JP5871393B2 - X線分析装置 - Google Patents

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本発明は、複数の測定手法を実現できる機能を持ったX線分析装置に関する。
近時、複数の測定手法を実現できる機能を持ったX線分析装置が提案されている。例えば、特許文献1によれば、X線回折測定、X線小角散乱測定、反射率測定、その他X線を用いて行われる各種の測定を、1台のX線分析装置によって行うことが開示されている。
また、例えば特許文献2によれば、測定手法が決まっているX線分析装置において、測定対象である物質の特性に対応した測定条件をコンピュータを用いて容易に選定できるようにしたX線分析装置が開示されている。
特開2008−057989号公報 特開平06−074923号公報
特許文献1に開示されたX線分析装置においては、各種のX線光学要素を1つの分析装置の中の所定位置に必要に応じて装着でき、さらに取り外すことができるように構成されている。従って、所望のX線光学要素を選択して所定位置に配置することにより、異なる種類のX線測定を必要に応じて行うことができるようになっている。
ところで、産業界においてはX線を用いて測定及び分析したい材料が種々、存在する。そして、それらの材料は、半導体エピタキシャル膜、半導体ポリクリスタル膜、磁性膜、その他の適宜の材料分野に属している。同じ1つの材料が異なる材料分野に属していることもある。このような材料分野と材料との組み合わせは多岐にわたっており、個々の材料分野と材料との組み合わせに対しては好適な評価項目が決まっている。
例えば、透明電極として使われる電極膜という材料分野に属するZnOやITO等といった材料の特性は、定性分析測定や方位解析・配向性測定等といった測定によって評価されることが好適であると知られている。そして、例えば定性分析測定を行うには、測定手法としてIn-plane(インプレーン)測定を行うこととし、光学系として平行ビーム光学要素及び受光スリットを含んだ光学系を用いることが望ましいことが知られている。また、方位解析・配向性測定を行うには、測定手法としてロッキングカーブ測定を行うこととし、光学系として、やはり平行ビーム光学要素及び受光スリットを含んだ光学系を用いることが望ましいことが知られている。
このように、測定対象である材料及びその材料が属する材料分野の両方が特定された場合には、その材料と材料分野との組み合わせに対して、好ましい評価項目、好ましい測定手法、及び好ましい光学系が必然的に決まるというのが実情である。しかしながら、材料と材料分野との或る組み合わせに対して、どの評価項目を設定すべきか、どの測定手法を採用すべきか、及びどの光学系を採用すべきかを決めることは、熟練の測定者にとっても非常に難しく、ましてやX線測定に関して知識の乏しい補助者にとっては、ほとんど不可能なことである。
上記のように、特許文献1のX線分析装置によれば、In-plane測定、ロッキングカーブ測定等といった異なる種類のX線測定を必要に応じて行うことができるようになったのであるが、材料等に対して好適な測定手法等を選定することが非常に難しいので、持っている機能を十分に発揮することができない状態であった。
また、特許文献2のX線分析装置によれば、予め評価項目が決まっているときに、具体的には評価項目が定性分析というふうに決まっているときに、その定性分析を行うのに適した測定条件を決めることをコンピュータを用いて容易に行えるようにしている。しかしながら、特許文献1の場合と同様に、材料と材料分野との組み合わせが決まったときに評価項目、測定手法及び光学系としてどのようなものを採用すれば良いか、については測定者の裁量にまかされており、このため、材料との関係で最適な測定が行われない場合が多々あり、材料を評価する上で正しいデータを得られていないことが実情であった。
本発明者は、上記の問題を解消するために、定性分析評価、結晶性評価、膜厚評価等といった種々の評価を実現するために Out-of-Plane 測定、In-plane測定、ロッキングカーブ測定等といった複数の測定手法をコンピュータを用いて実現する際に、複数の材料名称と複数の評価名称との対応関係を予めデータベースとして蓄積しておいて、ユーザによって材料名称の入力があったときには、その材料に対する好適な評価は何なのかをそのデータベースを用いてユーザに知らせるようにすれば、複数の測定手法を備えたX線分析装置を有効に、機能的に、効果的に稼動させ得ることに想到した。
ところで、一般に、In-plane 測定等といった1つの測定手法をコンピュータを用いて実現する場合には、コンピュータによってその測定手法のためのマクロを作成し、必要に応じてそのマクロをプログラム中に記述することにより、その測定手法を実現することが考えられる。マクロとは、周知の通り、複数の命令ステップで構成される処理を予め1つの命令として定義して成る簡易なプログラムである。
そして、このマクロは、一般に、複数の処理ステップを経時的に組み合わせることによって形成されている。例えば、図17(a)に示すように、結晶相評価という評価をIn-plane測定という測定手法を用いて行う場合には、ファイル名及び試料情報を設定するステップ1と、特定の光学部品の光学系調整を行うステップ2と、インプレーン試料位置調整を行うステップ3と、インプレーン測定によって結晶相を測定するステップ4とを経時的に組み合わせてマクロが構成される。
また、図17(b)に示すように、面内方向の格子定数を調べるという評価をIn-plane測定という測定手法を用いて行う場合には、ファイル名及び試料情報を設定するステップ1と、特定の光学部品の光学系調整を行うステップ2と、インプレーン試料位置調整を行うステップ3と、インプレーン測定によって面内方向の格子定数を測定するステップ4とを経時的に組み合わせてマクロが構成される。
ところで、最近では、特許文献1のX線分析装置のように1つの装置において複数の測定軸の用い方を制御したり、複数の光学部品の用い方を制御したりすることにより、1つの装置で複数の異なった測定手法を連続的に実行するという状況が生じている。例えば、図17(a)の測定手法と図17(b)の測定手法とを連続的に実行する場合が生じている。このような場合、従来のマクロ作成手法によれば、最終的なマクロは図17(a)及び図17(b)のマクロを経時的に連結して構成されるのが通常であると考えられる。しかしながら、そのような手法を採用すると、ユーザが同じような動作を繰り返して行わなければならなかったり、制御の流れ自体が煩雑になるという問題が発生するおそれがある。
本発明は、従来装置における上記の問題点に鑑みて成されたものであって、複数の測定手法(In-plane測定、ロッキングカーブ測定等)を実現できる機能を持ったX線分析装置において、ユーザに大きな負担をかけることなく、制御の流れにも大きな負担をかけることなく、それらの測定機能を有効に活用できるようにすることを目的とする。
本発明に係る第1のX線分析装置は、複数の測定手法を実現する機能を持ったX線分析装置において、部品を変えること及び/又は部品の動きを変えることによって複数の測定手法を実現する測定系と、前記複数の測定手法のうちの個々を選択的に実現する測定ソフトウエアと、前記測定手法を実現するためのマクロを作成するマクロ作成手段とを有しており、前記マクロ作成手段は、複数のパーツステップから成り前記複数の測定手法の個々を実現するためのマクロを作成、さらに前記複数の測定手法の少なくとも2つを実現する場合であって、各測定手法に対応するマクロが同一のパーツステップを含んでいるときには、それらの同一のパーツステップの少なくとも1つの実行を省略し、各測定手法間で異なっているパーツステップを順次に実行するというマクロを作成することを特徴とする。
