JP2002082427A - 平版印刷版 - Google Patents

平版印刷版

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JP2002082427A
JP2002082427A JP2000270136A JP2000270136A JP2002082427A JP 2002082427 A JP2002082427 A JP 2002082427A JP 2000270136 A JP2000270136 A JP 2000270136A JP 2000270136 A JP2000270136 A JP 2000270136A JP 2002082427 A JP2002082427 A JP 2002082427A
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JP
Japan
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photosensitive layer
support
printing plate
aluminum
lithographic printing
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP2000270136A
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English (en)
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Tadashi Endo
正 遠藤
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】感光層支持体界面での熱拡散が抑えられた平版
印刷版の提供。 【解決手段】アルミニウム板に粗面化処理および陽極酸
化処理をしてなるアルミニウム支持体上に、赤外線吸収
剤と、水に不溶でありアルカリ水溶液に可溶である高分
子化合物とを含有し、赤外線レーザ露光によりアルカリ
現像液に対する可溶性が変化する感光層を設けてなる平
版印刷版であって、該感光層と該支持体とが、部分的に
接触していることを特徴とする平版印刷版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤外線レーザで記
録することができる平版印刷版に関し、詳しくは、光熱
変換により発生する熱によりアルカリ現像液に対する可
溶性が変化するいわゆるサーマルタイプの感光層を有す
る平版印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、画像形成技術の発展に伴い、細く
ビームを絞ったレーザ光をその版面上に走査させ、文字
原稿、画像原稿等を直接版面上に形成させ、フィルム原
稿を用いず直接製版する技術が注目されている。このよ
うな画像形成材料としては、感光層中に存在する赤外線
吸収剤がその光熱変換作用を発現し露光により発熱し、
その熱により感光層の露光部分がアルカリ可溶化しポジ
画像を形成するいわゆるサーマルタイプのポジ型平版印
刷版や、その熱によりラジカル発生剤や酸発生剤がラジ
カルや酸を発生させ、それによりラジカル重合反応や酸
架橋反応が進行して不溶化しネガ型画像を形成するサー
マルタイプのネガ型平版印刷版が挙げられる。即ち、こ
のようなサーマルタイプの画像形成においては、レーザ
光照射によって感光層中で光熱変換物質により熱が発生
してその熱が画像形成反応を引き起こすのである。
【0003】しかしながら、粗面化され陽極酸化皮膜を
形成されたアルミニウム支持体では、支持体の熱伝導率
が感光層に比べ極めて高いため、感光層と支持体との界
面付近で発生した熱は、画像形成に十分使用されないう
ちに支持体内部に拡散してしまい、その結果、感光層支
持体界面では次のようなことが起こる。
【0004】まず、ポジ型感光層においては、熱が支持
体内部に拡散してアルカリ可溶化反応が不十分となる
と、本来の非画像部分に残膜が発生してしまうという低
感度の問題があり、これはポジ型感光層の本質的問題と
なっている。また、このようなサーマルポジタイプの
は、光熱変換機能を有する赤外線吸収剤が必須である
が、これらは分子量が比較的大きいため溶解性が低く、
また、陽極酸化により生じたミクロな開口部に吸着して
除去しにくいため、アルカリ現像液による現像工程にお
いて、残膜が発生しやすいという問題もある。これらの
問題に対処するため、感光層支持体界面の感光層現像性
を向上させるため下塗り液等が種々検討されているが、
いずれにおいても十分満足のいくレベルには到達できて
いない。
【0005】一方、ネガ型感光層においては、熱が支持
体内部に拡散して感光層支持体界面付近での感光層の現
像液不溶化が不十分になると、本来画像部となるべき部
分で画像が十分にできずに現像時に流れてしまったり、
たとえ画像様に形成できたとしても印刷時に容易に画像
がはく離してしまったりするという問題がある。これら
の問題に対処するため、露光後現像前の加熱(後加熱)
により画像形成反応を促進することが実際行われている
が、後加熱の温度管理幅が狭いため操作性が微妙であ
り、また、用いられる加熱機が大きく作業性も悪いた
め、その改善が望まれている。
【0006】一方、最近の市場動向として、生産性の向
上のための露光時間の短縮化や、レーザの長寿命化のた
めのレーザの低出力化などの要求が強いため、画像形成
に必要なレーザ光エネルギーを現状よりも下げることが
要請されている。したがって、サーマルポジタイプの平
版印刷版においては現像液感度の変動に対する印刷版の
許容可能幅、即ち、現像ラチチュードを高めることが、
サーマルネガタイプの平版印刷版においては後加熱作業
がなくとも実用に耐える画像形成ができることが強く求
められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な問題を解決するために、感光層支持体界面での熱拡散
が抑えられた平版印刷版を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため鋭意検討した結果、本発明を完成した。即
ち、本発明は、アルミニウム板に粗面化処理および陽極
酸化処理をしてなるアルミニウム支持体上に、赤外線吸
収剤と、水に不溶でありアルカリ水溶液に可溶である高
分子化合物とを含有し、赤外線レーザ露光によりアルカ
リ現像液に対する可溶性が変化する感光層を設けてなる
平版印刷版であって、該感光層と該支持体とが、部分的
に接触していることを特徴とする平版印刷版を提供す
る。本発明の平版印刷版においては、感光層と支持体と
が部分的に接触している。即ち、支持体全体の面積より
感光層と支持体との接触部分の面積が小さい。感光層と
支持体とを部分的に接触させる方法は、特に限定され
ず、例えば、感光層と支持体との間に微小な空隙を多数
形成することにより実現される。本発明においては、感
光層と支持体とが部分的に接触しているため、感光層で
発生した熱の支持体への移動が、熱伝達接触面積の割合
にほぼ対応して抑制される。
【0009】本発明の平版印刷版においては、支持体全
体の面積に対する感光層と支持体との接触部分の面積の
