JP2001298975A - 弾性体の製造方法および弾性体、およびこの弾性体を用いた振動波駆動装置 - Google Patents

弾性体の製造方法および弾性体、およびこの弾性体を用いた振動波駆動装置

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JP2001298975A
JP2001298975A JP2000113996A JP2000113996A JP2001298975A JP 2001298975 A JP2001298975 A JP 2001298975A JP 2000113996 A JP2000113996 A JP 2000113996A JP 2000113996 A JP2000113996 A JP 2000113996A JP 2001298975 A JP2001298975 A JP 2001298975A
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slits
vibration
slit
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Hiroyuki Seki
裕之 関
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鳴きの発生を防止できる構造の弾性体を焼結
合金で形成できる振動波駆動装置に用いられる弾性体の
製造方法を提供する。 【解決手段】振動波駆動装置の振動体に用いられる、所
定波長の駆動振動を生じる弾性体を焼結成型後サイジン
グ処理を施すことで残留熱応力による変形を除去する
際、弾性体1の一方の面に形成された複数のスリットの
底面を加圧すると共に、前記複数のスリットのうち、前
記所定波長に略対応したスリットを所定の量だけ深く若
しくは浅く形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振動波モータ等の
振動波駆動装置、振動波駆動装置の振動体に用いられる
弾性体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より開発されている振動波駆動装置
の一つである超音波あるいは振動波モータ等と称せられ
ているモータは、金属製の弾性体の他方の面に電気−機
械エネルギー変換素子としての圧電素子を接着して構成
した振動体を有し、前記圧電素子に駆動信号としての交
流電圧を印加し、これにより該弾性体に発生した高周波
の駆動振動で、該弾性体の一方の面(駆動面)に摩擦接
触させた接触体としてのロータを回転駆動するようにな
っている。このモータの駆動原理については、以前より
多くの提案がなされ、そこで説明されているので、ここ
では周知のものとして説明を省略する。
【0003】このモータの中で、最もポピュラーなもの
は進行波タイプのモータであり、現在製品化されている
ものの殆どがこのタイプである。
【0004】図8はこのタイプのモータを構成する振動
体の斜視図を示す。振動体は金属製の弾性体1と電気−
機械エネルギー変換素子としての圧電素子2で構成され
ている。
【0005】弾性体1はさらに、一方の面(駆動面)に
略等間隔のスリットが複数施され、これによって複数の
突起部1aが櫛歯状に形成されている。この突起部1a
は、該弾性体1に面外曲げ振動が励振されたとき、突起
部1aの上面(表面)1bに接触する不図示のロータを
効率よく駆動するためのもので、前記振動体のロータ送
り方向における振動成分を増幅するために極めて重要な
部分である。この突起部1aは、モータ効率をよくする
ためにある程度以上数を多くする必要があり、また、ロ
ータ送り方向の振動振幅を大きくするため、スリットを
ある程度深くする必要がある。また、ロータとの接触面
である接触面1bや、圧電素子接合面1cは平面度を数
μm程度に仕上げる必要があり、非常に高精度な加工が
要求される。このような理由から、従来はこの弾性体を
機械加工により製作していた。
【0006】しかし、図8に示すように、複雑な形状の
弾性体を機械加工のみで製作すると、加工工数が多くな
り加工時間も多くなるため、コストが高くなってしまう
という問題がある。
【0007】また、リング状の形状を棒材から削り出す
という方法は、材料の無駄も多く、資源の有効活用、産
業廃棄物の削減といった環境問題の観点からも好ましく
ない。
【0008】そこで、弾性体の加工工数を大幅に低減す
るとともに、後加工によるごみを極力少なくできる加工
