JP2001294887A - 冷間圧延潤滑油及びその製造方法 - Google Patents
冷間圧延潤滑油及びその製造方法Info
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Abstract
間圧延潤滑油及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 油脂、鉱物油、合成エステルの中から選
ばれる1種または2種以上から構成される基油(a)を、界
面活性剤(b)を用いて水に希釈してなるエマルション(c)
からなり、前記界面活性剤(b)のエマルション中の濃度
が下式を満たす冷間圧延潤滑油。また、冷間圧延潤滑油
は、前記界面活性剤(b)をそのエマルション中での濃度
が下式を満たすよう調整することにより得られる。 25°<θw<90° 但し θw:エマルション(c)中での水に対する界面活性
剤比率と同一比率で界面活性剤のみを含有する水の接触
角
Description
延に使用する冷間圧延潤滑油及びその製造方法に関する
もので、特に潤滑性及び表面性状均一性に優れた冷間圧
延潤滑油及びその製造方法を提供する。
滑油は、一般的に潤滑性と冷却性を両立させるために、
界面活性剤を用いて基油を水に乳化させたエマルション
が使用されている。通常、基油としては、動植物油、鉱
物油等の天然油脂、あるいは改質油脂、合成エステルな
どの単体または混合体が使用され、必要とされる潤滑性
を確保し、高面圧が発生する状況でも油膜破断が生じな
いようなものが選定される。また、界面活性剤として
は、非イオン性界面活性剤が最も広く用いられており、
基油粒子をエマルションとして、水の中に安定して分散
させるために使用されている。
キやクロムめっき鋼板などを中心に、薄ゲージ化が進展
すると共に、外観上むらのない均一な表面性状を有する
製品が要求されている。これらを受けて、冷間圧延を行
う際には、潤滑性の向上と表面性状の均一化が重要な課
題となってきており、冷間圧延時に使用される冷間圧延
潤滑油に対しても潤滑性の向上と表面性状の均一化がは
かれることが強く求められている。
ば、冷間圧延潤滑油の設計方法として、文献1(「合成
エステルをベースとした極薄用冷間圧延油の開発」鉄と
鋼、Vol.82、No.3、1996、p44-49)では、基油の粘度特
性と潤滑性との関係、基油の分子構造と経時劣化性や流
動点との関係等の研究に基づいて、潤滑性に優れた基油
の選定が開示されている。
安定性、鉄粉の分散性、鋼板への離水展着性などの要求
を満たすものとして、界面活性剤の種類及び含有量が開
示されている。
面性状の均一化を目的として、基油のエマルジョンのモ
ード粒径3〜6μmとする方法や、融点の低い基油を用い
る方法が開示されている。
では、潤滑性に優れた基油の選定に関して示唆されてい
るが、エマルション中の界面活性剤の含有量については
明示されていない。
4801号公報では、界面活性剤の含有量は示されているも
のの、その決定方法は、実験的な試行錯誤によって決定
されている。
中の界面活性剤の含有量を決めるに当たっては、基油及
び界面活性剤の種類を決定した後に、種々の濃度のエマ
ルションを作成して、エマルションとしての圧延特性、
特に潤滑性と表面性状の均一性を実験によって評価して
おり、界面活性剤の含有量は、経験的あるいは試行錯誤
的に決定せざるを得ず、冷間圧延潤滑油の調整に要する
期間が長くなるという問題点がある。
ルションを調製し結果、必要とする潤滑性を得られない
などの不具合が生じた場合には、又新たに別の種類の界
面活性剤を選定し、同様な方法により改めて界面活性剤
の含有量を決定していく必要が生じることになる。
なされたものであり、潤滑性の向上と表面性状の均一化
に優れた冷間圧延潤滑油及びその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
