JPH0584363A - はさみおよびその製造方法 - Google Patents

はさみおよびその製造方法

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JPH0584363A
JPH0584363A JP20832491A JP20832491A JPH0584363A JP H0584363 A JPH0584363 A JP H0584363A JP 20832491 A JP20832491 A JP 20832491A JP 20832491 A JP20832491 A JP 20832491A JP H0584363 A JPH0584363 A JP H0584363A
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JP
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blade
scissors
titanium
brazing material
base metal
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JP20832491A
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Takumi Shibuya
巧 渋谷
Satoshi Kano
智 狩野
Junya Oe
潤也 大江
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Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、軽量で切れ味の良好なはさみとそ
の製造方法を提供することを目的とする。 【構成】 本発明は、切刃部と柄部と指輪部とからなる
はさみ半体を一対軸部材で結合してなるはさみにおい
て、切刃部を地鉄部と刃金部とから構成し、切刃部の刃
金部を刃物材料から形成し、地鉄部と柄部と指輪部をチ
タンまたはチタン合金から形成してなるものである。ま
た、刃金部は地鉄部に対して溶融拡散層により接合され
ている。 【効果】 刃金部を刃物材料から形成することで切れ味
を良好とし、その他の部分をチタンまたはチタン合金か
ら形成することで軽量化することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は軽量で切れ味の良好なは
さみおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】はさみは、相対する2枚の刃をすりあわ
せて物をはさみ切る道具であり、重点と支点と力点の相
互関係を利用するてこの原理を応用した道具である。こ
のはさみは、前記てこの原理に基づき、和裁用はさみや
洋ばさみなどのような多種多様な構造のものが提供され
ている。これらのはさみは、一般に、熱処理により硬化
可能な金属材料などで構成されている。即ち、特定の金
属材料を所望の形状に加工した後に焼き入れなどの熱処
理を行ない、刃先部分を硬化させることではさみが製造
されている。
【0003】従来、前記のはさみを構成する金属材料と
して、硬度が高く、耐食性に優れたステンレス鋼や超硬
合金などが用いられている。また、最近に至り、金属材
料に代わるものとして靱性を向上させたセラミックが登
場し、この種のセラミックを用いたはさみが登場すると
ともに、金属材料とセラミックを複合した構造のはさみ
なども登場している。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】ところが、前記ステンレス鋼や超硬合金
は、硬度は高いものの、比重の大きな材料であるので、
これらの材料からなるはさみは、切れ味は良好であって
も、はさみ自体は重くなるという欠点がある。このよう
な重いはさみは、特に、理容士などのように、営業のた
めに長時間連続使用する人にとっては極めて扱いずらい
ものであり、手先の疲労が大きく、理想的な道具とは言
えない問題がある。そこで形状的に種々の工夫をこらす
とともに、構成材料として軽量なものを選択することで
切れ味を維持したままではさみを軽量化することがなさ
れているが、軽量性と切れ味の両方を兼ね備えたはさみ
は、未だに得られていないのが現状である。従って、切
