JP2001305489A - 眼鏡のノーズパッド並びに眼鏡及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 長時間の使用によっても鼻に負担がかから
ず、装用感に優れた眼鏡のノーズパッド及びこのノーズ
パッドを用いた眼鏡を提供する。 【解決手段】 左右の眼鏡レンズを結合するブリッジに
各々の一端部が取り付けられ、他端部が鼻側に向けて延
長された２本の支柱と、前記２本の支柱の前記鼻側端部
にそれぞれ一方の端部と他方の端部が取り付けられるこ
とにより前記２本の支柱に架け渡すようにして設けられ
た鼻当て部材とを有し、前記鼻当て部材は、少なくとも
鼻に当たる部分が、外力が加わらない状態では所定の形
状を維持するが、鼻に押し当てられた状態ではほぼ鼻の
形状に沿って変形可能な部材で構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、長時間の使用によ
っても鼻に負担がかからず、装用感に優れた眼鏡のノー
ズパッド並びにこのノーズパッドを用いた眼鏡及びその
製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般のノーズパッドは、ブリッジ又はリ
ム等にパッドアームと称する金属製の支柱をロー付け
し、その先端にパッドボックスと称する箱状の部品を設
け、この箱部に継手構造を設け、さらに、この継手構造
に対応する継手を設けたパッドを一定の自由度を持たせ
てビス等で取り付けている。

【０００３】しかし、鼻の形状は千差万別であるため、
この従来の一般的なノーズパッドを最適な配置に調整す
ることが必ずしも容易ではない場合もあった。特に、パ
ッド高さ調整は等を行う場合、パッドアームの長さまで
を眼鏡店で変えることはできないので、場合によって
は、種々の長さのパッドアームを有するノーズパッドを
パーツとしてあらかじめ多種用意する必要のある場合も
生ずる。また、一旦調整しても使用につれてこの調整が
ずれる場合もあった。すなわち、パッドの接触する鼻の
部分に負担がかかり、長時間の使用が苦痛になる場合も
あった。

【０００４】この点の改良を試みたものとして、特許第
２５１１１１９号明細書に記載されたものが知られてい
る。この明細書に記載のものは、弾性部材で構成された
サドル型ブリッジを鼻に当てて支えるようにしたもので
ある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特許第
２５１１１１９号明細書に記載されたものは、眼鏡をか
け始めた時点では、フィッテング及び装用感ともに申し
分のないものということができるが、長時間使用してい
ると、やはり、次第にフィッテングや装用感に不満が出
てくることは否めない。これは、鼻をサドル型ブリッジ
で挟むようにして支持しているが、このサドル型ブリッ
ジがいわゆるバネ性を有する弾性部材で構成されている
ために、そのバネ力が常時鼻に作用することになり、短
時間であれば問題ないが、長時間になると、やはり鼻に
負担がかかることになるからである。

【０００６】本発明は、上述の背景のもとでなされたも
のであり、長時間の使用によっても、鼻に負担がかから
ず、装用感に優れた眼鏡のノーズパッド並びにこのノー
ズパッドを用いた眼鏡及びその製造方法を提供すること
を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めの手段として、第１の手段は、左右の眼鏡レンズを結
合するブリッジに各々の一端部が取り付けられ、他端部
が鼻側に向けて延長された２本の支柱と、前記２本の支
柱の前記鼻側端部にそれぞれ一方の端部と他方の端部が
取り付けられることにより前記２本の支柱に架け渡すよ
うにして設けられた鼻当て部材とを有し、前記鼻当て部
材は、少なくとも鼻に当たる部分が、外力が加わらない
状態では所定の形状を維持するが、鼻に押し当てられた
状態ではほぼ鼻の形状に沿って変形可能な部材で構成さ
れていることを特徴とする眼鏡のノーズパッドである。
第２の手段は、第１の手段にかかるノーズパッドを有す
ることを特徴とする眼鏡である。第３の手段は、第２の
手段にかかる眼鏡を製造する眼鏡の製造法において、前
記２本の支柱を前記ブリッジに取り付ける際に、眼鏡装
用者に合せて前記支柱の長さをカットしてから取り付け
ることを特徴とする眼鏡の製造方法である。

【０００８】上述の第１及び第２の手段によれば、前記
鼻当て部材が、外力が加わらない状態では所定の形状を
維持するが、鼻に押し当てられた状態ではほぼ鼻の形状
に沿って変形可能な部材で構成されていることから、鼻
にバネ力が作用することがない。このため、長時間の使
用によっても鼻に負担がかかることがなく、優れた装用
感を長時間維持することが可能である。又、第３の手段
によれば、支柱の長さを装用者に合せて自在に調整する
ことができるから、多種類のノーズパッドをあらかじめ
そろえておく必要がないので、生産コストを大幅に削減
できる。同時に、よりフィットするノーズパッドを簡単
に得ることが可能になる。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１は本発明の実施例に係る眼鏡
のノーズパッドの要部説明図、図２は本発明の実施例に
かかる眼鏡の斜視図、図３は本発明の実施例に係る眼鏡
のノーズパッドの変形例である。以下、これらの図面を
参照にしながら実施例にかかる眼鏡のノーズパッド及び
眼鏡を説明する。

