JP2017094476A - 超硬合金製鋏及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】優れた機械的特性を有する超硬合金製の刃先部が金属基材に強固に接合された超硬合金製鋏であって、超硬合金の耐摩耗性と金属基材のしなやかさを両立可能な超硬合金製鋏、及びその安価かつ簡便な製造方法を提供する。【解決手段】一方の金属板に凹部を形成する第一工程と、凹部に金属板の表面と略同一の高さまで溶射超硬合金被膜を形成する第二工程と、溶射超硬合金被膜の少なくとも一部に摩擦攪拌プロセスを施し、改質部を形成する第三工程と、改質部が少なくとも刃先の一部となるように、金属板を鋏形状に加工する第四工程と、を含むこと、を特徴とする超硬合金製鋏の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は超硬合金製鋏及びその製造方法に関し、より具体的には、刃先のみが超硬合金製である超硬合金製鋏及びその製造方法に関する。
各種鋏には優れた切れ味と耐久性が求められるが、これ等を両立させることは極めて困難である。例えば、比較的切断が容易な紙用の鋏であっても、その切れ味の良さが発揮されるのは使用の初期段階のみであり、それ以後は急速に切れ味が低下してしまう。一方で、代表的な耐摩耗材である超硬合金製とすることで、高性能かつ長寿命な鋏を製造することができるが、超硬合金の大きな比重に起因して鋏が高重量となることに加え、極めて高価な鋏となってしまう。
これに対し、例えば、特許文献1(特開平5−68754号公報)では、切刃部と柄部と指輪部とからなる鋏半体を一対軸部材で結合してなる鋏において、切刃部を地鉄部と刃金部とから構成し、切刃部の刃金部を刃物材料から形成し、地鉄部と柄部と指輪部をチタンまたはチタン合金から形成し、刃金部は地鉄部に対してろう付けされている鋏であって、刃金部にはステンレス鋼、超硬合金、粉末ハイス等の高硬度の刃物材料が用いられた鋏が開示されている。
上記特許文献1の鋏においては、刃金部を刃物材料から形成することで切れ味を良好とし、その他の部分をチタンまたはチタン合金から形成することで軽量化することができる、としている。
また、特許文献2(特開平5−277825号公報)においても、刃先をセラミックス又は超硬合金で形成した切断用工具が開示されており、刃先をセラミックス又は超硬合金とすることで、金属線や金属板等の硬質材料を能率良く切断でき、耐久性にも優れた切断工具が得られる、としている。
特開平5−68754号公報 特開平5−277825号公報
上記特許文献1及び特許文献2に開示されている鋏においては、超硬合金等の硬質材が金属部にろう付け等で接合されているため、接合強度が十分でない場合があることに加えて、金属部のしなやかさを活用することができない。より具体的には、鋏は相対する2枚の刃をすりあわせて対象物をはさみ切る道具であり、殆ど撓まないバルク状の硬質材を刃先に用いて良質な切れ味を発現することは極めて困難である。
以上のような従来技術における問題点に鑑み、本発明の目的は、優れた機械的特性を有する超硬合金製の刃先部が金属基材に強固に接合された超硬合金製鋏であって、超硬合金の耐摩耗性と金属基材のしなやかさを両立可能な超硬合金製鋏、及びその安価かつ簡便な製造方法を提供することにある。
本発明者は上記目的を達成すべく、刃先のみを超硬合金製とする鋏の製造方法について鋭意研究を重ねた結果、最終的に刃先となる金属板の任意の領域に、摩擦攪拌プロセスを用いて改質した溶射超硬合金被膜を形成させること等が極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
一方の金属板に凹部を形成する第一工程と、
前記凹部に前記金属板の表面と略同一の高さまで溶射超硬合金被膜を形成する第二工程と、
前記溶射超硬合金被膜の少なくとも一部に摩擦攪拌プロセスを施し、改質部を形成する第三工程と、
前記改質部が少なくとも刃先の一部となるように、前記金属板を鋏形状に加工する第四工程と、を含むこと、
を特徴とする超硬合金製鋏の製造方法を提供する。
