JP2001315704A - 散薬包装装置の散薬接触部材およびその製造方法 - Google Patents

散薬包装装置の散薬接触部材およびその製造方法

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JP2001315704A
JP2001315704A JP2001058343A JP2001058343A JP2001315704A JP 2001315704 A JP2001315704 A JP 2001315704A JP 2001058343 A JP2001058343 A JP 2001058343A JP 2001058343 A JP2001058343 A JP 2001058343A JP 2001315704 A JP2001315704 A JP 2001315704A
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powdered medicine
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Hiroyasu Hamada
博康 濱田
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Yuyama Manufacturing Co Ltd
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Yuyama Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 散薬が付着したりコビリ付いたりするのを防
止する。 【解決手段】 分配円盤上に散薬を均一に堆積させ、該
分配円盤上の散薬を1服用分づつ掻き出して包装する散
薬包装装置における散薬が接触する散薬接触部材におい
て、散薬接触部材の散薬接触面に散薬を付着させない非
付着性アルマイト層を設ける。非付着性アルマイト層
は、アルマイト皮膜に4フッ化樹脂を含浸させてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、散薬包装装置の散
薬接触部材およびその製造方法に関する。さらに詳しく
は、本発明は、散薬包装装置における分配円盤、掻出装
置、ホッパー、シュート等の散薬が接触する散薬接触部
材に散薬が付着したりコビリ付かないようにして、散薬
の汚染を防止するとともに、清掃性を向上するようにし
た散薬接触部材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】散薬を1服用分づつ分割して包装する散
薬包装装置は、分配円盤、掻出装置、ホッパー、シュー
ト等の散薬が接触する部材(以下、散薬接触部材とい
う。)を有している。これらの散薬接触部材には包装処
理後も散薬が付着したまま残留するので、処方が変わる
毎に調剤師が各散薬接触部材を清掃する必要があった。
【0003】このような散薬接触部材の清掃を自動的に
行うために掃除機等からなるクリーナ装置を設けたもの
が種々提案されている。しかし、乳酸カルシウムからな
る散薬は、一旦散薬接触部材に付着すると、掃除機では
完全に吸引することはできない。また、散薬のなかに
は、静電気を帯びやすい散薬や、粒子の細かい散薬があ
り、これらは掃除機では吸引しても除去できない。この
ような散薬は、濡れたタオル等で拭き取らなければなら
なかった。包装動作中にこのような清掃作業を行うこと
は、非常に煩わしいうえ、包装作業を中断させるので包
装効率の低下を招来する。
【0004】一方、散薬包装装置の散薬接触部材は、多
種に及ぶ薬剤の付着の影響を考慮して、長年304ステ
ンレス鋼を鏡面加工したものが使用されてきた。近年、
コスト削減の観点から、ホッパー等の一部の部材は樹脂
成形品が使用されるようになったが、分配皿等の精度を
要する部材は依然として304ステンレス鋼が使用され
ている。樹脂成形部品は、静電気を帯びやすいため、3
04ステンレス鋼に比べて散薬付着特性が悪化する傾向
にある。導電性樹脂を採用して薬剤との接触電位差を下
げることで、薬剤付着特性を多少改善することができ
る。しかし、多数種類にわたる薬剤と薬剤接触部材との
接触電位差を下げるような措置をとることは現実的でな
い。
【0005】また、物体の吸着エネルギーは、Hama
ker定数の小さいほど低減するが、ステンレス鋼はそ
の定数が大きいうえ、鏡面加工によって散薬粒子の接触
面積が増加して付着力が増大する。したがって、散薬接
触部材としてHamaker定数の小さい物質を選定
し、その接触面にミクロン単位の適度な粗さ与えて接触
面積を小さくすることが必要となる。
【0006】従来、図25に示すように、分配円盤10
1は、環状でアール溝102を有し、304ステンレス
鋼からなり、研磨剤で鏡面に近いレベルまで研磨されて
いる。そして、この分配円盤101に均一に堆積させた
散薬を掻出装置103のシリコンゴム104との接触に
より掻き出して包装装置に供給するようにしている。し
かし、このような分配円盤101で乳酸カルシウムから
なる散薬を分割すると、掻出装置103のシリコンゴム
104と分配円盤101のアール溝102の表面との間
に乳酸カルシウムの粒子が挟まり、掻出装置103のシ
リコンゴム104により圧縮される。この結果、図12
に示すように、乳酸カルシウム105に含まれる乳酸成
分が液状に粒子の表面に浮き上がり、その液状乳酸成分
106がカルシウムを巻き込みながら分配円盤101の
アール溝102表面に付着して、図26に示すように、
こびり付くという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、散薬を1服
用分づつ包装する散薬包装装置において、散薬が付着し
たりコビリ付いたりすることがなく、たとえ付着したと
しても打撃や振動、吸引によって容易に除去することが
できる散薬包装装置の散薬接触部材およびその製造方法
を適用することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段を説明する前に、薬剤付着の原理について説明す
る。薬剤包装装置で使用される薬剤を粉体とすると、物
体の壁面への粉体の付着は、物体の吸着エネルギー、静
電気、および液架橋力が要因となることが知られてい
る。大部分の薬剤は、物体の吸着エネルギーと静電気が
主な付着の要因となる。一部の薬剤、例えば乳酸カルシ
ウムは、前述したように、圧力や振動を付与すると粒子
中の水分が表面に浮き出し、その水分を介して物体に付
着するため、液架橋力も付着の要因となる。
【0009】第1の要因である吸着エネルギーは、物体
間の引力である。物体の吸着エネルギーは、Hamak
er定数によって表される。Hamaker定数が大き
いほど、物体の吸着エネルギーが高く、付着しやすい。
異なる物質からなる複合系には、次式で示すHamak
er定数の結合則が成立する。
【数1】A12=√(A1122) A12:物質1と物質2の間のHamaker定数 A11:物質1と物質1の間のHamaker定数 A22:物質2と物質2の間のHamaker定数
【0010】また、物体の吸着エネルギーは、球対球の
場合と、球対平面の場合とで異なる。球対球の場合は、
球対平面より接触面積が小さいので、吸着エネルギーは
小さい。散薬包装装置では、散薬と散薬接触部材とは球
対平面になるので、吸着エネルギーが大きく、散薬が散
薬接触部材に付着しやすい環境になっている。通常、物
体は0.4ナノミクロンで接触しているとされている
が、物体に表面粗さがあると、物体の吸着エネルギーは
小さくなる特性がある。例えば、10ミクロンの球体同
士の接触の場合、両者に0.1ミクロンの粗さがある
と、粗さが無い場合に比べて、物体の吸着エネルギーは
6万分の1に減少する。したがって、物体の吸着エネル