法として、焼結金属による成型法が特開平5−344766号
公報などで提案されている。これらの提案では、弾性体
のスリット部分まで型成形して焼結するため、略全形状
が出来上がった状態で成形される。ただ、焼結による熱
変形で、突起部1aの表面1bや圧電素子接着面1cの
面精度が悪くなった部分に関しては、突起部1aの表面
1bと圧電素子接着面1cをサイジング処理して矯正し
ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記サ
イジング工程および機械加工による後加工を施しただけ
の弾性体で振動体を構成した場合、モータとして駆動す
ると異音(鳴き)が発生しやすいという問題がある。
【0010】これは、焼結体によって形成される弾性体
は、前記サイジングや後加工によって摺動面の平面度が
かなり改善されるが、その反面リング状基部の厚みムラ
を招いたり、突起部の長さのムラを招くことで、該弾性
体の振動振幅ムラや突起部の剛性ムラを引き起こし、結
果として鳴きが発生しやすい状態を作ってしまうことに
なっていた。
【0011】例えば、弾性体が図9の様に反っていた場
合、弾性体1は旋盤加工等の後加工によって、その両面
側を直線L、Mで切除されたような形状に加工される。
この加工によって、ロータとの摺動面1bと圧電素子接
合面1cの平面度は精度良く加工されるが、一方で、リ
ング状基部は厚みが薄い部分と厚い部分の差が後加工前
の反り分だけ出てしまうことになる。
【0012】この結果、リング状基部の厚みが薄い部分
P1では曲げ振動の波長が伸びて振動振幅が大きくな
り、逆に厚い部分P2では波長が短くなって振動振幅も
小さくなるため、この弾性体に進行波を励振した時、進
行波ムラを発生することになる。
【0013】また、上記リング状基部の厚みが薄い部分
P1では突起部1a1の長さは長くなるので(T2)、
この突起部1a1のロータ送り方向の振動振幅は大きく
なるが、リング状基部の厚い部分P2の突起部1a2が
短くなるので(T1)、同送り方向成分は小さくなる。
【0014】この様なことから、前記ロータと弾性体1
との間に局部的な滑りが発生し、不要な振動モードの進
行波が励振されるので、鳴きを発生しやすくなるという
問題を持っていた。
【0015】本発明は、鳴きの発生を防止できる構造の
弾性体を焼結合金で形成できる振動波駆動装置に用いら
れる弾性体及びその製造方法、この弾性体を用いた振動
波駆動装置を提供しようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、駆動振動
を生じる焼結合金からなる弾性体を有する振動体と、前
記弾性体に接触させた接触体と、を相対移動させる振動
波駆動装置における前記弾性体を製造する弾性体の製造
方法において、焼結成型された前記弾性体は一方の面に
複数のスリットが形成されていて、焼結後の前記弾性体
に対してサイジング処理を施すサイジング工程を有し、
前記サイジング処理の際に、前記複数のスリットの底面
を加圧すると共に、前記複数のスリットのうち、特定の
スリットを所定の量だけ深く若しくは浅く形成すること
を特徴とする弾性体の製造方法である。
【0017】第2の発明は、駆動振動を生じる焼結合金
からなる弾性体を有する振動体と、前記弾性体に接触さ
せた接触体と、を相対移動させる振動波駆動装置におけ
る前記弾性体を製造する弾性体の製造方法において、焼
結成型された前記弾性体は一方の面に複数のスリットが
形成されていると共に、前記複数のスリットのうち、特
定のスリットがあらかじめ所定の量だけ深く若しくは浅
く形成されていて、焼結後の前記弾性体に対してサイジ
ング処理を施すサイジング工程を有し、前記サイジング
処理の際に、前記複数のスリットの底面を加圧して、特
定のスリットの深さが所定量となるように矯正すること
を特徴とする弾性体の製造方法である。
【0018】第3の発明は、駆動振動を生じる焼結合金
からなる弾性体を有する振動体と、前記弾性体に接触さ
せた接触体と、を相対移動させる振動波駆動装置におけ
る前記弾性体を製造する弾性体の製造方法において、焼
結成型された前記弾性体は一方の面に複数のスリットが
形成されていて、焼結後の前記弾性体に対してサイジン
グ処理を施すサイジング工程を有し、前記サイジング処
理の際に、前記複数のスリットの底面を加圧すると共
に、前記複数のスリットのうち、特定のスリットの底面
に対する加圧力を他のスリットと異ならせ、前記特定の
スリットの基部の密度を他のスリットの基部の密度と異
ならせたことを特徴とする弾性体の製造方法である。