この第1のX線分析装置は、複数の測定手法(In-plane測定、ロッキングカーブ測定、等)を実現できる機能を持ったX線分析装置である。本発明のX線分析装置によれば、複数の測定手法を連続して実行する際、個々の測定手法に対応したマクロを構成するパーツステップの全てを実行するのではなく、各測定手法に対応するマクロ間で内容が同一のパーツステップに関してはそれらのパーツステップのうちの少なくとも1つを省略することにした。このため、本X線分析装置によって複数の測定手法を実行する際には、ユーザに作業的に大きな負担をかけることなく、さらにマクロにおける制御の流れにも大きな負担をかけることなく、それら複数の測定手法を実現できることになった。
本発明に係る第2のX線分析装置は、複数の測定手法を実現する機能を持ったX線分析装置において、部品を変えること及び/又は部品の動きを変えることによって複数の測定手法を実現する測定系と、前記複数の測定手法のうちの個々を選択的に実現する測定ソフトウエアと、前記測定手法を実現するためのマクロを作成するマクロ作成手段とを有しており、前記マクロ作成手段は、複数のパーツステップから成り前記複数の測定手法の個々を実現するためのマクロを作成、前記複数の測定手法の少なくとも2つを実現する場合であって、各測定手法に対応するマクロのうちの1つである第1マクロに含まれるパーツステップの機能が他のマクロである第2マクロに含まれるパーツステップの機能を包含するような機能であるときには、第2マクロに属するパーツステップは用いずに、第1マクロに属するパーツステップを用い、さらに各測定手法間で異なっているパーツステップを順次に実行するというマクロを作成することを特徴とする。
上記構成において、「各測定手法に対応するマクロのうちの1つである第1マクロに含まれるパーツステップ(マクロのパーツ(1つの部品)となるステップの意)の機能が他のマクロである第2マクロに含まれるステップの機能を包含するような機能であるとき」とは、例えば、第1マクロがインプレーン試料位置調整のステップを含んでいて、第2マクロが一般的なゴニオメータで採用される通常の試料位置調整のステップを含んでいるような場合である。
通常の試料位置調整のステップでは、試料位置の調整精度はそれ程の高度性が必要とされないのに対し、インプレーン試料位置調整のステップでは、試料位置を高い調整精度で調整しなければならない。つまり、機能的に見た場合、インプレーン試料位置調整を行えば通常の試料位置調整の機能は果たされるのであるが、通常の試料位置調整を行った場合はインプレーン試料位置調整の機能は達成されないということである。
換言すれば、第1マクロに含まれるパーツステップとしてのインプレーン試料位置調整ステップは、第2マクロに含まれるパーツステップとしての通常の試料位置調整ステップの機能を包含するような機能を持っているということである。
本発明に係る第2のX線分析装置は、複数の測定手法(In-plane測定、ロッキングカーブ測定等)を実現できる機能を持ったX線分析装置である。このX線分析装置によれば、複数の測定手法を連続して実行する際、個々の測定手法に対応したマクロを構成するパーツステップの全てを実行するのではなく、各測定手法に対応するマクロのうちの1つである第1マクロに含まれるパーツステップの機能が他のマクロである第2マクロに含まれるパーツステップの機能を包含するような機能であるときには、第2マクロに属するパーツステップは用いずに、第1マクロに属するパーツステップを用いることにした。このため、本X線分析装置によって複数の測定手法を実行する際には、ユーザに作業的に大きな負担をかけることなく、さらにマクロにおける制御の流れにも大きな負担をかけることなく、それら複数の測定手法を実現できることになった。
本発明に係る第1のX線分析装置によれば、複数の測定手法を連続して実行する際、個々の測定手法に対応したマクロを構成するパーツステップの全てを実行するのではなく、各測定手法に対応するマクロ間で内容が同一のパーツステップに関してはそれらのパーツステップのうちの少なくとも1つを省略することにした。このため、本X線分析装置によって複数の測定手法を実行する際には、ユーザに作業的に大きな負担をかけることなく、さらにマクロにおける制御の流れにも大きな負担をかけることなく、それら複数の測定手法を実現できることになった。
本発明に係る第2のX線分析装置によれば、複数の測定手法を連続して実行する際、個々の測定手法に対応したマクロを構成するパーツステップの全てを実行するのではなく、各測定手法に対応するマクロのうちの1つである第1マクロに含まれるパーツステップの機能が他のマクロである第2マクロに含まれるパーツステップの機能を包含するような機能であるときには、第2マクロに属するパーツステップは用いずに、第1マクロに属するパーツステップを用いることにした。このため、本X線分析装置によって複数の測定手法を実行する際には、ユーザに作業的に大きな負担をかけることなく、さらにマクロにおける制御の流れにも大きな負担をかけることなく、それら複数の測定手法を実現できることになった。
本発明に係るX線分析装置の一実施形態を示すブロック図である。 図1のX線分析装置の主要部であるX線測定系の構成を示す図である。 図2のX線測定系の主要部であるゴニオメータの機能を示す図である。 測定手法の1つである極点測定において用いるポーラーネットの一例を示す図である。 図1のメモリ内に記憶されるデータの記憶内容を模式的に示す図である。 図1に示すウィザードプログラムによって実行されるフローチャートである。 画像表示の一例を示す図である。 画像表示の他の例を示す図である。 画像表示のさらに他の例を示す図である。 画像表示のさらに他の例を示す図である。 画像表示のさらに他の例を示す図である。 画像表示のさらに他の例を示す図である。 画像表示のさらに他の例を示す図である。 画像表示のさらに他の例を示す図である。 画像表示のさらに他の例を示す図である。 測定手法等を特定するために行われる演算の流れの一例を示すフローチャートである。 測定手法を実現するためのマクロの例を示す図である。 マクロの他の例を示す図である。 マクロのさらに他の例を示す図である。
以下、本発明に係るX線分析装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、本明細書に添付した図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
図1は、本発明に係るX線分析装置の一実施形態を示している。全体を符号1で示す本実施形態のX線分析装置は、コンピュータの中央演算制御装置であるCPU2と、ROM(Read Only Memory)3と、RAM(Random Access Memory)4と、記憶媒体であるメモリ5とを有している。ROM3とRAM4はコンピュータの内部メモリを構成している。
メモリ5は、半導体メモリ、ハードディスク、その他の任意の記憶媒体によって構成されている。メモリ5は、コンピュータの内部に設置されるものでも良く、コンピュータの外部に設置されるものでも良い。また、メモリ5は、1つの単体であっても良く、複数の記憶媒体であっても良い。CPU2は、必要に応じてROM3及びRAM4にアクセスしながらメモリ5に格納されたプログラムに従って所定の機能を実現する。
X線分析装置1は、また、X線を用いて複数種類の測定手法を実現する測定機構であるX線測定系8と、画像を表示ずる画像表示手段としてのディスプレイ9と、入力手段としてのキーボード10と、同じく入力手段としてのマウス11とを有している。上記の各要素はデータバス12によって互いに接続している。
X線測定系8は、本実施形態では、図2に示すように、測角器であるゴニオメータ15と、ゴニオメータ15の一方の側に設置されたX線発生装置16と、ゴニオメータ15の他方の側に設置されたX線検出器17とを有している。X線発生装置16の内部には、陰極であるフィラメント18と、対陰極であるターゲット19とが設けられている。フィラメント18から放出された電子がターゲット19の表面に衝突する領域がX線焦点Fであり、このX線焦点FからX線が発生する。つまり、X線焦点FがX線源として機能している。
本実施形態では、Cu(銅)ターゲットを用いた2KWの封入管をX線発生装置16として用いている。X線焦点Fのサイズは1mm×10mmである。外部へ取り出すX線ビームの断面形状は必要に応じてポイントフォーカス又はラインフォーカスとすることができる。
