JP2001291962A - 多層プリント配線板および多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents

多層プリント配線板および多層プリント配線板の製造方法

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JP2001291962A
JP2001291962A JP2000102768A JP2000102768A JP2001291962A JP 2001291962 A JP2001291962 A JP 2001291962A JP 2000102768 A JP2000102768 A JP 2000102768A JP 2000102768 A JP2000102768 A JP 2000102768A JP 2001291962 A JP2001291962 A JP 2001291962A
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resin
wiring board
printed wiring
multilayer printed
insulating layer
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Application number
JP2000102768A
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English (en)
Inventor
Teru Tsun
暉 鍾
Kenichi Shimada
憲一 島田
Yukihiko Toyoda
幸彦 豊田
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Ibiden Co Ltd
Original Assignee
Ibiden Co Ltd
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Publication date
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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  • Non-Metallic Protective Coatings For Printed Circuits (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃性に優れ、導体回路と樹脂絶縁層との間
で剥離が発生したり、樹脂絶縁層にクラックが発生した
りしにくいため接続信頼性に優れ、また、多層プリント
配線板製造時のバイアホール用開口を形成する際の開口
性に優れるため、所望の形状の開口を有する多層プリン
ト配線板を提供する。 【解決手段】 基板上に導体回路と樹脂絶縁層とが順次
形成され、これら導体回路がバイアホールを介して接続
された多層プリント配線板であって、上記樹脂絶縁層
は、ハロゲン化エポキシ樹脂を含むことを特徴とする多
層プリント配線板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性に優れた多
層プリント配線板およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、ビルドアップ多層プリント配線板
は、例えば、特開平4−55555号公報等に開示され
た方法により製造されている。すなわち、まず、銅箔が
貼り付けられた銅張積層板に貫通孔を形成し、続いて無
電解銅めっき処理を施すことによりスルーホールを形成
する。続いて、基板の表面を導体パターン状にエッチン
グ処理して導体回路を形成し、この導体回路の表面に粗
化面を形成する。そして、この粗化面を有する導体回路
上にエポキシ樹脂やアクリル樹脂の混合物等からなる層
を形成した後、バイアホール用開口を形成し、その後、
UV硬化、本硬化を経て層間樹脂絶縁層を形成する。
【0003】さらに、層間樹脂絶縁層に粗化処理を施し
た後、薄膜導体層を形成し、この薄膜導体層上にめっき
レジストを形成し、電気めっきにより厚付けを行い、め
っきレジスト剥離後、めっきレジスト下に存在している
薄膜導体層をエッチング液により除去し、独立した導体
回路を形成する。この工程を繰り返して、導体回路と層
間樹脂絶縁層とを順次積層した後、ソルダーレジスト組
成物を塗布することにより導体回路を保護するためのソ
ルダーレジスト層を最外層に形成し、ICチップ等との
接続のために開口を形成し、露出した導体回路にめっき
等を施し、半田ペーストを印刷して半田バンプを形成す
ることにより、ビルドアップ多層プリント配線板の製造
を完了する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような多層プリン
ト配線板は、ICチップ等の電子部品を搭載して使用さ
れる。そのため、種々の原因によりICチップ等が発火
した場合に、それに耐えられるものが望まれている。具
体的には、UL試験規格におけるUL94の判定基準に
合格するものが望まれており、特に、94V−0におけ
る燃焼時間の判定基準に合格するものが望まれている。
【0005】また、多層プリント配線板は、上記した難
燃性の基準を満足するとともに、バイアホール用開口等
を形成する際に、その開口性(開口時の形状保持性)に
優れるものが望まれている。しかしながら、従来の多層
プリント配線板は、難燃性や開口性を満足させるもので
はなく、特に、両者を同時に満足させるものではなかっ
た。
【0006】本発明は、上述の問題を解決するためにな
されたものであり、その目的は、難燃性に優れ、さら
に、多層プリント配線板製造時にバイアホール用開口等
を形成する際の開口性に優れるため、導体回路間の接続
信頼性に優れる多層プリント配線板を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
の実現に向け鋭意研究した結果、ハロゲン化エポキシ樹
脂を含む樹脂絶縁層が形成された多層プリント配線板
は、難燃性に優れた多層プリント配線板であり、また、
バイアホール用開口等を形成する際に、開口の形状保持
性に優れるため、上記多層プリント配線板は、所望の形
状の開口を有し、導体回路間の接続信頼性に優れるもの
であることを見いだし、以下に示す内容を要旨構成とす
る本発明に到達した。
【0008】即ち、本発明の多層プリント配線板は、基
板上に導体回路と樹脂絶縁層とが順次形成され、これら
導体回路がバイアホールを介して接続された多層プリン
ト配線板であって、上記樹脂絶縁層は、ハロゲン化エポ
キシ樹脂を含むことを特徴とする。
【0009】本発明の多層プリント配線板において、上
記ハロゲン化エポキシ樹脂は、臭素化エポキシ樹脂であ
ることが望ましい。また、上記臭素化エポキシ樹脂は、
両末端エポキシ基タイプの樹脂、または、エポキシ基の
部分封止タイプの樹脂であることが望ましい。
【0010】また、本発明の多層プリント配線板におい
て、上記樹脂絶縁層は、無機フィラーとして、金属酸化
物を含むことが望ましい。また、上記無機フィラーは、
酸化アンチモンであることが望ましい。
【0011】また、上記無機フィラーの粒径は、0.5
μm以下であることが望ましく、上記無機フィラーの含
有量は、0.1〜15重量%であることが望ましい。
【0012】また、上記樹脂絶縁層は、エポキシ樹脂、
フェノール樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレ
ンエーテル(PPE)、ポリフェニレンオキサイド(P
PO)、フッ素樹脂およびポリイミド樹脂からなる群よ
り選択される少なくとも一種を含むことが望ましい。
【0013】また、上記樹脂絶縁層は、熱硬化性樹脂と
熱可塑性樹脂とからなる樹脂複合体を含むことも望まし
い。
【0014】第1の本発明の多層プリント配線板の製造
方法は、本発明の多層プリント配線板を製造する方法で
あって、少なくとも下記(1)および(2)の工程を含
むことを特徴とする。 (1)ハロゲン化エポキシ樹脂を含む未硬化の樹脂組成
物を調製する工程と、(2)導体回路の形成された基板
または導体回路の形成された樹脂絶縁層上に、上記未硬
化の樹脂組成物を塗布することにより樹脂組成物の層を
形成する工程。
【0015】また、第2の本発明の多層プリント配線板
の製造方法は、本発明の多層プリント配線板を製造する
方法であって、少なくとも下記(1)および(2)の工
程を含むことを特徴とする。 (1)ハロゲン化エポキシ樹脂を含む樹脂フィルムを作
製する工程と、(2)導体回路の形成された基板または
導体回路の形成された樹脂絶縁層上に、上記樹脂フィル
ムを圧着することにより樹脂フィルムの層を形成する工
程。
【0016】また、第3の本発明の多層プリント配線板
の製造方法は、本発明の多層プリント配線板を製造する
方法であって、少なくとも下記(1)〜(5)の工程を
含むことを特徴とする。 (1)ハロゲン化エポキシ樹脂を含む樹脂組成物Aを調
製する工程と、(2)熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物B
を調製する工程と、(3)硬化剤を含む硬化剤成分Cを
調製する工程と、(4)上記樹脂組成物A、上記樹脂組
成物Bおよび上記硬化剤成分Cを混練して混合組成物D
を調製した後、上記混合組成物Dからなる樹脂フィルム
Eを作製する工程と、(5)導体回路の形成された基板
または導体回路の形成された樹脂絶縁層上に、上記樹脂
フィルムEを圧着することにより樹脂フィルムEの層を
形成する工程。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の多層プリント配線板は、
基板上に導体回路と樹脂絶縁層とが順次形成され、これ
ら導体回路がバイアホールを介して接続された多層プリ
ント配線板であって上記樹脂絶縁層は、ハロゲン化エポ
キシ樹脂を含むことを特徴とする。
【0018】本発明の多層プリント配線板によれば、樹
脂絶縁層がハロゲン化エポキシ樹脂を含んでいるため、
これらの存在に起因して難燃性に優れる。また、本発明
の多層プリント配線板に形成された樹脂絶縁層は、ハロ
ゲン化エポキシ樹脂を含んでいるため、バイアホール用
開口等を形成する際の開口性、特に、レーザ光を照射す
ることにより開口を形成する際の開口性に優れており、
所望の形状の開口を有する。
【0019】通常、レーザ照射により開口を形成する場
合には、レーザ照射部位の周囲の樹脂がレーザの照射熱
により燃焼するため、開口の内壁の形状が滑らかな形状
とならず、不均一な凹凸を有するものになってしまう。
しかしながら、本発明の多層プリント配線板の樹脂絶縁
層は、ハロゲン化エポキシ樹脂を含んでいることにより
難燃性を有するため、レーザ照射部位の周囲の樹脂がレ
ーザの照射熱により燃焼することがなく、形成された開
口の内壁の形状は滑らかであり、その形状も所望のもの
となる。
【0020】また、レーザ照射時にレーザ照射部位の周
囲の樹脂が、レーザの照射熱により燃焼することがない
ため、高エネルギーのレーザ光を照射しても、所望の形
状の開口を形成することができる。従って、高エネルギ
ーのレーザ光を照射することにより、短時間で開口を形
成することができ、特に、パルスレーザを用いる場合に
は、単ショットで開口を形成することができる。このよ
うに、本発明の多層プリント配線板は、所望の形状の開
口が形成され、開口内に樹脂残り等がない樹脂絶縁層を
有しているため、該開口内に形成されたバイアホールを
介した上下の導体回路間の接続信頼性に優れている。ま
た、上記多層プリント配線板は、短時間で形成された開
口を有しており、生産性に優れるものである。
【0021】本発明の多層プリント配線板において、樹
脂絶縁層はハロゲン化エポキシ樹脂を含んでいる。上記
ハロゲン化エポキシ樹脂としては、エポキシ樹脂中の水
素がハロゲン原子(F、Cl、Br、IまたはAt)で
置換されたものであれば特に限定されないが、これらの
なかでは、塩素化エポキシ樹脂および臭素化エポキシ樹
脂が望ましい。
【0022】上記ハロゲン化エポキシ樹脂におけるハロ
ゲン化率としては、特に限定されないが、75%以上が
望ましい。上記ハロゲン化率が75%未満では、多層プ
リント配線板が充分な難燃性を有さない場合がある。
【0023】上記臭素化エポキシ樹脂としては、例え
ば、両末端エポキシ基タイプの樹脂、エポキシ基の部分
封止タイプの樹脂、両末端エポキシ基封止タイプの樹
脂、ポリマータイプの樹脂等が挙げられ、これらのなか
では、両末端エポキシ基タイプの樹脂およびエポキシ基
の部分封止タイプの樹脂が望ましい。
【0024】上記両末端エポキシ基タイプの樹脂は、エ
ポキシ基が両末端に存在するものであれば特に限定され
ないが、下記一般式(1)
【0025】
【化1】
【0026】(式中、nは0〜5の整数を表す。)で表
される両末端エポキシ基タイプの樹脂がより望ましく、
上記一般式(1)において、n≒0である両末端エポキ
シ基タイプの樹脂が特に望ましい。ただし、上記臭素化
エポキシ樹脂において、Brの数および位置は、異なっ
ていてもよい。
【0027】上記一般式(1)で表される両末端エポキ
シ基タイプの臭素化エポキシ樹脂の市販品としては、例
えば、東都化成社製のYDB−400、YDB−40
6、YDB−408、YDB−412、YDB−420
等が挙げられる。
【0028】上記エポキシ基の部分封止タイプの樹脂
は、片末端にエポキシ基が存在し、他の片末端に少なく
とも1つの水素が臭素で置換または無置換のフェニル基
が存在するものであれば特に限定されないが、下記一般
式(2)
【0029】
【化2】
【0030】(式中、mは0〜5の整数を表す。)で表
されるエポキシ基の部分封止タイプの樹脂がより望まし
く、上記一般式(2)において、m≒0であるエポキシ
基の部分封止タイプの樹脂が特に望ましい。ただし、上
記臭素化エポキシ樹脂において、Brの数および位置
は、異なっていてもよい。
【0031】上記一般式(2)で表されるエポキシ基の
部分封止タイプの臭素化エポキシ樹脂の市販品として
は、例えば、東都化成社製のYDB−416、YDB−
472等が挙げられる。上記ハロゲン化エポキシ樹脂の
樹脂絶縁層中の含有量は、0.1〜70重量%が望まし
い。0.1重量%未満では、多層プリント配線板が充分
な難燃性を有さない場合があり、一方、70重量%を超
えても、多層プリント配線板の難燃性はあまり向上しな
い。
【0032】上記樹脂絶縁層は、ハロゲン化エポキシ樹
脂以外に、無機フィラーとして金属酸化物を含有してい
ることが望ましい。金属酸化物が樹脂絶縁層中に含有さ
れていると、多層プリント配線板の難燃性がより向上す
る。また、金属酸化物を含む樹脂絶縁層では、該樹脂絶
縁層に応力が発生した場合、この応力が緩和されやす
く、そのため、樹脂絶縁層にクラックが発生したり、導
体回路との間で剥離が発生したりすることがより起こり
にくくなる。
【0033】さらに、樹脂絶縁層に応力が発生する一因
としては、基板やソルダーレジスト層の熱膨張係数と、
樹脂絶縁層の熱膨張係数との差が大きいことが考えられ
るが、樹脂絶縁層が無機フィラーを含む場合、配合する
無機フィラーの量を調整することにより、該樹脂絶縁層
の熱膨張係数を、基板やソルダーレジスト層の熱膨張係
数と大きな差がないものとすることができ、樹脂絶縁層
に応力が発生するのを抑制することができる。従って、
金属酸化物を含む樹脂絶縁層を有する多層プリント配線
板は、樹脂絶縁層にクラックが発生したり、樹脂絶縁層
と導体回路との間で剥離が発生したりしにくく、接続信
頼性に優れるものである。
【0034】上記金属酸化物としては、例えば、Sb2
3 、Sb25 等の酸化アンチモン、酸化マグネシウ
ム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ビスマス等が挙
げられる。これらのなかでは、酸化アンチモンが望まし
い。
【0035】上記無機フィラーの粒径は、0.5μm以
下が望ましい。上記粒径が0.5μmを超えると、樹脂
絶縁層の硬化性に悪影響を及ぼすことがあり、さらに、
樹脂絶縁層にバイアホール用開口等を設ける際の開口性
に悪影響を及ぼすことがある。
【0036】また、上記無機フィラーの形状としては特
に限定されず、例えば、球状、楕円球状、破砕状、多面
体状等が挙げられる。これらのなかでは、樹脂絶縁層に
発生した応力を緩和しやすく、樹脂絶縁層表面の突起物
となりにくい点から、球状が望ましい。
【0037】上記樹脂絶縁層中の無機フィラーの含有量
は、0.1〜15重量%が望ましい。上記含有量が0.
