JP2001315462A - 平版印刷版原版 - Google Patents

平版印刷版原版

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JP2001315462A
JP2001315462A JP2000135491A JP2000135491A JP2001315462A JP 2001315462 A JP2001315462 A JP 2001315462A JP 2000135491 A JP2000135491 A JP 2000135491A JP 2000135491 A JP2000135491 A JP 2000135491A JP 2001315462 A JP2001315462 A JP 2001315462A
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Japan
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aluminum
printing plate
recording layer
group
lithographic printing
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JP2000135491A
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Katsuyuki Teraoka
克行 寺岡
Hisashi Hotta
久 堀田
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 赤外線レーザー露光により書き込み可能であ
り、耐刷性に優れ、非画像部の印刷汚れ性が良好なヒー
トモードポジ型の平版印刷版原版を提供する。 【解決手段】 アルミニウム基体上に、電解粗面化方法
により直径0.7〜3.0μmのピットを形成した後、
酸又はアルカリによって0.05〜0.18g/m2
範囲でエッチング処理し、その後、陽極酸化皮膜を形成
してなる支持体上に、赤外線レーザ露光により書き込み
可能な記録層を設けてなることを特徴とする。記録層
は、赤外線吸収剤、水不溶性且つアルカリ水溶液可溶性
高分子化合物を含有し、光照射や加熱により発生する熱
エネルギーにより、アルカリ現像液に対する可溶性が向
上するものが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版原版に
関するものであり、特に、光熱変換によってレーザー光
を熱に変換し、発生した熱により記録層のアルカリ現像
処理液に対する溶解性を向上させて記録を行うヒートモ
ードポジ型の感熱記録層を設けた平版印刷版原版に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、画像形成技術の発展に伴い、細く
ビームを絞ったレーザー光をその版面上に走査させ、文
字原稿、画像原稿などを直接版面上に形成させ、フイル
ム原稿を用いず直接製版させる技術が注目されている。
このような画像形成材料としては、感光層中に存在する
赤外線吸収剤がその光熱変換作用を発現し、露光により
発熱し、その熱により感光層の露光部分が可溶化し、ポ
ジ画像を形成する所謂サーマルタイプのポジ型平版印刷
版が挙げられる。
【0003】このようなサーマルタイプの画像形成にお
いては、レーザー光照射によって感光層中で光熱変換物
質により熱が発生してその熱が画像形成反応を引き起こ
す。このような平版印刷版の支持体としては、アルミニ
ウム支持体が広く用いられている。アルミニウム支持体
は、記録層との密着性を向上し、記録層が除去された後
の非画像部領域に親水性を付与するため、表面に粗面化
処理がなされるのが一般的である。このような基板の粗
面化処理、いわゆる、砂目立て処理方法の具体的な手段
としては、アルミニウム板表面を金属ワイヤーでひっか
くワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミ
ニウム表面を砂目立でするボールグレイン法、ナイロン
ブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法
のような機械的砂目立て法、アルカリ又は酸、あるいは
それらの混合物からなるエッチング剤で表面を粗面化す
る化学的砂目立て処理方法、及び塩酸または硝酸電解液
中で電気化学的に砂目立てする電気化学的砂目立て方法
等が挙げられ、上記砂目立て方法を単独あるいは組み合
わせて用いる方法等も知られている。
【0004】以上のような粗面化方法のうち、粗面形状
の制御が容易で、しかも、微細な粗面が得られる電解粗
面化処理が好ましく挙げられる。しかしながら、電解粗
面化処理は、処理後の表面にスマットが付着するため、
引き続き、このスマットを除去するためのエッチング処
理が必要となる。このエッチング処理は、酸またはアル
カリの水溶液によりスマット及びアルミニウム基板の表
面を溶解させるものであるが、酸をエッチング剤として
