JP2001294554A - グリセロール−α,β−不飽和カルボン酸エステルの製造方法 - Google Patents

グリセロール−α,β−不飽和カルボン酸エステルの製造方法

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JP2001294554A JP2000112678A JP2000112678A JP2001294554A JP 2001294554 A JP2001294554 A JP 2001294554A JP 2000112678 A JP2000112678 A JP 2000112678A JP 2000112678 A JP2000112678 A JP 2000112678A JP 2001294554 A JP2001294554 A JP 2001294554A
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竜三 細谷
Kenji Kato
賢二 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】反応時の不純物の副生を抑え、かつ色相の改善
されたグリセロール−α,β−不飽和カルボン酸エステ
ルの製造法を提供する。 【解決手段】α,β−不飽和カルボン酸とグリシドール
とを反応させて、グリセロール−α,β−不飽和カルボ
ン酸エステルを製造するに際して、実質的に塩基性を示
さない第4アンモニウム塩触媒を用いることを特徴とす
る着色および副生不純物の少ないグリセロール−α,β
−不飽和カルボン酸エステルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グリセロール−
α,β−不飽和カルボン酸エステルの製造方法に関す
る。さらに詳しくは、α,β−不飽和カルボン酸とグリ
シドールとを反応させてグリセロール−α,β−不飽和
カルボン酸エステルを製造する際に特定の第4アンモニ
ウム塩触媒を用いる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エステル部に水酸基を持ち、かつカルボ
ン酸部位がα,β−不飽和カルボン酸であるカルボン酸
エステルは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロ
キシブチル(メタ)アクリレート等が知られている。こ
れらのα,β−不飽和カルボン酸エステルは、熱硬化性
塗料、接着剤、ウレタンアクリレート系樹脂などの原
料、または中間体として用いられている。
【0003】また近年、より親水性の高いラジカル重合
性不飽和カルボン酸エステルとして、1分子中に2個の
水酸基を持ったグリセロール−α,β−不飽和カルボン
酸エステル、中でもグリセロール(メタ)アクリレート
(2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト)の合成研究が行われてきた。グリセロール(メタ)
アクリレートは、繊維の染色性改質剤、樹脂の防曇剤と
して、またこれらのモノマーの重合体あるいは共重合体
は、香粧品の保湿剤、紫外線硬化印刷用材料、水系塗料
用樹脂、高分子吸着剤、顔料分散剤、電子写真用バイン
ダー、コンタクトレンズ、歯科材料等に非常に有用であ
る。グリセロール(メタ)アクリレートの製造方法とし
ては、 1)(メタ)アクリル酸とグリセロールとのエステル化
反応、 2)(メタ)アクリル酸エステルとグリセロールとのエ
ステル交換反応、 3)グリシジル(メタ)アクリレートの水和によるエポ
キシ開環反応、 4)(メタ)アクリル酸とグリシドールとの開環エステ
ル化反応 等が知られている。
【0004】しかしながら、いずれの製造方法において
も純度の高いグリセロール(メタ)アクリレートを得る
ことは困難である。前記の1)の方法において、グリセ
ロールの1個の水酸基のみを反応させることは極めて困
難である。すなわちグリセロールのモノ−、ジ−、トリ
(メタ)アクリレートの混合物が得られ、これを分離精
製することは困難である。また前記の2)の(メタ)ア
クリル酸エステルとグリセロールとのエステル交換反応
でも、前記と同様にグリセロールのモノ−、ジ−、トリ
(メタ)アクリレートの混合物が得られ、混入する問題
があった。
【0005】前記の3)の方法では、グリシジル(メ
タ)アクリレートを酸触媒条件下で水和することよって
