JP2001215692A - 平版印刷版原版及びその製造方法 - Google Patents

平版印刷版原版及びその製造方法

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JP2001215692A
JP2001215692A JP2000028695A JP2000028695A JP2001215692A JP 2001215692 A JP2001215692 A JP 2001215692A JP 2000028695 A JP2000028695 A JP 2000028695A JP 2000028695 A JP2000028695 A JP 2000028695A JP 2001215692 A JP2001215692 A JP 2001215692A
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JP2000028695A
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Hideo Miyake
秀夫 三宅
Hisashi Hotta
久 堀田
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 網点、細線などの画像再現性や耐刷性に優
れ、汚れの発生や白色化を抑制する赤外線レーザで書き
込み可能な平版印刷版原版及びその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 アルミニウムを主体とする金属板表面に
無機フッ素化合物を含む被覆層を有する支持体上に、水
不溶であり、且つ、アルカリ水可溶性の高分子化合物
と、光を吸収し熱を発生する物質を含有し、赤外線レー
ザで書き込み可能な感光層を設けてなることを特徴とす
る。支持体表面をESCAを用いて測定して得られたフ
ッ素(1S)のピーク面積をA(counts・eV/
sec)とし、アルミニウム(2P)のピーク面積をB
(counts・eV/sec)としたとき、両者が
式: 0.37<A/(A+B)<0.90を満たすこ
とが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤外線波長域に感
応性であり、オフセット印刷マスターとして使用しう
る、画像形成材料及びその製造方法に関し、詳しくは、
コンピュータ等のデジタル信号から赤外線レーザを用い
て直接製版できる、いわゆるダイレクト製版可能なポジ
型平版印刷版原版及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年におけるレーザの発展は目ざまし
く、特に波長760nmから1200nmの赤外線を放
射する固体レーザおよび半導体レーザ(以下、適宜、赤
外線レーザと称する。)は、高出力かつ小型のものが容
易に入手できるようになった。これらの赤外線レーザ
は、コンピュータ等のデジタルデータにより直接印刷版
を製版する際の記録光源として非常に有用である。従っ
て、このような赤外線記録光源に対し、感応性の高い画
像記録材料、即ち、赤外線照射により光化学反応等が起
こり、現像液に対する溶解性が大きく変化する画像記録
材料への要望が近年高まっている。
【0003】このような赤外線領域に発光領域を持つ赤
外線レーザーを露光光源として使用するポジ型平版印刷
版材料は、水不溶であり、且つ、アルカリ水溶液可溶性
のバインダー樹脂と、光を吸収し熱を発生する物質(以
下、適宜、光熱変換剤と称する。)等とを必須成分とす
る。該赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版の感光層に、赤
外線レーザを露光すると、非露光部(画像部)では、感
光層中の光熱変換剤等が、バインダー樹脂との相互作用
により、バインダー樹脂の溶解性を実質的に低下させる
溶解阻止剤として働く。一方、露光部(非画像部)で
は、光熱変換剤が、光を吸収して熱を発生するため、光
熱変換剤とバインダー樹脂との相互作用が弱くなる。し
たがって、現像時には、前記露光部(非画像部)が、ア
ルカリ現像液に溶解し、平版印刷版が形成される。しか
し、赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版においては、
書き込みに使用される赤外線が従来の露光用光源として
使用されていた紫外線よりもエネルギーが低いため、U
V露光により製版するポジ型平版印刷版材料と比べ、露
光によるディスクリミネーションが小さく、画像再現
性、現像液の活性度に対するラチチュード等に種々の問
題を引き起こす懸念がある。
【0004】また、平版印刷版原版に使用されるアルミ
ニウム支持体においては、アルカリ現像時にアルカリ水
溶液により支持体表面が溶解し、画像部では網点や細線
等の小面積の記録層が剥離して画像再現性が低下した
り、非画像部における白化を引き起こす問題があり、印
刷時には、感光層が現像により除去された部分が親水性
の撥インク領域となるが、印刷時に表面に適用される湿
し水が弱酸性であるため、経時的にアルミニウム支持体
表面自体が侵食されて親水化処理された表面が損なわ
れ、汚れが生じやすくなったり、支持体の侵食が進行し
て網点や細線が支持体表面ごと失われ、耐刷性が低下す
るなどの問題があった。
【0005】先に述べたように、赤外線レーザ書き込み
用の記録層自体にも、ディスクリミネーションに問題が
あり、さらに支持体に起因する上記問題もあいまって、
網点細線などの画像再現性、汚れの発生、経時的な耐刷
性の低下が問題となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の問題を
考慮してなされたものであり、本発明の目的は、従来難
しかった網点、細線などの画像再現性や耐刷性に優れ、
汚れの発生や白色化を抑制する赤外線レーザで書き込み
可能な平版印刷版原版及びその製造方法を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは種々検討し
た結果、支持体として、その表面に特定のフッ素化合物
を有する被覆層を形成したものを用いることで、画像再
現性、耐刷性、汚れ性を向上させ、白色化を抑制できる
ことを見いだし、本発明を完成した。即ち、本発明の平
版印刷版原版は、アルミニウムを主体とする金属板表面
に無機フッ素化合物を含む被覆層を有する支持体上に、
アルカリ可溶性の高分子化合物と、光を吸収し熱を発生
する物質を含有し、赤外線レーザで書き込み可能な感光
層を設けてなることを特徴とする。この被覆層の特性と
して、前記支持体が、その表面をX線光電子分光法を用
いて測定して得られたフッ素(1S)のピーク面積をA
(counts・eV/sec)とし、アルミニウム
(2P)のピーク面積をB(counts・eV/se
c)としたとき、両者が以下の式を満たす関係にあるこ
とが好ましい。 式: 0.37<A/(A+B)<0.90
【0008】また、請求項3に係る本発明の平版印刷版
原版の製造方法は、アルミニウムを主体とする金属板を
陽極酸化した後、無機フッ素化合物を含む水溶液で処理
して支持体を作製し、得られた支持体上に、アルカリ可
溶性の高分子化合物と、光を吸収し熱を発生する物質を
含有する赤外線感光性組成物を塗布、乾燥して感光層を
形成する、ことを特徴とする。
【0009】本発明の作用は明確ではないが、アルミニ
ウム支持体として、表面に無機フッ素化合物を含有する
被覆層を有するものを用いることで、アルミニウム板表
面に耐アルカリ性、耐酸性が高い被膜が形成され、アル
カリ現像時、基板が現像液で溶解し、網点や細線が欠落
することを抑制し、画像再現性を確保するとともに、基
板が溶解して、陽極酸化皮膜の孔径が拡大し、インクが
入り込みやすくなるために生じた、放置による汚れ発生
を抑制しうる。また、耐酸性に優れるため、印刷時に酸
性の湿し水を使用することにより、支持体が侵食されて
起こる耐刷性の低下や汚れの発生を効果的に抑制し得
る。本発明の支持体に形成される被覆層は無機フッ素化
合物を含有するため、支持体と感光層との密着性に優
れ、耐刷性が良好であり、有機フッ素化合物を用いた場
合に生じるような支持体と感光層との密着性の低下がな
いという利点をも有するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の平版印刷版原版は、用いる支持体に特徴を有す
る。即ち、支持体上に無機フッ素化合物を含む被覆層を
形成するものである。この被覆層の形成は、アルミニウ
ム基板に直接形成してもよいが、耐久性と効果の観点か
ら、アルミニウム支持体に陽極酸化処理を行った後に陽
極酸化被膜上に形成することが好ましい。
【0011】被覆層はアルミニウム支持体の陽極酸化皮
膜を無機フッ素化合物を含む水溶液と接触させることに
より形成することができる。本発明で使用しうる無機フ
ッ素化合物としては、金属ふっ化物が好ましい。具体的
には、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カルシウム、
フッ化カリウム、フッ化マグネシウム、ヘキサフルオロ
ジルコニウムカリウム、ヘキサフルオロジルコニウムナ
トリウム、ヘキサフルオロチタン酸ナトリウム、ヘキサ
フルオロチタン酸カリウム、ヘキサフルオロジルコニウ
ム水素酸、ヘキサフルオロチタン水素酸、ヘキサフルオ
ロジルコニウムアンモニウム、ヘキサフルオロチタン酸
アンモニウム、ヘキサフルオロケイ酸、フッ化ニッケ
ル、フッ化鉄、フッ化リン酸、フッ化リン酸アンモニウ
ム等が挙げられ、これらは1種のみを用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。
【0012】上記水溶液中における無機フッ素化合物の
濃度は0.005g/リットル〜100g/リットルが
適当であり、好ましくは0.1g/リットル〜50g/
リットル、さらに好ましくは0.5g/リットル〜20
g/リットルである。25℃でのpHが2〜6、好まし
くはpHが3〜5のこれらの水溶液に、30℃以上で1
00℃未満の温度で、好ましくは60〜90℃で2秒〜
6分、さらに好ましくは5秒〜30秒間、アルミニウム
基板を接触させる。接触させる方法は、これらの水溶液
に浸漬させてもよく、陽極酸化被膜が形成された表面に
対して水溶液をスプレーにより吹き付ける方法でもよ
く、水溶液を水蒸気状に気化させた状態で基板表面に接
触させる方法でもよく、水溶液の温度と接触時間が制御
できる限りにおいて、公知のいかなる方法によっても実
施できる。
【0013】このとき形成された被覆層は所定量の無機
フッ素化合物を含むものであることが好ましいが、本発
