JP2001311706A - X線回折装置 - Google Patents

X線回折装置

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JP2001311706A
JP2001311706A JP2000129236A JP2000129236A JP2001311706A JP 2001311706 A JP2001311706 A JP 2001311706A JP 2000129236 A JP2000129236 A JP 2000129236A JP 2000129236 A JP2000129236 A JP 2000129236A JP 2001311706 A JP2001311706 A JP 2001311706A
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Akihide Doshiyou
明秀 土性
Osamu Akutsu
修 阿久津
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Rigaku Denki Co Ltd
Rigaku Corp
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Rigaku Denki Co Ltd
Rigaku Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微小試料に関してきわめて簡単な操作によっ
て応力測定を行うことができ、しかも構造がきわめて簡
単であるX線回折装置を提供する。 【解決手段】 入射X線光軸X0と交わるω軸線を中心
として回転するω回転台7によって、試料Sを取り付け
たφ回転系4,6を支持し、試料Sからの回折X線を2
次元X線検出器3によって検出する。試料Sは格子面法
線が集まる角度としてα及びβの2つの異なった角度を
有する物質である。φ軸線はω軸線に対して角度γで傾
斜し、φ回転系4,6はφ軸線を中心とする第1角度位
置とそこから180°離れた第2角度位置との間で回転
でき、φ回転系が第1角度位置にあるときには試料面法
線と格子面法線との成す角度ψがψ=αとなり、そして
第2角度位置に移動するとψ=βとなるように、角度γ
が設定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物体に生じる内部
応力を測定するのに好適なX線回折装置に関する。
【0002】
【従来の技術】金属材料では、一般に、外力により弾性
限界内の応力が生じると、その応力の大きさに比例して
結晶の格子面間隔、いわゆるd値が変化する。格子面間
隔が変化するということはX線回折条件が変化するとい
うことであり、逆に言えば、金属材料に関してX線の回
折角度の変化を調べれば、その金属材料の内部に生じて
いる応力を知ることができるということである。
【0003】このことを具体的に考えると、図7に示す
ように、試料面法線Nと格子面法線N’の成す角度ψ
(プサイ)を変えたときのX線回折角度2θの変化を測
定することにより、次式によって応力σが求まる。 σ=−{E/2(1+ν)}ラcotθ0ラ(π/180)ラ{ト(2θ)/ト(sin2ψ)} =K×{ト(2θ)/ト(sin2ψ)} 但し、 σ:応力(MPa)、E:ヤング率(MPa)、ν:ポ
アソン比、 θ0:標準ブラッグ角(Deg)、 K:材料及び回折角度によって決まる応力定数 である。
【0004】すなわち、格子面角度ψ及びX線回折角度
2θを測定によって求めて図8のような(2θ−sin
2ψ)線図上に直線を書き、それらの直線の傾きを例え
ば最小二乗法を用いて求め、求められた勾配に上記
“K”を乗ずれば、応力が求められる。
【0005】ところで、X線を用いて材料の応力を求め
る方法として、並傾法及び側傾法の2つの方法が知られ
ている。並傾法は、図9(a)に示すように格子面角度
ψの設定面と2θ(回折角)走査面とが同一面内にある
光学系を用いた方法である。一方、側傾法は、図9
(b)に示すように2θ走査面が格子面角度ψの設定面
と直交している光学系を用いた方法である。
【0006】なお、図9で用いた符号を説明すると次の
通りである、 N :試料面法線 N’ :格子面法線 O :測定点 A−A’:応力測定方向 R0 :入射X線 R1 :回折X線 η=(180−2θ)/2。
【0007】側傾法は一般的に歯車等の凹部でも格子面
角度ψを大きく取れ、吸収補正が要らないという利点が
ある。これらの並傾法及び側傾法は、試料の形状や測定
方向に応じていずれかが選択される。いずれの光学系で
も、セッティングエラーの影響を少なくするため、入射
X線としては平行X線ビームが用いられる。また、回折
X線の測定には、入射X線角度固定でX線カウンタだけ
走査させる方法、いわゆる入射X線角度固定法すなわち
ψ0固定法と、格子面法線N’に対して入射X線とカウ
ンタとが対称にθ走査をする方法、いわゆる格子面法線
一定法すなわちψ固定法とがある。
【0008】入射X線角度固定法(ψ0固定法)の場
合、結晶粒が粗いとプロファイルが崩れ、ピーク位置が
正確に求まらない場合がある。このときは入射X線を例
えば±5°程度揺動させると300μm位までの結晶粒
でも測定できる。一方、格子面法線一定法(ψ固定法)
の場合には、常に同一結晶群からの回折強度を測定する
ことになるので、結晶粒が粗い場合や集合組織がある場
合でもプロファイルの崩れが少なく、ピーク位置の正確
な測定ができる。
【0009】図9(a)に示す並傾法や図9(b)に示
す側傾法に従ったX線応力測定を行う装置は、従来、測
定対象である試料が比較的大きな形状のものに限られて
いた。しかしながら、最近では、微小試料又は試料の微
