JP2001315442A - 可逆性感熱記録体 - Google Patents

可逆性感熱記録体

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JP2001315442A
JP2001315442A JP2000139248A JP2000139248A JP2001315442A JP 2001315442 A JP2001315442 A JP 2001315442A JP 2000139248 A JP2000139248 A JP 2000139248A JP 2000139248 A JP2000139248 A JP 2000139248A JP 2001315442 A JP2001315442 A JP 2001315442A
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Norio Yamane
教郎 山根
Kazuhiko Shirai
和彦 白井
Makoto Nishioka
誠 西岡
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型の装置を用い、白地に発色画像を形成
し、高いコントラストと画像の保存性に優れ、かつこの
画像を極めて短時間内に消去することができる可逆性感
熱記録体を提供する。 【解決手段】 可逆性感熱記録体の感熱記録層中に、染
料前駆体とともに、その顕色剤として、下記一般式
(I)で表される、少なくとも1種類の芳香族化合物を
含有させ、さらに、消色促進剤として、特定の熱可融性
化合物を含有させる。 【化1】 (ただし上式で、R1は、低級アルキル基、無置換の芳
香環基、または低級アルキル基、ハロゲン原子、および
低級アルコキシ基から選ばれた少なくとも一員により置
換された芳香環基を表わし、R2は、単結合あるいは炭
素数1から11の2価の炭化水素基を表し、R3は、炭
素数11〜30の直鎖脂肪族基を表わす。X1、X2は、
互いに独立に単結合あるいは2価の基から選ばれた1員
を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱条件を制御す
ることにより、発色および消色を行ない、かつその発色
状態と消色状態を常温において保持できる、可逆性感熱
記録体に関するものである。更に詳しく述べるならば、
本発明は、白地に発色画像を形成し、高いコントラスト
と画像の保存性に優れ、かつこの画像を極めて短時間内
に消去することができる可逆性感熱記録体に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、感熱記録体は、記録装置がコンパ
クトで、安価で、かつ保守が容易であることから、コン
ピューター、計測機器、レジスター、CD・ATM、フ
ァクシミリ、自動券売機、ハンディーターミナル等の出
力用紙として使用されてきたが、最近では磁気記録との
複合化により、プリペイドカードやポイントカード等の
磁気感熱カードとしても使用されている。これらの磁気
感熱カードでは、磁気情報が使用の都度書き換えられる
のに対し、感熱記録画像は書き換えられないため、残度
数等の新しい情報は、画像が記録されていない部分に追
記される。しかし、記録可能な部分の面積は限られてい
るため、やむなく感熱記録する情報量を減らしたり、記
録エリアが無くなった時点でカードを作り直したりして
いるのが実状である。このような問題を解決する手段と
して、何度でも書き換え可能な可逆性感熱記録体の開発
が強く望まれている。
【0003】また、近年盛んに論じられているゴミ問題
や森林破壊問題を背景に、感熱記録紙についてもその再
生利用が望まれている。感熱記録紙の再生方法には様々
な方法が考えられるが、中でも脱墨装置等の大型な装置
を必要としない汎用性のある方法として、何度でも書き
換え可能な可逆性感熱記録体の開発が望まれている。さ
らに、可逆性感熱記録体は、特開平3−233490号
公報および特開平5−42762号公報等に開示されて
いるような簡易ディスプレー用の記録材料としても注目
されており、これらの装置に適した可逆性感熱記録体の
開発も強く望まれている。
【0004】これらの要求を背景に、様々な可逆性感熱
記録体が提案されてきた。例えば、特開昭63−107
584号公報、特開平4−78573号公報および特開
平4−358878号公報等には、加熱条件による透明
度の変化を利用した高分子タイプの可逆性感熱記録体が
開示されている。しかし、この方式では暗い場所での視
認性が悪いという欠点がある。また、発色地に白の画像
記録となってしまい、白地に発色画像を記録する、所謂
ペーパーライクな記録体を得るのが困難であるという欠
点もある。
【0005】これらの問題を解決する方法として、従来
の感熱記録体に用いられている染料を使用しながら可逆
記録を可能にした、染料タイプの可逆性感熱記録体が提
