JP2001303902A - Ｃｂｎ砥粒被覆タービンブレードの製造方法 - Google Patents
Ｃｂｎ砥粒被覆タービンブレードの製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】タービンブレードの先端にＣＢＮ砥粒がろう材
により固着され、耐熱性、耐酸化性に優れ、砥粒が強固
に保持されたＣＢＮ砥粒被覆タービンブレードの製造方
法を提供する。 【解決手段】先端にＣＢＮ砥粒を固着して被覆したター
ビンブレードの製造方法において、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−
Ａｌ−Ｙ、Ｎｉ−Ｃｒ及びＴｉの三元系ろう材を用いて
ＣＢＮ砥粒をろう付けすることを特徴とするＣＢＮ砥粒
被覆タービンブレードの製造方法。
により固着され、耐熱性、耐酸化性に優れ、砥粒が強固
に保持されたＣＢＮ砥粒被覆タービンブレードの製造方
法を提供する。 【解決手段】先端にＣＢＮ砥粒を固着して被覆したター
ビンブレードの製造方法において、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−
Ａｌ−Ｙ、Ｎｉ−Ｃｒ及びＴｉの三元系ろう材を用いて
ＣＢＮ砥粒をろう付けすることを特徴とするＣＢＮ砥粒
被覆タービンブレードの製造方法。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、ＣＢＮ砥粒被覆タ
ービンブレードの製造方法に関する。さらに詳しくは、
本発明は、タービンブレードの先端にＣＢＮ砥粒がろう
材により固着され、耐熱性、耐酸化性に優れ、砥粒が強
固に保持されたＣＢＮ砥粒被覆タービンブレードの製造
方法に関する。
ービンブレードの製造方法に関する。さらに詳しくは、
本発明は、タービンブレードの先端にＣＢＮ砥粒がろう
材により固着され、耐熱性、耐酸化性に優れ、砥粒が強
固に保持されたＣＢＮ砥粒被覆タービンブレードの製造
方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】ガスタービンは、高温、高圧の燃焼ガス
によりタービンを駆動して、回転力を得る原動機であ
り、ロータに取り付けられたタービンブレードとステー
タの間隙が増加すると、タービンの効率は低下する。こ
のために、タービンブレードとステータの間隙は、最小
限に保つことが望ましい。タービンブレードとステータ
の間隙を最小限に保つ方法として、タービンブレードの
先端に砥粒を固着して、ステータの内面をロータの回転
を利用して研削する方法が採用されている。タービン運
転時には、ロータはステータより高温に加熱されるの
で、ステータより大きく膨張し、常温においてタービン
ブレードとステータの間に間隙があっても、タービン運
転時には両者が接触し、タービンブレードの先端による
ステータ内面の研削が可能になる。この方法は、タービ
ン運転時の高温に加熱された状態で、タービンブレード
とステータの間の間隙を調節し得る点からも好ましい。
従来より、タービンブレードの先端に砥粒を固着する方
法として、主としてメッキが試みられてきた。例えば、
特公平５−２１９９４号公報には、砥粒の使用量を節約
し、未使用の砥粒を容易に回収し得る砥粒の付着方法と
して、細孔を有する粘着テープに砥粒を担持させ、この
砥粒担持テープを物体表面に貼着し、細孔を通して砥粒
の周囲に金属被膜を電着させる方法が提案されている。
特開平４−２１８６９８号公報には、ガスタービンブレ
ードの研磨先端を安価かつ簡単に形成する方法として、
Ｆｅ、Ｎｉ又はＣｏ及びＣｒ−Ａｌ−Ｙよりなる電着コ
ーティングにより砥粒を電着する方法が提案されてい
る。また、特開平４−２８５１９８号公報には、砥粒を
非常に高い体積割合で含有する薄い研磨先端部を形成す
る方法として、金属基体の表面に電着による金属薄層で
砥粒を固定し、さらに、微細な合金化粉末と金属からな
る金属マトリックスを共電着により付着したのち、熱処
理により均質化する方法が提案されている。さらに、特
表平８−５０６８７２号公報には、電着後の組み外しを
回避し得るタービンブレード上の研磨チップの製造方法
として、タービンのロータディスク上に事前に組み付け
られたブレード上で電着を行う方法が提案されている。