点を解決すべく検討した結果、以下のことを見出した。
冷間圧延特性に優れると想定される基油と界面活性剤の
種類を決定した場合でも、界面活性剤の含有量によって
はエマルションとしての特性が大きく変化するにも係わ
らず、それらの関係が明らかにされていないことが上記
の問題を発生させる原因である。
の関係を明らかにし、潤滑性及び表面性状の均一性とい
った要求を満たす界面活性剤の含有量が、エマルション
の設計段階において予測することが可能であれば、上記
のような試行錯誤を必要としない。
重ね、界面活性剤の含有量と、潤滑性及び表面性状の均
一性との関係をエマルションの設計段階において把握し
うる方法について明らかにした。さらに、その結果を元
に、潤滑性と表面性状均一性に優れた冷間圧延潤滑油を
見出した。本発明はかかる知見に基づきなされたもの
で、以下のような構成を有する。
選ばれる1種または2種以上から構成される基油(a)を、
界面活性剤(b)を用いて水に希釈してなるエマルション
(c)からなり、前記界面活性剤(b)のエマルション中の濃
度が下式を満たすことを特徴とする冷間圧延潤滑油。 25°<θw<95° 但し θw:エマルション(c)中での水に対する界面活性
剤比率と同一比率で界面活性剤のみを含有する水の接触
角
選ばれる1種または2種以上から構成される基油(a)を、
界面活性剤(b)を用いて水に希釈してなるエマルション
(c)からなり、前記界面活性剤(b)のエマルション中の濃
度が下式を満たすことを特徴とする冷間圧延潤滑油。 γwa・cosθw―γoa・cosθo<0 但し θw:エマルション(c)中での水に対する界面活性
剤比率と同一比率で界面活性剤のみを含有する水の接触
角 θo:エマルション(c)中での基油に対する界面活性剤比
率と同一比率で界面活性剤のみを含有する基油の接触角 γwa:エマルション(c)中での水に対する界面活性剤比
率と同一比率で界面活性剤のみを含有する水の表面張力 γoa:エマルション(c)中での基油に対する界面活性剤
比率と同一比率で界面活性剤のみを含有する基油の表面
張力
ョン(c) の平均粒子径が3〜15μmであることを特徴とす
る冷間圧延潤滑油。
選ばれる1種または2種以上から構成される基油(a)を、
界面活性剤(b)を用いて水に希釈してなるエマルション
(c)の製造方法であって、前記界面活性剤(b)をそのエマ
ルション中での濃度が下式(1)、(2)のいずれかを満
たすよう調整することを特徴とする冷間圧延潤滑油の製
造方法。 25°<θw<95° (1) γwa・cosθw―γoa・cosθo<0 (2) 但し θw:エマルション(c)中での水に対する界面活性
剤比率と同一比率で界面活性剤のみを含有する水の接触
角 θo:エマルション(c)中での基油に対する界面活性剤比
率と同一比率で界面活性剤のみを含有する基油の接触角 γwa:エマルション(c)中での水に対する界面活性剤比
率と同一比率で界面活性剤のみを含有する水の表面張力 γoa:エマルション(c)中での基油に対する界面活性剤
比率と同一比率で界面活性剤のみを含有する基油の表面
張力
均一性に優れた冷間圧延潤滑油を得るに至った経緯につ
いて以下に説明する。ここでは、鋼帯を冷間圧延するに
際し、エマルションが圧延ロール入側の鋼板上に供給さ
れた場合を想定する。このとき図1に示すように、鋼板
上では、基油の油滴及び水が混在し、それらの界面には
界面活性剤が存在することになる。このような状態にお
いて、油滴と鋼板との界面張力γsoと、水と鋼板との界
面張力γswとの差として、下式(3)に示す置換エネル
ギーを定義する。 D=γso―γsw (3)
基油の油滴によって置き換わる容易さを表すものと考え
られ、その値が小さいほど、油滴が鋼板上に広がりやす
いことになる。すなわち、エマルションが鋼板上に供給
された場合に、鋼板上に形成される油膜が厚くなり、結