案されている。染料タイプの可逆性感熱記録体は、白地
に発色画像を記録することが容易であり、また加熱条件
による吸収波長の変化を利用した記録方式であるため、
比較的高いコントラストが得られる。染料タイプの可逆
性感熱記録体としては、例えば下記の方式が知られてい
る。
【0006】特開昭63−173684号公報には、顕
色剤としてアスコルビン酸誘導体を用いる方法が開示さ
れている。しかし、消去の際、十分に消色しないという
欠点を有している。
【0007】特開平5−124360号公報および特開
平6−210954号公報には、長鎖アルキル基を有す
る有機リン酸化合物、あるいはフェノール性化合物を顕
色剤として用いる方法が開示されている。しかし、消去
の際、十分に消色しないことがあり、また発色画像の保
存性が不十分となることがあるという欠点を有してい
る。
【0008】特開平11−70731号公報および特開
平11−188969号公報には、上記フェノール性顕
色剤化合物の消色性向上剤として、長鎖アルキル基を有
する化合物が開示されているが、高温環境下での発色画
像の保存性が不十分である。
【0009】また、本発明者らは、特願平11−313
005号において、保存性の高い顕色剤を提案したが、
それでも、発色、消色条件によっては、1秒間程度以下
の極めて短時間内に画像の消去を行なう場合に、画像が
十分に消去されず、所謂消え残りが生じる場合があっ
た。消去・印字の処理時間短縮のために、消去時間は短
い程好ましく、また新しい印字の視認性向上のために、
消え残りが全く無いことが望ましい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、小型の装置
を用い、白地に発色画像を形成し、加熱条件の違いのみ
で発色および消色を実施することができ、高いコントラ
ストと優れた保存性を有する発色画像を形成することが
でき、かつ画像の消去を極めて短時間内に行なうことが
できる可逆性感熱記録体を提供しようとするものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決した可逆性感熱記録体を得るべく、顕色剤とし
て、直鎖脂肪族セグメントを有する基を持つカルボニル
スルホンアミド系化合物を用いた染料タイプの可逆感熱
記録方式に着目し、鋭意研究の結果、消色促進剤として
特定の熱可融性物質を利用することにより、所望の可逆
性感熱記録体が得られることを見出だし、本発明を完成
するに至った。
【0012】本発明の可逆性感熱記録体は、シート状支
持体と、このシート状支持体上に形成され、かつ無色ま
たは淡色の染料前駆体、およびこれを可逆的に発色およ
び消色させる顕色剤を含む感熱記録層とを有し、さらに
前記顕色剤として、下記一般式(I):
【化5】 (ただし上式で、R1は、低級アルキル基、無置換の芳
香環基、または低級アルキル基、ハロゲン原子、および
低級アルコキシ基から選ばれた少なくとも一員により置
換された芳香環基を表わし、R2は、単結合あるいは炭
素数1から11の2価の炭化水素基を表し、R3は、炭
素数11〜30の直鎖脂肪族基を表わす。X1、X2は、
互いに独立に単結合あるいは下記化学式:
【化6】 により表される2価の基から選ばれた1員を表す。)で
表される、少なくとも1種類の芳香族化合物を含み、前
記感熱記録層が、さらに、消色促進剤として、下記一般
式(II):
【化7】 (ただし、R4は、炭素数1〜30の直鎖脂肪族基、R5
は、水素原子または炭素数1〜30の直鎖脂肪族基を表
わすが、少なくとも一方は、炭素数11〜30の直鎖脂
肪族基である。R6は、炭素数2〜30の2価の炭化水
素基、X3、X4は、互いに独立に下記化学式:
【化8】 で表わされる2価の基から選ばれた1員を表し、nは、
0または1の整数を表わす。)で表わされる化合物から
選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とするも
のである。
【0013】本発明に係る可逆性感熱記録体の可逆的熱
発色および消色方法は、上記記録体の感熱発色層に、加
熱を施して画像を発色記録し、この記録の使用済み後、
この感熱発色層に、前記発色加熱温度よりも低い温度の
加熱を施して前記発色画像を消色することを特徴とする
ものである。
【0014】一般式(I)において、R1は、低級アル
キル基、無置換の芳香環基、または低級アルキル基、ハ
ロゲン原子、および低級アルコキシ基から選ばれた少な
くとも一員により置換された芳香環基を表わすが、好ま
しいものとしては下記の基をあげることができる。
【化9】
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の可逆性感熱記録体におい
て、染料前駆体、および顕色剤を含む感熱記録層は加熱
により速やかに発色し、その発色状態は急冷することに
より常温においても保持される。一方、常温において保