1重量%未満では、樹脂絶縁層の難燃性を向上させる効
果が乏しく、15重量%を超えると、樹脂絶縁層の硬化
性に悪影響を及ぼすことがあり、さらに、樹脂絶縁層に
バイアホール用開口等を設ける際の開口性に悪影響を及
ぼすことがある。
【0038】本発明の多層プリント配線板の樹脂絶縁層
の原料となる樹脂成分は、上記ハロゲン化エポキシ樹脂
のみであってもよいが、上記ハロゲン化エポキシ樹脂以
外に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリオレフィン
系樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェ
ニレンオキサイド(PPO)、フッ素樹脂、ポリイミド
樹脂等を含んでいることが望ましい。これらは単独で用
いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0039】上記エポキシ樹脂としては、例えば、クレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型
エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェ
ノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノール
ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールF型エポキシ
樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエ
ン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基
を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、
トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂
等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種
以上を併用してもよい。それにより、耐熱性等に優れる
ものとなる。
【0040】上記ポリオレフィン系樹脂としては、例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレ
ン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、シクロオレフィ
ン系樹脂、これらの樹脂の共重合体等が挙げられる。こ
れらのなかでは、誘電率および誘電正接が低く、GHz
帯域の高周波信号を用いた場合でも信号遅延や信号エラ
ーが発生しにくく、さらには、剛性等の機械的特性にも
優れている点からシクロオレフィン系樹脂が望ましい。
【0041】上記シクロオレフィン系樹脂としては、2
−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンま
たはこれらの誘導体からなる単量体の単独重合体または
共重合体等が望ましい。上記誘導体としては、上記2−
ノルボルネン等のシクロオレフィンに、架橋を形成する
ためのアミノ基や無水マレイン酸残基あるいはマレイン
酸変性したもの等が結合したもの等が挙げられる。上記
共重合体を合成する場合の単量体としては、例えば、エ
チレン、プロピレン等が挙げられる。
【0042】上記シクロオレフィン系樹脂は、上記した
樹脂の2種以上の混合物であってもよく、シクロオレフ
ィン系樹脂以外の樹脂を含むものであってもよい。ま
た、上記シクロオレフィン系樹脂が共重合体である場合
には、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重
合体であってもよい。
【0043】また、上記シクロオレフィン系樹脂は、熱
硬化性シクロオレフィン系樹脂であることが望ましい。
加熱を行って架橋を形成させることにより、より剛性が
高くなり、機械的特性が向上するからである。上記シク
ロオレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、13
0〜200℃であることが望ましい。
【0044】上記シクロオレフィン系樹脂は、既に樹脂
シート(フィルム)として成形されたものを使用しても
よく、単量体もしくは一定の分子量を有する低分子量の
重合体が、キシレン、シクロヘキサン等の溶剤に分散し
た未硬化溶液の状態であってもよい。また、樹脂シート
の場合には、いわゆるRCC(RESIN COATE
D COPPER:樹脂付銅箔)を用いてもよい。
【0045】上記シクロオレフィン系樹脂は、フィラー
等を含まないものであってもよく、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、リン酸エステル等の難燃剤を
含むものであってもよい。
【0046】上記フッ素樹脂としては、例えば、エチル
/テトラフルオロエチレン共重合樹脂(ETFE)、ポ
リクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等が挙げ
られる。
【0047】また、上記樹脂絶縁層の原料となる樹脂成
分は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とからなる樹脂複合
体も望ましい。これらの樹脂は、感光性樹脂であっても
良い。この場合、熱硬化性樹脂は、ハロゲン化エポキシ
樹脂であっても良いし、それ以外の樹脂、例えば、エポ
キシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等であって
もよい。
【0048】また、上記感光性を有する熱硬化性樹脂と
しては、例えば、メタクリル酸やアクリル酸等と熱硬化
基とをアクリル化反応させたもの等が挙げられる。特
に、エポキシ樹脂をアクリレート化したものが望まし
い。これらのなかでは、1分子中に、2個以上のエポキ
シ基を有するエポキシ樹脂がより望ましい。
【0049】上記エポキシ樹脂としては、例えば、クレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型
エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェ
ノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノール
ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールF型エポキシ
樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエ
ン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基
を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、
トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂
等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種
以上を併用してもよい。それにより、耐熱性等に優れる
ものとなる。
【0050】上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ
エーテルスルフォン(PES)、ポリスルフォン(PS
F)、ポリフェニレンスルフォン(PPS)、ポリフェ
ニレンサルファイド(PPES)、ポリフェニレンエー
テル(PPE)、ポリエーテルイミド(PI)、フェノ
キシ樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0051】上記樹脂複合体における熱硬化性樹脂と熱
可塑性樹脂との混合割合は、熱硬化性樹脂/熱可塑性樹
脂=95/5〜50/50が望ましい。耐熱性を損なう
ことなく、高い靱性値を確保できるからである。
【0052】上記樹脂複合体を含む樹脂絶縁層の材料と
しては、例えば、酸または酸化剤に可溶性の粒子(以
下、可溶性粒子という)が酸または酸化剤に難溶性の樹
脂(以下、難溶性樹脂という)中に分散した粗化面形成
用樹脂組成物等が挙げられる。なお、上記「難溶性」お
よび「可溶性」という語は、同一の粗化液に同一時間浸
漬した場合に、相対的に溶解速度の早いものを便宜上
「可溶性」といい、相対的に溶解速度の遅いものを便宜
上「難溶性」と呼ぶ。
【0053】上記可溶性粒子としては、例えば、酸また
は酸化剤に可溶性の樹脂粒子(以下、可溶性樹脂粒
子)、酸または酸化剤に可溶性の無機粒子(以下、可溶
性無機粒子)、酸または酸化剤に可溶性の金属粒子(以
下、可溶性金属粒子)等が挙げられる。これらの可溶性
粒子は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよ
い。
【0054】上記可溶性粒子の形状(粒径等)としては
特に限定されないが、(a)平均粒径が10μm以下の
可溶性粒子、(b)平均粒径が2μm以下の可溶性粒子
を凝集させた凝集粒子、(c)平均粒径が2〜10μm
の可溶性粒子と平均粒径が2μm以下の可溶性粒子との
混合物、(d)平均粒径が2〜10μmの可溶性粒子の
表面に平均粒径が2μm以下の耐熱性樹脂粉末または無
機粉末のいずれか少なくとも1種を付着させてなる疑似
粒子、(e)平均粒径が0.1〜0.8μmの可溶性粒
子と平均粒径が0.8μmを超え、2μm未満の可溶性
粒子との混合物、(f)平均粒径が0.1〜1.0μm
の可溶性粒子を用いることが望ましい。これらは、より
複雑なアンカーを形成することができるからである。
【0055】上記可溶性樹脂粒子としては、熱硬化性樹
脂、熱可塑性樹脂等からなるものが挙げられ、酸あるい
は酸化剤からなる溶液に浸漬した場合に、上記難溶性樹
脂よりも溶解速度が速いものであれば特に限定されな
い。上記可溶性樹脂粒子の具体例としては、例えば、エ
ポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフ
ェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、アミ
ノ樹脂(メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂)等
からなるものが挙げられ、これらの樹脂の一種からなる
ものであってもよいし、2種以上の樹脂の混合物からな
るものであってもよい。
【0056】また、上記可溶性樹脂粒子としては、ゴム
からなる樹脂粒子を用いることもできる。上記ゴムとし
ては、例えば、ポリブタジエンゴム、エポキシ変性、ウ
レタン変性、(メタ)アクリロニトリル変性等の各種変
性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基を含有した(メ
タ)アクリロニトリル・ブタジエンゴム等が挙げられ
る。これらのゴムを使用することにより、可溶性樹脂粒
子が酸あるいは酸化剤に溶解しやすくなる。つまり、酸
を用いて可溶性樹脂粒子を溶解する際には、強酸以外の
酸でも溶解することができ、酸化剤を用いて可溶性樹脂
粒子を溶解する際には、比較的酸化力の弱い過マンガン
酸でも溶解することができる。また、クロム酸を用いた
場合でも、低濃度で溶解することができる。そのため、
酸や酸化剤が樹脂表面に残留することがなく、後述する
ように、粗化面形成後、塩化パラジウム等の触媒を付与
する際に、触媒が付与されなかったり、触媒が酸化され
たりすることがない。
【0057】上記可溶性無機粒子としては、例えば、ア
ルミニウム化合物、カルシウム化合物、カリウム化合
物、マグネシウム化合物およびケイ素化合物からなる群
より選択される少なくとも一種からなる粒子等が挙げら
れる。
【0058】上記アルミニウム化合物としては、例え
ば、アルミナ、水酸化アルミニウム等が挙げられ、上記
カルシウム化合物としては、例えば、炭酸カルシウム、
水酸化カルシウム等が挙げられ、上記カリウム化合物と
しては、例えば、炭酸カリウム等が挙げられ、上記マグ
