JP2001310886A - エレベータ装置のガイドレール支持構造 - Google Patents

エレベータ装置のガイドレール支持構造

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブラケットを実用的な寸法に保ちつつ125
Hz以下の周波数の振動を効率的に吸収し、建物の居室
に伝わる振動を減衰する。 【解決手段】 ガイドレール支持構造16は、エレベー
タ昇降路10の壁12に沿って上下方向に配置されたガ
イドレール14とを連結するブラケット18を有する。
ブラケット18は、壁12に沿って上下方向に伸びる垂
直部22と、垂直部22の上部又は下部から水平方向に
伸び、ガイドレール14に直接又は間接に連結される水
平部24とを有し、垂直部22の特定連結部位(固定ボ
ルト28の近傍)で壁12に連結される。また、特定連
結部位と水平部24との間の部分(振動部分34)の長
さが60mm以上に設定されている。これにより、ガイ
ドレール14から壁12に伝わる振動が垂直部22で減
衰され、壁12から居室に伝わる振動が減少するので、
居住者に快適な生活環境を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エレベータ装置に
おいて、昇降路に沿って昇降するエレベータかごのガイ
ドレールを昇降路の壁に連結固定するガイドレール支持
構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図8に示すように、一般に、建物に付設
されるエレベータ装置100は、建物102の一部に構
築されたエレベータ昇降路104と、エレベータ昇降路
104に沿って昇降するエレベータかご106と、エレ
ベータ昇降路104に沿って上下に配置され、エレベー
タかご106の昇降をガイドする複数のガイドレール1
08を有する。また、ガイドレール108は、上下方向
に所定の間隔をあけて配置されたガイドレール支持構造
110を介し、昇降路104の壁112に固定されてい
る。
【0003】このようなエレベータ装置100では、エ
レベータかご106はその上下左右に設けたガイドシュ
ー114等を介してガイドレール108に案内される。
このとき、エレベータかご106の振動がガイドシュー
114を介してガイドレール108に伝わる。また、ガ
イドレール108の振動は、ガイドレール支持構造11
0を介して、建物102の壁112に伝わる。したがっ
て、エレベータかご106やガイドレール108の振動
が大きい場合、その振動が建物102の居室(図示せ
ず)に伝わり、居住者に不快感を与えるという問題があ
る。特に、建築工法の合理化、建築材料の軽量化、さら
に建築物の高層化に伴うエレベータの高速化により、こ
の問題の解決の重要性が増してきた。
【0004】そこで、従来、ガイドレール108から建
物に伝わる振動を軽減する技術が種々提案されている。
例えば、特開平5−78055号公報には、ガイドレー
ルとブラケットとの間にゴムなどの弾性体を介在させる
防振構造が開示されている。また、実開昭58−131
266号公報には、ブラケットに振動吸収部材を取り付
ける吸振構造が開示されている。さらに、特開平11−
236176号公報には、所定の間隔をあけて配置した
2つのスペーサを介してブラケットと壁との連結した防
振構造が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平5−7
8055号公報に開示の防振構造は、弾性体の疲労によ
る変形・損傷などにより、ガイドレールがブラケットに
対して相対的に移動するおそれがある。また、実開昭5
8−131266号公報の吸振構造は、振動吸収部材の
製造・取付に費用を要し、またブラケット上に振動吸収
部材を取り付けるためのスペースを要するために昇降路
の寸法を大きくしなければならないという問題がある。
さらに、特開平11−236176号公報の防振構造
は、スペーサ同士の間隔が振動波長の半分以下の場合に
は効果的に振動を吸収できない。そのため、例えば12
5Hz以下の振動を減衰するためには、ブラケットの長
さを1m以上としなければならないという問題がある。
【0006】そこで、本発明は、ブラケットの形状及び
取付構造を工夫することにより、弾性体や振動吸収部材
