JP2001293863A - 液滴吐出ヘッド、インクジェット記録装置及びマイクロアクチュエータ - Google Patents

液滴吐出ヘッド、インクジェット記録装置及びマイクロアクチュエータ

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JP2001293863A
JP2001293863A JP2000110456A JP2000110456A JP2001293863A JP 2001293863 A JP2001293863 A JP 2001293863A JP 2000110456 A JP2000110456 A JP 2000110456A JP 2000110456 A JP2000110456 A JP 2000110456A JP 2001293863 A JP2001293863 A JP 2001293863A
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diaphragm
electrode
air chamber
droplet discharge
ink jet
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Hiromichi Komai
博道 駒井
Shuya Abe
修也 阿部
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 振動板とこの振動板に対抗する電極との間に
電圧を印加することで発生する静電力で振動板を変位さ
せる、インクジェットヘッドおよびマイクロアクチュエ
ータにおいて、低電圧駆動で安定した振動板変位が得ら
れる液滴吐出ヘッド及びこのヘッドを搭載したインクジ
ェット記録装置の提供、並びに低電圧駆動で安定した振
動板変位が得られるマイクロアクチュエータの提供。 【解決手段】 電極基板2の振動板10と対向する凹部
底面に開口を有する連通路17を介してギャップ空間1
5に連通する空気室16を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液滴吐出ヘッド、インク
ジェット記録装置及びマイクロアクチュエータに関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、プリンタ、ファクシミリ、複写
装置、プロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)とし
て用いるインクジェット記録装置において使用する液滴
吐出ヘッドの1つであるインクジェットヘッドとして、
インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する液
室(インク流路、加圧室、吐出室、圧力室、加圧液室等
とも称される。)と、この液室の壁面を形成する振動板
と、この振動板に対向する電極を有し、振動板と電極と
の間に電圧を印加することで発生する静電力により振動
板を変形させて、液室内の圧力/体積を変化させること
によりノズルからインク滴を吐出させる静電型インクジ
ェットヘッドがある。
【0003】このような静電型インクジェットヘッドに
あっては、低電圧駆動が要請されることから、例えば特
開平6−71882号公報に記載されているように振動
板と電極間の距離(ギャップ長)を0.05〜2.0μ
mという微小ギャップにしなければならない。
【0004】ところが、このように振動板と電極との間
ギャップが小さい場合、振動板変形時にギャップ内の空
気圧力が上昇し、振動板の変形が阻害され、所望の変位
量が得らず、所望の振動板変位量を得るためには、電圧
の増加が必要になって低電圧化が困難となる、いわゆる
エアーダンパー効果が発生する。
【0005】そこで、従来の静電型インクジェットヘッ
ドにおいては、特開平7−299908号公報に記載さ
れているように振動板と電極によって形成されるギャッ
プ空間(振動室)を含むアクチュエータを気密に構成
し、このアクチュエータ容積Vと、振動板によって排除
される容積ΔVの比が2≦V/ΔV≦8の範囲に設定す
ることが提案されている。
【0006】また、特開平11−34319号公報に記
載されているように振動板直下以外の振動板基板と電極
基板間のギャップを振動板直下の間隔より大きくし、ア
クチュエータ容積を大きくすることによりV/ΔVを大