X線検出器17は、位置分解能を持たない0(ゼロ)次元X線検出器でも良く、直線方向に位置分解能を持つ1次元X線検出器でも良く、平面内で位置分解能を持つ2次元X線検出器であっても良い。0次元X線検出器としては、プロポーショナルカウンタやシンチレーションカウンタ等が考えられる。1次元X線検出器としては、PSPC(Position Sensitive Proportional Counter/位置感応型比例計数管)や線状CCD(Charge Coupled Device/電荷結合素子)センサ等が考えられる。2次元X線検出器としては、2次元CCDセンサや、フォトンカウンティング型ピクセル2次元検出器が考えられる。フォトンカウンティング型ピクセル2次元検出器は、X線によって励起されるフォトンを直接に電気信号に変換して出力するピクセル(画素)を複数個、2次元的に配列して成るX線検出器である。フォトンカウンティング型ピクセル2次元検出器は、画素ごとにX線を検出でき、画素ごとに信号を出力できる。
X線発生装置16とゴニオメータ15との間に入射光学系22が設けられている。ゴニオメータ15とX線検出器17との間に受光光学系23が設けられている。入射光学系22は、CBO(Cross Beam Optics)ユニット24と、モノクロメータ部25と、入射光学ユニット26と、入射スリットボックス27とを有している。
CBOユニット24には、集中法用スリット(BB)、平行ビーム用スリット(PB)、小角散乱測定用スリット(SA)、微小部測定用スリット(MA)の各スリットを装着でき、さらには取り外すことができる。また、スリットの無い単なる空間とすることができる。
モノクロメータ部25には、モノクロメータを装着でき、さらにそれを取り外すことができる。モノクロメータの無い単なる空間とすることができる。モノクロメータとしては、2結晶モノクロメータGe(220)×2と、2結晶モノクロメータGe(400)×2と、4結晶モノクロメータGe(220)×4と、4結晶モノクロメータGe(440)×4とが選択的に用いられる。
入射光学ユニット26には、必要なスリットを装着でき、さらにはそれを取り外すことができる。スリットの無い単なる空間とすることもできる。スリットとしては、数種類のソーラスリット及びインプレーンPSC(Parallel Slit Collimator)が選択的に用いられる。
入射スリットボックス27には、スリットを装着でき、さらにはそれを取り外すことができる。スリットの無い単なる空間とすることができる。スリットとしては、例えば0.5mm〜15mmまでの範囲に入る数種類、例えば5種類の長手制限スリットが考えられる。
受光光学系23は、第1受光スリットボックス30と、第1受光光学ユニット31と、第2受光光学ユニット32と、第2受光スリットボックス33と、アッテネータ部34とを有している。第1受光スリットボックス30には、適宜のフィルタ(本実施形態の場合はCuKβフィルタ)が装着でき、さらにはそれを取り外すことができる。フィルタの無い単なる空間とすることができる。
第1受光光学ユニット31には、適宜のアナライザを装着でき、さらにはそれを取り外すことができる。アナライザの無い単なる空間とすることもできる。アナライザとしては、2結晶アナライザGe(220)×2と、2結晶アナライザGe(400)×2とが選択的に用いられる。また、アナライザとして、角度の異なった数種類のPSA(Parallel Slit Analyzer)が選択的に用いられる。PSAの角度としては、例えば、1.0度、0.5度、0.114度、0.05度が用いられる。
第2受光光学ユニット32には、ソーラスリットとインプレーンPSA(Parallel Slit Analyzer)とが選択的に装着でき、さらにはそれを取り外すことができる。スリット等が無い単なる空間とすることができる。ソーラスリットとしては、例えば、Soller slit 5.0 deg 及び Soller slit 2.5 deg を用いる。インプレーンPSAとしては、例えば、In-plane PSA 1.0 deg,In-plane PSA 0.5 deg,In-plane PSA 0.114 deg を用いる。
第2受光スリットボックス33には、スリットが装着でき、さらにはそれを取り外すことができる。スリットの無い単なる空間とすることができる。
アッテネータ部34には、アッテネータが装着でき、さらにはそれを取り外すことができる。アッテネータが無い単なる空間とすることもできる。アッテネータとして、例えば、X線を減衰させる数種類の厚みの異なるAl(アルミニウム)板が選択的に用いられる。減衰係数の異なるAl板としては、例えば、1/10000、1/1000、1/70が用いられる。
ゴニオメータ15は、図3に示す複数の測定手法を実現できる。図3において、図示しない試料支持装置又は試料支持台によって試料Sが所定位置に置かれている。試料支持装置又は試料支持台はゴニオメータ15の構成要素である。本実施形態では試料Sが水平面内に置かれるものとする。なお、試料Sは垂直面内に置かれることもある。
なお、本明細書において、θ軸線のように「軸線」と言った場合は仮想線のような線そのものを言うものとし、θ軸のように「軸」といった場合は、各種の部品を上記の「軸線」を中心として回転可能に支持したり、「軸線」に沿って移動可能に支持したりする支持系を言うものとする。
1.Out-of-plane測定
図3において、試料Sが置かれる位置の一方の側にX線源Fが設けられる。X線源Fは、例えばフィラメント等といった陰極に対向して配置された対陰極(ターゲット)の表面に形成されるX線焦点である。具体的には、陰極から発生した電子が対陰極の表面に衝突する領域がX線焦点であり、このX線焦点からX線が放出される。本実施形態では、このX線焦点がX線源Fである。
X線焦点Fからは3次元の全方位に向けてX線が放出されるが、そのうちの一部の角度領域のものが外部に取り出されて入射X線R1として試料Sに照射される。試料S内の結晶格子面が入射X線R1に対してブラッグの回折条件を満足すると、試料Sから回折X線R2が発生する。本実施形態では、この回折X線R2をX線検出器17によって検出する。
本実施形態では、所定の測定位置に置かれた試料Sの表面を通り、該試料表面に対して平行になるようにθ軸線が設定されている。θ軸線は位置不動に設定されている。θ軸線を中心として試料SをX線源Fに対して回転移動させることにより、試料Sに対するX線R1の入射角θを変化させることができる。また、θ軸線を中心としてX線源Fを試料Sに対して回転移動させることにより、入射角θを変化させることもできる。このようなX線源F又は試料Sのθ軸線を中心とした回転移動を試料Sのθ回転ということにする。
X線が入射角θで試料Sに入射したときに回折X線R2が発生したとすると、回折X線R2の入射X線R1に対する角度2θ(以下、この角度2θを回折角という)はθの2倍になる。X線検出器17は、回折角2θで発生する回折X線R2を検出できるように、X線入射角θの2倍の角度を維持するようにθ軸線を中心として回転移動する。このX線検出器17のθ軸線を中心とした回転移動をX線検出器17の2θ回転ということにする。
以上のようにX線源F又は試料Sをθ軸線を中心としてθ回転させ、それに同期してX線検出器17をθ軸線を中心として2θ回転させることは、2θ/θスキャンと呼ばれている。なお、ここで、「A/B(A,Bはそれぞれ何等かの動作軸を示す)」の表記は、Aの動きとBの動きとがカップリング、すなわち連動していることを表現している。
試料Sへの入射X線R1の中心線及び試料Sからの回折X線R2の中心線を含む面は、一般に、赤道面又はアウト・オブ・プレーン(Out-of-plane)と呼ばれている。上記のようにX線源F及びX線検出器17を2θ/θスキャンさせて測定を行うことにより、Out-of-plane 測定を行うことができる。
2.In-plane測定