を取り付けることなく、また、ブラケットを実用的な寸
法に125Hz以下の周波数でも振動を効率的に吸収で
き、その結果、建物の居室に伝わる振動を大幅に減衰で
きるガイドレール支持構造を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、請求項1にかかるエレベータ装置のガイドレール支
持構造はブラケットを有し、上記ブラケットは、上記壁
に沿って上下方向に伸びる垂直部と、上記垂直部の上部
又は下部から水平方向に伸び、上記ガイドレールに直接
又は間接に連結される水平部とを有し、上記垂直部の特
定連結部位において上記壁に連結され、上記特定連結部
位と上記水平部との距離が60mm以上に設定されてい
ることを特徴とする。
【0008】また、請求項2に係るエレベータ装置のガ
イドレール支持構造は、上記垂直部と上記壁との間にス
ペーサを設け、上記垂直部と上記壁との間に空間を形成
したことを特徴とする。
【0009】また、請求項3に係るエレベータ装置のガ
イドレール支持構造は、上記ブラケットが変形したとき
に該ブラケットの変形量を弾性変形範囲内に規制するよ
うに、上記スペーサの厚さを薄くしたことを特徴とす
る。
【0010】また、請求項4に係るエレベータ装置のガ
イドレール支持構造は、上記特定連結部材がボルトによ
って上記壁に連結されており、上記ボルトはゆるみ止め
によりゆるみが規制されていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の好適な実施の形態を説明する。なお、以下に説明する
複数の実施の形態及びそれらを表す図面において、同一
の符号は同一又は類似の部材又は部分を示す。また、図
面を参照した説明の理解を容易にする目的で、方向を表
す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」)及
びこれらの用語を含む別の表現を用いるが、本発明の範
囲はこれらの用語によって限定されるべきでない。
【0012】(1)実施の形態1 図1(a)は、エレベータ装置において、エレベータ昇
降路10を形成する建物の壁12の一部と、エレベータ
かご(図示せず)をガイドするガイドレール14の一部
と、これら壁12とガイドレール14とを所定の間隔を
あけて連結する複数のガイドレール支持構造16の一つ
を示す。
【0013】ガイドレール支持構造16は、壁12に固
定される鋼製の壁側ブラケット18と、ガイドレール1
4に固定される鋼製のレール側ブラケット20を有す
る。本実施の形態において、壁側ブラケット18とレー
ル側ブラケット20は共に、図示するように、L型の部
材により構成されている。
【0014】壁側ブラケット18は、壁12に沿って配
置される垂直部22と、垂直部22の上端からガイドレ
ール14に向って伸びる水平部24を有する。垂直部2
2は、その下部(特定連結部位)に複数の貫通孔26が
形成されており(図1(b)参照)、これらの貫通孔2
6に挿入した固定ボルト28を壁12にねじ止めして固
定されている。同様に、レール側ブラケット20も、ガ
イドレール14に沿って配置される垂直部30と、垂直
部30の下端から壁12に向かって伸びる水平部32を
有する。そして、垂直部30は、ボルト又は溶接等の適
宜連結方法によってガイドレール14に連結され、水平
部32は壁側ブラケット18の水平部24に載り、ボル
ト又は溶接等の適宜連結方法によって、水平部24に連
結されている。
【0015】このような構成を有するガイドレール支持
構造16において、特に、壁側ブラケット18の水平部
24と固定ボルト28の貫通孔26(特定連結部位)ま
での部分(振動部分34)の長さ(距離)は、60mm
以上に設定されており、これにより振動部分34の振動
が許容されている。そのため、ガイドレール14からレ
ール側ブラケット20の水平部32、壁側ブラケット1
8の水平部24、さらに壁側ブラケット18の垂直部2
2に伝わった振動のエネルギは、振動部分34の振動と
なって殆どが失われる。その結果、壁12に伝わる振動
が大幅に減少する。
【0016】振動部分34の長さを種々変更し、オクタ
ーブバンドの中心周波数が125Hzと250Hzの帯
域の振動がガイドレールから壁に伝わる割合(振動伝達
率)を測定した。結果を図2(a)と図2(b)に示