ギーを小さくするには、表面にHamaker定数の小
さい材料を採用するとともに、適度な粗さを与えて接触
面積を小さくする必要がある。
【0011】第2の要因である静電気による吸着は、粒
子あるいは接触面が帯電するしないに拘わらず作用する
接触帯電による付着と、粒子あるいは接触面が帯電して
起こる静電気による付着がある。
【0012】接触帯電による付着は、接触する物体間の
接触電位の差により電荷が移動して安定しようとする作
用により生じる。同一材料では、接触電位差がないの
で、接触帯電により付着は生じにくい。しかし、同一材
料でも、生産場所や加工方法の相違により多少接触電位
差が生じることがある。接触帯電による付着応力(Ma
xwellの応力)Pceは、次式で表される。
【数2】Pce=−(1/2)εE2 ε:物体の誘電率 E:物体のもつ電界強度
【0013】前式において、電界EをVc/zとする
と、次式が得られる。
【数3】Pce=−εVc2/2z2 Vc:静電容量 z:物体間の接触する距離(通常、0.4nm以下)
【0014】散薬包装装置におけるような球対平面の接
触の場合、前式を面積要素dsで積分すると、接触帯電
による付着力は、次式で表される。
【数4】Fce=∫Pceds≒Pce・S S:接触面積(=πa2
【0015】ここで、散薬粒子のような柔らかい物質
は、接触の際、接触面がゴムボールのように大きくなる
ことを考慮すると、Hertz理論より、接触円の半径
は、次式で表される。
【数5】a=(3Fkd/8)1/3 k:弾性特性定数 (=(1−ν1 2)/E1+(1−ν2 2)/E2
【0016】接触帯電による付着力は、粒径が大きいほ
ど増加する。しかし、実際には、重力や遠心力、振動等
によって分離する分離力が、粒径の3乗に比例するの
で、相対的には、粒径の小さい粒子ほど付着しやすくな
り、分離もしにくい。
【0017】静電気による付着は、物体が帯電すること
で発生する。この付着力は、帯電量の増加に伴って増加
する反面、帯電した電子を失った途端に消失する。接近
した帯電粒子間の静電気付着力は、次式で表される。
【数6】Fe=−πσ1σ22/ε0 σi:表面電荷密度(=−qi/πDpi 2) qi:電荷 Dpi:粒径 d:換算粒子径 ε0:真空の誘電率
【0018】静電気による吸着は、+帯電対−帯電で発
生し、帯電電位が同じ極性の場合は反発する。このよう
な静電気による吸着を最小限に抑えるには、接触電位差
をできるだけ小さくし、帯電電位が移動しやすい導電材
料を選択する必要がある。
【0019】第3の要因である液架橋力による吸着は、
粉体粒子の外面に水分の膜が形成され、この膜と膜が水
分の表面張力で吸着する現象である。散薬包装装置に使
用される散薬は、水分が微量であるため、通常は液架橋
力による吸着まで発展しない。しかし、薬剤分割や移送
時の圧縮、摺動、振動等の機械的要因により、液架橋力
による吸着が生じる。すなわち、散薬に圧力が作用した
り、振動が長時間作用すると、散薬粒子中の水分が外面
に出て膜を形成し、液架橋力による吸着が生じる。この
液架橋力による吸着を抑えるには、散薬接触部材の接触
面を撥水処理することも考えられる。
【0020】以上、粉体付着に対する対策をまとめる
と、物体の吸着エネルギーによる吸着に対しては、次の
措置が考えられる。 (1)粉体接触面をHamaker定数の小さい物質で
被覆する。 (2)Hamaker定数の結合則により粉体接触面を
選定する。 (3)散薬接触面に適度な粗さを設ける。 また、静電気による吸着に対しては、次の措置が考えら
れる。 (1)散薬接触面を表面処理しあるいは材料を選択して
接触電位差を下げる。 (2)表面を硬くあるいは粉体粒子径に対して粗くして
接触面積を下げる。 (3)帯電を抑制し、電荷の移動を促進する。 液架橋力による吸着に対しては、次の措置が考えられ
る。 (1)散薬接触面の表面処理により撥水効果を高める。
【0021】本発明は、以上の知見に基づいてなされた
もので、第1の発明は、分配円盤上に散薬を均一に堆積
させ、該分配円盤上の散薬を1服用分づつ掻き出して包
装する散薬包装装置における散薬が接触する散薬接触部
材において、前記散薬接触部材の散薬接触面に散薬を付
着させない非付着性アルマイト層を設けたものである。
前記散薬接触部材は、アルミニウム、または合成樹脂の
表面にアルミニウム層を設けたものであることが好まし
い。前記非付着性アルマイト層は、アルマイト皮膜に4
フッ化樹脂を含浸させてなることが好ましい。
【0022】本発明により、散薬包装装置における散薬
接触部材に非付着性アルマイト層を設けたので、散薬の
付着やコビリ付きが抑えられ、またたとえ付着したとし
ても打撃や振動、吸引によって容易に除去することがで
きる。
【0023】前記散薬接触部材は、ホッパーであって、
該ホッパーに、振動を付与する振動付与手段、または散
薬接触面を清掃するクリーナ装置を設けることが好まし
い。これにより、散薬接触部材の非付着性アルマイト層
に残留した散薬を完全に除去することができる。さら
に、ホッパーに冷却手段を設けることにより、周辺の発
熱部材によってホッパーが加熱されて該ホッパー内を滑
り落ちる散薬が付着するのを防止するようにしてもよ
い。
【0024】また、第2の発明は、分配円盤上に散薬を
均一に堆積させ、該分配円盤上の散薬を1服用分づつ掻
き出して包装する散薬包装装置における散薬が接触する
散薬接触部材の製造方法において、散薬接触部材の散薬
接触面に、アルマイト皮膜を形成し、該アルマイト皮膜
に4フッ化樹脂を含浸させる非付着性処理工程を有する
ものである。前記散薬接触部材は、次のいずれかの工程
で形成することが好ましい。(1)アルミニウム焼結す
る工程。(2)アルミニウムダイキャストする工程。
(3)アルミニウム鋳造する工程。(4)樹脂成形によ
り母材を成形し、該母材の表面にアルミニウムを溶射し
てアルミニウム層を形成し、該アルミニウム層を研磨す
る工程。(5)樹脂成形により母材を成形し、該母材の
表面にラミネート樹脂層を形成し、該ラミネート樹脂層
に片面にラミネート樹脂を施したアルミシートのラミネ
ート樹脂を熱溶着する工程。(6)基材の表面にラミネ
ート樹脂層を形成し、該ラミネート樹脂層に片面にラミ
ネート樹脂を施したアルミシートのラミネート樹脂を熱
溶着し、該熱溶着と同時またはその後に成形する工程。
(7)アルミニウムの溶融温度以上の融点を有する非ア
ルミニウム金属で母材を成形し、該母材の表面をアルミ
ニウムで溶融メッキしてアルミニウムメッキ層を形成
し、該アルミニウムメッキ層を研磨する工程。また、前
記非付着性処理工程は、散薬接触部材の表面にアルマイ
ト皮膜を形成し、該アルマイト皮膜に細孔部またはクラ
ックを形成し、該細孔部またはクラック以外をマスキン
グし、前記細孔部またはクラックに4フッ化樹脂を含浸
させる工程からなることが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に従って説明する。
【0026】1.投入ホッパー 投入ホッパー1は逆角錐の形状に形成したもので、図1
に示す振動フィーダ2の上方に配置され、薬剤を定量送
り出す為の貯留機能を備えている。この内部に薬剤を貯
留し、該薬剤を振動フィーダ2で搬出すると、投入ホッ
パー2の内壁に微粉末が付着する。例えば図2に示すよ
うに薬剤がアスピリンで、投入ホッパー1が既存のステ
ンレスであると、振動フィーダ2の振動により静電気を
発生するが、投入ホッパー1や振動フィーダトラフ3を
アースに落としているので、通常静電気(クーロン力)
による帯電はほとんどない。しかし、アスピリンは、
0.2mm〜0.8mm角の長方体で形成された結晶体
であるため、該結晶体の平面部が投入ホッパー1の内壁
に対して煉瓦を積んだようにきれいに並んだ状態で付着
し、少々の打撃では落下しない強力な付着力が発生す
る。