図3において、所定の試料位置に置かれた試料Sを貫通し、位置不動のθ軸線に直角である2θχ軸線が設定されている。θ軸線が水平線であれば2θχ軸線は垂直軸線であり、θ軸線が垂直軸線であれば2θχ軸線は水平軸線である。また、所定の試料位置に置かれた試料Sの表面に直交する軸線であるφ軸線が設定されている。図3では、φ軸線と2θχ軸線が重なっていて1つの線を形成しているが、2θχ軸線が位置不動の線である一方、φ軸線は試料Sが揺動又は傾斜移動するときにはその試料Sの移動に応じて移動する軸線である。
試料Sへの入射X線R1の中心線及び試料Sからの回折X線R2の中心線を含む赤道面に直角の方向は、一般に、緯度方向又はインプレーン(In-plane)方向と呼ばれている。本実施形態では、X線検出器17を2θχ軸線を中心として回転移動させる駆動系が設けられている。この駆動系によってX線検出器17を2θχ軸線を中心として回転移動させれば、X線検出器17は上記のインプレーン方向へ移動させることができる。このようなX線検出器17のインプレーン方向での移動は2θχスキャンと呼ばれている。
また本実施形態では、試料Sをそれ自身に直交するφ軸線を中心として回転移動させる駆動系が設けられている。試料Sをφ軸線を中心として回転移動させることは、一般に、φスキャンと呼ばれており、このφスキャンによる試料Sの平面内での回転は、一般に、試料Sの面内回転と呼ばれている。
試料Sをφスキャンさせると共に、X線検出器17を2θχスキャンさせることにより、試料Sに関する有用な回折線データを得ることができる。このような測定手法は、一般に、In-plane 測定と呼ばれている。
3.ロッキングカーブ測定(ωスキャン)
ロッキングカーブとは、単色性及び平行性の高いX線ビームを試料結晶に入射し、試料に対するX線の入射角を、ブラッグの回折条件を満たす角度の近傍において、一定の低速度でゆっくりと回転させたときに測定される回折強度曲線である。通常この曲線は、横軸にX線入射角度をとり、縦軸にX線強度をとったグラフ上に描かれる。
図3において、X線源Fから試料Sへ入射するX線R1の角度θ(すなわちX線入射角θ)は、測定の種類によっては慣習的に「角度ω」と呼ばれることがある。本実施形態では、慣習的な呼称を尊重することにして、測定の種類によってはθ軸線をω軸線と言い、θ軸をω軸と言い、θスキャンをωスキャンということにする。
X線源F及びX線検出器17のそれぞれの位置を固定しておいて、上記のように試料S又はX線源Fをωスキャンすることにより、平坦又はピーク状の回折線強度図形、すなわちロッキングカーブを得ることができる。このようにして行われる測定手法はωスキャンによるロッキングカーブ測定と呼ばれている。
4.ロッキングカーブ測定(φスキャン)
X線源F及びX線検出器17のそれぞれの位置を固定しておいて、試料Sを上記のようにφ軸線を中心としてφスキャンすることにより、平坦又はピーク状の回折線強度図形、すなわちロッキングカーブを得ることができる。このようにして行われる測定手法はφスキャンによるロッキングカーブ測定と呼ばれている。
5.高分解能ロッキングカーブ測定(2θ/ωスキャン)
入射2結晶又は4結晶モノクロメータ、及び受光2結晶アナライザを光学系の構成要素として設定し、エピタキシャル薄膜を試料Sとして、2θ/ωスキャンすることによって実現される測定が高分解能ロッキングカーブ測定である。
6.高分解能In-plane測定
ここで、所定の試料位置に置かれた試料Sの表面を通りθ軸線及び2θχ軸線の両方に直交する軸線であるχ軸線を考える。χ軸線を中心とした試料Sの角度は、あおり角χと呼ばれることがある。既述の通り、試料Sをφスキャンさせると共にX線検出器17を2θχスキャンさせることによりIn-plane 測定を行うことができるが、試料Sをφスキャンさせると共にX線検出器17を2θχスキャンさせることに代えて、あおり角χを90°に固定して試料Sを垂直面内において2θ/ωスキャンさせれば、高分解能のIn-plane測定を行うことができる。ここで、2θ/ωスキャンとは、X線検出器17に関する2θスキャンと試料Sに関するωスキャンとを同時に行うことである。このスキャン方法の採用により、高分解能のIn-plane測定を行うことができる。
7.薄膜法測定
図3において、試料Sに対するX線入射角ωを角度1°以下の低角度に固定しておいて、X線検出器17をθ軸線(すなわちω軸線)を中心として2θスキャンさせて回折X線を測定することにより、基板上に形成された薄膜から発生する回折X線を測定することができる。このようにして行われる測定手法は薄膜法測定と呼ばれている。
8.極点測定
一般に、結晶を中心とする球(いわゆる投影球)と、結晶の格子面の法線との交点を極という。そして、この投影球を平面座標である図4に示すポーラーネット(Polar Net)上にステレオ投影、すなわち平射投影することによってそのポーラーネット上に得られる図形が極点図である。この極点図は極図形と呼ばれることもある。この極図形を用いれば、多結晶の配向状態、すなわち多結晶の方位を適切に表示できる。図4に示すポーラーネットは、半径方向に角度α(°)をとり、円周方向に角度β(°)をとった極座標である。
上記の極図形は、例えば、次のようにして測定できる。すなわち、図3においてX線入射角θを固定状態にし、さらにX線検出器17が試料Sを見込む角2θを固定状態にする。そして、所定の試料位置に置かれた試料Sの表面を通りθ軸線及び2θχ軸線の両方に直交する軸線であるχ軸線を中心とした試料Sの角度(いわゆる、あおり角)χと、φ軸線を中心とした試料Sの面内角φを変化させながら、あおり角χ及び面内角φで特定される個々の試料位置における回折X線の強度Iを測定する。これにより、(χ、φ、I)によって特定される極点データが測定される。
次に、所定の変換式を用いてχ値をα値に変換し、さらに所定の変換式を用いてφ値をβ値に変換して(α、β、I)の極点データを求める。そして、求めた(α、β、I)を図4のポーラーネット上にプロットすることにより、極点図を得ることができる。このようにして行われる極点測定はχ極点測定と呼ばれている。
極点測定は上記のようなχ極点測定に限られず、例えば特開2001−056304号公報によれば、既述のIn-plane測定によって求められたデータを補正することにより、極点図を得ることが開示されている。このようにして行われる極点測定はIn-plane 極点測定と呼ばれている。
9.逆格子マップ測定(ωステップ,2θ/ωスキャン)
逆格子マップは、結晶からの回折X線の逆格子空間での強度分布を示す図である。逆格子空間は、周知の通り、逆格子ベクトルによって構成される空間のことであり、実空間の周期性が反映されるものである。逆格子ベクトルは、周知の通り、結晶の実空間における基本ベクトルに対して所定の関係で定義づけられるベクトルである。一般には、逆格子ベクトルの先端に逆格子点が存在し、複数の逆格子点が逆格子空間内に配列することになる。
この逆格子マップを作成してこれを観察すれば、例えば結晶の格子定数の揺らぎや格子面の傾き等を知ることができる。本実施形態によれば、試料Sをステップ的にω移動し、各ω位置において2θ/ωスキャンを実行するという測定手法を採ることにより、逆格子マップ測定を実行することができる。
10.逆格子マップ測定(φステップ,2θ/ωスキャン)
図3において、試料Sをステップ的にφ移動(すなわち面内移動)し、各φ位置において2θχ/φスキャンを実行するという測定手法を採ることにより、逆格子マップ測定を実行することができる。
11.広域逆格子マップ測定
図3において、試料Sをステップ的にχ移動し、各χ位置において2θ/ωスキャンを実行するという測定手法を採ることにより、広域逆格子マップ測定、すなわち逆格子空間内の広い範囲を測定対象とすることができる逆格子マップ測定を実行することができる。
12.反射率測定
X線に対する物質の屈折率は1よりわずかに小さく、極めて浅い角度で物質にX線が入射すれば、全反射が起こる。X線反射率は、全反射近傍のX線反射強度を測定することによって求めることができる。全反射近傍での物質に対するX線の侵入深さは、表面から10〜100nm程度と極めて浅く、物質の表面近傍や、薄膜等の評価にX線反射率測定が有効である。