小部(以下、これらを総称して微小試料ということにす
る)に関する応力測定が要求されるようになってきた。
例えば、半導体基板上のIC(Integrated Circuit)回
路に含まれるCuやAlから成る細い配線パターンの内
部応力を測定することが要求されるようになってきた。
【0010】ところで、従来、微小試料に関する結晶構
造等を分析するためのX線装置として微小部X線回折装
置が知られている。この微小部X線回折装置について簡
単に説明すれば次の通りである。
【0011】X線測定において、多数の結晶粒から成る
試料すなわち多結晶試料にビーム径の大きいX線を照射
する場合を考えると、その場合にはX線照射領域すなわ
ち照射野の中に多数の結晶粒が存在することになるの
で、回折条件を満足する結晶粒の数も多くなり、さらに
所定位置に配置したX線検出器へ回折X線を向かわせる
ことのできる結晶粒も多数存在することになる。よって
その場合には、一定位置に置いたX線検出器によって回
折X線を検出できる。
【0012】ところが場合によっては、微小試料や、多
結晶試料の微小領域例えば100μm以下の領域につい
ての回折X線情報を知りたいということがある。このよ
うな場合には、X線照射野が狭くなり、その中に含まれ
る結晶粒の数が少なくなるので、いずれかの結晶粒でX
線の回折が生じる場合でも、一定の位置に配置したX線
検出器ではその回折X線を検出できないという事態が大
きな頻度で発生する。
【0013】また、X線照射野中の結晶の数が1個にな
る場合もあり、この場合は正に単結晶状態であり、回折
X線は特定の回折角度だけで発生する。単結晶状態の場
合も含めてX線照射野中に存在する結晶粒が少ない場合
には、試料を揺動させないと回折X線を観測することが
できない。
【0014】微小部X線回折装置は、試料の微小部に対
するX線回折測定を可能とするX線回折装置であって、
従来は、X線の照射点で交差する少なくとも2つの軸線
(通常は、χ(カイ)軸線及びφ(ファイ)軸線と呼ぶ
ことが多い)を中心としてそれぞれ独自に回転する回転
系を設け、それらの回転系によって試料を支持し、試料
の微小部にX線を照射する間、それらの回転系によって
試料を直交2軸線のまわりに独自に回転させる。
【0015】この回転により、入射X線ビームに対する
結晶粒の結晶格子面の方向分布を無秩序化でき、その結
果、試料のX線照射領域中に少数の結晶粒しか存在しな
い場合でも、それらの結晶粒で回折するX線を一定位置
に配置したX線検出器によって漏れなく検出できるよう
にする。
【0016】このような従来の微小部X線回折装置は、
例えば図10に示すように構成できる。この図では、試
料Sに入射するX線R0に一致させてχ軸線をとり、そ
のχ軸線上にχ回転装置101を配置する。このχ回転
装置101はχ軸線を中心としてχアーム102を回転
駆動する。χアーム102はω回転装置103を支持
し、そのω回転装置103はω軸線を中心としてωアー
ム104を回転駆動する。ω軸線はχ軸線すなわちX線
光軸X0に直交する軸線である。
【0017】ωアーム104はφ回転装置106を支持
し、そのφ回転装置106はφ軸線を中心として試料S
を回転駆動すなわち面内回転駆動する。φ軸線は、X線
光軸X0を含むと共にω軸線に直交する面に含まれ、さ
らにω軸線とχ軸線の交点を通る軸線である。試料S
は、χ軸線、ω軸線及びφ軸線の各軸線の交点に配置さ
れることにより、X線R0の照射位置に配置される。
【0018】試料Sから適宜の距離だけ離れた位置に
は、X線検出器としての湾曲PSPC(Position Sensi
tive Proportional Counter:位置敏感型比例計数管)
107が配置される。このPSPC107は、PC(Pr
oportional Counter:比例計数管)の芯線の両端に生じ
るパルスの時間差を検出することにより、PCの芯線方
向すなわち直線方向に位置分解能を持たせたものであ
る。図10の場合は、ω軸線と直行する面内で直線方向
の位置分解能を持たせてあり、これにより、その直線方
向に沿って異なる回折角度のX線を同時に検出できる。
【0019】この微小部X線回折装置では、試料Sをχ
軸線及びφ軸線のそれぞれを中心として独立して回転さ
せることにより、X線R0の照射点に試料Sの任意の微
小部分を持ち運ぶことができ、これにより、試料Sから
の回折X線R1を漏れなくPSPC107によって検出
できる。ω軸線を中心とする試料Sの回転は、試料Sへ
入射するX線の入射角度を調節するために行われるもの
であり、その入射角度が所定値、例えば20°〜30°
程度に設定された後は、そのω軸線まわりの試料Sの位
置は固定される。
【0020】なお、図10の装置では、χ軸線をX線光
軸X0に一致するように設定し、さらにχ軸回転系の上
にω回転系を載せる構造とした。しかしながら、従来の
微小部X線回折装置はそのような構造に限られず、図1
1に示すように、ω軸回転系の上にχ軸回転系を載せる
ことにより、χ軸線が必ずしもX線光軸X0に一致しな
い構造とすることもできる。
【0021】IC回路に含まれるCuやAlから成る細
い配線パターン等といった微小部に関する内部応力を測
定しようとする場合、従来は、図10や図11に示した
微小部X線回折装置を用い、χ軸線まわりの角度調整に
よって図9(a)や図9(b)における格子面角度ψを
調整しながら測定を行っていた。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、微小部
X線回折装置を用いた上記従来の応力測定方法において
は、ω軸線、φ軸線及びχ軸線といった3軸線まわりの
角度調整が必要となって、精度を出すことが非常に難し
かった。また、応力測定のために3軸回転系を備えた微
小部X線回折装置を使うということは設備が過剰であっ