割合が50〜95%であるのが好ましい。この割合が5
0%以上であると、平版印刷版の強度特性の点で好まし
い。また、この割合が95%以下であると、熱伝達性抑
制効果が大きいので好ましい。より好ましくは、支持体
全体の面積に対する感光層と支持体との接触部分の面積
の割合が60〜90%である。
【0010】本発明の平版印刷版においては、支持体の
表面の算術平均粗さ(Ra)が0.25μm以上である
のが好ましく、また、十点平均粗さ(Rz)が2μm以
上であるのが好ましい。RaおよびRzは支持体表面の
プロファイルにおける凹凸の大きさと頻度を表し、主に
感光層と支持体との機械的密着性とよい相関を示す。R
aおよびRzが上記範囲であると、感光層と支持体との
機械的密着性が優れたものになり、接触面積が小さくて
も十分な感光層密着性を得ることができるようになる。
【0011】本発明の平版印刷版は、半径50〜300
nmの空隙を感光層と支持体との間に有するのが好まし
い。このような微小な空隙を多数設けることによって、
感光層と支持体との接触部分の面積を支持体全体の面積
より小さくすると、熱伝達および強度特性が全面にわた
って均一なものとなる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。 [アルミニウム支持体] <アルミニウム板(圧延アルミ)>本発明の平版印刷版
に用いられるアルミニウム板は、寸度的に安定なアルミ
ニウムを主成分とする金属、即ち、アルミニウムまたは
アルミニウム合金からなる。 純アルミニウム板のほか、
アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板
や、アルミニウムまたはアルミニウム合金がラミネート
されまたは蒸着されたプラスチックフィルムまたは紙を
用いることもできる。更に、特公昭48−18327号
公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレー
トフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体
シートを用いることもできる。
【0013】以下の説明において、上記に挙げたアルミ
ニウムもしくはアルミニウム合金からなる各種の基板ま
たはアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる層
を有する各種の基板をアルミニウム板と総称して用い
る。 前記アルミニウム合金に含まれてもよい異元素に
は、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロ
ム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等があり、合金
中の異元素の含有量は10質量%以下である。
【0014】本発明においては、純アルミニウム板を用
いるのが好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは精
錬技術上製造が困難であるので、わずかに異元素を含有
するものでもよい。このように本発明に用いられるアル
ミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従
来より公知公用の素材もの、例えば、JIS A105
0、JIS A1100、JIS A3005、国際登
録合金 3103A等のアルミニウム合金板を適宜利用
することができる。 また、本発明に用いられるアルミニ
ウム板の厚みは、0. 1mm〜0. 6mm程度である。
この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさおよびユー
ザーの希望により適宜変更することができる。
【0015】本発明の平版印刷版に用いられるアルミニ
ウム支持体は、上記アルミニウム板に粗面化処理および
陽極酸化処理をして得られるが、このアルミニウム支持
体の製造工程には、粗面化処理および陽極酸化処理以外
の各種の工程が含まれていてもよい。
【0016】<粗面化処理(砂目立て処理)>上記アル
ミニウム板は、より好ましい形状に砂目立て処理され
る。砂目立て処理方法は、特開昭56−28893号公
報に開示されているような機械的砂目立て、化学的エッ
チング、電解グレイン等がある。更に、塩酸電解液中ま
たは硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする電気化学
的砂目立て法(電気化学的粗面化)や、アルミニウム表
面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン
法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てする
ボールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を砂
目立てするブラシグレイン法等の機械的砂目立て法を用
いることができる。これらの砂目立て法は、単独でまた
は組み合わせて用いることができる。
【0017】中でも、本発明に好適に用いられる砂目表
面を作る方法は、塩酸電解液中または硝酸電解液中で化
学的に砂目立てする電気化学的方法である。好ましい電
流密度は、陽極時電気量50〜400C/dm2 であ
る。更に具体的には、例えば、0.1〜50質量%の塩
酸または硝酸を含む電解液中で、温度20〜100℃、
時間1秒〜30分、電流密度100〜400C/dm2
の条件で直流または交流を用いて行われる。電気化学的
粗面化によれば、表面に微細な凹凸を付与することが容
易であるため、感光層と基板との密着性を向上させる上
でも好適である。
【0018】この粗面化により、平均直径約0.5〜2
0μmのクレーター状またはハニカム状のピットをアル
ミニウム板の表面に30〜100%の面積率で生成する
ことができる。設けられたピットは、印刷版の非画像部
の汚れにくさおよび耐刷力を向上する作用を有する。電
気化学的処理では、十分なピットを表面に設けるために
必要なだけの電気量、即ち、電流と電流を流した時間と
の積が、電気化学的粗面化における重要な条件となる。
より少ない電気量で十分なピットを形成できることは、
省エネの観点からも望ましい。粗面化処理後の表面粗さ
は、JIS B0601−1994に準拠してカットオ
フ値0.8mm、評価長さ3.0mmで測定した算術平
均粗さ(Ra)が、0.25〜0.70μmであるのが
好ましく、また、JIS B0601−1994に準拠
して基準長さ2.5mm、評価長さ2.5mmで測定し
た十点平均粗さ(Rz)が2.0〜5.0μmであるの
が好ましい。
【0019】<エッチング処理>このように砂目立て処
理されたアルミニウム板は、酸またはアルカリにより化
学的にエッチングされる。酸をエッチング剤として用い
る場合は、微細構造を破壊するのに時間がかかり、工業
的に本発明を適用するに際しては不利であるが、アルカ
リをエッチング剤として用いることによりこの問題点を
改善できる。本発明において好適に用いられるアルカリ
剤は、特に限定されないが、例えば、カセイソーダ、炭
酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン
酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウムが挙げられ
る。アルカリエッチング処理の条件は、特に限定されな
いが、アルカリの濃度は1〜50質量%であるのが好ま
しく、アルカリの温度は20〜100℃であるのが好ま
しく、アルミニウムの溶解量は5〜20g/m3 である
のが好ましい。
【0020】エッチング処理を行った後、表面に残留す
る汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われ
る。用いられる酸としては、例えば、硝酸、硫酸、リン
酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸が挙げられ
る。特に、電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理
方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公
報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜
65質量%の硫酸と接触させる方法が挙げられる。
【0021】<陽極酸化処理>以上のように処理された
アルミニウム板には、更に、陽極酸化処理が施される。
陽極酸化処理はこの分野で従来より行われている方法で
行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、クロム
酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等
の単独のまたは2種以上を組み合わせた水溶液または非
水溶液の中で、アルミニウム板に直流または交流を流す
とアルミニウム板の表面に陽極酸化皮膜を形成すること
ができる。
【0022】この際、少なくともAl合金板、電極、水
道水、地下水等に通常含まれる成分が電解液中に含まれ
ていても構わない。更には、第2、第3の成分が添加さ
れていても構わない。ここでいう第2、第3の成分とし
ては、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、A
l、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等
の金属のイオン;アンモニウムイオン等の陽イオン;硝
酸イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、リン酸イオン、
フッ化物イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ
酸イオン、ホウ酸イオン等の陰イオンが挙げられ、0〜
10000ppm程度の濃度で含まれていてもよい。
【0023】陽極酸化処理の条件は、使用される電解液
によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一
般的には電解液濃度1〜80質量%、液温−5〜70
℃、電流密度0.5〜60A/dm2 、電圧1〜100
V、電解時間10〜200秒であるのが適当である。こ
れらの陽極酸化処理の中でも、英国特許第1,412,
768号明細書に記載されている、硫酸電解液中で高電
流密度で陽極酸化する方法が特に好ましい。
【0024】本発明においては、陽極酸化皮膜の量は1
〜10g/m2 であるのが好ましい。1g/m2 未満で
あると版に傷が入りやすくなり、一方、10g/m2
超えると製造に多大な電力が必要となり、経済的に不利
となる。陽極酸化皮膜の量は、1.5〜7g/m2 であ
るのがより好ましく、2〜5g/m2 であるのが特に好
ましい。
【0025】以上のようにして得られたアルミニウム支
持体は、JIS B0601−1994に準拠してカッ
トオフ値0.8mm、評価長さ3.0mmで測定した算
術平均粗さ(Ra)が、0.25μm以上であるのが好
ましく、また、JIS B0601−1994に準拠し
て基準長さ2.5mm、評価長さ2.5mmで測定した
十点平均粗さ(Rz)が2.0μm以上であるのが好ま
しい。これにより、感光層と支持体との機械的密着性が
優れたものになる。上記算術平均粗さ(Ra)は、0.
27〜0.60μmであるのがより好ましい。また、上
記十点平均粗さ(Rz)は、2.5〜6.5μmである
のがより好ましい。
【0026】[画像形成層]本発明の平版印刷版は、上
記のようにして得られたアルミニウム支持体上に、必要
に応じて以下の画像形成層が形成されてなる。本発明に
用いられる画像形成層は、赤外線レーザの照射により書
き込みすることができるものであれば、特に限定されな
い。このような赤外線レーザ露光により直接記録するこ
とができ、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が変
化する感光層を以下、適宜、サーマルタイプ感光層と称
する。サーマルタイプのレーザ直描型平版印刷版用感光
層としては、公知のものを適用することができ、例え
ば、特開平9−222737号公報、特開平9−906
10号公報、特開平9−87245号公報、特開平9−
43845号公報、特開平7−306528号公報、特
開2000−35666号公報、または本願出願人によ
る特願平11−240601号明細書に記載の感光層、
記録層等が挙げられる。
【0027】このようなサーマルタイプ感光層は、赤外
線吸収剤、水不溶性、かつ、アルカリ水溶液可溶性の高
分子化合物、およびその他の任意成分を含有する。ポジ
型の感光層は、光照射や加熱により発生する酸や熱エネ
ルギーそのものにより、層を形成していた高分子化合物
の結合が解除されるなどの働きにより水やアルカリ水に
可溶性となり、現像により除去されて非画像部を形成す
るものである。ネガ型の感光層は、光照射や加熱により
発生するラジカルや酸が開始剤や触媒となり、感光層を
構成する化合物が重合反応や架橋反応を生起し、硬化し
て画像部を形成するものである。
【0028】なお、本発明においては、水不溶性、か
つ、アルカリ水可溶性の高分子を、適宜、単に「アルカ
リ水可溶性高分子」と称する。このような高分子化合物
としては、高分子中の主鎖および/または側鎖に酸性基
を有する単独重合体、これらの共重合体、またはこれら
の混合物を用いることが好ましい。中でも、下記(1)
〜(6)に挙げる酸性基を高分子の主鎖および/または
側鎖に有するものが、アルカリ性現像液に対する溶解性
の点および溶解抑制能発現の点で好ましい。
【0029】(1)フェノール基(−Ar−OH) (2)スルホンアミド基(−SO2 NH−R) (3)置換スルホンアミド系酸基(以下「活性イミド
基」という。例えば、−SO2 NHCOR、−SO2
HSO2 R、−CONHSO2 Rが挙げられる。) (4)カルボン酸基(−CO2 H) (5)スルホン酸基(−SO3 H) (6)リン酸基(−OPO3 2
【0030】上記(1)〜(6)中、Arは置換基を有
していてもよい2価のアリール連結基を表し、Rは置換
基を有していてもよい炭化水素基を表す。
【0031】上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を
有するアルカリ水可溶性高分子の中でも、(1)フェノ
ール基、(2)スルホンアミド基または(3)活性イミ