れ味を維持したままで軽量化したはさみの登場が望まれ
ている。 また、理容ばさみなどにおいては、パーマ液
や整髪料などに含まれる化学成分により、経時的にはさ
みの形成材料に腐蝕を生じ、へたりを生じることがある
ので、この種のはさみは、耐食性の面でも優れているこ
とが要求される。
【0005】また、セラミックは金属材料に比較すると
軽量で耐食性に優れた材料であるが、本来的に脆い材料
であり、衝撃には弱いので、誤って落下させて刃先部分
に欠けや割れを生じさせたり、無理な使い片をすると刃
こぼれするなどの問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は前
記課題を解決するために、切刃部と柄部と指輪部とから
なるはさみ半体を、一対、軸部材によって開閉自在に結
合してなり、刃先部を地鉄部と刃金部とから構成してな
るはさみにおいて、前記刃金部を除いた部分の少なくと
も一部をチタンまたはチタン合金から形成し、前記刃金
部をステンレス鋼、超硬合金、あるいは、粉末ハイスな
どの高硬度の刃物材料から形成し、前記刃金部を溶融拡
散層を介して地鉄部に接合してなるものである。
【0007】請求項2記載の発明は前記課題を解決する
ために、請求項1記載のはさみにおいて、溶融拡散層を
チタンろう材とニッケルろう材とセラミック粒子を分散
させたチタンろう材とセラミック粒子を分散させたろう
材の少なくとも1つを刃金部と地鉄部に溶融拡散させて
形成してなるものである。
【0008】請求項3記載の発明は前記課題を解決する
ために、請求項1記載のはさみにおいて、刃金部をマル
テンサイト系ステンレス鋼から形成してなるものであ
る。
【0009】請求項4記載の発明は前記課題を解決する
ために、チタンまたはチタン合金からなるはさみの地鉄
部に、高硬度の刃物材料からなる刃金部を接合してはさ
みを製造する方法であって、刃金部と地鉄部との間に中
間層を介在させて刃金部と地鉄部を接触させ、この後に
加熱して中間層を溶融拡散させて刃金部と地鉄部を接合
するものである。
【0010】請求項5記載の発明は前記課題を解決する
ために、請求項4記載のはさみの製造方法において、中
間層として、チタンろう材とニッケルろう材とセラミッ
ク粒子を含むチタンろう材とセラミックを含むニッケル
ろう材の少なくとも1つからなるものを選択するもので
ある。
【0011】請求項6記載の発明は前記課題を解決する
ために、請求項4記載のはさみの製造方法において、加
熱による接合と同時に刃金部の熱処理を行なうものであ
る。
【0012】請求項7記載の発明は前記課題を解決する
ために、請求項4記載のはさみの製造方法において、高
硬度の刃物材料からなる刃金部を熱処理して硬化させた
後に、刃金部と地鉄部との間に中間層を介在させて刃金
部と地鉄部を接触させ、この後に加熱して中間層を溶融
拡散させて刃金部と地鉄部を接合するものである。
【0013】
【作用】本発明に係るはさみにおいては、刃金部を除く
部分が比重の小さなチタンまたはチタン合金からなり、
刃金部のみが比重の大きな高硬度の刃物材料からなるの
で、全体を刃物材料から形成していた従来のはさみより
も軽量となる。また、刃金部は従来の刃物材料からなる
ので、従来のはさみが有する良好な切れ味自体は維持さ
れる。特に刃金部をマルテンサイト系ステンレス鋼から
形成すると、切れ味の良好なはさみが得られる。
【0014】チタンろう材とニッケルろう材とこれらに
セラミック粒子を分散させたろう材の少なくとも1つか
らなる中間層を加熱することで、中間層を構成する元素
が、チタンまたはチタン合金からなる地鉄部側と刃物材
料からなる刃金部側に溶融拡散して両者を接合する。中
間層を構成する材料は、地鉄部を構成するチタンまたは
チタン合金との間で共晶合金化して溶融拡散し、厚さ数
mmの溶融拡散層が生成するので、中間層により刃金部
が地鉄部に良好な強度で接合する。また、刃金部の焼き
入れと刃金部のろう付けを同時に行なうことで熱処理工
程が少なくなる。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。図1(a)、(b)、(c)は本発明を理
容用のはさみに適用した一実施例を示すもので、この実
施例のはさみ1は、切刃部2と柄部3と指輪部4とから
なるはさみ半体5が、一対、軸部材6を介して開閉自在
に接合されて構成されている。 これら左右のはさみ半