た。
【0023】本発明者は、Cu、Al等といった物質の
特定の格子面法線は特定の角度に集まる性質を有するこ
とに着目し、このような物質に関してX線応力測定を行
う場合には、わざわざ3軸回転系を備えたX線回折装置
を用いることなく、少なくとも2軸線まわりの回転系が
あれば十分に応力測定を行うことができることを知見し
た。
【0024】本発明は、このような知見に基づいて成さ
れたものであって、微小試料に関してきわめて簡単な操
作によって応力測定を行うことができ、しかも構造がき
わめて簡単であるX線回折装置を提供することを目的と
する。
【0025】
【課題を解決するための手段】(1) 本発明は、上記
の目的を達成するために成されたものであって、試料へ
入射するX線の光軸である入射X線光軸と交わるω軸線
を中心として回転するω回転系と、該ω回転系に載って
いて前記入射X線光軸と前記ω軸線との交点を通るφ軸
線を中心として回転するφ回転系と、前記試料からの回
折X線を測定するX線検出手段とを有し、前記φ軸線は
前記ω軸線に対して角度γで傾斜し、前記φ回転系は前
記φ軸線を中心とする第1角度位置とその第1角度位置
に対して180°離れた第2角度位置との間で回転で
き、前記φ回転系は、前記第1角度位置にあるときに前
記試料の試料面法線と該試料の格子面法線との成す角度
ψがψ=αとなるように、そして前記第2角度位置にあ
るときにψ=βとなるように前記試料を支持し、前記角
度α及び前記角度βは前記試料の格子面法線が集まる2
つの異なった角度であることを特徴とする。
【0026】一般に、物質はその内部に1つ又は複数の
結晶を有し、それらの結晶の格子面は物質の種類に従っ
て特定の方位を持っている。例えば、Cu、Al等にX
線を照射すると図12に示すような極図形が求められ
る。この極図形から分かることは、特定の格子面の格子
面法線は特定の角度に集まるということであり、図12
の場合には、格子面法線がα=0°及びβ=70.5°
の2方向に集まることが分かる。
【0027】今、図9(a)及び図9(b)に示す応力
測定方法を考えるとき、試料面法線Nと格子面法線N’
との成す格子面角度ψが最低で2つ特定されれば、図8
に示した(2θ−sin2ψ)線図において直線を引く
ことが可能であり、その直線の傾きを求めて、その傾き
から応力を求めることができる。また、図12から分か
るような、物質に関する格子面法線の集まる角度、すな
わち格子面法線N’の方向α及びβは物質が分かれば必
然的に特定することができる。
【0028】従って、試料に関してψ=αとψ=βの2
つの角度位置が簡単に選択できる機構を構築しておい
て、それらの個々に対して試料からの回折X線の回折角
度を測定すれば、この試料の内部に発生している応力を
演算によって求めることができる。本発明に係るX線回
折装置は、このような応力測定処理を簡単に実現できる
ものである。
【0029】本発明のX線回折装置によれば、試料を支
持したφ回転系を180°の角度間隔の第1角度位置及
び第2角度位置の2つの角度位置で簡単に回転移動させ
ることができるので、例えばX線を用いた応力測定にお
ける格子面角度ψに関して、ψ=αとψ=βの2つのψ
位置をきわめて簡単に設定できる。そして、その測定に
際して必要となる回転系は、格子面角度ψを変化させる
ためのψ回転系と、試料に対するX線入射角度を調節す
るためのω回転系という2つの回転系だけで済むので、
X線光学系の初期設定が非常に簡単である。
【0030】このことに関し、図10及び図11に示す
微小部X線回折装置のような、3つの回転系を用いる装
置を考えると、そのX線回折装置は3つの回転軸を持た
なければならないので構造が複雑である。しかも、それ
らの回転系の回転軸線の全てを試料のX線回折面上の1
点で正確に交差させることがきわめて難しく、装置のX
線光学的な位置調節もきわめて難しいという問題があっ
た。
【0031】これに対し、本発明に係るX線回折装置に
よれば、φ回転系の角度位置を第1角度位置と第2角度
位置との間で変化させるだけで2つの異なった格子面角
度α及びβがきわめて簡単に設定でき、よって、X線を
用いた応力測定をきわめて簡単な操作によって行うこと
ができる。
【0032】(2) 上記構成のX線回折装置におい
て、前記X線検出手段は、前記試料から異なった回折角
度で生じる回折X線を検出できる検出範囲を持った1次
元X線検出器又は2次元X線検出器であることが望まし
い。
【0033】ここで、「1次元X線検出器」とは、X線
を直線的な範囲内で取り込むことができ、そのX線取込
み位置の直線上の位置情報も検知することができるX線
検出器のことであり、例えばPSPC(Position Sensi
tive Proportional Counter:位置敏感型比例計数管)
を用いたX線検出器が考えられる。PSPCは、PC
(Proportional Counter:比例計数管)の芯線の両端に
生じるパルス信号の時間差を検出することにより、PC
の芯線方向すなわち直線方向に位置分解能を持たせたも
のである。
【0034】また、「2次元X線検出器」とは、X線を
平面的に取り込むことができ、そのX線取込み位置の平
面内の位置情報も検知することができるX線検出器であ
り、例えばX線フィルム、輝尽性蛍光体等が考えられ
る。X線フィルムは、プラスチックフィルム、例えば厚
さの薄い可撓性を有するプラスチックフィルムの片側表
面又は両側表面にハロゲン化銀を主成分とする乳剤を膜
状に設けて成る平面状のX線検出要素である。X線が乳
剤中に入射すると、ハロゲン化銀をイオン化して現像核
を形成する。現像により前記現像核から銀粒子が遊離し
て黒化し、この黒化がどこに現れるかを測定することに
より、2次元的なX線分布を検出する。
【0035】輝尽性蛍光体は、エネルギ蓄積型の放射線