きくすることが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しなしながら、上述し
た従来の静電型インクジェットヘッドのように振動板直
下の振動室以外の部分の容積を増加させる構造として
も、実際には、エアーダンパー効果の影響を除くことは
困難であった。
【0008】そこで、本発明者らは実験を繰り返したと
ころ、アクチュエータ容積Vとしては振動板直下の容積
のみがエアーダンパー効果の低減に大きな効果を及ぼ
し、振動板直下以外の容積を増加してもエアーダンパー
効果の低減効果が小さいことが判明した。これは、低電
圧化を目的としてギャップを小さくした場合、ギャップ
が空気の平均自由工程である0.06μmに近づくた
め、空気を連続した流体として取り扱えなくなるためで
ある。
【0009】本発明は上記の課題及び知見に基づいてな
されたものであり、低電圧駆動で安定した振動板変位が
得られる液滴吐出ヘッド及びこのヘッドを搭載したイン
クジェット記録装置並びに低電圧駆動で安定した振動板
変位が得られるマイクロアクチュエータを提供すること
を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、電極を設ける電極
基板には振動板に対向する部分に開口を有し、振動板と
電極との間のギャップ空間に連通する空気室を設けたも
のである。
【0011】ここで、電極基板はシリコン基板に酸化膜
層を形成してなり、空気室を電極基板のシリコン部分に
形成し、この空気室のギャップ空間に臨む開口を形成す
る連通路を酸化膜層に形成することが好ましい。この場
合、酸化膜層に形成した連通路の幅よりも空気室の幅を
広くすることが好ましい。
【0012】また、空気室を振動板短手方向で複数個設
けることが好ましい。さらに、空気室の容積Wと振動板
が電極側に変形変位したとき排除される空気の容積ΔV
との比W/ΔVが少なくとも5以上であることが好まし
い。さらにまた、空気室はドライエッチングで等方的に
形成することができる。
【0013】本発明に係るインクジェット記録装置は、
インク滴を吐出するインクジェットヘッドとして本発明
に係る液滴吐出ヘッドを用いたものである。
【0014】本発明に係るマイクロアクチュエータは、
電極を設ける電極基板の振動板と対向する部分に振動板
と電極との間のギャップ空間が連通する空気室を設けた
ものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は本発明を適用した静電
型インクジェットヘッドの振動板長手方向の模式的断面
説明図、図2は同ヘッドの振動板短手方向の模式的断面
説明図、図3は同ヘッドの電極基板の平面図である。
【0016】この静電型インクジェットヘッドは、振動
板基板1と、この振動板基板1の下面に接合した電極基
板2と、振動板基板1の上面に接合した天板3とを備
え、液滴であるインク滴を吐出するノズル4と、ノズル
4に連通する液室5と、液室5に流体抵抗部6を介して
インクを供給する共通液室7などを形成している。
【0017】振動板基板1には、ノズル4を形成するノ
ズル溝と、液室5及びこの液室5の壁面(底面)となる
振動板10を形成する凹部と、流体抵抗部6を形成する
溝及び共通液室8を形成する凹部を形成している。
【0018】ここで、振動板基板1は、例えばシリコン
基板を熱酸化膜を介して接合したSOI基板を用いるこ
とができ、液室5となる凹部をKOH水溶液などのエッ
チング液を用いてエッチングすることにより、このとき
熱酸化膜がエッチングストップ層となって振動板10が
高精度に形成される。
【0019】また、振動板基板1としては予めボロンが
注入されたシリコン基板を用いることができ、KOH水
溶液などのエッチング液を用いてエッチングする際に、
高濃度ボロン拡散層がエッチングストップ層となり、振
動板10を高精度に形成したものでもよい。なお、振動
板10に別途電極を形成してもよいが、不純物拡散など
によって振動板が電極を兼ねることも可能である。
【0020】また、電極基板2にはシリコン基板を用い
て熱酸化法などにより酸化膜層2aを形成し、この酸化
膜層2aに凹部11を形成して、この凹部11底面に振
動板10に所定のギャップをおいて対向する電極13を
配置している。これらの振動板10と電極13によって
静電力で振動板10を変形変位させる本発明に係るマイ
クロアクチュエータを構成している。
【0021】この電極13の表面には振動板10との接
