JPH08132737A - 可逆的熱発色および消色可能な記録表示材料用顕色剤および記録表示材料 - Google Patents

可逆的熱発色および消色可能な記録表示材料用顕色剤および記録表示材料

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JPH08132737A
JPH08132737A JP7040401A JP4040195A JPH08132737A JP H08132737 A JPH08132737 A JP H08132737A JP 7040401 A JP7040401 A JP 7040401A JP 4040195 A JP4040195 A JP 4040195A JP H08132737 A JPH08132737 A JP H08132737A
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color
aromatic ring
alkyl group
carbon atoms
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JP7040401A
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Makoto Nishioka
誠 西岡
Norio Yamane
教郎 山根
Masaki Nishimura
匡樹 西村
Yoshiyuki Takahashi
義之 高橋
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New Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 発色部と消色部のコントラストが高く、画像
の可逆的熱発色および消色可能な記録表示材料およびそ
のための顕色剤を提供する。 【構成】 記録表示材料の感熱発色層中に、染料前駆体
とともに、その顕色剤として、炭素原子数が11以上の
直鎖アルキル基と、スルホニル(チオ)尿素基とを有す
る芳香族化合物を含有させて発色画像の可逆的熱発色お
よび消色を可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加熱により、発色およ
び消色を行い、かつその発色状態と消色状態を常温にお
いて保持できる可逆的熱発色および消色可能な記録表示
材料用顕色剤に関するものである。更に詳しく述べるな
らば、本発明は、発色色相と消色色相のコントラストの
高い可逆的熱発色および消色が可能な記録表示材料を製
造するのに好適な顕色剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、感熱記録体は、記録装置がコンパ
クトで、安価で、かつ保守が容易であることから、電子
計算機のアウトプット、ファクシミリ、自動券売機、プ
リペイドカード、科学計測器および医療計測用のプリン
タ−等に広範囲に使用されている。しかし、これらの感
熱記録体の発色画像は消去することができないため、感
熱記録体として再利用することは不可能であった。
【0003】しかし、近年、森林保護、公害など環境問
題について盛んに論じられるようになり、このような環
境保護の強い要望を背景に、感熱記録紙についてもその
再生利用が望まれている。感熱記録紙の再生法には、さ
まざまな方法が考えられるが、中でも脱墨装置等の大型
な装置を必要としない汎用性のある方法として、加熱条
件の違いにより、発色、消去を繰り返し、何度でも繰り
返し利用できる可逆タイプの感熱記録方式の開発が強く
望まれている。
【0004】また、可逆タイプの感熱記録材料は、感熱
記録紙用の材料としてばかりでなく、特開平3−233
490号、および特開平5−42762号等に開示され
ているような表示装置の記録材料としても注目されてお
り、これらの装置に適した記録材料の開発も強く望まれ
ている。
【0005】これらの要求を背景に、これまでにも様々
な可逆感熱記録材料が提案されてきた。可逆感熱記録材
料は、加熱条件の違いによる、透明度の変化を利用した
高分子タイプと、吸収波長の変化を利用した染料タイプ
の2つに大別することができる。
【0006】高分子タイプの可逆感熱記録材料は、さら
に、高分子混合系、高分子−低分子混合系、高分子−液
晶混合系等に分類されるが、これらはいずれも原理的に
は、相変化による透明度の変化を利用したものである。
しかし、これら高分子タイプ可逆感熱記録材料は充分な
透明度、あるいは充分な不透明度が簡単には得られず、
発色部と消色部のコントラストが低いという問題点を有
している。
【0007】一方、染料タイプの可逆感熱記録材料は、
従来の不可逆感熱記録材料に用いられている染料を使用
しながら、可逆記録を可能にしたものであり、下記のよ
うな技術が開示されている。
【0008】すなわち、特開平2−188293号、お
よび特開平2−188294号には、没食子酸等の特定
の有機酸と、高級脂肪族アミンとの塩を顕減色剤として
用いる方法が開示されている。この顕減色剤は、特定の
温度域まで加熱した場合は顕色剤として機能するが、そ
れより高い温度域まで加熱した場合は減色剤として機能
し、それにより、可逆記録が可能となる。しかし、顕色
反応と減色反応が競争反応であるため、どちらかの反応
が選択的に進行するように制御することは、実際上困難
であり、高いコントラストが得られないという欠点を有
している。
【0009】また、特開平5−124360号、および
特開平6−210954号では、長鎖アルキル基を有す
る有機リン酸化合物、α−位にヒドロキシル基を有する
有機酸、あるいはフェノール性化合物を顕色剤として用
いた記録材料が開示されている。この技術における消色
工程は、発色画像をその発色温度より低い温度まで加熱
した場合に、上記特定顕色剤が結晶化して染料と分離
し、消色が発生する現象を利用したものである。しか
し、この記録材料は消色が不十分となることがあり、か
つ発色画像の保存性が不十分になることもある。
【0010】さらに特開昭63−173684号には、
顕色剤としてアスコルビン酸−6−アシル誘導体を用い
た記録材料が開示されている。しかしこの記録材料は、
消去の際、充分に消色せず、高いコントラストが得られ
ないという欠点を有している。
【0011】さらに特開昭60−264285号、およ
び特開昭62−14088号には、染料、顕色剤の他
に、助剤として5〜50℃のΔT(融点と曇点との差)
を有する有機酸エステル類を用いた記録材料が提案され
ている。この記録材料は、室温より低い温度に冷却する
ことにより発色し、また室温より高い温度に加熱するこ
とにより消色し、室温付近では、その発色または消色状
態を保持する可逆記録方式のものである。しかしこの方
式は、その画像保持温度域が、その上限および下限の両
方において制限されるため、装置が複雑になり、かつ使
用環境に制限があるという欠点を有している。
【0012】さらに特開昭58−191190号、およ
び特開昭60−193691号には、顕色剤として没食
子酸、フロログルシノールを用いた記録材料が開示され
ている。この記録材料は、加熱により発色を行い、発色
画像に水又は水蒸気を接触させて消去を行うものであ
る。しかし、この記録材料には画像の保存性が不十分で
あること、および消色装置が大型化するという問題があ
る。
【0013】上述のように、可逆的熱発色および消色可
能な記録表示材料について数多くの技術が開示されてき
たが、それぞれ、上記のような種々の欠点を有してお
り、実用上十分に満足な性能を有するものは未だ得られ
ていない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
前記問題点を解決し、小型な装置を用い、加熱操作のみ
で発色および消色を実施することができ、かつ発色時の
色相と消色時の色相とのコントラストが高い可逆的熱発
色および消色可能な記録表示材料用顕色剤を提供しよう
とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、加熱のみ
で発色、消色を行うことができ、かつ発色部と消色部の
コントラストが高い可逆的熱発色および消色可能な記録
表示材料(以下、可逆感熱記録材料と記す)を得るべ
く、染料と顕色剤の反応を利用した染料タイプの可逆感
熱記録方式に着目し、鋭意研究の結果、顕色剤として長
鎖アルキル基を有する尿素系の非フェノ−ル性化合物を
利用することにより、所望の可逆感熱記録材料が得られ
ることを発見し、本発明を完成するに至った。
【0016】本発明の可逆的熱発色および消色可能な記
録表示材料用顕色剤は、無色または淡色の染料前駆体を
可逆的に熱発色および消色させる顕色剤であって、一分
子中に下記一般式(I):
【化7】 (ただしXは、酸素原子または硫黄原子を表す。)で表
されるスルホニル(チオ)ウレア基を少なくとも一つ有
し、かつ炭素数11以上の直鎖のアルキル基を少なくと
も一つ有する、少なくとも1種類の芳香族化合物を含む
ことを特徴とするものである。
【0017】本発明の顕色剤においては、前記顕色剤芳
香族化合物が、下記一般式(II):
【化8】 (ただし、Xは前記と同じであり、Yは、無置換の芳香
環基、並びに低級アルキル基、ハロゲン原子、および低
級アルコキシ基から選ばれた少なくとも一員により置換
された芳香環基から選ばれた一員を表し、Zは、炭素原
子数が11以上の直鎖アルキル基、炭素原子数が11以
上の少なくとも1個の直鎖アルキル基で置換された芳香
環基、炭素原子数が11以上の少なくとも1個の直鎖ア
ルキル基で芳香環部が置換されているアラルキル基、お
よび芳香環部と、この芳香環部に2価の基を介して結合
されており、かつ炭素原子数が11以上の少なくとも1
個の直鎖アルキル基とを有する芳香族基から選ばれた一
員を表し、但し前述のZにより表される前記芳香環基、
並びに前記アラルキル基および芳香族基中の芳香環部
は、さらに低級アルキル基、アリ−ル基、ハロゲン原
子、および低級アルコキシ基から選ばれた少なくとも一
員により置換されていてもよい。) および下記一般式(III):
【化9】 (ただしXおよびZは、それぞれ上記と同じであり、V
は、2価の基を表す。)で表わされる化合物から選ばれ
ることが好ましい。上記化合物からなる顕色剤は、発色
性能および消色性能において、良好なバランスを示すも
のである。
【0018】本発明の可逆的熱発色および消色可能な記
録表示材料は、シ−ト状支持体と、このシ−ト状支持体
上に形成され、かつ無色または淡色の染料前駆体、およ
びこれを可逆的に熱発色および消色させる顕色剤を含む
感熱発色層とを有し、前記顕色剤が、一分子中に下記一
般式(I):
【化10】 (ただしXは、酸素原子または硫黄原子を表す。)で表
されるスルホニル(チオ)ウレア基を少なくとも一つ有
