JP2001294499A - モザイク性の小さな炭化珪素単結晶ウエハ - Google Patents
モザイク性の小さな炭化珪素単結晶ウエハInfo
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Abstract
なエピタキシャル薄膜を成長させ、その薄膜を用いて高
性能なデバイスを歩留り良く作製する。 【解決手段】 エピタキシャル薄膜成長とそのデバイス
作製に使用される口径50mm以上のSiC単結晶ウエ
ハであって、ウエハ面内の任意の2点間での結晶方位の
ずれが60秒/cm以下であるモザイク性の小さな炭化
珪素単結晶ウエハ。
Description
を用いて作製される光デバイスあるいは電子デバイス用
の基板として使用される良質で大型のSiC単結晶ウエ
ハに関するものである。
的強度に優れ、物理的、化学的に安定なことから、耐環
境性半導体材料として注目されている。また近年、青色
から紫外にかけての短波長光デバイス、高周波高耐圧電
子デバイス等の基板ウエハとしてSiC単結晶ウエハの
需要が高まっている。
ス、電子デバイスなどを作製する場合に、通常ウエハ上
に薄膜(例えば、SiC薄膜あるいはGaN薄膜)をエ
ピタキシャル成長させる必要がある。これらの薄膜は、
GaNの場合、一般にMOCVD法(有機金属化学蒸着
法)やMBE法(分子線エピタキシー法)と呼ばれる薄
膜成長法で、また、SiCの場合は、熱CVD法(熱化
学蒸着法)や液相エピタキシャル成長法と呼ばれる方法
により、SiC基板上に堆積される。この際、高品質な
エピタキシャル薄膜を得るには、薄膜を成長させるSi
C基板の面方位が重要なパラメータとなっている。例え
ば、Kimotoらは、高品質のSiCエピタキシャル
薄膜を得るには、(0001)面を有するSiC基板に
特定のオフ角度を付ける必要のあること示している(J
ournal of Applied Physic
s,Vol.75,p.850-859(199
4))。また、GaNエピタキシャル薄膜成長において
は、SiC基板の面方位が(0001)面からずれた場
合には、ステップバンチングと呼ばれる現象により巨大
ステップが成長表面に出現し、組成ムラ、欠陥発生等の
原因となることが示されている(T.Nishida
et al.,Journal of Crystal
Growth,Vol.195,p.41-47(19
98))。そこで通常、SiC薄膜あるいはGaN薄膜
のエピタキシャル成長の際には、これら所望の面方位に
切り出したSiC単結晶ウエハが基板として用いられ
る。この際、基板の面方位は0.5°以下、より好まし
くは0.25°以下の角度精度で制御される必要があ
る。これ以上面方位角度がずれた場合には、所望の薄膜
特性を得ることが難しくなる。
の手法を使って精度良く所望の面方位の基板を取り出
し、その上にSiC薄膜あるいはGaN薄膜のエピタキ
シャル成長が行われている。しかしながら、このように
精度良く切り出されたSiC単結晶ウエハを基板として
用いても、薄膜あるいはその上に作製されたデバイスは
部分的には良質な特性を示すものの、ウエハ全面に渡っ
て良質な特性を得るのは困難であった。
C単結晶基板上へのエピタキシャル薄膜成長において、
良質なエピタキシャル薄膜が得られるように所望の面方
位を有したSiC単結晶基板を用いても、ウエハの全面
に渡って良質な薄膜を得ることは困難であった。また、
このことは、製造装置の改造やプロセス条件の改善によ
って解決できるものではなかった。
SiC単結晶ウエハを提供することを目的とする。
小さなSiC単結晶ウエハを基板として用いることによ
り、上記課題を解決できることを見い出し、完成したも
のである。即ち、本発明は、 (1) エピタキシャル薄膜成長用基板として用いられ
る口径50mm以上の炭化珪素単結晶ウエハであって、
ウエハ面内の任意の2点間での成長面方位のずれが60
秒/cm以下である炭化珪素単結晶ウエハ (2) ウエハ面内の任意の2点間での成長面方位のず
れが30秒/cm以下である(1)記載の炭化珪素単結
晶ウエハ (3) ウエハ面内の任意の2点間での任意の結晶面方
位のずれが60秒/cm以下である(1)記載の炭化珪