体5、5は、本実施例では右ききの使用者用にそれぞれ
異った形状に形成されているが、左右同一形状でも良
く、図面とは左右逆の形状でも差し支えない。このはさ
み半体5、5の形状は用途に合わせて適宜設計変更する
ことができるものである。前記はさみ半体5において、
切刃部2は、地鉄部7に刃金部8を接合して構成したも
のである。刃金部8は帯状のもので、切刃部2、2どう
しが摺り合わされる側の刃先部分に、図1(c)に示す
溶融拡散層9を介して接合一体化されている。
【0016】前記構成のはさみにおいて、切刃部2の地
鉄部7と柄部3と指輪部4はいずれもチタンまたはチタ
ン合金から一体形成されている。ここで使用するチタン
合金として、Ti-5Al-3Mn合金、Ti-2Al-2
Mn、Ti-5Al-2Cr-1Fe合金、Ti-6Al-
4V合金、Ti-8Mn合金、Ti-13V-11Cr-3
Al合金などを例示することができるが、前記以外のチ
タン合金を用いても良いのは勿論である。
【0017】切刃部2の刃金部8は、マルテンサイト系
ステンレス鋼、超硬合金、粉末ハイス、工具鋼、高速度
鋼などの硬度の高い刃物材料から構成されている。刃物
材料として具体的には、クロムとニッケルを含有する1
8ー8ステンレス鋼に代表されるマルテンサイト系のス
テンレス鋼、0.6〜1.5%程度の炭素を含む炭素工具
鋼、前記炭素工具鋼にマンガン、ニッケル、クロム、モ
リブデン、けい素、タングステン、バナジウムなどの元
素を添加した合金工具鋼と高速度鋼など、タングステン
にコバルト、炭素、更には必要に応じてチタンを添加し
た超硬合金、WC-TiC-TaC(NbC)-Co系超
硬合金、粉末ハイスなど、あるいは、従来からはさみ用
の材料として用いられているものを広く使用することが
できる。
【0018】地鉄部7に刃金部8を接合している溶融拡
散層9は、ニッケルろう材、チタンろう材、あるいはこ
れらにセラミック粒子を分散させたろう材を地鉄部7お
よび刃金部8に溶融拡散して形成されたものである。ニ
ッケルろう材として具体的には、純ニッケル、Ni-7C
r-3B-4Si-3Fe合金、Ni-15Cr-3B合金、Ni-2
5Cr合金、Ni-0.5C-3Si-10Cr-2.5Fe-2B-
0.1Co合金(商品名:コルモノイNo4)、Ni-0.65
C-12Cr-4.25Fe-4.0Si-2.5B合金(コルモ
ノイNo5)、Ni-1.5C-27Cr-8W-1.6Fe-1.
55B-0.5Co合金(コルモノイNo84)、50Ni-3
2Mo-15Cr-3Si合金、商品名:トリバロイ70
0)、あるいは、JIS規定のNiろうである、BNi-
2などを用いることができるがこれらのろう材に限るも
のではない。チタンろう材として具体的には、Ti-48
Zr-4Be、Ti-30V-4Be、Ti-33Cr、Ti-13
V-11Cr-3Alなどのチタンろう材を例示することが
できるが、これらに限るものではない。また、前記組成
のろう材にセラミック粒子を分散させても良い。ここで
用いるセラミック粒子として、TiC、WC、B4C、C
-BN、TiN、Si34、サイアロン、SiCなどを例示
することができる。なお、セラミック粒子として例えば
ウイスカを混合しても良い。なお、刃金部8の形成材料
としてステンレス鋼を用いる場合、ステンレス鋼に含ま
れるクロムが主体となって形成される酸化皮膜が接合部
に介在すると、接合不良になることがあるので、クロム
を主体とする酸化皮膜を接合時に破るか、あるいは、酸
化皮膜の形成を抑制する必要がある。そこでろう材に
は、クロムのゲッタリング元素として知られるチタン、
銅、ジルコニウムを含むチタンろう材、ニッケルろう材
などを用いることが好ましい。
【0019】次に前記構成のはさみ1を製造する方法に
ついて説明する。前記はさみ1を製造するには、チタン
またはチタン合金から得た鋳塊に鍛造加工、圧延加工、
押出加工、引抜加工などの塑性加工を適宜施してさみ半
体5、5に近い大きさの図2に示す板状部材10を作製
する。この際に、板状部材10の角部に、凹部11を形
成しておき、この凹部11に凹部11を閉じる程度の大
きさの細長い帯状の刃金部材12を中間層13を介して
接触させる。なおここで、板状部材10に特別に凹部1
1を形成することはやめて、圧延などの手段により板状
部材10に刃金部材12を直接圧着しても良い。