用いる場合は、スマット除去性には優れるものの、表面
の親水性が低下し、非画像部に汚れを生じやすくなる傾
向があり、アルカリをエッチング剤として用いる場合に
は、エッチング速度が速いために、スマットはもとよ
り、所望されない表面の過度の溶解が生じ、粗面化され
た表面が平滑化しすぎることにより、記録層との密着性
が低下し、耐刷性に劣る傾向があるが、このアルカリ剤
による処理では、表面の親水性は損なわれないという利
点も有する。このように、記録層との密着性を達成し得
る好ましい表面形状と、表面の親水性の維持とのいずれ
もが実用化のレベルに達するような支持体を得るのは困
難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、記録
層との密着性と非画像部の親水性の双方に優れた支持体
を用いることにより、赤外線レーザー露光により書き込
み可能であり、耐刷性に優れ、非画像部の印刷汚れ性が
良好なヒートモードポジ型の平版印刷版原版を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく鋭意研究の結果、アルミニウム支持体作成時
の、基板の粗面化処理、エッチング処理条件を調整する
ことで、好ましい物性の支持体が得られ、上記課題を解
決し得ることを見出し、本発明を完成した。即ち、本発
明の平版印刷版原版は、アルミニウム基体上に、電解粗
面化方法により直径0.7〜3.0μmのピットを形成
した後、酸又はアルカリによって0.05〜0.18g
/m2の範囲でエッチング処理し、その後、陽極酸化皮
膜を形成してなる支持体上に、赤外線レーザ露光により
書き込み可能な記録層を設けてなることを特徴とする。
この平版印刷版原版に設けられる赤外線レーザで書き込
み可能な記録層は、赤外線吸収剤、及び、熱によって結
合構造が解け、アルカリ水溶液等に可溶性となる化合物
を含有するポジ型の記録層である。
【0007】本発明の作用は明確ではないが、アルミニ
ウム基体上に所定の大きさのピットを形成することで、
好ましい凹凸形状が形成され、この粗面化の後に、陽極
酸化皮膜形成に先だって行われるエッチング処理条件を
0.05〜0.18g/m2の範囲に制御することで、
所望されないアルミニウム表面の溶出やピットの変形を
生ずることなく、スマットの除去が達成されるため、陽
極酸化皮膜の形成後も、ピットの好ましい生成条件によ
る凹凸形状が生かされることで、優れた耐刷力と非画像
部の汚れにくい性質を、安定的に併せ持った性質を有す
る平版印刷版原版が得られるものと考えられる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 <支持体>本発明に用いられる支持体は、粗面化された
アルミニウム基体上に所定の直径のピットを形成した
後、所定の条件でエッチング処理を行い、さらに陽極酸
化皮膜を形成してなることを特徴とする。 (アルミニウム基体)支持体の基板となるアルミニウム
基体としては、寸度的に安定なアルミニウムを主成分と
する金属、即ち、アルミニウムまたはアルミニウム合金
からなる。以下、本発明でアルミニウム基体と称する場
合、不可避的不純物を含有する純アルミニウム板の他、
アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金
板、又はアルミニウム(合金)がラミネートもしくは蒸
着されたプラスチックフィルム又は紙を包含するものと
する。また、本発明のアルミニウム基体として、さら
に、特公昭48−18327号に記載されているような
ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウム
シートが結合された複合体シート等を用いることもでき
る。
【0009】以下の説明において、上記に挙げたアルミ
ニウムまたはアルミニウム合金からなる基板をアルミニ
ウム基板と総称して用いる。前記アルミニウム合金に含
まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネ
シウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンな
どがあり、合金中の異元素の含有量は10重量%以下で
ある。本発明では純アルミニウム板が好適であるが、完
全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難である
ので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このよう
に本発明に基板として適用されるアルミニウム板は、そ
の組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の
素材のもの、例えばJIS A 1050、JIS A
1100、JIS A 3103、JIS A 30
05などの材料を適宜利用することが出来る。また、本
発明に用いられるアルミニウム基板の厚みは、およそ
0.1mm〜0.6mm程度である。この厚みは印刷機