素単結晶ウエハ (4) ウエハ面内の任意の2点間での任意の結晶面方
位のずれが30秒/cm以下である(1)記載の炭化珪
素単結晶ウエハである。
に高品質のエピタキシャル薄膜を作製する際に、モザイ
ク性が小さなSiC単結晶ウエハを基板として用いる。
前述したように、例えばSiCエピタキシャル薄膜ある
いはGaNエピタキシャル薄膜の品質は、用いるSiC
基板の面方位により大きく変化する。そこで通常、所望
の面方位に切り出したSiC単結晶ウエハを基板として
用いる。しかしながら、高品質な薄膜は基板の一部での
み得られ、ウエハ全面に渡って高品質な薄膜を得ること
は困難であった。発明者らは、この原因として、基板と
して用いられているSiC単結晶ウエハのモザイク性を
考察した。現在市販されているSiC単結晶ウエハに
は、モザイク性といわれる結晶方位の微小なずれが存在
する。この結晶方位のずれは高分解能のX線回折、ある
いはX線トポグラフィー等により調べられている。例え
ば、Glassら(Journal of Cryst
al Growth,Vol.132,p.504-5
12(1993))、あるいはTuominenら(M
aterials Research Society
Symposium Proceedings,Vo
l.339,p.729-734(1994))は、高
分解能のX線回折装置を用いて、SiC単結晶ウエハの
モザイク性について調べている。彼等によれば、SiC
単結晶ウエハのモザイク性は、SiC単結晶ウエハが微
小に方位が異なる多数のドメインから成っていることに
起因している。このことを図1に模式的に示した。図1
は(0001)面SiC単結晶ウエハが多数のドメイン
から成り、その〔0001〕c軸が、各ドメイン毎に僅
かに異なっていることを示している。Glassら、あ
るいはTuominenらによれば、市販のSiC単結
晶ウエハにおける、各ドメイン間の(0001)面方位
のずれは、100〜200秒/cmと報告されている。
SiC単結晶ウエハを基板として用いてもウエハ全面に
渡って高品質な膜が得られなかった原因が、SiC単結
晶ウエハのモザイク性に起因していることを実験的に見
い出した。Ellisonらの論文(Diamond
and Related Materials,Vo
l.6,p.1369-1373(1997))に記載
されているように、SiC単結晶に上記したような大き
なモザイク性が存在すると、ウエハ加工(研削、研磨工
程)の際に、ウエハの反り等の好ましくない現象を伴っ
て、結晶面方位のズレがウエハ面内で生じる(このよう
な現象はcrystal bendingと呼ばれてい
る)。この結晶面方位のズレは、直径50mmのウエハ
においては、両端の領域で0.7°以上にも達する。従
って、このようなモザイク性の大きなSiC単結晶ウエ
ハをSiC薄膜あるいはGaN薄膜のエピタキシャル成
長に用いた場合には、ウエハ面内全域に渡って所望の面
方位で結晶成長を行うことが困難となる。また、モザイ
ク性の大きなSiC単結晶ウエハでは、図1に示される
ように、各ドメインの境界は結晶学的には不整合な界面
となっており、一般に高密度の転位欠陥網が存在する
(この領域は小傾角粒界と呼ばれる)。高密度に転位欠
陥が存在する領域上にエピタキシャル薄膜を成長した場
合には、やはり品質が劣化することは避け難く、このこ
ともウエハ全域に渡って高品質なエピタキシャル薄膜を
作製することを困難なものとしていた。
明では、エピタキシャル薄膜成長の際に、モザイク性の
小さなSiC単結晶ウエハを基板として用いた。モザイ
ク性の小さなSiC単結晶ウエハとは、ウエハ内の任意
の2点間において、成長面方位のずれが60秒/cm以
下、より好ましくは30秒/cm以下、さらに好ましく
は、ウエハ内の任意の2点間において、任意の結晶面方
位のずれが60秒/cm以下、より好ましくは30秒/
cm以下のものを指す。
ク性が小さな場合、すなわちウエハ内の任意の2点間に
おいて、成長面方位のずれが60秒/cm以下の場合に
は、ウエハ加工の際に上記crystal bendi
ng効果が小さくなり、直径50mmのウエハにおいて
も、両端の領域で面方位のズレが0.5°以下となるこ
とを見い出した。
エハの製造方法の一例を説明する。ここでは種結晶を用