ネシウム化合物としては、例えば、マグネシア、ドロマ
イト、塩基性炭酸マグネシウム等が挙げられ、上記ケイ
素化合物としては、例えば、シリカ、ゼオライト等が挙
げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併
用してもよい。
【0059】上記可溶性金属粒子としては、例えば、
銅、ニッケル、鉄、亜鉛、鉛、金、銀、アルミニウム、
マグネシウム、カルシウムおよびケイ素からなる群より
選択される少なくとも一種からなる粒子等が挙げられ
る。また、これらの可溶性金属粒子は、絶縁性を確保す
るために、表層が樹脂等により被覆されていてもよい。
【0060】上記可溶性粒子を、2種以上混合して用い
る場合、混合する2種の可溶性粒子の組み合わせとして
は、樹脂粒子と無機粒子との組み合わせが望ましい。両
者とも導電性が低くいため、上下の導体回路間の絶縁性
を確保することができるとともに、難溶性樹脂との間で
熱膨張の調整が図りやすく、層間樹脂絶縁層にクラック
が発生せず、層間樹脂絶縁層と導体回路との間で剥離が
発生しないからである。
【0061】上記難溶性樹脂としては、層間樹脂絶縁層
に酸または酸化剤を用いて粗化面を形成する際に、粗化
面の形状を保持できるものであればよく、上記した樹脂
複合体を用いることができる。また、上記難溶性樹脂と
して、上記熱硬化性樹脂や上記熱可塑性樹脂のみを用い
た粗化面形成用樹脂組成物も樹脂絶縁層の材料として用
いることができる。
【0062】上記可溶性粒子の混合重量比は、難溶性樹
脂の固形分に対して5〜50重量%が望ましく、10〜
40重量%がさらに望ましい。可溶性粒子の混合重量比
が5重量%未満では、充分な粗さの粗化面を形成するこ
とができない場合があり、50重量%を超えると、樹脂
絶縁層を介した上下の導体回路間の絶縁性を確保するこ
とができず、短絡の原因となる場合がある。
【0063】このような構成からなる樹脂絶縁層は、上
記ハロゲン化エポキシ樹脂を含んでいるため難燃性に優
れ、該樹脂絶縁層の形成された多層プリント配線板は、
UL試験規格におけるUL94(高分子材料の難燃性試
験)の判定基準をクリアするものであり、そのなかで
も、94V−0の判定基準をクリアするものである。
【0064】また、上記樹脂絶縁層が、上記ハロゲン化
エポキシ樹脂に加えて、無機フィラーを含有する場合に
は、該樹脂絶縁層の熱膨張係数を調整することにより、
樹脂絶縁層に応力が発生しにくくするとともに、樹脂絶
縁層に応力が発生しても該応力を緩和する。そのため、
樹脂絶縁層が無機フィラーを含有する多層プリント配線
板は、導体回路と樹脂絶縁層との間で剥離が発生した
り、樹脂絶縁層にクラックが発生したりしにくく、接続
信頼性に優れる。
【0065】本発明の多層プリント配線板は、例えば、
後述する第1〜第3の本発明の多層プリント配線板の製
造方法により製造することができる。
【0066】第1の本発明の多層プリント配線板の製造
方法は、本発明の多層プリント配線板を製造する方法で
あって、少なくとも下記(1)および(2)の工程を含
むことを特徴とする。 (1)ハロゲン化エポキシ樹脂を含む未硬化の樹脂組成
物を調製する工程と、(2)導体回路の形成された基板
または導体回路の形成された樹脂絶縁層上に、上記未硬
化の樹脂組成物を塗布することにより樹脂組成物の層を
形成する工程。
【0067】第1の本発明の多層プリント配線板の製造
方法によれば、優れた難燃性、接続信頼性を有する本発
明の多層プリント配線板を好適に製造することができ
る。また、第1の本発明の製造方法では、所望の形状の
バイアホール用開口等を短時間で形成することができ
る。ここでは、まず、樹脂絶縁層を形成する工程につい
て説明し、全体的な多層プリント配線板の製造方法につ
いては、後に詳述する。
【0068】第1の本発明の製造方法では、樹脂絶縁層
を形成する際に、まず、ハロゲン化エポキシ樹脂を含む
未硬化の樹脂組成物を調製する。上記樹脂組成物の原料
となる樹脂成分は、ハロゲン化エポキシ樹脂のみであっ
てもよいし、上記ハロゲン化エポキシ樹脂以外の樹脂を
含んでいてもよい。
【0069】上記樹脂組成物の原料に、ハロゲン化エポ
キシ樹脂とこれ以外の樹脂とを用いる場合には、上記ハ
ロゲン化エポキシ樹脂を、上記樹脂絶縁層の原料となる
一または二以上の樹脂成分中に添加して均一に混合した
後、ここに、残りの原料となる成分を添加し、混合する
ことにより上記樹脂組成物を調整する。なお、上記ハロ
ゲン化エポキシ樹脂を最初に添加する樹脂成分として
は、熱硬化性樹脂を含む成分が望ましい。これについて
は、第3の本発明の製造方法を説明する際に詳述する。
なお、本明細書においては、上記未硬化の樹脂組成物
は、ハロゲン化エポキシ樹脂のみからなるものも含むも
のとする。
【0070】また、上記樹脂組成物を調製する方法は、
上記方法に限定されず、ハロゲン化エポキシ樹脂を未硬
化の樹脂組成物中にほぼ均一に分散させることができる
方法であればよく、ハロゲン化エポキシ樹脂と、これ以
外の上記樹脂絶縁層の原料となる成分とを同時に混合し
てもよい。
【0071】第1の本発明の製造方法では、上記工程の
後、導体回路の形成された基板、すなわち、基板上に直
接導体回路が形成された基板の導体回路の上に、上記未
硬化の樹脂組成物を塗布することにより樹脂組成物の層
を形成するか、または、導体回路の形成された樹脂絶縁
層、すなわち、基板上に1または2以上の樹脂絶縁層お
よび導体回路が形成された基板の導体回路の上に、上記
未硬化の樹脂組成物を塗布することにより樹脂組成物の
層を形成する。上記未硬化の樹脂組成物を塗布する方法
としては、例えば、ロールコータ法等が挙げられる。
【0072】具体的には、上記未硬化の樹脂組成物をロ
ールコータのロール表面に付着させた後、最外層に導体
回路が形成された基板を垂直に立てた状態で、一対のロ
ールコータに挟み、ロールを回転させることにより上記
樹脂組成物を基板表面に塗布する。この工程により、基
板の両面に均一な厚さの樹脂組成物の層を形成する。
【0073】次に、樹脂組成物の層を乾燥させ、樹脂組
成物の乾燥体が形成された基板に、バイアホール用開口
と必要に応じて貫通孔とを形成し、層間樹脂絶縁層とす
る。上記バイアホール用開口は、レーザ処理を用いて形
成することが好ましい。また、感光性樹脂を含む樹脂絶
縁層を形成する場合には、露光、現像処理を行うことに
より、バイアホール用開口を設けてもよい。このとき、
使用するレーザとしては、例えば、炭酸ガス(CO2
レーザ、紫外線レーザ、エキシマレーザ等が挙げられる
が、これらのなかでは、エキシマレーザや短パルスの炭
酸ガスレーザが望ましい。
【0074】エキシマレーザは、後述するように、バイ
ヤホール用開口を形成する部分に貫通孔が形成されたマ
スク等を用いることにより、一度に多数のバイヤホール
用開口を形成することができ、また、短パルスの炭酸ガ
スレーザは、開口内の樹脂残りが少なく、レーザ照射部
位の周囲の樹脂に対するダメージが特に小さいからであ
る。
【0075】また、エキシマレーザのなかでも、ホログ
ラム方式のエキシマレーザを用いることが望ましい。ホ
ログラム方式とは、レーザ光をホログラム、集光レン
ズ、レーザマスク、転写レンズ等を介して目的物に照射
する方式であり、この方式を用いることにより、一度の
照射で層間樹脂絶縁層に多数の開口を効率的に形成する
ことができる。
【0076】また、炭酸ガスレーザを用いる場合、その
パルス間隔は、10-4〜10-8秒であることが望まし
い。また、開口を形成するためのレーザを照射する時間
は、10〜500μ秒であることが望ましい。また、バ
イアホール用開口を形成する部分に貫通孔が形成された
マスクの貫通孔は、レーザ光のスポット形状を真円にす
るために、真円である必要があり、上記貫通孔の径は、
0.1〜2mm程度が望ましい。
【0077】また、光学系レンズとマスクとを介してレ
ーザ光を照射することにより、一度に多数のバイアホー
ル用開口を形成することができる。光学系レンズとマス
クとを介することにより、同一強度で、かつ、照射強度
が同一のレーザ光を複数の部分に同時に照射することが
できるからである。
【0078】レーザ光にて開口を形成した場合、特に炭
酸ガスレーザを用いた場合には、デスミア処理を行うこ
とが望ましい。上記デスミア処理は、クロム酸、過マン
ガン酸塩等の水溶液からなる酸化剤を使用して行うこと
ができる。また、酸素プラズマ、CF4 と酸素の混合プ
ラズマやコロナ放電等で処理してもよい。また、低圧水
銀ランプを用いて紫外線を照射することにより、表面改
質することもできる。また、層間樹脂絶縁層を形成した
基板に、貫通孔を形成する場合には、直径50〜300
μmのドリル、レーザ光等を用いて貫通孔を形成する。
【0079】次に、第1の本発明の多層プリント配線板
の製造方法の全体について、工程順に説明する。 (1) 第1の本発明の製造方法においては、まず、絶縁性
基板の表面に導体回路が形成された基板を作製する。
【0080】上記絶縁性基板としては、樹脂基板が望ま
しく、具体的には、例えば、ガラスエポキシ基板、ポリ
エステル基板、ポリイミド基板、ビスマレイミド−トリ
アジン樹脂基板、熱硬化性ポリフェニレンエーテル基
板、フッ素樹脂基板、セラミック基板、銅張積層板、R
CC基板などが挙げられる。このとき、この絶縁性基板
に貫通孔を設けてもよい。この場合、貫通孔は直径10
0〜300μmのドリル、レーザ光等を用いて形成する
ことが望ましい。
【0081】(2) 次に、無電解めっきを施した後、基板
上に導体回路形状のエッチングレジストを形成し、エッ
チングを行うことにより導体回路を形成する。無電解め
っきとしては銅めっきが望ましい。また、絶縁性基板に
スルーホール用貫通孔を設けた場合には、該スルーホー
ル用貫通孔の壁面にも同時に無電解めっきを施してスル
ーホールを形成することにより、基板の両面の導体回路
間を電気的に接続してもよい。
【0082】さらに、この無電解めっきの後、通常、無
電解めっき層表面とスルーホールを形成した場合にはス
ルーホール内壁との粗化形成処理を行う。粗化形成処理
方法としては、例えば、黒化(酸化)−還元処理、有機
酸と第二銅錯体の混合水溶液によるスプレー処理、Cu
−Ni−P針状合金めっきによる処理等が挙げられる。
【0083】上記黒化(酸化)−還元処理の具体的な方
法としては、NaOH(10g/l)、NaClO2
(40g/l)、Na3 PO4 (6g/l)を含む水溶
液を黒化浴(酸化浴)とする黒化処理、および、NaO
H(10g/l)、NaBH4 (6g/l)を含む水溶
液を還元浴とする還元処理を行う方法等が挙げられる。
【0084】上記スプレー処理に用いる有機酸と第二銅
錯体の混合水溶液において、上記有機酸としては、例え
ば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロ
ン酸、アクリル酸、クロトン酸、シュウ酸、マロン酸、
コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、安息香酸、グリコ
ール酸、乳酸、リンゴ酸、スルファミン酸等が挙げられ
る。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用して
もよい。上記混合溶液において、上記有機酸の含有量
は、0.1〜30重量%が望ましい。酸化された銅の溶
解性を維持し、かつ、触媒安定性を確保することができ
るからである。
【0085】上記第二銅錯体としては、アゾール類の第
二銅錯体が望ましい。このアゾール類の第二銅錯体は、
金属銅等を酸化する酸化剤として作用する。アゾール類
としては、例えば、ジアゾール、トリアゾール、テトラ
ゾール等が挙げられる。これらのなかでも、イミダゾー
ル、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾー
ル、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニ
ルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾールが望まし
い。上記エッチング液において、上記第二銅錯体の含有
量は、1〜15重量%が望ましい。溶解性および安定性
