JP2006036450A - エレベータ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 既設改造および新規設置の別に拘らず、昇降路拡大とかガイドレールのサイズ変更をすることなく免震建物用としてのエレベータ装置を提供すること。
【解決手段】 低層部建築体1と高層部建築体2との間に免震装置3が設けられた免震建築物に設置され、低層部建築体1から高層部建築体2にわたり低層部建築体1と高層部建築体2の各々に取り付けられたブラケット5,6によりガイドレール4が支持されている。このガイドレール4は、低層部建築体1の上部の低層側ブラケットおよび高層部建築体2の下部の高層側ブラケットの間において、それ以外の部分におけるガイドレールよりも曲げ剛性が大きくなるよう構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、中間位置に免震装置が設けられた建築物に設けられるエレベータ装置に係り、特に低層部建築体と高層部建築体との間に免震装置が設置された建築物に設けられるエレベータ装置に関する。
近年、免震装置を備えた建築物が増加している。そして、建築物を低層部建築体と高層部建築体とに分け、両者間に免震装置を設置するものがある。この種の建築物におけるエレベータの昇降路は、免震装置の設置部分で水平方向の相対変位に追従できるように構成する必要がある。
このために、例えば特許文献1に記載される構造が提供されている。この場合、建物は地盤の基礎101の上に設置される低層部102と、その上に免震装置103を介して設置される高層部104とから中間免震建物が構成されている。
高層部104の内部にはエレベータ用の昇降路105があり、その中間部から昇降支柱体106が吊り下げされ、昇降支柱体106の下部は低層部102内の昇降路107に対して拘束材108により水平方向の自由度が拘束されている。そして、高層部104および低層部102の水平相対変位に応じて、高層部104および低層部102内部の昇降支柱体106に変形が起こるように構成されている。
エレベータのガイドレール109は、昇降支柱体106で支持されている。また、エレベータへの出入のための階床戸110は、昇降支柱体106に取り付けられている。これは、建屋側に取り付けられる階床戸110とエレベータかご111に取り付けられるかご戸との間隔を、乗降の安全上の観点から一定の間隔以下に保つよう要求されていることによる。
このように構成することにより、地震が発生した場合には低層部102と高層部104との相対変位を昇降支柱体106の変形で吸収することができ、ガイドレール109の曲げ変形量を小さくできる。
特開平10-88847号公報
上記したエレベータの昇降路では、複数階にわたりレールを支持する昇降支持体を設置することになるため、昇降支持体を設置する分だけ昇降路の横断面積が大きくなり、建物として利用できる床面積がその分少なくなる。また、複数階にわたり昇降支柱全体がガイドレールを支持し、昇降支柱体の変形にしたがってガイドレールが変形することになるため、昇降支柱体はガイドレールを変形させるだけの剛性を確保しなければならず構造が複雑になる。
また、昇降路が昇降支柱体で構成された階床では、建物とエレベータかごとの間隔が変化してしまうことがある。そこで、建屋側の階床戸とエレベータのかご戸の隙間を一定の間隔に保つため、階床戸を昇降支柱体に設置することになるため、建物側と階床戸とを連結する特別な装置が必要になるという問題がある。
さらに、既存の建物を後に耐震性強化するために、中間階を免震階にするための改修工事を実施することがある。この場合、当該建物に設置したエレベータも後から免震対応に改造する必要が生じ、昇降路に昇降支柱体を設置するためその分のスペースを確保する必要があり、昇降路拡大やエレベータかご縮小等の大規模な改造が必要になるという問題がある。
本発明は上述の点を考慮してなされたもので、既設改造および新規設置の別に拘らず、昇降路拡大やガイドレールのサイズ変更をすることなく免震建物用として利用することができるエレベータ装置を提供することを目的とする。
上記目的達成のため、本発明では、
