JP2001298973A - 弾性体の製造方法および弾性体、およびこの弾性体を用いた振動波駆動装置 - Google Patents

弾性体の製造方法および弾性体、およびこの弾性体を用いた振動波駆動装置

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JP2001298973A
JP2001298973A JP2000113994A JP2000113994A JP2001298973A JP 2001298973 A JP2001298973 A JP 2001298973A JP 2000113994 A JP2000113994 A JP 2000113994A JP 2000113994 A JP2000113994 A JP 2000113994A JP 2001298973 A JP2001298973 A JP 2001298973A
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slits
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frequency vibration
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Hiroyuki Seki
裕之 関
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Abstract

(57)【要約】 【課題】振動波駆動装置の振動体を構成する焼結金属製
のリング状弾性体の加工精度を向上させる弾性体の製造
方法を提供する。 【解決手段】焼結金属製のリング状弾性体1には一方の
面に複数の突起部1aが形成されており、残留熱応力に
よる変形を除去するサイジング処理の際に、略120°
の間隔で3箇所のスリット1dの深さを他のスリット1
eよりも深くし、かつこれらのスリット1dの底面を同
じレベルとすることにより、後加工(機械加工)時の旋
盤のチャックなどへの取り付け基準を簡単でかつ高精度
に得られ、形状精度の安定した弾性体加工が行える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振動波モータ等の
振動波駆動装置、振動波駆動装置の振動体に用いられる
弾性体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より開発されている振動波駆動装置
の一つである超音波あるいは振動波モータ等と称せられ
ているモータは、金属製の弾性体の他方の面に電気−機
械エネルギー変換素子としての圧電素子を接着して構成
した振動体を有し、前記圧電素子に駆動信号としての交
流電圧を印加し、これにより該弾性体に発生した高周波
の駆動振動で、該弾性体の一方の面(駆動面)に摩擦接
触させた接触体としてのロータを回転駆動するようにな
っている。このモータの駆動原理については、以前より
多くの提案がなされ、そこで説明されているので、ここ
では周知のものとして説明を省略する。
【0003】このモータの中で、最もポピュラーなもの
は進行波タイプのモータであり、現在製品化されている
ものの殆どがこのタイプである。
【0004】図6はこのタイプのモータを構成する振動
体の斜視図を示す。振動体は金属製の弾性体1と電気−
機械エネルギー変換素子としての圧電素子2で構成され
ている。
【0005】弾性体1はさらに、一方の面(駆動面)に
略等間隔のスリットが複数施され、これによって複数の
突起部1aが櫛歯状に形成されている。この突起部1a
は、該弾性体1に面外曲げ振動が励振されたとき、突起
部1aの上面(表面)1bに接触する不図示のロータを
効率よく駆動するためのもので、前記振動体のロータ送
り方向における振動成分を増幅するために極めて重要な
部分である。この突起部1aは、モータ効率をよくする
ためにある程度以上数を多くする必要があり、また、ロ
ータ送り方向の振動振幅を大きくするため、スリットを
ある程度深くする必要がある。また、ロータとの接触面
である接触面1bや、圧電素子接合面1cは平面度を数
μm程度に仕上げる必要があり、非常に高精度な加工が
要求される。このような理由から、従来はこの弾性体を
