JP2009201322A - 振動アクチュエータ、レンズ鏡筒、カメラ、振動アクチュエータの製造方法 - Google Patents

振動アクチュエータ、レンズ鏡筒、カメラ、振動アクチュエータの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】駆動性能のよい振動アクチュエータ、これを備えるレンズ鏡筒及びカメラ、並びに振動アクチュエータの製造方法を提供する。
【解決手段】電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電気機械変換素子(13)と、電気機械変換素子(13)が接合され、電気機械変換素子が駆動されることによって振動波を生じる弾性体(12)と、弾性体(12)に加圧接触され、振動波によって弾性体(12)に対して相対移動する相対移動部材(15)とを備え、電気機械変換素子(13)は、弾性体(12)に対する接合面(13a)に、無電解めっきにより形成された第1の電極部(D1)を有することを特徴とする振動アクチュエータ(10)とした。
【選択図】図4

Description

本発明は、振動アクチュエータ、これを備えるレンズ鏡筒及びカメラ、並びに振動アクチュエータの製造方法に関するものである。
従来、電気機械変換素子の伸縮を利用して弾性体の駆動面に進行性振動波(以下、進行波という)を発生させ、この進行波によって駆動面に楕円運動を発生させ、楕円運動の波頭に加圧接触した相対移動部材を駆動する振動アクチュエータが知られている。
このような振動アクチュエータに対して、駆動効率や駆動性能の向上が様々に検討されており、その一例として、特許文献1には、圧電体の電極部の径方向の幅wを、弾性体の曲げ中心の径方向の幅よりも広く設けた振動アクチュエータが開示されている。
一般的に、弾性体に発生する進行波は、電気機械変換素子の分極された領域が駆動電圧を印加されることによって伸縮することにより発生する。そのため、厚さ等の条件を一定とした場合、電気機械変換素子の分極された領域が広いほど、振動アクチュエータの駆動力は大きくなる。
また、電気機械変換素子と弾性体との接合強度が弱いと、電気機械変換素子の励振が弾性体へ伝わる伝達効率が落ちるため、十分な駆動性能が得られない。
近年、振動アクチュエータは、さらなる小型化が要求されている。しかし、小型化により電気機械変換素子と弾性体との接合面の面積が小さくなり、電気機械変換素子と弾性体との接合強度が低下する等により、超音波モータの駆動性能が低下する等の問題がある。
従って、小型化した場合にも十分な駆動性能を得られる振動アクチュエータに対する要望が高まっている。
特開2004−287869号公報
本発明の課題は、駆動性能のよい振動アクチュエータ、これを備えるレンズ鏡筒及びカメラ、並びに振動アクチュエータの製造を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。
請求項1の発明は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電気機械変換素子(13)と、前記電気機械変換素子が接合され、前記電気機械変換素子が駆動されることによって振動波を生じる弾性体(12)と、前記弾性体に加圧接触され、前記振動波によって前記弾性体に対して相対移動する相対移動部材(15)と、を備える振動アクチュエータであって、前記電気機械変換素子は、前記弾性体に対する接合面(13a)に、無電解めっきにより形成された第1の電極部(D1)を有すること、を特徴とする振動アクチュエータ(10)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の振動アクチュエータにおいて、前記電気機械変換素子(13)は、半田部材(24)を用いて前記弾性体(12)に接合されていること、を特徴とする振動アクチュエータ(10)である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の振動アクチュエータにおいて、前記第1の電極部(D1)は、前記接合面(13a)の略全面に形成されていること、を特徴とする振動アクチュエータ(10)である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータにおいて、前記電気機械変換素子(13)は、前記接合面(13a)とは反対側の面(13b)に、所定の間隔を空けて複数配置された第2の電極部(D2〜D10)を有し、前記第2の電極部は、スクリーン印刷によって形成されていること、を特徴とする振動アクチュエータ(10)である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータ(10)を備えることを特徴とするレンズ鏡筒(3)である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータ(10)を備えることを特徴とするカメラ(1)である。
請求項7の発明は、電気機械変換素子(13)の一方の面(13a)に、無電解めっきにより第1の電極部(D1)を形成する無電解めっき工程(#103,#203)と、前記無電解めっき工程の後に、前記電気機械変換素子の前記第1の電極部が形成された面を弾性体に接合する接合工程(#106,#207)と、を備える振動アクチュエータの製造方法である。
請求項8の発明は、請求項7に記載の振動アクチュエータの製造方法において、前記接合工程(#106,#207)は、前記電気機械変換素子(13)と前記弾性体(12)とを半田部材(24)を用いて接合すること、を備える振動アクチュエータの製造方法である。
請求項9の発明は、請求項8に記載の振動アクチュエータの製造方法において、前記接合工程(#106)の後に、前記電気機械変換素子(13)を分極する分極工程(#107)を備えること、を特徴とする振動アクチュエータの製造方法である。
請求項10の発明は、請求項7から請求項9までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータの製造方法において、前記無電解めっき工程(#103,#203)と前記接合工程(#106,#207)との間に、前記電気機械変換素子の他方の面に第2の電極部(D2〜D10)を形成する工程(#105,#205)を備えること、を特徴とする振動アクチュエータの製造方法である。
なお、本発明をわかり易く説明するために、実施形態を示す図面の符号に対応付けて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、後述の実施形態の構成を適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替させてもよい。さらに、その配置について特に限定のな構成要件は、実施形態で開示した配置に限らず、その機能を達成できる位置に配置することができる。
本発明によれば、駆動性能のよい振動アクチュエータ、これを備えるレンズ鏡筒及びカメラ、並びに振動アクチュエータの製造方法を提供することができる。
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態を挙げて、さらに詳しく説明する。なお、以下の実施形態は、振動アクチュエータとして、超音波モータを例に挙げて説明する。
(実施形態)
図1は、本実施形態のカメラ1を説明する図である。
本実施形態のカメラ1は、撮像素子8を有するカメラボディ2と、レンズ7を有するレンズ鏡筒3とを備えている。
レンズ鏡筒3は、カメラボディ2に着脱可能な交換レンズである。なお、本実施形態では、レンズ鏡筒3は、交換レンズである例を示したが、これに限らず、例えば、カメラボディと一体型のレンズ鏡筒としてもよい。
レンズ鏡筒3は、レンズ7、カム筒6、ギア4,5、超音波モータ10等を備えている。本実施形態では、超音波モータ10は、カメラ1のフォーカス動作時にレンズ7を駆動する駆動源として用いられており、超音波モータ10から得られた駆動力は、ギア4,5を介してカム筒6に伝えられる。レンズ7は、カム筒6に保持されており、超音波モータ10の駆動力により、光軸方向(図1中に示す、矢印L方向)に略平行に移動して、焦点調節を行うフォーカスレンズである。
図1において、レンズ鏡筒3内に設けられた不図示のレンズ群(レンズ7を含む)によって、撮像素子8の撮像面に被写体像が結像される。撮像素子8によって、結像された被写体像が電気信号に変換され、その信号をA/D変換することによって、画像データが得られる。
図2は、本実施形態の超音波モータ10の断面図である。