低層部建築体と高層部建築体との間に免震装置が設けられた免震建築物に設置され、前記低層部建築体から前記高層部建築体にわたり連続した昇降路を備えたエレベータ装置において、前記昇降路は、前記低層部建築体と前記高層部建築体の各々に取り付けられたブラケットにより支持されたガイドレールを有し、前記低層部建築体の上部の低層側ブラケットおよび前記高層部建築体の下部の高層側ブラケットの間のガイドレールは、それ以外の部分におけるガイドレールよりも曲げ剛性が大きくなるよう構成されていることを特徴とするエレベータ装置、
を提供するものである。
本発明は上述のように、低層部と高層部との中間位置に免震装置が設けられた建物におけるガイドレールを、当該中間位置ではガイドレールをより強固に支持することにより、免震対応のエレベータを容易に提供することができる。
以下、図1ないし図5を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は、本発明の実施例1におけるエレベータ昇降路を示す断面図である。この昇降路は免震建物に設けられており、図1では建物が地震により水平方向に変位を起こし、エレベータ昇降路が変形した状態を示している。
建物は、低層部建築体1と高層部建築体2とからなり、両建築体1,2の間の階層(免震層)には免震装置3が介在している。そして、エレベータ昇降路は低層部建築体1から高層部建築体2にわたって敷設されたガイドレール4によって構成されている。ガイドレール4は、ブラケット5a,5b,6a,6bにより低層部建築体1と高層部建築体2の昇降路壁に固定されている。図示しないエレベータかごは、ガイドレール4に案内されながら免震層を通過し、上階側または下階側に移動する。
そして、低層部建築体1の最上部に設置されたブラケット5aと、高層部建築体2の最下部に設置されたブラケット5bとの間には、ガイドレール4とほぼ平行に補強部材7が設けられている。補強部材7はガイドレール4の曲げ剛性を大きくするためのものである。この補強部材7の両端はボルト11によりブラケット5a,5bに固定されている。なお、補強部材7は長尺の板材などからなり、撓みに対する十分な曲げ剛性が得られるような材質や厚みのものが選択される。
図2は、免震層に配されたブラケット5a,5bの周辺を拡大図示したものである。この図2に示すように、免震層に設置されたブラケット、つまり低層部建築体1の最上部に設置されたブラケット5aおよび高層部建築体2の最下部に設置されたブラケット5bは、レールクリップ9により2箇所でガイドレール4を支持している。図1に示すように、他の部位のブラケット6a,6bがガイドレール4を1箇所のみで支持していることと比較しても、ブラケット5a,5bの方がより強固にガイドレール4を支持していることが分る。
なお、ブラケット5a,5bとガイドレール4とは、ブラケット5a、5bに固着されて、ボールジョイント10の嵌合によって接続しているため、ガイドレール4が撓むなどの変形が生じたとしてもボールジョイント10の回りに自在に回動できる。これにより、ブラケット5a,5bは、ガイドレール4との間で生じる歪みなどを吸収しつつ、ガイドレール4を支持することができる。
一方、ガイドレール4の背面側には、補強部材7が粘弾性部材8(例えばゴム等)を介挿して接合されている。これにより、ガイドレール4の剛性強化が図られている。そして、補強部材7の各端部は、ボルト11によりブラケット5a,5bに固定されている。ここで、補強部材7の一端を固定するボルト穴(図2の場合、下側のボルト穴)を長穴にすることにより、ガイドレール4や補強部材7が伸縮したり、撓んだりした場合にもその長さ方向の相対的な変位差を吸収することができる。
このように構成されているため、地震などにより建物の免震層に水平方向の変位が発生した場合、免震層の変位に追従してガイドレール4が曲げ変形する。ガイドレール4の変形に伴いレールクリップ9やボールジョイント10に作用する反力は、免震層に近いブラケット5a,5bに伝わる。しかしブラケット5a,5bが両建築体1,2と強固に固定されているため、ガイドレール4の機能が損なわれることがない。
しかもブラケット5a,5bは、ボールジョイント10により回動自在にガイドレール4を支持しているため、ガイドレール4の曲げ変形に伴う曲率を大きくでき、支持点に過大な応力が発生することを防止できる。
また、かごからガイドレール4に水平方向の外力が作用した場合、例えばエレベータのかごが免震層を通過しているときに地震が発生した場合などにも、補強部材7が外力を支えるため、ガイドレール4が過度に変形することを防止できる。
