JP2002036743A - 平版印刷版用支持体及び平版印刷版原版 - Google Patents

平版印刷版用支持体及び平版印刷版原版

Info

Publication number
JP2002036743A
JP2002036743A JP2000225534A JP2000225534A JP2002036743A JP 2002036743 A JP2002036743 A JP 2002036743A JP 2000225534 A JP2000225534 A JP 2000225534A JP 2000225534 A JP2000225534 A JP 2000225534A JP 2002036743 A JP2002036743 A JP 2002036743A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lithographic printing
printing plate
aluminum
plate
support
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000225534A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadashi Endo
正 遠藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2000225534A priority Critical patent/JP2002036743A/ja
Publication of JP2002036743A publication Critical patent/JP2002036743A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録層との密着性に優れ、且つ、露光による
エネルギーを効率的に画像形成に用いることができる熱
拡散の抑制効果の高い平版印刷版用支持体、及び、該支
持体を用いた現像ラチチュードの良好な平版印刷版原版
を提供する。 【解決手段】 アルミニウム板に粗面化処理及び陽極酸
化処理を施した後、その表面形状が、2.0μm<Rz
(十点平均表面粗さ)<3.0μm、Δa(平均表面傾
斜度)<8.0、3%<a30(表面傾斜度分布の傾斜
度が30度以上の割合)<15%の各条件を共に満たす
ことを特徴とする支持体、及び、該支持体上に、加熱に
よりアルカリ現像液に対する溶解性が向上する記録層を
設けてなる平版印刷版原版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感光性及び又は感
熱性の記録層を有する平版印刷版に好適な支持体及びそ
の支持体を用いた平版印刷版原版に関するものであり、
特にサーマルタイプのポジ型記録層を形成するのに好適
な平版印刷版用支持体と平版印刷版原版に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、画像形成技術の発展に伴い、細く
ビームを絞ったレーザー光をその版面上に走査させ、文
字原稿、画像原稿などを直接版面上に形成させ、フイル
ム原稿を用いず直接製版を行う技術が注目されている。
このような直接製版の技術の代表的な態様である、感光
層中で光熱変換を起こすことによって感光層をアルカリ
可溶化させることによってポジ画像を形成する所謂サー
マルポジタイプの平版印刷版においては、レーザー光照
射によって感光層中で光熱変換物質により熱が発生し、
その熱により画像形成反応を引き起こすために、いくつ
かの問題点を持っている。
【0003】一つは粗面化され陽極酸化皮膜を形成され
たアルミニウム支持体上では、支持体の熱伝導率が感光
層に比べ極めて高いため、感光層支持体界面付近で発生
した熱は画像形成反応が十分進行する前に支持体内部に
移動してしまい、特に感光層の支持体との界面において
感光層の現像液溶解性が不十分となり、本来の非画像部
となるべき部分に残膜が発生し易いという点である。更
に大きな問題点としては、レーザー露光により画像形成
するサーマルポジタイプの感光層では、より高いエネル
ギーの紫外線露光により画像形成を行うコンベンショナ
ルタイプのPS版に比べて、露光部(非画像部)と未露
光部(画像部)との現像液に対する溶解性の差、即ち、
現像液の感光層溶解性に対するラチチュードが狭くなっ
ていることが挙げられる。
【0004】具体的には、現像液が疲労して電導度で表
す液感度が低くなると感光層の溶解性が低下して残膜が
発生して非画像部に汚れが発生しやすくなり、一方、現
像液の液感度が高くなると本来溶解しないはずの画像部
分までもが比較的容易に溶解して支持体が露出して、イ
ンキの着肉性が低下し、さらには耐刷力の低下に繋がっ
てしまうことである。この現象はサーマルタイプの画像
形成機構に由来するもので、加熱前後における感光層の
アルカリ現像液に対するディスクリミネーションが比較
的小さく、更には感光層支持体界面付近のアルカリ溶解
性が小さいことに起因すると考えられている。従ってサ
ーマルポジタイプの現像処理では現像液感度をコンベン
ショナルタイプ以上に安定化させることによってサーマ
ルプレートシステムを実用化しているのが現状である。
この狭い現像ラチチュードの問題に対処するため、ポジ
型では感光層支持体界面での感光層現像性を向上させる
目的で、例えば、種々の高分子化合物下塗り等検討され
ているが、いずれにおいても十分満足のいくレベルには
到達できていない。他方、感光層内で意図的に相分離を
起こさせアルカリ溶解性の高い層を感光層表面に偏在さ
せることや感光層を重層塗布することが検討されてお
り、液感度が高い場合でも感光層溶解性を抑えることで
現像ラチチュードを向上させる試みがなされているが、
十分な安心して使用できるレベルには達していない。
【0005】更に、最近の市場動向として、生産性の向
上のため露光時間の短縮化や、レーザーの長寿命化のた
めになるべく低出力で使用したいなどの要求が強いた
め、レーザー光エネルギーをもっと下げることが要請さ
れており、現像液感度の変動に対する印刷版の許容可能
幅即ちラチチュードを高めることがサーマルポジタイプ
の平版印刷版では強く求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のような問題を解
決するための本発明の目的は、記録層との密着性に優
れ、且つ、露光によるエネルギーを効率的に画像形成に
用いることができる熱拡散の抑制効果の高い平版印刷版
用支持体を提供することにある。また、本発明の他の目
的は、感光層において発生した熱の拡散抑制効果の高い
支持体を用いた、現像ラチチュードの良好な平版印刷版
原版を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、支持体の表面形状を特定の条件とすることで、
上記課題を解決しうる平版印刷版用支持体を得られるこ
とを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明の平版印
刷版用支持体は、アルミニウム板に粗面化処理及び陽極
酸化処理を施した後、その表面形状が、2.0μm<R
z(十点平均表面粗さ)<3.0μm、Δa(平均表面
傾斜度)<8.0、3%<a30(表面傾斜度分布の傾
斜度が30度以上の割合)<15%の各条件を共に満た
すことを特徴とする。また、請求項2に係る本発明の平
版印刷版原版は、アルミニウム板を粗面化し陽極酸化処
理して得られた、表面形状が、2.0μm<Rz<3.