グリセロール(メタ)アクリレートを製造する方法が開
示されている(特開昭60−215650号公報)。し
かし、この方法では、未反応の原料と副生成物のグリセ
ロールジ(メタ)アクリレートが混入し、それらを分離
精製することが困難である。この副生成したグリセロー
ルジ(メタ)アクリレートは、単量体を重合する際に架
橋剤の役割をするので、重合挙動に大きく影響する。そ
のためそのジエステルの混入は好ましくない。また親水
性単量体のグリセロール(メタ)アクリレートと水の混
合物から、10〜40℃の低温減圧下での脱水工程で
は、十分に脱水することは困難であり、しかも長時間を
要するためにグリセロールジ(メタ)アクリレートの熱
変性が危惧される。
【0006】前記の4)の方法では、(メタ)アクリル
酸をグリシドールに対して5〜30モル%過剰量用い、
80〜120℃で反応してグリセロール(メタ)アクリ
レートを得る方法が開示されている(フランス国特許2
391988号明細書)。しかし、この方法では、生成
物が水溶性であり、また未反応の単量体も水溶性のた
め、未反応の(メタ)アクリル酸が十分に除去できず、
その結果、酸価の高いものしか得られない。さらに副生
成物の含有量も多く、かつ着色度が高いため、その精製
が非常に困難であるなど問題があった。また前記4)の
方法ではグリシドールを(メタ)アクリル酸に1モルに
対し1.05〜1.5モル比の過剰で、塩基性触媒下で
反応させてグリセロール(メタ)アクリレートを製造す
る方法も開示されている(特開昭62−70341号公
報)。塩基性触媒としては、ピリジン、トリエチルアミ
ン、トリブチルアミン、ベンジルアミン、ベンジルメチ
ルアミン、テトラメチルアンモニウムクロリド、炭酸ナ
トリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが例
示されている。また、ラジカル重合性不飽和単量体1モ
ルに対して、グリシドールを1.05〜1.5モル使用
する方法である。この方法では得られたグリセロール
(メタ)アクリレートは、グリシドールを過剰に使用す
るために、ジ−、トリ−、テトラグリセロール(メタ)
アクリレート等の副生成物との混合物として得られてい
る。例えば、グリシドールの付加体数(n)が2〜4の
アクリル酸エステル、グリシドールの付加体数(n)が
1〜4のアクリル酸2量体のエステルが示されている。
得られた製品の色相については、記載がないが、特に実
施例1では、トリエチルアミンを触媒として用い、重合
防止のために空気を吹き込んで反応するので、色相が悪
化していることが予想される。前記の開示された技術に
は、精製工程についての記述がなく、この方法では純度
の高いグリセロール(メタ)アクリレートを得ることは
できないなど問題があった。以上のようにグリセロール
(メタ)アクリレートの製造方法においては、反応、分
離精製において非常に大きな問題となっていて、副生成
物の少ない純度の高いもので、かつ色相の優れたものの
製造方法が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、グリ
セロール−α,β−不飽和カルボン酸エステルの製造方
法を提供することである。特には、反応時の不純物の副
生を抑え、かつ色相の改善されたグリセロール−α,β
−不飽和カルボン酸エステルの製造方法を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点に鑑み、鋭意検討した結果、特定の第4アンモニウム
塩を反応触媒に用いると、不純物の副生を抑え、かつ色
相の改善されたグリセロール−α,β−不飽和カルボン
酸エステルが得られることの知見を得て、本発明を完成
させるに至った。
【0009】すなわち本発明は、以下の[1]〜[3]
である。 [1] 実質的に塩基性を示さない第4アンモニウム塩
触媒を用いて、α,β−不飽和カルボン酸とグリシドー
ルとを反応させることを特徴とするグリセロール−α,
β−不飽和カルボン酸エステルの製造方法である。 [2] α,β−不飽和カルボン酸が、アクリル酸、メ
タクリル酸、イタコン酸、マレイン酸およびフマル酸か
らなる群から選択される1種または2種以上である前記
[1]に記載のグリセロール−α,β−不飽和カルボン
酸エステルの製造方法である。 [3] 製造されたグリセロール−α,β−不飽和カル
ボン酸エステルが、APHA80以下の色相で、かつ8
0%以上のガスクロマトグラフィー(GC)の純度であ
