JP2006299147A - 架橋剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた連続架橋生産性と高いゴム特性を重合体に付与可能な架橋剤、およびそれを用いた熱可塑性架橋ゴム組成物を提供する。
【解決手段】液状化剤が含有していてもよい、0℃で液状であり、トリアリルイソシアヌレートを主体とする架橋剤を特徴とし、また架橋性ゴム状重合体と熱可塑性樹脂とからなる架橋された熱可塑性架橋ゴム組成物であって、該架橋剤を用いて架橋されていることを特徴とする熱可塑性架橋ゴム組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、架橋剤に関するものである。更に詳しくは、溶液均一性が高いために、優れた連続架橋生産性と高いゴム特性を重合体に付与可能な架橋剤に関するものである。
熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー等の熱可塑性重合体または熱硬化性重合体は、優れた材料特性を有しているために、自動車材料、家電材料、OA機器材料、包装材料、建築材料を始めとする多岐の分野で使用されている。しかしながら、最近のユーザーの高度な品質または機能性要求に対して、重合体の架橋が行われている。
例えば、ラジカル架橋性オレフィン系エラストマー等のゴム状重合体とPP等のラジカル架橋性のないオレフィン系樹脂とをラジカル開始剤の存在下、押出機中で溶融混練させながら架橋する、いわゆる動的架橋による熱可塑性エラストマー組成物は、既に公知の技術であり、自動車部品等の用途に広く使用されている。
このようなオレフィン系エラストマーとして、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)またはメタロセン触媒により製造されたオレフィン系エラストマー(例えば、特許文献1および2参照。)が知られている。上記公報の架橋技術として、過酸化物等のラジカル開始剤と多官能単量体との組み合わせが開示されている。多官能単量体としてニ官能より三官能単量体の方が架橋密度が高まるために、トリアリツイソシアヌレート(TAICと称する)が使用されることがある。しかし、TAICの融点は25℃近傍にあるために、室温で溶融加工する場合には冬場、夏場または室内温度の条件で固体が析出する場合があり、生産性を著しく低下させる問題点を有している。そのために連続生産性に優れた高い架橋効率の架橋剤が求められている。
特開平8−120127号公報 特開平9−137001号公報
本発明は、このような現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち均一性が高いために、優れた連続架橋生産性と高いゴム特性を重合体に付与可能な架橋剤を提供することを目的とするものである。
本発明者は、架橋技術を鋭意検討した結果、特定の架橋剤を重合体に対して、用いることにより、驚くべきことに重合体に対して連続架橋生産性とゴム特性が飛躍的に向上せしめることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、0℃で液状である、トリアリルイソシアヌレートを主体とする架橋剤を提供するものである。
本発明のトリアリルイソシアヌレートを主体とする架橋剤は、重合体に対して連続架橋生産性と高いゴム特性の付与効果に優れている。
以下、本発明に関して具体的に説明する。
本発明の架橋剤は、トリアリルイソシアヌレートを主体とし、0℃で液状である。
ここで、本発明の架橋剤はトリアリルイソシアヌレート(以降、TAICと略することもある)を主体とすることが重要である。TAICは3官能架橋剤であるために、重合体の架橋密度を極めて高くすることができるために優れたゴム特性が発現する。
また、TAICの融点は25℃近傍にあるために、室温で溶融加工する場合には冬場、夏場または室内温度の条件で固体が析出する場合があり、生産性を著しく低下させる。そこで、TAICに相容性があり、TAICの結晶化を阻害する化合物を添加することにより、0℃でも液状化が可能になることを見出し、本発明を完成した。
以下に本発明の各成分について詳細に説明する。
(A)成分
本発明の架橋剤(A)は、0℃で液状である、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)を主体とする。
0℃で液状であるとは、容器に入った溶液を傾けると流れる場合をいい、例えば平均穴直径が1mmのメッシュを90%以上通過する。TAICを主体とする架橋剤を0℃で液状化するための方法については制限されないが、例えばTAIC以外の架橋剤、溶剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、着色剤、発泡剤、滑剤、香料、発煙抑制剤、粘着付与剤、防腐剤、保温剤、耐衝撃性向上剤、忌避剤、湿潤剤、界面活性剤、乳化剤、不安定化剤、凝固剤、消泡剤、凍結防止剤、クリーミング剤、増粘剤、感熱剤、起泡剤等から選ばれた少なくとも一種の液状化剤を含有することが好ましい。
上記TAIC以外の架橋剤は、(A−1)架橋開始剤、(A−2)多官能単量体、(A−3)単官能単量体等である。
ここで、(A−1)架橋開始剤は、有機過酸化物、有機アゾ化合物等のラジカル開始剤等が挙げられ、その具体的な例として、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類が挙げられる。
また、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドおよびm−トリオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類が挙げられる。