0μm、Δa<8.0、3%<a30<15%の各条件
を共に満たす支持体上に、加熱によりアルカリ現像液に
対する溶解性が向上する記録層を設けてなることを特徴
とする。
【0008】本発明の支持体では、支持体表面の十点平
均表面粗さRzを2.0μmを超え、3.0μm未満の
範囲としたために、プロファイルにおける凹凸の大きさ
と頻度が感光層との機械的密着性とよい相関を示し、現
像時における画像部分の膜剥離を効果的に防止し、且
つ、耐刷性を確保できる。また、上記条件のうち、Δa
(平均表面傾斜度)及びa30(表面傾斜度分布の傾斜
度が30度以上の割合)はそれぞれ支持体表面の凹凸の
特に凸部と凹部の傾斜角度と急峻さを表すものである
が、これらを上記範囲に制御することで、砂目凹部の深
さと凹部の壁面の傾斜が適切な形状を持つことになり、
凹部の深部へと浸透した感光層についても、現像時に容
易に溶解除去され、残膜の発生を抑制し得る。この双方
の条件を満たす表面形状の本発明の支持体を用いること
によって、感光層との密着性と現像時の溶解除去性が両
立し、良好な現像ラチチュードを得られるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明の支持体においては、アルミニウム板に粗面
化処理及び陽極酸化処理を施した後、その十点平均表面
粗さRzが2.0μmを超え、3.0μm未満の範囲に
あることを要する。このRzは支持体表面のプロファイ
ルにおける凹凸の大きさと頻度を表し、主に支持体と感
光層との機械的密着性とよい相関を示す。この値が2.
0μm以下であると感光層の十分な密着性が得られず現
像時に画像部分が容易に膜剥がれを起こしてしまい、一
方、3.0μm以上であると該支持体上に感光層を設け
た場合に部分的に感光層が非常に薄くなる部分ができる
ため現像時、容易に支持体が露出してしまう。このため
現像液の高液感側の許容範囲が何れも狭くなってしまう
ため良好な画像部分が得られない。
【0010】Rzの値は、例えば、JIS B 060
1(1994年)に記載の方法により求めることができ
るが、本発明においては、東京精密社製、surfco
m575を用いて、測定長3mm、触針径2μmR、走
査速度0.3mm/S、cut−off0.8の条件に
て測定した値を採用している。
【0011】また、陽極酸化皮膜形成後の支持体表面の
平均表面傾斜度(Δa)は8.0度以下であり、表面傾
斜度分布の傾斜度が30度以上の割合(a30)は3%
を超え、15%未満であることを要する。Δa及びa3
0はそれぞれ支持体凹凸の特に凸部と凹部の傾斜角度と
急峻さを表し、非画像部の感光層現像性に大きく関与す
る。この値が大きすぎると砂目凹部が深く急峻な傾斜を
持つことになり、深く入り込んだ感光層が現像時溶解除
去され難く残膜として残存し易くなる。上記範囲であれ
ば、支持体と感光層との密着性を維持しつつ、凹部の底
部に存在する感光層も現像液によって容易sに除去され
るため、上記範囲の支持体を用いることによって良好な
現像ラチチュードを得られる。Δaは、Rzと同様に、
東京精密社製、surfcom575を用いて、測定長
3mm、触針径2μmR、走査速度0.3mm/S、c
ut−off0.8の条件にて測定し、算出した。
【0012】本発明において以下に述べるAFMによる
計測で求めた表面傾斜度分布の傾斜度が30度以上の割
合(a30)は前記したように、3%を超え、15%未
満であることを要するが、より好ましくは5%以上15
%未満の範囲である。3%以下であると網点非画像部に
おいて印刷時の網部のつまり(いわゆる絡み汚れ)が発
生しやすくなり、15%以上であると広い面積をもつ非
画像部においても、凹部に残存した記録層に起因する汚
れが発生しやすくなる。
【0013】本発明においては、a30の測定に原子間
力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM) 〔セイコー
電子工業(株)製SP13700〕を使用する。測定は
以下の条件で行う、即ち、1cm角の大きさに切り取っ
たアルミニウム板試料ピエゾスキャナー上の水平な試料
台にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチ
し、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向に
スキャンし、その際、試料の凹凸をZ方向のピエゾの変
位でとらえた。ピエゾスキャナーはXY150μm,Z
10μm、走査可能なものを使用した。カンチレバーは
NANOPROBE社製SI−DF20で共振周波数1
20〜150kHz、バネ定数12〜20N/mのもの
で、DFMモード(Dynamic Force Mode) で測定した。
また、得られた3次元データを最小二乗近似することに
より試料のわずかの傾きを補正し基準面を求めた。
【0014】傾斜度計測の際は、測定領域120μm角
を4視野、すなわち、240μm角の測定を行った。X
Y方向の分解能は1.9μm、Z方向の分解能は1n
m、スキャン速度は60μm/secであった。表面傾
斜度の割合については、三次元データより隣り合う3点
を抽出し、その3点で形成する微小三角形と基準面との
なす角を全データについて算出し、傾斜度分布曲線を求
め、これより傾斜度30度以上(a30)の割合を出し
た。
【0015】以下に、上記のような好ましい表面形状を
有する支持体の製造方法について、工程順に説明する。 [アルミニウム支持体]本発明に用いられるアルミニウ
ム支持体は、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とす
る金属、即ち、アルミニウムまたはアルミニウム合金か
らなる支持体である。純アルミニウム板の他、アルミニ
ウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、又はア
ルミニウム(合金)がラミネートもしくは蒸着されたプ
ラスチックフィルム又は紙の中から選ばれる。更に、特
公昭48−18327号に記載されているようなポリエ
チレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシート
が結合された複合体シートでもかまわない。以下の説明
において、上記に挙げたアルミニウムまたはアルミニウ
ム合金からなる基板或いはアルミニウムまたはアルミニ
ウム合金からなる層を有する基板をアルミニウム基板と
総称して用いる。前記アルミニウム合金に含まれる異元
素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、ク
ロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがあり、
合金中の異元素の含有量は10重量%以下である。本発
明では純アルミニウム板が好適であるが、完全に純粋な
アルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅か
に異元素を含有するものでもよい。このように本発明に
適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるも
のではなく、従来より公知公用の素材のもの、例えばJ
IS A 1050、JISA l100、JIS A
3103、JISA 3005などを適宜利用するこ
とが出来る。また、本発明に用いられるアルミニウム基