【0027】この付着の主な原因は、アスピリンとステ
ンレスの投入ホッパー1の間の面対面の接触による強い
吸着エネルギーである。投入ホッパー1は金属であるた
め、Hamaker定数の値が大きく、吸着エネルギー
も大きい。また、アスピリンは結晶体であるためその平
面部がステンレスの投入ホッパー1の平面部と大きく作
用することも付着力が強力となっている原因である。例
えば、投入ホッパー1をポリカーボーネートで製作し
て、同様の試験を行うと、樹脂系材料はHamaker
定数の値が小さいため、アスピリンを壁面に付着させる
力が弱く自重で落下する。また、樹脂系材料は、絶縁材
料であるため、振動による帯電電位をアースで落とすこ
とができない。しかし、帯電電位がステンレスの投入ホ
ッパー1に較べて高くても、アスピリンの帯電による付
着はみられない。このように、アスピリンが、ステンレ
スの投入ホッパー1に付着する主な原因は、物体の吸着
エネルギーであることが判明した。
【0028】投入ホッパー1を樹脂化した場合、一番問
題になるのが静電気(クーロン力)対策である。薬剤包
装装置の場合、複数種類にわたる薬剤に対応したもので
なければならない。投入ホッパー1の材料として導電材
料を樹脂に練り込んだ材料を使用して成形することによ
り、静電気による薬剤の帯電付着はある程度改善され
る。しかし、投入ホッパー1と薬剤の間の接触電位が高
いと、樹脂系材料であっても微粉末系の薬剤に対しては
効果が薄い。この微粉末系薬剤は、自重が軽いため、少
々の打撃では落とすことはできない。このような薬剤の
微粉末を落とす為のエネルギーは、粒径が10μmの場
合、その粒径重量の1万倍の力を必要とし、分離するた
めの力は、粒径の3乗に比例するので、粒径が細かくな
るほど、少々の打撃では落とすことはできない。また騒
音も激しくなる。つまり、微粉末系の薬剤を打撃で落と
すにしても、Hamaker定数の値が小さい材料を選
択すると共に、且つ接触電位差が複数種類の薬剤との間
で小さくなる条件を設定して、少々の打撃で落とせるよ
うに、トータル的な対策が求められる。
【0029】本発明者が検討したところ、投入ホッパー
1の表面に以下に説明する複合材料を用いることが、物
体の吸着エネルギーを抑え、静電気対策(クーロン力)
に効果的な処理であることが分かった。
【0030】<複合材料1>投入ホッパー1の表面に用
いる複合材料1は、投入ホッパー1をアルミで成形し、
その表面に酸化膜を形成して、該酸化膜に生じるクラッ
ク又は多孔質の内部に樹脂を含浸させて表面を被覆する
ものである。
【0031】この表面処理は、図4に示すように、アル
ミ母材4上にアルマイト層5を5〜100μmほどの厚
みで成膜し、アルマイト成膜過程で生じる多孔質部分の
孔6にテフロン樹脂7を含浸させる。
【0032】あるいは、図5に示すように、アルマイト
層5を300〜400℃に加熱して急冷するなどによ
り、アルマイト層5の表面にクラック8を発生させ、該
クラック8と多孔質部の孔6にテフロン樹脂を含浸させ
る。
【0033】アルミ母材4は、アルミ材又はアルミ合金
材に限定され、ダイカスト材は成膜状態が良くない傾向
がある。このように処理された表面は、酸化アルミとフ
ッ素樹脂の分散複合膜であり、それぞれの良い特性を有
している。例えばHamaker定数の値は、酸化アル
ミ15.5、樹脂3.2〜12.3であり、ステンレス
(Fe/Ni合金)49.2に較べて低い値になる。
【0034】アルミ母材4の成形は、板金溶接による成
形も考えられるが、溶接部の材質が変化し、表面処理を
行うと色斑が発生するため、製品品質上好ましくない。
このため、へら押し加工、プレス絞り加工、ロストワッ
クス、ダイカスト、鋳造などによる成形が品質保持上好
ましいが、このうちロストワックス、ダイカスト、鋳造
は前述したようにアルマイトの品質があまり良くない。
【0035】アルミ部材4の好ましい成形法としては、
例えば、図6(a)に示すようにへら押しローラ9で円
錐状にへら押し加工したものを、図6(b)に示すよう
にプレス加工で角錐に成形し、図6(c)に示すように
余分な部分をカットするとともに取っ手部10を残し、
図6(d)に示すように取っ手部10を曲げ加工する。
この成形法は、磨き材を使用することを必要としない
上、成形効率が良いため、コストを抑えることができ
る。
【0036】薬剤の付着を抑えるにはある程度の表面粗
さが必要であることは前述したが、表面粗さが、12μ
m以上になってくると溝部に残る薬剤が目立つようにな
るため、表面粗さは12μm以下が好ましい。
【0037】成形したホッパーには、皮膜形成液中で電
界を印加するための電極を備える。この電極は、散薬の
受入れに支障の無い位置に固着するか、その位置にクリ
ップで支持する。電極を固着したものは、表面処理後に
切断して仕上げることもできるため、仕上がり品質が向
上する。クリップで支持する場合は、どうしてもクリッ
プの部分に表面処理ができないため、その部分がダーク
色の表面処理部分に対して白く目立つ上、粉体が付着し
やすくなる。
【0038】ホッパーは上方が広く下方が狭い角錐形状
の筒となっている。ホッパー外周部にはホッパを装置に
装着するための支持金具11が溶接される。支持金具1
1は、溶接の代わりに、接着剤で固着しても良い。接着
剤は、処理過程で剥がれないものを使用すると、表面処
理の過程で美しく仕上がり、必要に応じて前述した図6
の工程を得て部品付けすることが好ましい。
【0039】ここでアルマイト処理の基本的な流れを図
7のフロチャートに従って説明する。
【0040】アルマイト処理を受け付ける際、まず処理
材の材料に問題ないかチェックする。例えば、テープや
塗料などの付着、皮膜成形の処理方法が相違する銅合金
系の材料の選別、キズの有無等もチェックされる。材料
受入チェックに合格した処理材は、枠付け工程で、製品
に電気を流すための電極枠に、アルマイトを最適に処理
できるように取り付けられる。枠付けが終了すると、処
理材を脱脂処理槽に枠ごと浸漬して、脱脂を行う。脱脂
の種類には、大きく分けて無浸食脱脂、艶消し脱脂、電
解脱脂がある。脱脂の種類毎に、処理液が相違するが、
主にアルカリ系の液が使用されており、例えば水酸化ナ
トリウム系や中性、又は有機系洗剤がその大半を占め
る。酸性脱脂液としてはフッ酸や硝酸、塩酸を使用す
る。脱脂時間は処理液や処理方法によって相違するが、
艶消し脱脂の場合1〜3分位である。脱脂終了後、処理
材を水洗槽に浸漬し、脱脂液を洗浄する。
【0041】次に、処理材のアルマイト表面に自然に形
成された酸化膜(薄い自然アルマイト皮膜)を除去する
ために、エッチングを行う。エッチング処理は大きく分
けて、電解研磨法と化学研磨法がある。電解研磨法の場
合、処理材を硫酸や燐酸の液に浸漬して電解研磨を行
う。化学研磨の場合、燐酸や硝酸、酢酸などを使用す
る。燐酸を使用する場合、温度80〜100℃の処理液
に処理剤を6秒から120秒浸漬し、水洗槽で洗浄す
る。この後、エッチング処理の種類に応じて中和工程、
水洗工程を必要とすることがある。
【0042】これら前処理工程が完了すると、アルマイ
ト処理工程を行う。アルマイト皮膜は処理溶液の種類に
より、成長速度や多孔質の粗さが変化し、膜の色彩も変
化する。硬質アルマイトを形成する場合、蓚酸系または
硫酸系の浴槽液が使用される。蓚酸系の場合、100〜
2000A/m2の電流を流し、60分以上かけて皮膜
を形成させる。この時、多孔質の密度を小さくするため
に、浴槽液の温度を5〜10℃に保持する。浴槽液の温
度が高すぎると、多孔質が粗くなり、表面硬度が低下し
て、硬質アルマイトが形成されない。皮膜が成長するに
従い、表面部分が絶縁され電流値が降下するため、皮膜
の状況は電流値によって確認できる。アルマイト皮膜が
仕上がると、浴槽から出して水洗槽で洗浄する。このと
き洗浄が不十分であると、液焼けと言われる色斑が発生