本実施形態の超音波モータ10は、振動子11、移動子15、出力軸18、加圧部材19等を備え、振動子11側を固定とし、移動子15を回転駆動する形態となっている。
振動子11は、弾性体12と、弾性体12に接合された圧電体13とを有する略円環形状の部材である。
弾性体12は、共振先鋭度が大きな金属材料によって形成され、その形状は、略円環形状である。この弾性体12は、櫛歯部12a、ベース部12b、フランジ部12cを有する。
櫛歯部12aは、圧電体13が接合される面とは反対側の面に、複数の溝を切って形成され、この櫛歯部12aの先端面は、移動子15に加圧接触され、移動子15を駆動する駆動面12dとなる。この駆動面には、Ni−P(ニッケル−リン)メッキ等の潤滑性の表面処理が施されている。櫛歯部12aを設ける理由は、圧電体13の伸縮により駆動面に生じる進行波の中立面をできる限り圧電体13側へ近づけ、これにより駆動面の進行波の振幅を増幅させるためである。
ベース部12bは、弾性体12の周方向に連続した部分であり、ベース部12bの櫛歯部12aとは反対側の面(弾性体側接合面12e)に、圧電体13が接合されている。
フランジ部12cは、弾性体12の内径方向に突出した鍔状の部分であり、ベース部12bの厚さ方向の中央に配置されている。このフランジ部12cにより、振動子11は、固定部材16に固定されている。
圧電体13は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電気機械変換素子である。本実施形態では、圧電体13として圧電素子を用いているが、電歪素子を用いてもよい。
圧電体13は、略円環形状の部材であり、弾性体12の周方向に沿って2つの相(A相、B相)の電気信号が入力される範囲に分かれている(図4(b)参照)。各相には、1/2波長毎に分極が交互となった要素が並べられており、A相とB相との間には1/4波長分間隔があくように設けてある。
この圧電体13は、半田部材を用いて弾性体12と接合されており、圧電体13と弾性体12との間には、半田層24(図6(a)参照)が形成されている。
なお、圧電体13の形状や圧電体13と弾性体12との接合に関する詳細は後述する。
フレキシブルプリント基板14は、その配線が圧電体13の各相の電極に接続されている。フレキシブルプリント基板14には、後述の増幅部104,105から駆動信号が供給され、この駆動信号によって、圧電体13が伸縮する。
振動子11には、この圧電体13の伸縮により、弾性体12の駆動面に進行波が発生する。本実施形態では、4波の進行波が発生している。
移動子15は、アルミニウム等の軽金属によって形成され、弾性体12の駆動面12dに生じる進行波によって回転駆動される部材である。移動子15は、振動子11(弾性体12の駆動面12d)と接触する面の表面に、耐磨耗性向上のためのアルマイト等の表面処理が施されている。
出力軸18は、略円柱形状の部材である。出力軸18は、一方の端部がゴム部材23を介して移動子15に接しており、移動子15と一体に回転するように設けられている。
ゴム部材23は、ゴムにより形成された略円環形状の部材である。このゴム部材23は、ゴムによる粘弾性で移動子15と出力軸18とを一体に回転可能とする機能と、移動子15からの振動を出力軸18へ伝えないように振動を吸収する機能とを有しており、ブチルゴム、シリコンゴム、プロピレンゴム等が用いられている。
加圧部材19は、振動子11と移動子15とを加圧接触させる加圧力を発生する部材であり、ギア部材20とベアリング受け部材21との間に設けられている。本実施形態では、加圧部材19は、圧縮コイルバネを用いているが、これに限定されるものではない。
ギア部材20は、出力軸18のDカットに嵌まるように挿入され、Eリング等のストッパ22で固定され、回転方向及び軸方向に出力軸18と一体となるように設けられている。ギア部材20は、出力軸18の回転とともに回転することにより、ギア4(図1参照)に駆動力を伝達する。
また、ベアリング受け部材21は、ベアリング17の内径側に配置され、ベアリング17は、固定部材16の内径側に配置された構造となっている。
加圧部材19は、振動子11を移動子15側へ、出力軸18の軸方向に加圧しており、この加圧力によって、移動子15は、振動子11の駆動面に加圧接触し、回転駆動される。なお、加圧部材19とベアリング受け部材21との間には、加圧力調整ワッシャーを設けて、超音波モータ10の駆動に適正な加圧力が得られるようにしてもよい。