し、かつ炭素数11以上の直鎖のアルキル基を少なくと
も一つ有する、少なくとも1種類の芳香族化合物を含む
ことを特徴とするものである。
【0019】本発明の記録表示材料においては、前記顕
色剤芳香族化合物が、下記一般式(II):
【化11】 (ただし、Xは前記と同じであり、Yは、無置換の芳香
環基、並びに低級アルキル基、ハロゲン原子、および低
級アルコキシ基から選ばれた少なくとも一員により置換
された芳香環基から選ばれた一員を表し、Zは、炭素原
子数が11以上の直鎖アルキル基、炭素原子数が11以
上の少なくとも1個の直鎖アルキル基で置換された芳香
環基、炭素原子数が11以上の少なくとも1個の直鎖ア
ルキル基で芳香環部が置換されているアラルキル基、お
よび芳香環部とこの芳香環部に2価の基を介して結合さ
れており、かつ炭素原子数が11以上の少なくとも1個
の直鎖アルキル基とを有する芳香族基から選ばれた一員
を表し、但し前述のZにより表される前記芳香環基、並
びに前記アラルキル基および芳香族基中の芳香環部は、
さらに低級アルキル基、アリ−ル基、ハロゲン原子、お
よび低級アルコキシ基から選ばれた少なくとも一員によ
り置換されていてもよい。) および下記一般式(III):
【化12】 (ただしXおよびZは、それぞれ上記と同じであり、V
は、2価の基を表す。)で表わされる化合物から選ばれ
ることが好ましい。
【0020】本発明に係る記録表示材料の可逆的発色お
よび消色方法は、上記記録表示材料の感熱発色層に、加
熱を施して画像を発色記録し、この記録の使用済み後、
この感熱発色層に、前記発色加熱温度よりも低い温度の
加熱を施して前記発色画像を消色することを特徴とする
ものである。
【0021】式(II)の化合物において、Yは、無置換
の芳香環基、あるいは低級アルキル基、ハロゲン原子、
および低級アルコキシ基から選ばれた少なくとも1員に
より置換された芳香環基を表わすが、好ましいものとし
ては下記の基をあげることができる。
【化13】
【0022】また、式(II)および式(III)の化合物に
おいて、Zは炭素原子数が11以上の直鎖アルキル基、
炭素原子数が11以上の少なくとも1個の直鎖のアルキ
ル基で置換された芳香環基、炭素原子数が11以上の少
なくとも1個の直鎖アルキル基で芳香環部が置換されて
いるアラルキル基、および芳香環部と、この芳香環部に
2価の基を介して結合された、炭素原子数が11以上の
少なくとも1個の直鎖アルキル基とを有する芳香環基か
ら選ばれた一員を表し、前述のZで表わされる芳香環
基、並びに前記アラルキル基および芳香族基中の芳香環
部は、さらに低級アルキル基、アリ−ル基、ハロゲン原
子、および低級アルコキシ基から選ばれた少なくとも一
員により置換されていてもよい。
【0023】好ましいZ基として下記の基をあげること
ができる。
【化14】
【0024】
【化15】
【0025】
【化16】
【0026】式(III)の化合物において、Vは2価の基
であり、その種類に制限はないが、好ましい代表的な例
を下記に示す。
【化17】
【0027】
【作用】本発明の可逆感熱記録材料において、染料前駆
体と顕色剤を含む感熱発色層は、加熱により速やかに発
色し、その発色状態は常温においても保持される。一
方、常温において、発色状態にある画像部は、再び発色
温度以下の温度に加熱することにより消去することがで
き、その消色状態は常温においても保持される。
【0028】この発色消色の作用機作は、明確ではない
が、顕色剤芳香族化合物中の式(I)のスルホニル(チ
オ)尿素基中の(チオ)尿素基が、それに隣接するスル
ホニル基により活性化されるため、塩基性のロイコ染料
に対し、強い顕色能力を示して発色が起こり、一方、顕
色剤芳香族化合物中の長鎖アルキル基が、発色体が再び
発色温度以下に加熱されたとき、顕色剤の結晶化を高
め、染料と顕色剤が分離し、消色するものと考えられ
る。一般に発色のための加熱温度は、80〜180℃で
ある。また消色が起きる温度域は、50〜120℃であ
り、前記発色加熱温度より低い。一般に発色は、プリン
ターのサーマルヘッドなどによる急速な加熱・冷却によ
り行なわれるが、消色は、発色画像を発色加熱温度以下
の消色温度域に保持することにより行なわれる。その消
色温度保持時間は、0.5秒以上、例えば0.5秒〜6
0秒間であることが好ましい。
【0029】この発色画像の記録、消去の過程を図1に
より説明する。図1において、状態Aにある未記録の記
録体を所望パターンに従って加熱すると、状態Bを経由
して温度T2 以上において急激に発色濃度が増大し、状
態Cを経由し、発色反応が完了すると状態Dに達し、最
も高い発色濃度を示す。状態Dにある発色画像を室温ま
で急冷すると、状態Eを経由して状態Fに達する。状態
Fは室温で発色が保持されている状態であり、これで画
像の記録が終了する。この記録画像を、温度域T1 に加
熱、保持すると、発色濃度がしだいに低下し、状態Gを
経由して状態A’となり完全に消色する。この消色記録
体を室温まで冷却すると、状態Aに達する。状態Aは室
温で消色状態が保持されている状態であり、これで画像
の消去が終了する。上記の発色−消色可逆サイクルは、
繰り返し行うことができる。
【0030】本発明に用いられる顕色剤芳香族化合物
は、下記化学式により表される化合物から選ぶことがさ
らに好ましい。
【化18】
【0031】
【化19】
【0032】
【化20】 これらの化合物は、単独で用いても良く、あるいはその
2種以上を混合して用いてもよい。
【0033】また、本発明の顕色剤芳香族化合物の長鎖
アルキル基は、その炭素原子数が11〜30であること
が好ましく、14〜21であることがさらに好ましい。
炭素原子数が11未満では得られる発色消色系の消色能
力が低下し、またそれが30を超過すると発色能力が低
下することがある。
【0034】本発明の可逆感熱記録材料の感熱発色層に
おいて、染料前駆体として使用される化合物としては、
トリフェニルメタン系、フルオラン系、ジフェニルメタ
ン系化合物等が挙げられ、従来公知のものから選ぶこと
ができる。例えば3−(4−ジエチルアミノ−2−エト
キシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインド
−ル−3−イル)−4−アザフタリド、クリスタルバイ
オレットラクトン、3−(N−エチル−N−イソペンチ
ルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3
−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o、p−
ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N
−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオ
ラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフル
オラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリ
ノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチル
アミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−
ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチ
ルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メ
チル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6
−メチルフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−
クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキ
シル)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フル
オラン、および3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロ
アニリノ)フルオラン等から選ばれた1種以上を用いる
ことができる。
【0035】又、本発明においては、所望の効果を阻害
しない範囲で、フェノール類又は、有機酸類、および長
鎖アルキル基を有しない非フェノ−ル性のスルホニル
(チオ)尿素系芳香族化合物などの従来公知の顕色剤を
本発明の化合物と併用することができる。これら従来の
顕色剤は、例えば、2,2−ビス(4ーヒドロキシフェ
ニル)プロパン(ビスフェーノルA)、1,1−ビス
(4ーヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,4ービス(1−メチル−1−(4’−ヒドロキシフ
ェニル)エチル)ベンゼン、1,3ービス(1−メチル
−1−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル)ベンゼ
ン、ジヒドロキシジフェニルエーテル(特開平1−18
0382号)、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル(特開
昭52−140483号)、ビスフェノールS、4−ヒ
ドロキシ―4’−イソプロピルオキシジフェニルスルホ
ン(特開昭60−13852号)、1、1−ジ(4−ヒ
ドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,7ージ(4−
ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン
(特開昭59−52694号)、3,3’−ジアリル−
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(特開昭6
0−208286号)、N−(p−トルエンスルホニ
ル)−N’−フェニル尿素、N−(p−トルエンスルホ
ニル)−N’−(p−メトキシフェニル)尿素、N−
(p−トルエンスルホニル)−N’−(o−トリル)尿
素、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(m−ト
リル)尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−
(pートリル)尿素、N−(p−トルエンスルホニル)
−N’−ベンジル尿素(以上、特開平5−32061
号)、4,4’ービス(pートルエンスルホニルアミノ
カルボニルアミノ)−ジフェニルメタン、4,4’ービ
ス(oートルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)