検出器であり、輝尽性蛍光物質、例えばBaFBr:E
2+の微結晶を可撓性フィルム、平板状フィルム、その
他の部材の表面に塗布等によって成膜することによって
形成されたものである。この輝尽性蛍光体は、X線等を
エネルギの形で蓄積することができ、さらにレーザ光等
といった輝尽励起光の照射によりそのエネルギを外部に
光として放出できる性質を有する物体である。
【0036】つまり、輝尽性蛍光体にX線等を照射する
と、その照射された部分に対応する輝尽性蛍光体の内部
にエネルギが潜像として蓄積され、さらにその輝尽性蛍
光体にレーザ光等といった輝尽励起光を照射すると上記
潜像エネルギが光となって外部へ放出される。この放出
された光を光電管等によって検出することにより、潜像
の形成に寄与したX線の回折角度及び強度を測定でき
る。この輝尽性蛍光体は従来のX線フィルムに対して1
0〜60倍の感度を有し、さらに105〜106に及ぶ広
いダイナミックレンジを有する。
【0037】X線検出器として1次元X線検出器又は2
次元X線検出器を用いた本発明に係るX線回折装置によ
れば、試料からの回折X線の回折角度2θ方向に関する
情報をいっぺんに検出できるので非常に有利である。ま
た、X線検出器を回折角度2θ方向へ走査移動させるた
めの駆動系が不要であるので、構造が簡単になる。
【0038】(3) 上記構成より成るX線回折装置に
おいては、X線を狭い断面径に絞るコリメータを前記入
射X線光軸上に設けることが望ましい。これにより、微
小試料だけ又は試料の微小部だけにX線を照射でき、該
微小領域例えば、IC回路上の微細配線パターン等から
の応力情報を正確に測定できる。
【0039】(4) 上記構成より成るX線回折装置に
おいて、前記φ軸線と前記ω軸線との成す角度γ、前記
φ回転系が前記第1角度位置にあるときの格子面角度ψ
である角度α及び前記φ回転系が前記第1角度位置に対
して180°離れた第2角度位置にあるときの格子面角
度ψである角度βの各値は、測定対象である試料の性質
に応じて適宜に設定される。
【0040】例えば、測定対象がCu,Alである場合
には、これらの(111)面の格子面法線は0°と7
0.5°の所に集まるので、α=0°及びβ=70.5
°に設定する。また、前記φ軸線と前記ω軸線との成す
角度γに関しては、前記φ回転系が前記第1角度位置に
あるときにψ=α=0°となるように、そして前記第2
角度位置にあるときにψ=β=70.5°となるような
値、具体的にはγ=54.75°に設定する。
【0041】こうすれば、φ回転系を第1角度位置に置
いてX線回折測定を行うことによりψ=0°におけるX
線回折角度2θを測定でき、φ回転系を180°回転さ
せて第2角度位置に置いてX線回折測定を行うことによ
りψ=70.5°におけるX線回折角度2θを測定でき
る。これにより、Cu,Al等に関する内部応力をきわ
めて簡単に測定できる。もちろん、α,β,γの値を適
宜に設定することにより、希望する任意の物質に対して
本発明のX線回折装置を適用することが可能となる。
【0042】(5) 上記構成より成る本発明のX線回
折装置において、前記φ軸回転系は適宜の動力伝達系を
介して手動によって動かしても良いし、あるいは、φ軸
回転系に駆動装置を連結し、この駆動装置の動作を制御
手段によって制御することによってφ軸回転系を自動制
御しても良い。制御手段を用いた自動制御によれば、オ
ペレータによる操作がより一層簡単になる。
【0043】(6) 上記構成より成る本発明のX線回
折装置に関しては、前記X線検出手段の出力信号に基づ
いて演算を行う演算手段を設けることができ、この演算
手段により次の処理、すなわち、前記第1角度位置にお
ける前記試料からの回折X線の回折角度及び前記第2角
度位置における前記試料からの回折X線の回折角度に基
づいて、前記試料に生じている応力を演算する処理を行
うことが望ましい。これにより、簡単な構造の装置によ
って簡単な操作によって試料の応力測定を行うことがで
きる。
【0044】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)図1は本発明に
係るX線回折装置の一実施形態を示している。このX線
回折装置は、X線を放射するX線源としてのX線焦点F
と、そのX線焦点Fから放射されるX線から断面径の小
さい平行X線ビームを取り出すX線照射野調整手段とし
てのコリメータ1と、測定対象である試料SをX線焦点
F及びコリメータ1の中心を通るX線光軸X0上に支持
する試料支持装置2と、そして、試料Sの周囲に配設さ
れた2次元X線検出手段としての円筒状の輝尽性蛍光体
3とを有する。
【0045】本実施形態では、試料Sとして、例えば、
適宜のパターニング処理によって半導体基板上に形成さ
れた微細な配線パターンであって、Cu又はAlによっ
て形成された配線パターンを考え、その配線パターンの
内部応力を測定するために本実施形態に係るX線回折装
置を用いるものとする。
【0046】なお、図1では、上記の各X線光学要素を
模式的に示しており、それらの相対的な大きさは実際の
ものとは異なっていることもある。また、実際のX線光
学系においては、上記のX線光学要素以外にスリット、
モノクロメータ等といったその他のX線光学要素が必要
に応じて用いられることがあるが、本実施形態ではそれ
らの付帯的な要素の図示は省略してある。
【0047】X線焦点Fは、周知のように、発熱して熱
電子を放出するフィラメント(図示せず)とそれに対向
して配置されるターゲット(図示せず)とを含んだX線
発生構造において、ターゲットにおける電子照射面とし
て形成される。そして、そのX線焦点Fから、例えばポ
イント状のX線が取り出される。
【0048】コリメータ1は、X線焦点Fから放射され
たX線が所定範囲のX線照射野で試料を照射するように