機械加工により製作していた。
【0006】しかし、図6に示すように、複雑な形状の
弾性体を機械加工のみで製作すると、加工工数が多くな
り加工時間も多くなるため、コストが高くなってしまう
という問題がある。
【0007】また、リング状の形状を棒材から削り出す
という方法は、材料の無駄も多く、資源の有効活用、産
業廃棄物の削減といった環境問題の観点からも好ましく
ない。
【0008】そこで、弾性体の加工工数を大幅に低減す
るとともに、後加工によるごみを極力少なくできる加工
法として、焼結金属による成型法が特開平5−344766号
公報などで提案されている。これらの提案では、弾性体
のスリット部分まで型成形して焼結するため、略全形状
が出来上がった状態で成形される。ただ、焼結による熱
変形で、突起部1aの表面1bや圧電素子接着面1cの
面精度が悪くなった部分に関しては、突起部1aの表面
1bと圧電素子接着面1cをサイジング処理して矯正し
ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、サイジ
ング工程だけで弾性体として使用できるレベルまで焼結
による変形を矯正するということは非常に難しく、実際
には機械加工等による後加工を施さなければならないの
が現実である。リング形状の弾性体の場合は、旋盤加工
による場合が多く、焼結された焼結体は1つ1つ旋盤の
ワーク取り付け部に取付けられ、旋削される。このと
き、ワークは取り付け基準面に平行に加工される。
【0010】ところが、焼結体は前にも述べたように、
焼結による熱変形が大きいため、表面がうねっているこ
とが多く、またこの変形のパターンも一定ではない。
【0011】そのため、このうねった面を前記機械加工
の取り付け基準面にすると、取付けたワークは傾いた状
態で加工されてしまうことになる。
【0012】例えば、図7(a)(b)に示す場合、加
工基準とする突起部をP1,P2,P3とすると、加工
基準の仮想平面はLのようになる。ここで突起部P1,
P2,P3は円周上の突起部の3つであり、図7におい
てはP2,P3が重なって見える位置にあるものとす
る。この取り付け面(仮想平面)Lに対し、被加工面で
ある圧電素子接着面1cは平行に加工されるので、本加
工によってリング状基部は斜線部が削除された形状にな
る。
【0013】さらに、今度は本加工で出来た面mを基準
にして櫛歯状突起側を旋削するので、これにより前記m
と平行な面nが形成される。こうして形成された弾性体
は、図のようにリング状基部の厚みムラは大きく、ま
た、突起部の高さも場所によりまちまちになってしま
う。この結果、この弾性体を振動子として振動を発生さ
せた時に、振動振幅のムラが生じたり、突起先端の楕円
振動の楕円比のムラが生じ、モーター性能を著しく低下
させることになるという問題があった。
【0014】また、焼成後の弾性体の変形状態は個々に
より異なるので、量産加工をした場合、加工後の厚みム
ラや突起部の高さムラはまちまちであるため、モータの
性能のばらつきが大きくなってしまうという問題もあっ
た。
【0015】本出願に係る発明は、このような従来の問
題を解決した弾性体の製造方法および弾性体、この弾性
体を用いた振動波駆動装置を提供しようとするものであ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、高周波振
動を生じる弾性体を有する振動体と、前記弾性体に接触
させた接触体と、を相対移動させる振動波駆動装置にお
ける前記弾性体を製造する弾性体の製造方法において、
前記弾性体は焼結合金からなり、焼結後の弾性体に対し
てサイジング処理を施すサイジング工程を有し、前記サ
イジング処理の際に、前記弾性体の加圧される面の少な
くとも一方の面に対し、少なくとも3個所に深さまたは
高さの等しい凹部または凸部を加圧形成する加圧形成処
理を施し、前記加圧形成処理で形成された部分を後加工
時の機械取り付け基準にしたことを特徴とする弾性体の
製造方法である。
【0017】第2の発明は、上記第1の発明で、サイジ
ング処理前の前記弾性体には、径方向に略等間隔に複数
のスリットが形成されており、前記サイジング処理を施
す際の一方の面は前記スリット底部であって、前記サイ