−ジフェニルメタン、4,4’ービス(ベンゼンスルホ
ニルアミノカルボニルアミノ)−ジフェニルメタン、
1,2−ビス[4’−(pートルエンスルホニルアミノ
カルボニルアミノ)フェニルオキシ]エタン、4,4’
−ビス(pートルエンスルホニルアミノカルボニルアミ
ノ)ジフェニルエーテルおよび3,3’−ビス(pート
ルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニル
スルホン(以上、特開平5−147357号)などを包
含する。
【0036】更に本発明においては、感熱発色層中に熱
可融性物質(いわゆる増感剤)を併用することができ
る。増感剤としては、融点50-150℃の熱可融性有機化合
物が用いられ、それらは例えば、1−ヒドロキシ−2−
ナフトエ酸フェニルエステル(特開昭57−19108
9号)、p−ベンジルビフェニル(特開昭60−823
82号)、ベンジルナフチルエーテル(特開昭58−8
7094号)、ジベンジルテレフタレート(特開昭58
−98285号)、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジ
ル(特開昭57−201691号)、炭酸ジフェニル、
炭酸ジトリル(特開昭58−136489号)、m−タ
ーフェニル(特開昭57−89994号)、1,2−ビ
ス(m−トリルオキシ)エタン(特開昭60−5658
8号)、1,5−ビス(p−メトキシフェノキシ)−3
−オキサペンタン(特開昭62−181183号)、シ
ュウ酸ジエステル類(特開昭64−1583号)、1,
4−ビス(pートリルオキシ)ベンゼン(特開平2−1
53783号)、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)
(特公平5−62597号)、1,2−ジ(3−メチル
フェノキシ)エタン(特開昭60−56588号)、ジ
フェニルスルホン(特公昭60−15667号)、ベン
ゼンスルホアニリド(特開昭58−211493号)、
2−クロロアセトアセトアニリド、4−エトキシメチル
スルホニルベンゼン、4−メトキシアセトアセトアニリ
ド、o−メチルアセトアニリド、4−メトキシベンゼン
スルホアニリド、3,4−ジメチルアセトアニリド、2
−メトキシベンゼンスルホアニリドなどから選ぶことが
できる。
【0037】また本発明の感熱発色層には、ワックス
類、顔料を含むことができ、また通常バインダーが含ま
れる。ワックス類としては、例えば、パラフィン、アミ
ド系ワックス、ビスイミド系ワックス、高級脂肪酸の金
属塩など公知のものを用いることができる。
【0038】有機又は無機の顔料としては、例えば炭酸
カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化ア
ルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、焼成
クレー、タルク、および表面処理された炭酸カルシウム
やシリカ等の無機系微粉末、並びに尿素−ホルマリン樹
脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、およびポリスチ
レン樹脂等の有機系微粉末などをあげることができる。
【0039】前記バインダーとしては、種々の分子量の
ポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、メト
キシセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチル
セルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、
ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリ
ル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸
アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合
体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポ
リアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、およ
びカゼインなどの水溶性高分子材料、並びに、ポリ酢酸
ビニル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合
体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビ
ニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレー
ト、エチレン/酢酸ビニル共重合体、およびスチレン/
ブタジエン/アクリル系共重合体等のラテックスを用い
ることができる。
【0040】本発明の可逆感熱記録材料の感熱発色層に
おいて、染料前駆体の含有率は、一般に感熱発色層の全
乾燥重量の5〜40重量%であることが好ましく、本発
明の顕色剤化合物の含有率は、一般に感熱発色層の全乾
燥重量の5〜50重量%であることが好ましい。顕色剤
化合物の含有率が5重量%未満では、顕色能力に不足を
きたし、またそれを50重量%をこえて多量に用いても
顕色能力が飽和して、発色濃度と消色濃度のコントラス
トに格別の改善は見られず、経済的に不利になることが
ある。
【0041】感熱発色層には、さらに必要に応じてフェ
ノール類、有機酸、又は長鎖アルキル基を有しない非フ
ェノ−ル性のスルホニル(チオ)尿素系芳香族化合物か
らなる従来公知の顕色剤を含有していてもさしつかえな
いが、その含有率は、感熱発色層の重量の10重量%以
下であることが好ましい。フェノール類、有機酸、又は
長鎖アルキル基を有しない非フェノ−ル性のスルホニル
(チオ)尿素系芳香族化合物からなる従来公知の顕色剤
の含有率が、10重量%より多くなると、消色反応を阻
害し、発色部と消色部のコントラストの低下が生じる場
合がある。
【0042】ワックス類、および白色顔料が感熱発色層
に含まれる場合、その含有率はそれぞれ5〜20重量
%、10〜50重量%であることが好ましく、またバイ
ンダーの含有率は一般に5〜20重量%である。
【0043】本発明の可逆感熱記録材料に用いられる支
持体は、従来の感熱記録材料に用いられてきた紙、表面
に顔料、ラテックスなどを塗工したコ−テッド紙、ラミ
ネ−ト紙、ポリオレフィン系樹脂から作られた合成紙、
プラスチックフィルムの他にガラスプレ−ト、導電性ゴ
ムシ−トなどから選ぶことができる。このような支持体
の少なくとも1面上に、上記所要成分の混合物を含む塗
布液を塗布し、乾燥して可逆感熱記録材料を製造する。
塗布量は、塗布液層が乾燥した状態で1〜15g/m2
好ましく、2〜10g/m2が特に好ましい。
【0044】本発明の可逆感熱記録材料において、更に
耐熱性、印刷適性、および発色、消色の繰り返し耐久性
を向上させるために、感熱発色層上に保護層、印刷層な
どのような被覆層を形成することもできる。
【0045】画像の記録(発色)、消去(消色)を行う
装置は、使用目的によりサーマルヘッド、恒温槽、加熱
ローラー、熱ペン、面状発熱体などから選択することが
できるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0046】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明
する。特に断らない限り、「部」および「%」は、それ
ぞれ「重量部」および「重量%」をあらわす。
【0047】実施例1 下記操作により可逆感熱記録シ−トを作製した。 (1)分散液Aの調製 成分 量(部) 3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロ 20 アニリノ)フルオラン ポリビニルアルコ−ル 10%水溶液 10 水 70 上記組成物をサンドグラインダーを用い、平均粒径が1
μm以下になるまで粉砕した。
【0048】 (2)分散液Bの調製 成分 量(部) N−(p−トルエンスルホニル)−N’ 20 −(n−テトラデカニル)尿素 (式(IV)の化合物、但しn=14) ポリビニルアルコ−ル 10%水溶液 10 水 70 上記組成物をサンドグラインダーを用い、平均粒径が1
μm以下になるまで粉砕した。
【0049】(3)可逆感熱発色層の形成 上記A液50部及びB液200部に、炭酸カルシウム顔
料30部、25%ステアリン酸亜鉛分散液20部、30
%パラフィン分散液15部、及び10%ポリビニールア
ルコール水溶液100部を混合、攪拌し、塗布液を調製
した。この塗布液を、厚さ75μmのポリエステルフィ
ルムに、乾燥後の塗布量が5. 0g/m2となるように塗
布乾燥することにより可逆感熱発色層を形成した。
【0050】(4)ス−パ−カレンダ−処理 上記のようにして得られた感熱シートをス−パ−カレン
ダ−によって処理し、その感熱発色層の表面の平滑度を
3000〜5000秒に調整し、可逆感熱記録シ−トを
得た。
【0051】(5)発色、消色試験 このようにして得られた可逆感熱記録シ−トに、大倉電
機製感熱発色試験機THPMDを用いて、印字電圧2
1.7v、印字パルス1.0msの条件で印字した。こ
の印字発色濃度をマクベス反射濃度計RD−914で測
定した。さらに、この発色試料を80℃の恒温槽に30
秒間入れて消色処理を施し、その消色濃度をマクベス反
射濃度計RD−914で測定した。テスト結果を表1に
示す。
【0052】実施例2 (1)可逆感熱発色層の形成 実施例1に記載のA液70部及びB液280部に、炭酸
カルシウム顔料8部、25%ステアリン酸亜鉛分散液2
0部、および10%ポリビニルアルコール水溶液170
部を攪拌混合して塗布液を調製した。この塗布液を、坪
量50g/m2の原紙の片面に、乾燥後の塗布量が7. 5
g/m2となるように塗布乾燥して、可逆感熱発色層を形
成した。
【0053】(2)オーバーコート層の形成 カオリナイトクレー分散液(固形分濃度60%)5部、
10%変性ポリビニルアルコール水溶液35部、10%
カゼイン水溶液22部、25%ステアリン酸亜鉛分散液
1部、ジメチロールウレア架橋剤2部及び水35部を混
合、攪拌しオ−バ−コ−ト層用塗布液を調製した。この
塗布液を、上記(1)項に記載の感熱発色層の上に、乾
燥後の塗布量が1. 5g/m2となる様に塗布し乾燥して
オーバーコート層を形成し、これに実施例1と同様のス
−パ−カレンダ−処理を施して、その表面平滑度を80
0〜1000秒に調整し、可逆感熱記録シ−トを作製し
た。
【0054】上記の可逆感熱記録シ−トを、実施例1と
同様の発色、消色試験に供した。テスト結果を表1に示
す。