に優れ、また、触媒核を構成するPd等の貴金属をも溶
解させることができるからである。
【0086】上記めっき処理の具体的な方法としては、
硫酸銅(1〜40g/l)、硫酸ニッケル(0.1〜
6.0g/l)、クエン酸(10〜20g/l)、次亜
リン酸ナトリウム(10〜100g/l)、ホウ酸(1
0〜40g/l)および界面活性剤(日信化学工業社
製、サーフィノール465)(0.01〜10g/l)
を含むPH=9の無電解めっき浴にて無電解めっきを施
す方法等が挙げられる。
【0087】(3) 次に、この導体回路が形成された基板
上に上記した方法を用いて樹脂組成物の層を形成し、さ
らに、形成された樹脂組成物の層に上記した方法を用い
て、バイアホール用開口や貫通孔を形成する。すなわ
ち、この工程でハロゲン化エポキシ樹脂を含む層間樹脂
絶縁層を形成する。
【0088】(4) 次に、必要に応じて、バイアホール用
開口の内壁を含む樹脂絶縁層(層間樹脂絶縁層)の表面
と上記工程で貫通孔を形成した場合には貫通孔の内壁と
に、酸または酸化剤を用いて粗化面を形成する。上記酸
としては、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、蟻酸等が挙げら
れ、上記酸化剤としては、クロム酸、クロム硫酸、過マ
ンガン酸ナトリウム等の過マンガン酸塩等が挙げられ
る。
【0089】その後、酸を用いて粗化面を形成した場合
はアルカリ等の水溶液を用い、酸化剤を用いて粗化面を
形成した場合は中和液を用いて、バイアホール用開口内
や貫通孔内を中和する。この操作により酸や酸化剤を除
去し、次工程に影響を与えないようにする。なお、この
工程で形成する粗化面の平均粗度Rzは、0.1〜5μ
mが望ましい。また、上記粗化面は、プラズマ処理等を
施すことにより形成してもよい。
【0090】(5) 次に、形成された粗化面に、必要によ
り、触媒を付与する。上記触媒としては、例えば、塩化
パラジウム等が挙げられる。このとき、触媒を確実に付
与するために、酸素、窒素等のプラズマ処理やコロナ処
理等のドライ処理を施すことにより、酸または酸化剤の
残渣を除去するとともに層間樹脂絶縁層の表面を改質す
ることにより、触媒を確実に付与し、無電解めっき時の
金属の析出、および、無電解めっき層の層間樹脂絶縁層
への密着性を向上させることができ、特に、バイアホー
ル用開口の底面において、大きな効果が得られる。
【0091】(6) ついで、形成された層間樹脂絶縁層上
に、必要により、スズ、亜鉛、銅、ニッケル、コバル
ト、タリウム、鉛等からなる薄膜導体層を無電解めっ
き、スパッタリング等により形成する。上記薄膜導体層
は、単層であってもよいし、2層以上からなるものであ
ってもよい。これらのなかでは、電気特性、経済性等を
考慮すると銅や銅およびニッケルからなる薄膜導体層が
望ましい。また、上記(3) の工程で貫通孔を形成した場
合は、この工程で貫通孔の内壁面にも金属からなる薄膜
導体層を形成することにより、スルーホールとしてもよ
い。
【0092】上記(6) の工程で、スルーホールを形成し
た場合には、以下のような処理工程を行うことが望まし
い。すなわち、無電解めっき層表面とスルーホール内壁
とを黒化(酸化)−還元処理、有機酸と第二銅錯体の混
合水溶液によるスプレー処理、Cu−Ni−P針状合金
めっきによる処理等を用いて粗化形成処理を行う。この
後、さらに、樹脂充填剤等を用いてスルーホール内を充
填し、ついで、樹脂充填剤の表層部と無電解めっき層表
面とをバフ研磨等の研磨処理方法を用いて、平坦化す
る。さらに、無電解めっきを行い、既に形成した金属か
らなる薄膜導体層と樹脂充填剤の表層部とに無電解めっ
き層を形成することにより、スルーホールの上に蓋めっ
き層を形成する。
【0093】(7) 次に、上記層間樹脂絶縁層上の一部に
ドライフィルムを用いてめっきレジストを形成し、その
後、上記薄膜導体層をめっきリードとして電気めっきを
行い、上記めっきレジスト非形成部に上記めっきレジス
トの厚さよりも厚い電気めっき層を形成する。上記電気
めっきとしては、銅めっきを用いることが望ましい。こ
の時、バイアホール用開口を電気めっきで充填してフィ
ールドビア構造としてもよく、バイアホール用開口に導
電性ペースト等を充填した後、その上に蓋めっき層を形
成してフィールドビア構造としてもよい。フィールドビ
ア構造を形成することにより、バイアホールの直上にバ
イアホールを設けることができる。
【0094】(8) 電気めっき層を形成した後、めっきレ
ジストを剥離し、めっきレジストの下に存在していた金
属からなる薄膜導体層をエッチングにより除去し、独立
した導体回路とする。上記電気めっきとしては、銅めっ
きを用いることが望ましい。エッチング液として、例え
ば、硫酸−過酸化水素水溶液、過硫酸アンモニウム、過
硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩水溶液、
塩化第二鉄、塩化第二銅等の水溶液、塩酸、硝酸、熱希
硫酸等が挙げられる。また、上述した第二銅錯体と有機
酸とを含有するエッチング液を用いて、導体回路間のエ
ッチングと同時に粗化面を形成してもよい。さらに、必
要により、酸または酸化剤を用いて層間樹脂絶縁層上の
触媒を除去してもよい。触媒を除去することにより、触
媒に用いたパラジウム等の金属がなくなるため、電気特
性の低減を防止することができる。
【0095】(9) この後、必要により、(3) 〜(8) の工
程を繰り返し、その後、最外層の導体回路に粗化面を形
成する必要がある場合には、上述した粗化面形成処理方
法を用いて、粗化面を有する導体回路を形成する。
【0096】(10)次に、最外層の導体回路を含む基板面
にソルダーレジスト層を形成する。上記ソルダーレジス
ト層の材料としては、例えば、ポリフェニレンエーテル
樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、熱可塑性エラ
ストマー、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等からなるソ
ルダーレジスト組成物等が挙げられる。これらの樹脂の
具体例としては、例えば、樹脂絶縁層に用いた樹脂と同
様の樹脂等が挙げられる。
【0097】また、上記以外のソルダーレジスト組成物
としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂の(メ
タ)アクリレート、イミダゾール硬化剤、2官能性(メ
タ)アクリル酸エステルモノマー、分子量500〜50
00程度の(メタ)アクリル酸エステルの重合体、ビス
フェノール型エポキシ樹脂等からなる熱硬化性樹脂、多
価アクリル系モノマー等の感光性モノマー、グリコール
エーテル系溶剤などを含むペースト状の流動体が挙げら
れ、その粘度は25℃で1〜10Pa・sに調製されて
いることが望ましい。ソルダーレジスト組成物として、
このような感光性樹脂組成物を使用する場合には、露光
現像処理により半田バンプ等を形成するための開口(非
貫通孔)を形成することができる。
【0098】上記ノボラック型エポキシ樹脂の(メタ)
アクリレートとしては、例えば、フェノールノボラック
やクレゾールノボラックのグリシジルエーテルをアクリ
ル酸やメタクリル酸等と反応させたエポキシ樹脂等が挙
げられる。
【0099】上記2官能性(メタ)アクリル酸エステル
モノマーとしては特に限定されず、例えば、各種ジオー
ル類のアクリル酸やメタクリル酸のエステル等が挙げら
れ、市販品としては、日本化薬社製のR−604、PM
2、PM21等が挙げられる。
【0100】また、上記ソルダーレジスト組成物は、エ
ラストマーや無機フィラーが配合されていてもよい。エ
ラストマーが配合されていることにより、形成されるソ
ルダーレジスト層は、エラストマーの有する柔軟性およ
び反発弾性により、ソルダーレジスト層に応力が作用し
た場合でも、該応力を吸収したり緩和したりすることが
でき、その結果、多層プリント配線板の製造工程や製造
した多層プリント配線板にICチップ等の電子部品を搭
載した後のソルダーレジスト層にクラックや剥離が発生
することを抑制でき、さらに、クラックが発生した場合
でも該クラックが大きく成長することがない。
【0101】また、上記ソルダーレジスト組成物として
は、上記したハロゲン化エポキシ樹脂を含有するソルダ
ーレジスト組成物を用いることが望ましい。樹脂絶縁層
のみでなく、ソルダーレジスト層にもハロゲン化エポキ
シ樹脂を含ませることにより、得られる多層プリント配
線板の難燃性がより一層向上するからである。
【0102】上記ソルダーレジスト層は、上記ソルダー
レジスト組成物をロールコータ法等により塗布したり、
上記ソルダーレジスト組成物の樹脂フィルムを形成した
後、該樹脂フィルムを熱圧着したりした後、露光、現像
処理、レーザ処理等による開口処理を行い、さらに、硬
化処理等を行うことにより形成する。
【0103】(11)次に、ソルダーレジスト層の開口部分
にNi、Au等からなる耐食金属層をめっき、スパッタ
リングまたは蒸着等により形成し、その後、ICチップ
接続面には、半田ペーストを印刷することにより半田バ
ンプを形成し、外部基板接続面には、半田ボールやピン
等を配設することによりプリント配線板の製造を終了す
る。なお、上記半田ボールやピン等を配設する方法とし
ては、従来公知の方法を用いることができる。
【0104】なお、製品認識文字などを形成するための
文字印刷工程やソルダーレジスト層の改質のために、酸
素や四塩化炭素などのプラズマ処理を適時行ってもよ
い。以上の方法は、セミアディティブ法によるものであ
るが、フルアディティブ法を採用してもよい。
【0105】第2の本発明の多層プリント配線板の製造
方法は、本発明の多層プリント配線板を製造する方法で
あって、少なくとも下記(1)および(2)の工程を含
むことを特徴とする。 (1)ハロゲン化エポキシ樹脂を含む樹脂フィルムを作
製する工程と、(2)導体回路の形成された基板または
導体回路の形成された樹脂絶縁層上に、上記樹脂フィル
ムを圧着することにより樹脂フィルムの層を形成する工
程。
【0106】第2の本発明の多層プリント配線板の製造
方法によれば、優れた難燃性、接続信頼性を有する本発
明の多層プリント配線板を好適に製造することができ
る。また、第2の本発明の多層プリント配線板の製造方
法では、所望の形状のバイアホール用開口等を短時間で
形成することができる。
【0107】第2の本発明の多層プリント配線板の製造
方法は、第1の本発明の多層プリント配線板の製造方法
と比べて、樹脂絶縁層を形成する工程(工程順に説明し
た第1の本発明の製造方法の(3) の工程)が異なるのみ
であり、その他の工程は第1の本発明の製造方法と同様
の方法を用いて行うことができる。従って、ここでは、
第2の本発明の製造方法における樹脂絶縁層を形成する
工程についてのみ説明することとする。
【0108】第2の本発明の製造方法では、まず、ハロ
ゲン化エポキシ樹脂を含む樹脂フィルムを作製する。上
記樹脂フィルムの原料となる樹脂成分は、上記ハロゲン
化エポキシ樹脂のみであってもよいし、上記ハロゲン化
エポキシ樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。
【0109】上記樹脂フィルムの原料となる樹脂成分と
して、上記ハロゲン化エポキシ樹脂とこれ以外の樹脂と
を用いる場合、まず、上記ハロゲン化エポキシ樹脂を、
上記樹脂フィルムの原料となる一または二以上の樹脂成
分中に添加して均一に混合した後、ここに、残りの原料
となる成分を添加し、混合することにより樹脂フィルム
形成用組成物を調整する。次に、この樹脂フィルム形成
用組成物を成形型にいれ、乾燥、半硬化させることによ
り樹脂フィルムとする。なお、上記ハロゲン化エポキシ
樹脂を最初に添加する樹脂成分としては、熱硬化性樹脂
を含む成分が望ましい。これについては、第3の本発明
の製造方法を説明する際に詳述する。
【0110】なお、上記樹脂フィルムを作製する方法
は、上記方法に限定されず、上記ハロゲン化エポキシ樹
脂と、これ以外の上記樹脂絶縁層の原料となる成分とを
同時に混合して樹脂フィルム形成用組成物を調整し、そ
