JP4155538B2 - X線測定装置及びx線測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線を用いて試料の物性に関して測定を行うX線測定装置及びそれを用いて行われるX線測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のX線測定装置として、X線ビームをコリメータによって狭い断面径に制限して試料に照射するようにしたものが知られている。このX線測定装置によれば、試料に対するX線照射野がコリメータによって狭い範囲に制限され、その狭いX線照射野内におけるX線情報、例えば回折X線情報を得ることができる。
【0003】
しかしながら、試料に関して得たい情報は常に特定の狭い領域からの情報に限られるものではなく、希望に応じて広狭種々の領域からの情報が必要とされるのが一般的である。このような場合、従来は、種々の断面仕様のコリメータを複数個予め用意しておき、必要に応じてそれらの中から希望のものを選択してそれをX線測定装置に交換して装着し、その交換後に測定を行っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来のX線測定装置においては、試料の微小領域を測定する場合と、試料の広い領域を測定する場合とで、それぞれ専用の光学系を持つ複数のX線測定装置が必要となり、非常に不経済であり、しかも迅速な測定ができなかった。
【0005】
ところで、コリメータの断面径が十分に小さくて、図4に示すように、試料Sに照射されるX線Rの断面径が十分に小さい場合には、X線フィルム等といった2次元X線検出器62に幅の狭いすなわち分解能の高いデバイ環Dを得ることができる。ところが、コリメータの断面径が大きくなって、図5に示すように、試料Sに照射されるX線Rの断面径が矢印Kのように広くなると、試料Sに対するX線照射野は広がるが、回折パターンがずれて重なるため、2次元X線検出器62には幅の広いすなわち分解能の悪いデバイ環Dしか得られない。
【0006】
つまり、試料に関して広い領域を測定対象とするために、コリメータの断面径を許容限界以上に大きく設定すると、分解能の高いデータを得ることができなくなるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、コリメータ等を用いて試料に対するX線の照射野を調整して測定を行う場合に、試料の微小領域から広い領域にわたって1つのX線光学系によって測定を行うことを可能にし、しかも微小領域から広い領域にわたる全ての範囲に関して分解能の高いデータを得られるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1) 上記の目的を達成するため、本発明に係るX線測定装置は、X線源から試料に至るX線光軸上に配設されていて前記X線源から放出されるX線が所定範囲のX線照射野で試料を照射するようにそのX線を調整するX線照射野調整手段と、前記X線照射野に前記試料の異なる部位が持ち運ばれるように該試料と前記X線照射野調整手段とを相対的に平行移動させる試料移動手段と、前記試料移動手段によって前記試料を前記X線照射野調整手段に対して相対的に平行移動させながら各X線照射野において試料から出るX線を等回折角度線ごとに積算して前記X線照射野よりも広い領域のX線強度を検出するX線検出手段とを有することを特徴とする。
【0009】
上記構成のX線測定装置によれば、X線照射野調整手段によるX線照射野を試料に対して移動させながら測定を行うので、X線照射野調整手段によるX線照射野が狭い場合でも、そのX線照射野よりも広い領域に対するデータを得ることができる。
【0010】
しかもその場合、試料に対するX線照射野は常に狭い領域に維持されるので、分解能が低下して測定データの信頼性が低くなるという不都合も生じない。
【0011】
さらに、試料の微小領域から広い領域にわたって測定を行う際、X線照射野調整手段を断面径の小さいものから広いものへと交換することなく、1つのX線光学系によって測定を行うことができ、その結果、非常に迅速な測定を実現できる。
【0012】
(2) 上記構成のX線測定装置においては、試料とX線照射野調整手段とを相対的に移動させるが、その場合には、試料の方を移動させても良いし、あるいはX線照射野調整手段の方を移動させても良い。しかしながら、実際には、前記X線照射野調整手段を測定中に静止状態で配置し、そのX線照射野調整手段に対して試料を移動させるという構成が好都合である。