果的に水分が排除されやすくなる。このような効果によ
って、ロールバイトにおいて高い潤滑性を示すととも
に、ロールバイトへの水分の導入によるオイルピットの
むらを防止することが可能となる。
と、水と鋼板との界面張力γswは、直接的に測定するこ
とができないものの、以下のような方法によって、推定
することが可能である。図2に示すように、一定量の界
面活性剤を含有する水の表面張力をγwa、一定量の界面
活性剤を含有する基油の表面張力をγoa、図2の状態か
ら決定される接触角をθo、θwとし、一定量の界面活性
剤を含有する基油の油滴を鋼板上に滴下した状態、及び
一定量の界面活性剤を含有する水滴を鋼板上に滴下した
状態を想定する。このとき、界面張力の釣り合いは下式
(4)、(5)で表すことができる。 γsa=γso+γoa・cosθo (4) γsa=γsw+γwa・cosθw (5)
(3)で定義された置換エネルギーDは、下式(6)のよ
うに表すことができる。 D=γwa・cosθw―γoa・cosθo (6)
ギーDは、一定量の界面活性剤を含有する水の表面張力
γwa、一定量の界面活性剤を含有する基油の表面張力γ
oa、及び図2の状態から決定される接触角θo、θwを用
いることで計算することが可能である。
する水滴」あるいは、「一定量の界面活性剤を含有する
基油の油滴」における一定量の意味について説明する。
先ず、一定量の界面活性剤を含有する水滴とは、冷間圧
延潤滑油として使用されるエマルション液中での水に対
する界面活性剤の比率と同一比率で、水滴中に前記界面
活性剤を含むものを意味する。同様に、一定量の界面活
性剤を含有する基油の油滴とは、冷間圧延潤滑油として
使用されるエマルション液中での基油に対する界面活性
剤の比率と同一比率で、油滴中に前記界面活性剤を含む
ことを意味する。
剤1.0wt%から構成されるエマルションにおいては、界面
活性剤を1.04wt%を含む水溶液を用いて、表面張力γwa
を測定すると共に、同水溶液の液滴を用いて鋼板上の接
触角θwを測定する。一方、基油については、界面活性
剤を基油中に20wt%含む油滴を用いて、表面張力γoaを
測定すると共に、同油滴を用いて鋼板上の接触角θoを
測定する。ただし、通常の冷間圧延潤滑油エマルション
は、基油の濃度を5wt%程度で使用されることが一般的で
あるため、エマルション中の界面活性剤の濃度と、エマ
ルション中の水に対する界面活性剤の濃度とは、実質上
大きな差はない。
任意の基油及び界面活性剤の種類に対して、界面活性剤
の含有量と、式D=γwa・cosθw―γoa・cosθo(6)で
計算される置換エネルギーとの関係を把握することがで
きる。すなわち、鋼板上に存在するエマルションにおい
て、その油滴が水を排除しながら、鋼板上でどの程度広
がり易いかを判断すること、すなわち油膜形成能力を評
価することが可能となる。
の大きさと、冷間圧延における潤滑性及び表面性状の均
一性との関係を調査した。
滴の表面張力γoa、接触角θo、及び水滴の表面張力γw
a、接触角θw、さらにそれらの値から計算される置換エ
ネルギーDの関係を示す。図3において、横軸は5wt%の濃
度の基油を含むエマルションに対する界面活性剤濃度を
示している。すなわち、前記例のような水95wt%、基油
4.0wt%、界面活性剤1.0wt%から構成されるエマルション
を想定した場合に、界面活性剤を1.04wt%を含む水溶液
の表面張力γwa、同水溶液の液滴を用いて測定した接触
角θw、界面活性剤を基油中に20wt%含む油滴の表面張力
γoa、及び同油滴を用いた接触角θoを、横軸1.0wt%と
してプロットしている。
ョンとしての冷間圧延時の潤滑性を表す単位幅当たりの
圧延荷重との関係、図5に置換エネルギーDと冷間圧延後
の鋼板表面性状の均一性を表す表面のモトリング発生状
況を示す。図4、図5より、式D=γso―γsw(3)または