特開平１０−３０４０３号公報には、寸法精度と耐久性
能の向上したタービンブレードの先端に対する耐摩耗層
の形成方法として、ニッケルメッキ層によりアルミナ砥
粒の下端部を仮止めし、溶射によりニッケル系耐熱合金
層を形成し、熱間等方加圧処理によりニッケルメッキ層
とニッケル系耐熱合金層を拡散させたのち、機械加工に
よりアルミナ砥粒の先端までニッケル系耐熱合金層を削
除し、さらにケミカルミーリング加工によりアルミナ砥
粒の先端部近傍のニッケル系耐熱合金層を除去する方法
が提案されている。しかし、メッキによりタービンブレ
ードの先端に砥粒を固着する方法は、工程が複雑で手間
がかかるのみならず、ニッケルメッキ、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃ
ｒ−Ａｌ−Ｙなどの合金メッキは、耐熱性、耐酸化性に
は優れているが、砥粒との濡れが悪く、砥粒保持力が弱
いという問題があった。ろう付けにより砥粒を固着する
と、工程は簡略化されるが、ろう付けによる固着でも、
砥粒の保持力が弱いという問題があった。
によりタービンを駆動して、回転力を得る原動機であ
り、ロータに取り付けられたタービンブレードとステー
タの間隙が増加すると、タービンの効率は低下する。こ
のために、タービンブレードとステータの間隙は、最小
限に保つことが望ましい。タービンブレードとステータ
の間隙を最小限に保つ方法として、タービンブレードの
先端に砥粒を固着して、ステータの内面をロータの回転
を利用して研削する方法が採用されている。タービン運
転時には、ロータはステータより高温に加熱されるの
で、ステータより大きく膨張し、常温においてタービン
ブレードとステータの間に間隙があっても、タービン運
転時には両者が接触し、タービンブレードの先端による
ステータ内面の研削が可能になる。この方法は、タービ
ン運転時の高温に加熱された状態で、タービンブレード
とステータの間の間隙を調節し得る点からも好ましい。
従来より、タービンブレードの先端に砥粒を固着する方
法として、主としてメッキが試みられてきた。例えば、
特公平５−２１９９４号公報には、砥粒の使用量を節約
し、未使用の砥粒を容易に回収し得る砥粒の付着方法と
して、細孔を有する粘着テープに砥粒を担持させ、この
砥粒担持テープを物体表面に貼着し、細孔を通して砥粒
の周囲に金属被膜を電着させる方法が提案されている。
特開平４−２１８６９８号公報には、ガスタービンブレ
ードの研磨先端を安価かつ簡単に形成する方法として、
Ｆｅ、Ｎｉ又はＣｏ及びＣｒ−Ａｌ−Ｙよりなる電着コ
ーティングにより砥粒を電着する方法が提案されてい
る。また、特開平４−２８５１９８号公報には、砥粒を
非常に高い体積割合で含有する薄い研磨先端部を形成す
る方法として、金属基体の表面に電着による金属薄層で
砥粒を固定し、さらに、微細な合金化粉末と金属からな
る金属マトリックスを共電着により付着したのち、熱処
理により均質化する方法が提案されている。さらに、特
表平８−５０６８７２号公報には、電着後の組み外しを
回避し得るタービンブレード上の研磨チップの製造方法
として、タービンのロータディスク上に事前に組み付け
られたブレード上で電着を行う方法が提案されている。
特開平１０−３０４０３号公報には、寸法精度と耐久性
能の向上したタービンブレードの先端に対する耐摩耗層
の形成方法として、ニッケルメッキ層によりアルミナ砥
粒の下端部を仮止めし、溶射によりニッケル系耐熱合金
層を形成し、熱間等方加圧処理によりニッケルメッキ層
とニッケル系耐熱合金層を拡散させたのち、機械加工に
よりアルミナ砥粒の先端までニッケル系耐熱合金層を削
除し、さらにケミカルミーリング加工によりアルミナ砥
粒の先端部近傍のニッケル系耐熱合金層を除去する方法
が提案されている。しかし、メッキによりタービンブレ
ードの先端に砥粒を固着する方法は、工程が複雑で手間
がかかるのみならず、ニッケルメッキ、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃ
ｒ−Ａｌ−Ｙなどの合金メッキは、耐熱性、耐酸化性に
は優れているが、砥粒との濡れが悪く、砥粒保持力が弱
いという問題があった。ろう付けにより砥粒を固着する