する。
【0043】次に含浸処理を行うが、アルマイト皮膜に
発生する多孔質部分に含浸可能なものであるなら何でも
よいが、本発明の目的である薬剤の非付着性に効果のな
い着色含浸は説明を省略する。
【0044】例えば、PTFEを含浸させる場合、図1
0に示すように、液体フッ素潤滑溶液を過フッ化溶剤な
どで希釈した溶剤を容器12に収容し、該容器12の溶
剤中に処理材1´を浸漬する。そして、この容器12を
超音波浴槽13の水中に沈めて、発振素子14上の網状
の台15の上に載置する。このとき含浸を促進させるた
め、超音波発生装置16によって振動を与える。この
後、処理材1´の水洗いを行い、必要に応じて封孔処理
として蒸気を吹き付け、湯洗いした後、乾燥し、枠を外
して検査を行う。
【0045】金属イオンを含浸させる場合も、同様の手
順を取るが、銀イオンを含浸させる場合、陰極側に処理
材を取り付け、陽極側に銀電極を取り付ける。
【0046】以上、フッ素系、金属系の含浸工程を説明
したが、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等も含浸する
ことができる。
【0047】このようにしてアルマイトにPTFE含浸
した処理材の表面は、図8に示すように、アルマイトA
とPTFE樹脂の並びで形成されている。薬剤
粒子の付着力は、接触電位差による影響が高い場合、ア
ルマイト>PTFEの関係が成立し、逆に静電気(クー
ロン力)による影響が高い場合、アルマイト<PTFE
の関係が成立する。
【0048】ここで、薬剤の凝集力が大きい場合、凝集
によって生じる粒子径dxの値が大きくなるため、少々
の打撃や振動で表面から剥離し易い。これに対し、薬剤
の凝集力が小さい場合、薬剤粒子の径dの大きさが打撃
や振動による剥離作用に大きく影響し、当然ながら薬剤
粒子の径dの径が小さいと、剥離に要する打撃や振動力
は薬剤粒子の径dの3乗に比例するため、落としにく
い。
【0049】接触電位差による影響が高い場合を考える
と、薬剤粒子の付着力はアルマイト>PTFEの関係が
成立するため、接触抵抗の低いPTFE領域に付着した
薬剤だけは、一定の打撃力に対して剥離作用が働くが、
接触抵抗の高いアルマイト領域に付着している薬剤は留
まろうとする。つまり残薬となる可能性が高いのは、ア
ルマイト領域に付着している薬剤である。また、その薬
剤の凝集力が大きい場合、凝集によって生じる粒子径d
xの値が大きくなるため、当然一定の振動に対しての剥
離作用が一段と高まる反面、PTFE領域周辺(アルマ
イト領域に付着している薬剤)の薬剤も凝集する。ここ
で剥離作用が上回ると、アルマイトエリアに付着してい
る薬剤も凝集力によって剥離するため、前述した条件よ
り残薬の量が減少する結果となる。この結果は、剥離作
用の弱いアルマイト領域の付着力が小さい程有効であ
る。
【0050】次に、静電気(クーロン力)による影響が
高い場合を考えると、前記剥離作用が逆転する。アルマ
イトは静電気の影響を受けにくいため、静電気の影響を
受けやすいPTFE領域に付着する薬剤は留まろうとす
る反面、アルマイト領域に付着している薬剤は一定の振
動で剥離作用が働く。このため、残薬はPTFE領域で
生じやすい。この場合も、薬剤の凝集力が大きいと、ア
ルマイト領域に付着している薬剤は一定の振動で剥離作
用が容易に働くため、PTFEエリアに付着する薬剤を
も巻き込んで剥離する。その結果全体の残薬量が減少す
る。
【0051】アルマイトに金属イオンを含浸した処理材
についても、接触電位差による影響が高い場合と、静電
気(クーロン力)による影響が高い場合に、2種の表面
材料が交互に作用しあい、多種にわたる薬剤に対して残
薬量を全体的に軽減させるものと考えられる。
【0052】このようにアルマイトにフッ素系樹脂や金
属イオンを含浸したホッパーは、外的応力を付与するこ
とで、一時的に付着する薬剤を容易に剥離することがで
きる。外的応力とは、ホッパーに打撃や振動を加えた
り、あるいは掃除機による吸引などをいう。
【0053】また、アルマイト処理面に含浸する材料と
しては、後の複合材料2で詳しく説明するが、例えば、
銅、金、銀、ニッケル、錫、チタン等の金属材料でもよ
い。薬剤付着防止対策には、特に、銀や酸化チタンが効
果的である。これらの含浸材料は、前述したように接触
電位差による影響が高い場合と静電気(クーロン力)に
よる影響が高い場合に2種の表面材料が互いに作用しあ
い、多種にわたる薬剤に対して残薬量を全体的に軽減さ
せるものと考えられる。
【0054】前述した表面処理を施すこのとき注意しな
ければならないことは、電極を薬剤の付着とは無縁の位
置に設けることである。
【0055】なお、含浸処理は、普通アルマイト、硬質
アルマイトを問わず、可能である。
【0056】含浸する樹脂は、PTFE、PFAの他、
ポリエチレンなども可能であるが、PTFEが一般的で
ある。含浸方法も樹脂材料に応じてそれぞれの手法があ
る。
【0057】樹脂を含浸した場合、樹脂がベース面に形
成される孔から抜けないように封孔処理する方が、品質
が長期にわたり安定するので好ましい。
【0058】薬剤の粉体の非付着性は、酸化アルミAl
のベース面と、該ベース面の孔に含浸された樹脂
例えばフッ素樹脂の面との複合面により粉体と面の間の
接触電位差が小さくなることにより、向上する。
【0059】基本的に、粉体の非付着特性は、酸化アル
ミAlのベース面と樹脂の面から形成される複合
面の粉体に対する接触電位差が大きいか、小さいかが焦
点である。フッ素樹脂の非付着特性が直接影響して粉体
の非付着特性が高まるのでは無い。酸化アルミAl
のベース面に対するフッ素樹脂の面の割合が高まる
と、フッ素との接触で生じる接触電位差の影響を大きく
受けるため、粉体の非付着特性が悪化する。
【0060】一般的に単一材料の場合、金属は接触電位
差が高くなる傾向があるが、アルミはその中でも接触電
位差が小さく、酸化することで更に接触電位差を小さく
抑えることができる。
【0061】
【表1】接触電位差
【0062】樹脂は、一般的に接触電位差は低いが、絶
縁性が高いものが多く、逆に粉体が接触離反を繰り返す
うちに帯電し、その影響で粉体が付着する。
【0063】酸化アルミAlのベース面は絶縁体
であるが、表面下の中層はアルミ又はアルミ合金で良導
電性が高い。このため、膜厚50μm前後のアルマイト
処理では、帯電が原因として粉体が付着することはな
い。含浸された樹脂との間で発生する静電気は、樹脂の
粒子が非常に小さいため、大きな静電容量として機能し
ないた。このため、仮に帯電したとしても、薄い皮膜裏
面に電子が移動するため、樹脂を含浸したアルマイト処
理表面に高い静電気を帯びることはない。
【0064】<複合材料2>次に、投入ホッパー1の表
面に用いる複合材料2は、粉体の非付着性の効果が確認
できる金属の含浸材料として酸化チタンと銀イオンを使
用し、これをアルマイト表面に含浸したものである。
【0065】含浸工程で銀イオンを含浸させるには、銀
を陽極板として処理槽に入れ、電流を流し、含浸処理溶
液に銀をイオン溶解させて、その溶液にアルマイト処理
した処理材を入れて陰極電圧を印加すると、アルマイト
層に生じた孔にイオン化した銀が含浸する。この銀イオ
ンを含浸した表面は、材質の影響により、粉体の非付着
特性の善し悪しが大きく作用する。
【0066】アルマイトは硬質アルマイト処理したもの
で、表面に形成される孔は比較的緻密に形成される。
【0067】比較的粉体の非付着特性が良いものは、A
1100−O材(焼きなまし材)A2017−O材(焼
きなまし材)に含浸したもので、前記PTFE樹脂を含
浸したものと同等の効果がある。同じA2017材で
も、熱処理品T5、T6(高温急冷人工時効硬化処理、
溶体化処理後に人工時効硬化処理)やF(製造のままの
もの)では、逆に非付着特性が悪化する。また、A50