【0020】この刃金部材12は、前述した高硬度の刃
物材料からなり、中間層13は前述した各種のろう材か
らなる。この中間層13は板状部材10に予め付着形成
させておいても良いし、凹部11側に付着形成させてお
いても良いし、当接の際に挟み込んで設けても良い。中
間層13を刃金部材12あるいは板状部材10に形成す
る手段としては、前記各組成の金属の箔を刃金部材12
上に、圧着、接着、スポット溶接などの方法により接合
しても良いし、前記組成の金属の粉末をバインダーに混
合した塗布物を塗布しても良い。また、前記組成の金属
を基材7上に電解メッキ、無電解メッキにより被覆して
も良いし、基材7上に前記金属の粉末をまぶした後に、
液圧プレスなどの手法により圧密して被覆しても良い。
要は、ある程度の厚さをもった中間層13を形成できる
手段であれば公知のいかなる手段を用いても良い。
【0021】刃金部材12を板状部材10の凹部11に
中間層13を介して当接させたならば、全体を真空炉に
装入して拡散接合温度まで加熱して図3に示すように両
者を溶融拡散により接合する。ここで例えば、1×10
-4Torr以下の真空中で900〜1100℃に加熱す
る。真空中で処理するのは、チタンが化学的に活性であ
り、酸化反応あるいは還元反応を防止するためである。
また、加熱温度は中間層13の構成主要元素とチタンと
の共晶点近傍の温度あるいはそれ以上の温度が好まし
い。従って前記のように900〜1100℃の範囲が好
ましいが、加熱温度は中間層13の種類によって前記の
範囲内で適宜設定するものとする。更に真空炉内で加熱
した後にガス急冷する熱処理を同時に施して刃金部材1
2の焼き入れ処理も行なうこともできる。このようにす
ることで熱処理工程と拡散接合工程を一度に行なうこと
ができ、工程の簡略化ができる。前記真空加熱処理によ
って中間層13の一部又は全部で溶融拡散が進行する。
このような溶融拡散状態で所定時間(数十分〜数十時間)
保持することで中間層13を構成する元素と板状部材1
0を構成する元素とが相互拡散し、更に、中間層13を
構成する元素と刃金部材12を構成する元素とが相互拡
散し、冷却後に図1(c)に示す溶融拡散層9が生成す
る。
【0022】ここで前記溶融拡散処理を行うことで、ニ
ッケルとチタンとの共晶合金化、更には、炭素とケイ素
とホウ素と窒素とジルコニウムとクロムのいずれかから
選択される元素と、板状部材10のチタンとの2元系あ
るいは3元系の共晶合金化、並びに金属間化合物の生成
が起こり、中間層13よりも硬度が高められた溶融拡散
層9が形成される。溶融拡散反応で生成される金属間化
合物としてTi2Niなどを例示することができる。ま
た、中間層13としてニッケル系の種々の組成の合金を
用いる場合は、炭素がカーバイド、ケイ素がシリサイ
ド、ホウ素がボライド、窒素がチッ化物、ジルコニウム
とニオブとクロムとが金属間化合物を生成して硬化に寄
与する。このように得られた溶融拡散層の厚さは1〜2
mmにも及ぶものであり、通常の固相拡散接合の場合の
接合層の厚さが0.1mm程度であることに比較すると
格段に厚く、接合強度も高いものである。
【0023】また、刃金部材12を前記条件で予め熱処
理し、それから中間層13を介して凹部11に当接さ
せ、次に溶融拡散温度に加熱して接合するようにしても
良い。このように最初から刃金部材12に焼き入れして
から接合すると、接合と焼き入れを同時に行なう場合よ
りも、接合温度を低く抑えることができる。これは、焼
き入れ時の加熱温度が例えば1050℃程度、溶融拡散
接合時の加熱温度が980〜1000℃程度であって、
焼き入れ時の加熱温度の方が高いので、溶融拡散による
接合と焼き入れを同時に行なう場合に、焼き入れ温度に
合わせて溶融拡散温度を決定すると、刃金部材12を必
要以上に高温度に長時間加熱することになり、刃金部材
12の結晶粒の粗大化を引き起こすおそれがあるからで
ある。このように必要以上の加熱を抑えることで刃金部
材12を微細な結晶粒とすることができる。
【0024】更に、刃金部材12としてマルテンサイト
系のステンレス鋼を用いた場合、クロムのゲッタリング
元素を含むろう材を用いると、接合時に刃金部材12の
表面に酸化皮膜が形成されることを抑制できるので、酸
化皮膜による悪影響を受けることなく拡散接合すること
ができ、充分な強度で刃金部材12を接合することがで