明においては、被覆層の状態をX線光電子分光法(El
ectron Spectroscopy for C
hemical Analysis:以下、適宜ESC
Aと称する)により確認することができる。ここで、E
SCAについて説明する。超高真空中で、試料表面に一
定のエネルギー(hν)のX線を照射すると、光電効果
によって試料構成原子から電子(光電子)が真空中に放
出される。このとき、放出された光電子の運動エネルギ
ー(EK)は、式(I)で表され、EKをエネルギーアナ
ライザーで測定することで、光電子の結合エネルギー
(EB)が求められる。
【0014】
【数1】EK=hν−EB−φ (I) (式中、φは仕事関数を表す。)
【0015】照射X線としてはエネルギー幅の小さいM
g−Kα(1253.6eV)やAl−Kα(148
6.6eV)が用いられ、このような軟X線の侵入深さ
は試料表面から数μm程度である。しかし、試料の深い
所から発生した光電子は、試料表面に達するまでに他の
原子との非弾性散乱によりエネルギーを失ってしまう確
率が非常に高く、試料の極表面で発生した光電子のみが
他の原子に衝突することなく式(I)の関係を保ったま
ま飛び出して分析される。このような理由から、ESC
Aは試料最表面の数nm(数10Å)を測定することが
できる。
【0016】本発明においては、ESCAでアルミニウ
ム支持体表面を測定したとき得られたフッ素(1S)の
ピーク面積をA(counts・eV/sec)とし、
同様に測定したアルミニウム(2P)のピーク面積をB
(counts・eV/sec)としたとき、両者が式
(0.37<A/(A+B)<0.90)を満たす関係
にあることが好ましく、さらに好ましくは式(0.84
<A/(A+B)<0.90)の範囲、最も好ましくは
式(0.85<A/(A+B)<0.90)の範囲であ
る。A/(A+B)が0.37以下であると被覆層に含
まれる無機フッ素化合物の含有量が少なすぎて目的とす
る耐酸性、耐アルカリ性の向上効果が不充分となり、ま
た、0.90以上では基板と感光層との密着性が低下
し、耐刷性が劣化するという問題があり、いずれも好ま
しくない。
【0017】また、被覆層形成のため、無機フッ素化合
物を含む水溶液で処理する際に、支持体表面の親水性を
向上させる目的でリン酸処理を行うこともできる。本発
明に係る支持体の親水性向上処理に使用しうるリン酸塩
としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属といった
金属のリン酸塩が挙げられる。具体的には、例えば、リ
ン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、
リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウ
ム、リン酸一アンモニウム、リン酸一カリウム、リン酸
一ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カ
リウム、リン酸カルシウム、リン酸水素アンモニウムナ
トリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素マグ
ネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸第一鉄、リン酸
第二鉄、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、
リン酸水素二ナトリウム、リン酸鉛、リン酸二アンモニ
ウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸リチウム、リン
タングステン酸、リンタングステン酸アンモニウム、リ
ン酸タングステン酸ナトリウム、リンモリブデン酸アン
モニウム、リンモリブデン酸ナトリウムが挙げられる。
また、亜リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウ
ム、ピロリン酸ナトリウムを挙げることができる。好ま
しくはリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウ
ム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム等が
挙げられる。これらは、1種または2種以上を合有させ
てもよい。
【0018】このようなリン酸処理を行う場合には、無
機フッ素化合物を含む水溶液にこれらのリン酸を混合し
たリン酸混合液を調製して、それを処理に用いてもよ
く、また、フッ素化合物含有被覆層形成工程の前後にリ
ン酸を含む処理液で処理してもよい。上記水溶液中にお
けるリン酸塩の濃度は、10g/リットル〜1000g
/リットルが適当であり、好ましくは50g/リットル
〜200g/リットルである。また処理方法は、先に無
機フッ素化合物を含む水溶液で処理したのと同様の条件
で行うことができる。
【0019】本発明に係る支持体に使用されるアルミニ
ウムを主体とする金属板(以下、アルミニウム基板と称
する)は公知のものを適宜選択して使用することができ
る。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板、及び
アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板
であり、さらにアルミニウムがラミネート又は蒸着され
たプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に
含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグ
ネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン
等がある。合金中の異元素の含有量は総量で10重量%
以下である。本発明において特に好適なアルミニウム
は、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウ
ムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を
含有するものでもよい。このように本発明に適用される
アルミニウム板は、その組成が特定されるものではな
く、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に
利用することができる。本発明で支持体の基板として用
いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜
0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4m
m、さらに好ましくは0.2mm〜0.4mm、特に好
ましくは0.2mm〜0.3mmの範囲である。
【0020】アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所
望により、表面の圧延油を除去するための、例えば、界
面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂
処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理
は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗
面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法
及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われ
る。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨
法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用い
ることができる。また、電気化学的な粗面化法としては
塩酸若しくは硝酸電解液中で交流又は直流により行う方
法がある。また、特開昭54−63902号に開示され
ているように両者を組み合わせた方法も利用することが
できる。
【0021】このように粗面化されたアルミニウム板
は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理
された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高める
ために陽極酸化処理が施される。特に本発明の如く、無
機フッ素化合物を含む被覆層を形成する場合には、陽極
酸化処理を施したものを用いることが効果の観点から好
ましい。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電
解質としては、多孔質酸化被膜を形成する種々の電解質
の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、シュウ酸、
クロム酸又はそれらの混酸が用いられる。それらの電解
質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
【0022】陽極酸化の処理条件は用いる電解質により
種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には、電
解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、
電流密度5〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解
時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化
被膜の量は1.0g/m2 より少ないと耐膜性が不十分
であったり、非画像部に傷が付き易くなって、特に平版
印刷版原版の場合、印刷時に傷の部分にインキが付着す
る、いわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
【0023】本発明に係る支持体においては、陽極酸化
処理がなされた後、前述のような無機フッ素化合物を含
む水溶液による処理或いは所望によりさらにリン酸によ
る処理を施され、無機フッ素化合物含有被覆層が形成さ
れる。被覆層を形成したあと、感光層との密着性をアッ
プさせるために特開平5−278362号公報に開示さ
れている酸性水溶液処理と親水性下塗りを行うことや、
特開平4−282637号公報又は特願平6−1086
78号明細書に開示されている有機層を設けることが好
