JP2010288354A - 振動アクチュエータ、振動アクチュエータの相対運動部材の製造方法、振動アクチュエータを備えたレンズ鏡筒及びカメラ - Google Patents

振動アクチュエータ、振動アクチュエータの相対運動部材の製造方法、振動アクチュエータを備えたレンズ鏡筒及びカメラ Download PDF

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Abstract

【課題】良好な駆動性能を有する振動アクチュエータ、振動アクチュエータの相対運動部材の製造方法、振動アクチュエータを備えたレンズ鏡筒及びカメラを提供する。
【解決手段】本発明の振動アクチュエータ10は、圧電体13が接合され、前記圧電体13の励振により駆動面12dに振動波を生じる振動体11と、前記振動体11の前記駆動面12dに加圧接触され、前記振動波によって駆動される相対運動部材15と、を備える振動アクチュエータ10において、前記相対運動部材15は結晶性樹脂で形成され、前記駆動面12d側の第1の面15aと、前記駆動面12d側とは反対側の第2の面15bとが、機械加工されていること、を特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、振動アクチュエータ、振動アクチュエータの相対運動部材の製造方法、振動アクチュエータを備えたレンズ鏡筒及びカメラに関するものである。
従来、振動アクチュエータは、圧電体の伸縮を利用して弾性体の駆動面に進行性振動波(後は進行波と略する)を発生させ、この進行波によって駆動面に楕円運動を生じさせ、楕円運動の波頭に加圧接触した相対運動部材を駆動するものである(特許文献1参照)。この様な振動アクチュエータは、低回転でも高トルクを有すると行った特徴がある。このため、駆動装置に搭載した場合に、駆動装置のギアを省略することができ、ギア騒音をなくすことで静寂化を達成したり、位置決め精度が向上したりできるといった利点がある。
一方、近年、振動アクチュエータは、径を従来の1/3〜1/5倍程度と小型化、軽量化される傾向がある。この様な小型化された振動アクチュエータに対して、駆動効率や駆動性能の向上が様々に検討されている。
しかし、小型化された振動アクチュエータにおいては、部品が小さいこともあり、作業性の観点から、組立作業をなるべく煩雑にならない様にする必要がある。従来の円環型の超音波モータの移動子においては、金属の母材に摺動材を貼り付ける構成となっており、摺動材を貼り付ける工程があった。しかし、小型の超音波モータでは、部品が小さいため作業性が悪いこともあり、貼り付け時に用いる接着剤が摺動面に残ったり、摺動材がずらされて貼られたりすることがあった。
この課題に対して、様々な部材をモールド化して、コスト削減対策を行っており、移動子のプラスチックモールド化も検討されている(特許文献2参照)。
特公平1−17354号公報 特開平4−11718号公報
しかし、この様なプラスチックモールドした相対運動部材を成形した場合、特に結晶性のプラスチックにおいては、相対運動部材の剛性が場所によりばらつき、良好な駆動性能が得られないといった問題が発生した。
本発明では、このような課題点を解決し、良好な駆動性能を有する振動アクチュエータ、振動アクチュエータの相対運動部材の製造方法、振動アクチュエータを備えたレンズ鏡筒及びカメラを提供することを目的とする。
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、圧電体(13)が接合され、前記圧電体(13)の励振により駆動面(12d)に振動波を生じる振動体(11)と、前記振動体(11)の前記駆動面(12d)に加圧接触され、前記振動波によって駆動される相対運動部材(15)と、を備える振動アクチュエータ(10)において、前記相対運動部材(15)は結晶性樹脂で形成され、前記駆動面(12d)側の第1の面(15a)と、前記駆動面(12d)側とは反対側の第2の面(15b)とが、機械加工されていること、を特徴とする振動アクチュエータ(10)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の振動アクチュエータ(10)において、前記第1の面(15a)及び前記第2の面(15b)は、前記機械加工により平坦化されていること、を特徴とする振動アクチュエータ(10)である。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の振動アクチュエータ(10)において、前記機械加工は、切削加工、ラップ加工又は研削加工であること、を特徴とする振動アクチュエータ(10)である。