板の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度であ
る。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさ及びユ
ーザ上の希望により適宜変更することができる。
【0016】このようなアルミニウム基板に、以下に説
明する種々の表面処理を施してアルミニウム支持体を得
る。 (砂目立て処理)アルミニウム板はより好ましい形状に
砂目立て処理させる。砂目立て処理方法は、特開昭56
−28893号に開示されているような機械的砂目立
て、化学的エッチング、電解グレインなどがある。さら
に塩酸または硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする
電気化学的砂目立て方法、及びアルミニウム表面を金属
ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球
と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレ
イン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てする
ブラシグレイン法のような機械的砂目立て法を用いるこ
とができ、上記砂目立て方法を単独あるいは組み合わせ
て用いることもできる。
【0017】その中でも本発明に有用に使用される砂目
表面を作る方法は、塩酸または硝酸電解液中で化学的に
砂目立てする電気化学的方法であり、適する電流密度は
陽極時電気量50C/dm2〜400C/dm2の範囲で
ある。さらに具体的には、0.1〜50%の塩酸または
硝酸を含む電解液中、温度30〜90℃、時間1秒〜6
00秒、電流密度70C/dm2〜300C/dm2の条
件で直流又は交流を用いて行われる。電気化学的粗面化
は、表面に微細な凹凸を付与することが容易であるた
め、感光層と基板の密着を向上する上でも不可避であ
る。
【0018】この砂目立て処理による粗面化処理を施す
ことで、必要な表面粗さを達成し得るもとになる表面の
微細な凹凸を形成することができる。平均直径約0.2
〜20μmのクレーターまたはハニカム状のピットをア
ルミニウム表面に10〜100%の面積率で生成するこ
とが出来る。ここで設けたピットは印刷版の非画像部の
汚れにくさと耐刷力を向上する作用がある。電気化学的
粗面化処理では、十分なピットを表面に設けるために必
要なだけの電気量、即ち電流と電流を流した時間の積が
電気化学的粗面化における重要な条件となる。より少な
い電気量で十分なピットを形成出来ることは、省エネの
観点からも望ましい。
【0019】(エッチング処理)このように砂目立て処
理したアルミニウム基板は、酸またはアルカリにより化
学的にエッチングされる。酸をエッチング剤として用い
る場合は、微細構造を破壊するのに時間がかかり、工業
的に本発明を適用するに際しては不利であるが、アルカ
リをエッチング剤として用いることによりこの問題点を
改善できる。本発明においてエッチング処理に好適に用
いられるアルカリ剤としては、苛性ソーダ、炭酸ソー
ダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソー
ダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。
これらのアルカリ剤を用いてエッチング処理を行う場
合、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ0.1〜40
%、20〜90℃であり、アルミニウムの溶解量が0.
2〜20g/m2となるような条件が好ましい。このエ
ッチング処理条件を制御することで、支持体表面に形成
される凹部の傾斜度を緩やかにするような制御を行うこ
とが好ましい。
【0020】エッチングのあと表面に残留する汚れ(ス
マット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられ
る酸は硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフ
ッ化水素酸等が用いられる。特に電気化学的粗面化処理
後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭
53−12739号公報に記載されているような50〜
90℃の温度の15〜65重量%の硫酸と接触させる方
法及び特公昭48−28123号公報に記載されている
アルカリエッチングする方法が挙げられる。
【0021】(陽極酸化処理)以上のようにして処理さ
れたアルミニウム基板には、さらに陽極酸化処理が施さ
れる。陽極酸化処理はこの分野で従来より行われている
方法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、
クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルフ
ォン酸等の単独あるいはこれらの二種以上を組み合わせ
て水溶液または非水溶液中でアルミニウムに直流または
交流を流すとアルミニウム支持体表面に陽極酸化皮膜を
形成することができる。この際、電解液中に少なくとも
Al合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成
分はもちろん含まれても構わない。さらには第2、第3
成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、3
成分とは、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、T
i、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、
Zn等の金属のイオン;アンモニウムイオン等の陽イオ
ン;、硝酸イオン、炭酸イオン、塩素イオン、リン酸イ
オン、フッ素イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、
ケイ酸イオン、硼酸イオン等の陰イオン;等が挙げら
れ、その濃度としては0〜10000ppm程度含まれ
ても良い。陽極酸化処理の条件は使用される電解液によ
って種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的
には電解液の濃度が1〜80%、液温−5〜70°C、
電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100V、
電解時間10〜200秒の範囲が適当である。これらの
陽極酸化処理のうちでも特に英国特許第1,412,7
68号明細書に記載されている、硫酸電解液中で高電流
密度で陽極酸化する方法が好ましい。本発明において
は、形成される陽極酸化皮膜は1〜10g/m2の範囲
にあることが好ましく、形成皮膜量が1g/m2未満で
あると版に傷が入りやすく、10g/m2を超える場合
には、製造に多大な電力が必要となり、経済的に不利で
ある。好ましくは、1.5〜7g/m2であり、更に好
ましくは、2〜5g/m2である。
【0022】(アルカリ金属珪酸塩処理)本発明の支持
体におては、上記陽極酸化皮膜形成後に、さらに、アル
カリ金属ケイ酸塩処理を行うことが好ましい。上記の如
き処理を施したアルミニウム板の陽極酸化被膜をアルカ
リ金属珪酸塩が0.01〜30重量%、好ましくは0.