【0055】実施例3 実施例2と同様にして可逆感熱記録シ−トを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、N−(p−トルエンスルホニル)−
N’−(n−ウンデカニル)尿素(式(IV)の化合物、
但しn=11)を用いた。テスト結果を表1に示す。
【0056】実施例4 実施例2と同様にして可逆感熱記録シ−トを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、N−(2−メトキシベンゼンスルホニ
ル)−N’−(n−テトラデカニル)尿素(式(XVII)
の化合物、但しn=14)を用いた。テスト結果を表1
に示す。
【0057】実施例5 実施例2と同様にして可逆感熱記録シ−トを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、N−(p−トルエンスルホニル)−
N’−(4−n−ノナデシルフェニル)尿素(式(XVI
II)の化合物、但しn=19)を用いた。テスト結果を
表1に示す。
【0058】実施例6 実施例2と同様にして可逆感熱記録シ−トを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、N−(p−トルエンスルホニル)−
N’−〔4−(n−テトラデカノイルアミノ)フェニ
ル〕尿素(式(VI)の化合物、但しn=13)を用い
た。テスト結果を表1に示す。
【0059】実施例7 実施例2と同様にして可逆感熱記録シ−トを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、4,4’−ビス(4−n−テトラデカ
ニルフェニルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフ
ェニルメタン(式(XVI)の化合物、但しn=14)を
用いた。テスト結果を表1に示す。
【0060】実施例8 実施例2と同様にして可逆感熱記録シ−トを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、N−(p−トルエンスルホニル)−
N’−〔4−(n−オクタデカノイルアミノ)フェニ
ル〕尿素(式(VI)の化合物、但しn=17)を用い
た。テスト結果を表1に示す。
【0061】実施例9 実施例2と同様にして可逆感熱記録シ−トを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、N−(p−トルエンスルホニル)−
N’−〔4−(n−エイコサノイルアミノ)フェニル〕
尿素(式(VI)の化合物、但しn=19)を用いた。テ
スト結果を表1に示す。
【0062】実施例10 実施例2と同様にして可逆感熱記録シ−トを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、N−(p−トルエンスルホニル)−
N’−〔4−(n−ドコサノイルアミノ)フェニル〕尿
素(式(VI)の化合物、但しn=21)を用いた。テス
ト結果を表1に示す。
【0063】実施例11 実施例2と同様にして可逆感熱記録シ−トを作製し、テ
ストした。但し、分散液Aの調製にあたり、3−ジブチ
ルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオランの代
わりに、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリ
ノフルオランを用いた。テスト結果を表1に示す。
【0064】比較例1 実施例2と同様にして可逆感熱記録シ−トを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、N−(p−トルエンスルホニル)−
N’−(n−ペンチル)尿素を用いた。テスト結果を表
1に示す。
【0065】比較例2 実施例2と同様にして可逆感熱記録シ−トを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、N−(p−トルエンスルホニル)−
N’−(4−n−ヘプチルフェニル)尿素を用いた。テ
スト結果を表1に示す。
【0066】比較例3 実施例2と同様にして可逆感熱記録シ−トを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、4,4’−ビス(p−トルエンスルホ
ニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタンを用い
た。テスト結果を表1に示す。
【0067】比較例4 実施例2と同様にして可逆感熱記録シ−トを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、没食子酸を用いた。テスト結果を表1
に示す。
【0068】比較例5 実施例2と同様にして可逆感熱記録シ−トを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、アスコルビン酸を用いた。テスト結果
を表1に示す。
【0069】比較例6 (1)カ−ボンブラック層の形成 成分 量(部) カ−ボンブラック 2 エチルセルロ−ス(10%エタノ−ル溶液) 98 上記組成物を混合し、均一に溶解して塗布液とした。こ
の塗布液を、厚さ75μmのポリエステルフィルムに、
乾燥後の塗布量が3.0g/m2となるように塗布乾燥し
てカ−ボンブラック層を形成した。
【0070】 (2)感熱層の形成 成分 量(部) 塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体 15 ベヘン酸 3 テトラヒドロフラン 82 上記組成物を混合し、均一に溶解して塗布液とした。こ
の塗布液を、上記カ−ボンブラック層上に、乾燥後の塗
布量が5.0g/m2となるように塗布乾燥して感熱層を
形成し、可逆感熱記録シ−トを作製した。
【0071】(3)発色、消色試験 このようにして得られた可逆感熱記録シートについて、
実施例2に記載の発色、消色試験と同様の試験を行っ
た。テスト結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】実施例1〜11に、比較例4〜6を対比す
れば明らかなように、本発明の可逆感熱記録材料は、没
食子酸、アスコルビン酸などの顕色剤を用いた従来の染
料型可逆感熱記録材料や高分子タイプの可逆感熱記録材
料よりもはるかに発色部と消色部のコントラストが高
い。又、実施例1〜11と比較例1〜3とを対比すれば
明らかなように、本発明の可逆感熱記録材料は、炭素原
子数が11以上の長鎖アルキル基を有するスルホニル
(チオ)尿素系化合物を顕色剤として用いたときのみ発
色・消色作用を発現することがわかる。
【0074】
【発明の効果】本発明の可逆的熱発色および消色可能な
記録表示材料用顕色剤を含む感熱発色層の発色部と消色
部とは、きわめて優れたコントラストを示し、従って、
本発明の顕色剤および記録表示材料は実用上の価値のき
わめて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る可逆的発色および消色可能な記録
表示材料用顕色剤を含む発色系の発色および消色サイク
ルにおける温度と発色濃度との関係を示すグラフ。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年3月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 可逆的熱発色および消色可能な記録表
示材料用顕色剤および記録表示材料
【特許請求の範囲】
【化1】 (ただしXは、酸素原子または硫黄原子を表す。)で表
されるスルホニル(チオ)ウレア基を少なくとも一つ有
し、かつ炭素数11以上の直鎖のアルキル基を少なくと
も一つ有する、少なくとも1種類の芳香族化合物を含む
ことを特徴とする、可逆的熱発色および消色が可能な記
録表示材料用顕色剤。
【化2】 (ただし、Xは前記と同じであり、Yは、無置換の芳香
環基、並びに低級アルキル基、ハロゲン原子、および低
級アルコキシ基から選ばれた少なくとも一員により置換
された芳香環基から選ばれた一員を表し、Zは、炭素原
子数が11以上の直鎖アルキル基、炭素原子数が11以
上の少なくとも1個の直鎖アルキル基で置換された芳香
環基、炭素原子数が11以上の少なくとも1個の直鎖ア
ルキル基で芳香環部が置換されているアラルキル基、お
よび芳香環部と、この芳香環部に2価の基を介して結合
されており、かつ炭素原子数が11以上の少なくとも1
個の直鎖アルキル基とを有する芳香族基から選ばれた一
員を表し、但し前述のZにより表される前記芳香環基、
並びに前記アラルキル基および芳香族基中の芳香環部
は、さらに低級アルキル基、アリール基、ハロゲン原
子、および低級アルコキシ基から選ばれた少なくとも一
員により置換されていてもよい。) および下記一般式(III):
【化3】 (ただしXおよびZは、それぞれ上記と同じであり、V
は、2価の基を表す。)で表される化合物から選ばれ
る、請求項第1項記載の顕色剤。
【化4】 (ただしXは、酸素原子または硫黄原子を表す。)で表
されるスルホニル(チオ)ウレア基を少なくとも一つ有
し、かつ炭素数11以上の直鎖のアルキル基を少なくと
も一つ有する、少なくとも1種類の芳香族化合物を含む
ことを特徴とする、可逆的熱発色および消色が可能な記
録表示材料。
【化5】 (ただし、Xは前記と同じであり、Yは、無置換の芳香
環基、並びに低級アルキル基、ハロゲン原子、および低
級アルコキシ基から選ばれた少なくとも一員により置換
された芳香環基から選ばれた一員を表し、Zは、炭素原
子数が11以上の直鎖アルキル基、炭素原子数が11以
上の少なくとも1個の直鎖アルキル基で置換された芳香
環基、炭素原子数が11以上の少なくとも1個の直鎖ア
ルキル基で芳香環部が置換されているアラルキル基、お
よび芳香環部と、この芳香環部に2価の基を介して結合
されており、かつ炭素原子数が11以上の少なくとも1
個の直鎖アルキル基とを有する芳香族基から選ばれた一
員を表し、但し前述のZにより表される前記芳香環基、
並びに前記アラルキル基および芳香族基中の芳香環部
は、さらに低級アルキル基、アリール基、ハロゲン原
子、および低級アルコキシ基から選ばれた少なくとも一
員により置換されていてもよい。) および下記一般式(III):
【化6】 (ただしXおよびZは、それぞれ上記と同じであり、V
は、2価の基を表す。)で表される化合物から選ばれ
る、請求項第3項記載の記録表示材料。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加熱により、発色およ
び消色を行い、かつその発色状態と消色状態を常温にお
いて保持できる可逆的熱発色および消色可能な記録表示
材料用顕色剤に関するものである。更に詳しく述べるな
らば、本発明は、発色色相と消色色相のコントラストの