【００１０】図２において、この実施例にかかる眼鏡
は、ブリッジ１によって左右のリム２が結合されてお
り、左右のリム２にはそれぞれ左右のレンズ２１がはめ
込まれている。さらに、左右のリム２の左右端部にはヨ
ロイ３が取り付けられ、このヨロイ３には丁番４によっ
てテンプル５が折り畳み可能に取り付けられている。な
お、テンプル５の耳掛け部にはモダン６が取り付けられ
ている。

【００１１】ブリッジ１には、硬質の材料で構成される
２本の支柱１１ａ，１１ｂの各々の一端部が取り付けら
れており、この２本の支柱１１ａ，１１ｂは鼻側に向け
て延長されている。この２本の支柱１１ａ，１１ｂの鼻
側の端部には、それぞれ鼻当て部材１２の一方の端部と
他方の端部とが取り付けられている。すなわち、この鼻
当て部材１２は、両端部を前記２本の支柱１１ａ，１１
ｂの端部に取り付けることにより、この２本の支柱１１
ａ，１１ｂに架け渡すようにして設けられている。

【００１２】鼻当て部材１２は、２本の支柱１１ａ，１
１ｂへの取付部から鼻側に向かうにしたがって一旦外側
に向けて広がり、その後、中央に向けて折れ曲がり、中
心部はブリッジ１側に向けて凸となる形状に形成されて
いる。この実施例では、支柱１１ａ，１１ｂへの取付部
から中央に向けて折れ曲がるまでの間の太さを上記ブリ
ッジ側に凸となっている部位よりもやや太く形成され、
ある程度の強度を有するように構成されている。逆に、
ブリッジ１側に向けて凸となっている部分は鼻に当たる
部分であるので、鼻に当たった場合に、鼻の形状に沿っ
てなじむ程度の太さに形成されている。すなわち、鼻当
て部材１２は、鼻に当たる部分とそうでない部分とが、
いわば弦と弓のような関係を有する構成となっており、
鼻に当たる部分が自在に変形して直接的に眼鏡の自重を
支えるが、全体も自然に変形して装用者の鼻形状にフィ
ットするように構成されている。なお、この実施例では
鼻当て部材１２の断面形状は円形又は楕円形状に類似の
形状としているが、その他の形状でもよいことは勿論で
ある。

【００１３】鼻当て部材１２は、適当な太さにすること
により、外力が加わらない状態ではそれ自体の形状を維
持するが、鼻に押し当てられた状態ではほぼ鼻の形状に
沿って自在に変形可能な軟質の材料で構成されている。
このような材料としては、シリコン、軟質ウレタン、熱
可塑性エラストマー系樹脂等がある。ショア硬度Ｄ５０
以下の樹脂であれば、他のものでもよい。また、樹脂に
限らず、同様の性質を有する材料を用いることができ
る。要するに、鼻に押し当てられたときに鼻の形状に沿
ってなじみ、長時間鼻に押し当てられた場合に鼻に負担
がかかるようなバネ性は有しない材料であればどのよう
なものであってもよい。

【００１４】また、支柱１１ａ，１１ｂは、ショア硬度
Ｄ８０以上の硬質樹脂、あるいは金属で構成できる。硬
質樹脂としては、ポリアミド（ＰＡ）、ポリカーボネー
ト（ＰＣ）、ポリアリルサルフォン（ＰＡＳ）、ポリエ
ーテルサルフォン（ＰＥＳ）、ポリフェニルサルフォン
（ＰＦＳ）、ポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥ
Ｋ）、ポリエチレンテレフテレート（ＰＥＴ）、硬質ウ
レタン等がある。

【００１５】図１に示されるように、支柱１１ａ，１１
ｂは、ブリッジ１に設けられた取り付け孔１ａ、１ｂに
挿入された後、接着剤等を用いて固定される。勿論、嵌
め合いだけでもよい。また、ブリッジ１及び支柱１１
ａ，１１ｂともに金属を用いる場合にはロー付けでもよ
い。なお、この実施例の場合には、この取り付けを眼鏡
店でもできるので、取り付けの際に、支柱の長さを装用
者に合せてカットして調整することができる。これによ
り、多種類のノーズパッドをあらかじめそろえておく必
要がないので、生産コストを大幅に削減できる。同時
に、よりフィットするノーズパッドを簡単に得ることが
可能になる。

