A)の100℃で測定したムーニー粘度(ML)は20〜150が好ましく、さらに好ましくは、50〜120である。
【0010】
本発明において(A)架橋性ゴム状重合体の中で好ましい共重合体の一つのエチレン・α−オレフィン共重合体であり、エチレンおよび炭素数が3〜20のα−オレフィンとの共重合体が更に好ましい。α−オレフィンとして、例えばプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1等が挙げられる。中でもヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1が好ましく、特に好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィンであり、とりわけプロピレン、ブテン−1、オクテン−1が最も好ましい。また(A)は必要に応じて、不飽和結合を有する単量体を含有することができ、例えば、ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィン、1,4−ヘキサジエン等の非共役ジオレフィン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン誘導体等の環状ジエン化合物、及びアセチレン類が好ましく、とりわけエチリデンノルボルネン(ENB)、ジシクロペンタジエン(DCP)が最も好ましい。
【0011】
本発明において(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、公知のメタロセン系触媒を用いて製造することが好ましい。
一般にはメタロセン系触媒は、チタン、ジルコニウム等のIV族金属のシクロペンタジエニル誘導体と助触媒からなり、重合触媒として高活性であるだけでなく、チーグラー系触媒と比較して、得られる重合体の分子量分布が狭く、共重合体中のコモノマーである炭素数3〜20のα−オレフィンの分布が均一である。本発明において用いられる(A)の一つのエチレン・α−オレフィン共重合体は、α−オレフィンの共重合比率が1〜60重量%であることが好ましく、更に好ましくは10〜50重量%、最も好ましくは20〜45重量%である。α−オレフィンの共重合比率が60重量%を越えると、組成物の硬度、引張強度等の低下が大きく、一方、1重量%未満では柔軟性、機械的強度が低下する。
【0012】
(A)の一つのエチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、0.8〜0.9g/cm の範囲にあることが好ましい。この範囲の密度を有するオレフィン系エラストマーを用いることにより、柔軟性に優れ、硬度の低いエラストマー組成物を得ることができる。
本発明にて用いられる(A)の一つのエチレン・α−オレフィン共重合体は、長鎖分岐を有していることが望ましい。長鎖分岐が存在することで、機械的強度を落とさずに、共重合されているα−オレフィンの比率(重量%)に比して、密度をより小さくすることが可能となり、低密度、低硬度、高強度のエラストマーを得ることができる。長鎖分岐を有するオレフィン系エラストマーとしては、USP5278272等に記載されている。
【0013】
また、(A)の一つのエチレン・α−オレフィン共重合体は、室温以上にDSCの融点ピークを有することが望ましい。融点ピークを有するとき、融点以下の温度範囲では形態が安定しており、取扱い性に優れ、ベタツキも少ない。
また、本発明にて用いられる(A)のメルトインデックスは、0.01〜100g/10分(190℃、2.16kg荷重(0.212Pa))の範囲のものが好ましく用いられ、更に好ましくは0.2〜10g/10分である。100g/10分を越えると、組成物の架橋性が不十分であり、また0.01g/10分より小さいと流動性が悪く、加工性が低下して望ましくない。
【0014】
本発明において、(A)のもう一つの好ましい上記水素添加共重合体は、少なくとも一種の共役ジエン系単量体の単独重合体ゴム、または共役ジエン系単量体と芳香族ビニル単量体とからなる共重合体ゴム、とりわけランダム共重合体の全二重結合の水素添加率が50%以上である水素添加ゴムであり、とりわけ主鎖および側鎖に二重結合を有する重合体及び/または共重合体からなる不飽和ゴムの全オレフィン性二重結合の50%以上が水素添加された水素添加ゴムであることが好ましい。
上記水素添加ゴムにおいて、必要に応じて、例えば、オレフィン系、メタクリル酸エステル系、アクリル酸エステル系、不飽和ニトリル系、塩化ビニル系単量体等の共役ジエンと共重合可能な単量体を共重合することができる。
【0015】