と、工程は簡略化されるが、ろう付けによる固着でも、
砥粒の保持力が弱いという問題があった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、タービンブ
レードの先端にＣＢＮ砥粒がろう材により固着され、耐
熱性、耐酸化性に優れ、砥粒が強固に保持されたＣＢＮ
砥粒被覆タービンブレードの製造方法を提供することを
目的としてなされたものである。
レードの先端にＣＢＮ砥粒がろう材により固着され、耐
熱性、耐酸化性に優れ、砥粒が強固に保持されたＣＢＮ
砥粒被覆タービンブレードの製造方法を提供することを
目的としてなされたものである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ
−Ａｌ−Ｙ、Ｎｉ−Ｃｒ及びＴｉの三元系ろう材を用い
てＣＢＮ砥粒をろう付けすることにより、ＣＢＮ砥粒の
表面の濡れがよく、ＣＢＮ砥粒を強固に固着することが
可能となることを見いだし、この知見に基づいて本発明
を完成するに至った。すなわち、本発明は、（１）先端
にＣＢＮ砥粒を固着して被覆したタービンブレードの製
造方法において、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−Ｙ、Ｎｉ−
Ｃｒ及びＴｉの三元系ろう材を用いてＣＢＮ砥粒をろう
付けすることを特徴とするＣＢＮ砥粒被覆タービンブレ
ードの製造方法、を提供するものである。さらに、本発
明の好ましい態様として、（２）Ｔｉ源が、水素化チタ
ンである第１項記載のＣＢＮ砥粒被覆タービンブレード
の製造方法、（３）Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−ＹとＮｉ
−Ｃｒの混合比が、３０：７０〜７０：３０（重量比）
である第１項記載のＣＢＮ砥粒被覆タービンブレードの
製造方法、（４）Ｔｉの混合量が、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−
Ａｌ−ＹとＮｉ−Ｃｒの合計量１００重量部に対して、
０.５〜２０重量部である第１項記載のＣＢＮ砥粒被覆
タービンブレードの製造方法、（５）ろう付けを、真空
中、アルゴン雰囲気中又は窒素雰囲気中で行う第１項記
載のＣＢＮ砥粒被覆タービンブレードの製造方法、及
び、（６）ろう付けを、圧力０.１Pa以下で行う第５項
記載のＣＢＮ砥粒被覆タービンブレードの製造方法、を
挙げることができる。
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ
−Ａｌ−Ｙ、Ｎｉ−Ｃｒ及びＴｉの三元系ろう材を用い
てＣＢＮ砥粒をろう付けすることにより、ＣＢＮ砥粒の
表面の濡れがよく、ＣＢＮ砥粒を強固に固着することが
可能となることを見いだし、この知見に基づいて本発明
を完成するに至った。すなわち、本発明は、（１）先端
にＣＢＮ砥粒を固着して被覆したタービンブレードの製
造方法において、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−Ｙ、Ｎｉ−
Ｃｒ及びＴｉの三元系ろう材を用いてＣＢＮ砥粒をろう
付けすることを特徴とするＣＢＮ砥粒被覆タービンブレ
ードの製造方法、を提供するものである。さらに、本発
明の好ましい態様として、（２）Ｔｉ源が、水素化チタ
ンである第１項記載のＣＢＮ砥粒被覆タービンブレード
の製造方法、（３）Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−ＹとＮｉ
−Ｃｒの混合比が、３０：７０〜７０：３０（重量比）
である第１項記載のＣＢＮ砥粒被覆タービンブレードの
製造方法、（４）Ｔｉの混合量が、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−
Ａｌ−ＹとＮｉ−Ｃｒの合計量１００重量部に対して、
０.５〜２０重量部である第１項記載のＣＢＮ砥粒被覆
タービンブレードの製造方法、（５）ろう付けを、真空
中、アルゴン雰囲気中又は窒素雰囲気中で行う第１項記
載のＣＢＮ砥粒被覆タービンブレードの製造方法、及
び、（６）ろう付けを、圧力０.１Pa以下で行う第５項
記載のＣＢＮ砥粒被覆タービンブレードの製造方法、を
挙げることができる。
【０００５】
