JP2001304774A - 熱交換器及び該熱交換器を備えた空気調和機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 性能と形状との相対的変更が容易で且つ高能
率の熱交換器及び空気調和機を提供する。 【解決手段】 フィン１１，１１，・・と伝熱管１２，
１２，・・とで構成され且つフィン１１の長手方向を上
下方向に向けて設置される熱交換器において、フィン１
１の長手方向からの平面視における形態を、同一方向へ
突出する複数の弧状部１ａ₁，１ａ₂が連設された波状形
態とする。かかる構成とすることで、平面視における
「直線長」よりも波状形態に沿った「実長」の方が長く
なり、それだけ伝熱面積が増加し、熱交換能力が高めら
れる。また、要求される熱交換能力を同じとした場合に
は、熱交換器の高さ寸法あるいは幅寸法を小さくして高
さ方向あるいは幅方向のコンパクト化を図ることができ
る。さらに、熱交換器１を備えた空気調和機において
は、能力面とか形状面での設計の自由度が高められる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本願発明は、例えば側方吸込
・上方吹出方式の空気調和機の室外機に適用するに好適
なクロスフィン型の熱交換器、及びこの熱交換器を備え
て構成される空気調和機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図３及び図４には、空気調和機の室外機
Ｚ₀に用いられる従来構造の熱交換器２１を示してい
る。この熱交換器２１は、厚板帯状形態をもつクロスフ
ィン型の熱交換器であって、長手方向の中央部に位置す
る平板状の前面部２１ａと該前面部２１ａの左右両側に
それぞれ連続して略直交方向へ延出する側面部２１ｂ，
２１ｂとを備えた略Ｕ字形の折曲形態とされている。

【０００３】この熱交換器２１は、図４に示すように、
ケーシング２２内に配置されることで室外機Ｚ₀を構成
する。即ち、上記ケーシング２２は、その前面と両側面
にそれぞれ吸込口２３，２３，２３を、上面に左右一対
の吹出口２４，２４を、それぞれ設けており、上記熱交
換器２１は、その前面部２１ａをケーシング前面側の吸
込口２３に、各側面部２１ｂ，２１ｂをケーシング側面
の吸込口２３，２３に、それぞれ対向させた状態で上記
ケーシング２２内に配置される。また、上記各吹出口２
４，２４には、それぞれファン２５，２５が取り付けら
れている。

【０００４】上記室外機Ｚ₀の運転状態においては、図
４に流線Ａで示すように、機外の空気は上記各吸込口２
３，２３，２３から機内に吸い込まれ、上記熱交換器２
１を通過する間に該熱交換器２１内の冷媒との間で熱交
換を行った後、上記各吹出口２４，２４から上方へ吹き
出される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、室外機にお
いては、その設置スペース等との関係から、所定の熱交
換能力を維持したまま外形寸法（ケーシング寸法）のコ
ンパクト化（特に高さ方向のコンパクト化）を図ると
か、逆に、外形寸法を変えずに熱交換能力を大きくした
い、等の要求がある。

【０００６】この場合、熱交換器２１の熱交換能力は、
その伝熱面積によって支配され、熱交換能力を大きくす
るためには伝熱面の長さあるいは高さ寸法を大きくして
伝熱面積を増加させる必要がある。ところが、図３及び
図４に示すような従来のＵ字形形態をもつ熱交換器２１
を備えるものにあっては、該熱交換器２１の長さとか高
さの増加はそのままケーシング２２の外形寸法の大きさ
に反映されるので、上記の如き要求に対応することは困
難であり、空気調和機の仕様変更への対応性が悪いとい
う問題があった。

【０００７】また一方、図４に示すように、従来の室外
機Ｚ₀においては、上記熱交換器２１の前面部２１ａが
二つのファン２５，２５の列設方向と平行に延びている
ことから、特にこの前面部２１ａ部分においては、上記
ファン２５と上記熱交換器２１との相対位置が該前面部
２１ａの長さ方向の位置によって大きく変化し（図４に
「Ａ′」で示す流線部分を参照）、該前面部２１ａ部分
における風速分布が偏り、その結果、熱交換効率が低下
するという問題もあった。