ド基を有するアルカリ水可溶性高分子が好ましく、
(1)フェノール基または(2)スルホンアミド基を有
するアルカリ水可溶性高分子が、アルカリ性現像液に対
する溶解性、現像ラチチュードおよび膜強度を十分に確
保する点から最も好ましい。
【0032】上記(1)〜(3)より選ばれるアルカリ
水可溶性高分子としては、例えば、以下のものを挙げる
ことができる。 (1)フェノール基を有するアルカリ水可溶性高分子と
しては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮
重合体、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合
体、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、
m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重
合体、フェノールとクレゾール(m−、p−およびm−
/p−混合のいずれでもよい。)とホルムアルデヒドと
の縮重合体等のノボラック樹脂;およびピロガロールと
アセトンとの縮重合体を挙げることができる。更に、フ
ェノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた共重合
体を挙げることもできる。
【0033】フェノール基を有する化合物としては、例
えば、フェノール基を有するアクリルアミド、メタクリ
ルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステ
ル;ヒドロキシスチレンが挙げられる。具体的には、N
−(2−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−
(3−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4
−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(2−ヒ
ドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(3−ヒド
ロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(4−ヒドロ
キシフェニル)メタクリルアミド、o−ヒドロキシフェ
ニルアクリレート、m−ヒドロキシフェニルアクリレー
ト、p−ヒドロキシフェニルアクリレート、o−ヒドロ
キシフェニルメタクリレート、m−ヒドロキシフェニル
メタクリレート、p−ヒドロキシフェニルメタクリレー
ト、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレ
ン、p−ヒドロキシスチレン、2−(2−ヒドロキシフ
ェニル)エチルアクリレート、2−(3−ヒドロキシフ
ェニル)エチルアクリレート、2−(4−ヒドロキシフ
ェニル)エチルアクリレート、2−(2−ヒドロキシフ
ェニル)エチルメタクリレート、2−(3−ヒドロキシ
フェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ヒドロキ
シフェニル)エチルメタクリレート等を好適に使用する
ことができる。これらは、2種以上を組み合わせて使用
してもよい。
【0034】アルカリ水可溶性高分子は、重量平均分子
量が5.0×102 〜2.0×10 4 で、数平均分子量
が2.0×102 〜1.0×104 であるものが、画像
形成性の点で好ましい。また、これらの高分子を単独で
用いるのみならず、2種以上を組み合わせて使用しても
よい。組み合わせる場合には、米国特許第412327
9号明細書に記載されているような、t−ブチルフェノ
ールとホルムアルデヒドとの縮重合体や、オクチルフェ
ノールとホルムアルデヒドとの縮重合体のような、炭素
数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノール
とホルムアルデヒドとの縮重合体を併用してもよい。
【0035】(2)スルホンアミド基を有するアルカリ
水可溶性高分子としては、例えば、スルホンアミド基を
有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分と
して構成される重合体を挙げることができる。上記のよ
うな化合物としては、窒素原子に少なくとも一つの水素
原子が結合したスルホンアミド基と、重合可能な不飽和
基とを分子内にそれぞれ一つ以上有する化合物が挙げら
れる。中でも、アクリロイル基、アリル基またはビニロ
キシ基と、モノ置換アミノスルホニル基または置換スル
ホニルイミノ基とを分子内に有する低分子化合物が好ま
しく、例えば、下記一般式1〜5で表される化合物が挙
げられる。
【0036】
【化1】
【0037】(式中、X1 およびX2 は、それぞれ独立
に−O−または−NR27−を表す。R 21およびR24は、
それぞれ独立に水素原子または−CH3 を表す。R22
25、R29、R32およびR36は、それぞれ独立に置換基
を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シ
クロアルキレン基、アリーレン基またはアラルキレン基
を表す。R23、R27およびR33は、それぞれ独立に水素
原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアル
キル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキ
ル基を表す。また、R26 およびR37は、それぞれ独立
に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル
基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基
を表す。R28、R30およびR34は、それぞれ独立に水素
原子または−CH3 を表す。R31およびR35は、それぞ
れ独立に単結合、または置換基を有していてもよい炭素
数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリ
ーレン基もしくはアラルキレン基を表す。Y3 およびY
4 は、それぞれ独立に単結合または−CO−を表す。)
【0038】一般式1〜5で表される化合物のうち、本
発明のポジ型平版印刷用材料では、特に、m−アミノス
ルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノス
ルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミ
ノスルホニルフェニル)アクリルアミド等を好適に使用
することができる。
【0039】(3)活性イミド基を有するアルカリ水可
溶性高分子としては、例えば、活性イミド基を有する化
合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成
される重合体を挙げることができる。上記のような化合
物としては、下記構造式で表される活性イミド基と、重
合可能な不飽和基とを分子内にそれぞれ一つ以上有する
化合物を挙げることができる。