【0013】
その理由は、X線照射野調整手段の方を移動させることにすると、それに合わせてX線光軸、すなわちX線源及びX線検出手段もそれに同期させて正確に移動させなければならず、そのための構造が非常に複雑になるからである。
【0014】
(3) 上記構成において、「X線照射野調整手段」としては、例えば、X線源から発散するX線の進行を狭い範囲に制限することによって断面径の狭いほぼ平行なX線ビームを取り出すようにしたコリメータが考えられる。このようなコリメータは、例えばX線焦点と1つのピンホールとでX線ビームの断面径を規定する構造のシングルピンホールコリメータや、X線の進行方向に配列された一対のピンホールコリメータによってX線ビームの断面径を規定する構造のダブルピンホールコリメータ等によって形成できる。
【0015】
なお、本発明でいうX線照射野調整手段は、上記のコリメータと同じ作用を奏することのできる他の構造のX線光学要素をも含むものである。
【0016】
(4) 上記構成のX線測定装置において、前記X線検出手段は、X線を直線領域内で受光してその直線領域内の各点においてX線を積算的に検出できる1次元X線検出手段、又は、X線を平面領域内で受光してその平面領域内の各点においてX線を積算的に検出できる2次元X線検出手段によって構成できる。
【0017】
上記1次元X線検出手段としては、例えばPSPC(Position Sensitive Proportional Counter:位置敏感型比例計数管)を含んで構成できる。また、上記2次元X線検出手段としては、例えば輝尽性蛍光体によって構成できる。
【0018】
(5) 上記構成のX線測定装置に関しては、前記試料を面内回転させる面内回転手段と、前記試料を揺動させる揺動手段とを付加的に設けることができる。一般に、X線照射野の中に含まれる結晶の数が少ないと、その結晶が回折条件を満足する結晶格子面を含む場合でも、回折X線を得ることができない事態が生じる。この場合、試料をX線照射点を中心として傾斜揺動及び/又は面内回転移動させれば、それらの移動の間の任意の時点で回折X線を得ることができ、いわゆる結晶のランダマイズ化又は結晶の平均化が達成できる。
【0019】
(6) 次に、本発明に係るX線測定方法は、上記(1)から(5)に記載のX線測定装置を用いたX線測定方法において、前記試料に関する測定領域が1×1mm2以下であるときは前記X線照射野調整手段を静止状態にして測定を行い、他方、前記試料に関する測定領域が1×1mm2を越えるときは前記試料移動手段によって前記試料を前記X線照射野調整手段に対して相対的に平行移動させながら測定を行うことを特徴とする。
【0020】
本発明者の実験によれば、コリメータによって形成されるX線ビームの断面径がφ1mm以下であるときには分解能の高い測定データを得ることができた。そして、コリメータによって形成されるX線ビームの断面径がφ1mmを越えるときには分解能が悪くなって信頼性の高いデータを得ることができなかった。従って、試料に対する測定領域が1×1mm2 を越えるときには、コリメータの断面径を大きくするよりも、コリメータの断面径は狭く維持したままでそのコリメータを試料に対して相対的に移動して、試料の測定領域をX線照射野によって走査することが望ましい。
【0021】
(7) 上記構成のX線測定方法は、測定領域に異なる結晶相、例えばCaCo2 、SiO2 、Si等といった各相を含むような試料を測定対象とすることができ、そのときに、前記試料移動手段は前記X線の照射野がそれらの異なる結晶相の間で移動するように前記試料と前記X線照射野調整手段とを相対的に平行移動させるようにすることができる。
【0022】
このような方法によれば、X線照射野調整手段を試料に対して相対的に移動させることによって試料全体に含まれる全結晶相の測定を行った上で、その後にX線照射野調整手段を特定の結晶相に合わせて、より詳しい測定を行うというような測定を行うことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は、本発明に係るX線測定装置の一実施形態を示している。このX線測定装置は、X線を放射するX線源としてのX線焦点Fと、そのX線焦点Fから放射されるX線のうちから断面径の小さい平行X線ビームを取り出すX線照射野調整手段としてのコリメータ1と、測定対象である試料SをX線焦点F及びコリメータ1の中心を通るX線光軸L0上に支持する試料支持装置3と、そして試料Sの周囲に配設されたX線検出手段としての円筒状の輝尽性蛍光体2とを有する。