触による損傷などを防止するためにSiO2膜などの酸化
膜系絶縁膜、Si34膜などの窒化膜系絶縁膜からなる
保護膜(絶縁膜)14を成膜しているが、電極13表面
に保護膜14を形成しないで、振動板10側に絶縁膜を
形成することもできるし、いずれにも保護膜14を形成
しないこともできる。
【0022】そして、この電極基板2には振動板10に
略対向する部分に、振動板10と電極13との間に形成
されるギャップ空間(振動板が変位する空間であり、こ
れを「振動室」と称する。)15に臨む開口を形成する
連通路17を介して振動室15に連通する空気室16を
形成している。
【0023】ここで、空気室16は電極基板2の熱酸化
膜層2aを形成していないシリコン部分に形成し、連通
路17は酸化膜層2aに形成した切り欠きとしている。
また、空気室16は振動板短手方向で複数個(ここでは
2個である)形成し、さらに、連通路17の幅よりも空
気室16の幅を広くしている。
【0024】さらに、電極基板2と振動板基板1との間
の開口部は振動室15内に水分等が浸入するのを防止す
るために封止剤19によって封止している。また、天板
3には共通液室7に外部からインクを供給するためのイ
ンク供給口20を形成している。
【0025】このように構成したインクジェットヘッド
においては、振動板10を共通電極とし、電極13を個
別電極として、図1に示すようにドライバIC21から
振動板10と電極13との間に駆動電圧を印加すること
によって、振動板10と電極13との間に発生する静電
力によって振動板10が電極13側に変形変位し、この
状態から振動板10と電極13間の電荷を放電させるこ
とによって振動板10が復帰変形して、液室5の内容積
(体積)/圧力が変化することによって、ノズル4から
インク滴が吐出される。
【0026】すなわち、個別電極とする電極13にパル
ス電圧を印加すると、共通電極となる振動板10との間
に電位差が生じて、個別電極13と振動板10の間に静
電力が生じる。この結果、振動板10は印加した電圧の
大きさに応じて変位する。なお、ここでは、振動板10
が電極13に当接するまで変形変位する駆動電圧を印加
している。その後、印加したパルス電圧を立ち下げるこ
とで、振動板10の変位が復元して、その復元力により
液室5内の圧力が高くなり、ノズル4からインク滴が吐
出される。
【0027】ここで、振動板10と電極13間で構成さ
れるギャップ空間である振動室15の容積Vは振動板1
0の短手方向長さをa、長手方向長さをb、ギャップ長
をδとすると、ほぼV=a×b×δとなる。一方、振動
板10の変形時の排除容積ΔVは、ΔV=8×a×b×
δ/15となる。なお、ここでは、振動板10の変位量
としてδを採用しているが、これは振動板10を電極1
3に当接させて駆動するいわゆる当接駆動方式の方が低
電圧化、インク滴吐出量の均一化の点で優れるからであ
る。
【0028】ところで、このような当接駆動方式の場
合、空気室16を設けないで凹部11底面を平坦面とし
たとき(図4の例)、振動室15の容積(アクチュエー
タ容積)Vと排除容積ΔVの比V/ΔVは、約V/ΔV
=15/8で、2以下の値となる。ここで、実験を繰り
返した結果、エアーダンパー効果は、アクチュエータ容
積Vとしては、振動板直下の振動室容積の増加のみが大
きな効果を及ぼし、振動板直下以外の容積増加、即ち図
1で示す配線用溝領域の容積による容積増加等の効果は
小さいことが判明した。
【0029】そこで、この実施形態のように、電極基板
2の振動板10に略対向する部分、すなわち、ここでは
凹部11底面の電極13を形成しない部分に振動室15
に臨む開口をなす連通路17を形成して、この連通路1
7を介して振動室15に連通する空気室16を設けるこ
とによって、実効的な振動室容積Vを大きくし、V/Δ
Vの値を大きくすることができて、エアーダンパー効果
を低減でき、低電圧駆動で安定した振動板変位を得るこ
とができる。
【0030】この場合、空気室16を電極基板2内部に
設けて連通路17を介して振動室15に連通させること
で、電極形成面(凹部11底面)の面積の減少が少な
く、電極形成面積が減少して静電力が低下することを回
避できる。そして、空気室16の幅を連通路17の幅よ
りも広くすることで、大きな容積の空気室16を確保す
ることができる。
【0031】ここで、この実施形態に係るインクジェッ
トヘッドの具体例について製造工程を含めて説明する。