上記共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1、3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1、3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等を挙げることができ、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンが好ましく、1,3−ブタジエン、イソプレンが最も好ましい。
また前記芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン等を挙げることができ、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。上記芳香族単量体は一種または二種以上併用することができる。芳香族ビニル単量体含有量は、0〜80重量%が好ましく、更に好ましくは0〜50重量%、最も好ましくは0〜30重量%である。
【0016】
(A)成分としての水素添加共重合体において、水素添加前の共役ジエン単量体部分のビニル結合は、分子内に均一に存在していても、分子鎖に沿って増減あるいは減少してもよいし、またはビニル結合含有量の異なった、複数個のブロックを含んでいてもよい。そして、芳香族ビニル単量体または前記共役ジエン単量体と共重合可能な単量体を含む場合は、上記共役ジエン単量体部分の中でランダムに結合することが好ましいが、ブロック状の芳香族ビニル単量体またはその他の単量体を含んでもよい。ブロック状の芳香族ビニル重合体の含有率は、全芳香族ビニル単量体中の20重量%以下が好ましく、更に好ましくは10重量%以下である。
【0017】
上記水素添加ゴム中の全オレフィン性二重結合は、50%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上が水素添加され、そして主鎖の残存二重結合が5%以下、側鎖の残存二重結合が5%以下であることが好ましい。このようなゴムの具体例としては、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等のジエン系ゴムを部分的または完全に水素添加したゴム状重合体を挙げることができ、特に水素添加ブタジエン系または水素添加イソプレン系ゴムが好ましい。
【0018】
このような水素添加ゴムは、上述のゴムを公知の水素添加方法で部分水素添加することにより得られる。例えば、F.L.Ramp,etal,J.Amer.Chem.Soc.,83,4672(1961)記載のトリイソブチルボラン触媒を用いて水素添加する方法、Hung Yu Chen,J.Polym.Sci.Polym.Letter Ed.,15,271(1977)記載のトルエンスルフォニルヒドラジドを用いて水素添加する方法、あるいは特公昭42−8704号公報に記載の有機コバルト−有機アルミニウム系触媒あるいは有機ニッケル−有機アルミニウム系触媒を用いて水素添加する方法等を挙げることができる。ここで、特に好ましい水素添加の方法は、低温、低圧の温和な条件下で水素添加が可能な触媒を用いる特開昭59−133203号、特開昭60−220147号公報あるいは不活性有機溶媒中にて、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム化合物と、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子またはセシウム原子を有する炭化水素化合物とからなる触媒の存在下に水素と接触させる特開昭62−207303号公報に示される方法である。
【0019】
また、水素添加ゴムの25℃における5重量%スチレン溶液粘度(5%SV)は、0.020〜0.30(Pa・sec)の範囲にあることが好ましい。特に好ましい範囲は0.025〜0.15(Pa・sec)である。
そして、水素添加ゴムは結晶性を有することが好ましく、その結晶性の指標である吸熱ピーク熱量の制御は、テトラヒドロフラン等の極性化合物の添加または重合温度の制御により行う。吸熱ピーク熱量の低下は、極性化合物を増量するか、または重合温度を低下させて、1,2−ビニル結合を増大させることにより達成される。
本発明にて用いられる(A)は、複数の種類のものを混合して用いても良い。そのような場合には、加工性のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0020】
(B)成分
本発明において(B)熱可塑性樹脂は、(A)と分散し得るものであればとくに制限はない。たとえば、ポリスチレン系、ポリフェニレンエーテル系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリカーボネート系、ポリメタクリレート系等の単独もしくは二種以上を混合したものを使用することができる。特に熱可塑性樹脂としてプロピレン系樹脂等のオレフィン系樹脂が好ましい。
【0021】