の大きさ、印刷版の大きさ及びユーザーの希望により適
宜変更することができる。
【0010】〔基板の粗面化処理〕 (砂目立て処理)アルミニウム板はより好ましい形状に
砂目立て処理される。本発明に有用に使用される砂目表
面を作る方法は、塩酸または硝酸電解液中で電気化学的
に砂目立てする電気化学的砂目立て方法であり、適する
電流密度は陽極時電気量50C/dm2〜400C/d
2の範囲である。さらに具体的には、0.1〜50%
の塩酸または硝酸を含む電解液中、温度20〜100
℃、時間1秒〜30分、電流密度10A/dm2〜10
0A/dm2の条件で直流または交流を用いて行われ
る。電気化学的粗面化は、表面に微細な凹凸を付与する
ことが容易であるため、感光層と基板の密着を向上させ
る上でも不可避である。この粗面化により、平均直径約
0.7〜3.0μmのクレーターまたはハニカム状のピ
ットをアルミニウム表面に30〜100%の面積率で生
成することが出来る。ここで設けたピットは印刷版の非
画像部の汚れにくさと耐刷力を向上する作用がある。
【0011】電気化学的処理では、十分なピットを表面
に設けるために必要なだけの電気量、即ち電流と電流を
流した時間の積が電気化学的粗面化における重要な条件
となる。より少ない電気量で十分なピットを形成出来る
ことは、省エネの観点からも望ましい。粗面化処理後の
表面粗さとしてはRa=0.2〜0.7μmが好まし
い。また、前記好ましいピットの形成が達成できるもの
であれば、上記電解粗面化処理は異なる電解条件の電解
粗面化処理あるいは機械的粗面化処理と組み合わせるこ
ともできる。
【0012】(エッチング処理)このように電解粗面化
処理したアルミニウム基板は、引き続き軽度のエッチン
グ処理がおこなわれる。このエッチング処理は酸または
アルカリの水溶液によりアルミニウム表面を溶解させる
ものである。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、フッ
酸、硝酸、塩酸などが含まれ、アルカリとしては水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、第三燐酸ナトリウム、第
三燐酸カリウム、アルミン酸ナトリウム、珪酸ナトリウ
ム、炭酸ナトリウムなどが含まれる。これらの内でも特
に後者のアルカリの水溶液を使用する方がエッチング速
度が速いので好ましい。本発明者らは、エッチング処理
量と印刷性能との関係を詳細に検討した結果、電解粗面
化処理によって生じるスマットを除いたアルミニウム板
表面のエッチング量が、0.05g/m2より少ない場
合、非画像部の汚れ難さが不十分となり、0.18g/
2より多くなると、画像部の密着性が大きく低下して
耐刷力が劣化することを見出した。従って本発明におい
ては、電解粗面化処理によって生じるスマットを除いた
アルミニウム板表面を0.05〜0.18g/m2の範
囲でエッチングすることが必要であり、さらに、0.1
0〜0.15g/m2の範囲でエッチングすることが望
ましい。上記のエッチング処理量を達成するためには、
用いられる酸或いはアルカリ剤の種類、処理溶液の濃
度、温度、処理時間などを適宜調整すればよく、具体的
には、例えば、酸又はアルカリの濃度を0.05〜30
重量%、液温度15〜100℃、処理時間2秒〜300
秒の範囲が適当な条件として挙げられる。
【0013】(陽極酸化処理)以上のようにして処理さ
れたアルミニウム基板は、さらに陽極酸化処理が施され
る。陽極酸化処理はこの分野で従来より行われている方
法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、ク
ロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルフォ
ン酸等の単独あるいはこれらの二種以上を組み合わせて
水溶液または非水溶液中でアルミニウムに直流または交
流を流すとアルミニウム支持体表面に陽極酸化皮膜を形
成することができる。
【0014】この際、電解液中に少なくともAl合金
板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分はもち
ろん含まれても構わない。さらには第2、第3成分が添
加されていても構わない。ここでいう第2、3成分と
は、例えばNa、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、
V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金
属のイオン;アンモニウムイオン等の陽イオン;硝酸イ
オン、炭酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン、フッ素
イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオ
ン、硼酸イオン等の陰イオン;等が挙げられ、その濃度
としては0〜10000ppm程度含まれても良い。
【0015】陽極酸化処理の条件は使用される電解液に