【0024】
なお、図1では上記の各X線光学要素を模式的に示しており、それらの相対的な大きさは実際のものとは異なっていることもある。また、実際のX線光学系においては、上記のX線光学要素以外にスリット、モノクロメータ等といったその他のX線光学要素が必要に応じて用いられることがあるが、本実施形態ではそれら付帯的な要素の図示は省略してある。
【0025】
X線焦点Fは、周知のように、発熱して熱電子を放出するフィラメント(図示せず)とそれに対向して配置されるターゲット(図示せず)とを含んだX線発生構造において、ターゲットにおける電子照射面として形成される。そして、そのX線焦点Fから例えばポイント状のX線を放出する。
【0026】
コリメータ1は、X線焦点Fから放射されたX線が所定範囲のX線照射野Aで試料Sを照射するようにそのX線を調整するX線照射野調整手段として作用する。本実施形態ではこのコリメータ1は、X線取込み側に径の大きなピンホール4aを有し、X線取出し側に径の小さなピンホール4bを有するダブルピンホールコリメータによって構成されており、一対のピンホール4a及び4bによって試料SにおけるX線照射野Aを規定する。X線照射野調整手段は、このコリメータ1以外の構成のコリメータによって構成することもできるし、同じ作用を奏することのできるコリメータ以外のX線光学要素によって構成することもできる。
【0027】
コリメータ1の試料S側のピンホール4bは、φ1mm以下に形成され、X線照射野Aはそのピンホール4bとほぼ同じ大きさの面積に形成される。
【0028】
試料支持装置3は、試料Sが載るXY平行移動装置6と、そのXY平行移動装置6を支持する面内回転装置7と、その面内回転装置7を支持する揺動装置8とを含んで構成される。
【0029】
XY平行移動装置6は、試料Sを互いに直交する2方向である図のXY方向へへ平行移動させることにより、試料Sの任意の部位をX線照射位置Aへ持ち運ぶための装置である。なお、図示の状態では試料SがX線光軸L0に対して傾斜状態にあり、よって、XY平行移動装置6によって試料Sが動かされると、試料Sはその傾斜状態を維持したままでX線光軸L0に対してスライド移動する。
【0030】
このXY平行移動装置6の具体的な構造は任意に選定できる。例えば、一方向へスライド移動するテーブルの上にそれと直角方向へスライド移動する他のテーブルを載せて成る、いわゆるXYテーブルを用い、それらのテーブルをパルスモータ等といった回転制御機能付動力源によって駆動するといった駆動構造を採用できる。
【0031】
面内回転装置7は、試料Sをそれに直交するφ軸線を中心として矢印Cのように一定方向又は往復方向へ回転、いわゆる面内回転させるための装置である。このφ軸線は、コリメータ1による試料SへのX線照射点を通って該試料Sに対して直角方向へ延びる軸線である。
【0032】
この面内回転装置7の具体的な構造も任意に選定でき、例えば、XY平行移動装置6をパルスモータ等といった回転制御機能付動力源によって駆動するといった駆動構造を採用できる。
る。
【0033】
次に、揺動装置8は、面内回転装置7をω軸線を中心として回転させる装置である。このω軸線は、コリメータ1による試料SへのX線照射点を通って輝尽性蛍光体2の円筒形状のほぼ中心に位置する軸線である。この揺動装置8は、試料Sに対するX線入射角度θ0を調整すること及び測定中に試料Sを矢印Eのようにω軸線を中心として所定角度で往復回転移動させることの2つの作用を持っている。
【0034】
この揺動装置8の具体的な構造は任意に選定でき、例えば、面内回転装置7をパルスモータ等といった回転制御機能付動力源によって駆動するといった駆動構造を採用できる。
【0035】
なお、本実施形態では、試料Sを輝尽性蛍光体2に対して、すなわちω軸線に対して適宜の傾斜角度θ1、例えば45°、だけ傾斜状態に配置する。これは、仮に試料Sがω軸線に対して平行に配置されていると、その試料Sからの回折X線の一部が輝尽性蛍光体2が存在していない方向へ進行して検出できなくなることがあるのに対し、試料Sを輝尽性蛍光体2に傾斜して配置すれば、その試料Sからの回折X線をより広い範囲で輝尽性蛍光体2によって捉えることができるからである。
【0036】