1〜5重量%であり、25℃でのpHが10〜13であ
る水溶液に、例えば10〜90℃で0.5〜40秒、よ
り好ましくは1〜20秒浸漬する。アルカリ金属珪酸塩
水溶液のpHが10より低いと液はゲル化し、13より
高いと酸化被膜が溶解されてしまう。
【0023】本発明に用いられるアルカリ金属珪酸塩と
しては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム
などが使用され、中でも珪酸ナトリウム、珪酸カリウム
が好ましい。アルカリ金属珪酸塩水溶液のpHを高くす
るために使用される水酸化物としては水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがあり、好ま
しくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが使用され
る。なお、上記の処理液にアルカリ土類金属塩もしくは
第IVB族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩
としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸
マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸
塩、塩酸塩、燐酸塩、酢酸塩、修酸塩、ホウ酸塩等の水
溶液が挙げられる。第IVB族金属塩として、四塩化チタ
ン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム蓚酸チタンカ
リウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコ
ニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウ
ム、四塩化ジルコニウム、などを挙げることができる。
アルカリ土類金属塩もしくは、第IVB族金属塩は単独又
は2以上組み合わせて使用することができる。以上の処
理が施されたアルミニウム版の上には、感光層を設ける
ことができるが、更に必要に応じて親水性下塗り層を設
けることもできる。
【0024】[画像形成層]以上のように作成された本
発明の支持体には必要に応じて以下の画像形成層が形成
される。本発明に用いられる画像形成層は、赤外線レー
ザの照射により書き込み可能であり、記録層の可溶性が
向上するようなものであれば、特に制限されない。この
ような、赤外線レーザ露光により直接記録可能であり、
露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する感光
層を以下、適宜、サーマルポジタイプ感光層と称する。
サーマルポジタイプのレーザー直描型平版印刷版用感光
層としては、公知のものを適用することができ、例え
ば、特開平9−222737号、特開平9−90610
号、特開平9−87245号、特開平9−43845
号、特開平7−306528号の各公報、或いは本願出
願人による特願平10−229099号、特願平11−
240601号の各明細書に記載の感光層、記録層など
が挙げられる。
【0025】このようなサーマルポジタイプ感光層は、
赤外線吸収剤、水不溶性且つアルカリ水溶液可溶性高分
子化合物及びその他の任意成分を含有する。ポジ型の記
録層であるため、その画像形成機構としては、光照射や
加熱により発生する酸や熱エネルギーそのものにより、
層を形成していた高分子化合物の結合が解除されるなど
の働きにより水やアルカリ水に可溶性となり、現像によ
り除去されて非画像部を形成するものである。
【0026】なお、本発明においては、水不溶性、且
つ、アルカリ水可溶性の高分子を、適宜、単に「アルカ
リ水可溶性高分子」と称する。このような高分子化合物
としては、高分子中の主鎖および/または側鎖に酸性基
を含有する単独重合体、これらの共重合体またはこれら
の混合物を用いることが好ましい。中でも、下記(1)
〜(6)に挙げる酸性基を高分子の主鎖および/または
側鎖中に有するものが、アルカリ性現像液に対する溶解
性の点、溶解抑制能発現の点で好ましい。
【0027】(1)フェノール基(−Ar−OH) (2)スルホンアミド基(−SO2 NH−R) (3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド
基」という。) 〔−SO2 NHCOR、−SO2 NHSO2 R、−CO
NHSO2 R〕 (4)カルボン酸基(−CO2 H) (5)スルホン酸基(−SO3 H) (6)リン酸基(−OPO3 2
【0028】上記(1)〜(6)中、Arは置換基を有
していてもよい2価のアリール連結基を表し、Rは、置
換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
【0029】上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を
有するアルカリ水可溶性高分子の中でも、(1)フェノ
ール基、(2)スルホンアミド基および(3)活性イミ
ド基を有するアルカリ水可溶性高分子が好ましく、特
に、(1)フェノール基または(2)スルホンアミド基
を有するアルカリ水可溶性高分子が、アルカリ性現像液
に対する溶解性、現像ラチチュード、膜強度を十分に確
保する点から最も好ましい。
【0030】上記(1)〜(3)より選ばれるアルカリ
水可溶性高分子としては、例えば、以下のものを挙げる
ことができる。 (1)フェノール基を有するアルカリ水可溶性高分子と
しては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮
重合体、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合
体、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、
m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重
合体、フェノールとクレゾール(m−、p−、またはm
−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドと
の縮重合体等のノボラック樹脂、およびピロガロールと
アセトンとの縮重合体を挙げることができる。さらに、
フェノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた共重
合体を挙げることもできる。或いは、フェノール基を側
鎖に有する化合物を共重合させた共重合体を用いること
もできる。
【0031】フェノール基を有する化合物としては、フ
ェノール基を有するアクリルアミド、メタクリルアミ
ド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、また
はヒドロキシスチレン等が挙げられる。
【0032】アルカリ水可溶性高分子の重量平均分子量
は、5.0×102〜2.0×104で、数平均分子量が
2.0×102 〜1.0×104 のものが、画像形成性
の点で好ましい。また、これらの高分子を単独で用いる
のみならず、2種類以上を組み合わせて使用してもよ
い。組み合わせる場合には、米国特許第4123279
号明細書に記載されているような、t−ブチルフェノー
ルとホルムアルデヒドとの縮重合体や、オクチルフェノ
ールとホルムアルデヒドとの縮重合体のような、炭素数
3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールと
ホルムアルデヒドとの縮重合体を併用してもよい。
【0033】(2)スルホンアミド基を有するアルカリ
水可溶性高分子としては、例えば、スルホンアミド基を
有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分と
して構成される重合体を挙げることができる。上記のよ
うな化合物としては、窒素原子に少なくとも一つの水素
原子が結合したスルホンアミド基と、重合可能な不飽和
基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物が挙げら
れる。中でも、アクリロイル基、アリル基、またはビニ
ロキシ基と、置換あるいはモノ置換アミノスルホニル基
または置換スルホニルイミノ基と、を分子内に有する低
分子化合物が好ましく、例えば、下記一般式1〜一般式
5で表される化合物が挙げられる。
【0034】
【化1】
【0035】〔式中、X1 、X2 は、それぞれ独立に−
O−または−NR27−を表す。R21、R24は、それぞれ
独立に水素原子または−CH3 を表す。R22、R25、R
29、R 32及びR36は、それぞれ独立に置換基を有してい
てもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキ
レン基、アリーレン基またはアラルキレン基を表す。R
23、R27及びR33は、それぞれ独立に水素原子、置換基
を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シク
ロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。
また、R26、R37は、それぞれ独立に置換基を有してい
てもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル
基、アリール基、アラルキル基を表す。R 28、R30及び
34は、それぞれ独立に水素原子または−CH3 を表
す。R31、R 35は、それぞれ独立に単結合、または置換
基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、
シクロアルキレン基、アリーレン基またはアラルキレン
基を表す。Y3 、Y4 は、それぞれ独立に単結合、また
は−CO−を表す。〕
【0036】一般式1〜5で表される化合物のうち、本
発明のポジ型平版印刷用材料では、特に、m−アミノス
ルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノス
ルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミ
ノスルホニルフェニル)アクリルアミド等を好適に使用
することができる。
【0037】(3)活性イミド基を有するアルカリ水可
溶性高分子としては、例えば、活性イミド基を有する化
合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成
される重合体を挙げることができる。上記のような化合
物としては、下記構造式で表される活性イミド基と、重
合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する
化合物を挙げることができる。
【0038】
【化2】
【0039】具体的には、N−(p−トルエンスルホニ
ル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニ
ル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
【0040】ポジ型記録層に用いるアルカリ水可溶性高
分子を構成する、前記(1)〜(6)より選ばれる酸性
基を有する最小構成単位は、特に1種類のみである必要
はなく、同一の酸性基を有する最小構成単位を2種以
上、または異なる酸性基を有する最小構成単位を2種以
上共重合させたものを用いることもできる。共重合の方
法としては、従来知られている、グラフト共重合法、ブ
ロック共重合法、ランダム共重合法等を用いることがで
きる。
【0041】前記共重合体は、共重合させる(1)〜
(6)より選ばれる酸性基を有する化合物が共重合体中
に10モル%以上含まれているものが好ましく、20モ
ル%以上含まれているものがより好ましい。10モル%
未満であると、現像ラチチュードを十分に向上させるこ
とができない傾向がある。
【0042】本発明に係る記録層に含有される赤外線吸
収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有してお
り、レーザ走査により光化学反応等が起こり、記録層の
現像液に対する溶解性が大きく増加する。本発明におい
て使用される赤外線吸収剤は、波長760nmから12
00nmの赤外線を有効に吸収する染料又は顔料であ
る。好ましくは、波長760nmから1200nmに吸
収極大を有する染料又は顔料である。染料としては、市
販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編
集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のも
のが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ
染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アント
ラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染
料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、ス
クワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体
等の染料が挙げられる。
【0043】本発明において使用される顔料としては、
市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、
「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年
刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年
刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)
に記載されている顔料が利用できる。これらの赤外線吸
収剤は、露光波長に対して光熱変換機能を有するもので
あればいずれも適用できるが、具体的には、例えば、本
願出願人による特開平11−985号公報段落番号〔0
038〕〜〔0050〕に記載のものを好適に適用でき
る。これらの染料又は顔料の添加量としては、記録層塗
布液の全固形分に対して、0.01〜30重量%程度で
あることが好ましい。
【0044】さらに、本願出願人が先に提案した特開平
11−338131号公報に記載のアニオン性赤外線吸
収剤も好適なものとして挙げることができる。
【0045】本発明に係る記録層には、さらに必要に応
じてこれら以外に種々の公知の添加剤を併用することが
できる。これらの化合物を好適な溶媒に溶解して感光層
塗布液を調整し、先に述べた特定の表面積を有するアル
ミニウム支持体上に塗布することで、本発明の平版印刷
版原版を得ることができる。本発明に係る記録層の塗布
量(固形分)は用途によって異なるが、0.01〜3.