よって種々変化するので一概には決定され得ないが、一
般的には電解液の濃度が1〜80%、液温−5〜70
℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100
V、電解時間10〜200秒の範囲が適当である。これ
らの陽極酸化処理のうちでも特に英国特許第1,41
2,768号明細書に記載されている、硫酸電解液中で
高電流密度で陽極酸化する方法が好ましい。本発明にお
いては、陽極酸化皮膜は1〜10g/m2であることが
好ましく、1g/m2以下であると版に傷が入りやす
く、10g/m2以上は製造に多大な電力が必要とな
り、経済的に不利である。好ましくは、1.5〜7g/
2である。更に好ましくは、2〜5g/m2である。
【0016】〔記録層〕以上のように作成された本発明
に係るアルミニウム支持体上には記録層が形成されて平
版印刷版原版が得られる。本発明の平版印刷版原版に用
いられる記録層は、赤外線レーザの照射により、アルカ
リ現像液に対する可溶性が向上するものであれば、特に
制限されない。このような、赤外線レーザ露光により直
接記録可能であり、露光部のアルカリ現像液に対する溶
解性が向上する記録層を以下、適宜、サーマルタイプポ
ジ型感光層と称する。
【0017】サーマルタイプのレーザー直描型平版印刷
版用感光層としては、公知のものを適用することがで
き、例えば、特開平9−222737号、特開平9−9
0610号、特開平9−87245号、特開平9−43
845号、特開平7−306528号の各公報、或いは
本願出願人による特願平10−229099号、特願平
11−240601号の各明細書に記載の感光層、記録
層などが挙げられる。
【0018】このようなサーマルタイプ感光層は、赤外
線吸収剤、水不溶性且つアルカリ水溶液可溶性高分子化
合物及びその他の任意成分を含有する。ポジ型の記録層
は、光照射や加熱により発生する酸や熱エネルギーその
ものにより、層を形成していた高分子化合物の結合が解
除されるなどの働きにより水やアルカリ水に可溶性とな
り、現像により除去されて非画像部を形成するものであ
る。
【0019】なお、本発明の記録層には、水不溶性、且
つ、アルカリ水可溶性の高分子が用いられるが、この高
分子化合物を、以下、適宜、単に「アルカリ水可溶性高
分子」と称する。本発明の記録層に好適な、このような
高分子化合物としては、高分子中の主鎖および/または
側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体
またはこれらの混合物を用いることが好ましい。中で
も、下記(1)〜(6)に挙げる酸性基を高分子の主鎖
および/または側鎖中に有するものが、アルカリ性現像
液に対する溶解性の点、溶解抑制能発現の点で好まし
い。
【0020】(1)フェノール基(−Ar−OH) (2)スルホンアミド基(−SO2 NH−R) (3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド
基」という。) 〔−SO2 NHCOR、−SO2 NHSO2 R、−CO
NHSO2 R〕 (4)カルボン酸基(−CO2 H) (5)スルホン酸基(−SO3 H) (6)リン酸基(−OPO3 2
【0021】上記(1)〜(6)中、Arは置換基を有
していてもよい2価のアリール連結基を表し、Rは、置
換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
【0022】上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を
有するアルカリ水可溶性高分子の中でも、(1)フェノ
ール基、(2)スルホンアミド基および(3)活性イミ
ド基を有するアルカリ水可溶性高分子が好ましく、特
に、(1)フェノール基または(2)スルホンアミド基
を有するアルカリ水可溶性高分子が、アルカリ性現像液
に対する溶解性、現像ラチチュード、膜強度を十分に確
保する点から最も好ましい。
【0023】上記(1)〜(3)より選ばれるアルカリ
水可溶性高分子としては、例えば、以下のものを挙げる
ことができる。 (1)フェノール基を有するアルカリ水可溶性高分子と
しては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮
重合体、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合
体、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、
m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重
合体、フェノールとクレゾール(m−、p−、またはm
−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドと
の縮重合体等のノボラック樹脂、およびピロガロールと
アセトンとの縮重合体を挙げることができる。さらに、
フェノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた共重