次に、輝尽性蛍光体2は、X線を平面領域内で受光してその平面領域内の各点においてX線を検出できる構造のX線検出手段の1つであり、より具体的には、エネルギ蓄積型の放射線検出器であって、輝尽性蛍光物質、例えばBaFBr:Er2+ の微結晶を可撓性フィルム、平板状フィルム、その他の部材の表面に塗布等によって成膜したものである。この輝尽性蛍光体2は、X線等をエネルギの形で蓄積することができ、さらにレーザ光等といった輝尽励起光の照射によりそのエネルギを外部に光として放出できる性質を有する物体である。
【0037】
つまり、輝尽性蛍光体にX線等を照射すると、その照射された部分に対応する輝尽性蛍光体の内部にエネルギが潜像として蓄積され、さらにその輝尽性蛍光体にレーザ光等といった輝尽励起光を照射すると上記潜像エネルギが光となって外部へ放射される。この放出された光を光電管等によって検出することにより、潜像の形成に寄与したX線の回折角度及び強度を測定できる。この輝尽性蛍光体は従来のX線フィルムに対して10〜60倍の感度を有し、さらに105 〜106 に及ぶ広いダイナミックレンジを有する。
【0038】
本実施形態のX線測定装置は以上のように構成されているので、X線焦点FからX線が放射されると、そのX線の一部分がコリメータ1によって断面径の小さい平行X線ビームとして取り出され、その取り出されたX線が所定範囲のX線照射野Aで試料Sを照射する。
【0039】
照射されたX線と試料S内の結晶格子面との間でX線の回折条件が満足されると、その試料SでX線が回折し、その回折X線が輝尽性蛍光体2によって受光される。試料Sが粉末試料のように結晶方位が無秩序に存在する場合には輝尽性蛍光体2には濃度が一様なデバイ環が受光される。一方、X線照射野A内に含まれる結晶の数が少ない場合には、デバイ環の一部において回折X線が受光される。
【0040】
また、X線照射野A内に含まれる結晶の数が少ない場合であって、試料Sから回折X線が取り出し難いときには、揺動装置8及び/又は面内回転装置7を作動して試料Sを傾斜移動及び/又は面内回転移動させて、結晶のランダム化すなわち平均化を行って回折X線を検出する。
【0041】
本実施形態で用いるコリメータ1によって取り出されるX線ビームの径、すなわちコリメータ1によるX線照射野Aは、上記の通りφ1mm以下に形成されるので、試料Sに関する測定領域がそのX線照射野Aと同じ広さであれば、上記の通りの測定処理によって希望する測定データを得ることができる。
【0042】
他方、試料Sに関する測定領域が、図1に符号Bで示すようにコリメータ1によるX線照射野Aよりも広い場合には、XY平行移動装置6を作動して試料SをX線光軸L0に対して平行移動させることにより、X線照射野Aを広い測定領域Bを描くように走査移動させる。これにより、輝尽性蛍光体2の表面には、広い測定領域Bに関する回折X線データが狭いX線照射野Aに関する回折X線データの積算結果として得られる。
【0043】
コリメータ1のピンホール4bの大きさを広い測定領域Bの大きさに一致させれば、試料Sとコリメータ1とを相対移動させることなく、測定領域Bに関する回折X線データを得ることができるが、その場合には、分解能が低下して信頼性の高いデータを得ることができない。これに対し、上述した本実施形態の処理方法によれば、測定領域Bが広くなってもコリメータ1のX線照射野Aは小さいままなので高い分解能を維持できる。
【0044】
さらに、本実施形態によれば、試料Sの微小領域から広い領域にわたって測定を行う際、コリメータ1に関してはX線照射野の異なる複数のものを交換して使用することなく常に同じものを使用できるので、1つのX線光学系によって測定を行うことができ、その結果、非常に迅速な測定を実現できる。
【0045】
なお、図1において輝尽性蛍光体2によって検出された測定データは、例えば図2に示すような読取り装置によって読み取ることができる。ここに示す読取り装置は、輝尽性蛍光体2を平面状に支持する支持台11と、輝尽励起光としてのレーザ光を放出するレーザ光源14と、レーザ光源14から放出されるレーザ光を反射する光反射部材13aと、支持台11に対向して配設されていて光反射部材13aからの光を受け取る走査光学系12と、そして光反射部材13bからの光を受け取るレーザ光検出器16とを有する。レーザ光検出器16は、例えば光電変換器を含んで構成される。
【0046】
走査光学系12は走査駆動装置17によって駆動されて輝尽性蛍光体2の表面をX−Yの直交2方向すなわち平面方向へ走査する。走査駆動装置17は任意の平行移動機構を用いて構成できる。レーザ光検出器16は、光を受け取ってその光強度に対応した信号を出力する。そして、レーザ光検出器16の出力端子にはX線強度演算回路18が接続される。