図3は、本実施形態の超音波モータ10の駆動装置100を説明するブロック図である。
本実施形態の超音波モータ10の駆動装置100は、発振部101と、制御部102と、移相部103と、増幅部104,105と、検出部106とを有する。
発振部101は、制御部102の指令により所望の周波数の駆動信号を発生する部分である。
移相部103は、発振部101で発生した駆動信号を、90°位相の異なる2つの駆動信号に分ける部分である。
増幅部104,105は、移相部103によって分けられた2つの駆動信号を、それぞれ所望の電圧に昇圧する部分である。増幅部104,105からの駆動信号は、超音波モータ10に伝達され、この駆動信号の印加により振動子11に進行波が発生し、移動子15が駆動される。
検出部106は、光学式エンコーダや磁気エンコーダ等により構成され、移動子15の駆動によって駆動されたレンズ7の位置や速度を検出する部分である。本実施形態では、カム筒6の位置や速度を検出することにより、レンズ7の位置や速度を検出している。
制御部102は、カメラボディ2に設けられた不図示のCPUからの駆動指令を基に、超音波モータ10の駆動を制御する部分である。制御部102は、検出部106からの検出信号を受け、その値を基に、位置情報と速度情報を得て、目標位置に位置決めされるように発振部101が発生する駆動信号の駆動周波数を制御する。
超音波モータ10の駆動装置100は、以下のように動作する。
まず、制御部102に目標位置が伝達される。発振部101からは、駆動信号が発生し、その信号から、移相部103により90°位相の異なる2つの駆動信号が生成され、増幅部104,105により所望の電圧に増幅される。
駆動信号は、超音波モータ10の圧電体13に印加され、圧電体13が励振され、その励振によって、弾性体12には、4次の曲げ振動が発生する。圧電体13は、A相とB相とに分けられており、駆動信号は、それぞれA相とB相とに印加される。A相から発生する4次曲げ振動とB相から発生する4次曲げ振動とは、位置的な位相が1/4波長ずれるようになっており、また、A相駆動信号とB相駆動信号とは、90°位相がずれているため、2つの曲げ振動は、合成され、4波の進行波となる。
進行波の波頭には、楕円運動が生じている。従って、弾性体12の駆動面12dに加圧接触された移動子15は、この楕円運動によって摩擦駆動される。
光学式エンコーダ等の検出部106は、移動子15の駆動により駆動されたカム筒6の位置や速度を検出し、電気パルスとして、制御部102に伝達される。制御部102は、この信号を基に、レンズ7の現在の位置と現在の速度とを得ることが可能となり、発振部101が発生する駆動周波数は、これらの位置情報、速度情報及び目標位置情報を基に制御される。
本実施形態の圧電体13について説明する。
図4は、本実施形態の圧電体13を示す図である。図4(a)は、圧電体13の弾性体12に対する接合面13aを弾性体12側から見た図である。図4(b)は、圧電体13の接合面13aとは反対側の面(以下、他方の面という)13bを、ギア部材20側から見た図である。
圧電体13の接合面13aは、弾性体12の弾性体側接合面12eと接合される面である。接合面13aは、略全面に電極部D1が形成されている。
電極部D1は、無電解めっきを用いて形成される。本実施形態では、電極部D1は、無電解ニッケルリン(Ni−P)めっきの皮膜層である。
圧電体13の他方の面13bには、A相、B相の電気信号が入力される電極部D2〜D5、D6〜D9と、グランドとなる電極部D10とが周方向に所定の間隔をあけて形成されている。また、他方の面13bの内周端及び外周端及び電極部D2〜D10間は、圧電体13の素地が露出した素地部13cとなっている。
電極部D2〜D5、D6〜D9は、それぞれ、A相、B相の駆動信号を入力する電極部であり、各相において分極が交互となるように配置されている。電極部D10は、A相(電極部D2〜D5)とB相(電極部D6〜D9)との間となるように、電極部D2と電極部D6との間に形成されている。
電極部D2〜D10は、本実施形態では、銀ペーストをスクリーン印刷によって塗布することにより形成されている。
次に、本実施形態の超音波モータ10の製造方法を説明する。