ましい。
【0024】このようにして支持体を作成した後、感光
層を形成し、平版印刷版原版を得る。以下に、本発明の
平版印刷版原版の感光層について説明する。
【0025】本発明の平版印刷版原版は、前記支持体上
に、光又は熱の作用により、水又はアルカリ水に対する
可溶性が増大するポジ型記録層を設けてなるが、この記
録層は、通常、水不溶性、且つ、アルカリ水可溶性の高
分子を含有してなり、光又は熱の作用によりこの層を構
成する高分子の相互作用が解け、アルカリ現像液に対す
る溶解性が増大する層である。なお、本発明において
は、水不溶性、且つ、アルカリ水可溶性の高分子を、適
宜、単に「アルカリ水可溶性高分子」と称する。本発明
の平版印刷版原版の感光層は、光又は熱の作用によりア
ルカリ現像液に対する溶解性が増大する構成であり、こ
こで好適に使用しうるアルカリ水可溶性高分子として
は、高分子中の主鎖および/または側鎖に酸性基を含有
する単独重合体、これらの共重合体またはこれらの混合
物が挙げられる。中でも、下記(1)〜(6)に挙げる
酸性基を高分子の主鎖および/または側鎖中に有するも
のが、アルカリ性現像液に対する溶解性の点、溶解抑制
能発現の点で好ましい。
【0026】(1)フェノール基(−Ar−OH) (2)スルホンアミド基(−SO2 NH−R) (3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド
基」という。) 〔−SO2 NHCOR、−SO2 NHSO2 R、−CO
NHSO2 R〕 (4)カルボン酸基(−CO2 H) (5)スルホン酸基(−SO3 H) (6)リン酸基(−OPO3 2
【0027】上記(1)〜(6)中、Arは置換基を有
していてもよい2価のアリール連結基を表し、Rは、置
換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
【0028】上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を
有するアルカリ水可溶性高分子の中でも、(1)フェノ
ール基、(2)スルホンアミド基および(3)活性イミ
ド基を有するアルカリ水可溶性高分子が好ましく、特
に、(1)フェノール基または(2)スルホンアミド基
を有するアルカリ水可溶性高分子が、アルカリ性現像液
に対する溶解性、現像ラチチュード、膜強度を十分に確
保する点から最も好ましい。
【0029】上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を
有するアルカリ水可溶性高分子としては、例えば、以下
のものを挙げることができる。 (1)フェノール基を有するアルカリ水可溶性高分子と
しては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮
重合体、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合
体、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、
m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重
合体、フェノールとクレゾール(m−、p−、またはm
−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドと
の縮重合体等のノボラック樹脂、およびピロガロールと
アセトンとの縮重合体を挙げることができる。さらに、
フェノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた共重
合体を挙げることもできる。或いは、フェノール基を側
鎖に有する化合物を共重合させた共重合体を用いること
もできる。
【0030】フェノール基を有する化合物としては、フ
ェノール基を有するアクリルアミド、メタクリルアミ
ド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、また
はヒドロキシスチレン等が挙げられる。
【0031】アルカリ水可溶性高分子の重量平均分子量
は、5.0×102〜2.0×104で、数平均分子量が
2.0×102 〜1.0×104 のものが、画像形成性
の点で好ましい。また、これらの高分子を単独で用いる
のみならず、2種類以上を組み合わせて使用してもよ
い。組み合わせる場合には、米国特許第4123279
号明細書に記載されているような、t−ブチルフェノー
ルとホルムアルデヒドとの縮重合体や、オクチルフェノ
ールとホルムアルデヒドとの縮重合体のような、炭素数
3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールと
ホルムアルデヒドとの縮重合体を併用してもよい。
【0032】(2)スルホンアミド基を有するアルカリ
水可溶性高分子としては、例えば、スルホンアミド基を
有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分と
して構成される重合体を挙げることができる。上記のよ
うな化合物としては、窒素原子に少なくとも一つの水素
原子が結合したスルホンアミド基と、重合可能な不飽和
基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物が挙げら
れる。中でも、アクリロイル基、アリル基、またはビニ
ロキシ基と、置換あるいはモノ置換アミノスルホニル基
または置換スルホニルイミノ基と、を分子内に有する低
分子化合物が好ましく、例えば、下記一般式1〜5で表
される化合物が挙げられる。
【0033】
【化1】
【0034】〔式中、X1 、X2 は、それぞれ独立に−
O−または−NR27−を表す。R21、R24は、それぞれ
独立に水素原子または−CH3 を表す。R22、R25、R
29、R 32及びR36は、それぞれ独立に置換基を有してい
てもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキ
レン基、アリーレン基またはアラルキレン基を表す。R
23、R27及びR33は、それぞれ独立に水素原子、置換基
を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シク
ロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。
また、R26、R37は、それぞれ独立に置換基を有してい
てもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル
基、アリール基、アラルキル基を表す。R 28、R30及び
34は、それぞれ独立に水素原子または−CH3 を表
す。R31、R 35は、それぞれ独立に単結合、または置換
基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、
シクロアルキレン基、アリーレン基またはアラルキレン
基を表す。Y3 、Y4 は、それぞれ独立に単結合、また
は−CO−を表す。〕
【0035】一般式1〜5で表される化合物のうち、特
に、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N
−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミ
ド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルア
ミド等を好適に使用することができる。
【0036】(3)活性イミド基を有するアルカリ水可
溶性高分子としては、例えば、活性イミド基を有する化
合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成
される重合体を挙げることができる。上記のような化合
物としては、下記構造式で表される活性イミド基と、重
合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する
化合物を挙げることができる。
【0037】
【化2】
【0038】具体的には、N−(p−トルエンスルホニ
ル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニ
ル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
【0039】(4)カルボン酸基を有するアルカリ水可
溶性高分子としては、例えば、カルボン酸基と、重合可
能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合
物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体
を挙げることができる。 (5)スルホン酸基を有するアルカリ可溶性高分子とし
ては、例えば、スルホン酸基と、重合可能な不飽和基
と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する
最小構成単位を主要構成単位とする重合体を挙げること
ができる。 (6)リン酸基を有するアルカリ水可溶性高分子として
は、例えば、リン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分
子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成
単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができ
る。
【0040】ポジ型画像形成材料に用いるアルカリ水可
溶性高分子を構成する、前記(1)〜(6)より選ばれ
る酸性基を有する最小構成単位は、特に1種類のみであ
る必要はなく、同一の酸性基を有する最小構成単位を2
種以上、または異なる酸性基を有する最小構成単位を2
種以上共重合させたものを用いることもできる。
【0041】共重合の方法としては、従来知られてい
る、グラフト共重合法、ブロック共重合法、ランダム共
重合法等を用いることができる。
【0042】前記共重合体は、共重合させる(1)〜
(6)より選ばれる酸性基を有する化合物が共重合体中
に10モル%以上含まれているものが好ましく、20モ
ル%以上含まれているものがより好ましい。10モル%
未満であると、現像ラチチュードを十分に向上させるこ
とができない傾向がある。また、前記高分子化合物は、
1種類のみを用いても、2種類以上を組合わせて用いて
もよい。
【0043】前記アルカリ水可溶性高分子化合物として
は、単独重合体、共重合体に関わらず、膜強度の点で、