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の振動アクチュエータ(10)において、前記結晶性樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、メチルペンテン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリテトラフロロエチレンからなる群から選択される1種類以上の材料であること、を特徴とする振動アクチュエータ(10)である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の振動アクチュエータ(10)において、前記結晶性樹脂は、カーボンファイバー又はガラスファイバーを含有していること、を特徴とする振動アクチュエータ(10)である。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の振動アクチュエータ(10)において、前記相対運動部材(15)は、第1の形状(15A,15B)に成形された結晶性樹脂に熱処理を行った後、第2の形状(15)に機械加工されたものであること、を特徴とする振動アクチュエータ(10)である。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の振動アクチュエータ(10)において、前記相対運動部材(15)は、複合弾性率のばらつきが±15%以内であることを特徴とする振動アクチュエータ(10)である。
請求項8に記載の発明は、結晶性樹脂材料を第1の形状(15A,15B)に成形するステップと、前記成形された結晶性樹脂材料を熱処理するステップと、前記熱処理された結晶性樹脂材料を第2の形状(15)に機械加工するステップと、を備えること、を特徴とする振動アクチュエータ(10)の相対運動部材(15)の製造方法である。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の振動アクチュエータ(10)を備えたレンズ鏡筒(3)である。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の振動アクチュエータ(10)を備えたカメラ(1)である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
本発明によれば、良好な駆動性能を有する振動アクチュエータ、振動アクチュエータの相対運動部材の製造方法、振動アクチュエータを備えたレンズ鏡筒及びカメラを提供することができる。
第1実施形態にかかる超音波モータを備えるカメラを説明する図である。 第1実施形態の超音波モータの断面図である。 第1実施形態の超音波モータの駆動装置を説明するブロック図である。 第1実施形態の移動子の製造方法を説明する図である。 (a)は比較形態、(b)は本実施形態の円柱状の結晶性樹脂における残留歪を説明する図である。 熱処理後の円柱ブロックより移動子を切り出す方法を説明する図である。 第2実施形態の移動子の製造方法を説明する図である。
以下、本発明にかかる振動アクチュエータの実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、振動アクチュエータとして、超音波の振動域を利用した、φ15以下の小型の超音波モータを例にして説明する。
図1は、第1実施形態にかかる超音波モータ10を備えるカメラ1を説明する図である。カメラ1は、撮像素子を有するカメラボディ2と、レンズ7を有するレンズ鏡筒3とを備える。レンズ鏡筒3は、カメラボディ2に着脱可能な交換レンズである。なお、本実施形態では、レンズ鏡筒3は、交換レンズである例を示すが、これに限らず、例えば、カメラボディと一体型のレンズ鏡筒であってもよい。
レンズ鏡筒3は、レンズ7、カム筒6、ギア4,5、超音波モータ10等を備える。超音波モータ10は、カメラ1のフォーカス動作時にレンズ7を駆動する駆動源として用いられており、超音波モータ10から得られた駆動力は、ギア4,5を介してカム筒6に伝えられる。レンズ7は、カム筒6に保持されており、超音波モータ10の駆動力により、光軸方向Lに略平行に移動して、焦点調節を行うフォーカスレンズである。
図1において、レンズ鏡筒3内に設けられたレンズ群(レンズ7を含む)によって、撮像素子8の撮像面に被写体像が結像される。撮像素子8によって、結像された被写体像は電気信号に変換され、その信号をA/D変換することによって、画像データが得られる。
図2は、第1実施形態の超音波モータ10の断面図である。超音波モータ10は、振動子11、移動子15、出力軸18、加圧部材19等を備え、振動子11側を固定とし、移動子15を回転駆動する形態となっている。