本発明で最も好適に使用されるプロピレン系樹脂を具体的に示すと、ホモのアイソタクチックポリプロピレン、プロピレンとエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1等の他のα−オレフィンとのアイソタクチック共重合樹脂(ブロック、ランダムを含む)等が挙げられる。
本発明において、(B)の中でも、(B−1)架橋型オレフィン系樹脂であるエチレンとプロピレンとのランダム共重合樹脂等のプロピレン系ランダム共重合樹脂単独または、(B−1)と(B−2)分解型オレフィン系樹脂であるプロピレン系ブロック共重合樹脂またはホモポリプロピレン系樹脂との組み合わせが好ましい。このような架橋型オレフィン系樹脂と分解型オレフィン系樹脂の二種のオレフィン系樹脂を組み合わせることにより、外観と機械的強度が更に向上する。
【0022】
(B−1)として、例えばエチレンとプロピレンのランダム共重合樹脂を挙げることができ、エチレン成分がポリマー主鎖中に存在する場合は、それが架橋反応の架橋点となり、架橋型オレフィン系樹脂の特性を示す。
(B−2)はα−オレフィンが主成分であり、ポリマー主鎖中にエチレン単位を含まないことが好ましい。但し、プロピレン系ブロック共重合樹脂のようにエチレン−αオレフィン共重合体が分散相として存在する場合は、分解型オレフィン系樹脂の特性を示す。
(B)は複数個の(B−1)、(B−2)成分の組み合わせでも良い。
【0023】
(B−1)の中で最も好ましいプロピレンを主体としたα−オレフィンとのランダム共重合樹脂は、高圧法、スラリー法、気相法、塊状法、溶液法等で製造することができ、重合触媒としてZiegler−Natta触媒、シングルサイト、メタロセン触媒が好ましい。特に狭い組成分布、分子量分布が要求される場合には、メタロセン触媒を用いたランダム共重合法が好ましい。
ランダム共重合樹脂の具体的製造法は、欧州特許0969043A1または米国特許5198401に開示されており、液状プロピレンを攪拌機付き反応器に導入した後に、触媒をノズルから気相または液相に添加する。次いで、エチレンガスまたはα−オレフィンを反応器の気相または液相に導入し、反応温度、反応圧力をプロピレンが還流する条件に制御する。重合速度は触媒濃度、反応温度で制御し、共重合組成はエチレンまたはα−オレフィンの添加量により制御する。
【0024】
また、本発明にて好適に用いられるオレフィン系樹脂のメルトインデックスは、0.1〜100g/10分(230℃、2.16kg荷重(0.212MPa))の範囲のものが好ましく用いられる。100g/10分を越えると、熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性、機械的強度が不十分であり、また0.1g/10分より小さいと流動性が悪く、成形加工性が低下して望ましくない。
本発明において、(A)と(B)からなるゴム組成物100重量部中の(A)は、1〜99重量%が好ましく、更に好ましくは10〜90重量%、最も好ましくは20〜80重量%である。(A)成分が1重量%未満であると、組成物の機械的強度、柔軟性が小さく、(A)成分が99重量%を超えると、組成物の熱可塑性が小さくなり、好ましくない。
【0025】
(C)成分
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、(C)架橋剤で架橋されることが好ましい。(C)は、(C−1)架橋開始剤を必須成分とし、必要に応じて(C−2)多官能単量体、(C−3)単官能単量体を含有する。上記(C)は、(A)と(B)100重量部に対し0.001〜10重量部、好ましくは0.005〜3重量部の量で用いられる。0.001重量部未満では架橋が不十分であり、10重量部を越えると組成物の外観、機械的強度が低下する傾向にある。
【0026】
ここで、(C−1)架橋開始剤は、有機過酸化物、有機アゾ化合物等のラジカル開始剤等が挙げられる。その具体的な例として、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドおよびm−トリオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、およびクミルパーオキシオクテート等のパーオキシエステル類;ならびに、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイドおよび1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類を挙げることができる。
【0027】
これらの化合物の中では、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が好ましい。
上記(C−1)は、(C)成分中で好ましくは1〜80重量%、更に好ましくは10〜50重量%の量が用いられる。1重量%未満では架橋が不十分であり、80重量%を越えると機械的強度が低下する。