ジング処理前の弾性体に形成された複数のスリットのう
ちの少なくとも3つのスリットの深さを前記加圧形成処
理で他のスリットよりも深く形成したことを特徴とする
弾性体の製造方法である。
【0018】第3の発明は、上記第1の発明で、サイジ
ング処理前の前記弾性体には、周方向に略等間隔に複数
の突起部が形成されており、前記加圧形成処理を施す際
の一方の面は、前記複数の突起部のうちの少なくとも3
つの突起部の上面であることを特徴とする弾性体の製造
方法である。
【0019】第4の発明は、上記いずれかの発明で、前
記弾性体は高周波振動の発生部がリング状に形成されて
いて、前記加圧形成処理を前記高周波振動の発生部上の
3個所に施し、かつ、該3個所の位置は円周上の略12
0°間隔であることを特徴とする弾性体の製造方法であ
る。
【0020】第5の発明は、上記第1の発明で、前記弾
性体は、リング形状の高周波振動の発生部の内周または
外周にフランジ部を有する円盤形状であって、前記サイ
ジング処理時の前記加圧形成処理は、前記フランジ部に
施すことを特徴とする弾性体の製造方法である。
【0021】第6の発明は、振動波駆動装置に用いられ
る高周波振動を生じる焼結金属製の弾性体において、前
記弾性体の一方の面に同一レベルに形成された少なくと
も3個所の凹部の底面又は凸部の上面よりなる基準面
と、前記弾性体の機械加工された他方の面とが平行に形
成されていることを特徴とする弾性体である。
【0022】第7の発明は、上記第6の発明で、前記弾
性体は、リング形状に形成された高周波振動の発生部に
径方向に複数のスリットが形成され、前記複数のスリッ
トのうちの少なくとも3箇所のスリット底面を前記基準
面とすることを特徴とする弾性体である。
【0023】第8の発明は、上記第6の発明で、前記弾
性体は、リング形状に形成された高周波振動の発生部に
周方向に複数の突起部が形成され、前記複数の突起部の
うちの少なくとも3箇所の突起部上面を前記基準面とす
ることを特徴とする弾性体である。
【0024】第9の発明は、上記第6の発明で、前記弾
性体は、リング形状の高周波振動の発生部の内周または
外周にフランジ部を有する円盤形状であって、前記フラ
ンジ部に前記基準面が形成されていることを特徴とする
弾性体である。
【0025】第10の発明は、上記いずれかの弾性体の
他方の面に電気−機械エネルギー変換素子を接着し、前
記電気−機械エネルギー変換素子に交番信号を印加する
ことにより前記弾性体に駆動振動が形成される振動体
と、前記弾性体に加圧接触する接触体とを有し、前記振
動体と前記接触体とを前記駆動振動により摩擦駆動する
ことを特徴とする振動波駆動装置である。
【0026】上記の弾性体の製造方法においては、焼結
材により形成された弾性体の変形をサイジングにより矯
正するとともに、後加工の基準面となるポイントサイジ
ング処理時に行うことで、後加工時に、弾性体が加工機
の取り付け面に対し傾いて取付けられることを防止し、
この加工によって生じるリング状基部の厚みムラや突起
部高さのムラを低減するものである。
【0027】また、前記基準面となるポイントを弾性体
のスリット底部に設け、基準面とリング状基部本体との
平行度を向上したものである。
【0028】また、基準となる面を突起部の上面に設け
ることにより、後加工の際の加工機への取り付け性を向
上したものである。
【0029】また、前記加工基準となるポイントを円周
上約120°の3個所に設けることにより、取り付けた
ワークの安定化を図ったものである。
【0030】また、取り付け基準面を弾性体の内周また
は外周に設けられたフランジ部に設けたことで、取り付
け性を向上すると共にワークの保持を容易にするもので
ある。
【0031】そして、このような方法で製造された弾性
体は、焼結金属製でありながら余分な切削加工を要する
ことなく高精度の平面度が得られる。
【0032】そして、この弾性体に電気−機械エネルギ
ー変換素子を接着して得られた振動体を用いた振動波駆
動装置では、効率よく接触体との相対移動が行える。
【0033】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)図1、図2
および図3は第1の実施の形態を示す。
【0034】図1は本発明による弾性体の製造方法を有