す。これらの図から、いずれの周波数の振動に対して
も、振動部分34の長さを60mm以上とすることによ
り、ガイドレール14から壁12に伝わる振動を大幅に
減衰できることが理解できる。
【0017】なお、上述の説明では、壁側ブラケット1
8と壁12はボルト28を用いて連結したが、図1
(c)に示すように、垂直部22の下部を溶接部36に
よって壁12に連結してもよい。この場合、垂直部22
において溶接部36に囲まれた部分の重心38と水平部
24との距離を、上述のように、60mm以上に設定す
る。そして、このように距離を設定することで、ボルト
で固定した場合と同様に、ガイドレール14から壁12
に伝わる振動を大幅に減衰できる。
【0018】(2)実施の形態2 図3は、実施の形態2のガイドレール支持構造16Aを
示す。このガイドレール支持構造16Aは、壁側ブラケ
ット18の垂直部22と壁12との間であって、特定連
結部位(貫通孔26の近傍)にスペーサ40を配置した
ものである。このガイドレール支持構造16Aによれ
ば、壁12に規制されることなく垂直部22の振動部分
34が大きく変形できる。そのため、ガイドレール14
から伝わってくる振動エネルギの大部分が垂直部22に
吸収される。そして、壁12、さらに建物の居室に伝わ
る振動が大幅に少なくなる。
【0019】スペーサ40の厚さ(すなわち、スペーサ
40によって隔てた垂直部22と壁12との間隔)は、
壁側ブラケット18がガイドレール14から壁12に向
かって図面の左側に力を受けたとき、垂直部22の変形
がその弾性変形範囲内に収まるように調整するのが好ま
しい。この場合、垂直部22の上端部が壁12に接する
位置まで変形しても(曲がっても)、垂直部22はそれ
自身の弾性回復力によって図示する正常位置まで復帰す
る。そのため、長期間に亘って安定した防振効果が得ら
れる。
【0020】なお、スペーサ40は、十分な剛性を有す
る材料で構成するのが好ましく、例えば、鋼製の板(図
3参照)、ブラケット18の背面に一体的に設けた溶接
の肉盛部42(図4参照)、壁12のボルト固定部に設
けた高強度セメントの肉盛部44(図5参照)が好適に
利用できる。
【0021】(3)実施の形態3 図6は、実施の形態3のガイドレール支持構造16Bを
示す。このガイドレール支持構造16Bは、実施の形態
2のガイドレール支持構造16Aにおいて、壁側ブラケ
ット18の垂直部22と壁12との間であって、垂直部
22の上部に別のスペーサ46(変位制限部材)を設け
たものである。なお、スペーサ46は、垂直部22では
なく、これに対向する壁12に設けてもよい。この実施
の形態のガイドレール支持構造16Bによれば、地震な
どによりガイドレール14が大きく横方向に変形した場
合でも、垂直部22と壁12との衝撃的な接触を防止
し、これら垂直部22及び壁12の損傷を防止できる。
【0022】(4)実施の形態4 図7は、実施の形態4のガイドレール支持構造16Cを
示す。このガイドレール支持構造16Cは、実施の形態
1のガイドレール支持構造16において、ボルト28の
頭部と垂直部22との間に緩み止め48を設けてもので
ある。緩み止め48としては、ばねワッシャ、ダブルナ
ット等のあらゆる周知の機構が好適できる。この実施の
形態4によれば、垂直部22の振動によるボルト28の
緩みが確実に防止され、垂直部22の振動変形が長期に
亘って安定して確保される。
【0023】なお、以上の実施の形態では、壁側ブラケ
ット18の水平部24を垂直部22の上端から突出さ
せ、また、レール側ブラケット20の水平部32を垂直
部30の下端から突出させているが、水平部24、32
の両方又はいずれか一方は対応する垂直部22、30の
下端部から突出させてもよい。
【0024】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、ブラケ
ット垂直部の特定連結部位とブラケット水平部との距離
を60mm以上に設定したエレベータ装置のガイドレー
ル支持構造によれば、ガイドレールから壁に伝わる振動
がブラケット垂直部で大幅に減衰される。その結果、壁
から居室に伝わる振動が減少するので、居住者に快適な
生活環境を提供できる。
【0025】また、垂直部と上記壁との間にスペーサを
設け、垂直部と壁との間に空間を形成したエレベータ装
置のガイドレール支持構造によれば、垂直部の比較的自