【発明の実施の形態】本発明のＣＢＮ砥粒被覆タービン
ブレードの製造方法においては、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａ
ｌ−Ｙ、Ｎｉ−Ｃｒ及びＴｉの三元系ろう材を用いて、
ＣＢＮ砥粒をタービンブレードの先端に固着する。本発
明方法に用いるＣｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−Ｙの組成に特
に制限はないが、Ｃｏ３０〜４５重量％、Ｎｉ２５〜４
０重量％、Ｃｒ１５〜２５重量％、Ａｌ５〜１０重量％
及びＹ０.１〜２重量％であることが好ましい。本発明
方法に用いるＮｉ−Ｃｒの組成に特に制限はないが、Ｊ
ＩＳ Ｚ ３２６５に規定されているニッケルろうや、ニ
ッケルろうとして市販されている製品より適宜選択して
用いることができる。例えば、ＪＩＳ Ｚ ３２６５に規
定されているＢＮｉ−２ニッケルろうは、Ｃｒ６〜８重
量％、Ｂ２.７５〜３.５重量％、Ｓｉ４.０〜５.０重量
％、Ｆｅ２.０〜４.０重量％及びＮｉ残部なる組成を有
する。また、福田金属箔粉工業(株)から市販されている
ニッケルろうＦＰ−６１３は、Ｃｒ２９.０重量％、Ｓ
ｉ４.０重量％、Ｐ６.０重量％及びＮｉ残部なる組成を
有する。本発明方法に用いるＮｉ−Ｃｒは、液相線溶融
温度が９８０〜１,０８０℃であることが好ましい。Ｎ
ｉ−Ｃｒの液相線溶融温度が９８０℃未満であると、タ
ービンブレードの使用時にろう付けが緩んでＣＢＮ砥粒
が脱落するおそれがある。Ｎｉ−Ｃｒの液相線溶融温度
が１,０８０℃を超えると、ろう付けが困難となるおそ
れがある。本発明に用いるＴｉ源に特に制限はないが、
水素化チタンＴｉＨ2を好適に用いることができる。水
素化チタンは、空気中で安定であり、４５０℃以上で分
解して金属チタンとなり、その際にろう付けに悪影響を
及ぼさない水素ガスのみを発生する。
ブレードの製造方法においては、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａ
ｌ−Ｙ、Ｎｉ−Ｃｒ及びＴｉの三元系ろう材を用いて、
ＣＢＮ砥粒をタービンブレードの先端に固着する。本発
明方法に用いるＣｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−Ｙの組成に特
に制限はないが、Ｃｏ３０〜４５重量％、Ｎｉ２５〜４
０重量％、Ｃｒ１５〜２５重量％、Ａｌ５〜１０重量％
及びＹ０.１〜２重量％であることが好ましい。本発明
方法に用いるＮｉ−Ｃｒの組成に特に制限はないが、Ｊ
ＩＳ Ｚ ３２６５に規定されているニッケルろうや、ニ
ッケルろうとして市販されている製品より適宜選択して
用いることができる。例えば、ＪＩＳ Ｚ ３２６５に規
定されているＢＮｉ−２ニッケルろうは、Ｃｒ６〜８重
量％、Ｂ２.７５〜３.５重量％、Ｓｉ４.０〜５.０重量
％、Ｆｅ２.０〜４.０重量％及びＮｉ残部なる組成を有
する。また、福田金属箔粉工業(株)から市販されている
ニッケルろうＦＰ−６１３は、Ｃｒ２９.０重量％、Ｓ
ｉ４.０重量％、Ｐ６.０重量％及びＮｉ残部なる組成を
有する。本発明方法に用いるＮｉ−Ｃｒは、液相線溶融
温度が９８０〜１,０８０℃であることが好ましい。Ｎ
ｉ−Ｃｒの液相線溶融温度が９８０℃未満であると、タ
ービンブレードの使用時にろう付けが緩んでＣＢＮ砥粒
が脱落するおそれがある。Ｎｉ−Ｃｒの液相線溶融温度
が１,０８０℃を超えると、ろう付けが困難となるおそ
れがある。本発明に用いるＴｉ源に特に制限はないが、
水素化チタンＴｉＨ2を好適に用いることができる。水
素化チタンは、空気中で安定であり、４５０℃以上で分
解して金属チタンとなり、その際にろう付けに悪影響を
及ぼさない水素ガスのみを発生する。
【０００６】本発明方法において、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−
Ａｌ−ＹとＮｉ−Ｃｒの混合比は、３０：７０〜７０：
３０（重量比）であることが好ましい。Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃ
ｒ−Ａｌ−ＹとＮｉ−Ｃｒの混合比が３０：７０（重量
比）未満であると、ＣＢＮ砥粒被覆部の高温強度が低下