いた昇華再結晶法により作製した。昇華再結晶法では黒
鉛るつぼ内でSiC粉末原料を昇華させ、低温部に置か
れた種結晶上に再結晶化させることによりSiC単結晶
を製造する。成長は通常アルゴン等の不活性ガス中で行
う。発明者らは、種結晶として、(0001)面を有す
る口径50mmのSiC単結晶ウエハを用意し、成長温
度2200〜2400℃で単結晶成長を約20時間行っ
た。この際、成長結晶内部に存在する温度勾配が成長中
常に15℃/cm以下となるように、るつぼの設計及び
成長条件の選択を行った。このような低温度勾配の条件
下では、新たに成長結晶に小傾角粒界が導入されること
はなく、成長結晶のモザイク性は増加しない。また、モ
ザイク性を増加させないためには、成長結晶への異種ポ
リタイプインクルージョンや黒鉛インクルージョン、S
i液滴等が成長表面に付着することも防止する必要があ
る。
せる際に、成長結晶の形状を成長方向に対して凸形状に
することが、モザイク性の改善に有効であることを見い
出した。このことを図2を用いて説明する。図2は、S
iC単結晶中の小傾角粒界を構成する転位欠陥が結晶成
長中、どのように成長結晶中を伝播していくかを模式的
に表わしたものである。成長結晶のモザイク性の改善に
は、転位欠陥が結晶成長中、成長表面に垂直に伝播して
いくことを利用する。図2に示したように、SiC単結
晶の成長形状を成長方向に対して凸形状にした場合、小
傾角粒界(転位欠陥の集合体)は成長表面に垂直に伝播
し、結果として結晶の外周方向に移動することになる。
小傾角粒界が結晶周辺部へ移動すると、中心部には小傾
角粒界密度の低い領域、すなわちモザイク性の改善され
た領域が形成される。このように、低温度勾配の条件下
でSiC単結晶の成長形状を制御して成長を行うと、成
長したSiC単結晶のモザイク性は、用いた種結晶のそ
れよりも改善される(中心部にモザイク性の改善された
部分が形成される)。
結晶から再度、(0001)面を有するSiC単結晶ウ
エハを種結晶として準備し、この種結晶上に上記のモザ
イク性の改善される条件で再びSiC単結晶を成長す
る。この単結晶成長→種結晶切りだし→単結晶成長のプ
ロセスを幾度か繰り返すことによって、モザイク性の改
善された領域は拡大し、最終的にはウエハ全域に渡って
モザイク性の小さなSiC単結晶ウエハを製造すること
ができる。
作製するには、上記の昇華再結晶法以外の方法、例えば
溶液成長法あるいは高温の化学的気相成長法等を利用す
ることも考えられるが、これらの方法においても、成長
の際の結晶内部の温度勾配を小さく保ち、且つ結晶の成
長形状を成長方向に対して凸形状に保てば、モザイク性
の小さなSiC単結晶ウエハを製造できる。
る。
のズレが40秒/cm以下というモザイク性の小さな口
径50mmの6H型SiC単結晶ウエハを基板として用
いて、SiCのエピタキシャル成長を行った。基板の面
方位は(0001)面から<11-20>方向に3.5
°オフしたものを使用した。このSiC単結晶ウエハ
は、従来技術で製造されたSiC単結晶ウエハ(ウエハ
内の1cm離れた2点間での(0001)面方位のズレ
が150秒/cm以上)を種結晶として、昇華再結晶法
により、単結晶成長→種結晶切りだし→単結晶成長のプ
ロセスを18回繰り返すことにより製造した。この際、
成長結晶内部の温度勾配を15℃/cm以下となるよう
にし、且つ結晶の成長形状を成長方向に対して凸形状に
なるようにした。
成長温度1500℃、シラン(SiH4)、プロパン
(C3H8)、水素(H2)の流量が、それぞれ0.3m
l/min、0.2ml/min、3.0l/minで
あった。成長圧力は大気圧とした。成長時間は2時間
で、膜厚としては約5μm成長した。
力顕微鏡により、得られたエピタキシャル薄膜表面の欠
陥密度(ピット、異種ポリタイプインクルージョンに起
因する表面欠陥等)を調べたところ、周辺部、中央部共
にほぼ同様な、低欠陥密度(欠陥密度:8×103個/
cm2)のSiCエピタキシャル薄膜が成長していた。
C単結晶ウエハを基板として用いたSiCエピタキシャ
ル薄膜成長を例にとり説明したが、低モザイク性の効果
は、成長する結晶面が(0001)面以外の場合(例え