そのX線を調整するX線照射野調整手段として作用す
る。本実施形態のコリメータ1は、X線取込み側に径の
大きなピンホールを有し、X線取出し側に径の小さなピ
ンホールを有するダブルピンホールコリメータによって
構成されており、それら一対のピンホールによって試料
SにおけるX線照射野を規定する。コリメータ1の試料
S側のピンホールは、例えば、直径1mm以下に形成さ
れ、試料SにおけるX線照射野はそのピンホールとほぼ
同じ大きさの面積に形成される。
【0049】試料支持装置2は、試料Sを支持する試料
台4と、その試料台4の中心を通るφ軸線を中心として
該試料台4を回転させるφ回転駆動装置6と、φ回転駆
動装置6を支持するω回転台7と、試料Sを通るω軸線
を中心としてω回転台7を回転させるω回転駆動装置8
とを有する。
【0050】φ回転駆動装置6及びω回転駆動装置8の
動作は、例えばCPU(Central Processing Unit)を
含んで構成された制御装置9によって制御される。この
制御装置9の入出力端子にはキーボードその他の操作入
力装置10が接続され、この操作入力装置10を操作す
ることにより、ω回転駆動装置8及びφ回転駆動装置6
の動作を制御できる。
【0051】φ回転駆動装置6は、例えば、回転角度が
制御可能なモータを用いて構成でき、その場合にはモー
タの出力軸に試料回転台4が直接に又はギヤその他の伝
達機構を介して連結される。ω回転駆動装置8は、例え
ば、モータを動力源としてウオームとウオームホイルか
ら成る伝達機構を介してω回転台7へ動力を伝達する構
造によって構成できる。
【0052】ω軸線は、例えば、垂直軸線として設定さ
れる。また、φ軸線は試料SのX線入射点においてω軸
線と交わり、さらに、φ軸線とω軸線とは互いに角度γ
=54.75°だけ傾けて設けられる。ここで、γ=5
4.75°に設定したのは、測定対象が試料S内のC
u、Al等から成る配線パターンであり、しかもCu、
Al等といった物質はα=0°とβ=70.5°の角度
の所に結晶の格子面法線が集まるという性質を持ってい
るからである。
【0053】ω回転駆動装置8によってω回転台7を適
宜の角度回転させると、試料Sがω軸線を中心として回
転するので、試料Sへ入射するX線の試料面法線N’に
対する角度ηを調節できる。
【0054】試料Sは、図2に示すように、試料台4が
φ軸線まわりの角度0°の位置である第1角度位置P1
に置かれているときに、その試料平面がω軸線と一致す
るように試料台4に取り付けられる。取り付け方法とし
ては、接着その他の任意の方法を採用できる。この第1
角度位置P1において、試料Sの試料面法線N1と格子
面法線N’は入射X線Rを含む同一面内に含まれる。つ
まり、この場合には、試料面法線N1と格子面法線N’
の成す角度、すなわち格子面角度ψは ψ=α=0° に設定される。
【0055】また、試料台4の中心軸線であるφ軸線は
ω軸線に対してγ=54.75°で傾斜しているので、
試料台4が上記第1角度位置P1から180°回転した
角度位置である第2角度位置P2に置かれると、その試
料台4に取り付けられた試料Sは幾何学的な条件に従っ
て傾斜する。具体的には、その試料面法線N2が格子面
法線N’に対して ψ=β=(180−2γ)°=70.5° となるように試料Sが傾斜する。
【0056】次に、図1の輝尽性蛍光体3は、X線を平
面領域内で受光してその平面領域内の各点においてX線
を検出できる構造のX線検出手段であり、より具体的に
は、エネルギ蓄積型の放射線検出器であって、輝尽性蛍
光物質、例えばBaFBr:Er2+の微結晶を可撓性フ
ィルム、平板状フィルム、その他の部材の表面に塗布等
によって成膜したものである。この輝尽性蛍光体3は、
X線等をエネルギの形で蓄積することができ、さらにレ
ーザ光等といった輝尽励起光の照射によりそのエネルギ
を外部へ光として放出できる性質を有する物質である。
【0057】つまり、輝尽性蛍光体にX線等を照射する
と、その照射された部分に対応する輝尽性蛍光体の内部
にエネルギが潜像として蓄積され、さらにその輝尽性蛍
光体にレーザ光等といった輝尽励起光を照射すると、上
記潜像エネルギが光となって外部へ放射される。この放
出された光を光電管等によって検出することにより、潜
像の形成に寄与したX線の回折角度及び強度を測定でき
る。この輝尽性蛍光体イは従来のX線フィルムに対して
10〜60倍の感度を有し、さらに105〜106に及ぶ
広いダイナミックレンジを有する。
【0058】なお、図1において輝尽性蛍光体3によっ
て検出された測定データは、例えば図3に示すような読
取り装置によって読み取ることができる。ここに示す読
取り装置は、輝尽性蛍光体3を平面状に支持する支持台
11と、輝尽励起光としてのレーザ光を放出するレーザ
光源14と、レーザ光源14から放出されるレーザ光を
反射する光反射部材13aと、支持台11に対向して配
設されていて光反射部材13aからの光を受け取る走査
光学系12と、そして光反射部材13bからの光を受け
取るレーザ光検出器16とを有する。レーザ光検出器1
6は、例えば光電変換器を含んで構成される。
【0059】走査光学系12は走査駆動装置17によっ
て駆動されて輝尽性蛍光体3の表面をX−Yの直交2方
向すなわち平面方向へ走査する。走査駆動装置17は任
意の平行移動機構を用いて構成できる。レーザ光検出器
16は、光を受け取ってその光強度に対応した信号を出
力する。そして、レーザ光検出器16の出力端子にはX
線強度演算回路18が接続される。
【0060】演算装置26は、CPU(Central Proces
sing Unit)28及びメモリ29を有する。メモリ29
は、CPU28が使用するプログラムを格納するメモリ
領域や、CPU28のためのワークエリアやテンポラリ