【0028】
本発明において、(C)架橋剤の一つの(C−2)多官能単量体は、官能基としてラジカル重合性の官能基が好ましく、とりわけビニル基がこのましい。官能基の数は2以上であるが、(C−3)との組み合わせで特に3個以上の官能基を有する場合には有効である。具体例としては、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ダイアセトンジアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジイソプロペニルベンゼン、P−キノンジオキシム、P,P’−ジベンゾイルキノンジオキシム、フェニルマレイミド、アリルメタクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、1,2−ポリブタジエン等が好ましく用いられる。特にトリアリルイソシアヌレートが好ましい。これらの多官能単量体は複数のものを併用して用いてもよい。
【0029】
上記(C−2)は、(C)成分中で好ましくは1〜80重量%、更に好ましくは10〜50重量%の量が用いられる。1重量%未満では架橋が不十分であり、80重量%を越えると機械的強度が低下する。
本発明において用いられる前記(C−3)は、架橋反応速度を制御するために加えるビニル系単量体であり、ラジカル重合性のビニル系単量体が好ましく、芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体、アクリル酸エステル単量体、メタクリル酸エステル単量体等のエステル系単量体、アクリル酸単量体、メタクリル酸単量体等の不飽和カルボン酸単量体、無水マレイン酸単量体等の不飽和カルボン酸無水物、N−置換マレイミド単量体等を挙げることができる。
上記(C−3)は、(C)成分中で好ましくは1〜80重量%、更に好ましくは10〜50重量%の量が用いられる。1重量%未満では架橋が不十分であり、80重量%を越えると機械的強度が低下する。
【0030】
(D)成分
上記(D)は、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系などの炭化水素からなるプロセスオイルが好ましい。とりわけ、パラフィン系炭化水素主体またはゴムとの相容性の観点からナフテン系炭化水素主体のプロセスオイルが好ましい。熱・光安定性の観点から、プロセスオイル中の芳香族系炭化水素の含有量については、ASTM D2140−97規定の炭素数比率で10%以下であることが好ましく、更に好ましくは5%以下、最も好ましくは1%以下である。
これらの(D)成分は組成物の硬度、柔軟性の調整用に、(A)と(B)100重量部に対して、5〜500重量部、好ましくは10〜150重量部用いる。5重量部未満では柔軟性、加工性が不足し、500重量部を越えるとオイルのブリードが顕著となり望ましくない。
【0031】
本発明において、耐磨耗性が要求される場合は、必要に応じて、JIS−K2410規定の25℃における動粘度が5×10−3(m/sec)以上であるポリオルガノシロキサンを添加することができる。
上記ポリオルガノシロキサンは、粘調な水飴状からガム状の様態であり、アルキル、ビニル及び/またはアリール基置換シロキサン単位を含むポリマーであれば特に制約されない。その中でもポリジメチルシロキサンが最も好ましい。
本発明に用いられるポリオルガノシロキサンの動粘度(25℃)は、5×10−3(m/sec)以上であり、更に好ましくは、0.01(m/sec)以上10(m/sec)未満、最も好ましくは0.05(m/sec)以上2(m/sec)未満である。
【0032】
本発明において、ポリオルガノシロキサンの添加量は、(A)と(B)との合計100重量部に対して、0.01〜20重量部であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜10重量部、最も好ましくは0.5〜5重量部である。
また、本発明の製法で得られる組成物には、その特徴を損ねない程度に無機フィラーおよび可塑剤を含有することが可能である。ここで用いる無機フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、カーボンブラック、ガラス繊維、酸化チタン、クレー、マイカ、タルク、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。また、可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート(DOP)等のフタル酸エステル等が挙げられる。また、その他の添加剤、例えば、有機・無機顔料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、シリコンオイル、アンチブロッキング剤、発泡剤、帯電防止剤、抗菌剤等も好適に使用される。