合体を挙げることもできる。或いは、フェノール基を側
鎖に有する化合物を共重合させた共重合体を用いること
もできる。
【0024】アルカリ水可溶性高分子の重量平均分子量
は、5.0×102〜2.0×104で、数平均分子量が
2.0×102 〜1.0×104 のものが、画像形成性
の点で好ましい。また、これらの高分子を単独で用いる
のみならず、2種類以上を組み合わせて使用してもよ
い。組み合わせる場合には、米国特許第4123279
号明細書に記載されているような、t−ブチルフェノー
ルとホルムアルデヒドとの縮重合体や、オクチルフェノ
ールとホルムアルデヒドとの縮重合体のような、炭素数
3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールと
ホルムアルデヒドとの縮重合体を併用してもよい。
【0025】(2)スルホンアミド基を有するアルカリ
水可溶性高分子としては、例えば、スルホンアミド基を
有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分と
して構成される重合体を挙げることができる。上記のよ
うな化合物としては、窒素原子に少なくとも一つの水素
原子が結合したスルホンアミド基と、重合可能な不飽和
基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物が挙げら
れる。中でも、アクリロイル基、アリル基、またはビニ
ロキシ基と、置換あるいはモノ置換アミノスルホニル基
または置換スルホニルイミノ基と、を分子内に有する低
分子化合物が好ましく、例えば、下記一般式1〜一般式
5で表される化合物が挙げられる。
【0026】
【化1】
【0027】〔式中、X1 、X2 は、それぞれ独立に−
O−または−NR27−を表す。R21、R24は、それぞれ
独立に水素原子または−CH3 を表す。R22、R25、R
29、R 32及びR36は、それぞれ独立に置換基を有してい
てもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキ
レン基、アリーレン基またはアラルキレン基を表す。R
23、R27及びR33は、それぞれ独立に水素原子、置換基
を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シク
ロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。
また、R26、R37は、それぞれ独立に置換基を有してい
てもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル
基、アリール基、アラルキル基を表す。R 28、R30及び
34は、それぞれ独立に水素原子または−CH3 を表
す。R31、R 35は、それぞれ独立に単結合、または置換
基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、
シクロアルキレン基、アリーレン基またはアラルキレン
基を表す。Y3 、Y4 は、それぞれ独立に単結合、また
は−CO−を表す。〕
【0028】一般式1〜5で表される化合物のうち、本
発明のポジ型平版印刷用材料では、特に、m−アミノス
ルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノス
ルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミ
ノスルホニルフェニル)アクリルアミド等を好適に使用
することができる。
【0029】(3)活性イミド基を有するアルカリ水可
溶性高分子としては、例えば、活性イミド基を有する化
合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成
される重合体を挙げることができる。上記のような化合
物としては、下記構造式で表される活性イミド基と、重
合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する
化合物を挙げることができる。
【0030】
【化2】
【0031】具体的には、N−(p−トルエンスルホニ
ル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニ
ル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
【0032】ポジ型記録層に用いるアルカリ水可溶性高
分子を構成する、前記(1)〜(6)より選ばれる酸性
基を有する最小構成単位は、特に1種類のみである必要
はなく、同一の酸性基を有する最小構成単位を2種以
上、または異なる酸性基を有する最小構成単位を2種以
上共重合させたものを用いることもできる。共重合の方
法としては、従来知られている、グラフト共重合法、ブ
ロック共重合法、ランダム共重合法等を用いることがで
きる。
【0033】前記共重合体は、共重合させる(1)〜