効に実施できるサイジング型の中央縦断面図、図2は図
1のサイジング型で処理されて得られた弾性体の上面図
を示す。本実施の形態において、振動波駆動装置の振動
体を構成する弾性体は、図2の(a)に示すように、リ
ング形状に形成されたもので、焼結工程により得られた
弾性体の残留熱応力による変形を図1のサイジング型に
より除去する。
【0035】サイジング型は、弾性体1が挿入される円
筒形状の外型12と、この外型12に挿入された弾性体
1の内径部に挿入される棒状あるいは筒状の不図示の内
型とを有し、前記内型と外型12により弾性体1の内周
および外周が拘束されるように配置される。
【0036】さらに前記内型と外型12との間の空間に
配置されたサイジング処理前の弾性体1の一方の面(複
数の突起部1aの形成側)に対向して、図中上方に位置
する筒形状の上パンチ14が配置され、弾性体1の他方
の面である圧電素子接着面側に対向して、図中下方に筒
形状の下パンチ13が配置されている。
【0037】本実施の形態において、上パンチ14は、
サイジング処理前の弾性体1の突起部1aの間のスリッ
トに差し込まれる押圧突起部14aを有し、下パンチ1
3は弾性体1の圧電素子接着面に当接する。
【0038】サイジング処理前の弾性体1は、複数の突
起部1aの間にスリットを形成した櫛歯側を図の上側、
圧電素子接着面側を図の下側に向けて配置されており、
前記不図示の内型と外型12の間のリング状の空間部分
に対して、図の上方には弾性体1の櫛歯側に向けて上パ
ンチ14が位置し、また図の下方からは弾性体1の圧電
素子接着面に当接する下パンチ13が位置している。
【0039】上パンチ14は、弾性体1の複数の突起部
1a間のスリットに入り込んで該スリット底部を押圧す
る押圧突起部14aを有し、下パンチ13は、弾性体1
の圧電素子接着面に当接するフラットな当たり面を有し
ている。
【0040】そして、上パンチ14と当たり面がフラッ
トな下パンチ13とが該弾性体を上下から挟み込むよう
に加圧し、反りを効率よく矯正するよう設定されてい
る。この時、上パンチ14は押圧突起部14aのフラッ
トな先端部で弾性体1の突起部1a間のスリット底面1
eを加圧すると共に、押圧突起部14aの間の基底部で
突起部1aの上面1bとを同時に加圧し、櫛歯側の全面
を加圧するように設定されている。
【0041】本実施の形態において、上パンチ14に
は、弾性体1の駆動面側に形成されているスリットと同
数の押圧突起部14aが形成されているが、これら複数
の押圧突起部14aの内、略120°の角度間隔での3
つの押圧突起部14aの長さを他の押圧突起部14aの
長さよりも所定長さだけ長く形成している。
【0042】したがって、サイジング処理により上パン
チ14により加圧された弾性体1の周方向における複数
のスリットは、図2の(a)(b)に示すように、上記
した長い押圧突起部14aで加圧された3つのスリット
(1d1〜1d3)がサイジング処理時に所定長さの分
だけ深く押し込まれるため、他の押圧突起部14aで加
圧されたスリット1eの深さよりも深くなる。
【0043】この様にしてサイジング処理された焼結弾
性体1は、焼成時に発生する熱変形がかなり矯正される
のと同時に、略120°間隔に一定量深く押し込まれた
3つのスリット(1d1〜1d3)により形成される仮
想平面は、弾性体1のリング状基部(弾性体1の圧電素
子接合面1c)と略平行になっている。
【0044】図3は、サイジング処理が施された弾性体
1を、旋盤等に取付けた時の側面から見た断面のイメー
ジ図である。
【0045】弾性体1は、前記3個所スリット底部(1
d1〜1d3)が、旋盤のワーク取り付け台15に設け
てある3つの位置決め突起部(15a、15b、15
c、夫々120°間隔に設けてある)に突き当てられる
ようにセットされ、コレット等の保持部材16で外周を
保持されるように取付けられている。
【0046】このように旋盤に弾性体を取付けること
で、サイジング処理が施された弾性体1が、旋削により
形成される加工面である圧電素子接合面1cに対し傾く
こと無く、リング状基部を略平行に加工できる。
【0047】次に、弾性体1を前記旋盤に前後逆に取り
付け、この圧電素子接合面1cを位置決め突起部15
a、15b、15cに突き当てるようにして取り付け、