重量平均分子量が2000以上、数平均分子量が500
以上のものが好ましく、重量平均分子量が5000〜3
00000、数平均分子量が800〜250000であ
り、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1
〜10のものがより好ましい。
【0044】前記アルカリ水可溶性高分子化合物の含有
量としては、感光層の全固形分重量に対して30〜99
重量%が好ましく、40〜95重量%がより好ましく、
50〜90重量%が最も好ましい。含有量が、30重量
%未満であると、感光層の耐久性が低下することがあ
り、99重量%を越えると、感度、耐久性が低下するこ
とがある。また、これらの高分子化合物に、さらに、米
国特許第4,123,279号明細書に記載されている
ように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、
オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭
素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノー
ルとホルムアルデヒドとの縮合物を併用することは画像
の感脂性を向上させる上で好ましい。
【0045】感光層に含まれる他の必須成分として、光
を吸収し熱を発生する物質(光熱変換剤)が挙げられ
る。光熱変換剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能
を有しており、レーザ走査により感光層内で発生した熱
の影響で、化学反応等が起こり、記録層の現像液に対す
る溶解性が大きく増加する。本発明において使用される
光熱変換剤は、波長760nmから1200nmの赤外
線を有効に吸収する染料又は顔料であり、赤外線吸収剤
とも称される。好ましくは、波長760nmから120
0nmに吸収極大を有する染料又は顔料である。
【0046】以下に、本発明に好適に使用できる赤外線
吸収剤について詳述する。染料としては、市販の染料及
び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和4
5年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用で
きる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラ
ゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染
料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイ
ミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム
色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙
げられる。
【0047】好ましい染料としては、例えば、特開昭5
8−125246号、特開昭59−84356号、特開
昭59−202829号、特開昭60−78787号等
に記載されているシアニン染料、特開昭58−1736
96号、特開昭58−181690号、特開昭58−1
94595号等に記載されているメチン染料、特開昭5
8−112793号、特開昭58−224793号、特
開昭59−48187号、特開昭59−73996号、
特開昭60−52940号、特開昭60−63744号
等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−1
12792号等に記載されているスクワリリウム色素、
英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げ
ることができる。
【0048】また、米国特許第5,156,938号記
載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特
許第3,881,924号記載の置換されたアリールベ
ンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645
号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチ
ンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同
58−220143号、同59−41363号、同59
−84248号、同59−84249号、同59−14
6063号、同59−146061号に記載されている
ピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載
のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記
載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13
514号、同5−19702号に開示されているピリリ
ウム化合物も好ましく用いられる。
【0049】また、染料として好ましい別の例として米
国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、
(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げるこ
とができる。
【0050】これらの染料のうち特に好ましいものとし
ては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム
塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。
【0051】本発明において使用される顔料としては、
市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、
「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年
刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年
刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)
に記載されている顔料が利用できる。
【0052】顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔
料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、
青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、
ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性ア
ゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ
顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、
ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キ
ナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリ
ノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、
アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍
光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックで
ある。
【0053】これら顔料は表面処理をせずに用いてもよ
く、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法に
は、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤
を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップ
リング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を
顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面
処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、
「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び
「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に
記載されている。
【0054】顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範
囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲
にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μm
の範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μ
m未満のときは分散物の画像記録層塗布液中での安定性
の点で好ましくなく、また、10μmを越えると画像記
録層の均一性の点で好ましくない。
【0055】顔料を分散する方法としては、インク製造
やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用でき
る。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アト
ライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、イ
ンペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダ
イナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げら
れる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1
986年刊)に記載されている。これらの染料又は顔料
の添加量としては、記録層塗布液の全固形分に対して、
0.01〜30重量%程度であることが好ましい。