きる。なお、刃金部材12に中間層13を形成する場
合、めっき処理の前処理工程で一般に行なわれる酸洗い
処理や表面洗浄処理を行なうことで刃金部材12の表面
部分に生成されている酸化皮膜を除去することが好まし
い。このように酸化皮膜を除去しておくことで、前記ゲ
ッタリング元素を中間層13に含ませなくともクロムの
酸化皮膜による接合への悪影響の問題を解消できるよう
になる。
【0025】前記溶融拡散による接合作業を行なうこと
で刃金部材12は図3に示すように溶融拡散層9によっ
て板状部材10の凹部11内に固定される。接合作業が
終了したならば、図3の鎖線に沿って切削、研削あるい
は塑性加工を施すことで図1に示す形状のはさみ半体5
を得ることができる。このようにはさみ半体5、5を製
造したならば、両者を軸部材6を用いて開閉自在に一体
化することで図1に示す構成のはさみ1を得ることがで
きる。
【0026】なお、前記切削、研削あるいは塑性加工に
より最終的なはさみの形状に成形した後に刃金部材12
の焼き入れ処理を行ない、焼き入れ処理を溶融拡散によ
る接合の前後に行なわないようにすることもできる。
【0027】前記のように製造されたはさみ1は、刃金
部8を除いた部分が軽量なチタンまたはチタン合金から
形成され、はさみ全体として少ない部分である刃金部8
が比重の大きな刃物材料から形成されているので、全体
が刃物材料で形成されていた従来のはさみよりも軽量に
なる。また、刃金部8は従来から使用されている刃物材
料であるので、従来のはさみが有している切れ味はその
まま維持することができる。更に、刃金部8以外の部分
はチタンまたはチタン合金から形成されているので、耐
食性に優れており、パーマ液や整髪料などに含まれる化
学成分に浸される理容用のはさみとして好適である。
【0028】図4は本発明に係るはさみの他の実施例を
示すものである。この実施例のはさみにおいては、切刃
部2に設けた刃金部15において、刃金部15の幅を先
端部16側から後端部17側にかけて順次広くなるよう
に形成したものである。
【0029】このように刃金部15を形成することによ
り、刃金部15の後端部側を重く、刃金部15の先端部
側を軽くすることができ、これによりはさみ全体の重量
バランスを調整して先を軽くすることができる。また、
刃金部15の先端側の幅と後端側の幅を適宜変えること
で、はさみの重量バランスを使用者の好みに合わせてト
ップヘビーとトップライトのどちら側にも調節すること
ができる。なお、この実施例では刃金部15の幅を変え
ることで重量バランスを調整しているが、刃金部15の
幅は同一とし、刃金部15の厚さを先端側と後端側で変
えることではさみの重量バランスを調整することもでき
る。
【0030】ところで、前記実施例においては、切刃部
2の摺り合わせ部分側に帯状の刃金部8を固定した構造
になっているが、刃金部8の形状や取り付け構造は種々
の構造が実現可能である。例えば、図5に示すように地
鉄部71に形成した傾斜面側に刃金部81を固定した構
造、図6に示すように地鉄部72の底面の先端側に刃金
部82を一体化した構造、図7に示すように地鉄部73
の底面部に刃金部83を一体化した構造、図8に示すよ
うに地鉄部74の先端側を覆う断面V字状の刃金部84
を一体化した構造、または、図9に示すように地鉄部7
5の先端側に凹部76を形成してこの凹部76を受け部
として刃金部85を一体化した構造のいずれを採用して
も良い。以上説明したように本願発明は、地鉄部と刃金
部との結合部分の形状を特別なものに限定するものでは
なく、種々の形状が可能である。
【0031】(試験例)チタンからなる板状の地鉄部の
表面にNi-25Cr合金の箔(中間層)とステンレス
鋼からなる帯状体の刃金部を圧着し、これを1100℃
に1時間加熱して得られた接合体の接合部分の分析を行
なった。得られた接合体において、箔の部分は、加熱に
よる溶融拡散によりチタン基材の表面側と帯状体の裏面
側に拡散接合し、溶融拡散層となっていて、この溶融拡
散層の厚さは、1〜2mmになっていた。前記溶融拡散
層がチタンの地鉄部側に溶融拡散した部分の詳細構造を
図10に示す。図10は、拡散部分の断面を150倍に
拡大して得られた金属組織写真を模式化したものであ
る。
【0032】溶融拡散層9は、侵食層21とこの侵食層
21上の硬化層22とから構成され、硬化層22は、表