ファイル等として作用するメモリ領域等を含むものであ
り、具体的には半導体メモリ、ハードディスク、その他
各種の記憶媒体によって形成できる。CPU28は、メ
モリ29内に記憶されたプログラムに従って、入出力イ
ンターフェース31に接続された各種装置を制御するた
めの演算を行う。
【0061】上記のX線強度演算回路18及び走査駆動
装置17は、それぞれ、入出力インターフェース31を
通してCPU28に接続される。また、入出力インター
フェース31には、情報を映像として表示するためのC
RT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、あるいはその
他のディスプレイ32及び情報を紙等といった印材上に
プリントするためのプリンタ33が接続される。
【0062】図1において測定を終了した輝尽性蛍光体
3を図3の支持台11に装着し、走査光学系12をX−
Y平面内で走査移動させながらレーザ光を照射して読み
取りを行えば、CPU28の演算により、回折X線像の
X−Y平面内での座標位置を求めることができる。
【0063】CPU28は、そのようにして求められた
試料Sに関する回折X線像の強度を1つのデバイ環ご
と、すなわち等回折角度線ごとに合計、すなわち積算、
例えば積分することにより、各回折角度(2θ)ごとの
X線強度を演算することができる。
【0064】以下、上記構成より成るX線回折装置の動
作について説明する。まず、図1において、Cu、Al
等から成る配線パターンが形成された試料Sを試料台4
に取り付ける。次に、試料台4の角度位置を図2に示す
第1角度位置P1にセットして試料Sの試料面法線N1
と格子面法線N’とを一致、すなわちψ=α=0°にセ
ットする。
【0065】次に、必要に応じて図1のω回転台7をω
軸線を中心として回転させて、試料Sへ入射するX線が
格子面法線N7’に対して成す角度、すなわちX線入射
角度ηを試料Sの配線パターンを構成する物質に対して
好適な値に設定する。次に、X線焦点FからX線を放射
し、そのX線をコリメータ1に通すことにより試料S内
の微細幅の配線パターン上にX線を照射する。これによ
り、図9(b)においてψ=0°の状態のときのX線光
学配置が設定される。
【0066】このとき、X線照射野に存在する配線パタ
ーンの結晶格子面と入射X線との間でブラッグの回折条
件が満足されると、その格子面でX線が回折し、この回
折X線が図1の蓄積性蛍光体3によって検出される。こ
の結果、図4(a)に示すように、回折X線が出た回折
角度2θに対応する蓄積性蛍光体3の位置に回折X線像
が形成される。この回折X線像の回折角度2θを図3に
示した読取り装置によって読み取り、例えば2θ=13
5.910°が求められる。
【0067】次に、図1においてφ回転駆動装置6を作
動させて試料台4をφ軸線を中心として180°回転さ
せて、試料Sを図2に示す第2角度位置P2にセットす
る。これにより、試料Sの試料面法線N2は格子面法線
N’に対してψ=β=70.5°になる位置まで回転し
てその位置に停止する。この状態で、図1のX線焦点F
からX線を放射して試料S内の微細幅の配線パターン上
にX線を照射する。配線パターン内に内部応力が生じて
いれば、このときに蓄積性蛍光体3に得られる回折X線
像はψ=0°の第1角度位置に対応して求められた図4
(a)の回折図形とは異なって、例えば図4(b)に示
すようなものとなる。この回折X線像の回折角度2θを
図3に示した読取り装置によって読み取り、例えば2θ
=135.458°が求められる。
【0068】以上のようにして、試料Sに関する第1角
度位置P1(ψ=0°)における回折角度2θ=13
5.910°及び第2角度位置P2(ψ=70.5°)
における回折角度2θ=135.458°が求められる
と、図5に示す(2θ−Sin 2ψ)線図において2つ
の点がプロットでき、さらにそれらの点をつなぐ直線L
を求めることができる。そして、その直線Lの傾きを求
めることにより、試料S内の配線パターンに生じている
内部応力を演算によって求めることができる。具体的に
は、図5において直線Lの傾きM=−0.509を演算
し、K(定数)=−327.97とすれば、 σ=K×M=−327.97×−0.509=167M
pa が求められる。
【0069】以上に説明した本実施形態のX線回折装置
によれば、格子面法線が集まる角度としてα=0°及び
β=70.5°の2つの角度を有するCu又はAlを測
定対象として、試料台4の角度位置を第1角度位置P1
と第2角度位置P2との間で変化させるだけで応力測定
のためのψ角度として2つの異なった角度α=0°及び
β=70.5°をきわめて簡単に設定できる。よって、
X線を用いた応力測定をきわめて簡単な操作によって行
うことができる。
【0070】しかも、測定のために必要となる回転系は
ω回転系7,8及びφ回転系4,6の2つだけで済むの
で、3軸回転系のそれぞれの回転軸線を1つの点で交差
させなければならない3軸光学系に比べて、構造が非常
に簡単になり、さらに光軸調整作業も非常に簡単にな
る。
【0071】(第2実施形態)図6は、本発明に係るX
線回折装置の他の実施形態を示している。このX線回折
装置が図1に示したX線回折装置と異なる点は、X線検
出手段として、2次元X線検出装置である輝尽性蛍光体
3に代えて、PSPC(Position Sensitive Proportio
nal Counter:位置敏感型比例計数管)41を含んだ1
次元X線検出装置を用いたことである。なお、図6にお
いて図1と同じ要素は同じ符号を用いて示すことにし
て、それらの要素についての説明は省略するものとす
る。
【0072】PSPC41は、周知の1次元検出器であ
り、例えば、ケーシング42の内部に信号線43及びX
線から電荷を誘導するための適宜の構造を格納すること