【０００８】そこで本願発明は、性能と形状との相対的
変更が容易で且つ高能率の熱交換器及び空気調和機を提
供することを目的としてなされたものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本願発明ではかかる課題
を解決するための具体的手段として次のような構成を採
用している。

【００１０】本願の第１の発明では、所定間隔で対向配
置された短冊状の多数枚のフィン１１，１１，・・と、
該各フィン１１，１１，・・を貫通してその長手方向に
多段に取り付けられた複数本の伝熱管１２，１２，・・
とで構成され且つ上記フィン１１の長手方向を上下方向
に向けて設置される熱交換器において、上記フィン１１
の長手方向からの平面視における形態を、同一方向へ突
出する複数の弧状部１ａ₁，１ａ₂が連設された波状形態
としたことを特徴としている。

【００１１】本願の第２の発明では、上記第１の発明に
かかる熱交換器において、上記複数の弧状部１ａ₁，１
ａ₂のうち、その連接方向の一端側に位置する弧状部１
ａ₁の外側端縁と連接方向の他端側に位置する弧状部１
ａ₂の外側端縁の少なくとも何れか一方に、上記連接方
向に略直交する方向へ延出する平面状部１ｂ，１ｂをそ
れぞれ設けたことを特徴としている。

【００１２】本願の第３の発明では、側面に吸込口３
を、上面に吹出口４をそれぞれ備えたケーシング２内
に、該吸込口３に対向させて熱交換器１を配置するとと
もに、上記吹出口４には複数のファン５，５をそれぞれ
その回転軸線を上下方向に向けて配置してなる空気調和
機において、上記熱交換器１として請求項１又は請求項
２に記載の熱交換器１を備えるとともに、該熱交換器１
の上記各弧状部１ａ₁，１ａ₂をそれぞれ上下方向におい
て上記各ファン５，５に対応させたことを特徴としてい
る。

【００１３】

【発明の効果】本願発明ではかかる構成とすることによ
り次のような効果が得られる。

【００１４】 本願の第１の発明にかかる熱交換器に
よれば、所定間隔で対向配置された短冊状の多数枚のフ
ィン１１，１１，・・と、該各フィン１１，１１，・・
を貫通してその長手方向に多段に取り付けられた複数本
の伝熱管１２，１２，・・とで構成され且つ上記フィン
１１の長手方向を上下方向に向けて設置される熱交換器
において、上記フィン１１の長手方向からの平面視にお
ける形態を、同一方向へ突出する複数の弧状部１ａ₁，
１ａ₂が連設された波状形態としているので、その平面
視における直線的な長さ（以下、これを「直線長」とい
う）よりも波状形態に沿った実際の長さ（以下、これを
「実長」という）が長くなり、それだけ伝熱面積が増加
することになる。

【００１５】この結果、例えば、熱交換器の要求熱交換
能力を、従来のように平面視における形態を直線状とし
「直線長」と「実長」とが一致するようにした熱交換器
と同じとした場合には、熱交換器の「直線長」を変えず
に高さ寸法を小さくして高さ方向におけるコンパクト化
を図ったり、逆に熱交換器の高さ寸法を変えずに「直線
長」を小さくして幅方向のコンパクト化を図ったりする
ことが可能となり、また、熱交換器の「直線長」あるい
は高さ寸法を従来の熱交換器と同じとした場合には、そ
の「実長」が長くなる分だけ熱交換能力の増大を図るこ
とができる等、熱交換器の能力面あるいは形状面での仕
様の多様化に容易に対応でき、延いては熱交換器を備え
た空気調和機の設計上における自由度が高められる。

【００１６】 本願の第２の発明にかかる熱交換器に
よれば、上記複数の弧状部１ａ₁，１ａ₂のうち、その連
接方向の一端側に位置する弧状部１ａ₁の外側端縁と連
接方向の他端側に位置する弧状部１ａ₂の外側端縁の少
なくとも何れか一方に、上記連接方向に略直交する方向
へ延出する平面状部１ｂ，１ｂをそれぞれ設けているの
で、二方又は三方吸込方式の空気調和機の熱交換器とし
て適用するに好適である。