さらに、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、およびクミルパーオキシオクテート等のパーオキシエステル類;ならびに、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイドおよび1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類を挙げることができる。
これらの化合物の中では、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が好ましい。
上記TAIC以外の架橋剤である(A−2)多官能単量体は、官能基としてラジカル重合性の官能基が好ましく、とりわけビニル基が好ましい。官能基の数は2以上であるが、(A−3)との組み合わせで特に3個以上の官能基を有する場合には有効である。具体例としては、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、ダイアセトンジアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジイソプロペニルベンゼン、P−キノンジオキシム、P,P’−ジベンゾイルキノンジオキシム、フェニルマレイミド、アリルメタクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、1,2−ポリブタジエン等である。
本発明において必要に応じて用いられる前記(A−3)は、ラジカル重合性のビニル系単量体が好ましく、芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体、アクリル酸エステル単量体、メタクリル酸エステル単量体等のエステル系単量体、アクリル酸単量体、メタクリル酸単量体等の不飽和カルボン酸単量体、無水マレイン酸単量体等の不飽和カルボン酸無水物、N−置換マレイミド単量体等を挙げることができる。
本発明の架橋剤(A)の液状化剤としての溶剤は、脂肪族炭化水素は、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、ポリオレフィンワックス、合成パラフィン、及びこれらの部分酸化物、あるいはフッ化物、塩化物等である。
前記高級脂肪酸は、飽和脂肪酸、及びリシノ−ル酸、リシンベライジン酸、9−オキシ12オクタデセン酸等の不飽和脂肪酸等である。
前記高級脂肪酸アミドは、フェニルステアリン酸アミド、メチロ−ルステアリン酸アミド、メチロ−ルベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸のモノアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノ−ルアミド、ラウリン酸ジエタノ−ルアミド、及びヤシ油脂肪酸ジエタノ−ルアミド、オレイン酸ジエタノ−ルアミド等のN,N’−2置換モノアミド等であり、さらに、メチレンビス(12−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビス(12−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス(12−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド、及びm−キシリレンビス(12−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の芳香族系ビスアミドである。
前記相溶化剤としての高級脂肪族アルコ−ルは、ステアリルアルコ−ルやセチルアルコ−ル等の1価のアルコール、ソルビトールやマンニトール等の多価アルコール、及びポリオキシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエチレンボクタデシルアミン等であり、さらに、ポリオキシエチレンアリル化エーテル等のポリアルキレンエーテルユニットを有するアリル化エーテル、及びポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリドデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエピクロルヒドリンエーテル、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレンエチレングリコール、ポリオキシプロピレンビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールエーテル等のポリアルキレンエーテルユニットを有する2価アルコールである。
本発明の(A)の液状化剤としての可塑剤の例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル等のフタル酸エステル、フタル酸ブチルベンジルエステル等のフタル酸混基エステル、コハク酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル等の脂肪族2塩基酸エステル、ジエチレングリコールジベンゾエート等のグリコールエステル、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル等の脂肪族酸エステル、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ可塑剤であり、その他、トリメリット酸トリオクチル、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル、塩素化パラフィン、ポリプロピレンアジペート、ポリエチレンセバケート、トリアセチン、トリブチリン、トルエンスルホンアミド、アルキルベンゼン、ビフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ等を挙げることができる。