電極基板2としては結晶面方位(100)のシリコン基
板を用いて、熱酸化法で厚さ2μmの酸化膜層2aを形
成した。そして、熱酸化膜層2aにドライエッチング法
により振動室15となる凹部11を深さ0.6μmで形
成した。この凹部11の底面には厚さ0.15μmのT
iNからなる電極13をスパッタリングにより成膜し、
ドライエッチングによりパターニングした。電極保護膜
14としてSiO2を厚さ0.15μmになるようにP
−CVD法で成膜し、ドライエッチングによりパターニ
ングした。
【0032】次いで、凹部11底面の電極13周辺に幅
4μm、振動板長さ1mmに対して長さ1.1mmの切
り欠き(連通路17)をドライエッチングによりシリコ
ン基板の熱酸化膜層2aがない領域に到達する深さまで
形成した。その後、レジストパターンを形成して切り欠
き部のみを露出させ、ドライエッチングを行うことによ
り、等方性エッチングで得られる形状とほぼ同じ形状の
空気室16を形成した。
【0033】このとき、空気室16の大きさはエッチン
グ時間で変化させることができ、空気室16の形状を台
形で近似したとき、上辺長さ16μm、下辺長さ6μ
m、深さ12μmの空気室16とした。熱酸化膜層2a
の切り欠き部(連通路17)容積を除いても、一つの空
気室16の断面積は約132μm2であり、空気室全体
の容積Wと排除容積ΔVの比W/ΔVは「12」を越え
る値となった。
【0034】一方、振動板基板1としてはシリコン基板
が熱酸化膜を介して接合されたSOI基板を使用し、こ
のSOI基板と電極基板2を温度900℃の条件で直接
接合した後、SOI基板の面方位(110)のSiをウ
エットエッチングによりエッチングして、液室5等とな
る凹部を形成すると同時に板厚3μmの振動板10を形
成した。
【0035】また、比較例として、図4に示すように空
気室16及び連通路17を形成しないインクジェットヘ
ッドを製作した。
【0036】そして、これらの各インクジェットヘッド
のアクチュエータの振動変位量をレーザードップラー計
で測定した。この結果、振動板10が電極13表面の保
護膜14に当接を開始する電圧は、空気室16を設けた
場合の方が約6V低く、空気室16が実質的にも振動室
15として機能し、その効果の大きいことを確認した。
【0037】次に、本発明の他の実施形態について図5
を参照して説明する。なお、同図は同実施形態に係るヘ
ッドの振動板短手方向の模式的断面説明図である。この
実施形態では、電極基板2にはシリコン基板を用いて熱
酸化法などにより酸化膜層2aを形成し、この酸化膜層
2aに振動板10に対応し、振動板10の最大変位量を
規定するための第1凹部11aを形成し、この第1凹部
11aの底面に複数の第2凹部11bを形成し、この第
2凹部11bの底面に、振動板10に所定のギャップを
おいて対向する電極13を配置している。
【0038】したがって、振動板10が変位したとき、
振動板10は第1凹部11aの底面のうちの第2凹部1
1bが形成されていない残存部分に当接することで変位
が規制される。すなわち、第1凹部11aの残存部分
(振動板短手方向中央部分では第2凹部11b間の隔壁
となる部分)は振動板10が当接する電極13より高い
当接部22となる。
【0039】ここで、振動板10の短手方向での変位量
は第1凹部11aの底面形状によって規定されることに
なる。この場合、振動板10を当接させる第1凹部11
の底面形状(振動室15の電極側形状)を振動板10に
当分布荷重が加わった場合の振動板変位分布に一致させ
ている。すなわち、この第1凹部11aの底面の振動板
短手方向での断面形状は、振動板10の変位量δとして
表わすとき、次の(1)式で示される形状にしている。
これにより、振動室15の断面形状は振動板10側と電
極13側の辺(面)が非平行な非平行ギャップとなり、
この非平行なギャップに沿って電極13を配置する。
【0040】
【数1】
【0041】ただし、(1)式で、wは荷重、lは振動
板10の短手方向の長さ、Eは振動板10のヤング率、
Iは振動板10の断面二次モーメント、xは振動板10
の短手方向の端部からの距離である。このように、非平
行ギャップの電極側形状を振動板10に当分布荷重が加
わった場合の振動板変位分布に一致させることで、更な
る低電圧駆動化を図れるが、単純な傾斜面にすることも
できる。
【0042】そして、この電極基板2には振動板10に
対向する部分に振動板10と電極13との間に形成され