持された発色画像部は、発色温度以下に加熱することに
より消去することができ、その消色状態は常温に冷却し
ても保持される。この発色・消色の作用機構は明確では
ないが、顕色剤中の一般式(I)で表わされる−NH−
基が、隣接するスルホニル基とカルボニル基により活性
化されるため、塩基性のロイコ染料に対し強い顕色能力
を示して発色が起こり、一方、発色体が発色温度以下に
加熱された時、顕色剤中の長鎖アルキル基が配向して顕
色剤の結晶化を誘発し、染料と顕色剤が分離して消色す
るものと考えられる。一般に発色のための加熱温度は1
20〜240℃であり、消色が起きる温度域は60〜1
80℃であり、かつ前記発色加熱温度より低い。一般に
発色は、加熱した後の急速な冷却が容易な、サーマルヘ
ッドなどにより行なわれるが、消色は、発色加熱温度以
下の消色温度域に保持されることにより行なわれ、加熱
・冷却速度を制御する必要はない。消色時の温度保持時
間は、0.1秒以上であることが好ましい。
【0016】このような染料と顕色剤との発色・消色反
応に対して、消色促進剤がどのような機構で作用してい
るかは明確ではないが、消色促進剤が、顕色剤分子の直
鎖炭化水素基の移動度に影響を及ぼしているものと考え
られる。すなわちアモルファス状態にある発色系を消色
温度域に加熱すると、発色系は流動性を示し、顕色剤分
子の直鎖炭化水素基が配向するものと考えられるが、こ
の際、消色促進剤が発色系の粘度を低下させ、それによ
って顕色剤化合物分子の直鎖炭化水素基の移動度が高め
られるため、顕色剤の結晶化が促進され、消色速度が速
くなるものと考えられる。
【0017】本発明の可逆性感熱記録体において顕色剤
として用いられる芳香族化合物の具体例を下記に示す
が、これらに限定されるものではない。これらの化合物
は単独で用いても良く、あるいはその2種以上を混合し
て用いても良い。
【0018】
【化10】
【0019】
【化11】
【0020】
【化12】
【0021】
【化13】
【0022】本発明の可逆性感熱記録体の感熱記録層中
に消色促進剤として使用される一般式(II)で表わされ
る化合物の具体例を下記に示すが、これらに限定される
ものではない。これらの化合物は単独で用いても良く、
あるいはその2種以上を混合して用いてもよい。
【0023】
【化14】
【0024】
【化15】
【0025】
【化16】
【0026】本発明の可逆性感熱記録体の感熱記録層に
おいて、染料前駆体として使用される化合物としては、
トリフェニルメタン系、フルオラン系、ジフェニルメタ
ン系化合物等が挙げられ、従来公知のものから選ぶこと
ができる。例えば、3−(4−ジエチルアミノ−2−エ
トキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルイン
ド−ル−3−イル)−4−アザフタリド、クリスタルバ
イオレットラクトン、3−(N−エチル−N−イソペン
チルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオ
ラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p
−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−
N−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフル
オラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフ
ルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニ
リノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチ
ルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3
−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオ
ラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメ
チルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−
メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−
6−メチルフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6
−クロロフルオランである。
【0027】さらには、3−(N−エチル−N−シクロ
ヘキシル)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)
フルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチ
ル−7−アニリノフルオラン、3−[N−(3−エトキ
シプロピル)−N−エチルアミノ]−6−メチル−7−
アニリノフルオラン、3−(N−n−ヘキシル−N−エ
チルアミノ)−7−(o−クロロアニリノ)フルオラ
ン、3−(N−エチル−N−2−テトラヒドロフルフリ
ルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3
−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチ
ル−7−アニリノフルオラン、2,2−ビス{4−
[6’−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−
3’−メチルスピロ[フタリド−3,9’−キサンテ
ン]−2’−イルアミノ]フェニル}プロパンおよび3
−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオ
ラン等から選ばれた1種以上を用いることができる。
【0028】また、本発明においては、所望の効果を阻
害しない範囲でフェノール類又は、有機酸類、スルホニ
ル(チオ)ウレア系芳香族化合物類、および長鎖アルキ
ル基を有しないカルボニルスルホンアミド系芳香族化合
物からなる従来公知の顕色剤を、本発明に関わる長鎖ア
ルキル基を有するN−カルボニルスルホンアミド系顕色
剤と併用することができる。
【0029】これら従来の顕色剤は、例えば、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノ
ールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
1−フェニルエタン、1,4−ビス(1−メチル−1−
(4’−ヒドロキシフェニル)エチル)ベンゼン、1,
3−ビス(1−メチル−1−(4’−ヒドロキシフェニ
ル)エチル)ベンゼン、ジヒドロキシジフェニルエーテ
ル(特開平1−180382号公報)、p−ヒドロキシ
安息香酸ベンジル(特開昭52−140483号公
報)、ビスフェノールS、4−ヒドロキシ−4’−イソ
プロピルオキシジフェニルスルホン(特開昭60−13
852号公報)、1,1−ジ(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、1,7−ジ(4−ヒドロキシフェ
ニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン(特開昭59−
52694号公報)、3,3’−ジアリル−4,4’−
ジヒドロキシジフェニルスルホン(特開昭60−208
286号公報)である。
【0030】さらに併用し得る従来の顕色剤を、N−
(p−トルエンスルホニル)−N’−フェニルウレア、
N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(p−メトキ
シフェニル)ウレア、N−(p−トルエンスルホニル)
−N’−(o−トリル)ウレア、N−(p−トルエンス
ルホニル)−N’−(m−トリル)ウレア、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(p−トリル)ウレア、
N−(p−トルエンスルホニル)−N’−ベンジルウレ
ア(以上、特開平5−32061号公報)、4,4’−
ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミ
ノ)−ジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルエ
ンスルホニルアミノカルボニルアミノ)−ジフェニルメ
タン、4,4’−ビス(ベンゼンスルホニルアミノカル
ボニルアミノ)−ジフェニルメタン、1,2−ビス
[4’−(pートルエンスルホニルアミノカルボニルア
ミノ)フェニルオキシ]エタン、4,4’−ビス(pー
トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニ
ルエーテルおよび3,3’−ビス(p−トルエンスルホ
ニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルスルホン(以
上、特開平5−147357号公報)、N−(o−トル
オイル)−p−トルエンスルホンアミド、N−ベンゾイ
ル−o−トルエンスルホンアミド(以上、特開平4−2
82291号公報)などから選んでも良い。
【0031】本発明の可逆性感熱記録体は、一般に増感
剤として知られる熱可融性物質を感熱記録層に含有する
ことができる。このような増感剤は例えば、シュウ酸ジ
エステル類(特開昭64−1583号公報)、シュウ酸
ジ(4−メチルベンジル)(特公平5−62597号公
報)、1,2−ビス(m−トリルオキシ)エタン(特開