図5は、本実施形態の超音波モータ10の製造方法を示す工程図である。
超音波モータ10は、圧電体成形工程#101、第1ラップ加工工程#102、無電解めっき工程#103、第2ラップ加工工程#104、電極パターン形成工程#105、接合工程#106、分極工程#107、配線工程#108、組み立て工程#109等の工程を経て製造される。
圧電体成形工程#101は、チタン酸ジルコン酸鉛等の材料を、成形型等を用いて略円環形状に成形して焼結する等により、圧電体13を成形する工程である。
第1ラップ加工工程#102は、成形された圧電体13の一方の面にラップ加工を施す工程である。圧電体成形工程#101での焼結等により、圧電体13に歪み等が生じる場合がある。ラップ加工によって研磨することにより、圧電体13の一方の面の平面性を向上させることができる。
無電解めっき工程#103は、第1ラップ加工工程#102においてラップ加工を行なった圧電体13の一方の面に、無電解めっきを行なう工程である。まず、圧電体13の無電解めっきを行なう面(圧電体13の一方の面)以外の部分を、マスキングする。そして、本実施形態では、無電解ニッケルリンめっきを行ない、圧電体13の一方の面の略全面に、ニッケルリンめっきの皮膜を形成する。この無電解めっき工程#103により、電極部D1が形成される。
なお、本実施形態では、無電解ニッケルリンめっきを行なったが、これに限らず、例えば、無電解ニッケルクロム(NiP−Cr)めっきや、無電解ニッケルホウ素(NiB)めっき等を行なってもよい。
第2ラップ加工工程#104は、圧電体13の電極部D1が形成された面とは反対側の面(他方の面)にラップ加工を施す工程である。
電極パターン形成工程#105は、第2ラップ加工工程#104にてラップ加工を行なった圧電体13の他方の面13bに、電極部D2〜D10を形成する工程である。
本実施形態では、圧電体13の他方の面13bにスクリーン印刷により銀ペーストを塗布し、焼付けを行ない硬化させる。これにより、他方の面13bに電極部D2〜D10及び素地部13cが形成される。
接合工程#106は、弾性体12と圧電体13とを、半田部材を用いて接合する工程である。
弾性体12は、予め、切削加工等により作製されたものを用意し、弾性体12の圧電体13に対する接合面(弾性体側接合面)12e上に、クリーム半田を塗布する。なお、本実施形態では、クリーム半田として、千住金属工業株式会社製のエコソルダーL11を用いたが、これに限らず、プリント基板に部品等を実装する際に使用される低耐熱部品用の半田部材を、適宜選択して用いてよい。
弾性体側接合面12eにクリーム半田を塗布した後に、圧電体13を、電極部D1が形成された面を弾性体12に対する接合面13aとして弾性体12の弾性体側接合面12e上に載せ、リフロー炉に入れて加熱、冷却する。これにより、クリーム半田が溶解、凝集し、弾性体12と圧電体13とが接合される。
分極工程#107は、圧電体13を分極する工程である。本実施形態では、所定の電源を用いて分極に必要な電圧を圧電体13及び弾性体12に印加する。
通常、分極は、プラスの電極とマイナスの電極とで圧電体を挟みこんで行なう必要があるが、本実施形態では、一方の電極として圧電体13の他方の面13bに形成された各電極部を用い、他方の電極には、弾性体12を用いている。
なお、必要であれば、分極工程#107の後、弾性体12の駆動面12dの平面性を確保するための研磨加工等を行なってもよい。
配線工程#108は、フレキシブルプリント基板14のリード線を、他方の面13bの各電極部に接続させる工程である。
組み立て工程#109は、上述の工程を経て作製された振動子11(弾性体12及び圧電体13)と移動子15、出力軸18、加圧部材19等の部材を用いて、超音波モータ10を組み立てる工程である。
これらの工程を経て、本実施形態の超音波モータ10が完成する。
図6は、本実施形態の超音波モータ10及び比較例の超音波モータ110の圧電体と弾性体との接合部分を比較する図である。図6(a)は、本実施形態の超音波モータ10の振動子11を、図4に示す矢印S1−S2に沿って弾性体側接合面12eに直交する方向に切断した断面の拡大図を示し、図6(b)は、比較例の超音波モータ110の、図6(a)に示す断面に相当する断面の拡大図である。なお、図6(a),(b)では、理解を容易にするためにフレキシブルプリント基板14等は省略して示している。