第一工程で形成させた凹部に対して溶射(第二工程)を施すことで、安価かつ効率的に超硬合金被膜を形成させることができる。また、第三工程で用いる摩擦攪拌プロセスも円筒状のツールを回転させながら超硬合金被膜に圧入して移動させる簡便なプロセスであり、比較的容易に溶射超硬合金被膜の緻密化、金属結合相のナノ組織化及び金属板との接合強度向上を達成することができる。なお、摩擦攪拌プロセス中の材料流動及び入熱によって、溶射超硬合金被膜と金属板とは、冶金的に接合される。
また、第四工程において、第三工程で改質された溶射超硬合金被膜が刃先となるように、改質部を有する金属板を加工し、刃先の研磨等の一般的な後処理を加えることで超硬合金製鋏を得ることができる。ここで、第三工程における摩擦攪拌プロセスによって溶射超硬合金被膜の機械的特性及び金属板との接合強度が向上していることから、刃先となる改質部が加工プロセス中に剥離・破損等することなく、良好な鋏を製造することができる。また、溶射超硬合金被膜は薄いことに加えて金属板と冶金的に接合されていることから、金属板の有する弾性を十分に発現することができる。
また、本発明の超硬合金製鋏は、前記刃先の全てを前記改質部とすること、が好ましい。本発明の超硬合金製鋏は、溶射超硬合金被膜の改質部が刃先となっており、当該改質部は一定の領域を有していることから、刃先が曲線となっている場合であっても、当該刃先の全てを改質部とすることができる。
また、本発明の超硬合金製鋏の製造方法においては、前記第二工程において、高速フレーム溶射を用いること、が好ましい。溶射超硬合金被膜の形成に高速フレーム溶射を用いることで、溶射超硬合金被膜に空孔やラメラ界面等の欠陥が適度に導入され、第三工程における摩擦攪拌プロセスによる材料流動が容易になる。その結果、摩擦攪拌プロセスに用いるツールの長寿命化を図ることができる。
更に、本発明の超硬合金製鋏の製造方法においては、前記第三工程の後、前記改質部を含む前記金属板の表面を研磨すること、が好ましい。第三工程の摩擦攪拌プロセスによって金属板及び溶射超硬合金被膜の表面にツールマークやバリ等に起因する凹凸が形成されるため、研磨によって当該凹凸を低減することで、第四工程における加工を精度よく施すことができる。
また、本発明は、
刃先部と本体部からなる超硬合金製鋏であって、
前記刃先部は超硬合金製であり、
前記本体部は金属製であり、
前記刃先部と前記本体部とは冶金的に接合されていること、
を特徴とする超硬合金製鋏、も提供する。
本発明の超硬合金製鋏は、刃先部のみが超硬合金製であることから、全てを超硬合金製とする場合と比較して材料コストが大幅に低減されている。また、本体部と刃先部は冶金的に接合されており、刃物の使用に対して十分な接合強度及び耐久性等を有している。また、溶射超硬合金被膜は薄いことに加えて金属板と冶金的に接合されていることから、金属板の有する弾性を十分に発現することができる。ここで、本発明の超硬合金製鋏においては、刃先の全てが超硬合金製であることが好ましい。
本発明の超硬合金製鋏は、前記刃先部の超硬合金に含まれる結合相の平均結晶粒径が1μm以下であること、が好ましい。結合相の平均結晶粒系が1μm以下とナノ組織化していることで、刃先部は靭性を損なうことなく高硬度化が達成されている。
また、本発明の超硬合金製鋏は、前記本体部が鋼製であり、前記本体部の略全体が前記鋼の略焼入れ硬度を有していること、が好ましい。本体部を鋼製とすることで安価となり、本体部の略全体が焼入れされていることで、刃物として要求される適度な剛性等が付与されている。
更に、本発明の超硬合金製鋏は、前記結合相がコバルト系結合相である場合の前記刃先部のビッカース硬度が1800HV以上であり、前記結合相がニッケル系結合相である場合の前記刃先部のビッカース硬度が1400HV以上であること、が好ましい。刃先部の硬度がこれらの値を有することで、使用中の摩耗が抑制されており、長寿命化が達成されている。
なお、本発明の超硬合金製鋏は、本発明の超硬合金製鋏の製造方法によって好適に製造することができる。
本発明によれば、優れた機械的特性を有する超硬合金製の刃先部が金属基材に強固に接合された超硬合金製鋏であって、超硬合金の耐摩耗性と金属基材のしなやかさを両立可能な超硬合金製鋏、及びその安価かつ簡便な製造方法を提供することができる。
本発明の超硬合金製鋏の製造方法に関する工程図である。 第一工程(S01)の模式図である。 第二工程(S02)の模式図である。 第三工程(S03)の模式図である。 第四工程(S04)の模式図である。 本発明の超硬合金製鋏における刃先部を示す概略断面図である。 超硬合金製鋏前駆体の概観写真である。 超硬合金製鋏前駆体と超硬合金製鋏の位置関係を示す概観写真である。