昭60−56588号公報)、ジフェニルスルホン(特
開昭60−15667号公報)、p−ベンジルビフェニ
ル(特開昭60−82382号公報)、1、4−ビス
[2−(4−メチルベンジロキシ)エトキシ]ベンゼン
(特開平11−20320号公報)などである。
【0032】また本発明に係る感熱記録層には、さら
に、顔料を本発明の効果を阻害しない範囲で含んでいて
よく、通常バインダーが含まれる。
【0033】顔料としては、例えばシリカ、クレー、焼
成クレー、タルク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チ
タン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム
および表面処理された炭酸カルシウムやシリカ等の無機
系微粉末の他、並びに尿素−ホルマリン樹脂、スチレン
/メタクリル酸共重合体、およびポリスチレン樹脂等の
有機系の微粉末などをあげることができる。
【0034】前記バインダーとしては、種々の分子量の
ポリビニルアルコールおよびその誘導体(例えばアセト
アセチル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシル基
変性ポリビニルアルコール、スルホニル基変性ポリビニ
ルアルコール等)、デンプン及びその誘導体(例えば酸
化デンプン、酢酸ビニルグラフトデンプン、アルデヒド
変性デンプンなど)、メトキシセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロー
ス等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリ
ビニルピロリドン、アクリル酸アミド/アクリル酸エス
テル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル
/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン
酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン
酸ソーダ、ゼラチン、およびカゼインなどの水溶性高分
子材料、並びに、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチ
レン/ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸、ポリアク
リル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポ
リブチルメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合
体、およびスチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体
等のラテックスを用いることができる。これらバインダ
ーは単独またはその2種以上を混合して用いてもよい。
【0035】本発明に係る可逆性感熱記録体の感熱記録
層において、染料前駆体の含有率は、一般に感熱記録層
の乾燥重量の5〜40重量%であることが好ましく、顕
色剤の含有率は、一般に感熱記録層の乾燥重量の5〜5
0重量%であることが好ましい。顕色剤の含有率が5重
量%未満では、顕色能力に不足をきたし、またそれを5
0重量%を越えて多量に用いても、顕色能力が飽和し
て、発色濃度と消色濃度のコントラストに格別の改善は
見られず、経済的に不利になることがある。また消色促
進剤の含有率は、一般に感熱記録層の全乾燥重量の1〜
50重量%であることが好ましい。消色促進剤の含有率
が1重量%未満では、消色促進効果に不足をきたし、ま
た50重量%を超えて多量に使用すると、発色濃度が不
足する可能性がある。
【0036】さらに感熱記録層が、フェノール類、有機
酸、スルホニル(チオ)ウレア系芳香族化合物又は長鎖
アルキル基を有しないN−アリールカルボニルアリール
スルホンアミド系芳香族化合物からなる従来公知の顕色
剤を含有する場合、その含有率は、感熱記録層の重量の
10重量%以下であることが好ましい。フェノール類、
有機酸、スルホニル(チオ)ウレア系芳香族化合物また
は長鎖アルキル基を有しないN−アリールカルボニルア
リールスルホンアミド系芳香族化合物からなる従来公知
の顕色剤の含有率が、10重量%より多くなると、消色
反応を阻害し、発色部と消色部のコントラストの低下が
生じる場合がある。
【0037】顔料が感熱記録層に含まれる場合、その含
有率は、5〜50重量%であることが好ましく、またバ
インダーの含有率は一般に5〜50%である。
【0038】本発明の可逆性感熱記録体に用いられる支
持体は、従来の感熱記録体に用いられてきた紙(酸性
紙、中性紙を含む)、表面に顔料、ラテックスなどを塗
工したコ−テッド紙、ラミネ−ト紙、ポリオレフィン系