【００１７】 本願の第３の発明にかかる空気調和機
では、側面に吸込口３を、上面に吹出口４をそれぞれ備
えたケーシング２内に、該吸込口３に対向させて熱交換
器１を配置するとともに、上記吹出口４には複数のファ
ン５，５をそれぞれその回転軸線を上下方向に向けて配
置してなる空気調和機において、上記熱交換器１として
請求項１又は２に記載の熱交換器１を備えるとともに、
該熱交換器１の上記各弧状部１ａ₁，１ａ₂をそれぞれ上
下方向において上記各ファン５，５に対応させている。

【００１８】従って、この発明の空気調和機において
は、上記熱交換器１の構成に基づく特有の効果として、
上記に記載の効果が得られることは勿論、さらにこれ
に加えて、該熱交換器１の上記各弧状部１ａ₁，１ａ₂を
それぞれ上下方向において上記各ファン５，５に対応さ
せたことで、該各弧状部１ａ₁，１ａ₂部分における上記
ファン５，５との相対位置がその略全域において可及的
に均等となり、該各弧状部１ａ₁，１ａ₂部分における風
速分布の改善が図られることから、上記熱交換器１にお
ける熱交換効率が向上し、空気調和機の高能力化が実現
されるという効果が得られる。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下、本願発明を添付図面に示す
実施形態に基づいて具体的に説明する。

【００２０】図１及び図２には、本願発明にかかる熱交
換器１を備えて構成される空気調和機の室外機Ｚを示し
ている。

【００２１】上記熱交換器１は、所定間隔で対向配置さ
れた短冊状の多数枚のフィン１１，１１，・・と、該各
フィン１１，１１，・・を貫通してその長手方向に多段
に取り付けられた複数本の伝熱管１２，１２，・・とで
構成された所謂、クロスフィン型の熱交換器であって、
該フィン１１の長手方向を上下方向に向けた状態で設置
される。そして、この熱交換器１は、その形態に最大の
特徴をもつものであって、その平面視における長手方向
の中央部に位置する前面部１ａと、該前面部１ａの両端
側にそれぞれ連続し且つこれと略直交方向に延出する左
右一対の側面部１ｂ，１ｂとを備えるとともに、上記前
面部１ａを上記側面部１ｂ，１ｂの延出方向と逆方向へ
突出する左右一対の弧状部１ａ₁，１ａ₂を連設した波状
形態としている。

【００２２】上記室外機Ｚは、次述のケーシング２内に
上記熱交換器１を組み込んで構成されている。即ち、上
記ケーシング２は、その前面と左右両側面にそれぞれ吸
込口３，３，３を形成するとともに、その上面には左右
一対の吹出口４，４を備えた横長筺状形態を有してい
る。そして、このケーシング２内に上記熱交換器１を、
その前面部１ａをケーシング前面側の吸込口３に、その
側面部１ｂ，１ｂをケーシング側面の各吸込口３，３
に、それぞれ対向させた状態で立設固定するとともに、
上記各吹出口４，４のそれぞれにファン５，５を取り付
けている。この場合、図２に示すように、上記熱交換器
１は、その各弧状部１ａ₁，１ａ₂の曲率中心軸が上記各
ファン５，５の回転軸心に略合致するように、その取付
け位置が設定されている。

【００２３】このように構成された室外機Ｚにおいて
は、図１及び図２にそれぞれ流線Ａで示すように、上記
各ファン５，５の運転に伴い機外空気は、上記各吸込口
３，３，３から機内へ吸い込まれ、該各吸込口３，３，
３に対向している上記熱交換器１をその表面側から裏面
側へ貫流し、上記吹出口４，４から上方へ向けて吹き出
される。

【００２４】この場合、上記熱交換器１の各弧状部１ａ
₁，１ａ₂がそれぞれ上下方向において上記各ファン５，
５に対応しているので、該各弧状部１ａ₁，１ａ₂部分に
おける上記ファン５，５との相対位置は該各弧状部１ａ
₁，１ａ₂の全域において可及的に均等となる。この結
果、上記吸込口３から流入し上記各弧状部１ａ₁，１ａ₂
を貫流する空気流の該弧状部１ａ₁，１ａ₂上における風
速分布が可及的に均等化され、該熱交換器１の熱交換効
率が向上し、これによって上記室外機Ｚの高能力化が促
進される。