【0019】第4の発明は、上記第3の発明で、前記特
定のスリット底面に対する加圧力を高めて前記特定のス
リットの基部の密度を他のスリットの基部の密度よりも
大きくしたことを特徴とする弾性体の製造方法である。
【0020】第5の発明は、上記いずれかの発明で、前
記弾性体は、リング形状に形成されていることを特徴と
する弾性体の製造方法である。
【0021】第6の発明は、上記第1から第4のいずれ
かの発明で、前記弾性体は、リング形状に形成された駆
動振動の発生部の内周又は外周にフランジ部を設けた円
盤形状に形成されていることを特徴とする弾性体の製造
方法である。
【0022】第7の発明は、振動波駆動装置に用いられ
る駆動振動を生じる焼結合金からなる弾性体において、
前記弾性体は、リング形状に形成された駆動振動の発生
部に径方向に複数のスリットが形成され、前記複数のス
リットのうち、特定のスリットを所定の量だけ深く若し
くは浅く形成したことを特徴とする弾性体である。
【0023】第8の発明は、振動波駆動装置に用いられ
る駆動振動を生じる焼結合金からなる弾性体において、
前記弾性体は、リング形状に形成された駆動振動の発生
部に径方向に複数のスリットが形成され、前記複数のス
リットのうち、特定のスリットの基部の密度と他のスリ
ットの基部の密度とが異なることを特徴とする弾性体で
ある。
【0024】第9の発明は、上記第8の発明で、前記特
定のスリットの基部の密度を他のスリットの基部の密度
よりも大きくしたことを特徴とする弾性体である。
【0025】第10の発明は、上記第7から第9のいず
れかの発明で、前記弾性体は、リング形状に形成された
駆動振動の発生部の内周又は外周にフランジ部を設けた
円盤形状に形成されていることを特徴とする弾性体であ
る。
【0026】第11の発明は、上記第7、8、9または
10の発明における弾性体の駆動振動発生部と異なる面
に電気−機械エネルギー変換素子を接合し、前記電気−
機械エネルギー変換素子に交番信号を印加することによ
り前記弾性体に駆動振動が形成される振動体と、前記弾
性体に加圧接触する接触体とを有し、前記振動体と前記
接触体とを前記駆動振動により摩擦駆動することを特徴
とする振動波駆動装置である。
【0027】上記した弾性体の製造方法では、振動波駆
動装置に使用する弾性体に対する鳴き対策を焼結合金に
より簡単に得ることができ、特に鳴き対策のための機械
加工を不要とすることが可能となる。
【0028】ここで、前記鳴き対策の概要を以下に述べ
る。
【0029】前記弾性体により形成された振動体に駆動
用振動モードが励振された時は、位置的位相差の異なる
2つの振動モードに対して、例えばスリットの深さを異
ならせることにより形成されるいわゆる剛性不均一部が
等価に作用するが、これ以外の振動が励起された時は、
前記剛性不均一部が位相の異なる2つのモードに対して
等価に作用しない。このため、駆動モード以外の振動が
励振されても進行波を構成する2つの振動モードの共振
周波数が一致せず、この振動は進行波とはならないの
で、鳴きを引き起こすことがない。
【0030】また、前記弾性体のリング状基部の所定部
分の密度を例えば大きくすることにより、該リングに剛
性不均一部を形成し、上記の場合と同様に駆動モード以
外の振動を進行波に成長させないように作用している。
【0031】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)図1〜図3
は第1の実施の形態を示す。
【0032】図1はサイジング処理後の焼結金属製の弾
性体を示し、(a)は上面図、(b)はそのA部の拡大
側面図、(c)は(a)の側面図を示す。図2は、焼結
後の弾性体をサイジング処理するサイジング型の構成の
概念図を示す。
【0033】図1、図2および図3は第1の実施の形態
を示す。
【0034】本実施の形態において、振動波駆動装置の
振動体を構成する弾性体は、図1の(a)に示すよう
に、リング形状に形成されたもので、焼結工程により得
られた弾性体の残留熱応力による変形を図2のサイジン
グ型により除去される。
【0035】サイジング型は、弾性体1が挿入される円
筒形状の外型12と、この外型12に挿入された弾性体
1の内径部に挿入される棒状あるいは筒状の不図示の内
型とを有し、前記内型と外型12により弾性体1の内周
および外周が拘束されるように配置される。
【0036】さらに前記内型と外型12との間の空間に
配置されたサイジング処理前の弾性体1の一方の面(複
数の突起部1aの形成側)に対向して、図中上方に位置