【0033】
本発明の組成物の製造には、通常の樹脂組成物、エラストマー組成物の製造に用いられるバンバリーミキサー、ニーダー、単軸押出機、2軸押出機等の一般的な方法を採用することが可能である。とりわけ効率的に動的架橋を達成するためには2軸押出機が好ましく用いられる。2軸押出機は、(A)と(B)とを均一かつ微細に分散させ、さらに他の成分を添加させて、架橋反応を生じせしめ、本発明の組成物を連続的に製造するのに、より適している。
本発明の組成物の製造法は(A)と(B)とを溶融混合後、(C)により架橋する。
【0034】
また(C)架橋剤により架橋する際に、(C)を分割添加し、逐次架橋することが好ましい。すなわち、(A)と(B)とをメインフィード部から添加後、押出機の前段で溶融混練して、(C)架橋剤の一部をサイドフィード部から添加後、溶融混練して動的架橋を行い、更に押出機の途中から(C)の残りを添加後、溶融混練して動的架橋を完結する。ここで(C)の分割回数は多い方が急激な架橋が抑制されるので好ましいが、(C)の初期一括添加に比較して、二分割でも外観、流動性、機械的強度及び品質安定性が飛躍的に向上する。例えば(A)と(B)の溶融混合後、(C)の一部をサイドフィード部から添加し、溶融混練しつつ押出機の途中から、(C)の残りを複数個のサイドフィード供給部から分割してフィードする。ここで、(A)と(B)との溶融混合の際に、(C)の中でも架橋反応にそれ自体不活性または活性の弱い(C−2)と(C−3)を必要に応じて同時に溶融混合することができる。また、(C)をフィードする方法として、(C)を直接フィードしても良いが、(D)軟化剤に(C)を溶解して液体フィードすることが好ましい。また(C)を非溶融性のフィラーに含浸させてフィードしても良い。そして、必要に応じて、(A)及びまたは(B)を分割してフィードしても良い。
【0035】
ここで、(C)を分割添加し、逐次架橋する際に、第一回目の(C)の添加により、架橋度5〜45%まで架橋し、更に(C)を追加添加することにより架橋度50%以上に架橋することが好ましい。
本発明の組成物は二軸押出機で製造することが好ましく、例えば、二軸押出機のシリンダー内径(D)に対するスクリュー長さ(L)の比率(L/D)が20〜100であり、上記ニ軸押出機が、先端部分から距離を異にするメインフィード部と1箇所以上のサイドフィード部を有し、かつメインフィード部から順にゾーンI〜IIIの3ゾーンからなり、各ゾーン長は0.05〜0.5Lであり、更にゾーンIでメインフィーダーから添加された(A)と(B)と、必要に応じて(C−2)及び/または(C−3)を溶融混合し、次いでゾーンIIでサイドフィーダーから添加された(C)の一部を溶融混合し、更にゾーンIIIでサイドフィーダーから添加された(C)の残りの部分を溶融混合する。
【0036】
本発明において、(D)軟化剤及び/または固形状物を添加する場合は、(C)を添加した後に添加し、溶融混合することが好ましく、ゾーンI〜IIIの後に、少なくとも1ゾーンを有し、各ゾーン長は0〜0.4Lであるニ軸押出機を用い、該ゾーンで(A)、(B)、およびその他の23℃で固形状の物から選ばれる少なくとも1種を溶融混合し、該ゾーンまたは他のゾーンで(D)を溶融混合し、さらに揮発分を除去する。例えば、ゾーンIV〜VIから選ばれる少なくとも1ゾーンを有し、各ゾーン長は0〜0.4Lであるニ軸押出機を用い、ゾーンIVで(A)、(B)、およびその他の23℃で固形状の物から選ばれる少なくとも1種を溶融混合し、ゾーンVで(D)を溶融混合し、ゾ−ンVIで揮発分を除去する。
【0037】
また本発明において用いられる製造装置の一つの二軸押出機は、二軸同方向回転押出機でも、二軸異方向回転押出機でもよい。また、スクリューの噛み合わせについては、非噛み合わせ型、部分噛み合わせ型、完全噛み合わせ型があり、いずれの型でもよい。低いせん断力をかけて低温で均一な樹脂を得る場合には、異方向回転・部分噛み合わせ型スクリューが好ましい。やや大きい混練を要する場合には、同方向回転・完全噛み合わせ型スクリューが好ましい。さらに大きい混練を要する場合には、同方向回転・完全噛み合わせ型スクリューが好ましい。
【0038】
本発明において、特に外観と機械的強度の向上のためには、(A)と(B)成分からなる組成物のモルフォロジーも重要であり、(A)の重量平均粒子径が0.01〜3μmであり、かつ粒子長径d1と粒子短径d2との比d1/d2の数平均が1〜3であることが好ましい。(A)成分が独立粒子として存在し、かつ(B)成分が連続相となることが必要であり、そのためには、例えば、高せん断力下で、かつ架橋速度を抑制することが重要である。具体的には、架橋開始剤または架橋助剤を減量し、かつ架橋開始剤の分解温度以上の、できるだけ低温・長時間反応を行うことにより達成される。また架橋助剤として多官能単量体と単官能単量体の併用によっても達成することができる。架橋開始剤、架橋助剤の過度の添加、または、過度に高活性な架橋開始剤、架橋助剤、または高温反応条件は、ゴム状重合体の凝集が発生し、本願の要件を満足しない。そして、(A)に前もって少量(D)軟化剤を吸収させながら、架橋開始剤、架橋助剤を(A)に配合する事により、架橋反応が穏和に進行するために、小粒子で均一粒子を生成させることができる。