さらに、地震によりかごに水平方向の外力が繰り返し作用した場合には、ガイドレール4と補強部材7との間に設けた粘弾性部材8のせん断変形による粘性減衰により、振動の増幅を抑制することができる。
そして、ガイドレール4が変位する領域より外側に階床戸を設置するようにブラケット5a,5bの位置を設定することにより、特別な構造の階床戸を設ける必要なく従来構造の階床戸をそのまま使用することができる。
図3は、本発明の実施例2におけるエレベータ昇降路を示す断面図である。同図では、図1と同様に、建物が地震などにより水平方向に変位を起こしエレベータ昇降路が変形している状態を示している。
この実施例2では、ガイドレール4と補強部材7Aとの間に粘弾性部材などを介在させることなく直接取り付けている。ガイドレール4と補強部材7Aとの取り付けは、両者の両端をボルト11により、またその間をボルト13によりそれぞれほぼ等間隔に行っている。
図4は、ブラケット5a,5bの周辺を拡大図示したものであり、図2と同様の状態を示している。補強部材7Aの図示下端は実施例1と同様にボルト11と長穴12との組み合わせとし、補強部材7Aの途中位置をボルト13により固定している。
このようにガイドレール4と補強部材7Aとが密着するように直接取り付けるため、構造や組立工程が簡単化する。
図5は、本発明の実施例3におけるエレベータ昇降路を示す断面図である。本実施例ではガイドレール4に接合される補強部材7Bが免震層の中央部付近だけ粘弾性部材8Aを介挿して設けられている。
この実施例3は、エレベータのかごが小型である場合、および免震層の層間変位が小さい場合に好適なものであり、ガイドレール4の強度向上や地震時の振動減衰効果をやや抑えつつも全体的なコストの低減を図ることができるとともに、組み立て作業の簡単化を図ることが可能となる。
(変形例)
上記各実施例は、いずれも乗りかごのガイドレールを対象としている。しかしながら本発明は、釣り合い錘のガイドレールにも適用することができ、同様の効果を期待することができる。
本発明の一実施例の構成を示す断面図。 免震層に配されたブラケット5a,5bの周辺を拡大図示した断面図。 本発明の実施例2における昇降路を示した断面図。 ブラケットの周辺を拡大図示した断面図。 本発明の実施例3における昇降路を示した断面図。 従来の中間位置に免震層を有する建物のエレベータ昇降路を示す断面図。
符号の説明
1 低層部建築体、2 高層部建築体、3 免震装置、4 ガイドレール、
5,6 ブラケット、7,7A,7B 補強部材、8,8A 粘弾性部材、
9 レールクリップ、10 ボールジョイント、11,13 ボルト、
12 長穴。
101 基礎、102 低層部、103 免震装置、104 高層部、
105 昇降路、106 昇降支柱体、107 昇降路、108 拘束材、
109 ガイドレール、110 階床戸、111 かご。

Claims (4)

  1. 低層部建築体と高層部建築体との間に免震装置が設けられた免震建築物に設置され、前記低層部建築体から前記高層部建築体にわたり連続した昇降路を備えたエレベータ装置において、
    前記昇降路は、前記低層部建築体と前記高層部建築体の各々に取り付けられたブラケットにより支持されたガイドレールを有し、
    前記低層部建築体の上部の低層側ブラケットおよび前記高層部建築体の下部の高層側ブラケットの間のガイドレールは、それ以外の部分におけるガイドレールよりも曲げ剛性が大きくなるよう構成されている
    ことを特徴とするエレベータ装置。
  2. 請求項1記載のエレベータ装置において、
    前記低層側ブラケットおよび前記高層側ブラケットのうち、少なくとも前記低層側ブラケットは、前記ガイドレールを上下移動可能に支持してなることを特徴とするエレベータ装置。
  3. 請求項1記載のエレベータ装置において、
    前記低層側ブラケットおよび前記高層側ブラケットは、前記ガイドレールを回動可能に支持してなることを特徴とするエレベータ装置。
  4. 請求項1記載のエレベータ装置において、
    前記低層側ブラケットと前記高層側ブラケットとの間に補強部材を設けたことを特徴とするエレベータ装置。
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