本発明の架橋剤(A)に用いられる液状化剤は、多官能単量体が好ましく、特にTAICと相容性の高いジビニルベンゼンが好ましい。液状化剤との量については、(A)中で1〜50重量%であることが好ましく、更に好ましくは1〜30重量%、最も好ましくは5〜20重量%である。
本発明の架橋剤(A)は、必要に応じて、(A)の液状化剤として用いられた架橋開始剤、多官能単量体、単官能単量体を更に(A)と併用することができる。特に架橋開始剤との併用は架橋効率向上のために好ましい。
本発明の架橋剤(A)は架橋性ゴム状重合体(B)を架橋する際に、(B)100重量部に対し0.001〜10重量部、好ましくは0.005〜3重量部の量で用いられる。上記範囲内では架橋密度が高まり、ゴム特性が向上する。
(B)成分
本発明の架橋剤を用いることが可能な重合体は特に制限されない。天然、合成いずれでも良いし、また熱硬化型重合体、熱可塑型重合体でも良いが、特に熱可塑型重合体が好ましく、中でも架橋性ゴム状重合体と熱可塑性樹脂からなる、熱可塑性架橋ゴム組成物が極めても好ましい。このような重合体としての(B)架橋性ゴム状重合体は、例えば、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及び該ジエン系ゴムを水素添加した飽和重合体ゴム(水素添加共重合体ゴム)、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、エチレン−プロピレ共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−プロピレンン−ジエンモノマー三元共重合体(EPDM)等のエチレン・α−オレフィン共重合体等の架橋ゴムまたは非架橋ゴム、並びに上記ゴム成分を含有する熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
また(B)は、ガラス転移温度(Tg)が−10℃以下であることが好ましい。
そして、(B)の100℃で測定したムーニー粘度(ML)(ISO 289−1985(E)準拠)は、20〜150が好ましく、更に好ましくは50〜120である。
本発明において(B)架橋性ゴム状重合体の中で好ましい。重合体の一つはエチレン・α−オレフィン共重合体であり、エチレンおよび炭素数が3〜20のα−オレフィンとの共重合体が更に好ましい。α−オレフィンとして、例えばプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1等が挙げられる。中でもヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1が好ましく、特に好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィンであり、とりわけプロピレン、ブテン−1、オクテン−1が最も好ましい。
また、(B)架橋性ゴム状重合体は必要に応じて、不飽和結合を有する単量体を含有することができ、例えば、ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィン、1,4−ヘキサジエン等の非共役ジオレフィン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン誘導体等の環状ジエン化合物、及びアセチレン類が挙げられる。とりわけエチリデンノルボルネン(ENB)、ジシクロペンタジエン(DCP)が最も好ましい。
本発明において、(B)の好ましい共重合体の一つであるエチレン・α−オレフィン共重合体(以下、(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体という。)は、公知のメタロセン系触媒を用いて製造することが好ましい。
一般にはメタロセン系触媒は、チタン、ジルコニウム等のIV族金属のシクロペンタジエニル誘導体と助触媒からなり、重合触媒として高活性であるだけでなく、チーグラー系触媒と比較して、得られる重合体の分子量分布が狭く、共重合体中のコモノマーである炭素数3〜20のα−オレフィンの分布が均一である。
本発明において用いられる(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、α−オレフィンの共重合比率が1〜60重量%であることが好ましく、更に好ましくは10〜50重量%、最も好ましくは20〜45重量%である。α−オレフィンの共重合比率は組成物の硬度、引張強度等の観点から60重量%以下が好ましく、一方、柔軟性、機械的強度の観点から1重量%以上が好ましい。
(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、0.8〜0.9g/cmの範囲にあることが好ましい。この範囲の密度を有するエチレン・α−オレフィン共重合体を用いることにより、柔軟性に優れ、硬度の低い本発明の熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
本発明にて用いられる(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、長鎖分岐を有していることが望ましい。長鎖分岐が存在することで、機械的強度を落とさずに、共重合されているα−オレフィンの比率(重量%)に比して、密度をより小さくすることが可能となり、低密度、低硬度、高強度のエチレン・α−オレフィン共重合体を得ることができる。長鎖分岐を有するエチレン・α−オレフィン共重合体としては、米国特許明細書第5278272号明細書等に記載されている。
また、(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、室温以上に熱天秤(DSC)の融点ピークを有することが望ましい。融点ピークを有するとき、融点以下の温度範囲では形態が安定しており、取扱い性に優れ、ベタツキも少ない。