【0047】
演算装置26は、CPU(Central Processing Unit)28及びメモリ29を有する。メモリ29は、CPU28が使用するプログラムを格納するメモリ領域や、CPU28のためのワークエリアやテンポラリファイル等として作用するメモリ領域等を含むものであり、具体的には半導体メモリ、ハードディスク、その他各種の記憶媒体によって形成できる。CPU28は、メモリ29内に記憶されたプログラムに従って、入出力インターフェース31に接続された各種装置を制御するための演算を行う。
【0048】
上記のX線強度演算回路18及び走査駆動装置17は、それぞれ、入出力インターフェース31を通してCPU28に接続される。また、入出力インターフェース31には、情報を映像として表示するためのCRTその他のディスプレイ32及び情報を紙等の印材上にプリントするためのプリンタ33が接続される。
【0049】
図1において測定を終了した輝尽性蛍光体2を図2の支持台11に装着し、走査光学系12をX−Y平面内で走査移動させながらレーザ光を照射して読取りを行えば、CPU28の演算により、回折X線像のX−Y平面内での座標位置を求めることができる。
【0050】
CPU28は、そのようにして求められた試料Sに関する回折X線像の強度を1つのデバイ環ごと、すなわち等回折角度線ごとに合計、すなわち積算、例えば積分することにより、各回折角度(2θ)ごとのX線強度を演算することができる。
【0051】
ところで、試料Sは図1の測定領域B内に異なる結晶相、例えばCaCo2、SiO2、Siの各結晶相を含む場合がある。このような試料Sに関しては、コリメータ1のX線照射野Aがそれらの異なる結晶相の間で移動するように、XY平行移動装置6によって試料Sをそのコリメータ1に対して相対的に平行移動させることができる。
【0052】
そして、そのような平行移動によって試料Sに関する全体的な測定を行って試料Sの全体像を測定し、その後、コリメータ1の照射野Aを希望する特定の結晶相の所に合わせてその狭い測定域に対して詳しい測定を行うというような測定を行うことができる。
【0053】
(第2実施形態)
図3は、本発明に係るX線測定装置の他の実施形態を示している。このX線測定装置が図1に示したX線測定装置と異なる点は、X線検出手段として、2次元X線検出装置である輝尽性蛍光体2に代えて、PSPC(Position Sensitive Proportional Counter :位置敏感型比例計数管)41を含んだ1次元X線検出装置を用いたことである。
【0054】
また、図1の実施形態で用いた揺動装置8は、面内回転装置7を1つの軸線であるω軸線だけを中心として回転移動させる構造としたが、図3に示す本実施形態で用いる揺動装置8は、面内回転装置7をω軸線を中心として回転移動させると共に、ω軸線に直交するχ(カイ)軸線を中心として回転移動させる構造としてある。
なお、図3において図1と同じ要素は同じ符号を用いて示すことにして、それらについての説明は省略する。
【0055】
PSPC41は、周知の1次元検出器であり、例えばケーシング42の内部に信号線43及びX線から電荷を誘導するための適宜の構造が格納される。X線から電荷を誘導する構造としては、例えばアノード線及びカソード線を信号線43に平行に配設する構造が考えられる。ケーシング42のうち試料Sに対向する面には、X線の回折角度(2θ)方向の広い範囲からX線を取り込むための細長い開口44が、例えばω軸線に対して平行に設けられる。
【0056】
PSPC41に取り込まれたX線の強度及び回折角度を検知するためのX線演算回路46は、信号線43の両端からの信号を入力する位置演算回路47と、位置演算回路47の出力信号をピーク波形の波高に変換する位置/波高変換回路48と、そして位置/波高変換回路48の出力信号に基づいて回折角度(2θ)に関するX線強度分布を求めるMCA(Multi-Channel Height Analyzer:多重波高分析器)49を含んで構成される。MCA49の出力端子には、必要に応じて、演算結果を映像として表示するディスプレイ51及び演算結果を紙等の印材上にプリントするプリンタ52が接続される。
【0057】
開口44の適宜の位置を通してPSPC41の内部にX線が取り込まれると、そのX線によって電荷が誘導され、その電荷に応じたパルス信号が信号線43の両端に現れる。これらのパルス信号は回折角度(2θ)方向の距離に比例した時間差をもって出力されるようになっており、位置演算回路47はその時間差を測定して、その時間差に応じた信号を出力する。この出力信号は回折角度(2θ)方向におけるX線入射位置を示している。
