JP2011025333A - 接合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】サーメット焼結体を第1の被接合材1とし、cBN焼結体またはダイヤモンド焼結体を第2の被接合材3とする接合体であって、第1の被接合材および第2の被接合材は、両者の間に設置された800℃を超え1000℃未満の温度で液相を生成する接合材2を介して接合されており、前記接合は0.1MPa〜200MPaの圧力で加圧しながら通電加熱することによって行われている接合体。
【選択図】図1
Description
以下、各請求項の発明につき説明する。
サーメット焼結体を第1の被接合材とし、cBN焼結体またはダイヤモンド焼結体を第2の被接合材とする接合体であって、前記第1の被接合材および第2の被接合材は、両者の間に設置された800℃を超え1000℃未満の温度で液相を生成する接合材を介して接合されており、前記接合は0.1MPa〜200MPaの圧力で加圧しながら通電加熱することによって行われていることを特徴とする接合体である。
前記接合材が、900℃以上1000℃未満の温度で液相を生成する接合材であることを特徴とする請求項1に記載の接合体である。
前記通電加熱によって、前記第1の被接合材が、前記第2の被接合材よりも優先的に発熱して、接合されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の接合体である。
通電加熱によって、前記接合材成分のうちの少なくとも1つの元素が、前記第1の被接合材および/または前記第2の被接合材中に元素拡散していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の接合体である。
加圧しながらの通電加熱によって変形する接合材を用いて接合されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の接合体である。
前記接合材が、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、銅(Cu)の少なくとも1つを含む合金からなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の接合体である。
前記接合材が、チタン(Ti)を含むことを特徴とする請求項6に記載の接合体である。
前記接合材の少なくとも一部が、通電加熱時に液相を生成していることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の接合体である。
前記接合材および/または前記第1の被接合材の結合相に含まれるニッケル(Ni)が、30vol%(体積百分率)以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の接合体である。
前記接合材が、めっき法により前記第1の被接合材および/または前記第2の被接合材の表面上に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の接合体である。
前記接合材が、物理蒸着法により前記第1の被接合材および/または前記第2の被接合材の表面上に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の接合体である。
前記接合体が、切削工具であることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の接合体である。
始めに、通電加圧接合における通電の形態について、図を用いて説明する。
1.第1の通電の形態
図1は、通電加圧接合における通電の一形態を説明する概念図である。図1において、被接合材1、3は、それぞれ第1の被接合材(サーメット焼結体)および第2の被接合材(cBN焼結体またはダイヤモンド焼結体)であって、挟み込まれた接合材2を用いて接合される。
図2は、通電加圧接合における通電の別の一形態を説明する概念図である。図2において、分割電極5は第2の被接合材3に接しており、電極4は第1の被接合材1に接している。電極4と分割電極5の材質を変えることで、それぞれの電気伝導度と熱伝導度を変えることができ、第1の被接合材と第2の被接合材にそれぞれ異なった電流を与えることが可能となり、それぞれの温度を極端に変えることが可能となる。これにより、熱劣化を起こしやすい被接合材でも、熱劣化を起こさずに接合することができる。さらに、電極を分割し、それぞれの電極を独立して加圧することにより、第1の被接合材と第2の被接合材に与える圧力を高精度に制御することができるため、接合強度を向上させることができ好ましい。