する筒形状の上パンチ14が配置され、弾性体1の他方
の面である圧電素子接着面側に対向して、図中下方に筒
形状の下パンチ13が配置されている。
【0037】本実施の形態において、上パンチ14は、
サイジング処理前の弾性体1の突起部1aの間のスリッ
トに差し込まれる押圧突起部14aを有し、下パンチ1
3は弾性体1の圧電素子接着面に当接する。
【0038】サイジング処理前の弾性体1は、複数の突
起部1aの間にスリットを形成した櫛歯側を図の上側、
圧電素子接着面側を図の下側に向けて配置されており、
前記不図示の内型と外型12の間のリング状の空間部分
に対して、図の上方には弾性体1の櫛歯側に向けて上パ
ンチ14が位置し、また図の下方からは弾性体1の圧電
素子接着面に当接する下パンチ13が位置している。
【0039】上パンチ14は、弾性体1の複数の突起部
1a間のスリットに入り込んで該スリット底面1dを加
圧する加圧突起部14eを有すると共に、弾性体1の突
起部1aの上面1bを該底面1dと同時に加圧する加圧
突起部14a間のスリット底面を有し、下パンチ13
は、弾性体1の圧電素子接着面に当接するフラットな当
たり面を有している。
【0040】そして、上パンチ14と当たり面がフラッ
トな下パンチ13とが該弾性体を上下から挟み込むよう
に加圧し、反りを効率よく矯正するよう設定されてい
る。この時、上パンチ14は加圧突起部14aのフラッ
トな先端部で弾性体1の突起部1a間のスリット底面1
dを加圧すると共に、加圧突起部14aの間のスリット
底面で突起部1aの上面1bとを同時に加圧し、櫛歯側
の全面を加圧するように設定されている。
【0041】上パンチ14の加圧突起部1aは、図2
(b)に示すように、周方向の所定の位置、例えば複数
の加圧突起部14eのうち、符号14e16で示す加圧
突起部の突起部長さを所定量(L)だけ長く設定してい
る。
【0042】このため、図2(a)のようにスリット深
さのそろったサイジング処理前の弾性体1を上下からパ
ンチ13,14で加圧すると、長さが他の加圧突起部よ
りも所定長さLだけ長い特定の加圧突起部14e16に
対応する弾性体1のスリット(深溝)1d16は、前記
長さL分だけ深く押し込まれるため、図1の(b)に示
すようにスリットに段差ができる。
【0043】本実施の形態においては、内径φ67m
m、外径φ77mm、全高5.3mm(リング状基部厚
さ3mm、突起部高さ2.3mm)、スリット数90の
弾性体1において、上記のように所定長さLだけ長い特
定の加圧突起部14e16によるサイジング処理時の加
圧で、30本の深溝1d16(L=0.2mm)がx、
y軸に対して軸対称に配置されるように形成されてい
る。
【0044】これらの深溝1d16は、このようなリン
グ状弾性体1に曲げ振動を励振した場合、これらの深溝
1d16の位置が振動の腹に近いほど共振周波数を下げ
る効果が大きくなるように作用する。
【0045】ここで、この弾性体に8波の電極パターン
を有する圧電素子を接合し、SINモード、COSモー
ドの定在波振動を励振すると、上記30本の深溝はこの
2つの振動モードに対しては等価に作用するので、前記
2モードの共振周波数は略一致する。なお、8波とは、
リング状弾性体に同時に形成される定在波の波数を示
し、定在波の波長をλとすると、リング状弾性体に対し
て周方向に8λの定在波が形成されることを示す。そし
て、弾性体に対し、例えば1λの長さの半分づつ(λ/
2)を同時に周方向に伸縮させることにより1λの定在
波が形成され、これを同時に8箇所で実行することで8
波の定在波が形成されることになる。
【0046】弾性体に対するこの伸縮を上記圧電素子に
より与えることになるが、圧電素子は、例えば同極性の
電圧を印加すると厚み方向に縮む領域と伸びる領域とを
λ/2の長さを有したものを1組として8組設け、これ
と同じものをλ/4の奇数倍の間隔を有して配置し、一
方の組をSINモード、他方の組をCOSモードとして
定在波を形成させ、その合成として8波の進行波が形成
される。
【0047】しかし、駆動モード以外の振動成分が入力
されると、前記深溝はこれらの波に対してはSIN、C
OS両モードに対して等価に作用しないため、互いの共
振周波数がずれることになる。
【0048】例えば図3に示すように、8波の振動モー
ドでは、SINモード、COSモードともに深溝(1d
15、1d16、1d17)のある位置(S1,S2,
S3)はそれぞれ振動の節、または腹の位置と一致して
おり、弾性体全周に渡ってこれら2つのモードに対し等