によって構成される。X線から電荷を誘導する構造とし
ては、例えば、アノード線及びカソード線を信号線43
に平行に配設する構造が考えられる。ケーシング42の
うち試料Sに対向する面には、X線の回折角度(2θ)
方向の広い範囲からX線を取り込むための細長い開口4
4が、例えば、ω軸線に直交する平面内に設けられる。
【0073】PSPC41に取り込まれたX線の強度及
び回折角度を検知するためのX線演算回路46は、信号
線43の両端からの信号を入力する位置演算回路47
と、位置演算回路47の出力信号をピーク波形の波高に
変換する位置/波高変換回路48と、そして、位置/波
高変換回路48の出力信号に基づいて回折角度(2θ)
に関するX線強度分布を求めるMCA(Multi-Channel
Height Analyzer:多重波高分析器)49を含んで構成
される。MCA49の出力端子には、必要に応じて、演
算結果を映像として表示するディスプレイ51及び演算
結果を紙等といった印材上にプリントするプリンタ52
が接続される。
【0074】開口44の適宜の位置を通してPSPC4
1の内部にX線が取り込まれると、そのX線によって電
荷が誘導され、その電荷に応じたパルス信号が信号線4
3の両端に現れる。これらのパルス信号は回折角度(2
θ)方向の距離に比例した時間差をもって出力されるよ
うになっており、位置演算回路47はその時間差を測定
して、その時間差に応じた信号を出力する。この出力信
号は回折角度(2θ)方向におけるX線入射位置を示し
ている。
【0075】位置/波高変換回路48は、位置演算回路
47によって演算された2θ角度位置情報に対応した波
高値のパルス信号を生成して出力する。MCA49は、
所定幅の測定ウインドウを異なる波高値間で連続的に多
段階にわたって接続することによって構成された多重波
高分析器であり、種々の波高値のパルス信号がそれに入
力されたときに、それらの波高値に対応するウインドウ
を持ったチャンネル内でそのパルス信号をカウントする
ものである。PSPC42に取り込まれたX線の強度が
強ければ、MCA49内の同じチャンネルにカウントさ
れる計数値、すなわち積算値が大きくなる。
【0076】つまり、MCA49を構成する各チャンネ
ルの違いによって回折角度(2θ)を知ることができ、
さらに各チャンネルにカウントされたカウント値によっ
てX線の強度を知ることができる。その結果、MCA4
9に接続されたディスプレイ51又はプリンタ52によ
って、回折角度(2θ)に関するX線強度分布を表示で
きる。
【0077】以上のようなPSPC41を含むX線検出
装置を用いた場合、X線焦点Fから出たX線がコリメー
タ1の働きによって試料Sの特定の微小なX線照射野に
照射されたとき、そのX線を結晶格子面とが回折条件を
満足すれば、試料SでX線が回折し、その回折X線がP
SPC41の開口44へ向かうものであれば、その回折
X線はPSPC41の内部へ取り込まれる。そして、当
該回折X線の回折角度に対応した位置において信号線4
3に電荷が誘導され、その位置からの距離に応じた時間
差をもって信号線43の両端にパルス信号が出力され、
それらの出力信号に基づいて位置演算回路47によって
回折角度(2θ)が演算される。
【0078】そして、その演算された回折角度が位置/
波高変換回路48によって特定の波高値を有するパルス
信号に変換され、さらに、MCA49においてその波高
値に対応したチャンネルにカウント値が加算される。こ
れにより、試料SのX線照射野に関する回折X線データ
が測定される。
【0079】本実施形態においても、試料台4をψ=α
=0°の第1角度位置P1(図2参照)に置いた状態で
X線回折測定を行ってPSPC41によってX線回折角
度2θを測定する。次に、図6のφ回転駆動装置6を作
動させて試料台4をφ軸線を中心として180°回転さ
せてψ=β=70.5°の第2角度位置P2(図2参
照)へ移動させてそこに停止させ、この状態で次のX線
回折測定を行ってPSPC41によってX線回折角度2
θを測定する。
【0080】α=0°及びβ=70.5°の2つの角度
は、応力測定の対象である配線パターンを形成するC
u、Al等といった物質の結晶格子面法線が集まる角度
であるので、これらの角度を応力測定のための格子面角
度ψとして選択することにより、X線を用いた応力測定
を確実に実行することができる。
【0081】(その他の実施形態)以上、好ましい実施
形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形
態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明
の範囲内で種々に改変できる。
【0082】例えば、図1の実施形態ではX線検出手段
として2次元X線検出器の一例である蓄積性蛍光体を用
いたが、これに代えて、その他の種類の2次元X線検出
器、例えばX線フィルムを用いることもできる。また、
図6の実施形態ではX線検出手段として1次元X線検出
器の一例であるPSPCを含んだX線検出器を用いた
が、これに代えて、その他の種類の1次元X線検出器を
用いることもできる。
【0083】また、以上の説明では測定対象の物質とし
てCu,Al等のように結晶の格子面法線が集まる角度
として0°と70.5°の2つの角度を有する物質を選
んだので、ω軸線とφ軸線との間の傾斜角度γをγ=5
4.75°に設定したが、格子面法線の集まる角度α及
びβとして上記以外の角度を有する物質を測定対象とす
る場合には、γの値はそれらのα及びβの値に応じて変
化する。
【0084】
【発明の効果】本発明に係るX線回折装置によれば、格
子面法線が集まる角度としてα及びβの2つの角度を有
する物質を測定対象とするとき、φ回転系の角度位置を