また、本発明にて用いられる(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体のメルトインデックスは、0.01〜100g/10分(190℃、2.16kg荷重(0.212Pa))の範囲のものが好ましく用いられ、更に好ましくは0.2〜10g/10分である。本発明の熱可塑性エラストマー組成物の架橋性の観点から100g/10分以下が好ましく、また、流動性、加工性の観点から0.01g/10分以上が好ましい。
本発明において、(B)のもう一つの好ましい共重合体である上記水素添加共重合体は、少なくとも一種の共役ジエン系単量体の単独重合体ゴム、または共役ジエン系単量体と芳香族ビニル単量体とからなる共重合体ゴムであって、ランダム共重合体の全二重結合の水素添加率が50%以上である水素添加共重合体ゴムが好ましく、とりわけ主鎖および側鎖に二重結合を有する重合体及び/または共重合体からなる不飽和重合体ゴムの全オレフィン性二重結合の50%以上が水素添加された水素添加共重合体ゴムであることが好ましい。
上記水素添加共重合体ゴムにおいて、必要に応じて、例えば、オレフィン系、メタクリル酸エステル系、アクリル酸エステル系、不飽和ニトリル系、塩化ビニル系単量体等の共役ジエンと共重合可能な単量体(以下、共重合可能な単量体という。)を共重合することができる。
上記共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1、3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1、3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等を挙げることができ、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンが好ましく、1,3−ブタジエン、イソプレンが最も好ましい。
また、前記芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン等を挙げることができ、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。上記芳香族単量体は一種または二種以上併用することができる。芳香族ビニル単量体含有量は、0〜80重量%が好ましく、更に好ましくは0〜50重量%、最も好ましくは0〜30重量%である。
(B)としての水素添加共重合体において、水素添加前の共役ジエン単量体部分のビニル結合は、分子内に均一に存在していても、分子鎖に沿って増減あるいは減少してもよいし、また、ビニル結合含有量の異なった、複数個のブロックを含んでいてもよい。そして、芳香族ビニル単量体および/または共重合可能な単量体を含む場合は、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体および/または共重合可能な単量体とはランダムに結合することが好ましいが、ブロック状の芳香族ビニル単量体および/またはブロック状の共重合可能な単量体を含んでもよい。ブロック状の芳香族ビニル重合体の含有率は、全芳香族ビニル単量体中の20重量%以下が好ましく、更に好ましくは10重量%以下である。
上記水素添加共重合体ゴム中の全オレフィン性二重結合は、50%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上が水素添加され、そして主鎖の残存二重結合が5%以下、側鎖の残存二重結合が5%以下である。このような水素添加共重合体ゴムの具体例としては、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等のジエン系ゴムを部分的または完全に水素添加したゴム状重合体を挙げることができ、特に水素添加ブタジエン系または水素添加イソプレン系ゴムが好ましい。
このような水素添加共重合体ゴムは、上述のジエン系ゴムを公知の水素添加方法で部分水素添加することにより得られる。例えば、F.L.Ramp,etal,J.Amer.Chem.Soc.,83,4672(1961)記載のトリイソブチルボラン触媒を用いて水素添加する方法、HungYu Chen,J.Polym.Soc.Polym.Letter Ed.,15,271(1977)記載のトルエンスルフォニルヒドラジドを用いて水素添加する方法、あるいは特公昭42−8704号公報に記載の有機コバルトー有機アルミニュウム系触媒あるいは有機ニッケルー有機アルミニュウム系触媒を用いて水素添加する方法等を挙げることができる。
ここで、特に好ましい水素添加の方法は、低温、低圧の温和な条件下で水素添加が可能な触媒を用いる特開昭59−133203号、特開昭60−220147号の各公報あるいは不活性有機溶媒中にて、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム化合物と、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子またはセシウム原子を有する炭化水素化合物とからなる触媒の存在下に水素と接触させる特開昭62−207303号公報に示される方法である。
また、水素添加共重合体ゴムの25℃における5重量%スチレン溶液粘度(5%SV)は、20〜300センチポイズ(cps)の範囲にあることが好ましい。特に好ましい範囲は25〜150cpsである。
そして、水素添加共重合体ゴムは結晶性を有することが好ましく、その結晶性の指標である吸熱ピーク熱量の制御は、テトラヒドロフラン等の極性化合物の添加または重合温度の制御により行う。吸熱ピーク熱量の低下は、ゴム状重合体製造時に極性化合物を増量するか、または重合温度を低下させて、1,2−ビニル結合を増大させることにより達成される。