(6)より選ばれる酸性基を有する化合物が共重合体中
に10モル%以上含まれているものが好ましく、20モ
ル%以上含まれているものがより好ましい。10モル%
未満であると、現像ラチチュードを十分に向上させるこ
とができない傾向がある。
【0034】本発明に係る記録層に含有される赤外線吸
収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有してお
り、レーザ走査により光化学反応等が起こり、記録層の
現像液に対する溶解性が大きく増加する。本発明におい
て使用される赤外線吸収剤は、波長760nmから12
00nmの赤外線を有効に吸収する染料又は顔料であ
る。好ましくは、波長760nmから1200nmに吸
収極大を有する染料又は顔料である。染料としては、市
販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編
集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のも
のが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ
染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アント
ラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染
料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、ス
クワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体
等の染料が挙げられる。
【0035】本発明において使用される顔料としては、
市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、
「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年
刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年
刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)
に記載されている顔料が利用できる。これらの赤外線吸
収剤は、露光波長に対して光熱変換機能を有するもので
あればいずれも適用できるが、具体的には、例えば、本
願出願人による特開平11−985号公報段落番号〔0
038〕〜〔0050〕に記載のものを好適に適用でき
る。これらの染料又は顔料の添加量としては、記録層塗
布液の全固形分に対して、0.01〜30重量%程度で
あることが好ましい。
【0036】さらに、特願平10−237634号に記
載のアニオン性赤外線吸収剤も好適なものとして挙げる
ことができる。
【0037】本発明に係る記録層には、さらに必要に応
じてこれら以外に種々の公知の添加剤を併用することが
できる。これらの化合物を好適な溶媒に溶解して感光層
塗布液を調整し、先に述べた特定のピットを形成し、エ
ッチング処理を行い、陽極酸化皮膜を形成したアルミニ
ウム支持体上に塗布することで、本発明の平版印刷版原
版を得ることができる。本発明に係る記録層の塗布量
(固形分)は用途によって異なるが、0.01〜3.0
g/m2の範囲に調整される。塗布する方法としては、
種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコー
ター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、デ
ィップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール
塗布等を挙げることができる。塗布量が少なくなるにつ
れて、見かけの感度は大になるが、感光層の被膜特性は
低下する。
【0038】
【実施例】以下、実施例をもって本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 (実施例1) <支持体の作成方法>板厚0.24mmのJIS A10
50アルミニウム板を26wt%水酸化ナトリウム水溶
液(6.5wt%のアルミニウムイオンを含む)、温度
70℃でエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g
/m2溶解した後、水洗いし、硫酸濃度25wt%水溶
液で中和処理し、水洗いし、アルミニウム基板(I)を
得た。
【0039】(ピットの形成)その後、硝酸1wt%水
溶液(アルミニウムイオン0.5wt%、アンモニウム
イオン0.007wt%含む)を電解液として、温度5
0℃、60Hzの矩形波交流を用いて、電流密度30A
/dm2、アルミニウム板が陽極時の電気量の総和で2
70c/dm2となるように電解粗面化処理し、水洗を
行い、アルミニウム支持体(II)を得た。この時の電解
粗面化処理により形成されたピットを日本電子製走査型
電子顕微鏡T‐20で倍率5000倍で観察したとこ