反射率測定においては、試料SへのX線入射角度ωを、例えばω=0.1°〜4°程度の微小角度に設定し、試料SでX線を全反射させて、その反射X線をX線検出器によって検出する。この反射率測定装置において、厳密に単色化されたX線によって試料Sを照射し、さらに、試料Sから出たX線から所定の角度分解能を満たすX線だけを選択してX線検出器へ供給するようにすれば、信頼性の高い反射率データを得ることができる。
本実施形態では、2θ/ωスキャン、すなわち2θスキャンとωスキャンとを連動して実行することにより、反射率測定が行われる。
13.透過小角散乱測定
物質によっては、それにX線を照射したときに入射X線の光軸を中心とする小角度領域、例えば0°〜5°程度の角度領域において散乱X線が発生することがある。例えば、物質中に10〜1000Å程度の微細な粒子や、これに相当する大きさの密度の不均一な領域が存在すると、入射線方向に散漫な散乱、いわゆる中心散乱が生じる。この中心散乱は粒子の内部構造には無関係で粒子が小さい程広がる。本実施形態では、X線検出器17を2θスキャンさせることにより、小角散乱測定を行うこと、特に試料を透過する方向に発生した散乱線を測定することができる。
(演算制御系)
図1において、メモリ5の中に、各種のプログラムソフト、ファイル等がそれぞれにとって必要な容量の領域内に記憶されている。図では、便宜的に1つのメモリ内に各種のソフト、ファイル等を描いているが、実際には、必要に応じて複数の記憶媒体に分けてそれらのプログラムソフトが記憶される。
具体的には、メモリ5内には、測定ソフトウエア37、材料評価テーブル38、測定支援ソフトウエアとしてのウィザードプログラム39、条件ファイル40、測定データファイル41、及び解析データファイル42が設定されている。
測定ソフトウエア37は、CPU2によって所定の機能を実現させるプログラムソフトであって、具体的には、上述した Out-of-plane測定、In-plane測定、ロッキングカーブ測定等といった各種の測定手法を個別に実行するためのプログラムソフトである。
材料評価テーブル38は図5に模式的に示すデータテーブルであって、分析対象となり得る材料の名称データと、その材料が属する材料分野の名称のデータと、材料に対して実行されるべき評価の名称(例えば、定性分析、結晶性評価、格子歪評価等)のデータと、材料に対して実行されるべき測定手法(例えば、Out-of-Plane測定、ロッキングカーブ測定、In-Plane測定等)の名称のデータと、測定手法に付随するX線光学系の名称のデータとの、それぞれの対応関係を記憶している。この材料評価テーブル38については、後で詳しく説明する。
測定支援ソフトウエアとしてのウィザードプログラム39は、測定条件を入力しようとする分析者すなわちユーザを支援するためのプログラムソフトである。具体的には、測定対象である試料についての材料分野の名称や材料の名称がユーザによって入力されたときに評価法をアドバイスしたり、評価法がユーザによって入力されたときに測定手法や使用する光学系についてアドバイスしたりする機能を実現するためのソフトウエアである。このウィザードプログラム39についても、後で詳しく説明する。
条件ファイル40は、ユーザによって入力されたり、ウィザードプログラム39を使って入力されたりした測定条件を記憶するための記憶領域である。測定データファイル41は、測定の結果として得られたデータを記憶するための記憶領域である。解析データファイル42は、測定の結果として得られたデータすなわち測定データに対して何等かの解析処理が行われた場合に、その解析処理後のデータすなわち解析データを記憶するための記憶領域である。
(材料評価テーブル38)
以下、材料評価テーブル38について、図5に示す模式形式のテーブルを用いて詳細に説明する。
[第1列「材料分野」]
図5において、左端からの第1列は、「材料分野」の項目に属する複数の細目を縦に並べて示している。材料分野の細目としては、半導体エピタキシャル膜、半導体ポリクリスタル膜、半導体アモルファス膜、…、その他の材料分野の細目が列挙されている。材料分野の細目中、「バリア膜」は材料が多層である場合の各層間の保護膜のことである。「基板」は単結晶の基板である。「バルク」は多結晶の基板である。
[第2列「材料」]
左端からの第2列は、「材料」の項目に属する複数の細目を縦に並べて示している。材料の細目としては、上記の材料分野の個々の細目に属する材料が挙げられている。材料の名称は、例えば、Si、Cu、FeSi、等といった化合物組成であったり、低分子、ナノ粒子、等のような特性的な呼称である。材料分野の細目と材料の細目との間には対応関係を示す線が引かれている。これらの線は、個々の材料分野の細目に属する材料が何なのかを示している。例えば、第1列の細目の上から7番目に上げられた材料分野「透明電極膜」の中には、第2列の細目の上から11番目の材料「ITO、ZnO、CdO、……」が属していることが示されている。
また、例えば、第1列目の「材料分野」の上から5番目の細目である「配線膜」の中には、第2列目の「材料」の上から9番目の細目である「Cu、Al、…」が属していることが示されている。
つまり、図1のメモリ5に格納された材料評価テーブル38は、図5の第2列の材料の細目の個々が第1列の材料分野の細目のどれに属しているかが、全て記憶されている。
[第3列「評価」]
左端からの第3列は、「評価」の項目に属する複数の細目を縦に並べて示している。評価の細目としては、定性分析、結晶性評価、格子歪評価、…、その他の各種の評価細目が挙げられている。「定性分析」は材料中に何の物質が入っているかを求める分析である。「結晶性評価」は結晶子のサイズを評価することである。「方位・配向性評価」は結晶の方位及び配向性を評価することである。「格子歪評価」は結晶格子に歪が生じているかどうかを評価することである。「組成評価」は化学組成の評価(すなわち格子定数の評価)である。「格子定数評価」は結晶格子定数を評価することである。
「リラックス度評価」は次のような評価である。基板上に薄膜が形成されている場合に、その薄膜が基板のために歪むことがある。その歪量がある限度を超えると歪は一瞬にして開放される。この場合において、歪がどの量まで開放されるかを示す度合いがリラックス度である。
第2列の「材料」の細目の個々と第3列の「評価」の細目個々のうち互いに対応関係にあるもの同士が線で結ばれている。線で結ばれるのは1個の材料に対して1個の評価ではなく、1個の材料に対して複数の評価であり、逆に1個の評価に対して複数の材料である。図では、第2列の上から11番目の材料細目『ITO、ZnO、CdO、…』及びその他のいくつかの材料細目がそれぞれに複数の評価細目と直線で結ばれている様子が示されている。しかしながら、実際には、全ての材料細目のそれぞれが対応する複数の評価細目と直線で結ばれているものである。このことを正直に図5上に描いてしまうと、第2列と第3列との間を結ぶ線の数が多量になってしまい、ほとんど真っ黒になってしまって見難くなるので、図5では代表として材料細目『ITO、ZnO、CdO、…』及びそれ以外のいくつかの材料細目と第3列の評価細目との対応状態だけを線で結んで示している。
つまり、図1のメモリ5に格納された材料評価テーブル38は、図5の第2列の材料の細目の個々が第3列の評価のうちのどの評価を受ければ適切に評価されるのかということを、全ての材料細目に関して記憶している。
[第4列「測定手法」]
図5の左端からの第4列は、「測定手法」の項目に属する複数の細目を縦に並べて示している。提示されている個々の測定手法の細目、例えば「Out-of-Plane測定」等は、図3を用いて既述した測定手法の説明によって既に説明されているので、ここでの説明は省略する。
第3列の「評価」の細目の個々と第4列の「測定手法」の細目個々のうち互いに対応関係にあるもの同士が線で結ばれている。線で結ばれるのは1個の「評価」に対して1個の「測定手法」に限られるものではなく、1個の「評価」に対して複数の「測定手法」となることもあり、逆に1個の「測定手法」に対して複数の「評価」となることもある。