式D=γwa・cosθw―γoa・cosθo
となる場合に、エマルションとしての潤滑性及び表面性
状の均一性が向上することが分かる。以上よりγwa・co
sθw―γoa・cosθo<0の条件を満足するよう界面活性
剤(b)の濃度を調整することが好ましい。
=γwa・cosθw―γoa・cosθo(6)によって、置換エネ
ルギーDを求めるためには、表面張力の測定が必須であ
るが、図3から分かるように、界面活性剤を含む水及び
基油の表面張力γwa、γoaは、界面活性剤の含有量が臨
界ミセル濃度以上の範囲では大きな変化を見せない。冷
間圧延潤滑油に使用されるエマルションとしては、ある
程度の乳化安定性を確保するために、少なくとも臨界ミ
セル濃度以上の界面活性剤を含有させる必要があること
から、実質上、水及び基油の表面張力γwa、γoaを一定
値とみなすことも可能である。したがって、より簡便に
は置換エネルギーDに代って、接触角のみで評価するこ
とも可能である。すなわち、一定量の界面活性剤を含有
する水の接触角θw、一定量の界面活性剤を含有する基
油の接触角θoを用いて、式θw―θo(7)によっても、
冷間圧延潤滑油の潤滑性あるいは表面性状の均一性を評
価することができ、評価の項目を減らすことが可能とな
る。
水の接触角θwが大きいほど、鋼板上で水滴を形成しや
すく、一定量の界面活性剤を含有する基油の接触角θo
が小さいほど、鋼板上で油滴が広がりやすい傾向を示す
ことになる。この場合には、鋼板上に供給されたエマル
ション中の油分が鋼板上に広がり、水分が水滴を形成し
やすくなる結果、ロールバイトに導入される時点での強
固な油膜形成が可能となる。以上から、基油の接触角θ
oに対して、水滴の接触角θwが大きいほど油膜形成能力
が向上して、鋼板の表面性状を均一にする。具体的に
は、式θw―θo(7)が15°を超える場合に、鋼板上に
滴下した水滴と油滴の形状の違いが明確となり、油膜形
成能力の顕著な向上が認められる。一方、式θw―θo
(7)が70°以上では、一定量の界面活性剤を含有する
水滴は、球形に近くなり鋼板上から離脱しやすくなり、
エマルションを作成した時点でも油分が、水の中で凝集
し、ある程度の安定性を有するエマルションを調製する
ことができなくなる。以上より、15°<θw―θo<70°
の条件を満足するよう界面活性剤(b)の濃度を調整し
てもよい。
対する接触角の変化については、水滴の接触角θwの変
化に対して、基油の接触角θoの変化が小さいことか
ら、式θw(8)のように一定量の界面活性剤を含有する
水の接触角θwのみを用いても、ある程度潤滑性と表面
性状の均一性を評価することができる。
基油の接触角θoは、基油の種類によって大きな違いは
みられず、含有する界面活性剤の量によって、10°から
40°程度の範囲で変化する。しかし、一定量の界面活性
剤を含有する基油の接触角θoが25°以上となる場合に
は、滴下された基油が鋼板上に十分広がらないため、十
分な油膜形成をすることができなくなる。したがって、
実際には基油の接触角θoは10°から25°程度の範囲で
変化することになる。界面活性剤の含有量が少ない場合
の接触角θo:10°を式θw―θo(7)で評価した場合、
25°<式θw(8)となり、界面活性剤の含有量が多い場
合の接触角θo:25°を式θw―θo(7)で評価した場
合、式θw(8)<95°となる。
するよう界面活性剤(b)の濃度を調整してもよい。
マルション中での濃度は、少なくともγwa・cosθw―γ
oa・cosθo<0を満足するように調整する必要があり、
好ましくは15°<θw―θo<70°を満足し、さらに好ま
しくは25°<θw<95°を満足するように調整するのが
良い。
ーDは、基油や界面活性剤の種類が異なる組成を有する
場合においても、適用できることはいうまでもない。す