ろ、任意に選択した50個のピットについて測定して得
られたピットの平均直径は約2μmであった。
【0040】(エッチング処理)次いで、2.5wt%
水酸化ナトリウム水溶液(1.5wt%のアルミニウム
イオン含む)、温度35℃で15秒間エッチング処理を
行い、前段の電解粗面化を行ったときに生成した水酸化
アルミニウムを主体とするスマット成分の除去と、生成
したピットのエッジ部分を溶解し、エッジ部分を滑らか
にした。その後水洗した。電解粗面化処理で生じたスマ
ットの量を除いたアルミニウムの溶解量は0.15g/
2であった。
【0041】(陽極酸化処理)ひきつづいて、温度60
℃の硫酸濃度25wt%水溶液(アルミニウムイオンを
0.5wt%含む)で、中和処理して水洗した後、硫酸
170g/L電解液中で、温度50℃、電流密度5A/
dm2で50秒間直流にて陽極酸化処理した。その後、
濃度1重量%、温度30℃の3号珪酸ソーダ水溶液に1
0秒間浸漬し、水洗、乾燥して平版印刷板用支持体(A
‐1)を作成した。
【0042】<平版印刷版原版の作成> (下塗り層の形成)前記支持体(A−1)に下記下塗り
液を塗布し、塗膜を80℃で15秒間乾燥した。乾燥後
の塗膜の被覆量は15mg/m2であった。
【0043】(下塗り液) ・下記高分子化合物 0.3g ・メタノール 100g ・水 1g
【0044】
【化3】
【0045】(記録層の形成)次いで、下記の感光層塗
布液を調製し、下塗りした基板に、この感光層塗布液を
塗布量が1.0g/m2になるよう塗布し、実施例1の
平版印刷版用原版を得た。
【0046】 (感光層塗布液) ・カプリン酸 0.03 g ・下記特定の共重合体1 0.75 g ・m,p―クレゾールノボラック 0.25 g (m/p比=6/4、重量平均分子量3,500、未反応 クレゾール0.5重量%含有) ・p―トルエンスルホン酸 0.003g ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.03 g ・シアニン染料A(下記構造) 0.017g ・ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを 0.015g 1−ナフタレンスルホン酸アニオンにした染料 ・フッ素系界面活性剤 0.05 g (メガフアックF−177、大日本インキ化学工業(株)製) ・γ−ブチルラクトン 10 g ・メチルエチルケトン 10 g ・1−メトキシ−2−プロパノール 1 g
【0047】
【化4】
【0048】〔特定の共重合体1の合成〕撹拌機、冷却
管及び滴下ロートを備えた500ml三ツロフラスコに
メタクリル酸31.0g(0.36モル)、クロロギ酸
エチル39.lg(0.36モル)及びアセトニトリル
200mlを入れ、氷水浴で冷却しながら混合物を撹拌
した。この混合物にトリエチルアミン36.4g(0.
36モル)を約1時間かけて滴下ロートにより滴下し
た。滴下終了後、氷水浴をとり去り、室温下で30分間
混合物を撹枠した。
【0049】この反応混合物に、p―アミノベンゼンス
ルホンアミド51.7g(0.30モル)を加え、油浴
にて70℃に温めながら混合物を1時間撹拌した。反応
終了後、この混合物を水1リットルにこの水を撹拌しな
がら投入し、30分間得られた混合物を撹拌した。この
混合物をろ過して析出物を取り出し、これを水500m
lでスラリーにした後、このスラリーをろ過し、得られ
た固体を乾燥することによりN―(p―アミノスルホニ
ルフェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた
(収量46.9g)。
【0050】次に撹拌機、冷却管及び滴下ロートを備え
た20ml三ツ口フラスコに、N−(p−アミノスルホ
ニルフェニル)メタクリルアミド4.61g(0.01
92モル)、メタクリル酸エチル2.94g(0.02
58モル)、アクリロニトリル0.80g(0.015
モル)及びN,N―ジメチルアセトアミド20gを入
れ、湯水浴により65℃に加熱しながら混合物を撹拌し
た。この混合物に「V−65」(和光純薬(株)製)
0.15gを加え65°Cに保ちながら窒素気流下2時
間混合物を撹拌した。この反応混合物にさらにN―(p
−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.6
1g、メタクリル酸エチル2.94g、アクリロニトリ
ル0.80g、N,N―ジメチルアセトアミド及び「V
−65」0.15gの混合物を2時間かけて滴下ロート
により滴下した。滴下終了後さらに65℃で2時間得ら
れた混合物を撹拌した。反応終了後メタノール40gを
混合物に加え、冷却し、得られた混合物を水2リットル
にこの水を撹拌しながら投入し、30分混合物を撹拌し
た後、析出物をろ過により取り出し、乾燥することによ
り15gの白色固体を得た。ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィーによりこの特定の共重合体1の重量平均
分子量(ポリスチレン標準)を測定したところ53,0