振動子11は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する圧電素子や電歪素子等の電気機械変換素子(以下、圧電体と称する)13と、圧電体13が接合された弾性体12とを有する略円環形状の部材である。
弾性体12は、共振先鋭度が大きな金属材料によって形成され、その形状は、略円環形状である。この弾性体12は、櫛歯部12aと、ベース部12bと、フランジ部12cとを有する。
櫛歯部12aは、弾性体12における圧電体13が接合される面とは反対側の面に、複数の溝を切って形成され、この櫛歯部12aの先端面は、移動子15に加圧接触され、移動子15を駆動する駆動面12dとなる。この駆動面12dには、Ni−P(ニッケル−リン)メッキ等の潤滑性の表面処理が施されている。櫛歯部12aを設ける理由は、圧電体13の伸縮により駆動面12dに生じる進行波の中立面をできる限り圧電体13側へ近づけ、これにより駆動面12dの進行波の振幅を増幅させるためである。
ベース部12bは、弾性体12の周方向に連続した部分である。ベース部12bにおける櫛歯部12aとは反対側の面に、圧電体13が接合されている。フランジ部12cは、弾性体12の内径方向に突出した鍔状の部分である。このフランジ部12cにより、振動子11は、固定部材16に固定されている。
圧電体13は、略円環形状の部材であり、弾性体12の周方向に沿って2つの相(A相、B相)の電気信号が入力される範囲に分かれている。各相には、1/2波長毎に分極が交互となった要素が並べられている。A相とB相との間には、1/4波長分の間隔が空けられている。この圧電体13は、接着材等を用いて弾性体12と接合されている。
フレキシブルプリント基板14は、その配線が圧電体13の各相の電極に接続されている。フレキシブルプリント基板14には、後述の増幅部34,35(図3参照)から駆動信号が供給され、この駆動信号によって、圧電体13が伸縮する。振動子11には、この圧電体13の伸縮により、弾性体12の駆動面に進行波が発生する。本実施形態では、4波の進行波が発生している。
移動子15は、弾性体12の駆動面12dに生じる進行波によって回転駆動される部材である。移動子15は、後述するが、耐摩耗性が良く、かつ潤滑性の良い結晶性樹脂を主成分とした材料で構成されている。移動子15は、弾性体12の駆動面12dに加圧接触して駆動力を受ける摺動面15aと、該摺動面15aとは反対面で、加圧力を受ける加圧面15bを有している。
出力軸18は、略円柱形状の部材である。出力軸18は、一方の端部がゴム部材23を介して移動子15に接しており、移動子15と一体に回転するように設けられている。
ゴム部材23は、ゴムにより形成された略円環形状の部材である。このゴム部材23は、ゴムによる粘着性で移動子15と出力軸18とを一体に回転可能とする機能と、移動子15からの振動を出力軸18へ伝えないように振動を吸収する機能とを有しており、ブチルゴム、シリコンゴム、プロピレンゴム等が用いられている。
加圧部材19は、振動子11と移動子15とを加圧接触させる加圧力を発生する部材であり、ギア4とベアリング受け部材21との間に設けられている。本実施形態では、加圧部材19は、圧縮コイルバネを用いているが、これに限定されるものではない。この様な構造により、移動子15が振動子11の駆動面12dに加圧接触される。
ギア4は、出力軸18のDカットに嵌まるように挿入され、Eリング等のストッパ22で固定され、回転方向及び軸方向に出力軸18と一体となるように設けられている。ギア4は、出力軸18の回転と共に回転することにより、ギア5(図1参照)に駆動力を伝達する。
また、ベアリング受け部材21は、ベアリング17の内径側に配置され、ベアリング17は、固定部材16の内径側に配置された構造となっている。加圧部材19は、振動子11を移動子15側へ、出力軸18の軸方向に加圧しており、この加圧力によって、移動子15は、振動子11の駆動面に加圧接触し、回転駆動される。なお、加圧部材19とベアリング受け部材21との間には、加圧力調整ワッシャーを設けて、超音波モータ10の駆動に適正な加圧力が得られるようにしてもよい。
図3は、第1実施形態の超音波モータ10の駆動装置30を説明するブロック図である。超音波モータ10の駆動装置30は、発振部31と、制御部32と、移相部33と、増幅部34,35と、検出部36とを有する。
発振部31は、制御部32の指令により所望の周波数の駆動信号を発生する部分である。
移相部33は、発振部31で発生した駆動信号を、90°位相の異なる2つの駆動信号に分ける部分である。駆動信号は、電位ゼロを基準とした時、+方向一方向で非対称形状となっている。