の後、上記と同様に成形型にいれ、乾燥、半硬化させる
ことにより樹脂フィルムとしてもよい。また、成形した
樹脂フィルムの片面に銅箔等の金属層を形成してもよ
い。
【0111】また、樹脂フィルムを形成する際の材料と
して、粗化面形成用樹脂組成物を用いる場合、形成する
樹脂フィルムにおいて、可溶性粒子は、難溶性樹脂中に
ほぼ均一に分散させることが好ましい。樹脂絶縁層表面
に均一な粗さの凹凸を有する粗化面を形成することがで
き、樹脂絶縁層にバイアホールやスルーホールを形成し
ても、その上に形成する導体回路の金属層との密着性を
確保することができるからである。
【0112】また、粗化面を形成する表層部だけに可溶
性粒子を含有させて、樹脂フィルムを形成してもよい。
この場合、樹脂絶縁層の表層部以外は酸または酸化剤に
さらされることがないため、層間樹脂絶縁層を介した導
体回路間の絶縁性が確実に保たれる。表層部だけに可溶
性粒子を有する樹脂フィルムは、例えば、難溶性樹脂の
みからなる樹脂フィルムを上記した方法で形成し、その
上に可溶性粒子が難溶性樹脂中にほぼ均一分散した樹脂
フィルムを積層することにより形成する。
【0113】上記樹脂フィルムにおいて、難溶性樹脂中
に分散させる可溶性粒子の配合量は、樹脂フィルムに対
して、3〜40重量%が望ましい。可溶性粒子の配合量
が3重量%未満では、所望の凹凸を有する粗化面を形成
することができない場合があり、40重量%を超える
と、酸または酸化剤を用いて可溶性粒子を溶解した際
に、樹脂絶縁層の深部まで溶解してしまい、樹脂フィル
ムからなる層間樹脂絶縁層を介した導体回路間の絶縁性
を維持できず、短絡の原因となる場合がある。上記樹脂
フィルムは、上記ハロゲン化エポキシ樹脂以外に、必要
に応じて、硬化剤、溶剤、その他の成分等を配合しても
よい。
【0114】第2の本発明の製造方法では、上記工程の
後、導体回路の形成された基板または導体回路の形成さ
れた樹脂絶縁層上に、上記樹脂フィルムを圧着すること
により樹脂フィルムの層を形成する。上記樹脂フィルム
を圧着する方法としては、例えば、真空ラミネーター装
置等を用い、上記樹脂フィルムを減圧下または真空下に
おいて、2.0〜10kgf/cm2 の圧力で圧着する
方法が好ましい。上記圧力が2.0kgf/cm2 未満
では、樹脂フィルムと導体回路との密着性が不十分な場
合があり、一方、10kgf/cm2 を超えると樹脂フ
ィルム中に、上記ハロゲン化エポキシ樹脂や、無機フィ
ラーを含有する場合は、該無機フィラーが凝集する部分
が発生することがある。より好ましい圧力は、3〜7k
gf/cm2 である。なお、上記樹脂フィルムを圧着す
る際には、まず、該樹脂フィルムを仮圧着しておき、そ
の後、上記した条件で本圧着してもよい。
【0115】また、上記樹脂フィルムを圧着する際の温
度は、60〜120℃が好ましい。上記温度が60℃未
満では加熱による効果がほとんどみられず、120℃を
超えると、樹脂フィルムが硬化剤や溶剤を含有する場合
に、これらの硬化剤や溶剤が揮発してしまい、硬化が不
十分であったり、硬化が進行しすぎてしまうことがあ
る。
【0116】また、上記樹脂フィルムの圧着時間は、1
0〜120秒が好ましい。圧着時間が10秒未満では、
樹脂フィルムと導体回路との密着性が不十分な場合があ
り、120秒を超えても樹脂フィルムと導体回路との密
着性はほとんど向上しないからである。
【0117】また、上記樹脂フィルムを圧着する際の真
空度は、0.1〜10Torrが好ましい。上記真空度
を0.1Torr未満にすることは、技術的に容易では
なく、時間もかかる。一方、上記真空度が10Torr
を超えると導体回路間に樹脂フィルムが完全に充填され
ないことがある。
【0118】この後、第1の本発明の製造方法と同様の
方法を用いて、樹脂フィルムの層に開口や貫通孔を形成
する。
【0119】第3の本発明の多層プリント配線板の製造
方法は、上記した樹脂絶縁層が熱硬化性樹脂と熱可塑性
樹脂とからなる樹脂複合体を含む本発明の多層プリント
配線板を製造する方法であって、少なくとも下記(1)
〜(5)の工程を含むことを特徴とする。 (1)ハロゲン化エポキシ樹脂を含む樹脂組成物Aを調
製する工程と、(2)熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物B
を調製する工程と、(3)硬化剤を含む硬化剤成分Cを
調製する工程と、(4)上記樹脂組成物A、上記樹脂組
成物Bおよび上記硬化剤成分Cを混練して混合組成物D
を調製した後、上記混合組成物Dからなる樹脂フィルム
Eを作製する工程と、(5)導体回路の形成された基板
または導体回路の形成された樹脂絶縁層上に、上記樹脂
フィルムEを圧着することにより樹脂フィルムEの層を
形成する工程。
【0120】第3の本発明の多層プリント配線板の製造
方法によれば、優れた難燃性、接続信頼性を有し、樹脂
絶縁層が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とからなる樹脂複
合体を含む多層プリント配線板を好適に製造することが
できる。また、第3の本発明の多層プリント配線板の製
造方法では、所望の形状のバイアホール用開口等を短時
間で形成することができる。
【0121】即ち、第3の本発明の多層プリント配線板
の製造方法は、第1の本発明の多層プリント配線板の製
造方法と比べて、樹脂絶縁層を形成する工程(工程順に
説明した第1の本発明の製造方法の(3) の工程)が異な
るのみであり、その他の工程は第1の本発明の製造方法
と同様の方法を用いて行うことができる。従って、ここ
では、第3の本発明の製造方法における樹脂絶縁層を形
成する工程についてのみ説明することとする。
【0122】第3の本発明の製造方法では、まず、ハロ
ゲン化エポキシ樹脂を含む樹脂組成物Aと、熱可塑性樹
脂を含む樹脂組成物Bと、硬化剤を含む硬化剤成分Cと
をそれぞれ別々に調製する。なお、上記樹脂組成物Aと
樹脂組成物Bと硬化剤成分Cの調製は、それぞれ並行し
て行ってもよいし、任意の順序で行ってもよい。
【0123】上記樹脂組成物Aの原料となる樹脂成分
は、上記ハロゲン化エポキシ樹脂のみであってもよい
し、上記ハロゲン化エポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂を
含んでいてもよい。原料となる樹脂成分として、ハロゲ
ン化エポキシ樹脂とこれ以外の熱硬化性樹脂とを用いて
樹脂組成物Aを調整する際には、上記ハロゲン化エポキ
シ樹脂を上記樹脂組成物Aの原料となる一又は二以上の
熱硬化性樹脂中に予め混合しておき、これと、他の樹脂
組成物Aの原料となる成分とを混合することにより行
う。
【0124】このように、ハロゲン化エポキシ樹脂をま
ず熱硬化性樹脂中に混合させるのは、該ハロゲン化エポ
キシ樹脂と熱硬化性樹脂とは均一に混合しやすいからで
ある。特に、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とからなる樹
脂複合体を含む樹脂絶縁層を形成する場合には、ハロゲ
ン化エポキシ樹脂をまず熱硬化性樹脂中に混合する。な
お、ハロゲン化エポキシ樹脂、熱硬化性樹脂等の樹脂組
成物Aの原料となる成分を均一に混合することができる
のであれば、全ての原料となる成分を一度に混合して樹
脂組成物Aを調製してもよい。
【0125】上記樹脂組成物Aに含まれる熱硬化性樹脂
としては、本発明の多層プリント配線板の樹脂絶縁層の
原料となる熱硬化性樹脂と同様のもの等を用いることが
できる。
【0126】樹脂組成物Bの調製は、熱可塑性樹脂中
に、必要に応じて、添加剤や溶剤を添加した後、混合す
ることにより行う。上記樹脂組成物Bに含まれる熱可塑
性樹脂としては、本発明の多層プリント配線板の樹脂絶
縁層の原料となる熱可塑性樹脂と同様のもの等を用いる
ことができる。なお、本明細書において、樹脂組成物B
には、熱可塑性樹脂単独からなるものも含むものとす
る。
【0127】硬化剤成分Cを調製は、硬化剤中に、必要
に応じて、添加剤や溶剤を添加した後、混合することに
より行う。上記硬化剤成分Cに含まれる硬化剤として
は、例えば、イミダゾール系硬化剤、アミン系硬化剤等
が挙げられる。上記イミダゾール系硬化剤としては特に
限定されるものではないが、25℃で液状であるイミダ
ゾール硬化剤が望ましい。粉末では均一混練が難しく、
液状のほうが均一に混練できるからである。
【0128】このような液状のイミダゾール系硬化剤の
具体例としては、例えば、1−ベンジル−2−メチルイ
ミダゾール(四国化成社製、1B2MZ)、1−シアノ
エチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化
成社製、2E4MZ−CN)、4−メチル−2−エチル
イミダゾール(四国化成社製、2E4MZ)等が挙げら
れる。なお、本明細書において、硬化剤成分Cには、硬
化剤単独からなるものも含むものとする。
【0129】次に、上記樹脂組成物A、上記樹脂組成物
Bおよび上記硬化剤成分Cを混練して混合組成物Dを調
製し、その後、上記混合組成物Dからなる樹脂フィルム
Eを作製する。上記混合組成物Dの調製では、まず、上
記樹脂組成物Aと上記樹脂組成物Bとを混合する。この
とき、必要に応じて、溶剤や添加剤等を加えてもよい。
その後、上記硬化剤成分Cを添加して混合することによ
り混合組成物Dを調製する。なお、硬化剤成分Cを混合
する際に、必要な溶剤や添加剤等を加えてもよい。
【0130】なお、上記した方法以外であっても、上記
樹脂組成物A、上記樹脂組成物Bおよび上記硬化剤成分
Cを均一に混練することができる方法であれば用いるこ
とができ、樹脂組成物Aと樹脂組成物Bと硬化剤成分C
とを同時に混練してもよいし、樹脂組成物A、樹脂組成
物Bおよび硬化剤成分Cのうちの二成分を混練した後、
残りの成分を添加して混練してもよい。これらの場合
も、必要に応じて、溶剤、添加物等を加える。
【0131】上記混合組成物Dを調製した後、該混合組
成物Dからなる樹脂フィルムEを作製する。この場合、
第2の本発明の製造方法の樹脂フィルムを作製する方法
と同様の方法を用いることができる。
【0132】次に、導体回路の形成された基板または導
体回路の形成された樹脂絶縁層上に、上記樹脂フィルム
Eを圧着することにより樹脂フィルムEの層を形成す
る。上記樹脂フィルムEを圧着する方法としては、第2
の本発明の製造方法の樹脂フィルムを圧着する方法と同
様の方法を用いることができる。
【0133】この後、第1の本発明の製造方法と同様の
方法を用いて、樹脂フィルムEの層に開口や貫通孔を形
成する。
【0134】第1〜第3の本発明の製造方法では、ハロ
ゲン化エポキシ樹脂を含ませることにより難燃性の付与
された樹脂絶縁層を形成する。そのため、この樹脂絶縁
層に、レーザ光を用いて開口を形成する場合、レーザ照
射部位の周囲の樹脂がレーザの照射熱により燃焼するこ
とがなく、形成した開口の内壁の形状は滑らかであり、
その形状も所望のものとなる。
【0135】通常、レーザ照射により開口を形成する場
合には、レーザ照射部位の周囲の樹脂がレーザの照射熱
により燃焼するため、開口の内壁の形状が滑らかな形状
とならず、不均一な凹凸を有するものになる。しかしな
がら、本発明の多層プリント配線板の製造方法では、樹
脂絶縁層が難燃性を有するため、レーザ照射部位の周囲
の樹脂がレーザの照射熱により燃焼することがなく、形
成した開口の内壁の形状は滑らかであり、その形状も所
望のものとなる。
【0136】また、レーザ照射時にレーザ照射部位の周
囲の樹脂が、レーザの照射熱により燃焼することがない
ため、高エネルギーのレーザ光を照射しても、所望の形
状の開口を形成することができる。従って、高エネルギ
ーのレーザ光を照射することにより、短時間で開口を形
成することができ、特に、パルスレーザを用いる場合に
は、単ショットで開口を形成することができる。
【0137】従って、本発明の多層プリント配線板の製
造方法を用いることにより、所望の形状の開口を有し、
開口内に樹脂残り等がなく、該開口内に形成したバイア
ホールを介した上下の導体回路間の接続信頼性に優れる
多層プリント配線板を高い生産性で製造することができ
る。
【0138】