弾性体1の突起部1aの上面1bを加工すれば、これら
の上面1bは圧電素子接合面1cと平行に加工されるの
で、加工上がりの弾性体1は基部、及び突起部の高さが
そろった形状に加工できることになる。
【0048】(第2の実施の形態)図4は第2の実施の
形態を示す。
【0049】上記した第1の実施の形態では、サイジン
グ処理で弾性体1の3つのスリットの深さを他のスリッ
トの深さよりも深くし、この3つの長いスリットの底面
で得られる仮想平面は、弾性体1のリング状基部(弾性
体1の圧電素子接合面1c)と略平行であることを利用
して、弾性体1の一方の面と他方の面との切削加工によ
る高精度の平行度が得られるようにしているが、本実施
の形態においては、上パンチの押圧突起部の間のスリッ
トのうち、略120°の角度位相を有する3つのスリッ
トの深さを他のスリットの深さよりも所定の長さ浅くし
ている。
【0050】したがって、サイジング工程で、弾性体1
の複数の突起部1aの内、前記上パンチの浅い3つのス
リットの底面に当接する弾性体1の突起部1aの上面
は、他の突起部1aの上面よりも浅い分だけ余分に加圧
されるので、図4の(a)(b)に示すように、この余
分に加圧された略120°間隔の3つの突起部1aの上
面1b1,1b2,1b3の高さが略同じになるように
他の突起よりも低く形成されることになる。
【0051】この弾性体1の上記3個所の突起部1aを
後加工時の取り付け基準面にすることにより、第1の実
施の形態と同様に該弾性体を精度良く加工することがで
きる。
【0052】(第3の実施の形態)図5は第3の実施の
形態を示す。
【0053】上記した第1、第2の実施の形態において
は、弾性体の形状をリング状としているが、本実施の形
態における弾性体は、図5に示すように、リング状基部
の内周側に支持用の円板部1f及びさらにその内周に固
定部1gを形成して円盤形状に形成したものである。
【0054】このような円盤形状の弾性体に対するサイ
ジング工程においては、上パンチで突起部1aの上面1
bと前記円板部1fおよび固定部1gの上面を同時に加
圧して平面の矯正をすると同時に、固定部1gの上面の
3個所(略120°間隔)に略深さが等しい凹部1g
1,1g2,1g3を設けている。このように3個所の
凹部を形成することによって、上パンチで加圧する時に
加圧力を集中させ、容易に取り付け面の平面を出すよう
にしている。そして、サイジング工程後の加工に関して
は上記の実施の形態と同様である。
【0055】尚、本実施の形態においては、支持用の円
板部1fはリング状弾性体の内周側に設けているが、こ
れは外周側でも同様の効果がある。
【0056】また、上記の各実施の形態において、サイ
ジング処理後の加工の基準となるポイントは凹部となる
例のみを示したが、これらが凸部となるように設定して
も同様の効果があることは言うまでもない。
【0057】(第4の実施の形態)図8は第4の実施の
形態を示す。
【0058】図8は上記した第3の実施の形態により形
成された円盤状の弾性体に圧電素子2を接着して得られ
た振動体を有する振動波駆動装置としての振動波モータ
の断面図を示す。
【0059】ベース部材5とケース20とによりモータ
ハウジングを構成し、ベース部材5には、弾性体1の支
持部1gがねじ6により固定され、また内外部にベアリ
ング7と8が装着されていて、このベアリング7,8に
よりモータ軸9を回転自在に支持している。弾性体1は
突起部1aの上面に摩擦材としてのスライダ材3が貼り
合わされている。また、表面硬化処理を施された接触体
としてのロータ10は、防振ゴム11を介して板ばね1
2に連結され、板ばね12の内径部がディスクフランジ
13に回転不能に固定されている。ディスクフランジ1
3は、モータ軸9に対して締まり嵌合により、軸方向ズ
レ、回転方向ズレがないように固定されている。そし
て、ロータ10は弾性体1のスライダ材3に板ばね12
のばね力により加圧接触する。
【0060】また、ベース部材5の内端にはエンコーダ
ベース14が固定され、投・受光素子で構成されている
一対のフォトカプラ15(モータ軸に対して軸対称に配
置されている)や回路素子等が実装されたフレキシブル
プリント基板16を介してエンコーダベース14に取り
付けられている。