【0058】
位置/波高変換回路48は、位置演算回路47によって演算された2θ角度位置情報に対応した波高値のパルス信号を生成して出力する。MCA49は、所定幅の測定ウインドウを異なる波高値間で連続的に多段階にわたって接続することによって構成された多重波高分析器であり、種々の波高値のパルス信号がそれに入力されたときに、それらの波高値に対応するウインドウを持ったチャンネル内でそのパルス信号をカウントするものである。PSPC42に取り込まれたX線の強度が強ければ、MCA49内の同じチャンネルにカウントされる計数値、すなわち積算値が大きくなる。
【0059】
つまり、MCA49を構成する各チャンネルの違いによって回折角度(2θ)を知ることができ、さらに各チャンネルにカウントされたカウント値によってX線の強度を知ることができる。その結果、MCA49に接続されたディスプレイ51又はプリンタ52によって、回折角度(2θ)に関するX線強度分布を表示できる。
【0060】
以上のようなPSPC41を含むX線検出装置を用いた場合、X線焦点Fから出たX線がコリメータ1の働きによって試料Sの特定のX線照射野Aに照射されたとき、そのX線と結晶格子面とが回折条件を満足すれば、試料SでX線が回折し、その回折X線がPSPC41の開口44へ向かうものであれば、その回折X線はPSPC41の内部へ取り込まれる。そして、当該回折X線の回折角度に対応した位置において信号線43に電荷が誘導され、その位置からの距離に応じた時間差をもって信号線43の両端にパルス信号が出力され、それらの出力信号に基づいて位置演算回路47によって回折角度(2θ)が演算される。
【0061】
そして、その演算された回折角度が位置/波高変換回路48によって特定の波高値を有するパルス信号に変換され、さらに、MCA49においてその波高値に対応したチャンネルにカウント値が加算される。これにより、X線照射野Aに関する回折X線データが測定される。
【0062】
また、試料Sに関する測定領域が、符号Bで示すようにコリメータ1によるX線照射野Aよりも広い場合には、XY平行移動装置6を作動して試料SをX線光軸L0に対して平行移動させることにより、X線照射野Aを広い測定領域Bを描くように走査移動させる。これにより、広い測定領域Bに関する回折X線データが狭いX線照射野Aに関する回折X線データの積算結果としてMCA49の各チャンネル内に得られる。
【0063】
この場合でも、測定領域Bが広くなってもコリメータ1のX線照射野Aは小さいままなので、高い分解能をもった測定を維持できる。さらに、試料Sの微小領域から広い領域にわたって測定を行う際、コリメータ1に関してはX線照射野の異なる複数のものを交換して使用することなく常に同じものを使用できるので、1つのX線光学系によって測定を行うことができ、その結果、非常に迅速な測定を実現できる。
【0064】
なお、PSPC41は試料Sから発生する回折X線が形成するデバイ環を開口44で切り取り、その切り取った位置にX線が存在するときにそのX線を検出するという処理を行っている。従って、そのデバイ環のうち開口44以外の位置に存在するX線を開口44へ持ち運ぶため、揺動装置8及び面内回転装置7によって試料Sを適宜に揺動運動させることが望ましい。特に、本実施形態では揺動装置8によって試料Sがω軸線及びχ軸線の2軸の回りに揺動できるので、1次元X線検出器であるPSPC41によっても十分確実に回折X線を捉えることができる。
【0065】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
【0066】
例えば、図1及び図3に示す実施形態では、試料Sをコリメータ1に対して移動させることにより、X線照射野Aを走査移動させて広い測定領域Bを規定したが、コリメータ1の方を試料Sに対して移動させることもできる。但し、この場合には、コリメータ1の動きに合わせてX線光学系、すなわちX線焦点FやX線検出手段も一体的に動かす必要がある。
【0067】
また、図1及び図3の実施形態では、試料Sで反射する状態の回折X線をX線検出手段によって検出する構造の、いわゆる反射配置のX線光学系に関して本発明を適用したが、試料で回折するX線がその試料の後ろ側に反射する構造の、いわゆる透過配置のX線光学系に関して本発明を適用できることはもちろんである。