図3は、回転工具を通電加圧接合する際の一形態を説明する概念図である。図3において、接合材2を挟んで被接合材1と被接合材3が配置されており、電極4はそれぞれの被接合材に接している。電極間に電圧を印加することにより被接合材1、3と接合材2に電流が流れ、加熱されることによって接合される。加熱に十分な電流を流すためには、電極4と被接合材1、3はできるだけ密着していることが好ましい。被接合材3が電気抵抗の高い材料の場合、あらかじめ被接合材3の一部に電気抵抗の低い材料を加えておくことによって、電流経路を確保し、接合に十分な電流を流すことが可能となる。電極4と被接合材1、3は密着していることが好ましい。
図4は、回転工具を通電加圧接合する際の他の形態を説明する概念図である。図4において、接合材2を挟んで被接合材1と被接合材3が配置されており、電極はそれぞれの被接合材に接している。第3の通電の形態の場合と異なり、電極は、通電と共に加圧を行う電極7および電極9と主に通電を行う電極6および電極8に分かれている。これにより、電気抵抗が高い被接合材1、3であっても、被接合材1、3に電気抵抗の低い材料を加えておき、その部分に電極6および電極8から優先的に電流を流すことが可能となり、加圧と加熱を必要な部分にのみ行うことが可能となる。なお、電極7と電極6および電極9と電極8は接触していても良い。また、電極7および電極9には電流を流さなくても良い。さらには、電極6および電極8の位置、電流量をそれぞれ独立に調整できるように構成することが、形状や特性の変化に対応することができるため好ましい。また、電極6〜9の材質はすべて同じであっても、一部異なっていても、すべて異なっていても良い。あるいは、被接合材1,3と接触する部分のみ材質が異なっていても良い。
次いで、上記図1〜図4に示された通電を用いた通電加圧接合について説明する。
通電条件は、使用される被接合材および接合材の材質等により、適宜決定されるが、接合材近傍以外で、被接合材材料の変形・溶融や、粒子の粗大化を招かないためには、1分以内、特に30秒以内程度が好ましい。
本実施例および比較例は、接合時の加圧力と接合強度との関係、および被接合材の変形との関係に関するものである。
ザグリを入れたサーメット製の台金(第1の被接合材)に、厚さ10μmのNi−7wt%P(融点約900℃)めっきを表面に施した三角形状のバックメタル付きcBNチップ(第2の被接合材)を、図1に示すようにセットし、上下方向より、0.05MPa(比較例1)、0.1MPa(実施例1)、10MPa(実施例2)、30MPa(実施例3)、70MPa(実施例4)、100MPa(実施例5)、200MPa(実施例6)、250MPa(比較例2)の各圧力を加えた状態の下、真空中で通電加圧接合を行い、実施例1〜6および比較例1、2の接合体を得た。なお、電極として黒鉛を用い、電極との反応を防ぐため、黒鉛シートを電極と被接合材との間に挿入した。また、通電は、直流パルス電流により行い、パルス電流値2300A、パルスOn:Off比1:1、パルス幅10ms、通電時間10秒、荷重0.98kNで、接合体の温度が接合材の融点以上、1000℃未満の条件の下で行った。なお、サーメット製の台金(第1の被接合材)は、TiCN−15WC−5Mo2C−3Ni−12Co(被接合材A)とTiCN−35WC−5Mo2C−3Ni−12Co(被接合材B)(いずれもwt%:質量百分率)の2種類を用いた。
次に、めっきの代わりに物理的蒸着法であるスパッタ法を用いて、厚さ20μmのTi−50wt%Cu層(融点約960℃)をバックメタルのあるcBN(第2の被接合材)に設け、サーメット台金(第1の被接合材)と接合を行った。この時、サーメット台金(第1の被接合材)としては、前記被接合材Aおよび被接合材Bを用い、接合条件は実施例3と同じとした。その結果、cBNとサーメットはTi−Cu層を介して空隙なく接合されていることが確認できた。これは、接合中に液相を生成していたためと推測される。なお、その接合強度は、被接合材Aでは220MPa、被接合材Bでは290MPaであった。
次に、50vol%Cu−25vol%Ti−25vol%Zr粉末(融点約850℃)を溶媒で溶いた材料(接合材)を、サーメット台金(被接合材A:第1の被接合材)に塗布し、バックメタル無しcBNチップ(第2の被接合材)とセットし、実施例3と同一の通電条件で通電加圧接合を行った。この接合体の接合強度は290MPaであり、従来のロウ付け品と同等の強度を有していることを確認した。この接合部分には緻密な厚み20μmのCu−Ti−Zr層が観察され、Cu−Ti−Zr粉末が溶融あるいは焼結していることが確認できた。
次に、前記実施例8を基に、通電時間の短縮化を目的として、実施例8に示した条件のうち通電時間を変化させて接合条件を求めた。その結果、通電時間を実施例8における10秒から8秒にした場合、パルス電流値を実施例8に示した電流値(2300A)よりも100A大きい電流において良好な接合が可能であった。さらに通電時間を6秒とした場合、パルス電流をさらに100A大きくすることによって良好な接合が可能であった。