【0039】
優れた機械的強度の向上を達成する製造方法として、以下の混練度を満足することがより好ましい。
M=(π/2)(L/D)D(N/Q)
10×10≦M≦1000×10
但し、L:原料添加部を基点としてダイ方向の押出機長(mm)、D:押出機バレル内径(mm)、Q:吐出量(kg/h)、N:スクリュー回転数(rpm)
混練度M=(π/2)(L/D)D(N/Q)が10×10≦M≦1000×10であることが重要である。Mが10×10未満ではゴム粒子が肥大化、凝集するために外観が低下し、一方Mが1000×10を越えると過度のせん断力のために、機械的強度が低下する。
【0040】
そして、更に良好な機械的強度を達成するためには、以下の関係式の溶融温度を満足することが好ましい。即ち、溶融温度T(℃)で、まず溶融混練し、次いで溶融温度T(℃)で溶融混練し、とりわけ原料添加口を基点としてダイ方向に長さLを有する溶融押出機において、原料添加口から0.1L〜0.5Lの長さの押出機ゾーンを溶融温度T(℃)で、まず溶融混練し、次いでその後の押出機ゾーンを溶融温度T(℃)で溶融混練する。
【0041】
ここで、特にTが150〜250℃であることが好ましく、溶融押出機の各ゾーンのTまたはTは均一温度であっても良いし、または温度勾配を有していても良い。
:(C−1)の1分間半減期温度(℃)
−100<T<T+40
+1<T<T+200
こうして得られた組成物は任意の成形方法で各種成型品の製造が可能である。射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、発泡成形等が好ましく用いられる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、これら実施例および比較例において、各種物性の評価に用いた試験法は以下の通りである。
1.組成物中の(A)の分散体数
組成物1gを圧縮成形機で厚さ約100μmの平板試験片を作製し、その平板試験片の中央部から一辺が3cmの正方形を切り出し、その正方形全体について、デジタルHDマイクロスコープ[Keyence(株)製、VH−7000]の反射型で真上から全視野の写真を撮影し、写真に写っている大きさが100μm以上の分散体数の1mmあたりの数を数える。このようにして得られた数値を、組成物中に分散した大きさ100μm以上の分散体数/mmとする。
尚、各分散体の面積Sを求め、Sを用いて、(4S/π)0.5を各分散体の粒子径とする。
【0043】
2.(A)の架橋度
前もって組成物中の(A)の重量Wを測定した後に、組成物をキシレン200ml中で20時間リフラックスさせ、溶液をフィルターで濾過し、得られた膨潤組成物を100℃で真空乾燥後、重量(W1)を測定する。このようにして、架橋度は以下のように算出する。
架橋度=(W/W)×100 (%)
3.(A)の水素添加率(%)
NMR法で通常の方法で測定した。
4.引張破断強度[MPa]
JIS K6251に準じ、23℃にて評価した。
【0044】
5.外観
射出成形機を用いて、200℃で2mm厚さのシートを作成する。
シート肌から以下の基準で外観評価を行った。
◎ 極めて良好
○ 良好
△ 良好であるが、ややざらつく
× 全体的にざらつく。光沢無し
6.耐油性
前もって2mm厚さの組成物シートの重量Wを測定した後に、組成物シートを80℃の流動パラフィン中で20時間静置した後に、組成物シートの重量(W)を測定し、以下のように重量変化率を算出する。ここで、数値が小さいほど耐油性が優れていることを示す。
重量変化率=(W−W)/W×100 (%)
【0045】
実施例、比較例で用いる各成分は以下のものを用いる。
(イ)架橋性ゴム状重合体
1)水素添加共役ジエン系ゴムの製造