0g/m2の範囲に調整される。塗布する方法として
は、種々の方法を用いることができるが、例えば、バー
コーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗
布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、
ロール塗布等を挙げることができる。塗布量が少なくな
るにつれて、見かけの感度は大になるが、感熱層の被膜
特性は低下する。
【0046】
〔実施例1〜3、比較例1〜5〕
<支持体の作成方法>Alを主とする金属として、S
i:0.07%、Fe:0.30%、Cu:0.017
%、Mn:0.001%、Mg:0.001%、Zn:
0.001%、Ti:0.03%、残部はAlto不可
避不純物の合金を用いて溶湯を調整し、溶湯処理、濾過
を行った上で、厚さ500mm幅1200mmの鋳塊を
DC鋳造法で作成し、表面を平均10mm面削機で削り
取った後、約5時間550℃で均熱保持し、温度400
℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7
mmの圧延板とし、更に連続焼鈍機を使って熱処理を5
00℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕
上げた。このアルミ板を幅1030mmにした後、以下
に示す表面処理を連続的に行った。
【0047】(a)機械的粗面化処理 図1に示したような装置を使って、比重1.12の研磨
剤(パミスまたは珪砂)と水との懸濁液を研磨スラリー
液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転す
るローラー状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行
った。研磨剤の平均粒径40〜45μm最大粒径は20
0μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイ
ロンを使用し、毛長50mm毛の直径は0.3mmであ
った。ナイロンブラシはΦ300mmのステンレス製の
筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは
3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラー(Φ2
00mm)の距離は300mmであった。ブラシローラ
ーはブラシを回転させる駆動モーターの負荷が、ブラシ
ローラーをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対
して7KWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回
転方向はアルミニウムの移動方向と同で回転数は200
rpmであった。
【0048】(b)アルカリ剤によるエッチング処理 アルミニウム板を苛性ソーダ濃度2.6wt%、アルミニ
ウムイオン濃度6.5wt%、温度70℃でスプレーによ
るエッチング処理を行い、アルミニウム板を13g/m
2溶解した。その後スプレーによる水洗をおこなった。 (c)デスマット処理 温度30℃の硝酸濃度lwt%水溶液(アルミニウムイオ
ン0.5wt%含む)で、スプレーによるデスマット処理
を行い、その後スプレーで水洗した。前記デスマットに
用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気
化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
【0049】(d)電気化学的な粗面化処理 60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面
化処理を行った。この時の電解液は、硝酸1wt%水溶液
(アルミニウムイオン0.5wt%、アンモニウムイオン
0.007wt%含む)、温度50℃であった。交流電源
波形は図2に示した波形で電流値がゼロからピークに達
するまでの時間TPが2msec、duty比1:1,
台形の短形波交流を用いて、カーボン電極を対極として
電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフ
ェライトを用いた。使用した電解槽は図3に示すものを
2個使用した。電流密度は電流のピーク値で30A/d
2,電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和
で250C/dm2であった。補助陽極には電源から流
れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる
水洗を行った。
【0050】(e)エッチング処理 アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26wt%、アルミニウ
ムイオン濃度6.5wt%でスプレーによるエッチング処
理を32℃でおこない、アルミニウム板を0.2g/m
2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化をお
こなったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とす
るスマット成分の除去と、生成したピットのエッジ部分
を溶解し、エッジ部分を滑らかにした。その後スプレー
で水洗した。 (f)デスマット処理 温度60℃の硫酸濃度25wt%水溶液(アルミニウムイ
オンを0.5wt%含む)で、スプレーによるデスマット
処理をおこない、その後スプレーによる水洗をおこなっ
た。
【0051】(g)陽極酸化処理 図4に示す構造の二段給電電解処理法の陽極酸化装置
(第一および第二電解部長各6m、第一給電部長3m、
第二給電部長3m、第一及び第二給電電極長各2.4
m)を使って電解部の硫酸濃度100g/リットル(ア
ルミニウムイオンを0.5wt%含む)、温度50℃、比
重1.1、電導度0.39S/cmで陽極酸化処理をお
こなった。その後スプレーによる水洗をおこなった。こ
の時、陽極酸化装置においては、電源67a及び67b
からの電流は、第一給電部62aに設けられた第一給電
電極65aに流れ、電解液を介して板状アルミニウムに
流れ、第一電解部63aで板状アルミニウムの表面に酸
化皮膜を生成させ、第一給電部63に設けられた電解電
極66a、66bを通り、電源に戻る。一方、電源67
c及び67dからの電流は、第二給電部62bに設けら
れた第二給電電極65bに流れ、同様に電解液を介して
板状アルミニウムに流れ、第二電解部63bで板状アル
ミニウムの表面に酸化皮膜を生成させるが、電源67a
及び67bから第一給電部2aに給電される電気量と電
源67c及び67dから第二給電部62bに給電される
電気量は同じであり、第二給電部62bにおける酸化皮
膜面での給電電流密度は、約23(A/dm2)であっ
た。第二給電部62bでは、1.2g/m2の酸化皮膜
面から給電することになった。最終的な酸化皮膜量は
2.4g/m2であった。
【0052】(h)シリケート処理 アルミニウム板を3号珪酸ナトリウムの水溶液濃度1%
中に連続的に浸漬して親水化処理を行った。処理液温度
は20℃、浸漬処理時間は5秒であった。その後スプレ
ーによる水洗を行った。ここまで処理を行った基板を
[A]とする。基板[A]においてブラシ研磨工程
(a)を除いて作成した基板を[B]とする。基板
[B]においてエッチング処理(e)におけるアルミニ
ウム板の溶解量を1.0g/m2として作成した基板を
[C]とする。基板に[B]においてエッチング処理
(e)におけるアルミニウム板の溶解量を4.0g/m
2として作成した基板を[D]とする。
【0053】基板[A]において、アルカリ剤によるエ
ッチング処理(b)におけるアルミニウム板の溶解量を