【実施例】以下、本発明をさらに詳細に説明する。 (実施例1) A.上層の粗化面形成用樹脂組成物の調製 (1) 塩素化クレゾールノボラック型エポキシ樹脂液40
0重量部、感光性モノマー(東亜合成社製、アロニック
スM325)60重量部、消泡剤(サンノプコ社製 S
−65)5重量部およびN−メチルピロリドン(NM
P)35重量部を容器にとり、攪拌混合することにより
混合組成物を調製した。
【0139】(2) ポリエーテルスルフォン(PES)8
0重量部、エポキシ樹脂粒子(三洋化成社製、ポリマー
ポール)の平均粒径1.0μmのもの72重量部および
平均粒径0.5μmのもの31重量部を別の容器にと
り、攪拌混合した後、さらにNMP257重量部を添加
し、ビーズミルで攪拌混合し、別の混合組成物を調製し
た。
【0140】(3) イミダゾール硬化剤(四国化成社製、
2E4MZ−CN)20重量部、光重合開始剤(ベンゾ
フェノン)20重量部、光増感剤(チバ・スペシャルテ
ィ・ケミカルズ社製、EAB)4重量部およびNMP1
6重量部をさらに別の容器にとり、攪拌混合することに
より混合組成物を調製した。そして、(1) 、(2) および
(3) で調製した混合組成物を混合することにより粗化面
形成用樹脂組成物を得た。
【0141】B.下層の粗化面形成用樹脂組成物の調製 (1) 塩素化クレゾールノボラック型エポキシ樹脂液40
0重量部、感光性モノマー(東亜合成社製、アロニック
スM325)60重量部、消泡剤(サンノプコ社製 S
−65)5重量部およびN−メチルピロリドン(NM
P)35重量部を容器にとり、攪拌混合することにより
混合組成物を調製した。
【0142】(2) ポリエーテルスルフォン(PES)8
0量部、および、エポキシ樹脂粒子(三洋化成社製、ポ
リマーポール)の平均粒径0.5μmのもの145重量
部を別の容器にとり、攪拌混合した後、さらにNMP2
85重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合し、別の混
合組成物を調製した。
【0143】(3) イミダゾール硬化剤(四国化成社製、
2E4MZ−CN)20重量部、光重合開始剤(ベンゾ
フェノン)20重量部、光増感剤(チバ・スペシャルテ
ィ・ケミカルズ社製、EAB)4重量部およびNMP1
6重量部をさらに別の容器にとり、攪拌混合することに
より混合組成物を調製した。そして、(1) 、(2) および
(3) で調製した混合組成物を混合することにより粗化面
形成用樹脂組成物を得た。
【0144】C.樹脂充填剤の調製 (1) ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル
社製、分子量:310、YL983U)100重量部、
表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均
粒径が1.6μmで、最大粒子の直径が15μm以下の
SiO2 球状粒子(アドテック社製、CRS 1101
−CE)170重量部およびレベリング剤(サンノプコ
社製 ペレノールS4)1.5重量部を容器にとり、攪
拌混合することにより、その粘度が23±1℃で45〜
49Pa・sの樹脂充填剤を調製した。なお、硬化剤と
して、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、2E4MZ
−CN)6.5重量部を用いた。
【0145】D.プリント配線板の製造方法 (1) 厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT
(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる基板1の両
面に18μmの銅箔8がラミネートされている銅張積層
板を出発材料とした(図1(a)参照)。まず、この銅
張積層板をドリル削孔し、無電解めっき処理を施し、パ
ターン状にエッチングすることにより、基板1の両面に
下層導体回路4とスルーホール9を形成した。
【0146】(2) スルーホール9および下層導体回路4
を形成した基板を水洗いし、乾燥した後、NaOH(1
0g/l)、NaClO2 (40g/l)、Na3 PO
4 (16g/l)を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とす
る黒化処理、および、NaOH(19g/l)、NaB
4 (5g/l)を含む水溶液を還元浴とする還元処理
を行い、そのスルーホール9を含む下層導体回路4の全
表面に粗化面4a、9aを形成した(図1(b)参
照)。
【0147】(3) 上記Cに記載した樹脂充填剤を調製し
た後、下記の方法により調製後24時間以内に、スルー
ホール9内、および、基板1の片面の導体回路非形成部
と導体回路4の外縁部とに樹脂充填剤10の層を形成し
た。すなわち、まず、スキージを用いてスルーホール内
に樹脂充填剤を押し込んだ後、100℃、20分の条件
で乾燥させた。次に、導体回路非形成部に相当する部分
が開口したマスクを基板上に載置し、スキージを用いて
凹部となっている導体回路非形成部に樹脂充填剤10の
層を形成し、100℃、20分の条件で乾燥させた(図
1(c)参照)。
【0148】(4) 上記(3) の処理を終えた基板の片面
を、#600のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いた
ベルトサンダー研磨により、内層銅パターン4の表面や
スルーホール9のランド表面に樹脂充填剤10が残らな
いように研磨し、次いで、上記ベルトサンダー研磨によ
る傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このような一
連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。次
いで、100℃で1時間、120℃で3時間、150℃
で1時間、180℃で7時間の加熱処理を行って樹脂充
填剤10を硬化した。
【0149】このようにして、スルーホール9や導体回
路非形成部に形成された樹脂充填材10の表層部および
下層導体回路4の表面を平坦化し、樹脂充填材10と下
層導体回路4の側面4aとが粗化面を介して強固に密着
し、またスルーホール9の内壁面9aと樹脂充填材10
とが粗化面を介して強固に密着した絶縁性基板を得た
(図1(d)参照)。この工程により、樹脂充填剤10
の表面と下層導体回路4の表面が同一平面となる。
【0150】(5) 上記基板を水洗、酸性脱脂した後、ソ
フトエッチングし、次いで、エッチング液を基板の両面
にスプレイで吹きつけて、下層導体回路4の表面とスル
ーホール9のランド表面と内壁とをエッチングすること
により、下層導体回路4の全表面に粗化面4a、9aを
形成した(図2(a)参照)。エッチング液として、イ
ミダゾール銅(II)錯体10重量部、グリコール酸7重
量部、塩化カリウム5重量部からなるエッチング液(メ
ック社製、メックエッチボンド)を使用した。
【0151】(6) 基板の両面に、上記Bの粗化面形成用
樹脂組成物(粘度:1.5Pa・s)をロールコータで
塗布し、水平状態で20分間放置してから、60℃で3
0分の乾燥を行い、粗化面形成用樹脂層2aを形成し
た。さらにこの粗化面形成用樹脂層2aの上に上記Aの
粗化面形成用樹脂組成物(粘度:7Pa・s)をロール
コータを用いて塗布し、水平状態で20分間放置してか
ら、60℃で30分の乾燥を行い、粗化面形成用樹脂層
2bを形成し、厚さ35μmの粗化面形成用樹脂層を形
成した(図2(b)参照)。
【0152】(7) 上記(6) で粗化面形成用樹脂層を形成
した基板1の両面に、直径85μmの黒円が印刷された
フォトマスクフィルムを密着させ、超高圧水銀灯により
500mJ/cm2 強度で露光した後、DMDG溶液で
スプレー現像した。この後、さらに、この基板を超高圧
水銀灯により3000mJ/cm2 強度で露光し、10
0℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の
加熱処理を施し、フォトマスクフィルムに相当する寸法
精度に優れた直径85μmのバイアホール用開口6を有
する厚さ35μmの層間樹脂絶縁層2を形成した(図2
(c)参照)。
【0153】(8) バイアホール用開口6を形成した基板
を、800g/lのクロム酸を含む70℃の溶液に19
分間浸漬し、層間樹脂絶縁層2の表面に存在するエポキ
シ樹脂粒子を溶解除去することにより、層間樹脂絶縁層
2の表面を粗面(深さ3μm)とした(図2(d)参
照)。
【0154】(9) 次に、上記処理を終えた基板を、中和
溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした。さら
に、粗面化処理した該基板の表面に、パラジウム触媒
(アトテック製)を付与することにより、層間樹脂絶縁
層2の表面およびバイアホール用開口6の内壁面に触媒
核を付着させた。
【0155】(10)次に、以下の組成の無電解銅めっき水
溶液中に基板を浸漬して、粗面全体に厚さ0.8μmの
無電解銅めっき層12を形成した(図3(a)参照)。 〔無電解めっき水溶液〕 NiSO4 0.003 mol/l 酒石酸 0.200 mol/l 硫酸銅 0.030 mol/l HCHO 0.050 mol/l NaOH 0.100 mol/l α、α′−ビピリジル 40 mg/l ポリエチレングリコール(PEG) 0.10 g/l 〔無電解めっき条件〕35℃の液温度で40分
【0156】(11)次に、市販の感光性ドライフィルムを
無電解銅めっき層12に貼り付け、マスクを載置して、
100mJ/cm2 で露光し、0.8%炭酸ナトリウム
水溶液で現像処理することにより、厚さ25μmのめっ
きレジスト3を設けた(図3(b)参照)。
【0157】(12)ついで、基板を50℃の水で洗浄して
脱脂し、25℃の水で水洗後、さらに硫酸で洗浄してか
ら、以下の条件で電解銅めっきを施し、電解銅めっき層
13を形成した(図4(c)参照)。 〔電解めっき水溶液〕 硫酸 2.24 mol/l 硫酸銅 0.26 mol/l 添加剤 19.5 ml/l (アトテックジャパン社製、カパラシドGL) 〔電解めっき条件〕 電流密度 1 A/dm2 時間 65 分 温度 22±2 度
【0158】(13)さらに、めっきレジスト3を5%KO
Hで剥離除去した後、そのめっきレジスト3下の無電解
めっき層12を硫酸と過酸化水素の混合液でエッチング
処理して溶解除去し、独立の導体回路5(バイアホール
7を含む)とした(図3(d)参照)。
【0159】(14)上記 (5)と同様の処理を行い、第二銅
錯体と有機酸とを含有するエッチング液によって、粗化
面を形成した(図4(a)参照)。 (15)上記 (6)〜(14)の工程を繰り返すことにより、さら
に上層の導体回路を形成し、多層配線板を得た(図4
(b)〜図5(b)参照)。
【0160】(16)次に、ジエチレングリコールジメチル
エーテル(DMDG)に60重量%の濃度になるように
溶解させた、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日
本化薬社製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光
性付与のオリゴマー(分子量:4000)46.67重
量部、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビ
スフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製、エピ
コート 1001)6.67重量部、イミダゾール硬化
剤(四国化成社製、2E4MZ−CN)1.6重量部、
2官能アクリルモノマー4.5重量部、同じく多価アク
リルモノマー(共栄化学社製、DPE6A)1.5重量
部、アクリル酸エステル重合物からなるレベリング剤
(共栄化学社製、ポリフローNo.75)0.36重量
部を容器にとり、攪拌、混合して混合組成物を調製し、
この混合組成物に対して光重合開始剤としてベンゾフェ
ノン(関東化学社製)2.0重量部、光増感剤としてミ
ヒラーケトン(関東化学社製)0.2重量部、DMDG
0.6重量部を加えることにより、粘度を25℃で1.