【0068】
【発明の効果】
本発明に係るX線測定装置及びX線測定方法によれば、コリメータ等といったX線照射野調整手段によるX線照射野を試料に対して移動させながら測定を行うので、X線照射野調整手段によるX線照射野が狭い場合でも、そのX線照射野よりも広い領域に対するデータを得ることができる。そしてこの場合、試料に対するX線照射野は常に狭い領域に維持されるので、分解能が低下して測定データの信頼性が低くなるという不都合を回避できる。
【0069】
さらに、試料の微小領域から広い領域にわたって測定を行う際、X線照射野調整手段を断面径の小さいものから広いものへと交換することなく、1つのX線光学系によって測定を行うことができ、その結果、非常に迅速な測定を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るX線測定装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2のX線測定装置に付随するX線読取り装置の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明に係るX線測定装置の他の実施形態を示す斜視図である。
【図4】試料Sにビーム径の細いX線が入射したときの回折状態を模式的に示す図である。
【図5】試料Sにビーム径の大きいX線が入射したときの回折状態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 コリメータ(X線照射野調整手段)
2 輝尽性蛍光体(X線検出手段)
3 試料支持装置
4a,4b ピンホール
11 試料支持装置
41 PSPC(X線検出手段)
A X線照射野
B 測定領域
D デバイ環
F X線焦点
L0 X線光軸
S 試料
Claims (7)
- X線源から試料に至るX線光軸上に配設されていて前記X線源から放出されるX線が所定範囲のX線照射野で試料を照射するようにそのX線を調整するX線照射野調整手段と、
前記X線照射野に前記試料の異なる部位が持ち運ばれるように該試料と前記X線照射野調整手段とを相対的に平行移動させる試料移動手段と、
前記試料移動手段によって前記試料を前記X線照射野調整手段に対して相対的に平行移動させながら各X線照射野において試料から出るX線を等回折角度線ごとに積算して前記X線照射野よりも広い領域のX線強度を検出するX線検出手段と
を有することを特徴とするX線測定装置。 - 請求項1において、前記試料移動手段は前記試料を前記X線照射野調整手段に対して移動させることを特徴とするX線測定装置。
- 請求項1又は請求項2において、前記X線照射野調整手段はピンホールによってX線のビーム径を制限するコリメータであることを特徴とするX線測定装置。
- 請求項1から請求項3のいずれか1つにおいて、
前記X線検出手段は、
X線を直線領域内で受光してその直線領域内の各点においてX線を積算的に検出できる1次元X線検出手段、又は
X線を平面領域内で受光してその平面領域内の各点においてX線を積算的に検出できる2次元X線検出手段を有する
ことを特徴とするX線測定装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか1つにおいて、
前記試料を面内回転させる面内回転手段と、前記試料を揺動させる揺動手段とを有することを特徴とするX線測定装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか1つのX線測定装置を用いたX線測定方法において、
前記試料に関する測定領域が1×1mm2以下であるときは前記試料と前記X線照射野調整手段とを相対移動させない状態で測定を行い、他方、
前記試料に関する測定領域が1×1mm2を越えるときは前記試料移動手段によって前記試料と前記X線照射野調整手段とを相対的に平行移動させながら測定を行う
ことを特徴とするX線測定方法。 - 請求項6において、
前記試料に関する測定領域は異なる結晶相を含む領域であり、
前記試料移動手段は前記X線の照射野がそれらの異なる結晶相の間で移動するように前記試料と前記X線照射野調整手段とを相対的に平行移動させて全体的な測定を行い、
その後、X線照射野調整手段のX線照射野を特定の結晶相の領域に合わせて移動させて当該結晶相の領域に対して詳しい測定を行う
ことを特徴とするX線測定方法。
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