高い可逆的熱発色および消色が可能な記録表示材料を製
造するのに好適な顕色剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、感熱記録体は、記録装置がコンパ
クトで、安価で、かつ保守が容易であることから、電子
計算機のアウトプット、ファクシミリ、自動券売機、プ
リペイドカード、科学計測器および医療計測用のプリン
ター等に広範囲に使用されている。しかし、これらの感
熱記録体の発色画像は消去することができないため、感
熱記録体として再利用することは不可能であった。
【0003】しかし、近年、森林保護、公害など環境問
題について盛んに論じられるようになり、このような環
境保護の強い要望を背景に、感熱記録紙についてもその
再生利用が望まれている。感熱記録紙の再生法には、さ
まざまな方法が考えられるが、中でも脱墨装置等の大型
な装置を必要としない汎用性のある方法として、加熱条
件の違いにより、発色、消去を繰り返し、何度でも繰り
返し利用できる可逆タイプの感熱記録方式の開発が強く
望まれている。
【0004】また、可逆タイプの感熱記録材料は、感熱
記録紙用の材料としてばかりでなく、特開平3−233
490号、および特開平5−42762号等に開示され
ているような表示装置の記録材料としても注目されてお
り、これらの装置に適した記録材料の開発も強く望まれ
ている。
【0005】これらの要求を背景に、これまでにも様々
な可逆感熱記録材料が提案されてきた。可逆感熱記録材
料は、加熱条件の違いによる、透明度の変化を利用した
高分子タイプと、吸収波長の変化を利用した染料タイプ
の2つに大別することができる。
【0006】高分子タイプの可逆感熱記録材料は、さら
に、高分子混合系、高分子−低分子混合系、高分子−液
晶混合系等に分類されるが、これらはいずれも原理的に
は、相変化による透明度の変化を利用したものである。
しかし、これら高分子タイプ可逆感熱記録材料は充分な
透明度、あるいは充分な不透明度が簡単には得られず、
発色部と消色部のコントラストが低いという問題点を有
している。
【0007】一方、染料タイプの可逆感熱記録材料は、
従来の不可逆感熱記録材料に用いられている染料を使用
しながら、可逆記録を可能にしたものであり、下記のよ
うな技術が開示されている。
【0008】すなわち、特開平2−188293号、お
よび特開平2−188294号には、没食子酸等の特定
の有機酸と、高級脂肪族アミンとの塩を顕減色剤として
用いる方法が開示されている。この顕減色剤は、特定の
温度域まで加熱した場合は顕色剤として機能するが、そ
れより高い温度域まで加熱した場合は減色剤として機能
し、それにより、可逆記録が可能となる。しかし、顕色
反応と減色反応が競争反応であるため、どちらかの反応
が選択的に進行するように制御することは、実際上困難
であり、高いコントラストが得られないという欠点を有
している。
【0009】また、特開平5−124360号、および
特開平6−210954号では、長鎖アルキル基を有す
る有機リン酸化合物、α−位にヒドロキシル基を有する
有機酸、あるいはフェノール性化合物を顕色剤として用
いた記録材料が開示されている。この技術における消色
工程は、発色画像をその発色温度より低い温度まで加熱
した場合に、上記特定顕色剤が結晶化して染料と分離
し、消色が発生する現象を利用したものである。しか
し、この記録材料は消色が不十分となることがあり、ま
た発色画像の保存性が不十分になることもある。
【0010】さらに特開昭63−173684号には、
顕色剤としてアスコルビン酸−6−アシル誘導体を用い
た記録材料が開示されている。しかしこの記録材料は、
消去の際、充分に消色せず、高いコントラストが得られ
ないという欠点を有している。
【0011】さらに特開昭60−264285号、およ
び特開昭62−14088号には、染料、顕色剤の他
に、助剤として5〜50℃のΔT(融点と曇点との差)
を有する有機酸エステル類を用いた記録材料が提案され
ている。この記録材料は、室温より低い温度に冷却する
ことにより発色し、また室温より高い温度に加熱するこ
とにより消色し、室温付近では、その発色または消色状
態を保持する可逆記録方式のものである。しかしこの方
式は、その画像保持温度域が、その上限および下限の両
方において制限されるため、装置が複雑になり、かつ使
用環境に制限があるという欠点を有している。
【0012】さらに特開昭58−191190号、およ
び特開昭60−193691号には、顕色剤として没食
子酸、フロログルシノールを用いた記録材料が開示され
ている。この記録材料は、加熱により発色を行い、発色
画像に水又は水蒸気を接触させて消去を行うものであ
る。しかし、この記録材料には画像の保存性が不十分で
あること、および消色装置が大型化するという問題があ
る。
【0013】上述のように、可逆的熱発色および消色可
能な記録表示材料について数多くの技術が開示されてき
たが、それぞれ、上記のような種々の欠点を有してお
り、実用上十分に満足な性能を有するものは未だ得られ
ていない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
前記問題点を解決し、小型な装置を用い、加熱操作のみ
で発色および消色を実施することができ、かつ発色時の
色相と消色時の色相とのコントラストが高い可逆的熱発
色および消色可能な記録表示材料用顕色剤を提供しよう
とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、加熱のみ
で発色、消色を行うことができ、かつ発色部と消色部の
コントラストが高い可逆的熱発色および消色可能な記録
表示材料(以下、可逆感熱記録材料と記す)を得るべ
く、染料と顕色剤の反応を利用した染料タイプの可逆感
熱記録方式に着目し、鋭意研究の結果、顕色剤として長
鎖アルキル基を有する尿素系の非フェノール性化合物を
利用することにより、所望の可逆感熱記録材料が得られ
ることを発見し、本発明を完成するに至った。
【0016】本発明の可逆的熱発色および消色可能な記
録表示材料用顕色剤は、無色または淡色の染料前駆体を
可逆的に熱発色および消色させる顕色剤であって、一分
子中に下記一般式(I):
【化7】 (ただしXは、酸素原子または硫黄原子を表す。)で表
されるスルホニル(チオ)ウレア基を少なくとも一つ有
し、かつ炭素数11以上の直鎖のアルキル基を少なくと
も一つ有する、少なくとも1種類の芳香族化合物を含む
ことを特徴とするものである。
【0017】本発明の顕色剤においては、前記顕色剤芳
香族化合物が、下記一般式(II):
【化8】 (ただし、Xは前記と同じであり、Yは、無置換の芳香
環基、並びに低級アルキル基、ハロゲン原子、および低
級アルコキシ基から選ばれた少なくとも一員により置換
された芳香環基から選ばれた一員を表し、Zは、炭素原
子数が11以上の直鎖アルキル基、炭素原子数が11以
上の少なくとも1個の直鎖アルキル基で置換された芳香
環基、炭素原子数が11以上の少なくとも1個の直鎖ア
ルキル基で芳香環部が置換されているアラルキル基、お
よび芳香環部と、この芳香環部に2価の基を介して結合
されており、かつ炭素原子数が11以上の少なくとも1
個の直鎖アルキル基とを有する芳香族基から選ばれた一
員を表し、但し前述のZにより表される前記芳香環基、
並びに前記アラルキル基および芳香族基中の芳香環部
は、さらに低級アルキル基、アリール基、ハロゲン原
子、および低級アルコキシ基から選ばれた少なくとも一
員により置換されていてもよい。) および下記一般式(III):
【化9】 (ただしXおよびZは、それぞれ上記と同じであり、V
は、2価の基を表す。)で表わされる化合物から選ばれ
ることが好ましい。上記化合物からなる顕色剤は、発色
性能および消色性能において、良好なバランスを示すも
のである。
【0018】本発明の可逆的熱発色および消色可能な記
録表示材料は、シート状支持体と、このシート状支持体
上に形成され、かつ無色または淡色の染料前駆体、およ
びこれを可逆的に熱発色および消色させる顕色剤を含む
感熱発色層とを有し、前記顕色剤が、一分子中に下記一
般式(I):
【化10】 (ただしXは、酸素原子または硫黄原子を表す。)で表
されるスルホニル(チオ)ウレア基を少なくとも一つ有
し、かつ炭素数11以上の直鎖のアルキル基を少なくと
も一つ有する、少なくとも1種類の芳香族化合物を含む
ことを特徴とするものである。
【0019】本発明の記録表示材料においては、前記顕
色剤芳香族化合物が、下記一般式(II):
【化11】 (ただし、Xは前記と同じであり、Yは、無置換の芳香
環基、並びに低級アルキル基、ハロゲン原子、および低
級アルコキシ基から選ばれた少なくとも一員により置換
された芳香環基から選ばれた一員を表し、Zは、炭素原
子数が11以上の直鎖アルキル基、炭素原子数が11以
上の少なくとも1個の直鎖アルキル基で置換された芳香
環基、炭素原子数が11以上の少なくとも1個の直鎖ア
ルキル基で芳香環部が置換されているアラルキル基、お
よび芳香環部とこの芳香環部に2価の基を介して結合さ
れており、かつ炭素原子数が11以上の少なくとも1個
の直鎖アルキル基とを有する芳香族基から選ばれた一員
を表し、但し前述のZにより表される前記芳香環基、並
びに前記アラルキル基および芳香族基中の芳香環部は、
さらに低級アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、お
よび低級アルコキシ基から選ばれた少なくとも一員によ
り置換されていてもよい。) および下記一般式(III):
【化12】 (ただしXおよびZは、それぞれ上記と同じであり、V
は、2価の基を表す。)で表わされる化合物から選ばれ
ることが好ましい。
【0020】本発明に係る記録表示材料の可逆的発色お
よび消色方法は、上記記録表示材料の感熱発色層に、加
熱を施して画像を発色記録し、この記録の使用済み後、
この感熱発色層に、前記発色加熱温度よりも低い温度の
加熱を施して前記発色画像を消色することを特徴とする
ものである。
【0021】式(II)の化合物において、Yは、無置換
の芳香環基、あるいは低級アルキル基、ハロゲン原子、
および低級アルコキシ基から選ばれた少なくとも1員に
より置換された芳香環基を表わすが、好ましいものとし
ては下記の基をあげることができる。
【化13】
【0022】また、式(II)および式(III)の化合物に
おいて、Zは炭素原子数が11以上の直鎖アルキル基、
炭素原子数が11以上の少なくとも1個の直鎖のアルキ
ル基で置換された芳香環基、炭素原子数が11以上の少
なくとも1個の直鎖アルキル基で芳香環部が置換されて
いるアラルキル基、および芳香環部と、この芳香環部に
2価の基を介して結合された、炭素原子数が11以上の
少なくとも1個の直鎖アルキル基とを有する芳香環基か