4±0.3Pa・sに調整したソルダーレジスト組成物
を調製した。なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器
社製、DVL−B型)で60rpmの場合はローターN
o.4、6rpmの場合はローターNo.3によった。
【0161】(17)次に、多層配線基板の両面に、上記ソ
ルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布し、70
℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理を行
った後、ソルダーレジスト開口部のパターンが描画され
た厚さ5mmのフォトマスクをソルダーレジスト層に密
着させて900mJ/cm2 の紫外線で露光し、DMT
G溶液で現像処理し、直径125μmの開口を形成し
た。そして、さらに、3000mJ/cm2 の条件でU
Vキュアし、80℃で1時間、100℃で1時間、12
0℃で1時間、150℃で3時間の条件でそれぞれ加熱
処理を行ってソルダーレジスト層を硬化させ、開口を有
し、その厚さが25μmのソルダーレジスト層14を形
成した。
【0162】(18)次に、ソルダーレジスト層14を形成
した基板を、塩化ニッケル(30g/l)、次亜リン酸
ナトリウム(10g/l)、クエン酸ナトリウム(10
g/l)を含むpH=5の無電解ニッケルめっき液に2
0分間浸漬して、開口部に厚さ5μmのニッケルめっき
層15を形成した。さらに、その基板をシアン化金カリ
ウム(2g/l)、塩化アンモニウム(75g/l)、
クエン酸ナトリウム(50g/l)、次亜リン酸ナトリ
ウム(10g/l)を含む無電解めっき液に93℃の条
件で23秒間浸漬して、ニッケルめっき層15上に、厚
さ0.03μmの金めっき層16を形成した。
【0163】(19)この後、ソルダーレジスト層14の開
口にはんだペーストを印刷して、200℃でリフローす
ることによりはんだバンプ(はんだ体)17を形成し、
はんだバンプ17を有する多層配線プリント基板を製造
した(図5(c)参照)。
【0164】(実施例2) A.層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムの作製 (1) 樹脂組成物Aの調整 臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成社製
YDB−400)30重量部とクレゾールノボラック
型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化
学工業社製 エピクロンN−673)40重量部とを混
合して樹脂組成物Aとした。
【0165】(2) 樹脂組成物Bの調整 トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂(フェノ
ール性水酸基当量120、大日本インキ化学工業社製
フェノライトKA−7052)30重量部を樹脂組成物
Bとした。 (3) 硬化剤成分Cの調整 2−フェニル−4、5−ビス(ヒドロキシメチル)イミ
ダゾール粉砕品1.5重量部を硬化剤成分Cとした。
【0166】(4) 混合組成物Dの調整 上記樹脂組成物Aと上記樹脂組成物Bとをエチレングリ
コールアセテート20重量部、ソルベントナフサ20重
量部に攪拌しながら加熱溶解させ、そこへ、上記硬化剤
成分Cと末端エポキシ化ポリブタジエンゴム(ナガセ化
成工業社製 デナレックスR−45EPT)15重量部
と微粉砕シリカ2重量部とシリコン系消泡剤0.5重量
部とを添加して混合することにより混合組成物D(エポ
キシ樹脂組成物)を調製した。
【0167】(5) 層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムの作製 得られた混合組成物Dを厚さ38μmのPETフィルム
上に乾燥後の厚さが50μmとなるようにロールコータ
ーを用いて塗布した後、80〜120℃で10分間乾燥
させることにより、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを作
製した。
【0168】B.プリント配線板の製造方法 (1) 厚さ1.0mmのガラスエポキシ樹脂またはBT
(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる基板1の両
面に18μmの銅箔8がラミネートされている銅張積層
板を出発材料とした(図6(a)参照)。まず、この銅
張積層板をパターン状にエッチングすることにより、基
板1の両面に下層導体回路4を形成した。
【0169】(2) 上記基板を水洗、酸性脱脂した後、ソ
フトエッチングし、次いで、エッチング液を基板の両面
にスプレイで吹きつけ、搬送ロールで基板表面にエッチ
ング液を搬送し、下層導体回路4の表面をエッチングす
ることにより、下層導体回路4の全表面に粗化面4aを
形成した(図6(b)参照)。エッチング液としては、
イミダゾール銅(II)錯体10重量部、グリコール酸
7重量部、塩化カリウム5重量部からなるエッチング液
(メック社製、メックエッチボンド)を使用した。
【0170】(3) 基板の両面に、Aで作製した基板より
少し大きめの層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを基板上に
載置し、圧力4kgf/cm2 、温度80℃、圧着時間
10秒で仮圧着して裁断した後、さらに、以下の条件で
真空ラミネーター装置を用いて貼り付けることにより層
間樹脂絶縁層用樹脂フィルムの層を形成した(図6
(c)参照)。すなわち、層間樹脂絶縁層用樹脂フィル
ムを基板上に載置し、真空度0.5Torr、圧力4k
gf/cm2 、温度80℃、圧着時間60秒で本圧着
し、その後、170℃で30分間熱硬化させた。
【0171】(4) 次に、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルム
の層上に、厚さ1.2mmの貫通孔が形成されたマスク
を介して、波長10.4μmのCO2 ガスレーザにて、
ビーム径4.0mm、トップハットモード、パルス幅
8.0μ秒、マスクの貫通孔の径1.0mm、1ショッ
トの条件で層間樹脂絶縁層2に、直径80μmのバイア
ホール用開口6を形成した。さらに、この層間樹脂絶縁
層2の形成された基板をドリル削孔し、貫通孔18を形
成した(図6(d)参照)。
【0172】(5) バイアホール用開口6、および、貫通
孔18を形成した基板を、60g/lの過マンガン酸を
含む80℃の溶液に10分間浸漬し、層間樹脂絶縁層2
の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去すること
により、層間樹脂絶縁層2の表面を粗面とした(図7
(a)参照)。さらに、粗面化処理(粗化深さ6μm)
した該基板の表面にパラジウム触媒(アトテック社製)
を付与することにより、層間樹脂絶縁層2および貫通孔
18の表面、並びに、バイアホール用開口の内壁面6に
触媒核を付着させた。
【0173】(6) 次に、以下の組成の無電解銅めっき水
溶液中に基板を浸漬して、粗面全体に厚さ0.6〜3.
0μmの無電解銅めっき膜12aを形成した(図7
(b)参照)。 〔無電解めっき水溶液〕 NiSO4 0.003 mol/l 酒石酸 0.200 mol/l 硫酸銅 0.030 mol/l HCHO 0.050 mol/l NaOH 0.100 mol/l α、α′−ビピリジル 40 mg/l ポリエチレングリコール(PEG) 0.10 g/l 〔無電解めっき条件〕 35℃の液温度で40分
【0174】(7) 無電解めっき膜12aを形成した基板
を水洗いし、乾燥した後、NaOH(10g/l)、N
aClO2 (40g/l)、Na3 PO4 (6g/l)
を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とする黒化処理、およ
び、NaOH(10g/l)、NaBH4 (6g/l)
を含む水溶液を還元浴とする還元処理を行い、無電解め
っき膜12aの全表面に粗化面を形成した。
【0175】(8) 上記Bに記載した樹脂充填剤を調製し
た後、下記の方法により調製後24時間以内に、スルー
ホール29内に樹脂充填剤10を充填した。すなわち、
スキージを用いてスルーホール29内に樹脂充填剤を押
し込んだ後、100℃、20分の条件で乾燥させた。乾
燥終了後、バフ研磨を施すことにより、無電解めっき膜
12aの表面および樹脂充填剤の表層部10aを平坦化
した。次いで、100℃で1時間、120℃で3時間、
150℃で1時間、180℃で7時間の加熱処理を行っ
て樹脂充填剤10を硬化した(図7(c)参照)。
【0176】(9) 次に、樹脂充填剤の表層部10aにパ
ラジウム触媒(アトテック社製)を付与することによ
り、樹脂充填剤の表層部10aに触媒核を付着させた。
さらに、上記(6) と同様の条件で無電解めっきを行い、
上記(6) で形成した無電解めっき膜12aと樹脂充填剤
の表層部10aとの上に、さらに厚さ0.6〜3.0μ
mの無電解めっき膜12bを形成した(図7(d)参
照)。この工程により、スルーホール29の上に蓋めっ
き層を形成することができた。
【0177】(10)市販の感光性ドライフィルムを無電解
銅めっき膜12bに貼り付け、マスクを載置して、10
0mJ/cm2 で露光し、0.8%炭酸ナトリウム水溶
液で現像処理することにより、厚さ30μmのめっきレ
ジスト3を設けた(図8(a)参照)。
【0178】(11)ついで、基板を50℃の水で洗浄して
脱脂し、25℃の水で水洗後、さらに硫酸で洗浄してか
ら、以下の条件で電解銅めっきを施し、厚さ20μmの
電解銅めっき膜13を形成した(図8(b)参照)。 〔電解めっき水溶液〕 硫酸 2.24 mol/l 硫酸銅 0.26 mol/l 添加剤 19.5 ml/l (アトテックジャパン社製、カパラシドHL) 〔電解めっき条件〕 電流密度 1 A/dm2 時間 65 分 温度 22±2 ℃
【0179】(12)めっきレジスト3を5%NaOHで剥
離除去した後、そのめっきレジスト3下の無電解めっき
膜12a、12bを硫酸と過酸化水素の混合液でエッチ
ング処理して溶解除去し、無電解銅めっき膜12と電解
銅めっき膜13からなる厚さ18μmの導体回路(バイ
アホール7を含む)5を形成した(図8(c)参照)。
【0180】(13)(5) と同様の処理を行い、第二銅錯体
と有機酸とを含有するエッチング液によって、粗化面を
形成した(図8(d)参照)。 (14)上記 (6)〜(13)の工程を繰り返すことにより、さら
に上層の導体回路を形成し、多層配線板を得た(図9
(a)〜図10(a)参照)。
【0181】(15)次に、実施例1と同様にしてソルダー
レジスト組成物を調整し、その後、多層配線基板の両面
に、上記ソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗
布し、70℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾
燥処理を行った後、ソルダーレジスト開口部のパターン
が描画された厚さ5mmのフォトマスクをソルダーレジ
スト層に密着させて900mJ/cm2 の紫外線で露光
し、DMTG溶液で現像処理し、125μmの直径の開
口を形成した。そして、さらに、3000mJ/cm2
の条件でUVキュアし、80℃で1時間、100℃で1
時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件でそ
れぞれ加熱処理を行ってソルダーレジスト層を硬化さ
せ、開口を有し、その厚さが25μmのソルダーレジス
トパターン層14を形成した。
【0182】(16)次に、ソルダーレジスト層14を形成
した基板を、塩化ニッケル(2.3×10-1mol/
l)、次亜リン酸ナトリウム(2.8×10-1mol/
l)、クエン酸ナトリウム(1.6×10-1mol/
l)を含むpH=4.5の無電解ニッケルめっき液に2
0分間浸漬して、開口部に厚さ5μmのニッケルめっき
層15を形成した。さらに、その基板をシアン化金カリ
ウム(7.6×10-3mol/l)、塩化アンモニウム
(1.9×10-1mol/l)、クエン酸ナトリウム
(1.2×10-1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム
(1.7×10-1mol/l)を含む無電解金めっき液
に80℃の条件で7.5分間浸漬して、ニッケルめっき
層15上に、厚さ0.03μmの金めっき層16を形成
した。
【0183】(17)この後、基板のICチップを載置する
面のソルダーレジスト層14の開口に、スズ−鉛を含有
するはんだペーストを印刷し、さらに他方の面のソルダ
ーレジスト層14の開口にスズ−アンチモンを含有する
はんだペーストを印刷し、該はんだペーストにピンを載
置した後、200℃でリフローすることにより、ICチ
ップを載置する面にはんだバンプ(はんだ体)17を形
成し、他方の面にはPGAを形成し、多層配線プリント
基板を製造した(図10(b)参照)。
【0184】実施例3 実施例1のAおよびBの工程において、(1) 、(2) およ