面層25と混合層26とからなり、侵食層21は、接合
層27と多数のアンカー部28とからなっている。
【0033】前記溶融拡散層9は、中間層を構成するN
i-25Cr合金と地鉄部のチタンが相互拡散して形成
された層である。前記表面層25は、Ti2Niなる組
成の金属間化合物が析出されて硬化された層である。混
合層26と接合層27は、それぞれがTiとNiとCr
を含有し、混合層26の方が、接合層27よりもNiと
Crの含有量が多く含む析出物を有している。アンカー
部28は、基材7の表面部に柱状に多数食い込んで形成
されたものであり、Tiを主成分とし、これに少量のN
iと微量のCrが含有されたものである。
【0034】ここで以下に柱状のアンカー部28が生成
する理由について推定する。前記中間層の構成元素のN
iと地鉄部の構成元素のチタンが2元系合金を構成する
場合には溶融温度が降下する。この結果、地鉄部と中間
層の界面に溶融帯が形成され、溶融帯と地鉄部との境界
において部分的に融点が降下した部分(例えば、島状に
融点降下する部分が生じる。)が核となってこの部分か
ら地鉄部の深さ方向に選択的に溶解し始めて柱状に溶融
を開始し、この溶融部分が冷却時に柱状のアンカー部2
8として残留する。また、アンカー部28の上部側は接
合層27と連続一体化し、接合層27は混合層26に連
続一体化し、混合層26は表面層25に連続一体化した
ものと思われる。
【0035】前記構造によれば、溶融拡散層9の全体に
Ti2Niで示される組成を有する硬い金属間化合物が
生成するので、全体の硬度が高くなるが、その中で特に
表面層25にTi2Ni金属間化合物が多く生成する。
これは後述するように、溶融拡散層の表面側でのTi含
有量とNi含有量が約2:1の割合になるためであると
思われる。更に、アンカー部28が地鉄部の表面部に食
い込んでいるので、接合層27と混合層26と表面層2
5に連続一体化されたアンカー部28のアンカー効果に
より、地鉄部とこれらの層との接合力は特に高く、硬化
部分に多少の塑性加工を加えてもこれらの層が地鉄部か
ら剥離することはない。
【0036】また、実際に前記接合体に圧延加工を施し
た結果、20%の圧下率までは接合部分にクラックを生
じることなく圧延加工することができ、溶融拡散層部分
での接合強度が高いことが確認できた。
【0037】次に以下の表1に、溶融拡散層の厚さ方向
の析出物の成分分析結果を示す。組成の分析にはX線マ
イクロアナライザーを用い、電子線照射により、特定の
微小領域から発生する特性X線の強度を比較する方法を
用いた。また、表1の数値は、溶融拡散層の深さ方向に
おける各層の析出物ごとにTiとNiとCrの含有量
(重量%)を測定した結果を示している。
【0038】
【表1】
【0039】表1に示す結果から明らかなように、表面
層の析出物はTiとNiがほぼ2:1の割合で含有され
ており、TiNi金属間化合物が生成するために好ま
しい組成割合となっている。また、表面層と混合層と接
合層の順で析出物のNi含有量が減少し、析出物組成に
勾配が形成されていることも明らかになった。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係るはさみ
においては、刃金部を除く地鉄部と柄部と指輪部とがチ
タンまたはチタン合金からなり、刃金部のみが比重の高
い刃物材料からなるので、全体を刃物材料から形成して
いた従来のはさみよりも軽量化したさみを得ることがで
きる。また、刃金部は従来の刃物材料からなるので、従
来のはさみが有する良好な切れ味自体を維持することが
できる。即ち本発明によれば、軽量で切れ味の良いはさ
みを提供することができる。更に、本発明に係るはさみ
においては、刃金部を除く部分がチタンまたはチタン合
金からなるので、耐食性に優れ、パーマ液や整髪料を多
用する理容用のはさみとしても充分な耐食性を有する特
長がある。
【0041】また、地鉄部と刃金部の間に設けた中間層
を加熱して溶融拡散させることで刃金部と地鉄部を接合
するので、地鉄部側と刃金部側にそれぞれ中間層の元素
が拡散し、地鉄部と刃金部が強固に接合される。従って
刃金部が地鉄部から剥離することがないはさみを提供す
ることができる。
【0042】また、刃金部の焼き入れと刃金部のろう付
けを同時に行なうことで焼き入れとろう付けを別々に行
なう必要がなくなり、これらを別々に行なう場合よりも