第1角度位置と第2角度位置との間で変化させるだけで
応力測定のためのψ角度として2つの異なった角度α及
びβをきわめて簡単に設定できる。よって、X線を用い
た応力測定をきわめて簡単な操作によって行うことがで
きる。
【0085】しかも、測定のために必要となる回転系は
ω回転系及びφ回転系の2つだけで済むので、3軸回転
系のそれぞれの回転軸線を1つの点で交差させなければ
ならない3軸光学系に比べて、構造が非常に簡単にな
り、さらに光軸調整作業も非常に簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るX線回折装置の一実施形態を示す
斜視図である。
【図2】図1に示す装置を用いて行われる応力測定の手
順を模式的に示す図である。
【図3】図1に示すX線回折装置に付随して用いられる
データの読取り装置の一例を示す斜視図である。
【図4】図1に示すX線回折装置を用いて行われた測定
の結果の一例を示す図である。
【図5】図4に示す測定結果に対応して行われた演算処
理の結果を示すグラフである。
【図6】本発明に係るX線回折装置の他の実施形態を示
す斜視図である。
【図7】X線を用いて行われる応力測定の原理を説明す
るための図である。
【図8】X線を用いて行われる応力測定の原理を図7に
関連して説明するための図である。
【図9】X線を用いて応力測定を行う際の一般的なX線
光学配置を模式的に示す図である。
【図10】微小試料に関してX線回折測定を行う際に用
いられる微小部X線回折装置の一例を示す斜視図であ
る。
【図11】微小部X線回折装置の他の一例を示す斜視図
である。
【図12】測定対象となる物質に関する極図形の一例を
示す図である。
【符号の説明】
1 コリメータ 2 試料支持装置 3 輝尽性蛍光体(X線検出手段) 4 試料台(φ回転系) 6 φ回転駆動装置(φ回転系) 7 ω回転台(ω回転系) 8 ω回転駆動装置(ω回転系) 41 PSPC(X線検出手段) 42 ケーシング 43 信号線 44 開口 F X線焦点 N 試料面法線 N’ 格子面法線 P1 第1角度位置 P2 第2角度位置 R0 入射X線 S 試料
フロントページの続き Fターム(参考) 2G001 AA01 BA18 CA01 DA09 EA03 GA01 GA13 HA01 HA15 JA08 KA07 KA08 LA02 PA12 QA01 SA07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料へ入射するX線の光軸である入射X
    線光軸と交わるω軸線を中心として回転するω回転系
    と、該ω回転系に載っていて前記入射X線光軸と前記ω
    軸線との交点を通るφ軸線を中心として回転するφ回転
    系と、前記試料からの回折X線を測定するX線検出手段
    とを有し、 前記φ軸線は前記ω軸線に対して角度γで傾斜し、 前記φ回転系は前記φ軸線を中心とする第1角度位置と
    その第1角度位置に対して180°離れた第2角度位置
    との間で回転でき、 前記φ回転系は、前記第1角度位置にあるときに前記試
    料の試料面法線と該試料の格子面法線との成す角度ψが
    ψ=αとなるように、そして前記第2角度位置にあると
    きにψ=βとなるように前記試料を支持し、 前記角度α及び前記角度βは前記試料の格子面法線が集
    まる2つの異なった角度であることを特徴とするX線回
    折装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記X線検出手段
    は、前記試料から異なった回折角度で生じる回折X線を
    検出できる検出範囲を持った1次元X線検出器又は2次
    元X線検出器であることを特徴とするX線回折装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2において、X線を
    狭い断面径に絞るコリメータを前記入射X線光軸上に設
    けたことを特徴とするX線回折装置。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3の少なくともいず
    れか1つにおいて、 γ=54.75° α=0° β=70.5° であることを特徴とするX線回折装置。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4の少なくともいず
    れか1つにおいて、前記φ軸回転系の回転を制御する制
    御手段を有し、該制御手段は前記φ軸回転系を前記第1
    角度位置と前記第2角度位置との間で回転させることを
    特徴とするX線回折装置。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項5の少なくともいず
    れか1つにおいて、前記X線検出手段の出力信号に基づ
    いて演算を行う演算手段を有し、該演算手段は、前記第
    1角度位置における前記試料からの回折X線の回折角度
    及び前記第2角度位置における前記試料からの回折X線
    の回折角度に基づいて、前記試料に生じている応力を演
    算することを特徴とするX線回折装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014025746A (ja) * 2012-07-25 2014-02-06 Rigaku Corp X線応力測定方法とその装置
WO2014102919A1 (ja) * 2012-12-26 2014-07-03 株式会社 日立製作所 表面加工状態の評価システムおよび評価方法

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