するおそれがある。Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−ＹとＮｉ
−Ｃｒの混合比が７０：３０（重量比）を超えると、ろ
う付け温度が１,３００℃以上になり、ろう付けが困難
となるおそれがある。本発明方法において、Ｔｉの混合
量は、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−ＹとＮｉ−Ｃｒの合計
量１００重量部に対して、０.５〜２０重量部であるこ
とが好ましく、１〜１０重量部であることがより好まし
く、２〜６重量部であることがさらに好ましい。Ｃｏ−
Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−ＹとＮｉ−ＣｒにさらにＴｉを加え
た三元系ろう材を用いることにより、ＣＢＮ砥粒の濡れ
がよくなるとともに、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−Ｙの酸
化が防止され、ＣＢＮ砥粒が強固に固着される。Ｔｉの
混合量がＣｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−ＹとＮｉ−Ｃｒの合
計量１００重量部に対して０.５重量部未満であると、
ＣＢＮ砥粒の表面が十分に濡れず、固着が弱くなるおそ
れがある。Ｔｉの混合量がＣｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−Ｙ
とＮｉ−Ｃｒの合計量１００重量部に対して２０重量部
を超えると、ＣＢＮ砥粒が割れやすくなるおそれがあ
る。
Ａｌ−ＹとＮｉ−Ｃｒの混合比は、３０：７０〜７０：
３０（重量比）であることが好ましい。Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃ
ｒ−Ａｌ−ＹとＮｉ−Ｃｒの混合比が３０：７０（重量
比）未満であると、ＣＢＮ砥粒被覆部の高温強度が低下
するおそれがある。Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−ＹとＮｉ
−Ｃｒの混合比が７０：３０（重量比）を超えると、ろ
う付け温度が１,３００℃以上になり、ろう付けが困難
となるおそれがある。本発明方法において、Ｔｉの混合
量は、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−ＹとＮｉ−Ｃｒの合計
量１００重量部に対して、０.５〜２０重量部であるこ
とが好ましく、１〜１０重量部であることがより好まし
く、２〜６重量部であることがさらに好ましい。Ｃｏ−
Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−ＹとＮｉ−ＣｒにさらにＴｉを加え
た三元系ろう材を用いることにより、ＣＢＮ砥粒の濡れ
がよくなるとともに、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−Ｙの酸
化が防止され、ＣＢＮ砥粒が強固に固着される。Ｔｉの
混合量がＣｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−ＹとＮｉ−Ｃｒの合
計量１００重量部に対して０.５重量部未満であると、
ＣＢＮ砥粒の表面が十分に濡れず、固着が弱くなるおそ
れがある。Ｔｉの混合量がＣｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−Ｙ
とＮｉ−Ｃｒの合計量１００重量部に対して２０重量部
を超えると、ＣＢＮ砥粒が割れやすくなるおそれがあ
る。
【０００７】図１は、本発明方法により製造したＣＢＮ
砥粒被覆タービンブレードのＣＢＮ砥粒の固着状態を示
す概念図である。本発明方法により製造したＣＢＮ砥粒
被覆タービンブレードのＣＢＮ砥粒被覆部を走査型電子
顕微鏡を用いて観察すると、図１(ａ)に示すように、基
材１表面のろう付け層２から、ろう材３がＣＢＮ砥粒４
の下部表面を包むように濡れ上がり、ＣＢＮ砥粒が強固
に保持されている状態が認められる。また、Ｔｉの混合
量が、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−ＹとＮｉ−Ｃｒの合計