るギャップ空間(振動室)15に第2凹部11b底面に
形成した連通路17を介して連通する空気室16を形成
している。ここで、空気室16は電極基板2の熱酸化膜
層2aを形成していないシリコン基板の部分に形成して
いること、また、空気室16は振動板短手方向で複数個
(ここでは4個)形成し、さらに、空気室16の幅を連
通路17の幅より広く形成していることなどは前記実施
形態と同様である。
【0043】このように構成したインクジェットヘッド
においては、駆動電圧を印加することにより振動板10
が変形変位して個別電極13に接触するが、前述したよ
うにギャップが非平行ギャップであるので、振動板10
は電極13との間のギャップ長が短い短手方向両端部か
ら変位を開始し、振動板10が変位することで漸次電極
13との間のギャップ長が短くなるので、低い駆動電圧
で発生する静電力でも振動板13を変位させることがで
き、低電圧駆動化を図ることができる。
【0044】ところが、非平行ギャップにした場合、第
2凹部11bや空気室16を設けないで第1凹部11a
の底面に沿って電極13を配置すると、振動板10は電
極13に接触しながら(実際には保護膜を形成するので
保護膜表面に接触することになる)変形することになっ
て、振動室15と排除容積ΔVとの比が略「1」に近い
値となり、エアーダンパー効果が極めて大きくなる。
【0045】これに対して、この実施形態のように第2
凹部11bを形成してその底面に電極13を配置し、更
に振動室15に連通する空気室16を設けることによっ
て、実効的な振動室の容積を増加することができるの
で、非平行ギャップにした場合のエアーダンパー効果を
低減することができる。
【0046】ここで、具体例として、Si基板からなる
電極基板2に2μm程度の酸化膜層2aを形成し、この
熱酸化膜層2aにフォトレジスト層を形成し、このフォ
トレジスト層をフォトリングラフィーにより非平行なギ
ャップ形状とし、このフォトレジスト層をマスクとして
熱酸化膜層2aをエッチングして、振動板10に対応し
て底面形状が前記(1)式で表される形状となる第1凹
部11bを形成する。
【0047】そして、この第1凹部11bの底面にウエ
ット又はドライエッチングによって複数の第2凹部11
bを形成する。その後、第2凹部11bの底面に電極1
3となるTiN膜をスパッタリング法により0.15μ
mの厚みに成膜し、第2凹部11bの立ち上がり部との
間に連通路17を形成する部分などを残してレジストパ
ターンを形成し、ドライエッチングを行うことによって
第2凹部11bの底面に所要の形状の電極13を形成す
る。
【0048】次いで、このTiN膜(電極13を含む)
上に電極13を被覆する形状にレジストをパターンニン
グし、このレジストパターンと残存しているTiN膜と
をマスクとして、第2凹部11bの底面に連通路17と
なる切り欠き部を熱酸化膜層2aにを通過するまで掘り
込み、更にドライエッチングを行って空気室16を形成
した。その後、前記実施形態と同様にしてインクジェッ
トヘッドを完成した。
【0049】但し、ギャップは最大ギャップで0.3μ
mとし、切り欠き(連通路17)の幅を2μm、長さ
1.1mmとし、空気室16は上辺長さ約10μm、下
辺長さ約4μm、深さ約8μmの断面形状とした。一つ
の空気室16の断面積は約56μm2であり、空気室の
全体の容積Wと排除容積ΔVの比W/ΔVは「10」を
越える値となっている。
【0050】また、比較例として、第2凹部11bを設
けないで、第1凹部11a底面に沿って電極13を形成
したインクジェットヘッドを製作した。なお、この場合
には、電極13表面には前記実施形態と同様に保護膜を
形成した。
【0051】そして、これらの各インクジェットヘッド
について振動変位量をレーザードップラー計で測定し
た。この結果、振動板10が電極基板に当接する電圧
は、空気室16を設けた場合の方が約10V低く、空気
室16の効果の大きいことを確認した。、また、空気室
16のないアクチュエータの場合、駆動周波数を20K
Hz以上にすると振動変位が不安定になる現象が確認さ
れたが、空気室16を設けた場合にはこのような周波数
変化に対する振動変位の不安定現象がないことを確認し
た。
【0052】次に、各実施形態を含めて、空気室15の
形成方法について説明すると、空気室15の形成にはド
ライエッチング法が適している。これは、シリコン基板
のエッチングにはウエットエッチング法の採用も可能で