00であった。
【0051】<画像記録>上記のように得られた平版印
刷版用原版を出力500mW、波長830nm、ビーム
径17μm(1/e2)の半導体レーザーを用いて主操
作速度5m/秒にて露光した後、富士写真フイルム
(株)製PS版用現像液DP−4(1:8)水希釈液で
30秒間現像した。
【0052】<耐刷性、汚れ性の評価>この様にして得
られた平版印刷版を用いて印刷を行った。印刷機として
は小森印刷機(株)製印刷機スプリントを用い、インキ
としてGeos墨(大日本インキ化学工業(株)製)、
湿し水として、湿し水EU‐3(富士写真フイルム
(株)製)を1:100に水で希釈したもの90vol%
とイソプロパノール10vol%との混合物をそれぞれ用
いて、上質紙上に印刷を行い、画像部にインキが着肉し
なくなった枚数を測定して耐刷性を評価した。また、非
画像部の汚れ難さについては、刷り出しから5000枚
印刷したときの非画像部のインキの付着を目視で観察
し、以下の基準にしたがって評価した。これらの結果を
表1に示した。 ○:非画像部へのインクの付着がまったく観察されな
い。 ×:非画像部にインクが付着している。
【0053】
【表1】
【0054】(実施例2〜4、比較例1〜3)アルミニ
ウム支持体(II)を作成する際に、エッチング処理に用
いた水酸化ナトリウム水溶液の処理時間を3〜20秒の
範囲で種々変更することにより、エッチング処理量を表
1に示すように変化させた他は実施例1と同様にして、
平版印刷版用支持体(A‐2)〜(A−6)を得た。ま
た、アルミニウム支持体(II)を温度60℃の硫酸濃度
25wt%水溶液に50秒間浸漬処理し、電解粗面化処
理で生じたスマットのみを除去した平版印刷版用支持体
(A−7)を作成した。この時のエッチング量を表1に
示す。これらの平版印刷版用支持体(A−2)〜(A−
7)に、実施例1と同じ記録層を形成し、同様に画像形
成して耐刷性と汚れ性を評価した。結果を表1に示す。
【0055】表1に明らかなように、本発明の条件を満
たす支持体を用いた平版印刷版原版は、耐刷性、非画像
部の汚れ性ともに優れていた。一方、同じ形状のピット
を形成していても、エッチング処理量が多すぎる比較例
1は実施例に比べて耐刷性が劣っており、エッチング処
理量が少なすぎる比較例2及びスマット除去処理のみを
行った比較例3はいずれも非画像部の親水性が低く、汚
れ性に劣ることがわかった。
【0056】(実施例5、6、比較例4、5)実施例1
と同様にして得られたアルミニウム基板(I)を電解粗
面化処理する際に、電解液の温度を20〜90℃の範囲
で種々変更して、電解粗面化処理により形成するピット
の直径を0.5〜5μmに調整した。これに実施例1に
おけるのと同じ条件でエッチング処理を行い、その後、
陽極酸化処理を行って、平版印刷版用支持体(B‐1)
〜(B‐4)を作成した。この時のピット径を表2に示
す。これらの平版印刷版用支持体(B−1)〜(B−
4)に、実施例1と同じ記録層を形成し、同様に画像形
成して耐刷性と汚れ性を評価した。結果を表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】表2に明らかなように、本発明の条件を満
たす支持体を用いた平版印刷版原版は、耐刷性、非画像
部の汚れ性ともに優れていた。一方、形成されたピット
の直径が小さすぎる比較例4は、同様の条件のエッチン
グ処理を行っても、実施例に比べて耐刷性が劣ってお
り、形成されたピットの直径が大きすぎる比較例5は非
画像部の親水性が低く、汚れ性に劣ることがわかった。
【0059】
【発明の効果】本発明の平版印刷版原版は、赤外線レー
ザーを用いてコンピュータ等のデジタルデータから直接
記録することができ、耐刷性と非画像部の汚れ性に優れ
るという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/09 501 G03F 7/09 501 7/11 503 7/11 503 Fターム(参考) 2H025 AA00 AA12 AB03 AC08 AD03 CB52 CC20 DA17 DA18 DA20 FA03 FA17 2H096 AA07 AA08 BA16 BA20 CA03 CA20 EA04 2H114 AA04 AA14 AA28 DA04 DA25 DA26 DA35 DA49 EA01 EA03 GA05 GA06 GA08 GA09 GA34 GA38

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム基体上に、電解粗面化方法
    により直径0.7〜3.0μmのピットを形成した後、
    酸又はアルカリによって0.05〜0.18g/m2
    範囲でエッチング処理し、その後、陽極酸化皮膜を形成
    してなる支持体上に、赤外線レーザ露光により書き込み
    可能な記録層を設けてなることを特徴とする平版印刷版
    原版。
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