び(3) で調整した混合組成物を混合する際に、Sb2
5 3重量部をメチルエチルケトンに分散させた分散液を
添加して混合することにより、Sb25 を含む上層の
粗化面形成用樹脂組成物および下層の粗化面形成用樹脂
組成物を調製した以外は、実施例1と同様にして多層プ
リント配線板を製造した。
【0185】実施例4 実施例2のAの(4) の工程において、さらに、Sb2
5 3重量部をメチルエチルケトンに分散させた分散液を
添加して混合することにより、Sb25 を含む混合組
成物Dを調整した以外は、実施例2と同様にして多層プ
リント配線板を製造した。
【0186】比較例1 実施例1のAの工程において、塩素化クレゾールノボラ
ック型エポキシ樹脂に代えて、クレゾールノボラック型
エポキシ樹脂(日本化薬社製、分子量:2500)を用
いた以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板
を製造した。
【0187】比較例2 実施例2のAの工程において、臭素化ビスフェノールA
型エポキシ樹脂に代えて、ビスフェノールA型エポキシ
樹脂(エポキシ当量469、油化シェルエポキシ社製
エピコート1001)を用いた以外は、実施例2と同様
にして多層プリント配線板を製造した。
【0188】つぎに、実施例1〜4および比較例1〜2
で製造した多層プリント配線板について、以下の方法に
より、難燃性、開口性、開口の内壁面の形状、層間樹脂
絶縁層と導体回路との間での剥離の発生や層間樹脂絶縁
層でのクラックの発生の有無を評価した。その結果を表
1に示した。
【0189】評価方法 (1)難燃性の評価 UL94の規格に準拠して、多層プリント配線板をカッ
トして垂直法により難燃性試験を行い、以下の評価基準
で評価する。なお、試験片の寸法は、12.7mm×1
27mm×指定厚さとした。 評価基準 ○:94V−0の判定基準に合格。 ×:94V−0の判定基準に不合格。
【0190】(2)開口性の評価 実施例1〜4および比較例1〜2で、樹脂絶縁層に開口
を形成し、硬化させた後、開口部にめっき層を形成する
前に開口の形状を顕微鏡観察し、さらに、多層プリント
配線板の製造終了後、該多層プリント配線板のバイアホ
ールが形成されている部分で切断し、切断した断面を顕
微鏡で観察することにより、層間樹脂絶縁層に形成した
開口の断面の形状を顕微鏡観察し、以下の評価基準で評
価する。
【0191】評価基準 ○:平面視した開口の形状が所望のものであり、開口か
ら露出した導体回路表面に樹脂残りがない。 ×:開口の形状が先細り形状となっており、開口から露
出した導体回路表面に樹脂残りがあるか、または、未開
口である。
【0192】(3)開口の内壁面の形状の観察 実施例1〜4および比較例1〜2で、樹脂絶縁層に開口
を形成した後、樹脂絶縁層表面に粗化面を形成する前
に、樹脂絶縁層を有する配線板を開口が形成されている
部分で切断し、切断した断面を顕微鏡で観察することに
より、開口の内壁面の形状を観察し、以下の評価基準で
評価する。
【0193】評価基準 ○:内壁面の形状が滑らかである。 ×:内壁面が不均一な凹凸を有する。
【0194】(4)剥離やクラックの発生の有無の観察 上記(2)と同様にして、製造終了後の多層プリント配
線板を切断し、その断面を顕微鏡観察することにより、
層間樹脂絶縁層と導体回路との間で剥離が発生している
か否かを観察し、さらに、層間樹脂絶縁層でクラックが
発生しているか否かを観察する。また、上記多層プリン
ト配線板について、−65℃の雰囲気下に3分間維持し
た後、130℃の雰囲気下で3分間維持するサイクルを
1000回繰り返すヒートサイクル試験を行い、その
後、上記と同様にして、層間樹脂絶縁層と導体回路との
間で剥離が発生しているか否かを観察し、さらに、層間
樹脂絶縁層でクラックが発生しているか否かを観察す
る。
【0195】
【表1】
【0196】表1に示したように、実施例1〜4で製造
した多層プリント配線板は、UL94の試験規格におけ
る94V−0の判定基準に合格するものである。また、
該多層プリント配線板に形成された樹脂絶縁層は、開口
性に優れ、開口の内壁面の形状も滑らかであり、また、
クラックが発生したり、導体回路との間に剥離が発生し
たりすることがない。
【0197】これに対して、比較例1〜2で製造した多
層プリント配線板は、燃焼時間が長いため、94V−0
の判定基準に合格せず、難燃性に劣るものである。ま
た、比較例2の多層プリント配線板は、ハロゲン化エポ
キシ樹脂を含んでいないため、レーザ照射により開口を
形成した際に、内壁面の形状が不均一な凹凸を有するも
のとなった。
【0198】
【発明の効果】以上説明したように本発明の多層プリン
ト配線板は、難燃性に優れ、導体回路と樹脂絶縁層との
間で剥離が発生したり、樹脂絶縁層にクラックが発生し
たりしにくいため接続信頼性に優れる。また、本発明の
多層プリント配線板は、製造時の樹脂絶縁層の開口性に
優れ、所望の形状の開口を有するものであるため、バイ
アホール等を介した上下の導体回路間の接続信頼性に優
れる。また、本発明の多層プリント配線板の製造方法
は、上述した構成からなるので、本発明の多層プリント
配線板を高い生産性で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線
板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線
板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図3】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線
板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の多層プリント配線
板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図5】(a)〜(c)は、本発明の多層プリント配線
板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図6】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線
板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図7】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線
板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図8】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線
板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図9】(a)〜(c)は、本発明の多層プリント配線
板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図10】(a)〜(b)は、本発明の多層プリント配
線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 層間樹脂絶縁層(粗化面形成用樹脂層) 3 めっきレジスト 4 下層導体回路 4a 粗化面 5 導体回路 6 バイアホール用開口 7 バイアホール 8 銅箔 9、29 スルーホール 9a 粗化面 10 樹脂充填剤 12 無電解銅めっき層 12a Ni金属層 12b Cu金属層 13 電気めっき層 14 ソルダーレジスト層 15 ニッケルめっき層 16 金めっき層 17 はんだバンプ 19 はんだ 20 ピン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 63/00 C08L 63/00 A 71/12 71/12 H05K 3/28 H05K 3/28 D (72)発明者 豊田 幸彦 岐阜県揖斐郡揖斐川町北方1−1 イビデ ン株式会社大垣北工場 Fターム(参考) 4J002 BB00X BD12X CC04X CD00W CD12W CH07X CM04X DE126 FA086 FD016 GQ05 4J036 AA01 AC06 AD05 AD09 AF10 AF23 AF28 AJ06 FA02 FB02 FB07 FB12 FB14 JA08 5E314 AA25 AA26 AA31 AA32 AA36 AA39 AA42 CC01 CC15 DD07 DD08 FF05 FF17 FF19 GG08 GG26 5E346 AA12 CC04 CC08 CC09 CC10 CC13 CC14 CC32 DD02 DD03 DD12 DD25 EE39 FF13 GG15 GG17 HH18 HH40

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に導体回路と樹脂絶縁層とが順次
    形成され、これら導体回路がバイアホールを介して接続
    された多層プリント配線板であって、前記樹脂絶縁層
    は、ハロゲン化エポキシ樹脂を含むことを特徴とする多
    層プリント配線板。
  2. 【請求項2】 前記ハロゲン化エポキシ樹脂は、臭素化
    エポキシ樹脂である請求項1記載の多層プリント配線
    板。
  3. 【請求項3】 前記臭素化エポキシ樹脂は、両末端エポ
    キシ基タイプの樹脂である請求項2記載の多層プリント
    配線板。
  4. 【請求項4】 前記臭素化エポキシ樹脂は、エポキシ基
    の部分封止タイプの樹脂である請求項2記載の多層プリ
    ント配線板。
  5. 【請求項5】 前記樹脂絶縁層は、無機フィラーとし
    て、金属酸化物を含む請求項1〜4のいずれか1に記載
    の多層プリント配線板。
  6. 【請求項6】 前記無機フィラーは、酸化アンチモンで
    ある請求項5記載の多層プリント配線板。
  7. 【請求項7】 前記無機フィラーは、その粒径が0.5
    μm以下である請求項5または6記載の多層プリント配
    線板。
  8. 【請求項8】 前記無機フィラーの含有量は、0.1〜
    15重量%である請求項5、6または7記載の多層プリ
    ント配線板。
  9. 【請求項9】 前記樹脂絶縁層は、エポキシ樹脂、フェ
    ノール樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエ
    ーテル(PPE)、ポリフェニレンオキサイド(PP
    O)、フッ素樹脂およびポリイミド樹脂からなる群より
    選択される少なくとも一種を含む請求項1〜8のいずれ
    か1に記載の多層プリント配線板。
  10. 【請求項10】 前記樹脂絶縁層は、熱硬化性樹脂と熱
    可塑性樹脂とからなる樹脂複合体を含む請求項1〜9の
    いずれか1に記載の多層プリント配線板。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1に記載の
    多層プリント配線板の製造方法であって、少なくとも下
    記(1)および(2)の工程を含むことを特徴とする多
    層プリント配線板の製造方法。 (1)ハロゲン化エポキシ樹脂を含む未硬化の樹脂組成
    物を調製する工程と、(2)導体回路の形成された基板
    または導体回路の形成された樹脂絶縁層上に、前記未硬
    化の樹脂組成物を塗布することにより樹脂組成物の層を
    形成する工程。
  12. 【請求項12】 請求項1〜10のいずれか1に記載の
    多層プリント配線板の製造方法であって、少なくとも下
    記(1)および(2)の工程を含むことを特徴とする多
    層プリント配線板の製造方法。 (1)ハロゲン化エポキシ樹脂を含む樹脂フィルムを作
    製する工程と、(2)導体回路の形成された基板または
    導体回路の形成された樹脂絶縁層上に、前記樹脂フィル
    ムを圧着することにより樹脂フィルムの層を形成する工
    程。
  13. 【請求項13】 請求項10記載の多層プリント配線板
    の製造方法であって、少なくとも下記(1)〜(5)の
    工程を含むことを特徴とする多層プリント配線板の製造
    方法。 (1)ハロゲン化エポキシ樹脂を含む樹脂組成物Aを調
    製する工程と、(2)熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物B
    を調製する工程と、(3)硬化剤を含む硬化剤成分Cを
    調製する工程と、(4)前記樹脂組成物A、前記樹脂組
    成物Bおよび前記硬化剤成分Cを混練して混合組成物D
    を調製した後、前記混合組成物Dからなる樹脂フィルム
    Eを作製する工程と、(5)導体回路の形成された基板
    または導体回路の形成された樹脂絶縁層上に、前記樹脂
    フィルムEを圧着することにより樹脂フィルムEの層を
    形成する工程。
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