【0061】一方、モータ軸9の一端部に歯付止め輪1
9を介して固定されたハブ18には、フォトカプラ15
に対向して、反射率の大きい鏡面に複数のスリットを形
成したエンコーダコードホイール17が接着剤あるいは
両面テープにより固定され、フォトカプラ15の投光素
子からエンコーダコードホイール17で反射した反射光
を受光素子で受光し、パルスを出力するようになってお
り、2つのフォトカプラ15を軸対称に配置しているの
は、モータ軸9の偏芯をエンコーダ信号上でキャンセル
させ、制御時に回転ムラを低減させるためである。
【0062】そして、ケース20とベース部材5で構成
されるハウジングによりモータ部、エンコーダ部を内包
し、その際ベース部材5とケース20およびベース部材
5とモータ軸9の間にそれぞれ設けたシール21,22
により水密性等が保持され、また内部に乾燥剤23が封
入されて乾燥状態が保たれている。
【0063】なお、圧電素子2への駆動信号、及びフォ
トカプラ15への駆動及びエンコーダ信号はフレキシブ
ル基板4、16及びコネクタ24を介してモータ外部の
不図示のドライバに接続されている。
【0064】電気−機械エネルギー変換素子としての圧
電素子2に位相の異なる交流電圧などの交番信号を印加
することにより、弾性体1に曲げ振動により形成された
位相の異なる定在波の合成により進行波が形成され、弾
性体1に加圧接触するロータ10が回転駆動されてモー
タ軸9が回転し、このモータ軸9により例えば複写機の
感光ドラム等の被駆動体が駆動される。その際、フォト
カプラ15からの信号に基づいてモータ速度が所定の速
度になるように制御される。
【0065】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明による弾
性体の製造方法によれば、焼結体で成形され、複数のス
リットを有する弾性体に圧電素子などの電気−機械エネ
ルギー変換素子を接合してなる振動体において、その焼
結成形した弾性体をサイジングにより形状の変形を矯正
する際に、該スリットの底面、或いは該スリットにより
形成される突起部の上面の内、少なくとも3個所の部分
を他の部分よりも一定量浅く、または高くなるように凹
部、又は凸部を設け、該凹部または凸部を後加工時の機
械に取付ける際の基準とすることによって、後加工時に
ワークが傾いて加工されたり、弾性体の厚みムラが生じ
たりすることを防止し、これら弾性体の形状不均一によ
って生じる振動振幅ムラや、突起部の送り速度ムラ(突
起部に生じる楕円振動の楕円比のムラ)を最小限に押さ
えることが出来るので、良好な弾性体を提供できる。
【0066】さらに、上記サイジング時に、上記スリッ
トの内、略120°間隔で位置する3つのスリットの深
さが同一になるように設定し、この3個所を後加工の基
準面とすることにより、加工精度のばらつきが押さえら
れ、安定した弾性体を供給することが出来るようになっ
た。
【0067】そして、この弾性体に電気−機械エネルギ
ー変換素子を接着して得られた振動体を用いた振動波駆
動装置では、効率よく接触体との相対移動が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示すサイジング型の中央断
面図
【図2】図1のサイジング型でサイジング処理された弾
性体を示し、(a)は上面図、(b)はその一部断面図
【図3】図2の弾性体の機械加工のために旋盤に装着し
た状態の断面図
【図4】第2の実施の形態の弾性体を示し、(a)は上
面図、(b)はその一部断面図
【図5】第3の実施の形態の弾性体を示し、(a)は上
面図、(b)はその断面図
【図6】振動体の斜視図
【図7】従来の弾性体の処理を示し、(a)はサイジン
グ処理された弾性体の側面図、(b)はその弾性体の機
械加工による切削領域を示す図
【図8】第3の実施の形態の弾性体を用いた振動波モー
タの断面図
【符号の説明】
1 弾性体 1a 突起部 1b 上面 1c 圧電素子接合面 2 圧電素子 3 スライダ 12 外型 13 下パンチ 14 上パンチ 15 ワーク取り付け台 16 ワーク固定治具

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高周波振動を生じる弾性体を有する振動