以下、図面を参照しながら本発明の超硬合金製鋏及びその製造方法の代表的な実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、表された各構成要素の寸法やそれらの比は実際のものとは異なる場合もある。ここで、鋏は切刃部と柄部と指輪部とからなる鋏半体を一対軸部材で結合してなるものであるが、以下の説明においては基本的に半体に着目して説明する。
(A)超硬合金製鋏の製造方法
図1に、本発明の超硬合金製鋏の製造方法に関する工程図を示す。本発明の超硬合金製鋏の製造方法は、金属板に凹部を形成する第一工程(S01)と、金属板の凹部に溶射超硬合金被膜を形成させる第二工程(S02)と、溶射超硬合金被膜の少なくとも一部に摩擦攪拌プロセスを施し、改質部を形成する第三工程(S03)と、改質部が少なくとも刃先の一部となるように、金属板を鋏形状に加工する第四工程(S04)と、を含んでいる。以下、各工程について詳細に説明する。
(1)第一工程(S01:凹部の形成)
第一工程(S01)は、金属板の表面に凹部を形成させる工程である。凹部を形成させる方法は特に限定されず、従来公知の種々の切削加工等を用いることができる。
図2に第一工程の模式図を示す。金属板2の任意の領域に形成させる凹部4の大きさ及び形状は、所望する溶射超硬合金被膜の厚さ及び形状等によって決定すればよいが、深さHは100〜1000μmとすることが好ましい。
凹部4を形成させる位置は、最終的に超硬合金製鋏の刃先となる位置とすればよい。また、凹部4の幅Wが刃先の後退可能領域となることから、当該幅Wは刃先の形状及び想定される使用期間等によって決定すればよい。
金属板2の種類は特に限定されず、従来公知の種々の金属材を用いることができるが、鋼を用いることが好ましく、焼き入れした鋼を用いることがより好ましい。金属板2を鋼とすることで安価となり、焼き入れした鋼を用いることで、鋏として要求される適度な剛性等を付与することができる。
(2)第二工程(S02:溶射超硬合金被膜の形成)
第二工程(S02)は、溶射を用いて金属板2の凹部4に超硬合金被膜を形成させる工程である。図3に第二工程の模式図を示す。
金属板2の表面に形成させる溶射超硬合金被膜6の厚さは、金属板2の表面と略同一となるようにすることが好ましい。つまり、溶射超硬合金被膜6の厚さは第一工程(S01)にて形成させた凹部4の深さHによって決定されるが、例えば、100〜1000μmとすることが好ましい。溶射超硬合金被膜6の厚さを100〜1000μmとすることで、第三工程(S03)における摩擦攪拌プロセスによって膜厚方向に十分に攪拌することができると共に、金属板2と溶射超硬合金被膜6との接合強度を効率的に向上させることができる。
溶射方法は特に限定されず、ガス燃焼エネルギーや電気エネルギー(プラズマ、アーク等)を利用した各種溶射法を用いることができる。具体的には、ガスフレーム溶射、高速ガスフレーム溶射(HVOF)、アーク溶射、プラズマ溶射、減圧プラズマ溶射(VPS)等を用いることができる。ここで、第三工程(S03)における摩擦攪拌プロセスを容易にする観点から、摩擦攪拌プロセス中の材料流動を促進する空孔やラメラ界面を溶射超硬合金被膜に適度に導入できる高速フレーム溶射(HVOF)を用いることが好ましい。
更に、溶射超硬合金被膜6の種類も特に限定されず、従来公知の種々の組成を有する超硬合金を用いることができ、例えば、コバルト系又はニッケル系の金属結合相を有する超硬合金を用いることができる。
(3)第三工程(S03:摩擦攪拌プロセス)
第三工程(S03)は、第二工程(S02)で形成させた溶射超硬合金被膜6の少なくとも一部に摩擦攪拌プロセスを施し、改質部を形成する行程である。