量１００重量部に対して５重量部以下の範囲では、Ｔｉ
の混合量の増加とともに、ろう材の濡れ上がりの距離が
大きくなる。一方、Ｔｉを混合しないＣｏ−Ｎｉ−Ｃｒ
−Ａｌ−ＹとＮｉ−Ｃｒの二元系ろう材を用いると、図
１(ｂ)に示すように、ＣＢＮ砥粒の表面への濡れ上がり
は認められず、ＣＢＮ砥粒の保持力は弱い。本発明方法
において、ろう付けは、真空中、アルゴン雰囲気中、窒
素雰囲気中などの酸化性を有しない雰囲気中で行うこと
が好ましく、圧力０.１Pa以下で行うことがより好まし
い。ろう付け処理時間に特に制限はないが、１０分以上
であることが好ましい。本発明方法に用いるＣＢＮ砥粒
に特に制限はないが、粒度＃５０〜２００であることが
好ましい。また、ＣＢＮ砥粒は、本発明の目的を損なわ
ない範囲において、コーティングすることができる。本
発明方法によれば、タービンブレードの先端に、ＣＢＮ
砥粒を約１,０００℃の処理温度でろう付けすることが
でき、ろう材によるＣＢＮ砥粒の濡れがよく、ＣＢＮ砥
粒が強固に固着される。
砥粒被覆タービンブレードのＣＢＮ砥粒の固着状態を示
す概念図である。本発明方法により製造したＣＢＮ砥粒
被覆タービンブレードのＣＢＮ砥粒被覆部を走査型電子
顕微鏡を用いて観察すると、図１(ａ)に示すように、基
材１表面のろう付け層２から、ろう材３がＣＢＮ砥粒４
の下部表面を包むように濡れ上がり、ＣＢＮ砥粒が強固
に保持されている状態が認められる。また、Ｔｉの混合
量が、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−ＹとＮｉ−Ｃｒの合計
量１００重量部に対して５重量部以下の範囲では、Ｔｉ
の混合量の増加とともに、ろう材の濡れ上がりの距離が
大きくなる。一方、Ｔｉを混合しないＣｏ−Ｎｉ−Ｃｒ
−Ａｌ−ＹとＮｉ−Ｃｒの二元系ろう材を用いると、図
１(ｂ)に示すように、ＣＢＮ砥粒の表面への濡れ上がり
は認められず、ＣＢＮ砥粒の保持力は弱い。本発明方法
において、ろう付けは、真空中、アルゴン雰囲気中、窒
素雰囲気中などの酸化性を有しない雰囲気中で行うこと
が好ましく、圧力０.１Pa以下で行うことがより好まし
い。ろう付け処理時間に特に制限はないが、１０分以上
であることが好ましい。本発明方法に用いるＣＢＮ砥粒
に特に制限はないが、粒度＃５０〜２００であることが
好ましい。また、ＣＢＮ砥粒は、本発明の目的を損なわ
ない範囲において、コーティングすることができる。本
発明方法によれば、タービンブレードの先端に、ＣＢＮ
砥粒を約１,０００℃の処理温度でろう付けすることが
でき、ろう材によるＣＢＮ砥粒の濡れがよく、ＣＢＮ砥
粒が強固に固着される。
【０００８】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。 実施例１ Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−Ｙ（重量比３８.５：３２：
２１：８：０.５）合金粉末５０重量部とＮｉ−Ｃｒ
（ＪＩＳ Ｚ ３２６５に規定されるニッケルろうＢＮｉ
−２）合金粉末５０重量部を混合し、さらに水素化チタ
ンＴｉＨ2粉末３重量部を混合して三元系ろう材を調製
した。粒度＃８０／１００のＣＢＮ砥粒２重量部と、上
記の三元系ろう材５０重量部を混合して、混合粉を調製
した。この混合粉をニッケル基耐熱合金（Ｉｎｃｏｎｅ
ｌ ６２５）製基材の上に載置し、真空炉を用いて、温
度１,０６０℃、圧力０.０１Paで、２０分間加熱するこ
とにより、ろう付けを行った。走査型電子顕微鏡を用い
てＣＢＮ砥粒を観察すると、ろう材がＣＢＮ砥粒の下部
約５分の１を包むように基材面から濡れ上がり、ＣＢＮ
砥粒が非常に強固に固着されていた。 実施例２ 水素化チタンＴｉＨ2粉末の混合量を４重量部とした以
外は、実施例１と同様にして、ＣＢＮ砥粒のろう付けを
行い、走査型電子顕微鏡を用いてＣＢＮ砥粒を観察し
た。ろう材がＣＢＮ砥粒の下部約４分の１を包むように
基材面から濡れ上がり、ＣＢＮ砥粒が非常に強固に固着
されていた。 実施例３ 水素化チタンＴｉＨ2粉末の混合量を５重量部とした以
外は、実施例１と同様にして、ＣＢＮ砥粒のろう付けを
行い、走査型電子顕微鏡を用いてＣＢＮ砥粒を観察し