【0056】本発明の如くポジ型の感光層を形成する場
合には、特定の官能基を有するバインダーポリマーとの
相互作用によりポジ作用(未露光部は現像抑制され、露
光部では解除され、現像促進する。)を生じさせる必要
があるため、その点でオニウム塩型構造のものが特に好
ましく、具体的には、特にシアニン色素、ピリリウム塩
が好ましい。シアニン色素は、光を吸収して熱を発生す
る性質を有し、しかも700〜1200nmの波長領域
に吸収域を持つと共に、さらにアルカリ可溶性高分子化
合物と良好に相溶しうる塩基性染料である。この化合物
は、その分子内にアンモニウム基、イミニウム基等のア
ルカリ可溶性高分子化合物と相互作用する基を有するた
め、前記アルカリ水可溶性高分子と相互作用して、その
アルカリ可溶性を抑制することができる。このような化
合物として、例えば、下記一般式(Z)で表される化合
物を挙げることができる。
【0057】
【化3】
【0058】前記一般式(Z)中、R21〜R24は、それ
ぞれ独立に水素原子、又は置換基を有していてもよい炭
素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ
基、シクロアルキル基、アリール基を表し、R21
22、R23とR24はそれぞれ結合して環構造を形成して
いてもよい。R21〜R24としては、例えば、水素原子、
メチル基、エチル基、フェニル基、ドデシル基、ナフチ
ル基、ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基等が挙げ
られ、これらの基は、さらに置換基を有していてもよ
い。ここで、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、
カルボニル基、ニトロ基、ニトリル基、スルホニル基、
カルボキシル基、カルンボン酸エステル、スルホン酸エ
ステル等が挙げられる。
【0059】式中、R25〜R30は、それぞれ独立に置換
基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表
し、前記R25〜R30としては、例えば、メチル基、エチ
ル基、フェニル基、ドデシル基、ナフチル基、ビニル
基、アリル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、これら
の基は、さらに置換基を有していてもよい。ここで、置
換基としては、例えば、ハロゲン原子、カルボニル基、
ニトロ基、ニトリル基、スルホニル基、カルボキシル
基、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル等が挙げ
られる。
【0060】式中、R31〜R33は、それぞれ独立に水素
原子、ハロゲン原子、又は置換基を有してもよい炭素数
1〜8のアルキル基を表し、前記R32は、前記R31又は
33と結合して環構造を形成していてもよく、m>2の
場合は、複数のR32同士が結合して環構造を形成してい
てもよい。前記R31〜R33としては、例えば、塩素原
子、シクロヘキシル基、R32同士が結合してなるシクロ
ペンチル環、シクロヘキシル環等が挙げられ、これらの
基は、さらに置換基を有していてもよい。ここで、置換
基としては、例えば、ハロゲン原子、カルボニル基、ニ
トロ基、ニトリル基、スルホニル基、カルボキシル基、
カルボン酸エステル、スルホン酸エステル等が挙げられ
る。また、mは、1〜8の整数を表し、中でも、1〜3
が好ましい。
【0061】式中、R34〜R35は、それぞれ独立に水素
原子、ハロゲン原子、又は置換基を有してもよい炭素数
1〜8のアルキル基を表し、前記R34は、R35と結合し
て環構造を形成していてもよく、m>2の場合は、複数
のR34同士が結合して環構造を形成していてもよい。前
記R34〜R35としては、例えば、塩素原子、シクロヘキ
シル基、R34同士が結合してなるシクロペンチル環、シ
クロヘキシル環等が挙げられ、これらの基は、さらに置
換基を有していてもよい。ここで、置換基としては、例
えば、ハロゲン原子、カルボニル基、ニトロ基、ニトリ
ル基、スルホニル基、カルボキシル基、カルボン酸エス
テル、スルホン酸エステル等が挙げられる。また、m
は、1〜8の整数を表し、中でも、1〜3が好ましい。
【0062】式中、X-は、アニオンを表し、例えば、
過塩素酸、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソ
プロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−O−トル
エンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメ
チルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベン
ゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−
クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホ
ン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ド
デシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スル
ホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイ
ル−ベンゼンスルホン酸及びパラトルエンスルホン酸等
が挙げられる。中でも、六フッ化リン酸、トリイソプロ
ピルナフタレンスルホン酸、2,5−ジメチルベンゼン
スルホン酸等のアルキル芳香族スルホン酸が好ましい。
【0063】前記一般式(Z)で表される化合物は、一
般にシアニン染料と呼ばれる化合物であり、具体的に
は、以下に示す化合物が好適に用いられるが、本発明に
おいては、これらに限られるものではない。
【0064】
【化4】
【0065】前記染料又は顔料の含有量としては、感光
層の全固形分重量に対して0.01〜50重量%が好ま
しく、0.1〜10重量%がより好ましく、さらに染料
の場合には、0.5〜10重量%が最も好ましく、顔料
の場合には、3.1〜10重量%が最も好ましい。含有
量が、0.01重量%未満であると、感度が低くなるこ
とがあり、50重量%を超えると、感光層の均一性が低
下し、その耐久性が劣化することがある。
【0066】本発明の平版印刷版原版の感光層には、必
要に応じて、さらに種々の添加剤を添加することができ
る。例えば、感度を向上させる目的で、環状酸無水物
類、フェノール類、有機酸類、スルホニル化合物類等の
公知の添加剤を併用することもできる。前記他の環状酸
無水物、フェノール類、有機酸類又はスルホニル化合物
類の添加量としては、画像形成層の全固形分重量に対
し、0.05〜20重量%が好ましく、0.1〜15重
量%がより好ましく、0.1〜10重量%が最も好まし
い。
【0067】また、現像条件に対する処理性の安定性を
拡げる目的で、特開昭62−251740号公報、特開
平3−208514号公報等に記載の非イオン界面活性
剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13
149号公報等に記載の両性界面活性剤を添加すること
ができる。前記非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤
の使用量としては、画像形成層の全固形分重量に対し、
0.05〜15重量%が好ましく、0.1重量%がより
好ましい。
【0068】また、必要に応じて、その塗膜に柔軟性等
を付与する目的で、可塑剤や、以下の種々添加剤を添加
することができる。例えば、オニウム塩、o−キノンジ
アジド化合物、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン
酸エステル化合物等の、熱分解性で、未分解状態ではア
ルカリ水可溶性高分子化合物の溶解性を実質的に低下さ
せる化合物を併用することができる。該化合物の添加
は、画像部の現象液への溶解阻止能の向上を図る点で好
ましい。
【0069】本発明の平版印刷版原版は、一般に、上述
の各種成分を溶媒に溶解して感光層塗布液とし、これを
前記被覆層を有する支持体上に塗布して作製する。前記
溶媒としては、例えば、エチレンジクロライド、シクロ
ヘキサノン、メチルエチレケトン、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエ
ーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキ
シエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセ
テート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホル
ムアミド、テトラメチルグレア、N−メチルピロリド
ン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、α−ブチロラ
クトン、トルエン等が挙げられるが、本発明において
は、これらに限定されるものではない。これらの溶媒
は、単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0070】溶媒中における各種成分の全固形分濃度と
しては、1〜50重量%が好ましい。また、支持体上に
塗布、乾燥して設けられる画像形成層の乾燥塗布量(固
形分)としては、一般的に0.5〜5.0g/m2が好
ましい。
【0071】支持体上に塗布する方法としては、公知の
種々の方法の中から適宜選択できるが、例えば、バーコ
ーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、
ディップ塗布、エアーナイフ塗布、グレード塗布、ロー
ル塗布等を挙げることができる。
【0072】本発明の平版印刷版原版は、赤外線レーザ
ーで記録することができる。前記赤外線レーザーとして
は、波長700〜1200nmの赤外線を放射するレー
ザーが好ましく、同波長範囲の赤外線を放射する固体レ
ーザー又は半導体レーザーがより好ましい。
【0073】赤外線レーザにより記録された平版印刷版
原版は、アルカリ現像処理液により現像処理されて、印
刷に用いる平版印刷版となる。現像処理に用いるアルカ
リ現像処理液(以下、単に「現像液」ということがあ
る。)は、アルカリ性の水溶液であって、従来公知のア
ルカリ水溶液の中から適宜選択することができる。前記
アルカリ水溶液としては、ケイ酸アルカリ若しくは非還