【００２５】一方、上記熱交換器１は、その前面部１ａ
を左右一対の弧状部１ａ₁，１ａ₂を連設した波状形態と
し、これによってその幅方向の「実長」が「直線長」よ
りも大きくなるように設定しているので、例えば、「直
線長」を同じとした場合には、従来のように上記前面部
１ａを直線状に成形しその「実長」と「直線長」とが一
致するようにした構成の場合に比して、「直線長」と
「実長」の差分に相当する分だけ伝熱面積が増加し、そ
れだけ大きな熱交換能力が得られることとなる。従っ
て、熱交換器１の「直線長」を変えずに（換言すれば、
ケーシング２の幅寸法及び高さ寸法を変えずに）熱交換
能力の増加を図ることができるものである。

【００２６】一方、このような波状形態とすることによ
る熱交換器１の熱交換能力の増大効果を利用することで
室外機Ｚの形状の変更を容易に行うことができる。即
ち、要求される熱交換能力を、上記前面部１ａを直線状
形態とした場合と同じとした場合（即ち、熱交換能力を
変えない場合）には、該前面部１ａを波状形態としたこ
とによる熱交換能力の増加分だけ、上記熱交換器１の高
さ寸法あるいは「直線長」（即ち、幅寸法）を小さく
し、その高さ方向あるいは幅方向のコンパクト化を図る
ことができるものである。即ち、この熱交換器１におい
ては、その能力面あるいは形状面での仕様の多様化に容
易に対応できるものであり、延いてはこの熱交換器１を
備えた室外機Ｚの設計上における自由度が高められるこ
とになる。

【００２７】尚、上記実施形態においては、上記熱交換
器１が二つの弧状部１ａ₁，１ａ₂を備えた形態である場
合を例にとって説明したが、他の実施形態では要求熱交
換能力等に応じて上記弧状部１ａ₁，１ａ₂を二以上設け
ることもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願発明の実施形態にかかる熱交換器を空気調
和機に組み込んだ状態を示す斜視図である。

【図２】図１に示す空気調和機の平面図である。

【図３】従来の熱交換器の斜視図である。

【図４】図３に示す熱交換器を空気調和機に組み込んだ
状態における平面図である。

【符号の説明】

１は熱交換器、２はケーシング、３は吸込口、４は吹出
口、５はファン、１１はフィン、１２は伝熱管、Ｚは室
外機である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3L054 BA05 BB03 3L103 AA05 AA37 BB42 CC22 CC28 DD04

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定間隔で対向配置された短冊状の多数
   枚のフィン（１１），（１１），・・と、該各フィン
   （１１），（１１），・・を貫通してその長手方向に多
   段に取り付けられた複数本の伝熱管（１２），（１
   ２），・・とで構成され且つ上記フィン（１１）の長手
   方向を上下方向に向けて設置される熱交換器であって、 上記フィン（１１）の長手方向からの平面視における形
   態が、同一方向へ突出する複数の弧状部（１ａ₁），
   （１ａ₂）が連設された波状形態とされていることを特
   徴とする熱交換器。
2. 【請求項２】 請求項１において、 上記複数の弧状部（１ａ₁），（１ａ₂）のうち、その連
   接方向の一端側に位置する弧状部（１ａ₁）の外側端縁
   と連接方向の他端側に位置する弧状部（１ａ₂）の外側
   端縁の少なくとも何れか一方に、上記連接方向に略直交
   する方向へ延出する平面状部（１ｂ），（１ｂ）がそれ
   ぞれ設けられていることを特徴とする熱交換器。
3. 【請求項３】 側面に吸込口（３）を、上面に吹出口
   （４）をそれぞれ備えたケーシング（２）内に、該吸込
   口（３）に対向させて熱交換器（１）を配置するととも
   に、上記吹出口（４）には複数のファン（５），（５）
   をそれぞれその回転軸線を上下方向に向けて配置してな
   る空気調和機であって、 上記熱交換器（１）として請求項１又は請求項２に記載
   の熱交換器（１）を備えるとともに、該熱交換器（１）
   の上記各弧状部（１ａ₁），（１ａ₂）がそれぞれ上下方
   向において上記各ファン（５），（５）に対応している
   ことを特徴とする空気調和機。