内容積10リッターの攪拌機付、ジャケット付きオートクレーブを反応器として用いて、ブタジエン/n−ヘキサン溶液(ブタジエン濃度20重量%)を20リッター/hrの速度で、n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(濃度5重量%)を70ミリリッター/hrで導入し、重合温度110℃でブタジエンの連続重合を実施した。得られた活性重合体をメタノールで失活させ、別の内容積10リッターの攪拌機付、ジャッケット付きの反応器に重合体溶液8リッターを移し、温度60℃にて水素添加触媒としてジ−p−トリルビス(1−シクロペンタジエニル)チタニウム/シクロヘキサン溶液(濃度1ミリリッター/リッター)250ミリリッターと、n−ブチルリチウム溶液(濃度5ミリリッター/リッター)50ミリリッターとを、0℃、2kg/cmの水素圧下で混合したものを添加し、水素分圧3kg/cmにて30分間反応させた。得られた水素添加重合体溶液は、酸化防止剤として2,6−ジタ−シャルブチルヒドロキシトルエンを重合体100重量部当たり、0.5重量部添加して、溶剤を除去した。この際にブタジエン重合体を水素添加反応条件(水素添加圧力、水素添加温度、時間及び触媒量)を変えて水素添加して水素添加重合体を得た。その結果を表1、2に記載した。また結晶化ピーク熱量の制御は、極性化合物テトラヒドロフラン(THF)の添加または重合温度の制御により行う。そして、水素添加スチレン−ブタジエン共重合体は、前記製造法において、スチレンを更に添加し同様に重合を行うことにより得られる。その結果を表2に記載する。なお水素添加ゴムの100℃で測定したムーニー粘度は100である。
【0046】
2)エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン(ENB)共重合体(TPE−1)
特開平3−163088号公報に記載のメタロセン触媒を用いた方法により製造する。共重合体のエチレン/プロピレン/ENBの組成比は、72/24/4(重量比)である。100℃で測定したムーニー粘度は110である。(TPE−1と称する)
3)エチレンとオクテン−1との共重合体(TPE−2)
特開平3−163088号公報に記載のメタロセン触媒を用いた方法により製造する。共重合体のエチレン/オクテン−1の組成比は、72/28(重量比)である。100℃で測定したムーニー粘度は100である。(TPE−2と称する)
【0047】
4)エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン(ENB)共重合体(TPE−3)
通常のチーグラー触媒を用いた方法により製造する。共重合体のエチレン/プロピレン/ENBの組成比は、72/24/4(重量比)である。100℃で測定したムーニー粘度は105である。(TPE−3と称する)
5)エチレンとオクテン−1との共重合体(TPE−4)
通常のチーグラー触媒を用いた方法により製造する。共重合体のエチレン/オクテン−1の組成比は、72/28(重量比)である。100℃で測定したムーニー粘度は95である。(TPE−4と称する)
【0048】
(ハ)熱可塑性樹脂
オレフィン系樹脂:ポリプロピレン
日本ポリケム(株)製、メルトインデックス5g/10分(230℃、2.16kg荷重)のアイソタクチックポリプロピレン(PPと称する)
(ニ)パラフィン系オイル
出光興産(株)製、ダイアナプロセスオイル PW−90(MOと称する)
(ホ)架橋剤
1)架橋開始剤(C−1)
日本油脂社製、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン( 商品名パーヘキサ25B)(POXと称する)
2)多官能単量体(C−2)
日本化成(株)製、トリアリルイソシアヌレート(TAICと称する)
【0049】
実施例1〜7、および比較例1
図1に記載の6ゾーンからなる二軸押出機(58mmφ、L/D=62)を用いて、表1記載の(A)/(B)PP/(C−1)POX/(C−2)TAIC/(D)MO=70/30/1/2/45(重量比)からなる組成物を200℃の温度条件で製造する。スクリューとしては注入口の前後に混練部を有した2条スクリューを用いる。
このようにして得られた組成物から射出成形機を用いて、200℃で2mm厚のシートを作製し、各種評価を行なう。
その結果を表1に示す。
【0050】
実施例8〜15
実施例1において、TPE−1を表2の(A)成分に変更すること以外、実施例1と同様の実験を繰り返す。
その結果を表2に示す。
【0051】
【表1】
Figure 2004149709
【0052】
【表2】
Figure 2004149709
【0053】
【発明の効果】
本発明の製造法により得られた熱可塑性エラストマー組成物は、優れた機械的強度、耐油性及び外観を有している。
本発明による組成物は、自動車用部品、自動車用内装材、エアバッグカバー、機械部品、電気部品、ケーブル、ホース、ベルト、玩具、雑貨、日用品、建材、シート、フィルム等を始めとする用途に幅広く使用可能であり、産業界に果たす役割は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】代表的なニ軸押出機を用いた押出プロセスを示した図であり、比較例1の添加成分AにCを含浸して同時にBをドライブレンド後、架橋反応を行うプロセスである。
【図2】代表的なニ軸押出機を用いた押出プロセスを示した図であり、実施例1のA/Bを溶融後、Cを分割添加して架橋反応を行うプロセスである。