図5では、例えば第3列の上から1番目の評価細目『定性分析』が第4列の上から1番目の「Out-of-Plane測定」と3番目の「In-Plane測定」とに結びついている様子が描かれている。これは、定性分析はOut-of-Plane測定又はIn-Plane測定を行えば適正に行われることを示している。
また、第3列の8番目の「膜厚評価」と9番目の「ラフネス評価」と10番目の「密度評価」はいずれも第4列の12番目の「反射率測定」と結びついている。これは、膜厚評価、ラフネス評価及び密度評価の3項目は反射率測定を行えば適正に行われることを示している。
つまり、図1のメモリ5に格納された材料評価テーブル38は、図5の第3列の評価が第4列の測定手法のうちのどの測定手法を行えば適切に実現されるかということを、全ての評価細目に関して記憶している。
[第5列「光学系」]
図5の左端からの第5列(すなわち最右端の列)は、「光学系」の項目に属する複数の細目を縦に並べて示している。例示されている光学系は、「中分解能PB/RS」("PB"は Parallel Beam で "RS" は Receiving Slit)、「中分解能PB/PSA」("PB" は Parallel Beam で "PSA" はParallel Slit Analyzer)、「高分解能PB-Ge(220)×2/RS」、「高分解能PB-Ge(400)×2/RS」、「超高分解能PB-Ge(220)×4/RS」、「超高分解能PB-Ge(440)×4/RS」、「超高分解能PB-Ge(440)×4/RS」、「小角散乱」、「集中法」、「中分解能PB-focus」、「中分解能PB-focus/PSA」である。
第4列の「測定手法」の細目の個々と第5列の「光学系」の細目個々のうち互いに対応関係にあるもの同士が線で結ばれている。線で結ばれるのは1個の「測定手法」に対して1個の「光学系」に限られるものではなく、1個の「測定手法」に対して複数の「光学系」となることもあり、逆に1個の「光学系」に対して複数の「測定手法」となることもある。
図5では、例えば第4列の上から1番目の測定手法細目『Out-of-Plane測定』が第5列の上から1番目の「中分解能PB/RS」に結びついている。これは、「中分解能PB/RS」の光学系を用いて『Out-of-Plane測定』が行われることを示している。また、6番目の測定手法細目「極点測定」が第5列の1番目の「中分解能PB/RS」と3番目の「高分解能PB-Ge(220)×2/RS」とに結びついている。これは、「中分解能PB/RS」の光学系や「高分解能PB-Ge(220)×2/RS」の光学系を用いて『極点測定』が行われることを示している。
さらには、第4列の12番目の測定手法細目「反射率測定」が第5列の1番目の「中分解能PB/RS」と3番目の「高分解能PB-Ge(220)×2/RS」と5番目の「超高分解能PB−Ge(220)×4/RS」とに結びついている。これは、「中分解能PB/RS」の光学系や「高分解能PB-Ge(220)×2/RS」の光学系や「超高分解能PB−Ge(220)×4/RS」の光学系を用いて『反射率測定』が行われることを示している。
なお、第5列の8番目の「小角散乱」は、回折角度2θの小角領域(例えば、2θ=0°〜5°程度の領域)における散乱線を検出するのに適した光学系である。また、9番目の「集中法」は、X線源から出て試料で回折して受光スリットの所に集光したX線をX線検出器で検出するのに適した光学系である。
また、第4列と第5列との間で関連を示す線を全ての細目に関して表示すると、線の数が多くなり過ぎて、見難くなるので、図5では代表となるいくつかの線だけを示している。
以上から分かるように、図1のメモリ5に格納された材料評価テーブル38は、図5の第4列の測定手法に第5列の光学系のうちのどの光学系を付設すれば良いかということを、全ての測定手法細目に関して記憶している。
図5に示したデータテーブル、すなわち図1のメモリ5内の材料評価テーブル38に記憶されたデータテーブルは、本発明者が根拠無く勝手に決めたことではなく、本発明者の実験及び経験の賜物である。表1は、本発明者が実験の結果及び経験の結果として知見した成果を示しており、図5のデータテーブルは、まさにこの知見に基づいて定められたものである。なお、表1は本発明者が獲得した結果の一部分である。
表1は、或る材料に対して、実際に多くの場合、どのような評価が行われ、さらに、どのような測定手法が採用されているかを示している。例えば、材料分野「透明電極膜」に属する材料「ITO、ZnO、CdO、…」は、
(1)「方位解析・配向性評価」によって頻繁に評価されており、
(2)「定性分析評価」、「結晶性評価」、「格子歪評価」、「膜厚評価・海面評価」及び「密度評価」のそれぞれによってかなり頻繁に評価されており、
(3)「固溶体組成評価」及び「格子定数評価」によって時々評価されている。図5のデータテーブルは、このような本発明者の知見に基づいて決められたものである。
また、例えば、材料分野の1つである「配線膜」に属する材料「Cu、Al、…」は、
(1)「方位解析・配向性評価」によって頻繁に評価がなされており、
(2)[定性分析評価」、[結晶性評価」、「格子歪評価」、「膜厚評価・界面評価」及び「密度評価」のそれぞれによっても、かなり頻繁に評価がなされており、
(3)「固溶体評価」及び「格子定数評価」によっても時々、評価がなされている。図5のデータテーブルは、このような本発明者の知見に基づいて決められたものである。
(ウィザードプログラム39)
図1のメモリ5内に格納されたウィザードプログラム39は、本X線分析装置1の使い方を分析者すなわちユーザに対してディスプレイ9による画像表示を利用して段階を追って説明支援するためのプログラムソフトである。
具体的には、ウィザードプログラム39は、図6に示すように、まず、ステップS01で材料分野選択ルーチンを実行する。このルーチンでは、ます、図7に示すような材料分野選択画面45が図1のディスプレイ9の画面上に表示される。この画面内には、図5のデータテーブルの第1列内に記憶されている材料分野の細目が表示される。ユーザは希望する材料分野に対応した選択ボタン46aを図1のマウス11を用いて選択する。選択した条件は図1の条件ファイル40に記憶される。
次に、制御はステップS02の材料選択ルーチンへ進む。このルーチンでは、図8に示すような材料選択画面47aが表示される。この材料選択画面47aは、図7の材料分野選択画面45において[透明導電膜」が選択された場合に表示される材料選択画面である。この画面内には、図7で選択された材料分野に属する図5の第2列内の材料が表示される。図では、「その他」を除いて3個の材料の名称が表示されているが、「その他」をクリックすれば、隣のウィンドウにその他の材料名が表示が表示される。ユーザは希望する材料に対応した選択ボタン46bを図1のマウス11を用いて選択する。選択した条件は図1の条件ファイル40に記憶される。
また、例えば、図7の材料分野選択画面45において「配線膜」が選択された場合には、材料選択ルーチンにおいて、図9に示すような材料選択画面47bが表示される。この画面内には、図7で選択された材料分野に属する図5の第2列内の材料が表示される。図9では、「その他」を除いて2個の材料の名称が表示されているが、「その他」をクリックすれば、隣のウィンドウにその他の材料名が表示される。ユーザは、希望する材料に対応した選択ボタン46eを図1のマウス11を用いて選択する。選択した条件は、図1の条件ファイル40に記憶される。
次に、制御はステップS03の材料情報入力ルーチンへ進む。このルーチンでは、図10に示すような入力画面48が表示される。ユーザは、指示に応えて、材料の厚さ、幅、及び高さを所定欄49に入力する。入力した条件データは図1の条件ファイル40に記憶される。
次に、制御はステップS04の評価項目選択ルーチンへ進む。このルーチンでは、図11に示すような評価項目選択画面50が表示される。この画面内には、図5のデータテーブルの第3列内に記憶されている評価の細目が表示される。より具体的には、図8で選択した材料名に対応した評価の細目が表示される。ユーザは希望する評価に対応した選択ボタン46cを図1のマウス11を用いて選択する。選択した条件は図1の条件ファイル40に記憶される。