9g/m2とし、且つ、電気化学的粗面化処理(d)及
びエッチング処理(e)を除いて作成した基板を[E]
とする。基板[A]において、アルカリ剤によるエッチ
ング処理(b)におけるアルミニウム板の溶解量を20
g/m2とし、且つ、電気化学的粗面化処理(d)、エ
ッチング処理(e)及びデスマット処理(f)を除いて
作成した基板を[F]とする。基板[B]において、電
気化学的粗面化処理(d)及びエッチング処理(e)を
除いて作成した基板を[G]とする。基板[G]におい
て、陽極酸化処理(g)を除いて作成した基板を[H]
とする。基板[A]において、電気化学的粗面化処理
(d)の処理温度を80℃とし、電気量の総和を100
C/dm2として作成した基板を[I]とする。
【0054】(下塗り層の形成)上記の基板[C]、
[D]、[I]にそれぞれ下記下塗り液を塗布し、塗膜
を80℃で15秒間乾燥した。乾燥後の塗膜の被覆量は
15mg/m2であった。
【0055】(下塗り液) ・下記高分子化合物 0.3g ・メタノール 100g ・水 1g
【0056】
【化3】
【0057】次いで、下記の感光層塗布液1を調製し、
下塗りした基板[C]、[D]、[I]に、この感光層
塗布液1を塗布量が1.8g/m2になるよう塗布し、
実施例1〜3の平版印刷版用原版を得た。また、前記基
板[B]に同様に下塗り層、感光層を形成し、比較例1
の平版印刷版用原版を得た。また、基板[C]、
[D]、[I]におけるような、表面形状を制御する条
件でのエッチング処理を行わずに得られた、基板[E]
〜[H]に対しても同様に下塗り層と感光層を形成し、
比較例2〜5の平版印刷版用原版を得た。各平版印刷版
原版に用いた基板は、下記表1に示す通りである。
【0058】 (感光層塗布液1) ・カプリン酸 0.03 g ・下記特定の共重合体1 0.75 g ・m,p―クレゾールノボラック 0.25 g (m/p比=6/4、重量平均分子量3,500、未反応 クレゾール0.5重量%含有) ・p―トルエンスルホン酸 0.003g ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.03 g ・シアニン染料A(下記構造) 0.017g ・ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを 0.015g 1−ナフタレンスルホン酸アニオンにした染料 ・フッ素系界面活性剤 0.05 g (メガフアックF−177、大日本インキ化学工業(株)製) ・γ−ブチルラクトン 10 g ・メチルエチルケトン 10 g ・1−メトキシ−2−プロパノール 1 g
【0059】
【化4】
【0060】〔特定の共重合体1の合成〕撹拌機、冷却
管及び滴下ロートを備えた500ml三ツロフラスコに
メタクリル酸31.0g(0.36モル)、クロロギ酸
エチル39.lg(0.36モル)及びアセトニトリル
200mlを入れ、氷水浴で冷却しながら混合物を撹拌
した。この混合物にトリエチルアミン36.4g(0.
36モル)を約1時間かけて滴下ロートにより滴下し
た。滴下終了後、氷水浴をとり去り、室温下で30分間
混合物を撹枠した。
【0061】この反応混合物に、p―アミノベンゼンス
ルホンアミド51.7g(0.30モル)を加え、油浴
にて70℃に温めながら混合物を1時間撹拌した。反応
終了後、この混合物を水1リットルにこの水を撹拌しな
がら投入し、30分間得られた混合物を撹拌した。この
混合物をろ過して析出物を取り出し、これを水500m
lでスラリーにした後、このスラリーをろ過し、得られ
た固体を乾燥することによりN―(p―アミノスルホニ
ルフェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた
(収量46.9g)。
【0062】次に撹拌機、冷却管及び滴下ロートを備え
た20ml三ツ口フラスコに、N−(p−アミノスルホ
ニルフェニル)メタクリルアミド4.61g(0.01
92モル)、メタクリル酸エチル2.94g(0.02
58モル)、アクリロニトリル0.80g(0.015
モル)及びN,N―ジメチルアセトアミド20gを入
れ、湯水浴により65℃に加熱しながら混合物を撹拌し
た。この混合物に「V−65」(和光純薬(株)製)
0.15gを加え65°Cに保ちながら窒素気流下2時
間混合物を撹拌した。この反応混合物にさらにN―(p
−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.6
1g、メタクリル酸エチル2.94g、アクリロニトリ
ル0.80g、N,N―ジメチルアセトアミド及び「V
−65」0.15gの混合物を2時間かけて滴下ロート
により滴下した。滴下終了後さらに65℃で2時間得ら
れた混合物を撹拌した。反応終了後メタノール40gを
混合物に加え、冷却し、得られた混合物を水2リットル
にこの水を撹拌しながら投入し、30分混合物を撹拌し
た後、析出物をろ過により取り出し、乾燥することによ
り15gの白色固体を得た。ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィーによりこの特定の共重合体1の重量平均
分子量(ポリスチレン標準)を測定したところ53,0
00であった。
【0063】<粗さパラメータの測定方法>各平版印刷
版原版に用いた基板[B]〜[H]のRz、Δa及びa
30を下記の条件で測定し、結果を下記表1に示す。a
30は原子間力顕微鏡を用いて、前記測定条件にて、特
開平8−300843号記載の方法と同様に測定した。
Rz、Δaは東京精密製surfcom575を用い
て、測定長3mm、触針径2μmR、走査速度0.3m
m/S、cut−off0.8の条件にて測定した。
【0064】<現像ラチチュードの評価方法>上記のよ
うに得られた平版印刷版原版を、CREO社製Tren
dSetter3244MTを使用し、150rpmで
830nmの波長のレーザー光を141mJ/cm2
版面エネルギー量で露光した後、富士写真フイルム
(株)製LH−PI用現像液DT−1を用いて現像し
た。この時の現像液感度を電導度換算で見積もり、45
mSを中心に、過補充にて高液感現像を作成し、炭酸ガ
ス疲労させることで低液感現像液を作成して、現像液感
度を広い範囲で変えて現像した。そうして得られた平版
印刷版を、ハイデルベルグ社製SOR−M印刷機でDI
C−GEOS(N)墨のインキとIPA含有湿し水を用
いて印刷し、非画像部の汚れ及び画像部の着肉不良共に
発生しない現像液の液感度範囲を電導度換算で現像ラチ
チュードとして表した。この液感度範囲が大きい、即
ち、低液感現像液でも、高液感現像液でも良好な画像形
成を行えるものが現像ラチチュードに優れると判定す
る。
【0065】
【表1】
【0066】表1に明らかなように、支持体の表面粗さ
パラメータを本発明の範囲にすることによって、従来問
題とされていた現像ラチチュードを大幅に改善すること
ができた。また、この表面形状は、支持体製造時の粗面
化やエッチング処理条件を制御することで達成すること
ができた。
【0067】
【発明の効果】本発明の平版印刷版用支持体は、記録層
との密着性に優れ、且つ、熱拡散抑制効果が高く、露光
によるエネルギーを効率的に画像形成に用いることがで
きる。また、この平版印刷版用支持体を用いた本発明の
平版印刷版原版は、感光層において発生した熱の拡散抑
制効果が高く、現像ラチチュードに優れるという利点を
有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の平版印刷版原版用支持体の作成に用
いられる機械的粗面化装置一例を示す概略構成図であ
る。
【図2】 本発明の平版印刷版原版用支持体の作成に用
いられる電気化学的粗面化に用いる交番波形電流波形図
の一例を示すグラフである。
【図3】 本発明のの平版印刷版原版用支持体の作成に