摩擦攪拌プロセスは、1991年に英国のTWI(TheWelding Institute)で考案された接合技術である摩擦攪拌接合法を、金属材の表面改質法として応用したものである。摩擦攪拌接合は高速で回転する円柱状のツールを接合したい領域に圧入(ツール底面にプローブと呼ばれる突起を有しており、該プローブが圧入される)し、摩擦熱によって軟化した被接合材を攪拌しながら接合したい方向に走査することで接合を達成する技術である。回転するツールによって攪拌された領域は一般的に攪拌部と呼ばれ、接合条件によっては材料の均質化および結晶粒径の減少に伴う機械的特性の向上がもたらされる。摩擦攪拌による材料の均質化および結晶粒径の減少に伴う機械的特性の向上を表面改質として用いる技術が摩擦攪拌プロセスであり、近年広く研究の対象になっている。なお、本発明で用いる摩擦攪拌プロセス用ツールの底面には、必ずしもプローブを有している必要はなく、プローブを有さない所謂フラットツールを用いることができる。
図4に第三工程(S03)における摩擦攪拌プロセスの模式図を示す。高速回転する円筒状の摩擦攪拌プロセス用ツール8を金属板2の表面に形成させた溶射超硬合金被膜6に圧入し、摩擦攪拌プロセス用ツール8を任意の方向に移動させることで、溶射超硬合金被膜6に改質領域10を形成することができる。なお、摩擦攪拌プロセス用ツール8を圧入後、移動させることなく引き抜いた場合には、摩擦攪拌プロセス用ツール8の底面形状に対応した改質領域10が得られる。摩擦攪拌プロセス用ツール8で攪拌された領域には材料流動が生じ、溶射超硬合金被膜6に存在する空隙等の欠陥を消失させると共に結合相の結晶粒を微細化することができる。
また、摩擦攪拌プロセス時に発生する材料流動および入熱により、溶射超硬合金被膜6と金属板2とは冶金的に接合される。加えて、改質された溶射超硬合金被膜6と金属板2との接合界面近傍において、金属板2の硬度は摩擦攪拌プロセス前よりも高くなる。また、溶射超硬合金被膜6は薄いことに加えて金属板2と冶金的に接合されていることから、金属板2の有する弾性を十分に発現することができる。
摩擦攪拌プロセス用ツール8には、溶射超硬合金被膜6よりも機械的特性(硬度、耐熱衝撃性および摩擦攪拌プロセス時の温度における変形抵抗等)に優れたものを使用することができる。摩擦攪拌プロセス時に摩擦攪拌プロセス用ツール8の破片が溶射超硬合金被膜6に混入する場合を考慮すると、摩擦攪拌プロセス用ツール8は超硬合金製であることが好ましい。超硬合金製の摩擦攪拌プロセス用ツール8は溶射超硬合金被膜6よりも機械的特性に優れたものを使用する必要があり、例えば、溶射超硬合金被膜6よりも高硬度のものを選択する必要がある。
摩擦攪拌プロセスの主要なプロセスパラメータとしては、ツール回転速度、ツール移動速度及びツール荷重等を挙げることができる。これらのプロセスパラメータは、溶射超硬合金被膜6の種類及び厚さや、所望する改質領域の大きさ及び硬度上昇の程度等に応じて適宜設定すればよい。
(4)第四工程(S04:鋏形状への加工)
第四工程(S04)は、摩擦攪拌プロセスによって得られた超硬合金製鋏前駆体に加工を施して刃物形状とする工程である。
図5に第四工程(S04)における加工の模式図を示す。改質部10が刃先となるように超硬合金製鋏前駆体14を加工し、従来一般的な態様で各部品を組み立てることで、刃先が超硬合金製の超硬合金製鋏18を得ることができる。ここで、加工方法は特に限定されず、従来公知の種々の切削加工及び放電加工や研磨等を用いることができる。
通常、溶射超硬合金被膜6には欠陥が存在することに加え、溶射超硬合金被膜6と金属板2との接合強度も十分ではないため、溶射超硬合金被膜6を有する金属板2を切断等すると溶射超硬合金被膜6の剥離や欠け等が生じてしまう。これに対し、本発明の超硬合金製刃物の製造方法では第三工程(S03)における摩擦攪拌プロセスによって溶射超硬合金被膜6の機械的特性及び金属板2との接合強度が向上していることから、刃先となる改質部10が切断プロセス中に剥離・破損等することなく、良好な超硬合金製鋏18を製造することができる。
金属板2を切断した後、形状の微修正や刃立て等を行うことで超硬合金製鋏18を得ることができる。なお、上述の通り、改質領域10における溶射超硬合金被膜は優れた機械的特性を有していることから、刃欠け等を生じることなく鋭い刃先を形成することができる。
(B)超硬合金製鋏
図6に本発明の超硬合金製鋏の一態様を示す外観図を示す。超硬合金製鋏18は本体部20と刃先部22とを有し、刃先部22のみが超硬合金製となっている。なお、本発明の超硬合金製鋏18は、本発明の超硬合金製鋏の製造方法によって好適に得ることができる。
刃先部22は改質領域10となっている。改質領域10に含まれる結合相の結晶粒は微細化されており、平均結晶粒径が1μm以下であることが好ましい。