【0040】
【化2】
【0041】具体的には、N−(p−トルエンスルホニ
ル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニ
ル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
【0042】ポジ型感光層に用いられるアルカリ水可溶
性高分子を構成する前記(1)〜(6)より選ばれる酸
性基を有する最小構成単位は、特に1種のみである必要
はなく、同一の酸性基を有する最小構成単位を2種以
上、または異なる酸性基を有する最小構成単位を2種以
上共重合させたものを用いることもできる。共重合の方
法としては、従来知られているグラフト共重合法、ブロ
ック共重合法、ランダム共重合法等を用いることができ
る。
【0043】前記共重合体は、共重合させる(1)〜
(6)より選ばれる酸性基を有する化合物が共重合体中
に10モル%以上含まれているものが好ましく、20モ
ル%以上含まれているものがより好ましい。10モル%
未満であると、現像ラチチュードを十分に向上させるこ
とができない傾向がある。ネガ型の画像形成材料の感光
層に使用できる好ましい高分子としては、ヒドロキシ基
またはアルコキシ基が直接結合した芳香族炭化水素環を
側鎖または主鎖に有するポリマーが挙げられる。アルコ
キシ基としては、感度の観点から、炭素数20個以下の
ものが好ましい。また、芳香族炭化水素環としては、原
料の入手性から、ベンゼン環、ナフタレン環またはアン
トラセン環が好ましい。これらの芳香族炭化水素環は、
ヒドロキシ基およびアルコキシ基以外の置換基、例え
ば、ハロゲン基、シアノ基等の置換基を有していてもよ
いが、感度の観点から、ヒドロキシ基およびアルコキシ
基以外の置換基を有さない方が好ましい。
【0044】本発明において、好適に用いることができ
るバインダーポリマーは、下記一般式(III)で表さ
れる構成単位を有するポリマー、またはノボラック樹脂
等のフェノール樹脂である。
【0045】
【化3】
【0046】式中、Ar2 は、ベンゼン環、ナフタレン
環またはアントラセン環を示す。R 4 は、水素原子また
はメチル基を表す。R5 は、水素原子または炭素数20
個以下のアルコキシ基を表す。X3 は、単結合または、
C、H、N、OおよびSからなる群より選ばれる1種以
上の原子を含み、かつ、炭素数0〜20個の2価の連結
基を表す。kは、1〜4の整数を表す。
【0047】まず、本発明において、好適に用いられる
一般式(III)で表される構成単位の例([BP−
1]〜[BP−6])を以下に挙げるが、本発明はこれ
に制限されるものではない。
【0048】
【化4】
【0049】
【化5】
【0050】これらの構成単位を有するポリマーは、対
応するモノマーを用い、従来公知の方法によりラジカル
重合することにより得ることができる。
【0051】つぎに、ノボラック類について述べる。本
発明で好適に用いられるノボラック樹脂は、フェノール
ノボラック、o−、m−、p−の各種クレゾールノボラ
ック、およびその共重合体、ハロゲン原子、アルキル基
等で置換されたフェノールを利用したノボラックが挙げ
られる。これらのノボラック樹脂は、重量平均分子量が
1000以上であるのが好ましく、2000〜2万の範
囲であるのがより好ましく、また、数平均分子量が10
00以上であるのが好ましく、2000〜15000の
範囲であるのがより好ましい。多分散度は1以上である
のが好ましく、1.1〜10の範囲であるのがより好ま
しい。
【0052】本発明に用いられる感光層に含有される赤
外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有
しており、レーザ走査により光化学反応等が起こり、感
光層の現像液に対する溶解性が大きく増加する。本発明
において使用される赤外線吸収剤は、波長760nmか
ら1200nmの赤外線を有効に吸収する染料または顔
料である。好ましくは、波長760nmから1200n
mに吸収極大を有する染料または顔料である。染料とし
ては、市販の染料および例えば「染料便覧」(有機合成
化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されてい
る公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金
属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染
料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボ
ニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン
染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレ
ート錯体等の染料を用いることができる。
【0053】本発明において使用される顔料としては、
市販の顔料および、カラーインデックス(C.I.)便
覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977
年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986
年刊)または「印刷インキ技術」(CMC出版、198
4年刊)に記載されている顔料が挙げられる。これらの
赤外線吸収剤は、露光波長に対して光熱変換機能を有す
るものであればいずれも適用することができるが、具体
的には、例えば、本願出願人による特開平11−985
号公報の段落番号0038〜0050に記載されている
ものを好適に適用することができる。これらの染料また
は顔料の添加量は、感光層塗布液の全固形分に対して、
0.01〜30質量%程度であるのが好ましい。
【0054】更に、特開平11−338131号公報に
記載のアニオン性赤外線吸収剤も好適なものとして挙げ
ることができる。
【0055】ネガ型感光層には、露光部におけるアルカ
リ水可溶高分子化合物のアルカリ水溶解性を低下させる
ために、光または熱により分解して酸を発生する酸発生
剤および発生した酸により架橋反応を生起させ、バイン
ダー高分子を硬化させる酸架橋剤、または、光もしくは
熱によりラジカルを発生させる化合物および発生したラ
ジカルにより重合し、硬化する化合物等を含有させる。
【0056】本発明に用いられる感光層には、更に、必
要に応じてこれら以外に種々の公知の添加剤を併用する
ことができる。
【0057】これらの化合物を好適な溶媒に溶解して感
光層塗布液を調製し、部分的に感光層が支持体に接触し
た界面を形成するように、アルミニウム支持体上に塗布
することで、本発明の平版印刷版を得ることができる。
その際の塗布方式としては、例えば、バーコーター塗
布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ
塗布、ブレード塗布、ロール塗布が挙げられる。
【0058】ここで、従来行われているように、塗布面
質を均一にするために塗布溶液の調整を十分行って層流
条件にて塗布すると、感光層が均一に支持体上に設けら
れ、感光層支持体界面のほぼすべてが接触した状態にな
ってしまう。そのため、本発明の平版印刷版を製造する