ここで、比較例の超音波モータ110を用意し、弾性体と圧電体との接合部分に関して本実施形態の超音波モータ10と比較する。比較例の超音波モータ110は、圧電体113の弾性体12に対する接合面側に形成された電極部D11の形態や圧電体13と弾性体を接合する部材等が異なる点以外は、本実施形態の超音波モータ10と略同様の形態である。従って、本実施形態と共通する機能を果たす部分には、共通の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
比較例の圧電体113は、弾性体12に対する接合面に電極部D11を有する点以外は、本実施形態の圧電体13と略同様の形態である。弾性体12に対する接合面とは反対側の他方の面113bには、本実施形態の圧電体13と略同様の電極部D2〜D10が形成され、各電極間及び圧電体113の外周端、内周端には、圧電体113の素地が露出した素地部113cが形成されている。
また、比較例の圧電体113と弾性体12とは、接着剤を用いて接合されているため、弾性体12と圧電体113との間には、接着剤層124が形成されている。
比較例の圧電体113は、従来の圧電体と同様に、スクリーン印刷により銀ペーストを塗布して電極部D11を形成している。
スクリーン印刷を用いて電極部を形成する場合、電極部のにじみが生じ易い。圧電体113の側面に電極部がにじむと、製造過程における分極時や超音波モータの駆動時等にショートが発生する恐れがある。従って、図6(b)に示すように、圧電体113の内周端及び外周端には、素地部113cが必要となる。
また、スクリーン印刷によって銀ペーストを塗布して形成された電極部D11の表面は、圧電体113の素地部113cや弾性体側接合面12eの表面に比べて表面粗さが小さい。そのため、圧電体113の接合面の全面に電極部D11を形成した場合には、接着剤による投錨効果が小さく、十分な接着強度が得られない恐れがある。従って、圧電体113の接合面の内周端及び外周端を素地部113cとすることにより、接着剤の投錨効果が十分得られ、所定の接着強度を得ている。
しかしながら、圧電体113の接合面の内周端及び外周端を素地部113cとすることにより、圧電体113の径方向において圧電体113が分極された領域が小さくなり、全面に電極を形成した理想的な圧電体に比べて駆動性能が劣る。
加えて、電極部D11は、スクリーン印刷によって形成されているので、図6(b)に示すように、圧電体13の径方向の両端部が厚く(5〜10μm)、中央部が薄く(2〜3μm)なるといった電極部D11の厚さのムラが生じ易い。
そのため、接着剤層124が電極部D11の径方向の中央部分では厚くなり、接着剤層124の厚い部分の接着強度が低下し、超音波モータ110の駆動効率が低下したり、圧電体113が剥がれたりといった問題が生じる。
これに対して本実施形態の超音波モータ10では、弾性体12に対する接合面13aに形成された電極部D1は、無電解めっきを用いて形成されているため、電極部D1をムラのない均一な膜厚とすることができる。従って、クリーム半田によって形成された半田層24の膜厚をムラのない均一なものとすることができ、電極部のムラに起因した接着強度の低下を防止できる。
また、電極部D1は、無電解めっきの皮膜層であるので、その膜厚を1μm以下とすることができる。そのため、電極部D1の表面の粗さは、圧電体13の表面の粗さに追従した形態となり、表面粗さが比較例の電極部D11に比べて大きく、十分な投錨効果を期待できる。
さらに、比較例の電極部D11のように銀ペーストを用いてスクリーン印刷により圧電体13の接合面側の電極部を形成した圧電体は、銀ペースト等に含まれる有機物等のために半田部材を用いた接合には適さなかったが、電極部D1は、無電解めっきの皮膜層であるため、弾性体12との接合に半田部材を用いることが可能となり、接着強度の向上効果を高めることができる。
その上、上述のように、弾性体12と圧電体13とは十分な接合強度が得られるので圧電体13の接合面13aの内周端及び外周端に素地部を設けなくともよく、かつ、にじみによるショート発生の恐れもない。従って、接合面13aの略全面に電極部D1を形成することができ、圧電体13の分極された領域を増やすことができるので、超音波モータ10の駆動性能を向上することができる。