なわち、従来は、基油あるいは界面活性剤の種類を変更
した場合に、種々の濃度でエマルションを作成して、圧
延実験等によって実験的に潤滑性や表面性状の均一性を
評価する必要があったのに対して、上記置換エネルギー
Dを評価指標することで、異なる基油あるいは界面活性
剤の種類であっても、同一の物理量を用いて評価するこ
とができる。
μmであるのが好ましい。平均粒子径が3〜15μmであれ
ば、乳化の安定性が良好となり、特に循環式の給油方式
を採用する場合には、エマルション粒径の経時的な変動
が抑制されると同時に、良好な潤滑性と表面性状の均一
性が優れるものとなる。
に優れた冷間圧延潤滑油について詳細を説明する。
板用冷間圧延潤滑油として通常用いられるものを使用す
ることができる。例えば、牛脂、豚油、ナタネ油、ヒマ
シ油、ヤシ油、パーム油等の動植物油脂、スピンドル
油、マシン油等の鉱物油、炭素数6〜22の脂肪酸と1価ア
ルコール又は多価アルコールとのエステル、牛脂、パー
ム油、ナタネ油等の油脂から得られる脂肪酸と1価アル
コール又は多価アルコールとのエステル等の脂肪酸エス
テルが挙げられる。これらの成分は、それぞれ1種でも
よいが2種以上を混合して使用することもできる。
性剤としては、非イオン性界面活性剤として、例えばソ
ルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル
フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシ
エチレンポリプロピレンエーテル、ポリオキシエチレン
ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。また、アル
キルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルリ
ン酸エステル塩等のリン酸エステル系界面活性剤等が挙
げられる。
マルションを組成するための基油の濃度としては、1.5w
t%〜10wt%が好ましい。1.5wt%未満では、鋼板への基油
の供給量が不足して、潤滑性が劣るとともに、モトリン
グ等の表面欠陥の発生によって表面性状の均一性が劣化
する。一方、10wt%を超える冷間圧延潤滑油は、潤滑性
や表面性状の均一性の効果が飽和すること、及びエマル
ションとしての冷却性が悪化することから、実用的では
ない。
っての接触角及び表面張力の測定については、市販の接
触角測定装置あるいは表面張力測定装置を使用すること
ができる。表面張力については、例えば、輪環法によっ
て測定することが可能である。
ず、一定量の界面活性剤を含む水あるいは基油を少量準
備して、攪拌機を用いて界面活性剤を各々に対して混合
させる。次いで、このようにして作成した界面活性剤を
含む水滴あるいは油滴を鋼板上に滴下して、接触角を測
定する。なお、ここで使用する鋼板としては、圧延材と
して使用する鋼板が望ましく、鋼板の温度としては常温
でも、圧延中の鋼板温度を想定して、室温から200℃程
度の範囲の一定値に保持して測定してもよい。また、鋼
板の表面粗さについても、圧延中の鋼板表面粗さと同一
のものを使用することが望ましいが、必ずしもこだわる
必要はない。ただし、異なる基油、界面活性剤の種類、
あるいは界面活性剤の量の影響を測定するためには、測
定条件を同一にしておく必要があることは言うまでもな
い。
冷間圧延潤滑油は以下の方法により得られる。先ず、基
油及び界面活性剤の選定を行う。選定に当たっては、潤
滑性や表面均一性以外の特性、すなわち、鋼板上に付着
した冷間圧延潤滑油の脱脂性、ミル汚れ性、摩耗粉の分
散性、経済性などを考慮して決定する。次に、基油の使
用濃度としては、鋼板上に付着して消費される冷間圧延
潤滑油の量やエマルションの冷却性を考慮して最適値が
決定される。このとき界面活性剤の含有量としては、本
発明で規定する条件を満たすよう決定する。さらに、循