なお、本実施形態では、図11において、いずれかの評価がチェックされたとき、図12に示すように、チェックされた評価を説明するための画像51がウィンドウとして表示されることになっている。これにより、ユーザは、入力ミスを起こすこと無く操作を行うことができる。この場合、画像51の画面内には個々の評価処理に先立って決めておく必要がある条件の選択画面57が含まれている。ユーザはこれらの選択画面57を通して希望する条件を入力できる。
次に、制御はステップS05の自動解析の設定ルーチンへ進む。このルーチンでは、図13に示すような自動解析設定画面52が表示される。この表示には、ステップS04の評価項目選択ルーチンにおいてユーザが選択した評価項目が表示される。表示された評価項目に対してユーザがコンピュータによる自動解析を希望する場合には、ユーザは自動解析を希望する評価項目に対応する選択ボタン46dにチェックを入れる。
次に、制御はステップS06の選択項目の確認ルーチンへ進む。このルーチンでは、図14に示すような選択項目確認画面53が表示される。この画面において、これまでの過程でユーザによって選択された測定条件が一覧の形式で表示される。ユーザがこの測定条件に対して修正を希望するのであれば、戻るボタン54をクリックすることにより、元のルーチンへ戻ることができる。ユーザが表示された測定条件に同意する場合は、完了ボタン55aをクリックする。
以上の制御フローにおいて、少なくともステップS04の評価項目選択ルーチンが終了すると、コンピュータは図5においてユーザが選定した「材料分野」、「材料」及び「評価」のそれぞれの名称から、必要である「測定手法」及び「光学系」のそれぞれの名称をプログラムに従って特定する。
図16は、そのような測定手法等の特定のための演算フローの一例を示している。図16は、特に、ユーザが「材料分野」として透明電極膜を選択し、「材料」としてZnOを選択した場合を例示している。
例えば、ユーザが図11の評価項目選択で評価として定性分析を選び、さらに図12の詳細条件設定で測定手法としてOut-of-Plane 測定を選べば、コンピュータはプログラムに従って、PB/RSの光学系調整を行う工程、通常の試料位置調整を行う工程、そして汎用の Out-of-Plane 測定を行う工程の各工程を選定する。
また、例えば、ユーザが図11の評価項目選択で評価として膜厚評価を選び、図10の情報入力で100nm以下を選べば、コンピュータはプログラムに従って、PB/RSの光学系調整を行う工程、通常の試料位置調整を行う工程、そして反射率測定を行う工程を選定する。
以上の説明から理解されるように、本実施形態のX線分析装置は、従来のX線分析装置における次のような現状に立脚している。
(1)対象としている材料分野が、例えば図5の第1列に示すように多岐にわたっている。
(2)近時のX線分析装置では、実現できる評価内容が、例えば図5の第3列に示すように非常に多い。
(3)各評価内容ごとの測定順序は、ほぼ確立されている。例えば、膜厚評価、密度評価、ラフネス評価の各評価は、光学系選択・調整→試料位置調整→反射率測定→反射率解析の手順にて行われる。
(4)各種の調整ツール及び測定ツールは現状でも予め用意されているが、具体的な調整内容及び測定内容は材料と評価とによって様々であり、それらを決定することは熟練者でも難しく、ましてや未熟練者にとっては極めて困難である。
そのような現状に鑑み、本実施形態では次の処理を行っている。
(A)作業の入り口を材料分野及び材料とし、必要とされる評価項目及び詳細情報についてウィザード形式で(すなわち、各段階で質疑応答を行いながら)随時に質問して、測定の流れ及び測定条件を確定させている。
(B)すなわち、様々な選択肢を含む測定の流れ及び測定条件をライブラリ化(すなわちデータテーブル化)している。なお、選択された材料については材料データベースから測定に必要な情報(例えば指数値や2θ値)を取得している。
このような処理により、測定経験の無いユーザでも評価項目の流れ及び測定条件を自分の材料に沿った最適な状態へ簡単に組立てることができる。
さて、図14において完了ボタン55aがクリックされると、制御は図6のステップS07のマクロ作成ルーチンへ進む。このマクロ作成ルーチンにおいて、図1のCPU2は、X線測定系8へ伝送すべき測定の手順を指示する指令をマクロとして定義する。マクロとは、周知の通り、複数の命令で構成される処理を予め1つの命令として定義して成る簡易なプログラムである。マクロの生成が終了し、ユーザによって完了ボタン55aがクリックされると、作成されたマクロ56がプログラム中に記述される。作成されたマクロは図15に符号56で示すように画面上に表示できる。以下、マクロについて詳しく説明する。
(測定マクロの第1実施形態)
基本的に、CPU2は、図5の材料情報(第1列「材料分野」及び第2列「材料」)が決まり、評価(第3列)が決まり、そして測定手法(第4列)及び光学系(第5列)が決まると、マクロを作成する。
例えば、図5において、第3列の「評価の選択」で「結晶相を調べる評価」が選択され、第4列の「測定手法の選択」で「In-Plane測定」が選定された場合は、例えば、図17(a)に示すマクロが作成される。
また、第3列の「評価の選択」で「格子定数を調べる」が選択され、第4列の「測定手法の選択」で「面内方向」が選定された場合は、例えば、図17(b)に示すマクロが作成される。
さらに、第3列の「評価の選択」で「配向度を調べる」が選択され、第4列の「測定手法の選択」で「面内方向」が選定された場合は、例えば、図17(c)に示すマクロが作成される。
図17(a)、(b)及び(c)の各マクロは、それぞれ、符号1〜4の4つのステップによって構成されている。これらのステップは、マクロを構成するパーツ(すなわち部品)としてのステップなので、本明細書ではこれらの個々のステップをパーツステップと呼ぶことがある。
上記の3つのマクロの場合は、図5の第3列の評価の選択において1種類の評価が選択された場合のマクロの作成例を示している。ところが、評価の選択は1種類に限られるわけではなく複数種類の場合もある。例えば、図17の(a)〜(c)の3種類の評価が同時に選択される場合がある。この場合、マクロを作成する過程において何等の工夫も施さなければ、図17の(a)〜(c)の3種類のマクロを単に連続させることになるので、最終的なマクロは4×3=12個の工程から成るマクロとなる。
ここで、本発明者は、図17の(a)〜(c)の3種類のマクロにおいて、それぞれのマクロの工程1から工程3までは同じ、すなわち共通であることに注目した。つまり、図17の(a)〜(c)の3種類のマクロを連続して実行する場合には、各マクロの工程1から工程3までの処理は、わざわざ3回繰り返して行う必要は無く、1回だけ行えば用が足りるということである。
こうして共通する工程(すなわちパーツステップ)を1回だけ行うように設定すれば、全体的なマクロは図18に示す状態になる。このマクロにおいて、所望とする共通のステップ1〜3は実行されたことになり、しかもそのステップを徒に重ねて実行することが無くなった。これにより、ユーザに作業的に大きな負担をかけることがなく、しかもマクロにおける制御の流れにも大きな負担をかけることなく、図17(a)〜図17(c)の3つのマクロに対応した3つの測定手法を実現できるようになった。
なお、上記説明では、同一のパーツステップ1〜3を1回だけ実行することにしたが、必要であるのは、同一のパーツステップ1〜3が3つの測定手法分だけ(すなわち3回分だけ)重ねて実行されることを回避すれば良い訳であり、従って、同一のパーツステップ1〜3を2回行うようにしても、ユーザ等の負担を軽減することは可能である。つまり、共通するパーツステップ1〜3は少なくとも1回、実行されれば良いということである。
図18に示したマクロは、全体で6個の工程(パーツステップ)で済むことになる。こうして共通する工程を1回だけ実行するように設定することにより、手間を省くことが可能となり、さらに処理時間を短く減縮することが可能となった。