樹脂から作られた合成紙、ポリオレフィン、ポリエステ
ル、ポリイミド等のプラスチックフィルムの他にガラス
プレ−ト、導電性ゴムシ−トなどから選ぶことができ
る。このような支持体の少なくとも1面上に、上記所要
成分の混合物を含む塗布液を塗布し、乾燥して可逆性感
熱記録体を製造する。塗布量は、塗布液層が乾燥した状
態で1〜15g/m 2が好ましく、2〜10g/m2が特
に好ましい。
【0039】本発明においては、可逆性感熱発色層の下
に下塗層を設けることもできる。また可逆性感熱記録体
の裏面には表面と表面の接触時のブロッキングを防止し
たり、裏面からの水や油の浸透を抑えたり、カールコン
トロールのためにバック層を設けることもできる。さら
に、耐熱性、耐光性、印刷適性、及び発色、消色の繰り
返し耐久性を向上させるために、可逆性感熱発色層の上
に保護層、印刷層などのような被覆層を形成することも
できる。保護層中に紫外線吸収剤を含有させることによ
り耐光性を向上させることができる。また、保護層に電
子線照射で硬化し得る不飽和有機化合物を主成分として
含む表面樹脂塗布硬化層を用いることにより、発色、消
色の繰り返し耐久性を飛躍的に向上させることができ
る。
【0040】本発明においては、可逆性感熱記録体の付
加価値を高めるためにさらに加工を施し、より高い機能
を付与した可逆性感熱記録体とすることができる。例え
ば、裏面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型接
着剤による加工を施すことで粘着紙、再湿接着紙、ディ
レードタック紙としたり、磁気加工することにより、磁
気記録可能な可逆性感熱記録体とすることができる。ま
た裏面を利用して熱転写用紙、インクジェット用紙、ノ
ーカーボン用紙、静電記録用紙、ゼログラフィ用紙とし
ての機能を持たせ、両面への記録が可能な記録紙とする
こともできる。もちろん両面可逆性感熱記録体とするこ
ともできる。
【0041】画像の記録(発色)、消去(消色)を行う
装置は、使用目的によりサーマルヘッド、恒温槽、加熱
ローラー、熱ペン、面状発熱体、レーザー光、赤外線な
どから選択することができるが、特にこれらに限定され
るものではない。
【0042】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明
する。特に断らない限り、「部」および「%」は、それ
ぞれ「重量部」および「重量%」をあらわす。 <実施例1>下記(1)〜(6)の操作により可逆性感
熱記録体を作成した。 (1)分散液Aの調製 成 分 量(部) 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7− アニリノフルオラン 20 ポリビニルアルコ−ル 10%液 10 水 70 上記組成物をサンドグラインダーを用い、平均粒径が
1.1μmになるまで粉砕した。
【0043】 (2)分散液Bの調製 成 分 量(部) N−[(4−n−オクタデカノイルアミノ フェニル)スルホニル]ベンズアミド(化合物No.1) 20 ポリビニルアルコール 10%液 10 水 70 上記組成物をサンドグラインダーを用い、平均粒径が
1.1μmになるまで粉砕した。
【0044】 (3)分散液Cの調製 成 分 量(部) ジオクタデシルウレア(化合物No.52) 20 ポリビニルアルコール 10%液 10 水 70 上記組成物をサンドグラインダーを用い、平均粒径が
1.1μmになるまで粉砕した。
【0045】(4)可逆性感熱記録層の形成 上記A液100部、B液400部、C液100部および
10%ポリビニールアルコール水溶液250部を混合、
攪拌し、塗布液とした。この塗布液を、厚さ75μmの
ポリエステルフィルムに、乾燥後の塗布量が5.0g/
2となるように塗布し、乾燥することにより可逆性感
熱記録層を形成した。
【0046】(5)中間層の形成 カオリナイトクレーの50%分散液60部、10%ポリ
ビニルアルコール水溶液200部を混合攪拌し中間層用
塗布液を調製した。この塗布液を、上記(4)項に記載
の感熱記録層の上に、乾燥後の塗布量が1.5g/m2
となる様に塗布し、乾燥して中間層を形成した。
【0047】(6)オーバーコート層の形成 ポリエステルアクリレート(東亜合成社製、アーロニク
スM−8030)40部、ポリエステルアクリレート
(東亜合成社製、アーロニクスM−6200)40部、
炭酸カルシウム(備北粉化工業製、ライトンA)20部
を混合、攪拌し、上記(5)項記載の中間層の上に、塗
布量が2.5g/m2となる様に塗布した。得られた塗
工層に、電子線照射室の酸素濃度300ppm以下、加
速電圧175kV、吸収線量3Mradの条件で電子線
を照射して、オーバーコート層を形成し、可逆性感熱記
録体を得た。
【0048】(7)発色性、消色性試験 このようにして得られた可逆性感熱記録体に、大倉電機
製感熱発色試験機THPMDを用いて、印字電圧21.