ら選ばれた一員を表し、前述のZで表わされる芳香環
基、並びに前記アラルキル基および芳香族基中の芳香環
部は、さらに低級アルキル基、アリール基、ハロゲン原
子、および低級アルコキシ基から選ばれた少なくとも一
員により置換されていてもよい。
【0023】好ましいZ基として下記の基をあげること
ができる。
【化14】
【0024】
【化15】
【0025】式(III)の化合物において、Vは2価の基
であり、その種類に制限はないが、好ましい代表的な例
を下記に示す。
【化16】
【0026】
【作用】本発明の可逆感熱記録材料において、染料前駆
体と顕色剤を含む感熱発色層は、加熱により速やかに発
色し、その発色状態は常温においても保持される。一
方、常温において、発色状態にある画像部は、再び発色
温度以下の温度に加熱することにより消去することがで
き、その消色状態は常温においても保持される。
【0027】この発色消色の作用機作は、明確ではない
が、顕色剤芳香族化合物中の式(I)のスルホニル(チ
オ)尿素基中の(チオ)尿素基が、それに隣接するスル
ホニル基により活性化されるため、塩基性のロイコ染料
に対し、強い顕色能力を示して発色が起こり、一方、顕
色剤芳香族化合物中の長鎖アルキル基が、発色体が再び
発色温度以下に加熱されたとき、顕色剤の結晶化を高
め、染料と顕色剤が分離し、消色するものと考えられ
る。一般に発色のための加熱温度は、80〜180℃で
ある。また消色が起きる温度域は、50〜120℃であ
り、前記発色加熱温度より低い。一般に発色は、プリン
ターのサーマルヘッドなどによる急速な加熱・冷却によ
り行なわれるが、消色は、発色画像を発色加熱温度以下
の消色温度域に保持することにより行なわれる。その消
色温度保持時間は、0.5秒以上、例えば0.5秒〜6
0秒間であることが好ましい。
【0028】この発色画像の記録、消去の過程を図1に
より説明する。図1において、状態Aにある未記録の記
録体を所望パターンに従って加熱すると、状態Bを経由
して温度T2 以上において急激に発色濃度が増大し、状
態Cを経由し、発色反応が完了すると状態Dに達し、最
も高い発色濃度を示す。状態Dにある発色画像を室温ま
で急冷すると、状態Eを経由して状態Fに達する。状態
Fは室温で発色が保持されている状態であり、これで画
像の記録が終了する。この記録画像を、温度域T1 に加
熱、保持すると、発色濃度がしだいに低下し、状態Gを
経由して状態A’となり完全に消色する。この消色記録
体を室温まで冷却すると、状態Aに達する。状態Aは室
温で消色状態が保持されている状態であり、これで画像
の消去が終了する。上記の発色−消色可逆サイクルは、
繰り返し行うことができる。
【0029】本発明に用いられる顕色剤芳香族化合物
は、下記化学式により表される化合物から選ぶことがさ
らに好ましい。
【化17】
【0030】
【化18】
【0031】
【化19】 これらの化合物は、単独で用いても良く、あるいはその
2種以上を混合して用いてもよい。
【0032】また、本発明の顕色剤芳香族化合物の長鎖
アルキル基は、その炭素原子数が11〜30であること
が好ましく、14〜21であることがさらに好ましい。
炭素原子数が11未満では得られる発色消色系の消色能
力が低下し、またそれが30を超過すると発色能力が低
下することがある。
【0033】本発明の可逆感熱記録材料の感熱発色層に
おいて、染料前駆体として使用される化合物としては、
トリフェニルメタン系、フルオラン系、ジフェニルメタ
ン系化合物等が挙げられ、従来公知のものから選ぶこと
ができる。例えば3−(4−ジエチルアミノ−2−エト
キシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインド
ール−3−イル)−4−アザフタリド、クリスタルバイ
オレットラクトン、3−(N−エチル−N−イソペンチ
ルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3
−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o、p−
ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N
−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオ
ラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフル
オラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリ
ノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチル
アミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−
ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチ
ルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メ
チル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6
−メチルフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−
クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキ
シル)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フル
オラン、および3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロ
アニリノ)フルオラン等から選ばれた1種以上を用いる
ことができる。
【0034】又、本発明においては、所望の効果を阻害
しない範囲で、フェノール類又は、有機酸類、および長
鎖アルキル基を有しない非フェノール性のスルホニル
(チオ)尿素系芳香族化合物などの従来公知の顕色剤を
本発明の化合物と併用することができる。
【0035】これら従来の顕色剤は、例えば、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェー
ノルA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
1−フェニルエタン、1,4−ビス(1−メチル−1−
(4’−ヒドロキシフェニル)エチル)ベンゼン、1,
3−ビス(1−メチル−1−(4’−ヒドロキシフェニ
ル)エチル)ベンゼン、ジヒドロキシジフェニルエーテ
ル(特開平1−180382号)、p−ヒドロキシ安息
香酸ベンジル(特開昭52−140483号)、ビスフ
ェノールS、4−ヒドロキシ―4’−イソプロピルオキ
シジフェニルスルホン(特開昭60−13852号)、
1、1−ジ(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン、1,7−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,
5−ジオキサヘプタン(特開昭59−52694号)、
3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホン(特開昭60−208286号)、N−(p
−トルエンスルホニル)−N’−フェニル尿素、N−
(p−トルエンスルホニル)−N’−(p−メトキシフ
ェニル)尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N’
−(o−トリル)尿素、N−(p−トルエンスルホニ
ル)−N’−(m−トリル)尿素、N−(p−トルエン
スルホニル)−N’−(p−トリル)尿素、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−ベンジル尿素(以上、特
開平5−32061号)、4,4’−ビス(p−トルエ
ンスルホニルアミノカルボニルアミノ)−ジフェニルメ
タン、4,4’−ビス(o−トルエンスルホニルアミノ
カルボニルアミノ)−ジフェニルメタン、4,4’−ビ
ス(ベンゼンスルホニルアミノカルボニルアミノ)−ジ
フェニルメタン、1,2−ビス[4’−(p−トルエン
スルホニルアミノカルボニルアミノ)フェニルオキシ]
エタン、4,4’−ビス(p−トルエンスルホニルアミ
ノカルボニルアミノ)ジフェニルエーテルおよび3,
3’−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニル
アミノ)ジフェニルスルホン(以上、特開平5−147
357号)などを包含する。
【0036】更に本発明においては、感熱発色層中に熱
可融性物質(いわゆる増感剤)を併用することができ
る。増感剤としては、融点50-150℃の熱可融性有機化合
物が用いられ、それらは例えば、1−ヒドロキシ−2−
ナフトエ酸フェニルエステル(特開昭57−19108
9号)、p−ベンジルビフェニル(特開昭60−823
82号)、ベンジルナフチルエーテル(特開昭58−8
7094号)、ジベンジルテレフタレート(特開昭58
−98285号)、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジ
ル(特開昭57−201691号)、炭酸ジフェニル、
炭酸ジトリル(特開昭58−136489号)、m−タ
ーフェニル(特開昭57−89994号)、1,2−ビ
ス(m−トリルオキシ)エタン(特開昭60−5658
8号)、1,5−ビス(p−メトキシフェノキシ)−3
−オキサペンタン(特開昭62−181183号)、シ
ュウ酸ジエステル類(特開昭64−1583号)、1,
4−ビス(p−トリルオキシ)ベンゼン(特開平2−1
53783号)、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)
(特公平5−62597号)、1,2−ジ(3−メチル
フェノキシ)エタン(特開昭60−56588号)、ジ
フェニルスルホン(特公昭60−15667号)、ベン
ゼンスルホアニリド(特開昭58−211493号)、
2−クロロアセトアセトアニリド、4−エトキシメチル
スルホニルベンゼン、4−メトキシアセトアセトアニリ
ド、o−メチルアセトアニリド、4−メトキシベンゼン
スルホアニリド、3,4−ジメチルアセトアニリド、2
−メトキシベンゼンスルホアニリドなどから選ぶことが
できる。
【0037】また本発明の感熱発色層には、ワックス
類、顔料を含むことができ、また通常バインダーが含ま
れる。ワックス類としては、例えば、パラフィン、アミ
ド系ワックス、ビスイミド系ワックス、高級脂肪酸の金
属塩など公知のものを用いることができる。
【0038】有機又は無機の顔料としては、例えば炭酸
カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化ア
ルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、焼成
クレー、タルク、および表面処理された炭酸カルシウム
やシリカ等の無機系微粉末、並びに尿素−ホルマリン樹
脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、およびポリスチ
レン樹脂等の有機系微粉末などをあげることができる。
【0039】前記バインダーとしては、種々の分子量の
ポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、メト
キシセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチル
セルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、
ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリ
ル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸
アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合
体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポ
リアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、およ
びカゼインなどの水溶性高分子材料、並びに、ポリ酢酸
ビニル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合
体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビ
ニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレー
ト、エチレン/酢酸ビニル共重合体、およびスチレン/
ブタジエン/アクリル系共重合体等のラテックスを用い
ることができる。
【0040】本発明の可逆感熱記録材料の感熱発色層に
おいて、染料前駆体の含有率は、一般に感熱発色層の全
乾燥重量の5〜40重量%であることが好ましく、本発
明の顕色剤化合物の含有率は、一般に感熱発色層の全乾
燥重量の5〜50重量%であることが好ましい。顕色剤
化合物の含有率が5重量%未満では、顕色能力に不足を
きたし、またそれを50重量%をこえて多量に用いても
顕色能力が飽和して、発色濃度と消色濃度のコントラス
トに格別の改善は見られず、経済的に不利になることが
ある。
【0041】感熱発色層には、さらに必要に応じてフェ
ノール類、有機酸、又は長鎖アルキル基を有しない非フ
ェノール性のスルホニル(チオ)尿素系芳香族化合物か
らなる従来公知の顕色剤を含有していてもさしつかえな
いが、その含有率は、感熱発色層の重量の10重量%以
下であることが好ましい。フェノール類、有機酸、又は
長鎖アルキル基を有しない非フェノール性のスルホニル
(チオ)尿素系芳香族化合物からなる従来公知の顕色剤
の含有率が、10重量%より多くなると、消色反応を阻
害し、発色部と消色部のコントラストの低下が生じる場
合がある。
【0042】ワックス類、および白色顔料が感熱発色層
に含まれる場合、その含有率はそれぞれ5〜20重量
%、10〜50重量%であることが好ましく、またバイ
ンダーの含有率は一般に5〜20重量%である。
【0043】本発明の可逆感熱記録材料に用いられる支
持体は、従来の感熱記録材料に用いられてきた紙、表面
に顔料、ラテックスなどを塗工したコーテッド紙、ラミ
ネート紙、ポリオレフィン系樹脂から作られた合成紙、
プラスチックフィルムの他にガラスプレート、導電性ゴ
ムシートなどから選ぶことができる。このような支持体
の少なくとも1面上に、上記所要成分の混合物を含む塗
布液を塗布し、乾燥して可逆感熱記録材料を製造する。
塗布量は、塗布液層が乾燥した状態で1〜15g/m2
好ましく、2〜10g/m2が特に好ましい。
【0044】本発明の可逆感熱記録材料において、更に
耐熱性、印刷適性、および発色、消色の繰り返し耐久性
を向上させるために、感熱発色層上に保護層、印刷層な
どのような被覆層を形成することもできる。
【0045】画像の記録(発色)、消去(消色)を行う
装置は、使用目的によりサーマルヘッド、恒温槽、加熱
ローラー、熱ペン、面状発熱体などから選択することが
できるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0046】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明
する。特に断らない限り、「部」および「%」は、それ
ぞれ「重量部」および「重量%」をあらわす。
【0047】実施例1 下記操作により可逆感熱記録シートを作製した。 (1)分散液Aの調製 成分 量(部) 3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロ 20 アニリノ)フルオラン ポリビニルアルコール 10%水溶液 10 水 70 上記組成物をサンドグラインダーを用い、平均粒径が1
μm以下になるまで粉砕した。
【0048】 (2)分散液Bの調製 成分 量(部) N−(p−トルエンスルホニル)−N’ 20 −(n−テトラデカニル)尿素 (式(IV)の化合物、但しn=14) ポリビニルアルコール 10%水溶液 10 水 70 上記組成物をサンドグラインダーを用い、平均粒径が1
μm以下になるまで粉砕した。
【0049】(3)可逆感熱発色層の形成 上記A液50部及びB液200部に、炭酸カルシウム顔
料30部、25%ステアリン酸亜鉛分散液20部、30
%パラフィン分散液15部、及び10%ポリビニールア
ルコール水溶液100部を混合、攪拌し、塗布液を調製
した。この塗布液を、厚さ75μmのポリエステルフィ
ルムに、乾燥後の塗布量が5. 0g/m2となるように塗
布乾燥することにより可逆感熱発色層を形成した。
【0050】(4)スーパーカレンダー処理 上記のようにして得られた感熱シートをスーパーカレン
ダーによって処理し、その感熱発色層の表面の平滑度を
3000〜5000秒に調整し、可逆感熱記録シートを
得た。
【0051】(5)発色、消色試験 このようにして得られた可逆感熱記録シートに、大倉電
機製感熱発色試験機THPMDを用いて、印字電圧2
1.7v、印字パルス1.0msの条件で印字した。こ
の印字発色濃度をマクベス反射濃度計RD−914で測
定した。さらに、この発色試料を80℃の恒温槽に30
秒間入れて消色処理を施し、その消色濃度をマクベス反
射濃度計RD−914で測定した。テスト結果を表1に
示す。
【0052】実施例2 (1)可逆感熱発色層の形成 実施例1に記載のA液70部及びB液280部に、炭酸
カルシウム顔料8部、25%ステアリン酸亜鉛分散液2
0部、および10%ポリビニルアルコール水溶液170
部を攪拌混合して塗布液を調製した。この塗布液を、坪
量50g/m2の原紙の片面に、乾燥後の塗布量が7. 5
g/m2となるように塗布乾燥して、可逆感熱発色層を形
成した。
【0053】(2)オーバーコート層の形成 カオリナイトクレー分散液(固形分濃度60%)5部、
10%変性ポリビニルアルコール水溶液35部、10%
カゼイン水溶液22部、25%ステアリン酸亜鉛分散液
1部、ジメチロールウレア架橋剤2部及び水35部を混
合、攪拌しオーバーコート層用塗布液を調製した。この
塗布液を、上記(1)項に記載の感熱発色層の上に、乾
燥後の塗布量が1. 5g/m2となる様に塗布し乾燥して
オーバーコート層を形成し、これに実施例1と同様のス
ーパーカレンダー処理を施して、その表面平滑度を80
0〜1000秒に調整し、可逆感熱記録シートを作製し
た。
【0054】上記の可逆感熱記録シートを、実施例1と
同様の発色、消色試験に供した。テスト結果を表1に示
す。
【0055】実施例3 実施例2と同様にして可逆感熱記録シートを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、N−(p−トルエンスルホニル)−
N’−(n−ウンデカニル)尿素(式(IV)の化合物、
但しn=11)を用いた。テスト結果を表1に示す。
【0056】実施例4 実施例2と同様にして可逆感熱記録シートを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、N−(2−メトキシベンゼンスルホニ
ル)−N’−(n−テトラデカニル)尿素(式(XVII)
の化合物、但しn=14)を用いた。テスト結果を表1
に示す。
【0057】実施例5 実施例2と同様にして可逆感熱記録シートを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、N−(p−トルエンスルホニル)−
N’−(4−n−ノナデシルフェニル)尿素(式(XVI
II)の化合物、但しn=19)を用いた。テスト結果を
表1に示す。
【0058】実施例6 実施例2と同様にして可逆感熱記録シートを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、N−(p−トルエンスルホニル)−
N’−〔4−(n−テトラデカノイルアミノ)フェニ
ル〕尿素(式(VI)の化合物、但しn=13)を用い
た。テスト結果を表1に示す。
【0059】実施例7 実施例2と同様にして可逆感熱記録シートを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、4,4’−ビス(4−n−テトラデカ
ニルフェニルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフ
ェニルメタン(式(XVI)の化合物、但しn=14)を
用いた。テスト結果を表1に示す。
【0060】実施例8 実施例2と同様にして可逆感熱記録シートを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、N−(p−トルエンスルホニル)−
N’−〔4−(n−オクタデカノイルアミノ)フェニ
ル〕尿素(式(VI)の化合物、但しn=17)を用い
た。テスト結果を表1に示す。
【0061】実施例9 実施例2と同様にして可逆感熱記録シートを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、N−(p−トルエンスルホニル)−
N’−〔4−(n−エイコサノイルアミノ)フェニル〕
尿素(式(VI)の化合物、但しn=19)を用いた。テ
スト結果を表1に示す。