52−O材や6061−O材も非付着特性が良くない。
このことは、合金副材料の影響を大きく受けているもの
と考えられる。例えばA2017材の場合、アルマイト
処理過程で、Cu金属がイオン化しながらアルマイトを
形成するため、表面状態も荒れやすく、孔の数や密度、
大きさが変化し、銀を含浸させると、表面に広がる銀の
分布割合が増減する。銀の割合が増加すると、表面の接
触電位差が上がり、粉体を付着させるものと考えられ
る。
【0068】酸化チタンを含浸させたものは、酸化チタ
ンの接触電位差が元々低いため、材料の性質的影響を受
けにくい。
【0069】このように、粉体の非付着特性を向上させ
るには、接触電位差が元々低い材料を使用した複合材を
使用することで効果があることが分かった。また、銀イ
オンを含浸するものは、アルマイト表面の導電性が向上
して、静電気の帯電電位が低くなり、静電気による付着
についても改善された結果、粉体の非付着特性が向上し
たものと考えられる。
【0070】これらの酸化チタンや銀イオンを含浸した
場合も、含浸処理後にベース面に形成される孔から抜け
ないように封孔処理する方が、品質が長期にわたり安定
するので好ましい。
【0071】以上説明した複合材料1や複合材料2から
なる表面処理は、図9に示す包装部17の包装ホッパー
18にも採用することができる。包装ホッパー18は、
包装部17のヒーターローラ19で加熱された乾燥空気
の影響で静電気が発生し易く、且つ散薬を包装ホッパー
18内に一時貯留させながら包装部17に供給するよう
に構成されているので、粒子の微細な薬剤が包装ホッパ
ー18内部に付着しやすい。しかし、包装ホッパー18
にも前述した表面処理を施すことで、包装ホッパー18
内部に付着する粒子の微細な薬剤の量が減少する。仮に
微細な薬剤が包装ホッパー18内部に残っても、処方間
で行う打撃装置の打撃によってほとんどの薬剤を容易に
落とすことができる。
【0072】この包装ホッパー18の薬剤の非付着性を
更に向上させる手段として、超音波振動素子を包装ホッ
パー18に固着して振動させると効果的に思えるが、材
質がアルミになると超音波振動素子の振動共振効率が半
減する問題がある。そこで図9(a)に示すように包装
ホッパー18の外側面にステンレス板20を張り付け、
振動作用を包装ホッパー18全体に拡散するようにする
と、ある一定の値までは超音波振動素子21の振動共振
効率が回復する。しかし、ステンレスホッパーに直接付
ける場合に較べ超音波振動素子21の振動共振効率は良
くない。そこで、包装ホッパー18として、アルミナセ
ラミックスを成形して焼成した後、フッ素を含浸させた
もののを使用し、その外側面に直接、超音波振動素子2
1を取り付けると、コスト的に高価となるが特性は優れ
たものが期待できる。
【0073】前述した包装ホッパー18は、基材が金属
やセラミックであるため、ヒーターローラ19付近の熱
で溶けたり、型くずれしたりしない上、樹脂成形品のよ
うに燃えることもない。しかし、ヒーターローラ13の
熱により包装ホッパー18が約60℃程度に温度上昇す
ると、包装ホッパー18内に溜まったり滑り落ちる散薬
も温度上昇して包装ホッパー18の内表面に付着しやす
くなる。特に、ジゴシン散、バイシリン、フェバノー
ル、メジゴン等は付着しやすい。そこで、図9(b)に
示すように、包装ホッパー18の外面にヒートパイプ2
2を配設し、その吸熱側が包装ホッパー18の下部に放
熱側が包装ホッパー18の上部になるように取り付ける
とともに、発熱側にヒートシンク23を取り付けて、包
装ホッパー18を冷却するようにしてもよい。あるいは
図9(c)に示すように、包装ホッパー18の近傍にフ
ァン24を設けて包装ホッパー18に設けたフィン25
に沿って送風し、包装ホッパー18を冷却することもで
きる。
【0074】基本的に、酸化物系材料は、接触電位差の
値が小さくなるため、金属酸化物を形成し易いアルミや
マグネシウム、チタンを使用することが好ましい。
【0075】加工や材料特性を考慮すると、アルミが薬
剤付着防止に有望で、ホッパーを深絞り加工するなど
で、生産コストを抑えることも可能となる。
【0076】また、へら押し加工も、生産コストを抑え
る上で有望である。
【0077】2.振動フィーダトラフ 振動フィーダートラフ3は、ステンレスの表面を電解研
磨してすりガラス状に表面を仕上げたものが一般的であ
る。このようなトラフ3では、図11に示すように、乳
酸カルシウムがトラフ3の表面に編み目模様に残る現象
が確認されている。このような残薬が発生すると、患者
が服用する薬剤が実際に投与する量より目減りすること
になる。このような現象を包装機における薬剤回収率と
いう。通常、粉末系の薬剤ほど回収率が悪くなるが、ま
れに顆粒などでは分配中の跳ね等で回収率が落ちること
がある。
【0078】前述したトラフ3の表面に編み目模様に薬
剤が残る現象を解決するためには、基本的に非付着性処
理を表面に行えばよいのであるが、表面の状況に対して
逆に非付着特性が悪化することがある。
【0079】例えば、塗装の場合には、塗装剤にPTF
E樹脂を混合し、さらにセラミックなどの粉体を混合し
て表面硬度を強化する。このような塗装剤で処理する
と、図13に示すように、吹き付けで生じる表面の凹凸
に細かい粉体粒子が入り込んで、うっすら全体に付着し
てしまい、非付着特性が悪化する。
【0080】また、PTFE樹脂を多く混入すると、今
度は静電気の影響により振動フィーダの振動で帯電して
しまい、うっすら全体に粉体付着が生じる。
【0081】PTFE樹脂の混入率は15%〜30%位
が好ましい。塗装膜厚については、30μmを越えると
徐々に静電気の影響を受けやすくなる。これは、基材が
金属であっても塗装表面の帯電した電子が基材を通じて
移動しにくくなるのが原因と思われる。
【0082】塗装表面の状態を滑らかに仕上げるには、
スクリーン印刷によって塗布することが好ましいが、塗
装材の粘度を低く抑えることができれば、吹きつけによ
る塗装でも効果はあるが、膜厚が厚くならないように注
意しなければならない。例えば、印刷によって塗布した
もので、フッ素樹脂が入ったカラー鋼板がある。
【0083】通常このような材料は、ガスレンジなどの
表面化粧板として使用されるが、この材料を使用してト
ラフを製作すると、従来、発生した乳酸カルシウムがト
ラフ表面に編み目模様に薬剤が残る現象が解消される
上、清掃性に優れることが判明した。
【0084】この鋼板の構成は、図12に示すように、
鋼板31表面にアルミ−亜鉛合金メッキ32を施し、さ
らにその上に化成被膜33を施し、その表面の化成被膜
33にプライマー34を介してフッ素樹脂塗装35をス
クリーン印刷したものを200℃前後で焼成したもの
で、裏面は、コストの安いポリエステル樹脂塗装36を
スクリーン印刷している。
【0085】また、このようなフッ素樹脂入りカラー鋼
板は、溶接するなどの加工ができないため、トラフに採
用する場合、振動素子との機構的接続や切断面の錆びな
どが問題となる。そこで、絞り加工でトラフを成形し、
図14に示すように、通常の切断部を曲げ返しにしてカ
ール部37を形成することで切断面が表面に出ないよう
にすると共に、振動素子との機構的接続用の耳部38を
折り曲げ加工で成形すれば、これらの問題点は解消でき
る。
【0086】トラフ3の表面処理として、アルマイトに
フッ素樹脂を含浸させる処理も考えられる。
【0087】このような含浸処理の場合も、トラフ3の
表面に編み目模様に薬剤が残る現象を解決することがで
きるが、振動や薬剤の量によっては若干編み目模様に薬
剤が残る現象が発生する場合がある。しかし、掃除機等
で容易に清掃することができる。
【0088】なぜ、アルマイトにフッ素樹脂を含浸させ
る処理の場合には振動や薬剤の量によって編み目模様に
薬剤が残る現象が発生することがあるのか、その原因は
表面の平滑度に関係すると思われるが、現時点では原因