価な位置に深溝(1d1〜1d30)が存在するように
設定されている。
【0049】そのため、これら深溝(1d1〜1d3
0)の影響によって前記2つのモードの共振周波数は、
深溝を設けなかった時と比べ同じ量だけ下がるので、結
果としてこれら2つの振動モードの共振周波数は一致す
ることになる。
【0050】一方、7波の振動モードに対して該モード
と該深溝との位置関係をみると、SINモードに対して
はS1の位置が振動の腹と一致し、S2,S3は振動の
節よりも少しずれた位置になるが、COSモードに対し
てはS1は振動の節と一致し、S2,S3は振動の腹か
ら少しずれた位置になるので、これらの深溝はSINモ
ード、COSモードに対して等価に作用しない。
【0051】その結果、該深溝の影響で共振周波数が下
がる量はSINモードとCOSモードで異なることにな
り、2つのモードに共振周波数差が生じ、この7波のモ
ードは進行波に成長しずらくなる。
【0052】このような理由により、モータを駆動した
時に摺動面から駆動波以外の振動成分が振動体に入力さ
れても、これらの振動は進行波にならないため、鳴きを
発生しずらいモータを供給することができる。
【0053】(第2の実施の形態)図4、図5、図6は
第2の実施の形態を示す。
【0054】本実施の形態は、型成形時に所定の位置の
スリット部を深くまたは浅く設定した形状で焼結し、そ
の後サイジング工程でそのスリット底部をプレスするこ
とにより、スリット深さの精度をさらに上げるようにし
たものである。
【0055】図4(a)、(b)は焼結上がりの弾性体
の斜視図及び断面図を示し、図5には所定位置のスリッ
ト部のみを拡大して示している。本図で示しているよう
に、弾性体1には図1と同様に、所定の位置のスリット
が他のスリットよりも深くまたは浅く形成されている。
【0056】しかし、焼結時の熱による変形で該スリッ
トの深さの精度は悪くなってしまうため、図5に示すよ
うに、スリットの上部及び底部を同時にプレスする総型
サイジングを施し、型の精度でサイジング後のスリット
深さを矯正するようにしている。
【0057】その結果、図6に示すように、焼結成形時
に形成されたスリット1g1(深溝)と1g2(その他
のスリット)は、サイジングにより矯正されて1g11
と1g21となり、それらの段差の精度はサイジング前
に比べ格段に向上している。
【0058】(第3の実施の形態)図7は第3の実施の
形態を示す。
【0059】本実施の形態では、所定の位置の弾性体基
部の密度を上げる事によって、該基部に剛性不均一部を
設けている。弾性体形状は第1の実施の形態と同じ形状
をしているので全体図は省略し、図7には剛性不均一部
を形成するための原理の概念図を示した。
【0060】図7(a)はサイジング前の弾性体側面を
示している。基部の密度を上げようとする部分のスリッ
ト底部は、図中スリット底部1f1〜1f3のように、
他のスリットよりも浅く構成し、その後サイジング工程
時に他のスリットと同じ深さまでサイジングを施すと、
前記スリット底部1f1〜1f3に対応する部分は図7
(b)の斜線で示す部分1g1〜1g3のように密度が
上がり、ヤング率も高くなる。
【0061】この様に曲げ振動が励振される弾性体基部
に、部分的にヤング率が高い部分が存在すると、第1の
実施の形態と同様に一対の振動モードの共振周波数を一
致させない効果がある。
【0062】(第4の実施の形態)図10は第4の実施
の形態を示す。
【0063】上記の各実施の形態における弾性体は、リ
ング状に形成したものを用いているが、高周波の駆動振
動が形成されるリング状の振動発生部の内周または外周
にフランジ部を設けた円盤形状のものとし、このフラン
ジ部を介して弾性体を取り付け部材等に固定するように
しても良く、図10はこの円盤状の弾性体に圧電素子2
を接着して得られた振動体を有する振動波駆動装置とし
ての振動波モータの断面図を示す。
【0064】ベース部材5とケース20とによりモータ
ハウジングを構成し、ベース部材5には、弾性体1の支
持部1gがねじ6により固定され、また内外部にベアリ
ング7と8が装着されていて、このベアリング7,8に
よりモータ軸9を回転自在に支持している。弾性体1は
突起部1aの上面に摩擦材としてのスライダ材3が貼り
合わされている。また、表面硬化処理を施された接触体
としてのロータ10は、防振ゴム11を介して板ばね1
2に連結され、板ばね12の内径部がディスクフランジ
13に回転不能に固定されている。ディスクフランジ1
3は、モータ軸9に対して締まり嵌合により、軸方向ズ