由な変形が確保できるので、ガイドレールから伝わって
くる振動エネルギが更に吸収され、壁12から建物の居
室に伝わる振動が更に減少する。
【0026】さらに、ブラケットが変形したときに該ブ
ラケットの変形量を弾性変形範囲内に規制するように、
スペーサの厚さを薄くしたエレベータ装置のガイドレー
ル支持構造によれば、垂直部が壁に接する位置まで変形
しても(曲がっても)、垂直部はそれ自身の弾性回復力
によって正常位置まで復帰するので、長期間に亘って安
定した防振効果が得られる。
【0027】さらにまた、特定連結部材がボルトによっ
て壁に連結し、ボルトがゆるみ止めにより規制されてい
るエレベータ装置のガイドレール支持構造によれば、垂
直部の振動によるボルトの緩みが確実に防止され、垂直
部の振動変形が長期に亘って安定して確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係るエレベータ装置
のガイドレール支持構造の側面図〔図1(a)〕、図1
(a)におけるb−b線断面図〔図1(b)〕、他の形
態の壁側ブラケットの正面図。
【図2】 壁側ブラケット連結部における振動部の長さ
と、ガイドレールから壁に伝わる振動(周波数125H
zと250Hzの振動)の減衰率との関係を示すグラフ
〔図2(a)、図2(b)〕。
【図3】 本発明の実施の形態2に係るエレベータ装置
のガイドレール支持構造の側面図。
【図4】 実施の形態2の変形例を示すエレベータ装置
のガイドレール支持構造の側面図。
【図5】 実施の形態2の他の変形例を示すエレベータ
装置のガイドレール支持構造の側面図。
【図6】 本発明の実施の形態3に係るエレベータ装置
のガイドレール支持構造の側面図。
【図7】 本発明の実施の形態4に係るエレベータ装置
のガイドレール支持構造の側面図。
【図8】 従来のエレベータ装置の概略構成を示す断面
図。
【符号の説明】
10 昇降路、12 壁、14 ガイドレール、16
ガイドレール支持構造、18 壁側ブラケット、20
レール側ブラケット、22 垂直部、24 水平部、2
8 ボルト、34 振動部分。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 崇 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 宮本 浩成 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 3F305 BD09 CA02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エレベータ昇降路の壁と上記壁に沿って
    上下方向に配置されたガイドレールとを連結するガイド
    レール支持構造において、 上記ガイドレール支持構造はブラケットを有し、 上記ブラケットは、上記壁に沿って上下方向に伸びる垂
    直部と、上記垂直部の上部又は下部から水平方向に伸
    び、上記ガイドレールに直接又は間接に連結される水平
    部とを有し、上記垂直部の特定連結部位において上記壁
    に連結され、 上記特定連結部位と上記水平部との距離が60mm以上
    に設定されていることを特徴とするエレベータ装置のガ
    イドレール支持構造。
  2. 【請求項2】 上記垂直部と上記壁との間にスペーサを
    設け、上記垂直部と上記壁との間に空間を形成したこと
    を特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置のガイド
    レール支持構造。
  3. 【請求項3】 上記ブラケットが変形したときに該ブラ
    ケットの変形量を弾性変形範囲内に規制するように、上
    記スペーサの厚さを薄くしたことを特徴とする請求項2
    に記載のエレベータ装置のガイドレール支持構造。
  4. 【請求項4】 上記特定連結部材がボルトによって上記
    壁に連結されており、上記ボルトはゆるみ止めによりゆ
    るみが規制されていることを特徴とする請求項1から3
    のいずれかに記載のエレベータ装置のガイドレール支持
    構造。
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