7v、印字パルス1.0msの条件で印字した。この印
字発色濃度をマクベス反射濃度計RD−914で測定し
た。さらに、この発色試料を東洋精機製熱傾斜試験機を
用いて、加熱温度110℃、圧力1kg/cm2、加熱時
間0.5秒の条件で加熱した後、消色濃度をマクベス反
射濃度計RD−914で測定した。テスト結果を表1に
示す。
【0049】(8)保存性試験 上記(6)項の発色試験と同様にして印字発色濃度を測
定した後、得られた発色試料を50℃条件下に3日間放
置した後の発色濃度を同様にして測定した。この時の画
像保存率:(50℃で3日間放置後の発色濃度/印字直
後の発色濃度)×100(%)により画像部の保存性を
評価した。テスト結果を表1に示す。
【0050】(9)繰り返し発色・消色性試験 上記(7)項の発色性、消色性試験を20回繰り返した
後の印字発色濃度および消色濃度をマクベス反射濃度計
RD−914で測定した。テスト結果を表1に示す。
【0051】<実施例2>実施例1と同様にして可逆性
感熱記録体を作成し、テストした。但し、分散液Cの調
製にあたり、ジオクタデシルウレア(化合物No.5
2)のかわりに、N−ステアリルステアリン酸アミド
(化合物No.45)を用いた。テスト結果を表1に示
す。
【0052】<実施例3>実施例1と同様にして可逆性
感熱記録体を作成し、テストした。但し、分散液Cの調
製にあたり、ジオクタデシルウレア(化合物No.5
2)のかわりに、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド
(化合物No.73)を用いた。テスト結果を表1に示
す。
【0053】<実施例4>実施例1と同様にして可逆性
感熱記録体を作成し、テストした。但し、分散液Bの調
製にあたり、N−[(4−n−オクタデカノイルアミノ
フェニル)スルホニル]ベンズアミド(化合物No.
1)のかわりにN−{4−[5−(n−ドコサノイルヒ
ドラジノカルボニル)ペンタノイルアミノ]フェニルス
ルホニル}ベンズアミド(化合物No.17)を用い
た。テスト結果を表1に示す。
【0054】<実施例5>実施例1と同様にして可逆性
感熱記録体を作成し、テストした。但し、分散液Bの調
製にあたり、N−[(4−n−オクタデカノイルアミノ
フェニル)スルホニル]ベンズアミド(化合物No.
1)のかわりにN−{4−[7−(n−ドコサノイルヒ
ドラジノカルボニル)ヘプタノイルアミノ]フェニルス
ルホニル}ベンズアミド(化合物No.18)を用い
た。テスト結果を表1に示す。
【0055】<実施例6>実施例1と同様にして可逆性
感熱記録体を作成し、テストした。但し、分散液Bの調
製にあたり、N−[(4−n−オクタデカノイルアミノ
フェニル)スルホニル]ベンズアミド(化合物No.
1)のかわりにN−プロパノイル−p−(7−ドコサノ
イルヒドラジノカルボニル)ヘプタノイルアミノベンゼ
ンスルホンアミド(化合物No.23)を用いた。テス
ト結果を表1に示す。
【0056】<実施例7>実施例1と同様にして可逆性
感熱記録体を作成し、テストした。但し、分散液Bの調
製にあたり、N−[(4−n−オクタデカノイルアミノ
フェニル)スルホニル]ベンズアミド(化合物No.
1)のかわりにN−ペンタノイル−p−(7−ドコサノ
イルヒドラジノカルボニル)ヘプタノイルアミノベンゼ
ンスルホンアミド(化合物No.25)を用いた。テス
ト結果を表1に示す。
【0057】<実施例8>実施例1と同様にして可逆性
感熱記録体を作成し、テストした。但し、分散液Bの調
製にあたり、N−[(4−n−オクタデカノイルアミノ
フェニル)スルホニル]ベンズアミド(化合物No.