環式の給油方式で使用する場合には、平均粒子径が3〜1
5μmの範囲になるように界面活性剤の含有量を調整する
ことが好ましい。
をより具体的に説明する。エマルションを構成する基油
(a)としては、表1に示すものを、界面活性剤(b)として
は、表2に示すものを使用し、基油(a)を濃度5wt%とし
て、界面活性剤(b)の含有量を変更したエマルション
(冷間圧延潤滑油)を調製した。
ント液を用い、上記により得られたエマルション(冷間
圧延潤滑油)を30分間攪拌し、プレートアウト性を調査
した。調査方法としては、得られたエマルションを鋼板
にスプレーし、付着油量を重量法にて測定した。なお、
使用した鋼板は市販のSPCCで、鋼板温度は室温とした。
スプレー時間は0.06秒とした。
との関係を示す。なお、図6において、置換エネルギー
Dは式D=γwa・cosθw―γoa・cosθo(6)によって得ら
れたものである。図6に示すように、本発明による冷間
圧延潤滑油は優れたプレートアウト性を示している。こ
れは、冷間圧延において入側でスプレーされたエマルシ
ョンが、鋼板上に供給されることで、油分が水に対して
優先的に付着する効果が高いことを示している。
缶用素材であるブリキやクロムめっき鋼板などのダブル
リデュース圧延(以下DR圧延と呼ぶ)に適用した結果に
ついて説明する。図7は実施例に用いたDR圧延機を示し
たものである。図7において、本装置は、第1スタンド圧
延機1、第2スタンド圧延機2から構成されており、ペイ
オフリール4から供給された鋼板3に対して、圧延機1の
入側にあるエマルション(冷間圧延潤滑油)噴射ノズル
6から、エマルジョン(冷間圧延潤滑油)が供給される
構成となっている。鋼板3は、第1スタンド圧延機1によ
って圧下率10〜50%の加工を受け、ほぼ所定の板厚まで
圧下される。さらに第2スタンド圧延機2では、鋼板表面
粗さの調整及び形状をフラットにするための軽圧下圧延
として0.5〜2%程度の伸長率が付与される。なお、第1ス
タンドでのみ大きな圧下率が加えられることから、エマ
ルジョン(冷間圧延潤滑油)の供給は第1スタンド入側
のみで行われ、第1スタンド出側よりも下流側ではエマ
ルジョン(冷間圧延潤滑油)の供給は行われていない。
は、エマルジョン(冷間圧延潤滑油)タンク8から給油
ポンプ7を経て、エマルジョン(冷間圧延潤滑油)噴射
ノズル6により噴射圧力が調整されて鋼板3に噴射され
る。なお、図7では、エマルジョン(冷間圧延潤滑油)
を直接給油する場合を示している。
単位幅当たりの圧延荷重との関係を、図5に置換エネル
ギーDと表面のモトリング発生状況との関係を示す。図
4,5より、本発明による冷間圧延潤滑油は、優れた潤滑
性を示すとともに、表面性状の均一性を示すことが確認
された。
を用いたDR圧延の一実施態様を示すものであり、第1ス
タンドと第2スタンドとの間にエマルジョンが供給され
る設備を用いてもよい。また、本発明は、循環給油方式
を備えたDR圧延機はもちろん、4ないし5スタンドのタン
デム圧延機に適用しても同様な効果が得られる。
状の均一化に優れた冷間圧延潤滑油を得ることができ
る。また、本発明の冷間圧延潤滑油を用いることにより
高い潤滑性と共に表面性状の均一性を要求される鋼板の
製造が可能となる。さらに、本発明の冷間圧延潤滑油の
製造方法は、冷間圧延潤滑油の調整に長い期間を要しな
いため、新たな冷間圧延潤滑油の開発や調製を短期間で
実施することが可能となる。
された場合の状態を示す説明図。
板上に滴下した状態及び一定量の界面活性剤を含有する
水滴を鋼板上に滴下した状態を示す説明図。
γoa、接触角θo、及び水滴の表面張力γwa、接触角θ
w、さらにそれらの値から計算される置換エネルギーDの
関係を示すグラフ。
関係を示すグラフ。
の関係を示すグラフ。
示すグラフ
Claims (4)
- 【請求項1】 油脂、鉱物油、合成エステルの中から選