Claims (10)

  1. (A)架橋性ゴム状重合体と(B)熱可塑性樹脂からなる架橋された熱可塑性エラストマー組成物の製法において、(A)と(B)とを溶融混合後、(C)架橋剤により架橋することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製法。
  2. (A)がエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンを含有するエチレン・α−オレフィン共重合体、及び/または少なくとも一種の共役ジエン系単量体の単独重合体ゴム、または共重合体ゴムの全オレフィン性二重結合の水素添加率が50%以上である水素添加ゴムである請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製法。
  3. (A)のエチレン・α−オレフィン共重合体が、メタロセン触媒を用いて製造されている請求項2に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製法。
  4. (B)がオレフィン系樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物の製法。
  5. (C−1)架橋開始剤を必須成分とし、必要に応じて(C−2)多官能単量体、及び/または(C−3)単官能単量体を含有する(C)架橋剤で架橋することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物の製法。
  6. (C)架橋剤により架橋する際に、(C)を分割添加し、逐次架橋することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物の製法。
  7. (C)を分割添加し、逐次架橋する際に、第一回目の(C)の添加により架橋度5〜45%に架橋し、更に(C)を追加添加することにより架橋度50%以上に架橋することを特徴とする請求項6に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製法。
  8. 二軸押出機を用いた熱可塑性エラストマー組成物の製造方法において、二軸押出機のシリンダー内径Dに対するスクリュー長さLの比率(L/D)が20〜100であり、上記ニ軸押出機が、先端部分から距離を異にするメインフィード部と1箇所以上のサイドフィード部を有し、かつメインフィード部から順にゾーンI〜IIIの3ゾーンからなり、各ゾーン長は0.05〜0.5Lであり、更にゾーンIでメインフィーダーから添加された(A)と(B)と、必要に応じて(C−2)及び/または(C−3)を溶融混合し、次いでゾーンIIでサイドフィーダーから添加された(C)の一部を溶融混合し、更にゾーンIIIでサイドフィーダーから添加された(C)の残りの部分を溶融混合することを特徴とする請求項7に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  9. (C)を添加した後に(D)軟化剤を添加し、溶融混合することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物の製法。
  10. 上記ニ軸押出機は、ゾーンI〜IIIの後に、少なくとも1ゾーンを有し、各ゾーン長は0〜0.4Lであり、該ゾーンで(A)、(B)、およびその他の23℃で固形状の物から選ばれる少なくとも1種を溶融混合し、該ゾーンまたは他のゾーンで(D)を溶融混合し、さらに揮発分を除去することを特徴とする請求項9に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006176545A (ja) * 2004-12-20 2006-07-06 Nishikawa Rubber Co Ltd オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物
JP2009510250A (ja) * 2005-10-07 2009-03-12 アドバンスド エラストマー システムズ,エル.ピー. 過酸化物で硬化された熱可塑性加硫ゴムとその製造方法
US7863378B2 (en) 2006-08-31 2011-01-04 Asahi Kasei Chemicals Corporation Thermoplastic elastomer composition and modifier composition using the same
JP2011088956A (ja) * 2009-10-20 2011-05-06 Tohpe Corp アクリルエラストマー組成物およびその加硫物

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