た。ろう材がＣＢＮ砥粒の下部約３分の１を包むように
基材面から濡れ上がり、ＣＢＮ砥粒が非常に強固に固着
されていた。 実施例４ 水素化チタンＴｉＨ2粉末の混合量を２重量部とした以
外は、実施例１と同様にして、ＣＢＮ砥粒のろう付けを
行い、走査型電子顕微鏡を用いてＣＢＮ砥粒を観察し
た。ろう材がＣＢＮ砥粒の下部約１０分の１まで基材面
から濡れ上がり、ＣＢＮ砥粒が強固に固着されていた。 実施例５ 水素化チタンＴｉＨ2粉末の混合量を１重量部とした以
外は、実施例１と同様にして、ＣＢＮ砥粒のろう付けを
行い、走査型電子顕微鏡を用いてＣＢＮ砥粒を観察し
た。ＣＢＮ砥粒と基材の接触面がろう材で濡れ、ＣＢＮ
砥粒が強固に固着されていた。 比較例１ 水素化チタンＴｉＨ2粉末を混合することなく、Ｃｏ−
Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−Ｙ（重量比３８.５：３２：２１：
８：０.５）合金粉末５０重量部とＮｉ−Ｃｒ（ＪＩＳ
Ｚ ３２６５に規定されるニッケルろうＢＮｉ−２）合
金粉末５０重量部を混合した二元系ろう材を用いた以外
は、実施例１と同様にして、ＣＢＮ砥粒のろう付けを行
い、走査型電子顕微鏡を用いてＣＢＮ砥粒を観察した。
ＣＢＮ砥粒と基材の接触面に濡れは認められず、ＣＢＮ
砥粒を金属片を用いて擦ると、ＣＢＮ砥粒が脱落した。
実施例１〜５及び比較例１の結果から、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃ
ｒ−Ａｌ−ＹとＮｉ−Ｃｒの二元系ろう材では、ＣＢＮ
砥粒を強固に固着することはできないが、Ｃｏ−Ｎｉ−
Ｃｒ−Ａｌ−Ｙ、Ｎｉ−Ｃｒ及びＴｉからなる三元系ろ
う材を用いることにより、ＣＢＮ砥粒の濡れがよくな
り、ＣＢＮ砥粒が強固に固着され、三元系ろう材中のＴ
ｉの量が約３重量％以上になると、特に強固に固着され
ることが分かる。
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。 実施例１ Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−Ｙ（重量比３８.５：３２：
２１：８：０.５）合金粉末５０重量部とＮｉ−Ｃｒ
（ＪＩＳ Ｚ ３２６５に規定されるニッケルろうＢＮｉ
−２）合金粉末５０重量部を混合し、さらに水素化チタ
ンＴｉＨ2粉末３重量部を混合して三元系ろう材を調製
した。粒度＃８０／１００のＣＢＮ砥粒２重量部と、上
記の三元系ろう材５０重量部を混合して、混合粉を調製
した。この混合粉をニッケル基耐熱合金（Ｉｎｃｏｎｅ
ｌ ６２５）製基材の上に載置し、真空炉を用いて、温
度１,０６０℃、圧力０.０１Paで、２０分間加熱するこ
とにより、ろう付けを行った。走査型電子顕微鏡を用い
てＣＢＮ砥粒を観察すると、ろう材がＣＢＮ砥粒の下部
約５分の１を包むように基材面から濡れ上がり、ＣＢＮ
砥粒が非常に強固に固着されていた。 実施例２ 水素化チタンＴｉＨ2粉末の混合量を４重量部とした以
外は、実施例１と同様にして、ＣＢＮ砥粒のろう付けを
行い、走査型電子顕微鏡を用いてＣＢＮ砥粒を観察し
た。ろう材がＣＢＮ砥粒の下部約４分の１を包むように
基材面から濡れ上がり、ＣＢＮ砥粒が非常に強固に固着
されていた。 実施例３ 水素化チタンＴｉＨ2粉末の混合量を５重量部とした以
外は、実施例１と同様にして、ＣＢＮ砥粒のろう付けを
行い、走査型電子顕微鏡を用いてＣＢＮ砥粒を観察し
た。ろう材がＣＢＮ砥粒の下部約３分の１を包むように
基材面から濡れ上がり、ＣＢＮ砥粒が非常に強固に固着
されていた。 実施例４ 水素化チタンＴｉＨ2粉末の混合量を２重量部とした以
外は、実施例１と同様にして、ＣＢＮ砥粒のろう付けを
行い、走査型電子顕微鏡を用いてＣＢＮ砥粒を観察し
た。ろう材がＣＢＮ砥粒の下部約１０分の１まで基材面
から濡れ上がり、ＣＢＮ砥粒が強固に固着されていた。 実施例５ 水素化チタンＴｉＨ2粉末の混合量を１重量部とした以
外は、実施例１と同様にして、ＣＢＮ砥粒のろう付けを
行い、走査型電子顕微鏡を用いてＣＢＮ砥粒を観察し
た。ＣＢＮ砥粒と基材の接触面がろう材で濡れ、ＣＢＮ
砥粒が強固に固着されていた。 比較例１ 水素化チタンＴｉＨ2粉末を混合することなく、Ｃｏ−