元糖と、塩基とからなる現像液が挙げられ、特にpH1
2.5〜13.5のものが好ましい。前記ケイ酸アルカ
リとしては、水に溶解したときにアルカリ性を示すもの
であり、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、
ケイ酸リチウム等のアルカリ金属ケイ酸塩、ケイ酸アン
モニウム等が挙げられる。前記ケイ酸アルカリは、1種
単独でも、2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0074】前記アルカリ水溶液は、ケイ酸塩の成分で
ある酸化ケイ素SiO2とアルカリ酸化物M2O(Mは、
アルカリ金属又はアンモニウム基を表す。)との混合比
率、及び濃度の調整により、現像性を容易に調節するこ
とができる。前記アルカリ水溶液の中でも、前記酸化ケ
イ素SiO2とアルカリ酸化物M2Oとの混合比率(Si
2/M2O:モル比)が0.5〜3.0のものが好まし
く、1.0〜2.0のものがより好ましい。
【0075】前記非還元糖と塩基とからなる現像液にお
いて、非還元糖とは、遊離性のアルデヒド基やケトン基
を持たないために、還元性を有しない糖類を意味し、還
元基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元
基と非糖類が結合した配糖体、糖類に水素添加して還元
した糖アルコールに分類される。本発明においては、こ
れらのいずれも好適に用いることができる。
【0076】前記トレハロース型少糖類としては、例え
ば、サッカロースやトレハロースが挙げられ、前記配糖
体としては、例えば、アルキル配糖体、フェノール配糖
体、カラシ油配糖体等が挙げられる。前記糖アルコール
としては、例えば、D,L−アラビット、リビット、キ
シリット、D,L−ソルビット、D,L−アンニット、
D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシット、ア
ロズルシット等が挙げられる。さらには、二糖類の水素
添加で得られるマルチトール、オリゴ糖の水素添加で得
られる還元体(還元水あめ)等も好適に挙げることがで
きる。
【0077】上記のうち、非還元糖としては、糖アルコ
ール、サッカロースが好ましく、中でも特に、D−ソル
ビット、サッカロース、還元水あめが、適度なpH領域
に緩衝作用がある点でより好ましい。これらの非還元糖
は、単独でも、二種以上を組合せてもよく、現像液中に
占める割合としては、0.1〜30重量%が好ましく、
1〜20重量%がより好ましい。
【0078】前記ケイ酸アルカリ若しくは非還元糖に
は、塩基としてアルカリ剤を、従来公知のものの中から
適宜選択して組合せることができる。前記アルカリ剤と
しては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
水酸化リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウ
ム、リン酸三アンモニウム、リン酸二ナトリウム、リン
酸二カリウム、リン酸二アンモニウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリ
ウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、ホウ
酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム等
の無機アルカリ剤、クエン酸カリウム、クエン酸三カリ
ウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0079】さらに、モノメチルアミン、ジメチルアミ
ン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルア
ミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジ
イソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブ
チルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミ
ン、ジイソブロパノールアミシ、エチレンイミン、エチ
レンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も好適に挙
げることができる。これらのアルカリ剤は、単独で用い
ても、二種以上を組合わせて用いてもよい。
【0080】なかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウムが好ましい。その理由は、非還元糖に対する添加量
を調整することにより、広いpH領域においてpH調整
が可能となるためである。また、リン酸三ナトリウム、
リン酸三カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等も
それ自身に緩衝作用があるので好ましい。
【0081】アルカリ現像処理液及び補充液を用いて現
像処理された平版印刷版は、水洗水や界面活性剤等を含
有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感
脂化液で後処理がなされる。この後処理には、これらの
処理液を種々組合わせて行うことができる。
【0082】以上のようにして得られた平版印刷版は所
望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供す
ることができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版と
したい場合にはバーニング処理が施される。平版印刷版
をバーニング処理する場合には、該バーニング処理前
に、特公昭61−2518号、同55−28062号、
特開昭62−31859号、同61−159655号の
各公報に記載されているような整面液で処理することが
好ましい。整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8g
/m2 (乾燥重量)が適当である。
【0083】整面液が塗布された平版印刷版は必要であ
れば乾燥された後、バーニングプロセッサー(たとえば
富士写真フイルム(株)より販売されているバーニング
プロセッサー:「BP−1300」)などで高温に加熱
される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成し
ている成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲
で1〜20分の範囲が好ましい。
【0084】バーニング処理された平版印刷版は、必要
に応じて適宜、水洗、ガム引きなどの従来より行われて
いる処理を施こすことができるが、水溶性高分子化合物
等を含有する整面液が使用された場合には、ガム引きな
どのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。こ
の様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印
刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0085】
〔支持体の作製〕
1.アルミニウム基板 99.5%以上のアルミニウムと、Fe 0.30%、
Si 0.10%、Ti 0.02%、Cu 0.01
3%を含むJIS A1050合金の溶湯を清浄化処理
を施し、鋳造した。清浄化処理には、溶湯中の水素など
の不要なガスを除去するために脱ガス処理し、セラミッ
クチューブフィルタ処理をおこなった。鋳造法はDC鋳
造法で行った。凝固した板厚500mmの鋳塊を表面か
ら10mm面削し、金属間化合物が粗大化してしまわな
いように550℃で10時間均質化処理を行った。次い
で、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中で500℃6
0秒中間焼鈍した後、冷間圧延を行って、板圧0.30
mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロールの粗さを
制御することにより、冷間圧延後の中心線平均表面粗さ
Raを0.2μmに制御した。その後平面性を向上させ
るためにテンションレベラーにかけた。
【0086】2.アルミニウム基板の表面処理 次に平版印刷版支持体とするための表面処理を行った。
まずアルミニウム板表面の圧延油を除去するため10%
アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間脱脂処理を行
い、30%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット
除去処理を行った。次いで支持体と感光層の密着性を良
好にし、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の
表面を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理を行つた。
0.8%の硝酸と0.5%の硝酸アルミを含有する水溶
液を40℃に保ち、アルミニウムコイルを水溶液中に流
しながら図1に示した間接給電セルにより電流密度10
A/dm2、デューティー比1:1の交番波形でアノー
ド側電気重180c/dm2を与えることで電解砂目立
てを行った。その後10%アルミン酸ソーダ水溶液で5
0℃30秒間エッチング処理を行い、30%硫酸水溶液
で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。さ
らに耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上させるために、
陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形成させた。電解
質として硫酸25%水溶液を30℃で用い、アルミウェ
ブを電解質中に通搬しながら図2に示した間接給電セル
により10A/dm2の直流で電解処理を行うことで
2.0g/m2の陽極酸化皮膜を作成した。
【0087】3.フッ素化合物含有被覆層 前記陽極酸化被膜を形成したアルミニウム基板を70℃
2%K2ZrF6水溶液に30秒浸漬してK2ZrF6
含有する被覆層を形成した。また、比較のため、K2
rF6水溶液処理しなかったものも作製した。これらの
基板に、印刷版非画像部としての親水性を確保するため
のシリケート処理を施した。処理は3号珪酸ソーダ2.