る前記[1]又は[2]に記載の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、α,β−不飽和カルボ
ン酸とグリシドールとを反応させてグリセロール−α,
β−不飽和カルボン酸エステルを製造するに際して、実
質的に塩基性を示さない第4アンモニウム塩触媒の存在
下に、反応することを特徴とするグリセロール−α,β
−不飽和カルボン酸エステルの製造方法である。また、
さらに前記のようにして得たグリセロール−α,β−不
飽和カルボン酸エステルをカラムクロマトグラフィーを
組合わせることによりさらに高純度にできる製造方法で
ある。
【0011】本発明に用いるα,β−不飽和カルボン酸
は、通常α,β−不飽和カルボン酸として知られている
ものであれば、いかなるものであっても用いることがで
きる。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコ
ン酸、メサコン酸、シトラタコン酸、マレイン酸、フマ
ル酸、イタコン酸モノメチル、メサコン酸モノメチル、
3−ヒドロキシ−2−メチレンプロピオン酸、3−ヒド
ロキシ−2−メチレンブタン酸、3−アミノ−2−メチ
レンプロピオン酸等を挙げることができる。前記のα,
β−不飽和カルボン酸は1種または2種類以上を配合し
て用いることができる。特に入手性の理由から、アクリ
ル酸またはメタクリル酸が好ましい。
【0012】本発明に用いるグリシドールとしては、グ
リシドールであればいかなる製造法によって得られたも
のを用いてもよいが、通常市販されるグリシドールを好
ましく用いることができる。
【0013】本発明において、α,β−不飽和カルボン
酸とグリシドールの量比は、α,β−不飽和カルボン酸
1モルに対して、グリシドールを0.7モル〜1.3モ
ルの量比で使用するのが望ましく、より好ましくは、
α,β−不飽和カルボン酸とグリシドールの使用量は、
α,β−不飽和カルボン酸1モルに対して、0.90〜
1.1モルのグリシドールの使用量である。さらに好ま
しくは、α,β−不飽和カルボン酸とグリシドールの使
用量は、α,β−不飽和カルボン酸1モルに対して、1
モルのグリシドールの使用量である。グリシドールの量
が0.7モルより少なくなると、未反応のα,β−不飽
和カルボン酸原料が多く残存して、除去する必要があ
り、反応収率が低下するなど好ましくない。またグリシ
ドールの量が1.3モルより多くなると、α,β−不飽
和カルボン酸にグリシドールが2個以上の付加した化合
物が多くなり好ましくない。
【0014】本発明に用いる実質的に塩基性を示さない
第4アンモニウム塩触媒としては、中性であって通常、
第4アンモニウム塩として用いることができるものであ
れば、いかなるものであっても使用することができる。
好ましく使用できる中性の第4アンモニウム塩として、
具体的には例えば、トリエチルメチルアンモニウムクロ
リド、ジエチルジメチルアンモニウムクロリド、トリメ
チルベンジルアンモニウムクロリド、トリエチルベンジ
ルアンモニウムクロリド、トリエチルベンジルアンモニ
ウムブロミド、トリブチルベンジルアンモニウムクロリ
ド、ピリジニウムメチルクロリド、N−ラウリルピリジ
ニウムクロリド、イミダゾリウムメチルクロリド等が挙
げられる。より好ましくは、トリエチルメチルアンモニ
ウムクロリド、トリエチルベンジルアンモニウムクロリ
ド、ラウリルピリジニウムクロリド、トリブチルベンジ
ルアンモニウムクロリドが挙げられる。これらの1種ま
たは2種以上が用いられる。
【0015】しかし、塩基性の第4アンモニウム塩であ
るテトラブチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチ
ルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、テトラブチル
アンモニウムフルオライド、テトラメチルアンモニウム
クロリド等を用いて反応すると、着色かつ不純物の副生
が多くなり、また生成したグリセロール−α,β−不飽
和カルボン酸エステルの変性が起こるため、使用する触
媒としては適切ではない。
【0016】第4アンモニウム塩触媒の使用量は、α,
β−不飽和カルボン酸1モルに対し、0.01〜100
%モル当量、好ましくは0.1〜10%モル当量であ
る。触媒使用量が0.01%モル当量より少ないと反応
が進行せず、また100%モル当量より多いと不純物が