Ｎｉ−Ｃｒ−Ａｌ−Ｙ（重量比３８.５：３２：２１：
８：０.５）合金粉末５０重量部とＮｉ−Ｃｒ（ＪＩＳ
Ｚ ３２６５に規定されるニッケルろうＢＮｉ−２）合
金粉末５０重量部を混合した二元系ろう材を用いた以外
は、実施例１と同様にして、ＣＢＮ砥粒のろう付けを行
い、走査型電子顕微鏡を用いてＣＢＮ砥粒を観察した。
ＣＢＮ砥粒と基材の接触面に濡れは認められず、ＣＢＮ
砥粒を金属片を用いて擦ると、ＣＢＮ砥粒が脱落した。
実施例１〜５及び比較例１の結果から、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃ
ｒ−Ａｌ−ＹとＮｉ−Ｃｒの二元系ろう材では、ＣＢＮ
砥粒を強固に固着することはできないが、Ｃｏ−Ｎｉ−
Ｃｒ−Ａｌ−Ｙ、Ｎｉ−Ｃｒ及びＴｉからなる三元系ろ
う材を用いることにより、ＣＢＮ砥粒の濡れがよくな
り、ＣＢＮ砥粒が強固に固着され、三元系ろう材中のＴ
ｉの量が約３重量％以上になると、特に強固に固着され
ることが分かる。
【０００９】
【発明の効果】本発明方法によれば、工程の簡単なろう
付けにより、タービンブレードの先端に、耐熱性、耐酸
化性に優れ、ＣＢＮ砥粒の表面がろう材でよく濡れ、強
固に固着されたＣＢＮ砥粒被覆タービンブレードを製造
することができる。
付けにより、タービンブレードの先端に、耐熱性、耐酸
化性に優れ、ＣＢＮ砥粒の表面がろう材でよく濡れ、強
固に固着されたＣＢＮ砥粒被覆タービンブレードを製造
することができる。
【図１】図１は、ＣＢＮ砥粒の固着状態を示す概念図で
ある。
ある。
１ 基材 ２ ろう付け層 ３ ろう材 ４ ＣＢＮ砥粒
Claims (1)
- 【請求項１】先端にＣＢＮ砥粒を固着して被覆したター
ビンブレードの製造方法において、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｃｒ−
Ａｌ−Ｙ、Ｎｉ−Ｃｒ及びＴｉの三元系ろう材を用いて
ＣＢＮ砥粒をろう付けすることを特徴とするＣＢＮ砥粒
被覆タービンブレードの製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2000118100A JP2001303902A (ja) | 2000-04-19 | 2000-04-19 | Ｃｂｎ砥粒被覆タービンブレードの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2000118100A JP2001303902A (ja) | 2000-04-19 | 2000-04-19 | Ｃｂｎ砥粒被覆タービンブレードの製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2001303902A true JP2001303902A (ja) | 2001-10-31 |
Family
ID=18629302
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2000118100A Pending JP2001303902A (ja) | 2000-04-19 | 2000-04-19 | Ｃｂｎ砥粒被覆タービンブレードの製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2001303902A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN112584956A (zh) * | 2018-08-21 | 2021-03-30 | 西门子能源美国公司 | 利用金属钎焊预烧结的预制件对涡轮翼型件进行部段替换 |
-
2000
- 2000-04-19 JP JP2000118100A patent/JP2001303902A/ja active Pending
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN112584956A (zh) * | 2018-08-21 | 2021-03-30 | 西门子能源美国公司 | 利用金属钎焊预烧结的预制件对涡轮翼型件进行部段替换 |
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