0%水溶液を25℃に保ちアルミウェブの接触時間が2
5秒となるよう通搬した。その結果Siの付着量が3.
0mg/m2となった。 4.下塗り層 この上に下記化合物(1)をメタノールに溶解し、ウェ
ット塗布量10cc/m2のワイヤーバーで乾燥塗布量
が30mg/m2となるよう塗布した。ついでこれを直
ちに連続式通搬乾燥機に入れ、100℃の空気を吹き付
けながら10秒間乾燥して下塗り層を形成した。なお、
2ZrF6被覆層を形成したものを支持体A、形成しな
かったものを支持体Bとした。
【0088】
【化5】
【0089】〔感光層の形成〕下記に示す感光層塗布液
1を調製し、ウェット塗布量19CC/m2のワイヤー
バーで前記支持体AおよびBに塗布し、図3に示すよう
な連続式通搬乾燥機で乾燥した。乾燥機は3つのセクシ
ョンにわかれ、それぞれに給排気ダクトが設けてあり、
給排気の流量を調節することでチャンバー出入り口から
空気が流れ出さないように調節した。第1セクションは
100℃の給気温度で5秒間、第2セクションは110
℃の給気温度で20秒間、第3セクションは120℃の
給気温度で40秒間乾燥し、平版印刷版原版を得た。支
持体Aに感光層を形成したものを実施例1、支持体Bに
感光層を形成したものを比較例1とした。
【0090】 (感光層塗布液1) ・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/ アクリロニトリル/メタクリル酸メチル (重量平均分子量(GPC,ポリスチレン標準)50000、 重合モル比35/30/35) 2.000g ・クレゾールノボラック(m/p=6/4,重量平均分子量 4500,残存モノマー1.2wt%) 0.100g ・赤外線吸収色素(シアニン染料A) 0.155g ・無水テトラヒドロフタル酸 0.190g ・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシナフタレン スルホン酸に変えたもの 0.050g ・フッ素系界面活性剤 (F−176、大日本インキ化学工業(株)製) 0.035g ・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン ヘキサフルオロ ホスフェート 0.030g ・メチルエチルケトン 12.0g ・1−メトキシ−2−プロパノール 12.0g ・γ―ブチロラクトン 24.0g
【0091】〔露光・現像処理〕平版印刷版をCREO
社プレートセッター Trendsetter3244
F(192チャンネルのマルチビーム搭載)で画像露光
(2400dpi)する前に、各種パラメーター(S
r,Sd,bmslope,bmcurve)の調整を
行った。次に、ドラム回転数を150rpmに固定して
出力を3〜6Wまで約10%きざみに段階的に変化させ
て全面露光し、現像した。露光部の感光層が完全に溶出
した出力値をClearとし、その2倍の出力(9W)
に設定し、以下の露光はこの条件で行った。Quark
Express Ver.3.3で作成した出力画像
を出力ソフトAllegro RIPでRIP展開(リ
ニアカーブ)し、Trendsetter3244Fで
平版印刷版に出力した。
【0092】浸漬型現像槽を有する自動現像機LP−9
00H(富士写真フイルム(株)製)の現像槽に、LH
−DP(富士写真フイルム(株)製)を水で1:7.8
希釈したものを22リットル仕込み、30℃に保温し
た。第2浴には水道水8リットル、第3浴にはFP−2
W(富士写真フイルム(株)製):水=1:1としたフ
ィニッシングガム液を8リットル仕込んだ。さらに、自
現機稼働時は250cc/hr、停止時は80cc/h
r(再稼働後一括投入)、印刷版処理時には33cc/
2のLH−DPR(富士写真フイルム(株)製)を水
で1:1希釈したものを補充しながら、平版印刷版の現
像処理を行った。
【0093】〔評価〕画像再現性は現像された印刷版で
再現可能な最小の網点の大きさを観察し、評価した。小
さいも方が優れていると評価した。放置汚れの観察は以
下のように行った。SOR−M印刷機にて2000枚印
刷後、印刷を停止し、40分間放置する。その後、再度
印刷機に取り付けて、100枚印刷した。その時の非画
像部のインキの払われ方を観察し、次のように評価し
た。 ○:インキの払われ方が速い、 ×:インキの払われ方が遅い △:インキの払われ方が前記○と×との中間的な速さ
【0094】また、耐刷性評価のため、常法に従って、
多数枚印刷を行い、良好な印刷物が刷れる枚数を測定し
判定した。以上の結果を下記表1に示す。
【0095】(実施例2、比較例2)支持体上にフッ素
化合物含有被覆層を形成する際に、70℃ 2%K2
rF6水溶液にリン酸水素2ナトリウムを10%加えた
ことを以外は実施例1と同様にして支持体を作製した。
次に、この支持体上に、以下の感光層塗布液2を実施例
1と同様にして塗布、乾燥し、平版印刷版原版を得て実
施例2とした。また、フッ素化合物含有被覆層を形成し
なかった支持体に感光層塗布液2を実施例1と同様にし
て塗布、乾燥し、平版印刷版原版を得て比較例2とし
た。
【0096】 (感光層塗布液2) ・クレゾールノボラック樹脂(m/p=6/4,重量平均分子量 8000,残存モノマー1.2wt%) 2.000g ・赤外線吸収色素(シアニン染料B) 0.105g ・無水テトラヒドロフタル酸 0.190g ・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシナフタレン スルホン酸に変えたもの 0.050g ・フッ素系界面活性剤 (F−176、大日本インキ化学工業(株)製) 0.035g ・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン ヘキサフルオロ ホスフェート 0.030g ・メチルエチルケトン 12.0g ・1−メトキシ−2−プロパノール 12.0g
【0097】〔露光・現像処理〕平版印刷版を富士写真
フイルム(株)製プレートセッター Luxcel T
−9000CTP(32チャンネルのマルチビーム搭
載)で露光する前に、各種パラメーター(focus,
zoom)の調整を行った。次に、ドラム回転数を10
00rpm、レーザー出力を270mW(2438dp
i)に固定して、実効出力をレ―ザー出力の30〜10