が究明されていない。アルマイトにフッ素樹脂を含浸さ
せる処理の場合、幅約2〜5μm、深さ1〜3μmくら
いの僅かな溝が表面に無数に存在する。また、トラフ3
の共振によりトラフ3の表面部に振動の強弱エリアが発
生し、トラフ3上の乳酸カルシウムに含まれる微量の乳
酸が振動により液化して乳酸カルシウム粉体粒子の表面
に膜を張ったように浮いてくる。このような状況から想
定すると、前記表面の無数の溝が平面部に比較して乳酸
カルシウムの付着作用が高まり、振動や薬剤の量で、処
理面に乳酸カルシウムが部分的に付着したり、しなかっ
たりするものと考えられる。
【0089】このように、トラフ3の表面に存在する無
数の溝によって多少の非付着特性が悪化するようではあ
るが、掃除機などで清掃すると編み目模様に残る薬剤は
容易に吸引除去することができる。
【0090】このため、図15に示すように、清掃装置
のトラフクリーナーノズル39をトラフ3の表面に沿っ
て自動で移動させることで、表面処理との相乗効果でコ
ンタミ(汚染)を防止することができる。また、このト
ラフクリーナーノズル39を落下センサー39aのレン
ズ部分まで移動させると、落下センサー39aに微粉末
が付着して検出不可状態に陥って分配工程からいつまで
も移動しないといった従来の問題も解消できる。
【0091】このトラフクリーナーノズル39を動作さ
せるには、図16に示すような動作手順が必要となる。
まず、供給動作が完全に終了すると、投入ホッパー1は
トラフ3から一時退避する。次に、清掃装置の掃除機が
吸引を開始し、トラフクリーナーノズル39が降下して
トラフ3の表面に接触する。トラフクリーナーノズル3
9の接触部はCRスポンジやブラシなど、やわらかいも
のを採用するとよい。次に、トラフ表面をトラフクリー
ナーノズル39が移動し、末端部を図示しないセンサー
が検出するとそのまま、反対方向に移動を折り返す。続
いて、トラフ先端部を検出すると、トラフクリーナーノ
ズル39はそのまま落下センサー39aのレンズまで清
掃して、定位置に戻る。清掃動作の最後がトラフ先端部
から落下センサー39aのレンズとした理由は、スポン
ジやブラシに付いた薬剤が吸引されずにトラフ3上に残
ることを防止するためである。トラフクリーナーノズル
39が定位置を検出すると、またはその定位置に近づい
ている過程で、投入ホッバー1を定位置に戻す。トラフ
クリーナーノズル39と投入ホッパー1が定位置を検出
すると、次処方受け入れ信号を発生する。この信号によ
り、次の処方処理が可能となったことを表示したり、待
機投入装置に投入薬剤を待機させれば、自動投入させる
ことなどができる。
【0092】フッ素樹脂入りカラー鋼板の場合、処理表
面特性が非常に優れており、マスク印刷で20μmほど
の膜厚に抑えて塗布しているため平滑性が高く、表面に
露出するPTFEの分布が一定である。このため、トラ
フ3の共振により発生するトラフ3の表面の振動の強弱
エリアのうち振動が強い場所でも、非付着特性は保証で
き、編み目模様に乳酸カルシウムが残ることはない。
【0093】トラフ3の表面にフッ素樹脂入りカラー鋼
板を使用する場合、成形方法が深絞りプレス加工に限定
され、小ロットで供給する場合には金型などのコストが
跳ね上がり現実的ではない。そこで、このような小ロッ
トに対応する処理として、フッ素樹脂を約15%以上表
面に分散させる分量だけ粘性の低い塗装材に混入し、2
0μm前後に吹き付け、220度の温度で焼き付ける。
これにより、表面にフッ素樹脂の非付着特性を兼ね備え
た表面に仕上がり、前記フッ素樹脂入りカラー鋼板と同
様に目模様に残る薬剤は発生しない。
【0094】なお、フッ素樹脂入り塗装材は、塗装材や
表面硬度等を保護するための副材料の条件によって特性
が大きく左右されるが、基本的に表面の平滑度と非付着
性材料の表面分布割合と静電気による帯電性のバランス
がとれるていることが好ましい。
【0095】3.掻き出し装置 図18に示すように、掻き出し装置40は、R円盤上に
堆積する散薬を堰き止めて掻き寄せるための丸ゴムディ
スク41と、掻き寄せた散薬を包装部19(図9参照)
に掻き出すための掻き板ゴム42と、掻き寄せた薬剤が
次の分の領域に零れないようにガードする仕切ゴム43
とから構成されている。
【0096】これらの部品は、従来ステンレスにシリコ
ンゴムを焼き付けて使用していたが、ステンレス部分に
粉体が付着する問題があった。このため、ステンレスや
シリコンゴム部分に付着した薬剤を除去するために、ゴ
ムへらやブラシ等で除去しているがあまり効果はなく、
調剤師が掃除機を使用して手動で清掃している。
【0097】本発明の場合、図17に示すように、丸ゴ
ムディスク41をアルミ材料からなる2枚の有孔円板4
4,45と環状のシリコンゴム46とで構成した。丸ゴ
ムディスク41は、一方の円板44の孔44aの縁に形
成した環状突起447を他方の円板45の孔45aに圧
入し、2つの円板44,45の外周縁に円錐面状に形成
した焼き付け面44b,45bの間にシリコンゴム46
を挟持するようになっている。従来、シリコンゴムの焼
き付け強度を保つため、余分な焼き付けしろを設けてい
たが、シリコンゴムの露出面積が多いと薬剤の付着も多
くなるため、本発明では、シリコンゴム46の幅と直径
方向の消耗しろのみ露出するようにした。さらに、アル
ミ材からなる2つの円板44,45の表面をアルマイト
処理すると共に、そのアルマイト層にテフロンを含浸処
理した。
【0098】このような表面処理を行うと薬剤の付着強
度が低下するため、図18に示すように掃除機のノズル
48を接近させるだけで、付着した薬剤を除去すること
が容易にできる。すなわち、掻き出し装置の原点位置に
掃除機ノズル48を設け、掻き出し工程が終了すると、
丸ゴムディスク41、掻き板ゴム42および仕切ゴム4
3の表面の薬剤を自動でクリーニングすることができ
る。
【0099】掃除機ノズル48を設けた理由は、打撃に
よる落下は、比較的大きな粒子には効果があるが、掻き
出し装置40の動作中に発生する煙幕状の散薬微粒子に
は効果が全く望めない上、薬剤を落下させた後の処理に
問題があるためである。
【0100】掃除機ノズル48に掻き出し装置40が接
近すると、掃除機ノズル48が吸引を開始し、同時に掻
き出し装置が回転する。掻き板ゴム42が掃除機ノズル
48の吸引口に接近する毎に吸引口が離反、接近を繰り
返すようにすると、掻き出し装置40のボス部分に渡り
清掃できるので好ましい。
【0101】また、清掃効果を向上させるため、掃除機
ノズル48付近にブラシ49を設けると清掃効果が向上
する。
【0102】このブラシ49は、アクリル繊維などの植
毛対であっても良いし、CRスポンジを使用してもよ
い。また、異物混入を避ける上で、ブラシ49などの清
掃器具の設置位置は、R円盤の上面から外れた位置とす
ることが好ましい。
【0103】本発明の場合、アルミにフッ素樹脂を含浸
させた表面処理を採用しているが、条件によっては鋼板
表面にフッ素樹脂を塗料と共に混入したものをマスク印
刷して表面精度を向上させたものでも、薬剤との接触電
位差が小さくなるものであるなら問題ない。
【0104】4.V桝円盤 従来、V桝円盤はステンレスを採用していたが、薬剤が
桝内面に付着するため、包装処理工程で回収できない薬
剤が多かった。この回収率を上げるため、掻き落としへ
らを使用して付着した僅かな薬剤をR円盤に落としてい
る。また、外リングは、開閉動作の時、内円盤を傷つけ
るため長年使用すると、薬剤付着量も増加する問題があ
った。
【0105】このため、図19に示すようにV桝円盤5
0の内リング51に、厚さ3mmのアルミ合金A505
2材を採用し、硬質アルマイト処理した後、フッ素含浸
処理することで、薬剤の非付着性を高める。また、V桝
円盤50の外リング52に、厚さ1mmのアルミ合金A
5052材を採用し、硬質アルマイト、又は普通アルマ