用いられる電気化学的粗面化に用いる2つ以上のラジア
ルドラムローラを連結した装置の概略構成図である。
【図4】 本発明の平版印刷版原版用支持体の作成に適
用可能な二段給電電解法における電解処理装置の概略図
である。
【符号の説明】
1 アルミニウム板 2,4 ローラ状ブラシ 3 研磨スラリー液 5,6,7,8 支持ローラ 11 アルミニウムウエブ 12 ラジアルドラムローラ 13a,13b 主極 14 電解処理液 15 電解液供給口 16 スリット 17 電解液通路 18 補助陽極 19a,19b サイリスタ 20 交流電源 40,41 主電解槽 50,51 補助陽極槽 60 給電部 61 電解部 62 中間部 63 給電電極 64 電解電極 65 電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA04 AA14 AB03 AC08 AD03 DA18 DA20 FA03 FA17 2H096 AA07 BA11 BA16 CA03 CA20 EA04 GA08 LA16 2H114 AA04 AA14 AA22 AA23 AA28 DA04 DA24 DA25 DA26 DA35 DA73 EA02 FA16 GA03 GA05 GA06 GA08 GA09 GA34 GA38

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム板に粗面化処理及び陽極酸
    化処理を施した後、その表面形状が以下の条件を満たす
    ことを特徴とする平版印刷版用支持体。 2.0μm<Rz(十点平均表面粗さ)<3.0μm、 Δa(平均表面傾斜度)<8.0、 3%<a30(表面傾斜度分布の傾斜度が30度以上の
    割合)<15%。
  2. 【請求項2】 アルミニウム板を粗面化し陽極酸化処理
    して得られた、表面形状が下記の条件を満たす支持体上
    に、加熱によりアルカリ現像液に対する溶解性が向上す
    る層を設けてなる平版印刷版原版。 2.0μm<Rz(十点平均表面粗さ)<3.0μm、 Δa(平均表面傾斜度)<8.0、 3%<a30(表面傾斜度分布の傾斜度が30度以上の
    割合)<15%。
JP2000225534A 2000-07-26 2000-07-26 平版印刷版用支持体及び平版印刷版原版 Pending JP2002036743A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000225534A JP2002036743A (ja) 2000-07-26 2000-07-26 平版印刷版用支持体及び平版印刷版原版

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000225534A JP2002036743A (ja) 2000-07-26 2000-07-26 平版印刷版用支持体及び平版印刷版原版

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002036743A true JP2002036743A (ja) 2002-02-06

Family

ID=18719292

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000225534A Pending JP2002036743A (ja) 2000-07-26 2000-07-26 平版印刷版用支持体及び平版印刷版原版

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002036743A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105734361A (zh) * 2016-04-19 2016-07-06 河南金阳铝业有限公司 一种印刷板材基板用铝箔的制造方法
CN106435284A (zh) * 2016-08-25 2017-02-22 杭州五星铝业有限公司 一种新型锂电池用铝箔及箔材制造方法
CN106868351A (zh) * 2017-03-28 2017-06-20 安徽华中天力铝业有限公司 一种8011合金无皱涂层容器箔用铝箔坯料及铝箔的生产方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105734361A (zh) * 2016-04-19 2016-07-06 河南金阳铝业有限公司 一种印刷板材基板用铝箔的制造方法
CN106435284A (zh) * 2016-08-25 2017-02-22 杭州五星铝业有限公司 一种新型锂电池用铝箔及箔材制造方法
CN106868351A (zh) * 2017-03-28 2017-06-20 安徽华中天力铝业有限公司 一种8011合金无皱涂层容器箔用铝箔坯料及铝箔的生产方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1300257B1 (en) Support for lithographic printing plate and presensitized plate and method of producing lithographic printing plate
JP2008111142A (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板および平版印刷版用支持体
JP4410714B2 (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP4516761B2 (ja) アルミニウム板エンボス加工用ロール
JP5266175B2 (ja) 平版印刷版原版
JP2004117514A (ja) 平版印刷版原版
JP4250490B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金素板および平版印刷版用支持体
JP2002036743A (ja) 平版印刷版用支持体及び平版印刷版原版
JP4362053B2 (ja) 平版印刷版用支持体およびそれを用いる平版印刷版原版
US7232645B2 (en) Support for lithographic printing plate and presensitized plate
JP2001318458A (ja) 平版印刷版原版
JP5480565B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板および平版印刷版用支持体
JP4520791B2 (ja) 平版印刷版用支持体および平版印刷版原版
JP4445762B2 (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP2002082427A (ja) 平版印刷版
JP2001324797A (ja) 平版印刷版原版
JP2006076104A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP3785348B2 (ja) 平版印刷版用支持体および平版印刷版原版
JP2001260550A (ja) 平版印刷版原版
JP4643380B2 (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP2002036744A (ja) 平版印刷版原版
JP2001315462A (ja) 平版印刷版原版
JP2002067521A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体とその製造方法
JP2006240116A (ja) 平版印刷版用支持体およびその製造方法
JP2001290261A (ja) 平版印刷版原版