【００１６】なお、ブリッジ１と支柱１１ａ，１１ｂと
は硬質樹脂の一体成形で形成してもよい。また、支柱１
１ａ，１１ｂを硬質樹脂で構成し、鼻当て部材１２を軟
質樹脂で構成する場合には、支柱１１ａ，１１ｂ等を硬
質樹脂で成形した後に、これに鼻当て部材を構成する軟
質樹脂をインジェクションで一体的に接続することがで
きる。これによれば、最適な形状の鼻当て部材を大量に
安価に得ることができる。

【００１７】ブリッジ１と支柱１１ａ，１１ｂとの結
合、あるいは、支柱１１ａ，１１ｂと鼻当て部材１２と
の結合は、上述のような、一体成形や接着方法等に限ら
れず、カシメ、ネジ止め等の方法でもよいことは勿論で
ある。

【００１８】鼻当て部材１２の形状は、図３に示すよう
に、鼻に当たる部分を板状の形状としてもよい。これに
よれば、鼻との接触面積を増やしつつ鼻の形状になじみ
やすい強度にすることが容易で、より鼻への負担を軽減
することができる。

【００１９】また、上述の実施例では、鼻当て部材１２
を、２本の支柱１１ａ，１１ｂへの取付部から鼻側に向
かうにしたがって一旦外側に向けて広がり、その後、中
央に向けて折れ曲がり、中心部はブリッジ１側に向けて
凸となる形状に形成したが、これは、別の形状としても
よい。例えば、２本の支柱１１ａ，１１ｂ自体を一旦外
側に向けて広がって中央に向けて折れ曲がるところまで
延長して形成し、鼻当て部材１２は、その２つの先端部
に架け渡すように取り付ける形状としてもよい。これに
よれば、鼻当て部材１２全体を、鼻に沿って自在に変形
してなじむような一様な太さや形状に形成すればよい。

【００２０】さらに、鼻当て部材１２の鼻に当たる部分
のみを薄い板状等の自在変形可能な形状及び厚さもしく
は太さにし、他の部分を円筒状やハニカム状等の強度を
保つことができる形状及び厚さもしくは太さにするよう
にしてもよい。勿論、部分的もしくは連続的に強度が変
るように、形状や材料を組み合わせたり、部分的もしく
は連続的に材料の強度に関係する組成を変えたりしても
よい。要は、鼻に当たる部位を、鼻にバネ力が加わった
り、局部的に力が集中して加わることのないように、鼻
の形状に沿って自在に変形可能なものとすればよい。こ
のような条件が満たすものであれば、支柱１１ａ，１１
ｂと鼻当て部材１２とを一体構造としたものでもよい。
また、ブリッジを含めた一体構造としてもよい。

【００２１】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、左右の
眼鏡レンズを結合するブリッジに各々の一端部が取り付
けられ、他端部が鼻側に向けて延長された２本の支柱
と、前記２本の支柱の前記鼻側端部にそれぞれ一方の端
部と他方の端部が取り付けられることにより前記２本の
支柱に架け渡すようにして設けられた鼻当て部材とを有
し、前記鼻当て部材は、少なくとも鼻に当たる部分が、
外力が加わらない状態では所定の形状を維持するが、鼻
に押し当てられた状態ではほぼ鼻の形状に沿って変形可
能な部材で構成されていることを特徴とするもので、こ
れにより、長時間の使用によっても鼻に負担がかから
ず、装用感優れた眼鏡のノーズパッド並びにこのノーズ
パッドを用いた眼鏡を得ている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係る眼鏡のノーズパッド示す
図である。

【図２】本発明の実施例に係る眼鏡の斜視図である。

【図３】本発明の実施例に係る眼鏡のノーズパッドの変
形例を示す図である。

【符号の説明】

１…ブリッジ、２…リム、３…ヨロイ、４…丁番、５…
テンプル、６…モダン、１１ａ，１１ｂ…支柱、１２…
鼻当て部材、２１…レンズ。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 左右の眼鏡レンズを結合するブリッジに
   各々の一端部が取り付けられ、他端部が鼻側に向けて延
   長された２本の支柱と、 前記２本の支柱の前記鼻側端部にそれぞれ一方の端部と
   他方の端部とが結合されることにより前記２本の支柱に
   架け渡すようにして設けられた鼻当て部材とを有し、 前記鼻当て部材は、少なくとも鼻に当たる部分が外力が
   加わらない状態では所定の形状を維持するが、鼻に押し
   当てられた状態ではほぼ鼻の形状に沿って変形可能な部
   材で構成されていることを特徴とする眼鏡のノーズパッ
   ド。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のノーズパッドを有する
   ことを特徴とする眼鏡。
3. 【請求項３】 請求項２に記載の眼鏡を製造する眼鏡の
   製造法において、 前記２本の支柱を前記ブリッジに取り付ける際に、眼鏡
   装用者に合せて前記支柱の長さをカットしてから取り付
   けることを特徴とする眼鏡の製造方法。