多く副生し、かつ色相が悪くなるので好ましくない。
【0017】本発明において、α,β−不飽和カルボン
酸とグリシドールとを、実質的に塩基性を示さない第4
アンモニウム塩触媒の存在下で、必要によっては、後記
の溶媒、後記の重合禁止剤を配合して反応するが、その
際の反応温度は、本発明で目的としている反応が進行す
る温度であれば、いかなる温度であってもよい。好まし
くは、反応温度は20〜120℃、特に好ましくは40
〜90℃である。反応温度が20℃より低いと反応が進
行せず、また120℃より高いとグリセロールカルボン
酸エステルが変性しやすくなるので好ましくない。また
反応時間は、反応温度、触媒の種類および使用量によっ
て異なるので一概に特定できないが、通常1〜100時
間であるのが好ましい。またα,β−不飽和カルボン酸
とグリシドールの反応は、通常大気圧で行うが、減圧下
または加圧下で行ってもよい。
【0018】反応に際しては、グリセロール−α,β−
不飽和カルボン酸エステルが、高い重合性を有すること
から、反応時に重合反応が起こるのを抑制する目的で、
分子状酸素および重合禁止剤を使用することが好まし
い。分子状酸素とは、空気が用いられ、反応液中に空気
をバブリングさせながら反応を行う。重合禁止剤として
は、例えばハイドロキノン、p−メトキシフェノール、
2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール等が挙げ
られる。これら重合禁止剤は、単独または2種以上を混
合して使用してもよい。重合禁止剤の使用量は、α,β
−不飽和カルボン酸に対し、0.01〜1モル当量、好
ましくは0.05〜0.5モル当量である。
【0019】本発明において、α,β−不飽和カルボン
酸とグリシドールとを反応させるときに、反応溶媒は特
に使用しなくてもよいが、反応速度を制御するため、も
しくはα,β−不飽和カルボン酸が固体のとき、場合に
よって不活性溶媒を使用してもよい。不活性溶媒として
は、エーテル系溶媒、非プロトン性溶媒、ハロゲン系溶
媒、脂肪族及び芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。エ
ーテル系溶媒は、例えばエチルエーテル、ジイソプロピ
ルエーテルのような脂肪族エーテル、テトラヒドロフラ
ン、1,4−ジオキサンのような複素環式エーテル等で
ある。また非プロトン性溶媒は、例えばアセトン、2−
ブタノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルホルムア
ミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等
であり、ハロゲン系溶媒は、例えば、塩化メチレン、ク
ロロホルム等である。さらに脂肪族炭化水素溶媒は、例
えば、ペンタン、ヘキサン等であり、芳香族炭化水素溶
媒は、例えば、ベンゼン、トルエン等である。
【0020】さらに本発明において、α,β−不飽和カ
ルボン酸とグリシドールとを反応することにより得られ
る反応生成物を含んだ反応混合物の精製は、例えば蒸
留、抽出、クロマトグラフィー等を用いて行うことがで
きる。好ましくはクロマトグラフィーにより精製するの
がよい。
【0021】このようにして本発明の製造方法により得
られたグリセロール−α,β−不飽和カルボン酸エステ
ルは、着色が少なく、副生不純物が少なく純度が高いグ
リセロール−α,β−不飽和カルボン酸エステルであ
る。このグリセロール−α,β−不飽和カルボン酸エス
テルは、JIS K4101の色数試験方法で、APH
A80以下の色相で、また80%以上のガスクロマトグ
ラフィー(GC)の純度である。また本発明の製造方法
は、用いた第4アンモニウム塩触媒が中性塩であるた
め、反応液の中和が不必要で、工程の簡略化された製造
方法である。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、従来の製造法に比べて
不純物の副生が少なく、かつ着色度の低いグリセロール
−α,β−不飽和カルボン酸エステルを製造することが
できる。 また本発明に使用した触媒の第4アンモニウ
ム塩は中性塩であるために、反応後の中和処理が不要
で、塩基性に弱いグリセロール−α,β−不飽和カルボ
ン酸エステルの変性を抑制することができる。さらに本
発明の製造方法は、カラムクロマトグラフィー法を組み
合わせることにより高純度にできる製造方法である。