本発明にて用いられる(B)架橋性ゴム状重合体は、複数の種類のものを混合して用いても良い。そのような場合には、加工性のさらなる向上を図ることが可能となる。
本発明において、(B)架橋性ゴム状重合体中に占めるポリスチレン換算分子量が15万以下の該重合体の割合が30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは25%以下、更に好ましくは20%以下、最も好ましくは15%以下、極めて好ましくは10%以下である。上記割合が30%以下の場合には架橋性が著しく高まり、機械的強度、外観、感触、耐磨耗性及び耐油性が向上する。
本発明において(B)架橋性ゴム状重合体中に占めるポリスチレン換算分子量が15万以下の該重合体の割合を制御する方法として、分子量が15万以下の部分が30%以下になるように全体の分子量を高める方法、または分子量15万以下の部分を抽出等の操作で除去する方法、あるいは重合触媒等により選択的に分子量15万以下が生成しない重合方法等が挙げられる。
本発明において(B)のキシレン不溶分から得られた架橋度が10%以上であることが好ましく、更に好ましくは30%、最も好ましくは70%である。上記範囲内にある場合は、優れたつや消し効果と機械的強度が発現する。
本発明において、熱可塑性架橋ゴム組成物中に占める(B)の割合は、30〜95重量%であることが好ましく、更に好ましくは40〜95重量%、最も好ましくは50〜90重量%である。上記範囲内にある場合は、優れたゴム特性と耐傷性が発現する。
(C)成分
前記熱可塑性架橋ゴム組成物のもう一つの成分の(C)熱可塑性樹脂は、とくに制限はなく、たとえば、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリフェニレンエーテル系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリカーボネート系、ポリメタクリレート系等の単独もしくは二種以上を混合したものを使用することができる。(C)の中でもオレフィン系樹脂が好ましい。
上記(C)の中でも好ましいオレフィン系樹脂は、エチレン系またはプロピレン系樹脂等の炭素数2〜20であるエチレン及び/またはα−オレフィンの単独もしくは二種以上を含有する共重合樹脂であり、特にプロピレン系樹脂が好ましい。
本発明で最も好適に使用されるプロピレン系樹脂を具体的に示すと、ホモのアイソタクチックポリプロピレン、プロピレンとエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1等の他のα−オレフィンとのアイソタクチック共重合樹脂(ブロック、ランダムを含む。)等が挙げられる。
本発明において、(C)成分の中でも、(C−1)架橋型オレフィン系樹脂であるエチレンとプロピレンとのランダム共重合樹脂等のプロピレン系ランダム共重合樹脂単独または、(C−1)と(C−2)分解型オレフィン系樹脂であるプロピレン系ブロック共重合体樹脂またはホモポリプロピレン系樹脂との組み合わせが好ましい。このような架橋型オレフィン系樹脂と分解型オレフィン系樹脂の二種のオレフィン系樹脂を組み合わせることにより、外観と機械的強度が更に向上する。
(C−1)として、例えばエチレンとプロピレンのランダム共重合樹脂を挙げることができ、エチレン成分がポリマー主鎖中に存在する場合は、それが架橋反応の架橋点となり、架橋型オレフィン系樹脂の特性を示す。
(C−2)はα−オレフィンが主成分であり、ポリマー主鎖中にエチレン単位を含まないことが好ましい。但し、プロピレン系ブロック共重合樹脂のようにエチレン−αオレフィン共重合体が分散相として存在する場合は、分解型オレフィン系樹脂の特性を示す。
(C)は複数個の(C−1)、(C−2)成分の組み合わせでも良い。
(C−1)の中で最も好ましいプロピレンを主体としたα−オレフィンとのランダム共重合樹脂は、高圧法、スラリー法、気相法、塊状法、溶液法等で製造することができ、重合触媒としてZiegler-Natta触媒、シングルサイト、メタロセン触媒が好ましい。特に狭い組成分布、分子量分布が要求される場合には、メタロセン触媒を用いたランダム共重合法が好ましい。
ランダム共重合樹脂の具体的製造法は、欧州特許0969043Aまたは米国特許5198401号明細書に開示されており、液状プロピレンを攪拌機付き反応器に導入した後に、触媒をノズルから気相または液相に添加する。次いで、エチレンガスまたはα−オレフィンを反応器の気相または液相に導入し、反応温度、反応圧力をプロピレンが還流する条件に制御する。重合速度は触媒濃度、反応温度で制御し、共重合組成はエチレンまたはα−オレフィンの添加量により制御する。
また、本発明にて好適に用いられるオレフィン系樹脂のメルトインデックスは、0.1〜100g/10分(230℃、2.16kg荷重(0.212Pa))の範囲のものが好ましく用いられる。熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性、機械的強度の観点から100g/10分以下であることが好ましく、また、流動性、成形加工性の観点から0.1g/10分以上が好ましい。
本発明の架橋剤を好適に用いることが可能な(B)と(C)からなる熱可塑性架橋ゴム組成物100重量部中の各成分は、(B)が1〜99重量%が好ましく、更に好ましくは10〜80重量%、最も好ましくは20〜70重量%であり、(C)が1〜99重量%が好ましく、更に好ましくは90〜20重量%、最も好ましくは80〜30重量%である。上記範囲内では、ゴム特性と機械的強度のバランスが向上する。
本発明において、(B)と(C)からなる該ゴム組成物は、別個の(B)と(C)を押出機で溶融混合したものであっても良いし,また(B)と(C)を重合時に製造した重合型オレフィン系架橋性ゴム組成物であっても良い。このような重合型オレフィン系架橋性ゴム組成物は、オレフィン系ゴムの分散相とオレフィン系樹脂の連続相からなる重合法によって製造された熱可塑性エラストマーである。通常は多段重合法により製造される。