イト処理した後、フッ素含浸処理する。これらの成形加
工は、へら押し、又はプレス加工する。
【0106】このようにV桝円盤を加工することで、外
リング52の開閉動作の時、付着した薬剤が衝撃で落下
するため、回収率が向上し、掻き落としへらを必要とし
ない。
【0107】また、V桝円盤50の内リング51の非付
着性処理は、硬質アルマイト処理した後、フッ素含浸処
理するものが最適であり、ニッケルフッ素共析鍍金など
と比較しても付着性や表面硬度から考えても有利であ
る。特に、ニッケルフッ素共析鍍金の表面は、硬質アル
マイト処理にフッ素含浸処理するものに較べて、接触電
位差が高い値を示し、V桝円盤50の開閉動作による衝
撃では容易に薬剤を落とすことができない。
【0108】また、塗装系の非付着性処理も表面硬度が
確保できないため、V桝円盤50の非付着性処理として
好ましくない。
【0109】なお、V桝円盤50のアルミ合金材とし
て、A5052材を採用している理由は、硬質アルマイ
トの硬度が非常に硬く仕上がるためである。
【0110】V桝円盤50の外リング52の場合、硬質
アルマイト処理した後、フッ素含浸処理するものでも良
いが、硬い材料同士が衝撃的接触を繰り返すと、双方が
摩耗するため、V桝円盤50の外リング52は、普通ア
ルマイト処理した後、フッ素含浸処理したものを採用
し、外リング52の接触円が摩耗するようにすることが
好ましい。なお、アルマイト処理が相違するため、通常
であればV桝円盤50の内リング51と外リング52の
色が相違することになる。しかし、A5052材を使用
すると、アルマイト処理が相違するにも関わらず、色相
がシルバー系にそろって違和感はない。例えばA606
3材などを使用すると、V桝円盤50の内リング51が
暗い浅黄色に仕上がり、外リング52がシルバーに仕上
がる。
【0111】この色の差を抑えるには、V桝円盤50の
内リング51のアルマイト膜厚を20〜30μmにする
ことで、違和感を抑えることはできるが、色相の相違は
容易に確認することができる。
【0112】図20は、V桝円盤50のクリーナ53を
示すものである。図19に示すように、V桝円盤50と
その下部に配置されるR円盤54の回転軸が互いにずれ
た位置でV桝円盤50に薬剤を分配し、分配終了後、前
記V桝円盤50の回転軸とR円盤54の回転軸を同芯上
に移動した位置でV桝円盤50の底を開放し、分配した
薬剤をR円盤54上に落下させる。薬剤の受け渡しが済
むと、V桝円盤50は分配位置に戻り、次の処方に備え
る。ここで、図20に示すように、モータ55によりV
桝ダクト56が回転してV桝円盤50にCRスポンジ5
6aが接触する。この動作と共に、モータ55により駆
動伝達ベルト57、スカートノズル回転ギア58を介し
てスカートノズル59が回転して、V桝円盤50の内リ
ング51のスカート部分にCRスポンジ59aが接触す
る。この状態で、図示しないバキューム装置を作動さ
せ、V桝円盤50を回転してV桝円盤50のクリーニン
グを行う。終了後、V枡ダクト56とスカートノズル5
9は元の位置に戻る。
【0113】このように、V桝円盤50をアルマイト処
理した後、フッ素含浸処理することで、清掃性も向上す
るため、従来以上に薬剤が残らず、このためコンタミを
防止することができるようになった。
【0114】5.V桝 図21に示すように、V桝60に薬剤を撒いて表面を平
らに均し、V桝60の底部を開放して下方の分割器70
に薬剤を落とし、分割器70内の薬剤を包装ホッパー1
8を介して包装部に落として1包ずつ包装する装置に、
非付着性処理を施す場合を考える。
【0115】従来、V桝には硬質アルマイト処理を行っ
ていたが、薬剤の非付着性はあまり良くもなく悪くもな
い状態で、微粉末系の薬剤は表面に付着していた。この
ように、表面にうっすら残る薬剤は、掃除機で清掃して
処理しているが、当然のことながら薬剤の回収率は悪化
する。
【0116】そこで、本発明では、V桝60に硬質アル
マイト処理した後、フッ素含浸処理を行ったが、V桝6
0の底部を開放した時に薬剤は完全には落ちず、やはり
表面にうっすらと微粉末系の薬剤が残った。但し、清掃
性は非常に向上し、ノズルを接近させるだけでうっすら
と残る薬剤が除去できた。
【0117】V桝60に前記表面処理を施しても薬剤が
さほど落ちない理由は、V桝60の開閉動作が静かに動
作するものであり、この開閉動作時に振動が発生しない
ことによると考えられる。
【0118】そこで、図21に示すように、V桝60を
支持部材61を介して共振バネ材62で支持し、開閉動
作時にソレノイド等で打撃を付与する。これにより、表
面にうっすら付着する薬剤が、打撃力にもよるが8割方
落とすことができた。つまり、このような表面処理は、
表面の非付着性を高めた上で、振動を付与することによ
り効果が増大するものであり、表面処理のみで薬剤の非
付着性を改善することはできない。
【0119】V桝60を振動させる手段として、V枡6
0の前板63の支持板64に複数の溝65を形成し、V
枡60の適宜の固定部分に弾性片66を取り付けてその
先端部に設けた突起66aを前記溝65に接触するよう
にして、V枡60の開閉時に突起65aが溝65を順次
乗り越えるときにV桝60全体が振動するようにしても
よい、また、V枡60をソレノイド打撃装置で打撃した
り、超音波振動素子で振動させてもよい。このとき振動
が長く効果的に働くように、V桝60の支持を板バネな
どで受けると効果的である。さらに、集塵ダクト67
で、付着した薬剤を吸引してもよい。
【0120】V桝60の表面処理は、表面硬度が要求さ
れないため、塗装系の表面処理でもかまわないが、振動
を付与しない場合、あまり効果が期待できない。
【0121】V桝60の他に、表面を均す均しへらも表
面処理し、使用後へらの軸を叩くと薬剤が容易に落とせ
るため効果的である。
【0122】7.分割器 分割器70についても、非付着性処理が効果的である。
【0123】コストをかけずに、アルマイト層にフッ素
含浸処理を行うには、図23に示すような部品で構成す
ると可能となる。すなわち、2つの端面ブロック板7
1、2つの側面ブロック板72、多数の仕切板73およ
びシャッター74で構成し、これらの材料をアルミ材で
製作し、図の形状にプレス加工する。側面ブロック板7
1に設ける仕切板用支持溝76は、300屯刻印プレス
で形成する。側面ブロック板72の外周部に設けたスリ
ット76は反りを防ぐものである。
【0124】仕切板73は、肉厚がシャッター74側で
薄く、上に向かって厚くなるように、テーパを有してい
る。このため、図24のように組み付けた状態では、分
割器70の隣接する仕切板73の側面間の間隔は、図2
2(b)に示すように、シャッター74側が広く、上に
向かって狭くなっている。シャッター74は、側面ブロ
ック板72に設けたシャッター支持板77の軸孔77a
に回動可能に軸支され、側面ブロック板72に設けた磁
石78によって吸着されて分割器70の底を閉鎖するよ
うになっている。
【0125】出願人は、分割器70の残薬を解消するた
め、清掃装置に関する特願平09-67831の出願を行ってい
る。前述の非付着性処理とこの清掃装置の発明を採用す
ることで、全くと言って良いほどコンタミは解消され
た。
【0126】しかし、この分割器70のシャッター74
を開いた場合、分割器70自体は、V桝60の時と同様
振動することはない。つまり非付着性処理を分割器70
に施しても、分割器70内面に微粉末系薬剤がうっすら
と付着する現象が発生し、その残った薬剤は、清掃装置
で除去され、当然薬剤の回収率は落ちることになる。
【0127】この問題を解決するために、分割器70に
振動を与えることが好ましい。例えば、分割器70の長
手方向に複数の溝を形成し、先端部に突起を設けた弾性
片を摺動させて、その突起を前記溝に接触させることに