際には、感光層と支持体とが部分的に接触するように、
好ましくは、支持体全体の面積に対する感光層と支持体
との接触部分の面積の割合が50〜95%となるよう
に、様々な工夫をする。
【0059】例えば、塗布溶液を完全に脱気せず、適度
の気泡を含有した状態で塗布すると、乾燥工程で気泡が
発生し、界面付近に空隙を生成するので、感光層と支持
体とが部分的に接触するようにすることができる。この
場合には、支持体を上側に、感光層を下側にして乾燥す
ると、界面付近に空隙が発生しやすいので好ましい。ま
た、感光層の塗布の初期において、支持体上の塗布溶液
に微量微少な気泡を微細に分散させて設けておき、その
気泡が消失しないうちに更に塗布溶液を塗布するなどに
よって感光層を完成させる方法により、感光層と支持体
とが部分的に接触するようにすることができる。更に、
塗布初期のみ微少な気泡を多数含む塗布液をスプレー塗
布して、感光層が部分的に支持体に接触する界面を設
け、その後、その上にスプレー塗布、バーコーター塗布
等により感光層を設ける方法等により、感光層と支持体
とが部分的に接触するようにすることができる。これら
の場合において、半径50〜300nmの空隙を感光層
と支持体との間に有するのが好ましい。
【0060】また、塗布以外の方法によって感光層と支
持体とが部分的に接触する状態を作り出してもよい。例
えば、支持体表面に、あらかじめ感光層塗布液よりも表
面エネルギーの小さい微少部分を分散させて設けてお
き、その上に感光層を塗布することで感光層がその部分
で極微少量だけはじかれ、界面で空隙を作って感光層と
支持体とが部分的に接触するようにすることができる。
具体的には、感光層を塗布する前にフルオロシリコー
ン、フルオロカーボン類、シリコーン類等をスプレー塗
布しておく方法が挙げられる。その他、結果として、感
光層と支持体とが部分的に接触する状態が形成できれ
ば、いかなる方法を用いることもできる。
【0061】
【実施例】以下に実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限られるものではない。 (実施例1) 1.平版印刷版の作成 Si:0. 07%、Fe:0.30%、Cu:0. 01
7%、Mn:0.001%、Mg:0.001%、Z
n:0.001%、Ti:0.03%を含有し、残部は
Alと不可避不純物からなるアルミニウム合金を用いて
溶湯を調製し、溶湯処理、ろ過を行った上で、厚さ50
0mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作成し
た。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取っ
た後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃
に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7m
mの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を
500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmの
アルミニウム板に仕上げた。このアルミニウム板を幅1
030mmにした後、以下に示す表面処理を連続的に行
った。
【0062】(a)アルカリ剤によるエッチング処理 上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.
6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度
70℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミ
ニウム板を13g/m2 溶解した。その後、スプレーに
よる水洗を行った。 (b)デスマット処理 温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイ
オンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマ
ット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。前記デ
スマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を
用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
【0063】(c)電気化学的な粗面化処理 60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面
化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水
溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%、アンモニウ
ムイオンを0.007質量%含む。)、温度50℃であ
った。交流電源波形は図1に示した波形であり、電流値
がゼロからピークに達するまでの時間TPが2mse
c、DUTY比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カ
ーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行っ
た。補助アノードにはフェライトを用いた。使用した電
解槽は図2に示すものを使用した。電流密度は電流のピ
ーク値で30A/dm2 、電気量はアルミニウム板が陽
極時の電気量の総和で250C/dm2 であった。補助
陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その
後、スプレーによる水洗を行った。
【0064】(d)エッチング処理 アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミ
ニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチ
ング処理を70℃で行い、アルミニウム板を0.3g/
2 溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を
行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とする
スマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ
部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、ス
プレーによる水洗を行った。 (e)デスマット処理 温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウム
イオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデス
マット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行っ
た。
【0065】(f)陽極酸化処理 図3に示す構造の二段給電電解処理法の陽極酸化装置