また、分極を行なってからリフロー炉による接合を行なった場合、炉内の温度が圧電体13のキュリー点より低い場合であっても、圧電体13の分極性能が低下する場合があるが、本実施形態では、接合工程#106を行なった後に分極工程#107を行なうので、圧電体13の分極性能を低下させることなく、圧電体13と弾性体12とを接合できる。
さらに、本実施形態では、接合工程#106を行なった後に分極工程#107を行なうので、リフロー炉内で加熱処理を行なう場合に、圧電体13のキュリー点の温度よりも高温で溶解するような、より接合強度の高い半田部材を用いて高温で加熱することも可能となり、弾性体12と圧電体13との接合強度を高めることができる。
よって、本実施形態によれば、圧電体13と弾性体12との十分な接合強度が得られ、超音波モータ10を安定して駆動することができ、超音波モータ10の駆動性能を向上させることができる。
また、電極部D1を接合面13aの略全面に形成できるので、位置合わせ等を行なう必要がない。
さらに、電極部D2〜D10は、スクリーン印刷によって形成するので、各電極間をマスキングして無電解めっきによって形成する場合に比べて容易に形成でき、かつ、生産コストを抑えることができる。なお、本実施形態において、圧電体13の他方の面13bの各電極部D2〜D10は、スクリーン印刷によって形成される例を示したが、電極部D1と同様に無電解めっきにより形成してもよい。
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能である。
(1)本実施形態では、接合工程#106を行なった後に、分極工程#107を行なう例を示したが、これに限らず、接合工程を行なった後に、分極工程を行なってもよい。
図7は、超音波モータ10の製造方法の他の例を示す工程図である。
図7に示す超音波モータ10の製造方法は、上述した実施形態と略同様の工程を有するが、分極工程#206を行なった後に接合工程#207を行なう点が上述の実施形態とは異なっている。
なお、分極工程#206を行なった後に、接合工程#207を行なう場合は、リフロー炉内での加熱処理の際に、炉内の温度が圧電体13のキュリー点の温度(約300度)の1/3〜1/2程度の温度(約130〜200度)とすることが好ましい。これは、炉内の温度を圧電体13のキュリー点の温度以上とすると、分極により得られる圧電体13の性能が低下するためである。
このような製造方法とすることにより、電極パターン形成工程#205を行なった後の製造工程の流れが、接着剤による圧電体と弾性体の接合工程を、半田部材を用いた接合工程とする点以外は、従来の超音波モータの製造方法と略同様となり、本実施形態の超音波モータ10を従来の製造工程の流れを利用して製造できる。
(2)本実施形態では、電極パターン形成工程#105において、スクリーン印刷によって形成された電極部D2〜D10の焼き付けを行なう例を示したがこれに限らず、例えば、電極部D2〜D10の焼き付けを、接合工程#106で行なってもよい。
電極パターン形成工程#105ではスクリーン印刷によって銀ペーストを塗布し、接合工程#106におけるリフロー炉内での加熱処理によって、電極部D2〜D10の焼き付けを行なうことにより、工数を低減できる。
(3)本実施形態では、第1ラップ加工工程#102と第2ラップ加工工程#104とを行なう例を示したが、これに限らず、第1ラップ加工工程において、圧電体13の両面ラップ加工を行なってもよい。
(4)本実施形態では、半田部材を用いて弾性体12と圧電体13とを接合する例を示したが、これに限らず、例えば、接着剤を用いて接合してもよい。
電極部D1の表面の粗さは、上述のように、圧電体13の表面の粗さに追従した形態となるので、接着剤を用いて接合した場合にも、十分な接着強度が得られる。
(5)本実施形態では、移動子15が回転駆動される超音波モータを例に挙げて説明したが、これに限らず、移動子が直線方向に駆動されるリニア型の振動アクチュエータに適用してもよい。
(6)本実施形態では、超音波領域の振動を用いる超音波モータを例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、超音波領域以外の振動を用いる振動アクチュエータに適用してもよい。