より、分割器に振動を与える方法が好ましい。また、シ
ャッター74やその開閉機構に打撃装置を設けたり、超
音波振動素子を設けるなどの手段が考えられる。このよ
うな手段を設けることで、非付着性処理が効果的に作用
する。
【0128】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、散薬包装装置の散薬接触部材に非付着性アル
マイト層を形成したので、散薬が付着しにくくなり、薬
剤を確実に除去することができ、振動装置や清掃装置と
の相乗作用により、散薬の付着を効果的に除去すること
ができ、コンタミ防止と、回収率の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の散薬接触部材としての投入ホッパー
とその振動機構を示す正面図。
【図2】 散薬付着状況を示すホッパーの断面図。
【図3】 散薬付着状況を示すホッパーの断面図。
【図4】 非付着性アルマイト層の一例を示す図。
【図5】 非付着性アルマイト層の他の例を示す図。
【図6】 ホッパーの成形工程を示す図。
【図7】 アルマイト処理の工程図。
【図8】 成膜表面を示す図。
【図9】 (a)は、ホッパーの振動装置を示す側面
図、(b)は、冷却手段としてヒートパイプを取り付け
たホッパーの側面図、(c)は、冷却手段としてファン
およびフィンを取り付けたホッパーの側面図。
【図10】 含浸処理槽を示す概略図。
【図11】 散薬付着状態を示すトラフの平面図。
【図12】 トラフの非付着性層の断面図。
【図13】 散薬付着状態を示すトラフの平面図。
【図14】 トラフの平面図、側面図、一部拡大図。
【図15】 トラフと清掃装置の正面図。
【図16】 トラフの製造装置の動作を示すフローチャ
ート。
【図17】 掻出装置の製造工程図および分解断面図。
【図18】 掻出装置の斜視図。
【図19】 V枡円盤と分配円盤の斜視図。
【図20】 V枡円盤の断面図。
【図21】 V枡の断面図。
【図22】 分割器の拡大図。
【図23】 分割器の全体分解斜視図。
【図24】 分割器の全体斜視図。
【図25】 従来の散薬接触部材としての分配円盤と掻
取装置の斜視図。
【図26】 散薬粒子の拡大図。
【符号の説明】
1 投入ホッパー 3 振動フィーダトラフ 4 アルミ母材 5 アルマイト層 6 孔 7 テフロン樹脂 18 包装ホッパー 54 R円盤 40 掻き出し装置 60 V枡 70 分割器

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分配円盤上に散薬を均一に堆積させ、該
    分配円盤上の散薬を1服用分づつ掻き出して包装する散
    薬包装装置における散薬が接触する散薬接触部材におい
    て、前記散薬接触部材の散薬接触面に散薬を付着させな
    い非付着性アルマイト層を設けたことを特徴とする散薬
    包装装置の散薬接触部材。
  2. 【請求項2】 前記散薬接触部材はアルミニウムからな
    ることを特徴とする請求項1に記載の散薬接触部材。
  3. 【請求項3】 前記散薬接触部材は合成樹脂の表面にア
    ルミニウム層を設けたものであることを特徴とする請求
    項1に記載の散薬接触部材。
  4. 【請求項4】 前記非付着性アルマイト層は、アルマイ
    ト皮膜に4フッ化樹脂を含浸させてなることを特徴とす
    る請求項1から3のいずれかに記載の散薬接触部材。
  5. 【請求項5】 前記散薬接触部材は、ホッパーであっ
    て、該ホッパーに、振動を付与する振動付与手段を設け
    たことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の
    散薬接触部材。
  6. 【請求項6】 前記散薬接触部材は、ホッパーであっ
    て、該ホッパーに、散薬接触面を清掃するクリーナ装置
    を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに
    記載の散薬接触部材。
  7. 【請求項7】 前記散薬接触部材は、ホッパーであっ
    て、該ホッパーに冷却手段を設けたことを特徴とする請
    求項1から4のいずれかに記載の散薬接触部材。
  8. 【請求項8】 分配円盤上に散薬を均一に堆積させ、該
    分配円盤上の散薬を1服用分づつ掻き出して包装する散
    薬包装装置における散薬が接触する散薬接触部材の製造
    方法において、 散薬接触部材の散薬接触面に、アルマイト皮膜を形成
    し、該アルマイト皮膜に4フッ化樹脂を含浸させる非付
    着性処理工程を有することを特徴とする散薬接触部材の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 前記散薬接触部材は、アルミニウム焼結
    する工程により形成することを特徴とする請求項8に記
    載の散薬接触部材の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記散薬接触部材は、アルミニウムダ
    イキャストする工程により形成することを特徴とする請
    求項8に記載の散薬接触部材の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記散薬接触部材は、アルミニウム鋳
    造する工程により形成することを特徴とする請求項8に
    記載の散薬接触部材の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記散薬接触部材は、樹脂成形により
    母材を成形し、該母材の表面にアルミニウムを溶射して
    アルミニウム層を形成し、該アルミニウム層を研磨する
    工程により形成することを特徴とする請求項8に記載の
    散薬接触部材の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記散薬接触部材は、樹脂成形により
    母材を成形し、該母材の表面にラミネート樹脂層を形成
    し、該ラミネート樹脂層に片面にラミネート樹脂を施し
    たアルミシートのラミネート樹脂を熱溶着する工程によ
    り形成することを特徴とする請求項8に記載の散薬接触
    部材の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記散薬接触部材は、基材の表面にラ
    ミネート樹脂層を形成し、該ラミネート樹脂層に片面に
    ラミネート樹脂を施したアルミシートのラミネート樹脂
    を熱溶着し、該熱溶着工程と同時またはその後に成形す
    る工程により形成することを特徴とする請求項8に記載
    の散薬接触部材の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記散薬接触部材は、アルミニウムの
    溶融温度以上の融点を有する非アルミニウム金属で母材
    を成形し、該母材の表面をアルミニウムで溶融メッキし
    てアルミニウムメッキ層を形成し、該アルミニウムメッ
    キ層を研磨する工程により形成することを特徴とする請
    求項8に記載の散薬接触部材の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記非付着性処理工程は、散薬接触部
    材の表面にアルマイト皮膜を形成し、該アルマイト皮膜
    に細孔部またはクラックを形成し、該細孔部またはクラ
    ック以外をマスキングし、前記細孔部またはクラックに
    4フッ化樹脂を含浸させる工程からなることを特徴とす
    る請求項8から15のいずれかに記載の散薬接触部材の
    製造方法。
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