次に、cBN(第2の被接合材)の背面も精度良く接合するため、2方向から加圧しながら接合を行った。これまでの例と同様、上下の電極で垂直方向の加圧を行うと共に、別途横から荷重を与えてcBNを水平方向に加圧できるようにした。なお、第1の被接合材としては、被接合材Aを用いた。実施例3に用いたと同じNi−Pめっきを施したバックメタル付きcBNを使用し、パルス電流4000A、パルスOn:Off比1:4、通電時間10秒として接合を行った。
次に、通電加圧する電極の内、上部電極を分割し、サーメット台金(被接合材A:第1の被接合材)を加圧する電極とバックメタル無しcBN(第2の被接合材)を加圧する電極の材質を変えた。これにより、電極に流れる電流が変化し、サーメット台金とcBNに流れる電流値も変化する。その結果として、それぞれの温度を極端に変えることができ、高温において劣化が懸念されるcBNの温度を下げることができる。
上部電極を、分割されていない電極とした以外は、実施例11と同様にして、接合体を得た。得られた接合体の接合強度は、290MPaであり、従来のロウ付け品と同等以上の強度で実施例11における接合強度よりも高かった。しかし、得られた接合体のcBNには、一部亀裂が発生しており、熱による品質劣化が見られた。
次に、実施例11に示した絶縁性のhBNの代わりに、cBN(第2の被接合材)を加圧する電極の材質を導電性を有するものとした。このとき、サーメット台金(第1の被接合材)を加圧する電極の電気伝導度より高い電気伝導度を有する材料を使用した。これにより、サーメット台金とcBNに流す電流を変えることができ、サーメット台金に流す電流はcBN近傍の台金を加熱し、cBNに流す電流は接合材を優先的に加熱できるようにした。
2 接合材
3 第2の被接合材
4、6、7、8、9 電極
5 分割電極
Claims (12)
- サーメット焼結体を第1の被接合材とし、cBN焼結体またはダイヤモンド焼結体を第2の被接合材とする接合体であって、前記第1の被接合材および第2の被接合材は、両者の間に設置された800℃を超え1000℃未満の温度で液相を生成する接合材を介して接合されており、前記接合は0.1MPa〜200MPaの圧力で加圧しながら通電加熱することによって行われていることを特徴とする接合体。
- 前記接合材が、900℃以上1000℃未満の温度で液相を生成する接合材であることを特徴とする請求項1に記載の接合体。
- 前記通電加熱によって、前記第1の被接合材が、前記第2の被接合材よりも優先的に発熱して、接合されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の接合体。
- 通電加熱によって、前記接合材成分のうちの少なくとも1つの元素が、前記第1の被接合材および/または前記第2の被接合材中に元素拡散していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の接合体。
- 加圧しながらの通電加熱によって変形する接合材を用いて接合されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の接合体。
- 前記接合材が、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、銅(Cu)の少なくとも1つを含む合金からなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の接合体。
- 前記接合材が、チタン(Ti)を含むことを特徴とする請求項6に記載の接合体。
- 前記接合材の少なくとも一部が、通電加熱時に液相を生成していることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の接合体。
- 前記接合材および/または前記第1の被接合材の結合相に含まれるニッケル(Ni)が、30vol%(体積百分率)以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の接合体。
- 前記接合材が、めっき法により前記第1の被接合材および/または前記第2の被接合材の表面上に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の接合体。
- 前記接合材が、物理蒸着法により前記第1の被接合材および/または前記第2の被接合材の表面上に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の接合体。
- 前記接合体が、切削工具であることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の接合体。
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