(第一および第二電解部長各6m、第一および第二給電
部長各3m、第一および第二給電電極長各2.4m)を
用いて、第一および第二電解部の硫酸濃度各170g/
L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度
50℃の条件で陽極酸化処理を行った。その後、スプレ
ーによる水洗を行った。
【0066】前記陽極酸化装置においては、電源67a
および67bからの電流は、第一給電部62aに設けら
れた第一給電電極65aに流れ、電解液を介してアルミ
ニウム板11に流れ、第一電解部63aでアルミニウム
板11の表面に酸化皮膜を生成させ、第一電解部63a
に設けられた電解電極66aおよび66bを通り、電源
67aおよび67bに戻る。一方、電源67cおよび6
7dからの電流は、第二給電部62bに設けられた第二
給電電極65bに流れ、前記と同様に電解液を介してア
ルミニウム板11に流れ、第二電解部63bでアルミニ
ウム板11の表面に酸化皮膜を生成させる。
【0067】電源67aおよび67bから第一給電部6
2aに給電される電気量と、電源67cおよび67dか
ら第二給電部62bに給電される電気量とは等しく、第
二給電部62bにおける酸化皮膜面での給電電流密度
は、約23A/dm2 であった。第二給電部62bで
は、第一給電部62aで生成した1.35g/m2 の酸
化皮膜面を通じて給電したことになる。最終的な酸化皮
膜量は2.7g/m2 であった。
【0068】(g)シリケート処理 陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を3号
ケイ酸ナトリウムの1質量%水溶液中に連続的に浸せき
することで親水化処理(シリケート処理)を行った。処
理液温度は20℃、浸せき処理時間は5秒であった。そ
の後、スプレーによる水洗を行った。上記のように処理
を行ったアルミニウム板を以下使用する。
【0069】(フルオロシリコーンの塗布)上記のよう
にして得られたシリケート処理後のアルミニウム支持体
上に、フルオロシリコーン(FMS−221、チッソ社
製)を液体粒子径が2μm以下になるようにスプレー塗
布し、フルオロシリコーンを微細に分散させた。このと
きの塗布量は使用液量から換算して0.5mg/m2
あった。
【0070】(下塗り層の形成)つぎに、下記組成の下
塗り液を塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成
させた。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/m2 であっ
た。
【0071】<下塗り液組成> ・下記高分子化合物 0.3g ・メタノール 100g ・水 1g
【0072】
【化6】
【0073】(感光層の形成)更に、下記組成の感光層
塗布液1を調製し、下塗りしたアルミニウム支持体に、
この感光層塗布液1をバーコーターを用いて、乾燥後の
塗布量(感光層塗布量)が1.0g/m2 になるよう塗
布し、乾燥して感光層を形成させ、サーマルポジタイプ
の平版印刷版を得た。
【0074】 <感光層塗布液1組成> ・カプリン酸 0.03 g ・後述する特定の共重合体1 0.75 g ・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量3,5 00、未反応クレゾール0.5質量%含有) 0.25 g ・p−トルエンスルホン酸 0.003g ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.03 g ・下記構造式で表されるシアニン染料A 0.017g
【0075】
【化7】
【0076】 ・ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを1−ナフタレンスルホン酸アニ オンにした染料 0.015g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業社製 ) 0.05 g ・γ−ブチルラクトン 10 g ・メチルエチルケトン 10 g ・1−メトキシ−2−プロパノール 1 g
【0077】<特定の共重合体1>かくはん機、冷却管
および滴下ロートを備えた500mL容の三つ口フラス
コに、メタクリル酸31.0g(0.36mol)、ク
ロロギ酸エチル39.lg(0.36mol)およびア
セトニトリル200mLを入れ、氷水浴で冷却しながら
混合物をかくはんした。この混合物にトリエチルアミン
36.4g(0.36mol)を約1時間かけて滴下ロ
ートにより滴下した。滴下終了後、氷水浴を取り去り、
室温下で30分間混合物をかくはんした。
【0078】この反応混合物に、p−アミノベンゼンス
ルホンアミド51.7g(0.30mol)を加え、油
浴にて70℃に温めながら混合物を1時間かくはんし
た。反応終了後、この混合物を水1Lにこの水をかくは
んしながら投入し、30分間得られた混合物をかくはん
した。この混合物をろ過して析出物を取り出し、これを
水500mLでスラリーにした後、このスラリーをろ過
し、得られた固体を乾燥することによりN−(p−アミ
ノスルホニルフェニル)メタクリルアミドの白色固体が
得られた(収量46.9g)。
【0079】つぎに、かくはん機、冷却管および滴下ロ
ートを備えた20mL容の三つ口フラスコに、N−(p
−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.6
1g(0.0192mol)、メタクリル酸エチル2.
94g(0.0258mol)、アクリロニトリル0.
80g(0.015mol)およびN,N−ジメチルア
セトアミド20gを入れ、湯水浴により65℃に加熱し
ながら混合物をかくはんした。この混合物に「V−6
5」(和光純薬社製)0.15gを加え、65℃°Cに
保ちながら窒素気流下で、混合物を2時間かくはんし
た。この反応混合物に更にN−(p−アミノスルホニル
フェニル)メタクリルアミド4.61g、メタクリル酸
エチル2.94g、アクリロニトリル0.80g、N,
N−ジメチルアセトアミドおよび「V−65」0.15
gの混合物を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。
滴下終了後、更に、得られた混合物を65℃で2時間か
くはんした。反応終了後、メタノール40gを混合物に
加え、冷却し、得られた混合物を水2Lにこの水をかく
はんしながら投入し、30分混合物をかくはんした後、
析出物をろ過により取り出し、乾燥することにより15
gの白色固体の特定の共重合体1を得た。得られた特定
の共重合体1の重量平均分子量をゲルパーミエーション
クロマトグラフィーにより測定したところ、53,00
0(ポリスチレン標準)であった。
【0080】(比較例1)フルオロシリコーンの塗布を
行わなかった以外は、実施例1と同様の方法により、平
版印刷版を得た。
【0081】(実施例2)下塗り層の形成において、下
塗り液を比較例1と同量塗布し、更に、空気中で激しく
かくはんされ微少な気泡を多数含む下塗り液を塗布量
0.1g/m2 となるように塗布し、120℃で5秒間
乾燥し、塗膜を形成させた以外は、比較例1と同様の方
法により、平版印刷版を得た。