あるが、熱酸化膜の微細パターンを介してのシリコンエ
ッチングを行う場合の形状の選択性からドライエッチン
グの方が優れており、ウエットエッチングの場合にはエ
ッチング液の劣化に伴う液管理が必要であり、コスト高
となる等の点からである。
【0053】また、空気室15は振動板10の短手方向
に複数個配置することが好ましい。本発明者らは、空気
室15を1個配置したアクチュエータと、同じ空気室容
積となる複数の空気室15を持つアクチュエータを作製
して、各アクチュエータの振動変位を比較したところ、
複数の空気室15を持つアクチュエータの方が特に高周
波数領域での振動変位安定性が優れることを確認した。
【0054】さらに、空気室15の容積は、切り欠き部
(連通路)の振動板短手方向の幅、振動板長手方向の長
さ、エッチング時間を変えることにより、大幅に変更す
ることができる。そこで、空気室15の容積を変化させ
て振動変位を測定したところ、少なくとも空気室の容積
Wと排除容積ΔVの比W/ΔVが「5」以上にすること
が好ましい。この比W/ΔVが「5」未満では十分にエ
アーダンパー効果を低減できないことがある。また、特
に好ましくは比W/ΔVを「10」以上にする。
【0055】次に、本発明に係るインクジェット記録装
置について図6及び図7を参照して簡単に説明する。な
お、図6は同記録装置の機構部の概略斜視説明図、図7
は同機構部の側面説明図である。
【0056】このインクジェット記録装置は、記録装置
本体31の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、
キャリッジに搭載した本発明に係る液滴吐出ヘッドであ
るインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッ
ドへのインクを供給するインクカートリッジ等で構成さ
れる印字機構部32等を収納し、装置本体31の下方部
には前方側から多数枚の用紙33を積載可能な給紙カセ
ット(或いは給紙トレイでもよい。)34を抜き差し自
在に装着することができ、また、用紙33を手差しで給
紙するための手差しトレイ35を開倒することができ、
給紙カセット34或いは手差しトレイ35から給送され
る用紙33を取り込み、印字機構部32によって所要の
画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ36
に排紙する。
【0057】印字機構部32は、図示しない左右の側板
に横架したガイド部材である主ガイドロッド41と従ガ
イドロッド42とでキャリッジ43を主走査方向(図9
で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッジ
43にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ
(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する
本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッ
ドからなるヘッド44をインク滴吐出方向を下方に向け
て装着し、キャリッジ43の上側にはヘッド44に各色
のインクを供給するための各インクタンク(インクカー
トリッジ)45を交換可能に装着している。このインク
カートリッジ45から前記インク供給口20を介してイ
ンクをヘッド44内に供給する。
【0058】ここで、キャリッジ43は後方側(用紙搬
送方向下流側)を主ガイドロッド41に摺動自在に嵌装
し、前方側(用紙搬送方向下流側)を従ガイドロッド4
2に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ
43を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ4
7で回転駆動される駆動プーリ48と従動プーリ49と
の間にタイミングベルト50を張装し、このタイミング
ベルト50をキャリッジ43に固定している。また、記
録ヘッドとしてここでは各色のヘッド44を用いている
が、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘ
ッドでもよい。
【0059】一方、給紙カセット34にセットした用紙
33をヘッド44の下方側に搬送するために、給紙カセ
ット44から用紙43を分離給装する給紙ローラ51及