【0023】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明する。また分析に用いたガスクロマトグラフィ
ー(GC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
の測定方法を示す。また色相の評価方法を示す。 <ガスクロマトグラフィーによる純度測定条件> 機器:島津製作所(株)社製 ガスクロマトグラフ G
C−17A、島津製作所(株)社製 クロマトパック
C−R5A、島津製作所(株)社製 オートインジェク
ター AOC−20、 カラム:J&W scientific製 DB−17
01、Length 15m、ID 0.53mm、M
EGABORE、FILM 1micron、 流速:0.5mL/min、 インジェクション温度:160℃、 検出器温度:250℃、 カラム温度:初期温度80℃で4分間保持、200℃ま
で10℃/minで昇温、200℃で5分間保持、 サンプル濃度:10mg/mL(メタノール溶液)、 注入量:0.5mL、 検出:FIDである。
【0024】<高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)による不純物の測定条件> 機種:東ソー(株)社製 SC−8020、 カラム:FUJI SILYSIA Chomator
ex ODS 100A−15mm 4.6×250m
m 2本、 流速:0.5mL/min 温度:40℃、 溶離液:アセトニトリル/水=7/3、 検出:UV(210nm)。
【0025】<色相の評価>色相(APHA値)は、J
IS K4101の色数試験方法に従って測定した。
【0026】実施例1 かき混ぜ器、温度計、還流冷却器、滴下ロート、空気導
入管を付した200mLの4つ口フラスコに、メタクリ
ル酸(MAA)43g(0.5mol)、p−メトキシ
フェノール0.64g(5mmol)、トリエチルメチ
ルアンモニウムクロリド(TEMAC)0.45g(3
mmol)を入れて溶かし、空気を吹き込みながら90
℃に保った。そこへ、グリシドール(GLD)37g
(0.5mol)を一定速度で2時間かけて滴下し、そ
の後9時間反応を続けた。反応液の色相はAPHA80
であった。またGC測定した結果、グリセロールメタク
リレートの純度は81%であった。さらに反応の溶液
を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、溶出
溶媒:アセトン)によって精製し、化合物63g(収率
78%)得た。その化合物の1H−NMRスペクトルを
測定した結果を以下に示す。1 H−NMR(CDCl3 with TMS):δ=
1.95(s,3H)、2.6−3.5(bs,2
H)、3.5−4.1(m,3.2H)、4.23
(d,1.7H)、4.97(quintet,0.1
H)、5.61(s,1H)、6.14(s,1H) 以上の1H−NMRスペクトルの結果から化合物が下記
の式の目的物のグリセロールメタクリレートであること
を確認した。
【0027】
【化1】
【0028】精製後のグリセロールメタクリレートを前
記のGC分析方法により測定した結果、純度は95%で
あった。なお前記のHPLC測定方法のよる測定結果の
チャートを図1に示す。
【0029】実施例2 実施例1のトリエチルメチルアンモニウムクロリド(T
EMAC)0.45g(3mmol)の代わりに、トリ
エチルベンジルアンモニウムクロリド(TEBzAC)
0.68g(3mmol)を用い、反応温度を90℃か
ら70℃に変更した以外は実施例1に準じて反応した。
グシシドール2時間かけて滴下した後24時間反応を続
けた。反応液の色相はAPHA80であった。またGC
測定した結果、グリセロールメタクリレートの純度は8
0%であった。さらに反応の溶液を、カラムクロマトグ
ラフィー(シリカゲル60、溶出溶媒:アセトン)によ
って精製して、化合物を60g(収率75%)得た。1
H−NMRスペクトルを測定し、実施例1と同様の値を
得て、化合物が目的物のグリセロールメタクリレートで
あることを確認した。また精製後のグリセロールメタク
リレートをGC測定した結果、純度は95%であった。
【0030】実施例3 実施例1の触媒トリエチルメチルアンモニウムクロリド
(TEMAC)0.45g(3mmol)の代わりに、
N−ラウリルピリジニウムクロリド(N−LPC)0.