(測定マクロの第2実施形態)
図19はマクロの作成に関する別の実施形態を示している。この実施形態では、図19の(a)及び(b)の2種類の評価が同時に選択される場合である。この場合、これら2種類のマクロでは工程1(パーツステップ1)及び工程2(パーツステップ2)が共通していて、それらを共通化することができる。
これらのマクロの工程(パーツステップ)3を見ると、それらの工程は互いに異なっているので、基本的には共通化できないものと考えられる。しかしながら、マクロ(a)の工程3は「インプレーン試料位置調整」であり、マクロ(b)の工程3は「試料位置調整」である。この場合、調整精度を考えると、インプレーン試料位置調整の精度は試料位置調整の精度よりも高く設定する必要がある。このことは、インプレーン試料位置調整を行った後は、マクロ(b)における工程3の試料位置調整を行わなくても、位置精度は十分に高いということである。
つまり、第1のマクロに含まれるパーツステップであるインプレーン試料位置調整のステップ3の機能は、第2のマクロに含まれるパーツステップである試料位置調整のステップ3の機能を包含している関係、すなわち第1マクロのステップ3の機能が第2マクロのステップ3の機能よりも広い機能あるいは高い機能になっているということである。
従って、本実施形態の場合は、図19(c)に示すように、最終的なマクロにおいて、工程1及び工程2は共通化し、工程3の試料位置調整に関しては、高精度であるインプレーン試料位置調整だけを一回、実行することにしている。この実施形態によれば、2種類のマクロを別々に行うことにすれば8個の工程(パーツステップ)を経なければならないところ、工程1及び工程2を共通化し、さらに工程3についても精度が高い方の一方の工程を実行することにしたので、工程数は5個で済む。このため、2種類のマクロを別々に実行する場合に比べて、ユーザの作業的な手間を省くことができ、さらに処理時間を短く減縮できる。
以上のように、本実施形態では、複数の評価が選択された場合は、マクロに工夫を加えることにより、最小の手間(すなわち、時間や部品交換等を最小にすること)で測定が可能になるように、測定の流れを最適化している。具体的には、選択された評価内容及び詳細情報から、複数の測定手法間で共通の工程は1回の実施によって各測定手法間で共用する。また、必要となる光学系が複数の光学系に及ぶ場合は、それぞれの光学系で測定できる項目にまとめている。このような処理により、測定経験の無いユーザでも評価項目の流れ及び測定条件を自分の材料に沿った最適な状態へ簡単に組立てることができる。
(X線測定の実行)
以上のようにして、図5の測定手法(第4列参照)及びそれに付随した光学系(第5列参照)が決まると、その情報が図1の測定ソフトウエア37へ伝送され、さらに測定ソフトウエア37は決められた測定手法を実現するための情報をX線測定系8へ伝送する。これにより、X線測定系8は決められた条件に従って決められた測定手法を実現し、その結果、ユーザが所望する測定データが求められる。
以上の説明から理解されるように、本実施形態によれば、材料分野の名称及び材料の名称を入力するだけでその材料に適した評価法(例えば、定性分析、結晶性評価等)を誰でもが簡単且つ正確に認識でき、さらに、その材料に適した測定手法を簡単且つ正確に認識できる。
特に、本実施形態では、材料分野の名称及び材料の名称の両方に基づいて評価の名称を選定することにしたので、材料に対して適切な評価法を特定できる。
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、X線測定系8は図2に示した構成のものに限られない。X線測定系8は、複数の測定手法を実現できる機能を持っていさえすれば他の任意の構成とすることができる。





























Figure 0005871393
1.X線分析装置、 2.CPU(演算制御手段)、 3.ROM、 4.RAM、 5.メモリ、 8.X線測定系、 9.ディスプレイ(画像表示手段)、 10.キーボード(入力手段)、 11.マウス(入力手段)、 12.データバス、 15.ゴニオメータ(測角器)、 16.X線発生装置、 17.X線検出器、 18.フィラメント、 19.ターゲット、 22.入射光学系、 23.受光光学系、 24.CBOユニット、 25.モノクロメータ部、 26.入射光学ユニット、 27.入射スリットボックス、 30.第1受光スリットボックス、 31.第1受光光学ユニット、 32.第2受光光学ユニット、 33.第2受光スリットボックス、 34.アッテネータ部、 37.測定実行プログラム、 38.材料評価テーブル、 39.ウィザードプログラム、 40.条件ファイル、 41.測定データファイル、 42.解析データファイル、 45.材料分野選択画面、 46a,46b,46c,46d,46e.選択ボタン、 47a,47b.材料選択画面、 48.入力画面、 49.入力所定欄、 50.評価項目選択画面、 51.説明ウィンドウ、 52.自動解析設定画面、 53.選択項目確認画面、 54.戻るボタン、 55a.完了ボタン、 56.マクロ、 F.X線源、 R1.入射X線、 R2.回折X線、 S.試料、 θ.X線入射角、 2θ.回折角、

Claims (5)

  1. 複数の測定手法を実現する機能を持ったX線分析装置において、
    部品を変えること及び/又は部品の動きを変えることによって複数の測定手法を実現する測定系と、
    前記複数の測定手法のうちの個々を選択的に実現する測定ソフトウエアと、
    前記測定手法を実現するためのマクロを作成するマクロ作成手段と、を有しており、
    前記マクロ作成手段は、
    複数のパーツステップから成り前記複数の測定手法の個々を実現するためのマクロを作成、さらに
    前記複数の測定手法の少なくとも2つを実現する場合であって、各測定手法に対応するマクロが同一のパーツステップを含んでいるときには、それらの同一のパーツステップの少なくとも1つの実行を省略し、各測定手法間で異なっているパーツステップを順次に実行するというマクロを作成する
    ことを特徴とするX線分析装置。
  2. 複数の測定手法を実現する機能を持ったX線分析装置において、
    部品を変えること及び/又は部品の動きを変えることによって複数の測定手法を実現する測定系と、
    前記複数の測定手法のうちの個々を選択的に実現する測定ソフトウエアと、
    前記測定手法を実現するためのマクロを作成するマクロ作成手段と、を有しており、
    前記マクロ作成手段は、
    複数のパーツステップから成り前記複数の測定手法の個々を実現するためのマクロを作成
    前記複数の測定手法の少なくとも2つを実現する場合であって、各測定手法に対応するマクロのうちの1つである第1マクロに含まれるパーツステップの機能が他のマクロである第2マクロに含まれるパーツステップの機能を包含するような機能であるときには、第2マクロに属するパーツステップは用いずに、第1マクロに属するパーツステップを用い、さらに各測定手法間で異なっているパーツステップを順次に実行するというマクロを作成する
    ことを特徴とするX線分析装置。
  3. 前記部品は、X線を発生するX線源、入射光学系内に配置される部品、測定対象である試料、受光光学系内に配置される部品、及びX線を検出するX線検出手段を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のX線分析装置。
  4. 前記入射光学系内に配置される部品はスリット及びモノクロメータを含み、前記受光光学系内に配置される部品はアナライザ、スリット及びアッテネータを含むことを特徴とする請求項1から請求項3の少なくとも1つに記載のX線分析装置。
  5. 前記パーツステップは、前記マクロを構成する複数のステップの個々のことであることを特徴とする請求項1から請求項4の少なくとも1つに記載のX線分析装置。
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