びフリクションパッド52と、用紙33を案内するガイ
ド部材53と、給紙された用紙33を反転させて搬送す
る搬送ローラ24と、この搬送ローラ24の周面に押し
付けられる搬送コロ55及び搬送ローラ54からの用紙
33の送り出し角度を規定する先端コロ56とを設けて
いる。搬送ローラ54は副走査モータ57によってギヤ
列を介して回転駆動される。
【0060】そして、キャリッジ43の主走査方向の移
動範囲に対応して搬送ローラ54から送り出された用紙
33を記録ヘッド44の下方側で案内する用紙ガイド部
材である印写受け部材59を設けている。この印写受け
部材59の用紙搬送方向下流側には、用紙33を排紙方
向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ61、拍車
62を設け、さらに用紙33を排紙トレイ36に送り出
す排紙ローラ63及び拍車64と、排紙経路を形成する
ガイド部材65,66とを配設している。
【0061】また、キャリッジ43の移動方向右端側に
はヘッド44の信頼性を維持、回復するための信頼性維
持回復機構(以下「サブシステム」という。)67を配
置している。キャリッジ43は印字待機中にはこのサブ
システム67側に移動されてキャッピング手段などでヘ
ッド44をキャッピングされる。
【0062】なお、上記各実施形態においては、本発明
に係る液滴吐出ヘッド及びマイクロアクチュエータとし
て静電型インクジェットヘッドに適用した例で説明した
が、これに限るものではなく、例えば、インク以外の液
滴、例えば、パターニング用の液体レジストを吐出する
液滴吐出ヘッドにも適用でき、或いはマイクロアクチュ
エータとしてはマイクロモータのアクチュエータ部など
にも適用することができる。
【0063】また、液滴吐出ヘッドとして、振動板変位
方向とノズル滴吐出方向が直交するエッジシュータ方式
で説明しているが、振動板変位方向とノズル滴吐出方向
が同じになるサイドシュータ方式にすることもできる。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る液滴
吐出ヘッドによれば、電極を設ける電極基板には振動板
に略対向する部分に開口を有し、振動板と電極との間の
ギャップ空間に連通する空気室を設けたので、実効的な
ギャップ空間容積を増加できて、エア−ダンパー効果を
低減でき、低電圧駆動で安定した振動板変位を得ること
ができる。
【0065】ここで、電極基板はシリコン基板に酸化膜
層を形成してなり、空気室を電極基板のシリコン部分に
形成し、この空気室のギャップ空間に臨む開口を形成す
る連通路を酸化膜層に形成することで、容易に空気室を
形成することができる。この場合、酸化膜層に形成した
連通路の幅よりも空気室の幅を広くすることで、電極形
成面積が減少して静電力が低下することを防止できる。
【0066】また、空気室を振動板短手方向で複数個設
けることにより十分なギャップ空間容積を確保すること
ができて、特に高周波数駆動のときの振動板変位の安定
性を向上することができる。さらに、空気室の容積Wと
振動板が電極側に変形変位したとき排除される空気の容
積ΔVとの比W/ΔVが少なくとも5以上になるように
空気室を形成することでエア−ダンパー効果をより確実
に低減することができる。さらにまた、空気室はドライ
エッチングで等方的に形成することにより、空気室の形
状選択が容易になる。
【0067】本発明に係るインクジェット記録装置によ
れば、インク滴を吐出するインクジェットヘッドとして
本発明に係る液滴吐出ヘッドを用いたので、振動板変位
のバラツキによる液滴吐出特性のバラツキがなくなり、
安定して高画像品質を得ることができる。
【0068】本発明に係るマイクロアクチュエータによ
れば、電極を設ける電極基板の振動板と対向する部分に
振動板と電極との間のギャップ空間が連通する空気室を
設けたので、低電圧駆動で安定した振動板変位を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る静電型インクジェットヘッドの振
動板長手方向の模式的断面説明図
【図2】同ヘッドの振動板短手方向の模式的断面説明図
【図3】同ヘッドの要部平面説明図
【図4】空気室を有しないインクジェットヘッドの振動
板短手方向の模式的断面説明図
【図5】本発明の他の実施形態に係る静電型インクジェ
ットヘッドの振動板短手方向の模式的断面説明図