本発明において、多段重合法とは、重合が1回で終了するのではなく、2段階以上の多段重合を行うことにより、複数の種類のポリマーを連続して製造することができる重合法を意味し、機械的な手法を用いて異種類のポリマーからなる混合樹脂を得るところの通常のポリマーブレンド法とは異なる手法である。
多段重合法によって得られるオレフィン系架橋性ゴム組成物は、反応器中で(1)ハードセグメントと、(2)ソフトセグメントとが二段階以上で多段重合されてなる共重合体である。(1)ハードセグメントとしては、プロピレン単独重合体ブロックや、あるいはプロピレンとα−オレフィンとの共重合体ブロックが代表的であり、例えばプロピレン/エチレン、プロピレン/1−ブテン、プロピレン/エチレン/1−ブテン等の二元または三元共重合体ブロックが挙げられる。また(2)ソフトセグメントとしては、エチレン単独重合体ブロックおよびエチレンとα−オレフィンとの共重合体ブロックが代表的であり、例えばエチレン/プロピレン、エチレン/1−ブテン、エチレン/プロピレン/1−ブテン等の二元または三元共重合体ブロックが挙げられる。
(D)成分
前記熱可塑性架橋ゴム組成物において、必要に応じて(D)分散剤を含有することができる。(D)としての分散剤は(B)の(C)中での分散性を高めるための成分であり、特に制限されない。
例えば、(B)に軟化剤を添加することにより、(C)とのなじみを向上させて分散性を向上することができる。また(B)に250℃で溶融しない粉末状化合物を添加することにより加工時に高せん断力がかかり、(B)の分散性を向上することができる。そして、(B)にスチレン系エラストマー及びまたは樹脂系ワックスを添加することにより、(B)と(C)の界面張力が低下して分散性が向上する。
上記軟化剤は、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系などの炭化水素からなるプロセスオイルが好ましい。とりわけ、パラフィン系炭化水素主体またはゴムとの相容性の観点からナフテン系炭化水素主体のプロセスオイルが好ましい。熱・光安定性の観点から、プロセスオイル中の芳香族系炭化水素の含有量については、ASTM D2140−97規定の炭素数比率で10%以下であることが好ましく、更に好ましくは5%以下、最も好ましくは1%以下である。
これらの軟化剤は、(B)100重量部に対して、5〜500重量部、好ましくは10〜150重量部用いる。上記範囲内では分散性、柔軟性と耐ブリード性のバランスが優れる。
本発明において、必要に応じて添加可能な(D)の中の250℃で溶融しない粉末状化合物は、有機系、無機系を問わない。具体例として、有機系として、脂肪酸の金属塩等の有機酸金属塩、結晶核剤として用いられるリン酸2、2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム、ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール等を挙げることができる。 また上記無機系の具体例として、酸化亜鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、ケイ酸アルミニウム、シリカ(酸化ケイ素)、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化バリウム、二酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン等の単体または、それらの複合体(合金)が挙げられる。
また、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、ゼオライト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化ジルコニウム、酸化スズの水和物等の無機金属化合物の水和物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、カオリン、モンモリロナイト、ベントナイト、クレー、マイカ、タルク等を挙げることができ、中でも板状フィラーが好ましく、タルク、マイカ、カオリンが特に好ましい。
上記粉末状化合物の量は、(B)100重量部に対して、0.1〜200重量部が好ましく、更に好ましくは1〜150重量部、最も好ましくは5〜100重量部、極めて好ましくは5〜50重量部である。
前記熱可塑性架橋ゴム組成物において、必要に応じて添加可能な(D)の中のスチレン系エラストマーは、芳香族ビニル単位と共役ジエン単位からなるブロック共重合体であり、更に好ましくは、上記共役ジエン単位部分が部分的に水素添加またはエポキシ変性されたブロック共重合体である。
上記ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であり、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
また、上記ブロック共重合体を構成する共役ジエン単量体は、1,3−ブタジエン、イソプレン等を挙げることができる。
そして、ブロック共重合体のブロック構造は、芳香族ビニル単位からなる重合体ブロックをSで表示し、共役ジエン及び/またはその部分的に水素添加された単位からなる重合体ブロックをBで表示する場合、SB、S(BS)、(但し、nは1〜3の整数)、S(BSB)、(但し、nは1〜2の整数)のリニアーブロック共重合体や、(SB) X(但し、nは3〜6の整数。Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポリエポキシ化合物等のカップリング剤残基。)で示され、B部分を結合中心とする星状(スター)ブロック共重合体であることが好ましい。なかでもSBの2型、SBSの3型、SBSBの4型のリニアーブロック共重合体が好ましい。