1)のかわりにN−(2−メチルプロパノイル)−p−
(7−ドコサノイルヒドラジノカルボニル)ヘプタノイ
ルアミノベンゼンスルホンアミド(化合物No.26)
を用いた。テスト結果を表1に示す。
【0058】<実施例9>実施例1と同様にして可逆性
感熱記録体を作成し、テストした。但し、保護層の形成
を以下の様に行った。紫外線硬化性ビヒクル{大日精化
工業(株)製、商標:セイカビ−ムPPC−D−9
(改)}をオフセット印刷機により、2g/m 2の乾燥
塗布量で塗布した後、この塗布層に、1.2KW水銀ラ
ンプ1灯を有する紫外線硬化装置を用い、ランプからの
距離10cm、搬送速度15m/分の条件で紫外線を照
射することにより保護層を形成した。テスト結果を表1
に示す。
【0059】<比較例1>実施例1と同様にして可逆性
感熱記録体を作成し、テストした。但し、分散液Cを用
いなかった。テスト結果を表1に示す。
【0060】<比較例2>実施例1と同様にして可逆性
感熱記録体を作成し、テストした。但し、分散液Bの調
製にあたり、N−[(4−n−オクタデカノイルアミノ
フェニル)スルホニル]ベンズアミド(化合物No.
1)のかわりにN−(4−ヒドロキシフェニル)−N’
−(n−オクタデシル)ウレアを用いた。テスト結果を
表1に示す。
【0061】<比較例3>実施例1と同様にして可逆性
感熱記録体を作成し、テストした。但し、分散液Bの調
製にあたり、N−[(4−n−オクタデカノイルアミノ
フェニル)スルホニル]ベンズアミド(化合物No.
1)のかわりに没食子酸とステアリルアミンとの塩を用
いた。テスト結果を表1に示す。
【0062】<比較例4>実施例2と同様にして可逆性
感熱記録体を作成し、テストした。但し、分散液Bの調
製にあたり、N−[(4−n−オクタデカノイルアミノ
フェニル)スルホニル]ベンズアミド(化合物No.
1)のかわりにアスコルビン酸を用いた。テスト結果を
表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】表1から明らかなように比較例1の消色促
進剤を含有しない可逆性感熱記録体の消色性は低かっ
た。さらに実施例1〜9および比較例2〜4を対比すれ
ば明らかなように、本発明の可逆感熱記録体に形成され
た画像は、長鎖アルキル鎖を有するフェノール性化合
物、没食子酸とステアリルアミンとの塩、アスコルビン
酸等を顕色剤として用いて得られた発色画像よりも高コ
ントラスト、高保存性を有し、発色・消色の繰り返し性
にも優れている。
【0065】
【発明の効果】本発明の可逆性感熱記録体は、白地に発
色画像を形成し、高いコントラストを有し、画像の保存
性に優れ、かつこの画像を極めて短時間内に消去するこ
とができる。従って、本発明の可逆性感熱記録体は、実
用上の価値の極めて高いものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート状支持体と、このシート状支持体
    上に形成され、かつ無色または淡色の染料前駆体、およ
    びこれを可逆的に発色および消色させる顕色剤を含む感
    熱記録層とを有し、さらに前記顕色剤として、下記一般
    式(I): 【化1】 (ただし上式で、R1は、低級アルキル基、無置換の芳
    香環基、または低級アルキル基、ハロゲン原子、および
    低級アルコキシ基から選ばれた少なくとも一員により置
    換された芳香環基を表わし、R2は、単結合あるいは炭
    素数1から11の2価の炭化水素基を表し、R3は、炭
    素数11〜30の直鎖脂肪族基を表わす。X1、X2は、
    互いに独立に単結合あるいは下記化学式: 【化2】 により表される2価の基から選ばれた1員を表す。)で
    表される、少なくとも1種類の芳香族化合物を含み、前
    記感熱記録層が、さらに、消色促進剤として、下記一般
    式(II): 【化3】 (ただし、R4は、炭素数1〜30の直鎖脂肪族基、R5
    は、水素原子または炭素数1〜30の直鎖脂肪族基を表
    わすが、少なくとも一方は、炭素数11〜30の直鎖脂
    肪族基である。R6は、炭素数2〜30の2価の炭化水
    素基、X3、X4は、互いに独立に下記化学式: 【化4】 で表わされる2価の基から選ばれた1員を表し、nは、
    0または1の整数を表わす。)で表わされる化合物から
    選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする可
    逆性感熱記録体。
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