【図6】本発明に係るインクジェット記録装置の機構部
を示す概略斜視説明図
【図7】同記録装置の側断面説明図
【符号の説明】
1…振動板基板、2…電極基板、3…天板、4…ノズ
ル、5…液室、6…流体抵抗部、7…共通液室、10…
振動板、11…凹部、13…電極、14…保護膜、15
…振動室(ギャップ空間)、16…空気室、17…連通
路、43…キャリッジ、44…ヘッド。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液滴を吐出するノズルに連通している液
    室の壁面を形成する振動板と、この振動板に対向する電
    極と、前記振動板を静電力で変形変位させて前記ノズル
    から液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおいて、前記電
    極を設ける電極基板には前記振動板に略対向する部分に
    開口を有し、前記振動板と前記電極との間のギャップ空
    間に連通する空気室を設けたことを特徴とする液滴吐出
    ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の液滴吐出ヘッドにおい
    て、前記電極基板はシリコン基板に酸化膜層を形成して
    なり、前記空気室を前記電極基板のシリコン部分に形成
    し、この空気室の前記ギャップ空間に臨む開口を形成す
    る連通路を前記酸化膜層に形成したことを特徴とする液
    滴吐出ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の液滴吐出ヘッドにおい
    て、前記酸化膜層に形成した連通路の幅よりも前記空気
    室の幅が広いことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドにおいて、前記空気室を振動板短手方向で複
    数個設けたことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドにおいて、前記空気室の容積Wと前記振動板
    が電極側に変形変位したとき排除される空気の容積ΔV
    との比W/ΔVが少なくとも5以上であることを特徴と
    する液滴吐出ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドにおいて、前記空気室はドライエッチングで
    等方的に形成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッ
    ド。
  7. 【請求項7】 インク滴を吐出するインクジェットヘッ
    ドを搭載したインクジェット記録装置において、前記イ
    ンクジェットヘッドが前記請求項1乃至6のいずれかの
    液滴吐出ヘッドであることを特徴とするインクジェット
    記録装置。
  8. 【請求項8】 振動板と、この振動板に対向する電極と
    を備えて、前記振動板を静電力で変形変位させるマイク
    ロアクチュエータにおいて、前記電極を設ける電極基板
    には前記振動板と略対向する部分に開口を有し、前記振
    動板と電極との間のギャップ空間に連通する空気室を設
    けたことを特徴とするマイクロアクチュエータ。
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US7416281B2 (en) 2002-08-06 2008-08-26 Ricoh Company, Ltd. Electrostatic actuator formed by a semiconductor manufacturing process

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US8052249B2 (en) 2002-08-06 2011-11-08 Ricoh Company, Ltd. Liquid discharge head, liquid supply cartridge, and liquid jet apparatus having electrostatic actuator formed by a semiconductor manufacturing process

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