増幅部34,35は、移相部33によって分けられた2つの駆動信号を、それぞれ所望の電圧に昇圧する部分である。増幅部34,35からの駆動信号は、超音波モータ10に伝達され、この駆動信号の印加により振動子11に進行波が発生し、移動子15が駆動される。
検出部36は、光学式エンコーダや磁気エンコーダ等により構成され、移動子15の駆動によって駆動されたレンズ7の位置や速度を検出する部分である。
制御部32は、カメラボディ2に設けられた不図示のCPUからの駆動指令を基に、超音波モータ10の駆動を制御する部分である。制御部32は、検出部36からの検出信号を受け、その値を基に、位置情報と速度情報を得て、目標位置に位置決めされるように発振部31が発生する駆動信号の駆動周波数を制御する。
本実施形態の超音波モータ10の駆動装置30は以下の様にして動作する。
まず、制御部32に目標位置が伝達される。発振部31からは駆動信号が発生し、その信号は移相部33により位相の異なる2つの駆動信号に分割され、増幅部34,35により所望の電圧に増幅される。
駆動信号は、超音波モータ10の圧電体13に印加され、圧電体13は励振され、その励振によって弾性体12には4次の曲げ振動が発生する。圧電体13はA相とB相とに分けられており、駆動信号はそれぞれA相とB相に印加される。
A相から発生する4次曲げ振動とB相から発生する4次曲げ振動とは位置的な位相が1/4波長ずれるようになっており、また、A相駆動信号とB相駆動信号とは90度位相がずれているため、2つの曲げ振動は合成され、4波の進行波となる。
進行波の波頭には楕円運動が生じている。したがって、駆動面12dに加圧接触された移動子は、この楕円運動によって摩擦的に駆動される。移動子15の駆動により駆動された移動子15には、光学式エンコーダが配置されていて、そこから、電気パルスが発生し、制御部32に伝達される。制御部32は、この信号を基に、現在の位置と現在の速度を得ることが可能となり、これらの位置情報、速度情報及び目標位置情報を基に、発振部31の駆動周波数は制御される。
次に、本実施形態の移動子15の製造方法を説明する。図4はその製造方法を説明する図である。
(熱処理)
まず、結晶性樹脂を円柱ブロック15Aの形状に成形する。この際、結晶性樹脂においては、成形に起因する残留歪が発生する。このため、熱処理(アニール)を行う。この熱処理は、200℃〜300℃が好ましい。
このように、本実施形態で熱処理を行うのは以下の理由からである。
図5は、円柱状の結晶性樹脂における残留歪を説明する図である。図5(a)は、結晶性樹脂を移動子の形状に直接成形し、熱処理を行っていない比較形態の移動子115の残留歪を示す図である。残留歪の密度が多い場所を黒丸で示す。残留歪の密度の大きい場所が数多く分布する。この残留歪の多い箇所の近辺は、複合弾性率が高く、同じ移動子の中でも複合弾性率のバラツキが大きくなる。この様な移動子115を組み込んだ超音波モータの駆動性能は、回転ムラが大きくなったり、また、消費電力が大きくなったりする。このため、好適な駆動性能が得られない。
一方、図5(b)は、本実施形態の移動子15である。上述のように結晶性樹脂を円柱ブロック形状に成形し、熱処理(アニール)を行い、その後、後述するように切削加工等により所定形状の移動子を製造したものである。図示するように、この場合、残留歪の密度の高い箇所が、図5(a)と比べて小さい。
この、図5(a)に示す比較形態の移動子115及び図5(b)に示す本実施形態の移動子15について、複合弾性率を測定値した結果について説明する。
なお、複合弾性率の測定は、インデンテーション法を用いた。インデンテーション法とは、試料表面にダイヤモンド製の圧子をある荷重まで押し込んだ(圧入)後、その圧子を取り除く(除荷〉までの荷重と変位の関係(圧入一除荷曲線)を測定する方法である。圧入曲線は材料の弾塑性的な変形挙動を反映し、除荷曲線は弾性的な回復挙動により得られる。そこで、除荷曲線の初期の傾きから複合弾性率(Er)を算出する。本測定では、押し込み荷重は、約10000μNとした。押し込みの箇所は、PEEK樹脂の部分とし、カーポンファイバーやPTFEの部分を避けて測定を行った。
まず、比較形態の移動子115の複合弾性率を測定した結果について説明する。なお、複合弾性率は、残留歪が多い部分(A部分)と、残留歪が少ない部分(B部分)において測定した。
A部分の複合弾性率:15.9GPa
B部分の複合弾性率:8.0GPa
次に、本実施形態の移動子15の複合弾性率を測定した結果について説明する。なお、図5(b)に示すように複合弾性率は、円周を等分した4箇所測定した。
C部分の複合弾性率:6.0GPa
D部分の複合弾性率:8.1GPa
E部分の複合弾性率:7,6GPa
F部分の複合弾性率:6.8GPa