    体と、前記弾性体に接触させた接触体と、を相対移動さ
    せる振動波駆動装置における前記弾性体を製造する弾性
    体の製造方法において、 前記弾性体は焼結合金からなり、焼結後の弾性体に対し
    てサイジング処理を施すサイジング工程を有し、前記サ
    イジング処理の際に、前記弾性体の加圧される面の少な
    くとも一方の面に対し、少なくとも3個所に深さまたは
    高さの等しい凹部または凸部を加圧形成する加圧形成処
    理を施し、前記加圧形成処理で形成された部分を後加工
    時の機械取り付け基準にしたことを特徴とする弾性体の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 サイジング処理前の前記弾性体には、径
    方向に略等間隔に複数のスリットが形成されており、前
    記サイジング処理を施す際の一方の面は前記スリット底
    部であって、前記サイジング処理前の弾性体に形成され
    た複数のスリットのうちの少なくとも3つのスリットの
    深さを前記加圧形成処理で他のスリットよりも深く形成
    したことを特徴とする請求項1に記載の弾性体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 サイジング処理前の前記弾性体には、周
    方向に略等間隔に複数の突起部が形成されており、前記
    加圧形成処理を施す際の一方の面は、前記複数の突起部
    のうちの少なくとも3つの突起部の上面であることを特
    徴とする請求項1に記載の弾性体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記弾性体は高周波振動の発生部がリン
    グ状に形成されていて、前記加圧形成処理を前記高周波
    振動の発生部上の3個所に施し、かつ、該3個所の位置
    は円周上の略120°間隔であることを特徴とする請求
    項1、2または3に記載の弾性体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記弾性体は、リング形状の高周波振動
    の発生部の内周または外周にフランジ部を有する円盤形
    状であって、前記サイジング処理時の前記加圧形成処理
    は、前記フランジ部に施すことを特徴とする請求項1に
    記載の弾性体の製造方法。
  6. 【請求項6】 振動波駆動装置に用いられる高周波振動
    を生じる焼結金属製の弾性体において、 前記弾性体の一方の面に同一レベルに形成された少なく
    とも3個所の凹部の底面又は凸部の上面よりなる基準面
    と、前記弾性体の機械加工された他方の面とが平行に形
    成されていることを特徴とする弾性体。
  7. 【請求項7】 前記弾性体は、リング形状に形成された
    高周波振動の発生部に径方向に複数のスリットが形成さ
    れ、前記複数のスリットのうちの少なくとも3箇所のス
    リット底面を前記基準面とすることを特徴とする請求項
    6に記載の弾性体。
  8. 【請求項8】 前記弾性体は、リング形状に形成された
    高周波振動の発生部に周方向に複数の突起部が形成さ
    れ、前記複数の突起部のうちの少なくとも3箇所の突起
    部上面を前記基準面とすることを特徴とする請求項6に
    記載の弾性体。
  9. 【請求項9】 前記弾性体は、リング形状の高周波振動
    の発生部の内周または外周にフランジ部を有する円盤形
    状であって、前記フランジ部に前記基準面が形成されて
    いることを特徴とする請求項6に記載の弾性体。
  10. 【請求項10】 請求項6、7、8または9に記載の弾
    性体の他方の面に電気−機械エネルギー変換素子を接着
    し、前記電気−機械エネルギー変換素子に交番信号を印
    加することにより前記弾性体に駆動振動が形成される振
    動体と、前記弾性体に加圧接触する接触体とを有し、前
    記振動体と前記接触体とを前記駆動振動により摩擦駆動
    することを特徴とする振動波駆動装置。
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