85g(3mmol)を用い、反応温度を90℃から7
0℃に変更し、グリシドール37g(0.5mol)を
滴下を3時間かけて行い、その後16時間反応を続けた
以外は実施例1に準じて行った。反応液の色相はAPH
A70であった。またGC測定した結果、グリセロール
メタクリレートの純度は83%であった。さらに反応の
溶液を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、
溶出溶媒:酢酸エチル)によって精製し、化合物を64
g(収率80%)得た。1H−NMRスペクトルを測定
し、実施例1と同様の値を得て、化合物が目的のグリセ
ロールメタクリレートであることを確認した。精製後の
グリセロールメタクリレートをGC測定した結果、純度
は95%であった。
【0031】実施例4 実施例1のMAA43g(0.5mol)の代わりに、
アクリル酸(AA)36g(0.5mol)を用い、ま
たトリエチルメチルアンモニウムクロリド(TEMA
C)0.45g(3mmol)の代わりに、触媒をトリ
ブチルベンジルアンモニウムクロリド(=TBBzA
C)0.94g(3mmol)を用い、グリシドール滴
下後の9時間の反応を12時間反応に代えた以外は実施
例1に準じて反応を行った。反応液の色相はAPHA7
0であった。またGC測定した結果、グリセロールアク
リレートの純度は80%であった。さらに反応の溶液
を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、溶出
溶媒:酢酸エチル)によって精製し、化合物56g(収
率77%)を得た。1H−NMRスペクトルを測定した
結果を以下に示す。1 H−NMR(CDCl3 with TMS):δ=
2.8−3.6(bs,2H)、3.5−4.1(m,
3.2H)、4.30(d,J=6.0Hz,1.7
H)、5.00(quintet,0.1H)、5.8
4(d,1H)、6.1−6.3(dd,1H)、6.