0%まで5%きざみに段階的に変化させて露光し、現像
した。露光部の感光層が完全に溶出した出力値をCle
arとし、その1.4倍の出力(90%)に設定し、以
下の露光はこの条件で行った。Quark Expre
ss Ver.3.3で作成した出力画像を出力ソフト
CelebraNT RIP Ver.2.2(富士写
真フイルム(株)製)でRIP展開(リニアカーブ)
し、Luxcel T−9000CTPで平版印刷版に
出力した。
【0098】露光されたプレートをUNIGRAGH社
製自動現像機FLP85Pを用いて25℃にて20秒現
像したo現像浴には、現像液1を仕込み、リンス浴に
は、富士フイルム(株)製現像リンス液FP−2Wを
1:1に希釈したものを仕込んだ。補充液は、現像補充
液1を用いた。処理補充量は、80cc/m2、日間補
充量は、1000cc/日とした。 (現像液1) ・水酸化カリウム 2.4重量% ・二酸化珪素 1.8重量% ・ノニオン性界面活性剤(PEG1000和光純薬製) 0.8重量% ・クエン酸カリウム 3.0重量% ・水 92.0重量%
【0099】 (現像補充液1) ・水酸化カリウム 4.8重量% ・二酸化珪素 3.6重量% ・ノニオン性界面活性剤(PEG1000和光純薬製) 1.6重量% ・クエン酸カリウム 6.0重量% ・水 84.0重量%
【0100】これらの平版印刷版を実施例1と同様に評
価した。結果を下記表1に示す。
【0101】(実施例3)支持体上にフッ素化合物含有
被覆層を形成する際に、70℃ 2%K2ZrF6水溶液
に代えて25℃ 0.01%K2ZrF6水溶液を用いた
以外は実施例1と同様にして支持体を作製した。この支
持体上に実施例1と同様の感光層を形成して平版印刷版
原版を得て、実施例3とした。この平版印刷版を実施例
1と同様に評価した。結果を下記表1に示す。
【0102】(実施例4)支持体上にフッ素化合物含有
被覆層を形成する際に、25℃ 0.01%K2ZrF6
水溶液にリン酸水素2ナトリウムを10%加えたこと以
外は実施例3と同様にして支持体を作製した。この支持
体上に実施例2と同様の感光層を形成して平版印刷版原
版を得て、実施例4とした。この平版印刷版を実施例1
と同様に評価した。結果を下記表1に示す。
【0103】なお、実施例1乃至実施例4の平版印刷版
支持体については、K2ZrF6水溶液の浸漬処理の有無
による支持体上のフッ素化合物付着量の差をESCA
(Electron Spectroscopy Ch
emical Analysis)装置(ESCA P
HI−5400MC)を用いて定量した(X線源:Mg
−Kα(400W)、パスエネルギー:71.55eV
/178.95eV、take off angle:
45度)。得られたフッ素(1S)とアルミニウム(2
P)のピーク面積をもとにフッ素化率を計算した。結果
を下記表1に併記した。フッ素化率は先に記載した式で
表されるものである。 フッ素化率=〔フッ素のピーク面積(A)/(フッ素の
ピーク面積(A)+アルミニウムのピーク面積
(B))〕
【0104】
【表1】
【0105】表1の結果より、フッ素化合物含有被覆層
を有する支持体を用いた本発明の平版印刷版原版は、い
ずれも、耐刷性、放置汚れ性、画像再現性に優れ、ま
た、同じ感光層を有するものでも、フッ素化合物含有被
覆層を有しない支持体を用いたものに比較し、耐刷性、
放置汚れ性が改良され、画像再現性も大幅に向上してい
ることがわかる。
【0106】
【発明の効果】本発明の平版印刷版原版は、赤外線レー
ザで書き込み可能であり、網点、細線などの画像再現性
や耐刷性に優れ、汚れの発生や白色化を抑制しうるとい
う優れた効果を奏する。また、本発明の平版印刷版原版
の製造方法によれば、前記の優れた特性を有する平版印
刷版原版を容易に製造し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 アルミニウム支持体の電解砂目立て処理に使
用する間接給電セルを示す概略図である。
【図2】 アルミニウム支持体に陽極酸化被膜を形成す
る際に使用する間接給電セルを示す概略図である。
【図3】 温風による対流加熱乾燥工程に用いる連続式
通搬乾燥装置の概略構成図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA00 AA04 AA12 AB03 AC08 AD03 CB52 CC20 DA18 DA40 EA01 FA03 FA17 2H070 DD03 EE02 FF08 2H096 AA00 AA07 AA08 BA16 BA20 CA03 CA05 CA20 EA04 GA08 LA16 2H114 AA04 AA14 BA01 BA05 DA02 GA09 GA34 GA38

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムを主体とする金属板表面に
    無機フッ素化合物を含む被覆層を有する支持体上に、水
    不溶であり、且つ、アルカリ水可溶性の高分子化合物
    と、光を吸収し熱を発生する物質を含有し、赤外線レー
    ザで書き込み可能な感光層を設けてなる平版印刷版原
    版。
  2. 【請求項2】 前記支持体が、その表面をX線光電子分
    光法を用いて測定して得られたフッ素(1S)のピーク
    面積をA(counts・eV/sec)とし、アルミ
    ニウム(2P)のピーク面積をB(counts・eV
    /sec)としたとき、両者が以下の式を満たす関係に
    あることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原
    版。 式: 0.37<A/(A+B)<0.90
  3. 【請求項3】 アルミニウムを主体とする金属板を陽極
    酸化した後、無機フッ素化合物を含む水溶液で処理して
    支持体を作製し、得られた支持体上に、アルカリ可溶性
    の高分子化合物と、光を吸収し熱を発生する物質を含有
    する赤外線感光性組成物を塗布、乾燥して感光層を形成
    する、ことを特徴とする平版印刷版原版の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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