上記スチレン系エラストマーの量は、(B)100重量部に対して、1〜100重量部が好ましく、更に好ましくは1〜50重量部、最も好ましくは1〜30重量部、極めて好ましくは1〜20重量部である。
前記熱可塑性架橋ゴム組成物において、必要に応じて添加可能な(D)の中の樹脂系ワックスは、低分子量の熱可塑性樹脂であり、前記の(B)熱可塑性樹脂とは分子量の点で異なる。樹脂系ワックスの分子量に関して、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により算出される重量平均分子量(Mw)が3000〜20000であり、好ましくは3000〜15000であり、更に好ましくは5000〜10000であり、数平均分子量(Mn)が500〜10000であり、好ましくは500〜8000であり、更に好ましくは1000〜5000である。
前記熱可塑性架橋ゴム組成物における(D)の中の樹脂系ワックスの中でもオレフィン系ワックスが好ましく、例えばエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンを含有する。そして、特に好ましくは、チタン、ジルコニウム等のIV族金属のシクロペンタジエニル誘導体と助触媒からなるメタロセン触媒により製造されたオレフィン系ワックスは、分子量分布が狭いだけでなく、共重合体の場合には、コモノマーである炭素数3〜20のα−オレフィンの分布が均一であるためにベタツキや悪臭が少ない。
前記熱可塑性架橋ゴム組成物において、(B)、(C)及び(D)(E)からなる組成物100重量部中の各成分は、(B)が1〜99重量%が好ましく、更に好ましくは10〜80重量%、最も好ましくは20〜70重量%であり、(C)が0.99〜99重量%が好ましく、更に好ましくは19.99〜85重量%、最も好ましくは29.9〜77重量%であり、(D)と(E)の合計が0.01〜10重量%が好ましく、更に好ましくは0.01〜5重量%、最も好ましくは0.1〜3重量%である。上記範囲内では、外観と耐磨耗性のバランスが向上する。
また、前記熱可塑性架橋ゴム組成物において、その特徴を損ねない程度にその他の無機フィラー、可塑剤、有機・無機顔料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、シリコンオイル、発泡剤、帯電防止剤、抗菌剤を含有することが可能である。
前記熱可塑性架橋ゴム組成物の製造には、通常の樹脂組成物、エラストマー組成物の製造に用いられるバンバリーミキサー、ニーダー、単軸押出機、2軸押出機等の一般的な方法を採用することが可能である。とりわけ効率的に動的架橋を達成するためには2軸押出機が好ましく用いられる。2軸押出機は、(B)と(C)とを均一かつ微細に分散させ、さらに他の成分を添加させて、架橋反応を生じせしめ、本発明の組成物を連続的に製造するのに、より適している。
本発明において、熱可塑性架橋ゴム組成物の製造方法については、本発明の要件を満足していれば特に製造法は制限されないが、(B)と(C)とを溶融混合後、(A)により架橋することが好ましい。
また(A)架橋剤により架橋する際に、(A)を分割添加し、逐次架橋することが更に好ましい。すなわち、(B)と(C)とをメインフィード部から添加後、押出機の前段で溶融混練して、(A)架橋剤の一部をサイドフィード部から添加後、溶融混練して動的架橋を行い、更に押出機の途中から(A)の残りを添加後、溶融混練して動的架橋を完結する。ここで(D)の分割回数は多い方が急激な架橋が抑制されるので好ましいが、(D)の初期一括添加に比較して、二分割でも外観、流動性、機械的強度及び品質安定性が飛躍的に向上する。例えば(B)と(C)の溶融混合後、(A)の一部をサイドフィード部から添加し、溶融混練しつつ押出機の途中から、(A)の残りを複数個のサイドフィード供給部から分割してフィードする。また、(A)をフィードする方法として、(A)を直接フィードしても良いが、(D)軟化剤に(A)を溶解して液体フィードすることが好ましい。また(A)を非溶融性のフィラーに含浸させてフィードしても良い。そして、必要に応じて、(B)及びまたは(C)を分割してフィードしても良い。
ここで、(A)を分割添加し、逐次架橋する際に、第一回目の(A)の添加により、架橋度5〜45%まで架橋し、更に(A)を追加添加することにより架橋度50%以上に架橋することが好ましい。
本発明の組成物は二軸押出機で製造することが好ましく、例えば、二軸押出機のシリンダー内径(D)に対するスクリュー長さ(L)の比率(L/D)が20〜100であり、上記ニ軸押出機が、先端部分から距離を異にするメインフィード部と1箇所以上のサイドフィード部を有し、かつメインフィード部から順にゾーンI〜IIIの3ゾーンからなり、各ゾーン長は0.05〜0.4Lであり、更にゾーンIでメインフィーダーから添加された(B)と(C)と、必要に応じて(A)を溶融混合し、次いでゾーンIIでサイドフィーダーから添加された(A)の一部を溶融混合し、更にゾーンIIIでサイドフィーダーから添加された(A)の残りの部分を溶融混合する。
本発明において、(D)軟化剤を添加する場合は、(A)を添加した後に添加し、溶融混合することが好ましく、ゾーンI〜IIIの後に、ゾーンIV〜VIから選ばれる少なくとも1ゾーンを有し、各ゾーン長は0〜0.4Lであるニ軸押出機を用い、ゾーンIVで(B)及び(C)を溶融混合し、ゾーンVで(D)を溶融混合し、ゾーンVIで揮発分を除去する。