【0062】実施例10 実施例2と同様にして可逆感熱記録シートを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、N−(p−トルエンスルホニル)−
N’−〔4−(n−ドコサノイルアミノ)フェニル〕尿
素(式(VI)の化合物、但しn=21)を用いた。テス
ト結果を表1に示す。
【0063】実施例11 実施例2と同様にして可逆感熱記録シートを作製し、テ
ストした。但し、分散液Aの調製にあたり、3−ジブチ
ルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオランの代
わりに、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリ
ノフルオランを用いた。テスト結果を表1に示す。
【0064】比較例1 実施例2と同様にして可逆感熱記録シートを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、N−(p−トルエンスルホニル)−
N’−(n−ペンチル)尿素を用いた。テスト結果を表
1に示す。
【0065】比較例2 実施例2と同様にして可逆感熱記録シートを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、N−(p−トルエンスルホニル)−
N’−(4−n−ヘプチルフェニル)尿素を用いた。テ
スト結果を表1に示す。
【0066】比較例3 実施例2と同様にして可逆感熱記録シートを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、4,4’−ビス(p−トルエンスルホ
ニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタンを用い
た。テスト結果を表1に示す。
【0067】比較例4 実施例2と同様にして可逆感熱記録シートを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、没食子酸を用いた。テスト結果を表1
に示す。
【0068】比較例5 実施例2と同様にして可逆感熱記録シートを作製し、テ
ストした。但し、分散液Bの調製にあたり、N−(p−
トルエンスルホニル)−N’−(n−テトラデカニル)
尿素の代わりに、アスコルビン酸を用いた。テスト結果
を表1に示す。
【0069】比較例6 (1)カーボンブラック層の形成 成分 量(部) カーボンブラック 2 エチルセルロース(10%エタノール溶液) 98 上記組成物を混合し、均一に溶解して塗布液とした。こ
の塗布液を、厚さ75μmのポリエステルフィルムに、
乾燥後の塗布量が3.0g/m2となるように塗布乾燥し
てカーボンブラック層を形成した。
【0070】 (2)感熱層の形成 成分 量(部) 塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体 15 ベヘン酸 3 テトラヒドロフラン 82 上記組成物を混合し、均一に溶解して塗布液とした。こ
の塗布液を、上記カーボンブラック層上に、乾燥後の塗
布量が5.0g/m2となるように塗布乾燥して感熱層を
形成し、可逆感熱記録シートを作製した。
【0071】(3)発色、消色試験 このようにして得られた可逆感熱記録シートについて、
実施例2に記載の発色、消色試験と同様の試験を行っ
た。テスト結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】実施例1〜11に、比較例4〜6を対比す
れば明らかなように、本発明の可逆感熱記録材料は、没
食子酸、アスコルビン酸などの顕色剤を用いた従来の染
料型可逆感熱記録材料や高分子タイプの可逆感熱記録材
料よりもはるかに発色部と消色部のコントラストが高
い。又、実施例1〜11と比較例1〜3とを対比すれば
明らかなように、本発明の可逆感熱記録材料は、炭素原
子数が11以上の長鎖アルキル基を有するスルホニル
(チオ)尿素系化合物を顕色剤として用いたときのみ発
色・消色作用を発現することがわかる。
【0074】
【発明の効果】本発明の可逆的熱発色および消色可能な
記録表示材料用顕色剤を含む感熱発色層の発色部と消色
部とは、きわめて優れたコントラストを示し、従って、
本発明の顕色剤および記録表示材料は実用上の価値のき
わめて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る可逆的発色および消色可能な記録
表示材料用顕色剤を含む発色系の発色および消色サイク
ルにおける温度と発色濃度との関係を示すグラフ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 義之 東京都江東区東雲1丁目10番6号 新王子 製紙株式会社中央研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無色または淡色の染料前駆体を可逆的に
    熱発色および消色させる顕色剤であって、一分子中に下
    記一般式(I): 【化1】 (ただしXは、酸素原子または硫黄原子を表す。)で表
    されるスルホニル(チオ)ウレア基を少なくとも一つ有
    し、かつ炭素数11以上の直鎖のアルキル基を少なくと
    も一つ有する、少なくとも1種類の芳香族化合物を含む
    ことを特徴とする、可逆的熱発色および消色が可能な記
    録表示材料用顕色剤。
  2. 【請求項2】 前記顕色剤芳香族化合物が、下記一般式
    (II): 【化2】 (ただし、Xは前記と同じであり、Yは、無置換の芳香
    環基、並びに低級アルキル基、ハロゲン原子、および低
    級アルコキシ基から選ばれた少なくとも一員により置換
    された芳香環基から選ばれた一員を表し、Zは、炭素原
    子数が11以上の直鎖アルキル基、炭素原子数が11以
    上の少なくとも1個の直鎖アルキル基で置換された芳香
    環基、炭素原子数が11以上の少なくとも1個の直鎖ア
    ルキル基で芳香環部が置換されているアラルキル基、お
    よび芳香環部と、この芳香環部に2価の基を介して結合
    されており、かつ炭素原子数が11以上の少なくとも1
    個の直鎖アルキル基とを有する芳香族基から選ばれた一
    員を表し、但し前述のZにより表される前記芳香環基、
    並びに前記アラルキル基および芳香族基中の芳香環部
    は、さらに低級アルキル基、アリ−ル基、ハロゲン原
    子、および低級アルコキシ基から選ばれた少なくとも一
    員により置換されていてもよい。) および下記一般式(III): 【化3】 (ただしXおよびZは、それぞれ上記と同じであり、V
    は、2価の基を表す。)で表される化合物から選ばれ
    る、請求項第1項記載の顕色剤。
  3. 【請求項3】 シ−ト状支持体と、このシ−ト状支持体
    上に形成され、かつ無色または淡色の染料前駆体および
    これを可逆的に熱発色および消色させる顕色剤とを含む
    感熱発色層とを有し、前記顕色剤が、一分子中に下記一
    般式(I): 【化4】 (ただしXは、酸素原子または硫黄原子を表す。)で表
    されるスルホニル(チオ)ウレア基を少なくとも一つ有
    し、かつ炭素数11以上の直鎖のアルキル基を少なくと
    も一つ有する、少なくとも1種類の芳香族化合物を含む
    ことを特徴とする、可逆的熱発色および消色が可能な記
    録表示材料。
  4. 【請求項4】 前記顕色剤芳香族化合物が、下記一般式
    (II): 【化5】 (ただし、Xは前記と同じであり、Yは、無置換の芳香
    環基、並びに低級アルキル基、ハロゲン原子、および低
    級アルコキシ基から選ばれた少なくとも一員により置換
    された芳香環基から選ばれた一員を表し、Zは、炭素原
    子数が11以上の直鎖アルキル基、炭素原子数が11以
    上の少なくとも1個の直鎖アルキル基で置換された芳香
    環基、炭素原子数が11以上の少なくとも1個の直鎖ア
    ルキル基で芳香環部が置換されているアラルキル基、お
    よび芳香環部と、この芳香環部に2価の基を介して結合
    されており、かつ炭素原子数が11以上の少なくとも1
    個の直鎖アルキル基とを有する芳香族基から選ばれた一
    員を表し、但し前述のZにより表される前記芳香環基、
    並びに前記アラルキル基および芳香族基中の芳香環部
    は、さらに低級アルキル基、アリ−ル基、ハロゲン原
    子、および低級アルコキシ基から選ばれた少なくとも一
    員により置換されていてもよい。) および下記一般式(III): 【化6】 (ただしXおよびZは、それぞれ上記と同じであり、V
    は、2価の基を表す。)で表される化合物から選ばれ
    る、請求項第3項記載の記録表示材料。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4に記載の記録表示材料の
    感熱発色層に加熱を施して画像を発色記録し、この記録
    の使用済み後、この感熱発色層に、前記発色加熱温度よ
    りも低い温度の加熱を施して前記発色画像を消色するこ
    とを特徴とする記録表示材料の可逆的発色および消色方
    法。
JP7040401A 1994-09-14 1995-02-28 可逆的熱発色および消色可能な記録表示材料用顕色剤および記録表示材料 Pending JPH08132737A (ja)

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DE69506814T DE69506814T2 (de) 1994-09-14 1995-09-13 Wärmeempfindliches Mittel zum reversiblen Entwickeln und Verschwinden einer Farbe
US08/527,810 US5702850A (en) 1994-09-14 1995-09-13 Thermosensitive reversible color-developing and disappearing agent

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997037857A1 (fr) * 1996-04-04 1997-10-16 Oji Paper Co., Ltd. Support reversible d'enregistrement thermique
JP2019527222A (ja) * 2016-07-18 2019-09-26 パピエルファブリーク・アウグスト・ケーラー・エスエー 感熱記録材料

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