【0082】(実施例3)電気化学的な粗面化処理にお
いて、電解液温度を80℃にし、電気量をアルミニウム
板が陽極時の電気量の総和で100C/dm2 とした以
外は、実施例1と同様の方法により、平版印刷版を得
た。
【0083】2.アルミニウム支持体の表面粗さの測定 上記(f)陽極酸化処理後のアルミニウム支持体につい
て、表面の算術平均粗さ(Ra)および十点平均粗さ
(Rz)を測定した。算術平均粗さ(Ra)および十点
平均粗さ(Rz)の測定は、表面粗さ計(東京精密社製
Surfcom575、触針:2μmR)を用いて、測
定距離3mm、走査速度0.3mm/sの条件で行っ
た。算術平均粗さ(Ra)は、JIS B0601−1
994に準拠して、カットオフ値0.8mm、評価長さ
3.0mmで測定し、十点平均粗さ(Rz)は、JIS
B0601−1994に準拠して、基準長さ2.5m
m、評価長さ2.5mmで測定した。
【0084】3.平版印刷版における感光層と支持体と
の接触割合の測定 上記のようにして得られた平版印刷版の破断面を走査電
子顕微鏡(S−900、日立製作所製)で観察し、写真
から支持体全体の面積に対する感光層と支持体との接触
部分の面積の割合を求めた。この割合は破断面を5視野
観察し、その写真上で感光層と支持体との界面の長さを
実測することで算出した。なお、実施例1〜3の平版印
刷版は、いずれも半径50〜300nmの空隙を感光層
と支持体との間に有していた。
【0085】4.平版印刷版の現像ラチチュードの評価 平版印刷版を、CREO社製のTrendSetter
3244MTを使用し150rpmで830nmの波長
のレーザ光を141mJ/cm2 の版面エネルギー量で
露光した後、富士写真フイルム(株)製のLH−PI用
現像液DT−1を用いて現像した。このときの現像液感
度を電導度換算で見積もり、45mSを中心に、過補充
により高液感現像液を、炭酸ガス疲労により低液感現像
液をそれぞれ作成して、現像液感度を広い範囲で変えて
現像した。そうして得られた平版印刷版を、ハイデルベ
ルグ社製のSOR−M印刷機で大日本インキ社製のDI
C−GEOS(N)墨のインキとIPA含有湿し水を用
いて印刷し、非画像部の汚れが発生せず、かつ、画像部
の着肉不良および耐刷劣化が起こらない現像液の液感度
範囲を電導度換算で現像ラチチュードとして表した。な
お、多くの熱が支持体に拡散してしまうと、サーマルポ
ジタイプの感光層において非画像部に残膜が発生する
が、これは低液感現像液において顕著に表れる。一方、
支持体のRaおよびRzが小さすぎると感光層との密着
性が低下するが、これは高液感現像液において現像性の
低下となる。よって、本実施例において、熱拡散抑制効
果と支持体形状の特徴を同時に評価する指標として現像
ラチチュードを用いたのである。
【0086】これらの結果を第1表に示す。本発明の平
版印刷版は、感光層と支持体とが部分的に接触してお
り、好ましくは、支持体全体の面積に対する感光層と支
持体との接触部分の面積の割合が50〜95%であるの
で、界面付近の熱の拡散を抑制することができ、その結
果、高液感側の現像性は変化せず、低液感現像液での現
像性が促進されるため、現像ラチチュードが広くなるこ
とが分かる(実施例1〜3)。これに対して、感光層と
支持体とが全面で接触している従来の平版印刷版は、現
像ラチチュードが狭い(比較例1)。
【0087】
【表1】
【0088】
【発明の効果】本発明の平版印刷版は、感光層支持体界
面での熱拡散が抑えられており、熱拡散による種々の問
題がないため、サーマルポジタイプおよびサーマルネガ
タイプのいずれにも好適に用いることができ、極めて有
用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の平版印刷版に用いられるアルミニウ
ム支持体の作成における電気化学的な粗面化処理に用い
られる交番波形電流波形図の一例を示すグラフである。
【図2】 本発明の平版印刷版に用いられるアルミニウ
ム支持体の作成における電気化学的な粗面化処理に用い
られる二つ以上のラジアルドラムローラを連結した装置
の概略構成図である。
【図3】 本発明の平版印刷版に用いられるアルミニウ
ム支持体の作成における陽極酸化処理に用いられる二段
給電電解法の陽極酸化処理装置の概略図である。
【符号の説明】
11 アルミニウム板 12 ラジアルドラムローラ 13a、13b 主極 14 電解処理液 15 電解液供給口 16 スリット 17 電解液通路 18 補助陽極 19a、19b サイリスタ 20 交流電源 40、41 主電解槽 50、51 補助陽極槽 62a 第一給電部 62b 第二給電部 63a 第一電解部 63b 第二電解部 64a、64b ニップローラ 65a 第一給電電極 65b 第二給電電極 66a、66b、66c、66d 電解電極 67a、67b、67c、67d 電源
フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA00 AB03 AC08 AD01 AD03 BE00 CB13 CB14 CB15 CB17 CB29 CB52 CC20 DA18 DA20 FA03 FA17 2H096 AA07 AA08 BA16 BA20 CA03 EA04 GA08 LA16 2H114 AA04 AA22 AA23 AA28 BA01 DA04 DA24 DA25 DA26 DA35 DA49 DA52 DA62 DA73 DA78 EA02 FA16 GA05 GA06 GA08 GA09 GA34 GA36 GA38

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム板に粗面化処理および陽極酸
    化処理をしてなるアルミニウム支持体上に、赤外線吸収
    剤と、水に不溶でありアルカリ水溶液に可溶である高分
    子化合物とを含有し、赤外線レーザ露光によりアルカリ
    現像液に対する可溶性が変化する感光層を設けてなる平
    版印刷版であって、 該感光層と該支持体とが、部分的に接触していることを
    特徴とする平版印刷版。
  2. 【請求項2】支持体全体の面積に対する感光層と支持体
    との接触部分の面積の割合が50〜95%である請求項
    1に記載の平版印刷版。
  3. 【請求項3】支持体の表面の算術平均粗さ(Ra)が
    0.25μm以上であり、十点平均粗さ(Rz)が2μ
    m以上である請求項1または2に記載の平版印刷版。
  4. 【請求項4】半径50〜300nmの空隙を感光層と支
    持体との間に有する請求項1〜3のいずれかに記載の平
    版印刷版。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004079457A1 (ja) * 2003-01-17 2004-09-16 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. トナー、トナーの製造方法、二成分現像剤及び画像形成方法
CN110462517A (zh) * 2017-03-31 2019-11-15 日立化成株式会社 感光性元件

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