熱処理工程が少なくなり、その分製造コストを低くする
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本発明のはさみの一実施例を示す
平面図、図1(b)は本発明のはさみの一実施例の要部
の拡大図、図1(c)は本発明のはさみの一実施例の要
部断面図である。
【図2】図2は本発明方法の一例を説明するためのもの
で、地鉄部に刃金部を一体化する前の状態を示す断面図
である。
【図3】図3は同例を説明するためのもので、地鉄部に
刃金部をろう付けした状態を示す断面図である。
【図4】図4は本発明の他の実施例の刃金部を示す平面
図である。
【図5】図5は本発明のはさみの接合構造の第3実施例
を示す断面図である。
【図6】図6は本発明のはさみの接合構造の第4実施例
を示す断面図である。
【図7】図7は本発明のはさみの接合構造の第5実施例
を示す断面図である。
【図8】図8は本発明のはさみの接合構造の第6実施例
を示す断面図である。
【図9】図9は本発明のはさみの接合構造の第7実施例
を示す断面図である。
【図10】図10は本発明のはさみの接合構造の断面組
織を示す模式図である。
【符号の説明】
1 はさみ、 2 切刃部、 3 柄部、 4
指輪部、 5 はさみ半体、 6 軸部材、 9 溶融拡
散層、 7、71、72、73、74、75 地鉄部 8、15、81、82、83、84、85 刃金部 13 中間層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 切刃部と柄部と指輪部とからなるはさみ
    半体が、一対、軸部材によって開閉自在に結合されてな
    り、刃先部が地鉄部と刃金部とからなるはさみにおい
    て、 前記はさみの刃金部を除いた部分の少なくとも一部がチ
    タンまたはチタン合金からなり、前記刃金部がステンレ
    ス鋼、超硬合金、あるいは、粉末ハイスなどの高硬度の
    刃物材料からなり、前記刃金部が溶融拡散層を介して地
    鉄部に接合されてなることを特徴とするはさみ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のはさみにおいて、溶融拡
    散層が、チタンろう材とニッケルろう材とセラミック粒
    子を分散させたチタンろう材とセラミック粒子を分散さ
    せたろう材の少なくとも1つが刃金部と地鉄部に溶融拡
    散して形成されてなることを特徴とするはさみ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のはさみにおいて、刃金部
    がマルテンサイト系ステンレス鋼からなることを特徴と
    するはさみ。
  4. 【請求項4】 チタンまたはチタン合金からなるはさみ
    の地鉄部に、高硬度の刃物材料からなる刃金部を接合し
    てはさみを製造する方法であって、刃金部と地鉄部との
    間に中間層を介在させて刃金部と地鉄部を接触させ、こ
    の後に加熱して中間層を溶融拡散させて刃金部と地鉄部
    を接合することを特徴とするはさみの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のはさみの製造方法におい
    て、中間層として、チタンろう材とニッケルろう材とセ
    ラミック粒子を含むチタンろう材とセラミックを含むニ
    ッケルろう材の少なくとも1つからなるものを選択する
    ことを特徴とするはさみの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項4記載のはさみの製造方法におい
    て、加熱による接合と同時に刃金部の熱処理を行なうこ
    とを特徴とするはさみの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項4記載のはさみの製造方法におい
    て、高硬度の刃物材料からなる刃金部を熱処理して硬化
    させた後に、刃金部と地鉄部との間に中間層を介在させ
    て刃金部と地鉄部を接触させ、この後に加熱して中間層
    を溶融拡散させて刃金部と地鉄部を接合することを特徴
    とするはさみの製造方法。
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