ば(11-20)面等)においても有効である。
型SiC単結晶ウエハを基板として用いてSiCエピタ
キシャル薄膜成長を行った。基板は、実施例1のモザイ
ク性の小さなSiC単結晶ウエハを製造する工程で、最
初に種結晶として使用したSiC単結晶ウエハを切り出
すために用いた、従来技術により製造されたSiC単結
晶から同様に切り出したSiC単結晶ウエハである。基
板の面方位は(0001)面から<11-20>方向に
3.5°オフとした。このウエハ内の1cm離れた2点
間での(0001)面方位のズレは150秒/cm以上
であった。
得られたエピタキシャル薄膜の表面をノマルスキー光学
顕微鏡、原子間力顕微鏡により観察したところ、中央部
(欠陥密度:9×103個/cm2)に比べ、周辺部(外
周から約12mmの領域)において約2倍の欠陥密度と
なった。
薄膜を成長させる場合について述べる。実施例1で使用
した、モザイク性の小さなSiC単結晶ウエハを切り出
すために用いたSiC単結晶から同様に切り出した口径
50mmの6H型SiC単結晶ウエハを基板として使用
した。ウエハ内の1cm離れた2点間での(0001)
面方位のズレは40秒/cm以下であった。面方位は
(0001)面ジャスト方位とした。
MOCVD法によりエピタキシャル成長させた。成長条
件は、成長温度1050℃、トリメチルガリウム(TM
G)、アンモニア(NH3)、シラン(SiH4)をそれ
ぞれ、54×10-6mol/min、4.0l/mi
n、22×10-11mol/min流した。また、成長
圧力は大気圧とした。成長時間は60分間で、n型の窒
化ガリウムを3μmの膜厚に成長させた。
的で、成長表面をノマルスキー光学顕微鏡、原子間力顕
微鏡により観察した。ウエハ全面に渡って非常に平坦な
モフォロジーが得られ、全面に渡って高品質なGaN薄
膜が形成されているのが分かった。
型SiC単結晶ウエハを基板に用いてSiCエピタキシ
ャル薄膜成長を行った。基板は、比較例1で使用したモ
ザイク性の大きなSiC単結晶ウエハを切り出すために
用いたSiC単結晶から同様に切り出したSiC単結晶
ウエハである。ウエハ内の1cm離れた2点間での(0
001)面方位のズレは150秒/cm以上であった。
面方位は(0001)面ジャスト方位とした。
後、表面をノマルスキー光学顕微鏡、原子間力顕微鏡に
より観察したところ、中央部では、非常に平坦なモフォ
ロジーを観察できたが、周辺部(外周から約16mmの
領域)においては高さ0.1μm以上の巨大ステップが
観測された。このような巨大ステップの周辺では、組成
ムラや欠陥発生が起きやすく好ましくない。
ば、SiC単結晶ウエハを基板としてエピタキシャル薄
膜成長する場合に、ウエハ全面に渡って高品質な薄膜が
作製可能である。このようなウエハ全面に渡って高品質
な薄膜を用いれば、光学的特性の優れた発光素子、電気
的特性の優れた電子デバイスを歩留り良く作製すること
ができる。
表わしたものである。
ることにより、モザイク性の改善された部分が拡大する
様子を模式的に表わしたものである。
Claims (4)
- 【請求項1】 エピタキシャル薄膜成長用基板として用
いられる口径50mm以上の炭化珪素単結晶ウエハであ
って、ウエハ面内の任意の2点間での成長面方位のずれ
が60秒/cm以下であることを特徴とするモザイク性
の小さな炭化珪素単結晶ウエハ。 - 【請求項2】 ウエハ面内の任意の2点間での成長面方
位のずれが30秒/cm以下である請求項1記載の炭化
珪素単結晶ウエハ。 - 【請求項3】 ウエハ面内の任意の2点間での任意の結
晶面方位のずれが60秒/cm以下である請求項1記載
の炭化珪素単結晶ウエハ。 - 【請求項4】 ウエハ面内の任意の2点間での任意の結
晶面方位のずれが30秒/cm以下である請求項1記載
の炭化珪素単結晶ウエハ。
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JP2000105134A JP4664464B2 (ja) | 2000-04-06 | 2000-04-06 | モザイク性の小さな炭化珪素単結晶ウエハ |
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