ばれる1種または2種以上から構成される基油(a)を、界
面活性剤(b)を用いて水に希釈してなるエマルション(c)
からなり、前記界面活性剤(b)のエマルション中の濃度
が下式を満たすことを特徴とする冷間圧延潤滑油。 25°<θw<95° 但し θw:エマルション(c)中での水に対する界面活性
剤比率と同一比率で界面活性剤のみを含有する水の接触
角 - 【請求項2】 油脂、鉱物油、合成エステルの中から選
ばれる1種または2種以上から構成される基油(a)を、界
面活性剤(b)を用いて水に希釈してなるエマルション(c)
からなり、前記界面活性剤(b)のエマルション中の濃度
が下式を満たすことを特徴とする冷間圧延潤滑油。 γwa・cosθw―γoa・cosθo<0 但し θw:エマルション(c)中での水に対する界面活性
剤比率と同一比率で界面活性剤のみを含有する水の接触
角 θo:エマルション(c)中での基油に対する界面活性剤比
率と同一比率で界面活性剤のみを含有する基油の接触角 γwa:エマルション(c)中での水に対する界面活性剤比
率と同一比率で界面活性剤のみを含有する水の表面張力 γoa:エマルション(c)中での基油に対する界面活性剤
比率と同一比率で界面活性剤のみを含有する基油の表面
張力 - 【請求項3】 エマルション(c) の平均粒子径が3〜15μ
mであることを特徴とする請求項1または2記載の冷間圧
延潤滑油。 - 【請求項4】 油脂、鉱物油、合成エステルの中から選
ばれる1種または2種以上から構成される基油(a)を、界
面活性剤(b)を用いて水に希釈してなるエマルション(c)
の製造方法であって、前記界面活性剤(b)をそのエマル
ション中での濃度が下式(1)、(2)のいずれかを満た
すよう調整することを特徴とする冷間圧延潤滑油の製造
方法。 25°<θw<95° (1) γwa・cosθw―γoa・cosθo<0 (2) 但し θw:エマルション(c)中での水に対する界面活性
剤比率と同一比率で界面活性剤のみを含有する水の接触
角 θo:エマルション(c)中での基油に対する界面活性剤比
率と同一比率で界面活性剤のみを含有する基油の接触角 γwa:エマルション(c)中での水に対する界面活性剤比
率と同一比率で界面活性剤のみを含有する水の表面張力 γoa:エマルション(c)中での基油に対する界面活性剤
比率と同一比率で界面活性剤のみを含有する基油の表面
張力
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JP2000113106A JP2001294887A (ja) | 2000-04-14 | 2000-04-14 | 冷間圧延潤滑油及びその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010065133A (ja) * | 2008-09-10 | 2010-03-25 | Sumitomo Light Metal Ind Ltd | 金属成形加工用潤滑剤、それを塗布した金属加工材、及び金属成形加工方法 |
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2000
- 2000-04-14 JP JP2000113106A patent/JP2001294887A/ja active Pending
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JP2010065133A (ja) * | 2008-09-10 | 2010-03-25 | Sumitomo Light Metal Ind Ltd | 金属成形加工用潤滑剤、それを塗布した金属加工材、及び金属成形加工方法 |
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