レ、回転方向ズレがないように固定されている。そし
て、ロータ10は弾性体1のスライダ材3に板ばね12
のばね力により加圧接触する。
【0065】また、ベース部材5の内端にはエンコーダ
ベース14が固定され、投・受光素子で構成されている
一対のフォトカプラ15(モータ軸に対して軸対称に配
置されている)や回路素子等が実装されたフレキシブル
プリント基板16を介してエンコーダベース14に取り
付けられている。
【0066】一方、モータ軸9の一端部に歯付止め輪1
9を介して固定されたハブ18には、フォトカプラ15
に対向して、反射率の大きい鏡面に複数のスリットを形
成したエンコーダコードホイール17が接着剤あるいは
両面テープにより固定され、フォトカプラ15の投光素
子からエンコーダコードホイール17で反射した反射光
を受光素子で受光し、パルスを出力するようになってお
り、2つのフォトカプラ15を軸対称に配置しているの
は、モータ軸9の偏芯をエンコーダ信号上でキャンセル
させ、制御時に回転ムラを低減させるためである。
【0067】そして、ケース20とベース部材5で構成
されるハウジングによりモータ部、エンコーダ部を内包
し、その際ベース部材5とケース20およびベース部材
5とモータ軸9の間にそれぞれ設けたシール21,22
により水密性等が保持され、また内部に乾燥剤23が封
入されて乾燥状態が保たれている。
【0068】なお、圧電素子2への駆動信号、及びフォ
トカプラ15への駆動及びエンコーダ信号はフレキシブ
ル基板4、16及びコネクタ24を介してモータ外部の
不図示のドライバに接続されている。
【0069】電気−機械エネルギー変換素子としての圧
電素子2に位相の異なる交流電圧などの交番信号を印加
することにより、弾性体1に曲げ振動により形成された
位相の異なる定在波の合成により進行波が形成され、弾
性体1に加圧接触するロータ10が回転駆動されてモー
タ軸9が回転し、このモータ軸9により例えば複写機の
感光ドラム等の被駆動体が駆動される。その際、フォト
カプラ15からの信号に基づいてモータ速度が所定の速
度になるように制御される。
【0070】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明によれ
ば、鳴き対策を施した振動波駆動装置の振動体に用いら
れる弾性体を焼結合金で簡単に得ることが可能となり、
特に焼結成形した弾性体をサイジングにより形状の変形
を矯正する際に、鳴き対策のための加工を同時に行え、
鳴き対策のための加工工程を特別に行う必要がない。
【0071】また、振動波駆動装置の振動体には、焼結
合金により鳴き対策を施した弾性体を用いることができ
るので、コストダウンを図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の弾性体を示し、
(a)は上面図、(b)はそのA部拡大側面図、(c)
は(a)のy軸に沿った断面図
【図2】本発明を有効に実施できる総型サイジングの型
構成の第1の実施の形態を示し、(a)は中央分割断面
図、(b)は上パンチの展開図。
【図3】第1の実施の形態における効果を説明する波形
図。
【図4】本発明の第2の実施の形態の弾性体を示し、
(a)は斜視図、(b)はその断面図。
【図5】第2の実施の形態のサイジング処理時の上パン
チと弾性体との関係を示す断面図。
【図6】(a)(b)は第2の実施の形態によるサイジ
ング処理の前後の弾性体を示す図。
【図7】(a)(b)は本発明の第3の実施の形態によ
るサイジング処理の前後の弾性体を示す図。
【図8】振動体の斜視図。
【図9】従来の弾性体の機械加工による切削方法を示す
図。
【図10】第4の実施の形態を示す振動波駆動装置の断
面図を示す。
【符号の説明図】
1 弾性体 1a 弾性体突起部 1b 弾性体突起上面 1c 弾性体圧電素子接合面 2 圧電素子 11 内型(コア部) 12 外型 13 下パンチ 14 上パンチ

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動振動を生じる焼結合金からなる弾性
    体を有する振動体と、前記弾性体に接触させた接触体
    と、を相対移動させる振動波駆動装置における前記弾性
    体を製造する弾性体の製造方法において、 焼結成型された前記弾性体は一方の面に複数のスリット
    が形成されていて、焼結後の前記弾性体に対してサイジ
    ング処理を施すサイジング工程を有し、前記サイジング
    処理の際に、前記複数のスリットの底面を加圧すると共