このように、本実施形態の移動子15の複合弾性率は、平均7.1GPaで、ばらつきは約±15%以下となった。比較形態の移動子115比べると全体的に複合弾性率が低くなるとともに、そのばらつきも小さくなった。このように複合弾性率のばらつきが小さい移動子15を組み込んだ超音波モータの駆動性能は、回転ムラが小さく、消費電力が小さく、最大トルクも大きくなり、良好となる。
この様な構成の移動子15を用いることで、駆動性能を向上と小型化とが確保された振動アクチュエータを提供することが可能となる。以上が、移動子15の製造工程で熱処理を行う理由である。
(切り出し方法)
図6は、熱処理後の円柱ブロック15Aより移動子15を切り出す方法を説明する図である。
まず図6(a)に示すように、円柱ブロック15Aを主軸チャック40によりチャッキングして、摺動面15a側の形状を旋削加工する。
次に、円柱ブロック15Aを主軸チャック40でチャッキングしたままで、さらに加工した摺動面15a側を背面チャック41で同時にチャッキングする。
そして、その状態で摺動面15aと反対側の加圧面15bを突っ切り加工により切断する。
移動子を樹脂で製造する場合、成型により製造することが一般的である。しかし、本実施形態では、結晶性樹脂を用いている。結晶性樹脂は上述のように、熱処理を行わないと残留歪の密度が多くなり、また複合弾性率のばらつきが大きくなる。この複合弾性率のばらつきが大きい移動子を使用した場合、超音波モータにおいて良好な駆動性能を得ることができない。したがって本実施形態では結晶性樹脂に対して熱処理を行う。
しかし、移動子の形状に成型した後、熱処理を行うと、移動子における摺動面15aが変形し、平面度が保てない。平面度が保てないと回転ムラ等が生じて超音波モータとしての良好な駆動性能を得ることができない。摺動面15aの平面度は、進行性振動波の振幅(数μm)より小さくする必要があるからである、また、加圧面15bは、加圧を受ける面であり、振動体に垂直におよび均一に加圧接触するためには、摺動面15aに対して平行度が必要である。
本実施形態によると、結晶性樹脂の素材である円柱ブロック15Aにおいて、摺動面15aおよび加圧面15bを切削加工により形成している。したがって、摺動面15aおよび摺動面と反対側の加圧面15bにおいて高い平面度を確保することができる。よって、良好な駆動性能を有する超音波モータを提供することが可能となる。
(材料)
本実施形態における移動子15は、結晶性樹脂としてポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を主成分とし、添加剤としてポリテトラフロロエチレン(PTFE)が10%、カーボンファイバー20%が含有されている。但しこれに限定されず、結晶性の樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、ポリブチレンテレフタレ一ト(PBT)、メチルペンテン(TPX)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)であってもよい。いずれの樹脂であっても、本実施形態の様に円柱ブロック形状に成形し、熱処理(アニール)を行い、その後に切削加工等により移動子の形状にすれば、同様な効果が得られる。
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態について説明する図である。第2実施形態において、超音波モータの構成および駆動方法は、第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。第2実施形態が第1実施形態とは、移動子の製造方法(加工方法)が異なる。
第2実施形態においては、樹脂を円板ブロック15B状に成形する。第2実施形態においても、樹脂は結晶性樹脂のため、成形時に起因する残留歪が発生する。そこで、第1実施形態と同様に熱処理(アニール)を行い、残留歪を低減させる。
その後、切削加工やラップ加工、研削加工等の後加工により移動子15の形状に加工する。
第1実施形態では、一個の素材ブロックから5個の移動子が作成されるが、第2実施形態では、一個の素材から1個の移動子が作成される。
第2実施形態では、円板ブロック15Bの外周面の切削等は行わず、円板ブロック15Bの外周面をそのまま用い、摺動面15a、摺動面15aと反対の加圧面15b、及び内周面15cを切削加工により形成する。
円柱ブロック15Aは、熱処理を行うことにより残留歪が除去されるが、その際第1実施形態で説明したように変形する。具体的に言えば、図7に示したP面およびQ面の平面度は悪くなる。P面をそのまま摺動面15aとして用いると、平面度が悪いため、超音波モータとして良好な性能を得ることはできない。このため、後工程が必要となる。また、Q面は、加圧を受ける面であり、振動体に垂直におよび均一に加圧接触するためには、P面に対して平行度が必要である。一方、外周面、内周面は、上記のような制約が無いため、素材の面をそのまま使用することが可能である。このように製造された移動子によっても、第1実施形態と同様に、駆動性能を向上と小型化とが確保された振動アクチュエータを提供することが可能となる。