45(d,1H) 以上の結果から、化合物が目的のグリセロールアクリレ
ートであることを確認した。精製後のグリセロールアク
リレートをGC測定した結果、純度は94%であった。
【0032】比較例1 実施例1のトリエチルメチルアンモニウムクロリド(T
EMAC)0.45g(3mmol)の代わりに、トリ
エチルアミン(TEA)0.30g(3mmol)を用
いた以外は実施例1と同様にして反応した。反応液の色
相はAPHA500であった。またGC測定した結果、
グリセロールメタクリレートの純度は65%であった。
なお前記のHPLC測定方法のよる測定結果のチャート
を図2に示す。
【0033】比較例2 実施例1と同様の容器に、アクリル酸(AA)36g
(0.5mol)、p−メトキシフェノール0.64g
(5mmol)、2−メチルイミダゾール(2−MI)
0.25g(3mmol)を入れて溶かし、空気を吹き
込みながら90℃に保った。そこへ、グリシドール37
g(0.5mol)を一定速度で2時間かけて滴下し、
その後12時間反応を続けた。反応液の色相はAPHA
300であった。またGC測定した結果、グリセロール
アクリレートの純度は59%であった。
【0034】比較例3 比較例2の2−メチルイミダゾール(2−MI)0.2
5g(3mmol)の代わりに、テトラブチルアンモニ
ウムフルオライド(TBAF)1mol/Lin TH
F)3mL(3mmol)を用い、反応温度を90から
80℃に変更した以外は比較例2に準じて反応した。反
応液の色相はAPHA250であった。またGC測定し
た結果、グリセロールアクリレートの純度は58%であ
った。以上の実施例1〜4と比較例1〜3の結果を表1
に示す。
【0035】
【表1】
【0036】注、表中の略号は次のとおりである。 GLD;グリシドール、MAA;メタクリル酸、AA;
アクリル酸、TEMAC;トリエチルメチルアンモニウ
ムクロリド、TEBzAC;トリエチルベンジルアンモ
ニウムクロリド、N−LPC;N−ラウリルピリジニウ
ムクロリド、TBBzAC;トリブチルベンジルアンモ
ニウムクロリド、TEA;トリエチルアミン、2−M
I;2−メチルイミダゾール、TBAF;トリブチルア
ンモニムクロリド、TBAF;テトラブチルアンモニウ
ムフルオライド、不純物1;(グリセロール)2-4
(メタ)アクリル酸エステル、不純物2;グリセロール
ジ(メタ)アクリル酸エステル、GMA;グシシジルメ
タクリレート。 なおまた表中、純度はGCの測定による純度、不純物の
測定は、HPLCの測定による。
【0037】比較例4 特開昭60−215650号公報に準じて、グリシジル
メタクリレート71g(0.5mol)、水90g(5
mol)、触媒のP−トルエンスルホン酸4.9gを加
えて、反応温度80℃で8時間反応した。その後、20
%水酸化ナトルリウム水溶液で中和してから30〜40
℃、20〜30mmHgの減圧下で空気を吹き込みなが
ら徐々に脱水し、最終1〜2mmHgまで減圧して、化
合物を得た。前記と同様にして測定した結果、純度68
%、不純物1<1%、不純物2相当分10%、その他の
重合物15%であった。また、脱水に約16時間を要し
た。得られた化合物はAPHAで100であった。結果
を合わせて表1に示す。
【0038】以上の結果よりつぎのことが分かる。アミ
ン類を触媒として用いた比較例1および2、塩基性の第
4アンモニウム塩を触媒として用いた比較例3は、色相
250〜500、GC純度59%〜65%であるのに比
べて、また、GMAを原料とする水和によるエポキシ開
環反応である比較例4が純度が著しく低いのに比べて、
実質的に塩基性ではない第4アンモニウム塩を触媒に用
いた本発明の実施例1〜4は、反応後の色相がAPHA
80以下、純度は80%以上であり、またカラムクロマ
トグラフィーで精製すると純度が高く、本発明の製造方
法が優れた方法であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1におけるHPLCのチャートで
ある。
【図2】図2は比較例1におけるHPLCのチャートで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実質的に塩基性を示さない第4アンモニウ
    ム塩触媒の存在下に、α,β−不飽和カルボン酸とグリ
    シドールとを反応させることを特徴とするグリセロール
    −α,β−不飽和カルボン酸エステルの製造方法。
  2. 【請求項2】α,β−不飽和カルボン酸が、アクリル
    酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸およびフマ
    ル酸からなる群から選択される1種または2種以上であ
    る請求項1記載のグリセロール−α,β−不飽和カルボ
    ン酸エステルの製造方法。
  3. 【請求項3】製造されるグリセロール−α,β−不飽和
    カルボン酸エステルが、APHA80以下の色相で、か
    つ80%以上のガスクロマトグラフィーの純度である請
    求項1又は2に記載のグリセロール−α,β−不飽和カ
    ルボン酸エステルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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