(7)本実施形態では、超音波モータは、フォーカス動作時にレンズの駆動に用いられる例を示したが、これに限らず、例えば、レンズのズーム動作時の駆動に用いられる超音波モータとしてもよい。
(8)本実施形態では、超音波モータは、カメラに用いられる例を示したが、これに限らず、例えば、複写機の駆動部や、自動車のハンドルチルト装置やヘッドレストの駆動部に用いてもよい。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
実施形態のカメラ1を説明する図である。 実施形態の超音波モータ10の断面図である。 実施形態の超音波モータ10の駆動装置100を説明するブロック図である。 実施形態の圧電体13を示す図である。 実施形態の超音波モータ10の製造方法を示す工程図である。 実施形態の超音波モータ10と比較例の超音波モータ110との弾性体と圧電体との接合部分を比較する図である。 超音波モータ10の製造方法の他の例を示す工程図である。
符号の説明
1:カメラ、3:レンズ鏡筒、10:超音波モータ、12:弾性体、13:圧電体、13a:接合面、13b:他方の面、15:移動子、D1:第1の電極部、D2〜D10:第2の電極部、24:半田層

Claims (10)

  1. 電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電気機械変換素子と、
    前記電気機械変換素子が接合され、前記電気機械変換素子が駆動されることによって振動波を生じる弾性体と、
    前記弾性体に加圧接触され、前記振動波によって前記弾性体に対して相対移動する相対移動部材と、
    を備える振動アクチュエータであって、
    前記電気機械変換素子は、前記弾性体に対する接合面に、無電解めっきにより形成された第1の電極部を有すること、
    を特徴とする振動アクチュエータ。
  2. 請求項1に記載の振動アクチュエータにおいて、
    前記電気機械変換素子は、半田部材を用いて前記弾性体に接合されていること、
    を特徴とする振動アクチュエータ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の振動アクチュエータにおいて、
    前記第1の電極部は、前記接合面の略全面に形成されていること、
    を特徴とする振動アクチュエータ。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータにおいて、
    前記電気機械変換素子は、前記接合面とは反対側の面に、所定の間隔を空けて複数配置された第2の電極部を有し、
    前記第2の電極部は、スクリーン印刷によって形成されていること、
    を特徴とする振動アクチュエータ。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータを備えることを特徴とするレンズ鏡筒。
  6. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータを備えることを特徴とするカメラ。
  7. 電気機械変換素子の一方の面に、無電解めっきにより第1の電極部を形成する無電解めっき工程と、
    前記無電解めっき工程の後に、前記電気機械変換素子の前記第1の電極部が形成された面を弾性体に接合する接合工程と、
    を備える振動アクチュエータの製造方法。
  8. 請求項7に記載の振動アクチュエータの製造方法において、
    前記接合工程は、前記電気機械変換素子と前記弾性体とを半田部材を用いて接合すること、
    を備える振動アクチュエータの製造方法。
  9. 請求項8に記載の振動アクチュエータの製造方法において、
    前記接合工程の後に、前記電気機械変換素子を分極する分極工程を備えること、
    を特徴とする振動アクチュエータの製造方法。
  10. 請求項7から請求項9までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータの製造方法において、
    前記無電解めっき工程と前記接合工程との間に、前記電気機械変換素子の他方の面に第2の電極部を形成する工程を備えること、
    を特徴とする振動アクチュエータの製造方法。
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