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)本実施形態では、機械加工として、切削加工を用いる形態について説明した。ただし、本発明はこれに限定されず、ラップ加工、研削加工等であってもよい。
(2)また、本実施形態では、φ15以下の小型の超音波モータについて説明したが、例えば、φ30〜80位の円環状の進行波型振動アクチュエータでも同様に適用でき、駆動性能を向上と小型化との両立が可能である。
(3)さらに、縦振動−ねじり振動といった定在波を組み合わせた振動アクチュエータでも、移動子または相対運動部材の剛性が必要な場合には、本発明を同様に適応でき、駆動性能を向上と小型化との両立が可能である。
(4)第1実施形態では、一個の素材ブロックから5個の移動子を形成したが、これに限定されるものではなく、一個の素材ブロックから、それ以上又はそれ以下の個数の移動子を形成してもよい。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
1:カメラ、3:レンズ鏡筒、10:超音波モータ、11:振動子、12d:駆動面、13:圧電体、15:移動子、15a:摺動面、15b:加圧面

Claims (10)

  1. 圧電体が接合され、前記圧電体の励振により駆動面に振動波を生じる振動体と、
    前記振動体の前記駆動面に加圧接触され、前記振動波によって駆動される相対運動部材と、を備える振動アクチュエータにおいて、
    前記相対運動部材は結晶性樹脂で形成され、前記駆動面側の第1の面と、前記駆動面側とは反対側の第2の面とが、機械加工されていること、
    を特徴とする振動アクチュエータ。
  2. 請求項1記載の振動アクチュエータにおいて、
    前記第1の面及び前記第2の面は、前記機械加工により平坦化されていること、
    を特徴とする振動アクチュエータ。
  3. 請求項1又は2記載の振動アクチュエータにおいて、
    前記機械加工は、切削加工、ラップ加工又は研削加工であること、
    を特徴とする振動アクチュエータ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の振動アクチュエータにおいて、
    前記結晶性樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、メチルペンテン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリテトラフロロエチレンからなる群から選択される1種類以上の材料であること、
    を特徴とする振動アクチュエータ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の振動アクチュエータにおいて、
    前記結晶性樹脂は、カーボンファイバー又はガラスファイバーを含有していること、
    を特徴とする振動アクチュエータ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の振動アクチュエータにおいて、
    前記相対運動部材は、第1の形状に成形された結晶性樹脂に熱処理を行った後、第2の形状に機械加工されたものであること、
    を特徴とする振動アクチュエータ。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の振動アクチュエータにおいて、
    前記相対運動部材は、複合弾性率のばらつきが±15%以内であることを特徴とする振動アクチュエータ。
  8. 結晶性樹脂材料を第1の形状に成形するステップと、
    前記成形された結晶性樹脂材料を熱処理するステップと、
    前記熱処理された結晶性樹脂材料を第2の形状に機械加工するステップと、
    を備えること、
    を特徴とする振動アクチュエータの相対運動部材の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の振動アクチュエータを備えたレンズ鏡筒。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の振動アクチュエータを備えたカメラ。
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