また、溶射超硬合金被膜6に存在する空隙等の欠陥は摩擦攪拌プロセス等によって消失し、改質領域10に含まれる欠陥は大幅に低減されている。加えて、溶射超硬合金被膜6と本体部20とは冶金的に接合されており、溶射超硬合金被膜6と本体部20(金属板2)との接合界面近傍において、本体部20(金属板2)の硬度は他の領域と比較して高くなっている。
以上、本発明の超硬合金製鋏及びその製造方法の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それら設計変更は全て本発明の技術的範囲に含まれる。
板厚2mmのSKD11板材の表面に深さ0.5mm、幅8mmの凹部を形成し(第一工程:S01)、当該凹部に対して高速フレーム溶射を施し、SKD11板材の表面と略同一となるように溶射超硬合金被膜を形成させた(第二工程:S02)。原料粉末にはガスアトマイズ法で製造された平均粒径40μmのWC−12mass%Ni粒子を用いた。
次に、溶射超硬合金被膜に対して摩擦攪拌プロセスを施して改質部を形成させ、超硬合金製鋏前駆体を得た(第三工程:S03)。摩擦攪拌プロセスには直径が12mmの円柱形状をした超硬合金(WC−Co)製のツールを用い、600rpmの速度で回転する該ツールを3400kgの荷重で溶射超硬合金被膜に圧入させた。ツールの移動速度は50mm/minとし、アルゴンガスをフローさせることでツールおよび試料の酸化を防止した。
超硬合金製鋏前駆体の概観写真を図8に示す。板材中央部のコントラストの異なる領域が摩擦攪拌プロセス後に研磨処理を施した改質部であり、良好な改質部が広範囲に形成されていることが分かる。
次に、溶射超硬合金被膜の改質部が刃先となるように超硬合金製鋏前駆体を加工し、超硬合金製鋏を得た(第四工程:S04)。超硬合金製鋏前駆体と超硬合金製鋏(半体)の位置関係を図9に示す。切削加工及び研磨により刃先部を形成させたが、改質部に剥離及び欠け等の欠陥は認められなかった。
以上の結果より、本発明の超硬合金製鋏の製造方法によって、優れた機械的特性を有する超硬合金製の刃先部が金属基材に強固に接合された本発明の超硬合金製鋏を、安価かつ簡便に製造できることが確認できる。
2・・・金属板、
4・・・凹部、
6・・・溶射超硬合金被膜、
8・・・摩擦攪拌プロセス用ツール、
10・・・改質領域、
14・・・超硬合金製鋏、
18・・・超硬合金製鋏、
20・・・本体部、
22・・・刃先部。

Claims (7)

  1. 一方の金属板に凹部を形成する第一工程と、
    前記凹部に前記金属板の表面と略同一の高さまで溶射超硬合金被膜を形成する第二工程と、
    前記溶射超硬合金被膜の少なくとも一部に摩擦攪拌プロセスを施し、改質部を形成する第三工程と、
    前記改質部が少なくとも刃先の一部となるように、前記金属板を鋏形状に加工する第四工程と、を含むこと、
    を特徴とする超硬合金製鋏の製造方法。
  2. 前記刃先の全てを前記改質部とすること、
    を特徴とする請求項1に記載の超硬合金製鋏の製造方法。
  3. 前記第二工程において、高速フレーム溶射を用いること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載の超硬合金製鋏の製造方法。
  4. 刃先部と本体部からなる超硬合金製鋏であって、
    前記刃先部は超硬合金製であり、
    前記本体部は金属製であり、
    前記刃先部と前記本体部とは冶金的に接合されていること、
    を特徴とする超硬合金製鋏。
  5. 前記刃先部の超硬合金に含まれる結合相の平均結晶粒径が1μm以下であること、
    を特徴とする請求項4に記載の超硬合金製鋏。
  6. 前記本体部が鋼製であり、
    前記本体部の略全体が前記鋼の略焼入れ硬度を有していること、
    を特徴とする請求項4又は請求項5に記載の超硬合金製鋏。
  7. 前記結合相がコバルト系結合相である場合の前記刃先部のビッカース硬度が1800HV以上であり、
    前記結合相がニッケル系結合相である場合の前記刃先部のビッカース硬度が1400HV以上であること、
    を特徴とする請求項4〜6のうちのいずれかに記載の超硬合金製鋏。
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