また本発明において用いられる製造装置の一つの二軸押出機は、二軸同方向回転押出機でも、二軸異方向回転押出機でもよい。また、スクリュ−の噛み合わせについては、非噛み合わせ型、部分噛み合わせ型、完全噛み合わせ型があり、いづれの型でもよい。低いせん断力をかけて低温で均一な樹脂を得る場合には、異方向回転・部分噛み合わせ型スクリュ−が好ましい。やや大きい混練を要する場合には、同方向回転・完全噛み合わせ型スクリュ−が好ましい。さらに大きい混練を要する場合には、同方向回転・完全噛み合わせ型スクリュ−が好ましい。
以下、本発明を実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、これら実施例および比較例において、各種物性の評価に用いた試験法は以下の通りである。
1.引張破断強度[MPa]
JIS K6251に準じ、23℃にて評価する。
2.連続架橋生産性
溶融押出機を用い、組成物を10時間連続溶融押出しを行い、1時間ごとに得られた組成物の引張破断強度(Tb)を測定し、その平均(Tb)0に対する最大(Tb)1の変化率(%)から連続架橋生産性を評価する。数値が小さいほど高い連続架橋生産性を示す。
Tbの変化率(%)=100×[(Tb)1−(Tb)0]/(Tb)0
3.圧縮永久歪
JIS K6301に準じ、100℃で22時間の条件で測定する。数値が小さいほど高いゴム特性を示す。
実施例、比較例で用いる各成分は以下のものを用いた。
(A)架橋剤
市販の各種架橋剤を用いる。
トリアリルイソシアヌレート(TAICと称する)
2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(POXと称する)
ジビニルベンゼン(DVBと称する)
ヘキサン(HXと称する)
(B)架橋性ゴム状重合体
1)エチレン・α−オレフィン共重合体
a)エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン(ENB)共重合体(TPE−1)
特開平3−163088号公報に記載のメタロセン触媒を用いた方法により製造する。共重合体のエチレン/プロピレン/ENBの組成比は、72/24/4(重量比)であり、ムーニー粘度は100である。(TPE−1と称する)
b)エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン(ENB)共重合体(TPE−2)
通常のチーグラー触媒を用いた方法により製造する。共重合体のエチレン/プロピレン/ENBの組成比は、72/24/4(重量比)であり、ムーニー粘度は105である。(TPE−2と称する)
c)エチレンとオクテン−1との共重合体(TPE−3)
特開平3−163088号公報に記載のメタロセン触媒を用いた方法により製造した。共重合体のエチレン/オクテン−1の組成比は、72/28(重量比)であり、ムーニー粘度は100である。(TPE−3と称する)
2)水素添加共役ジエン系ゴム
a)水素添加ブタジエン重合体
WO01/48079号公報に記載の方法に基づき、ブタジエン重合体を水素添加することにより製造する。ムーニー粘度は100である。(H−BRと称する)
b)水素添加スチレン・ブタジエン共重合体
WO01/48079号公報に記載の方法に基づき、スチレン・ブタジエン共重合体を水素添加することにより製造する。前駆体の共重合体のスチレン/ブタジエンの組成比は、70/30(重量比)であり、ムーニー粘度は100である。(H−SBRと称する)
(C)オレフィン系樹脂
(1)ポリプロピレン
アイソタクチックブロックポリプロピレン(PPと称する)
MFR:0.2g/10分(230℃、2.16kg荷重)
[実施例1〜7および比較例1〜3]
押出機として、バレル中央部に注入口を有した2軸押出機(シリンダー内径(D)=40、スクリュー長さ(L)とした時の(L/D)=50)を用いた。スクリューとしては注入口の前後に混練部を有した2条スクリューを用いた。
表1記載の(B)/(C)/(A)架橋剤=100/60/2の組成で、シリンダー温度160℃、回転数300rpm、吐出量50kg/時間の条件で溶融押出を行い、各種評価を行った。表1にその結果を記載した。
Figure 2006299147
本発明の架橋剤によって得られた重合体は、自動車用部品、自動車用内装材、エアバッグカバー、機械部品、電気部品、ケーブル、ホース、ベルト、玩具、雑貨、日用品、建材、シート、フィルム等を始めとする用途に幅広く使用可能であり、産業界に果たす役割は大きい。

Claims (8)

  1. 0℃で液状である、トリアリルイソシアヌレートを主体とする架橋剤(A)。
  2. 液状化剤を含有する請求項1に記載の架橋剤(A)。
  3. 液状化剤が、ジビニルベンゼンである請求項2に記載の架橋剤(A)。
  4. 架橋性ゴム状重合体(B)と熱可塑性樹脂(C)とからなる架橋された熱可塑性架橋ゴム組成物であって、請求項1〜3のいずれかに記載の架橋剤(A)を用いて架橋されていることを特徴とする熱可塑性架橋ゴム組成物。
  5. (B)成分が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンを含有する、メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)、または主鎖および側鎖に二重結合を有する単独重合体及び/または共重合体からなる不飽和ゴムの全オレフィン性二重結合の50%以上が水素添加された水素添加ゴム(B−2)から選ばれる一種以上の架橋性ゴム状重合体である請求項4に記載の熱可塑性架橋ゴム組成物。
  6. (C)成分が、オレフィン系樹脂である請求項4または5に記載の熱可塑性架橋ゴム組成物。
  7. 更に、分散剤(D)を含有した請求項4〜6のいずれかに記載の熱可塑性架橋ゴム組成物。
  8. (D)成分が、軟化剤、250℃で溶融しない粉末状化合物、スチレン系熱可塑性エラストマーおよび樹脂系ワックスから選ばれる剤を含有した請求項7に記載の熱可塑性架橋ゴム組成物。
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