    に、前記複数のスリットのうち、特定のスリットを所定
    の量だけ深く若しくは浅く形成することを特徴とする弾
    性体の製造方法。
  2. 【請求項2】 駆動振動を生じる焼結合金からなる弾性
    体を有する振動体と、前記弾性体に接触させた接触体
    と、を相対移動させる振動波駆動装置における前記弾性
    体を製造する弾性体の製造方法において、 焼結成型された前記弾性体は一方の面に複数のスリット
    が形成されていると共に、前記複数のスリットのうち、
    前記特定のスリットがあらかじめ所定の量だけ深く若し
    くは浅く形成されていて、焼結後の前記弾性体に対して
    サイジング処理を施すサイジング工程を有し、前記サイ
    ジング処理の際に、前記複数のスリットの底面を加圧し
    て、前記特定のスリットの深さが所定量となるように矯
    正することを特徴とする弾性体の製造方法。
  3. 【請求項3】 駆動振動を生じる焼結合金からなる弾性
    体を有する振動体と、前記弾性体に接触させた接触体
    と、を相対移動させる振動波駆動装置における前記弾性
    体を製造する弾性体の製造方法において、 焼結成型された前記弾性体は一方の面に複数のスリット
    が形成されていて、焼結後の前記弾性体に対してサイジ
    ング処理を施すサイジング工程を有し、前記サイジング
    処理の際に、前記複数のスリットの底面を加圧すると共
    に、前記複数のスリットのうち、前記特定のスリットの
    底面に対する加圧力を他のスリットと異ならせ、前記特
    定スリットの基部の密度を他のスリットの基部の密度と
    異ならせたことを特徴とする弾性体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記特定のスリットの底面に対する加圧
    力を高めて前記特定スリットの基部の密度を他のスリッ
    トn基部の密度よりも大きくしたことを特徴とする請求
    項3に記載の弾性体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記弾性体は、リング形状に形成されて
    いることを特徴とする請求項1、2、3または4に記載
    の弾性体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記弾性体は、リング形状に形成された
    駆動振動の発生部の内周又は外周にフランジ部を設けた
    円盤形状に形成されていることを特徴とする請求項1、
    2、3または4に記載の弾性体の製造方法。
  7. 【請求項7】 振動波駆動装置に用いられるものであっ
    て駆動振動を生じる焼結合金からなる弾性体において、 前記弾性体は、リング形状に形成された駆動振動の発生
    部に径方向に複数のスリットが形成され、前記複数のス
    リットのうち、特定のスリットを所定の量だけ深く若し
    くは浅く形成したことを特徴とする弾性体。
  8. 【請求項8】 振動波駆動装置に用いられるものであっ
    て駆動振動を生じる焼結合金からなる弾性体において、 前記弾性体は、リング形状に形成された駆動振動の発生
    部に径方向に複数のスリットが形成され、前記複数のス
    リットのうち、特定のスリットの基部の密度と他のスリ
    ットの基部の密度とを異ならせたことを特徴とする弾性
    体。
  9. 【請求項9】 前記特定のスリットの基部の密度を他の
    スリットの基部の密度よりも大きくしたことを特徴とす
    る請求項8に記載の弾性体。
  10. 【請求項10】 前記弾性体は、リング形状に形成され
    た駆動振動の発生部の内周又は外周にフランジ部を設け
    た円盤形状に形成されていることを特徴とする請求項
    7、8または9に記載の弾性体。
  11. 【請求項11】 請求項7、8、9または10に記載の
    弾性体の駆動振動発生部と異なる面に電気−機械エネル
    ギー変換素子を接合し、前記電気−機械エネルギー変換
    素子に交番信号を印加することにより前記弾性体に駆動
    振動が形成される振動体と、前記弾性体に加圧接触する
    接触体とを有し、前記振動体と前記接触体とを前記駆動
    振動により摩擦駆動することを特徴とする振動波駆動装
    置。
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