JP2001290237A - 熱現像感光材料 - Google Patents

熱現像感光材料

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JP2001290237A JP2000105948A JP2000105948A JP2001290237A JP 2001290237 A JP2001290237 A JP 2001290237A JP 2000105948 A JP2000105948 A JP 2000105948A JP 2000105948 A JP2000105948 A JP 2000105948A JP 2001290237 A JP2001290237 A JP 2001290237A
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Takahiro Goto
孝浩 後藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カブリが低い画像を形成することができ、か
つ露光前の保存によるカブリの上昇や感度変動が少ない
熱現像感光材料を提供すること。 【解決手段】支持体上に非感光性銀塩および感光性ハロ
ゲン化銀を含有する熱現像感光材料において、該感光性
ハロゲン化銀が分光増感剤により分光感度極大波長が7
30nmよりも長くて、下記式(1)及び(2)をとも
に満足するように分光増感されたことを特徴とする熱現
像感光材料。 【数1】 [上式において、λmaxは分光感度極大波長、S
(λ)は波長λにおける分光感度である]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像感光材料に関
するものであり、特に写真製版用に適したスキャナー、
イメージセッター用熱現像感光材料に関し、さらに詳し
くは、赤外半導体レーザーに適合した熱現像感光材料に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】支持体上に画像形成層を有し、画像露光
することで画像形成を行う感光材料が、数多く知られて
いる。その中には、環境保全に寄与し画像形成手段を簡
易化できるシステムとして、熱現像により画像を形成す
る技術がある。近年、写真製版分野においては環境保全
や省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれる
ようになっている。そこで、レーザー・スキャナーまた
はレーザー・イメージセッターにより効率的に露光させ
ることができ、かつ高解像度および鮮鋭さを有する鮮明
な黒色画像を形成することができる写真製版用途の熱現
像感光材料に関する技術開発が必要とされている。この
ような熱現像感光材料によれば、溶液系処理化学薬品を
必要としない、より簡単で環境を損なわない熱現像処理
システムを顧客に対して供給することが可能になる。
【0003】熱現像により画像を形成する方法は、例え
ば米国特許第3,152,904号明細書、同第3,4
57,075号明細書、およびD.クロスタボーア(Kl
osterboer)とによる「熱によって処理される銀システ
ム(Thermally Processed Silver Systems)A」(イメ
ージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Im
aging Processes and Materials)Neblette 第8版、
J.スタージ(Sturge)、V.ウォールワーズ(Walwor
th)、A.シェップ(Shepp)編集、第9章、第279
頁、1989年)に記載されている。このような熱現像
感光材料は、還元可能な非感光性の銀源(例えば有機銀
塩)、触媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化銀)、お
よび銀の還元剤を通常有機バインダーマトリックス中に
分散した状態で含有する。熱現像感光材料は常温で安定
であるが、露光後に高温(例えば、80℃以上)に加熱
したときに、還元可能な銀源(酸化剤として機能する)
と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。
この酸化還元反応は露光により形成された潜像の触媒作
用によって促進される。露光領域中の還元可能な銀塩の
反応によって生成した銀は黒色になり、非露光領域と対
照をなすことから画像の形成がなされる。
【0004】従来から知られている熱現像感光材料は、
トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、メタノールな
どの有機溶剤を溶媒とする塗布液を塗布することにより
画像形成層を形成しているものが多い。有機溶剤を溶媒
として用いることは、製造工程で人体へ悪影響が及ぶだ
けでなく、溶剤の回収その他の工程が必要になるためコ
スト上も不利である。そこで、水を溶媒とする塗布液を
用いて画像形成層を形成する方法が提案されている。例
えば特開昭49−52626号公報、特開昭53−11
6144号公報などには、ゼラチンをバインダーとする
画像形成層が記載されている。また特開昭50−151
138号公報には、ポリビニルアルコールをバインダー
とする画像形成層が記載されている。さらに特開昭60
−61747号公報には、ゼラチンとポリビニルアルコ
ールを併用した画像形成層が記載されている。これ以外
の例として特開昭58−28737号公報には、水溶性
ポリビニルアセタールをバインダーとする画像形成層が
記載されている。このようなバインダーを用いれば、水
溶媒の塗布液を用いて画像形成層を形成することができ
るため、環境面およびコスト面のメリットは大きい。
【0005】しかしながら、ゼラチン、ポリビニルアル
コール、水溶性ポリアセタールなどのポリマーをバイン
ダーとして用いると、現像部の銀色調が本来好ましいと
される黒色からかけ離れた茶色や黄色になるうえ、露光
部の黒化濃度が低くて未露光部の濃度が高い等の問題が
あり、商品価値が著しく損なわれたものしか得られなか
った。また、有機銀塩との相溶性が悪く、塗布面質上実
用に耐える塗布物が得られないという問題もあった。欧
州特許公開EP第762,196号公報、特開平9−9
0550号公報等には、熱現像感光材料に用いる感光性
ハロゲン化銀粒子に第VII族またはVIII族の金属イオン
または金属錯体イオンを含有させること、および熱現像
感光材料中にヒドラジン誘導体を含有せしめて高コント
ラストな写真特性を得ることができることが開示されて
いる。
【0006】一方、製版用感光材料は、印刷工程の中で
は中間材料として用いられ刷版を作製するためのマスク
として使用されている。近年、印刷工程全般においてデ
ジタル化、作業の自動化が浸透してきており刷版作製工
程では製版機の導入によりPS版への露光及び現像が自
動化されている。製版機は、自動搬送あるいは自動露光
などのために必要な情報(バーコードあるいはトンボ)
が書き込まれた熱現像感光材料を、製版機のセンサーが
読み込むことにより作動するシステムとなっている。こ
れらセンサーには670nm付近のレーザーダイオード
が使用されている。すなわち熱現像感光材料に書き込ま
れた情報が670nmで読み取れることが必須であり、
熱現像感光材料としては670nm付近のDmin(最
低濃度)の低いこと、特に可視吸収の小さいハレーショ
ン防止染料を使用することが好ましいことになる。
【0007】赤外線露光を前提とした熱現像感光材料で
は増感色素、ハレーション防止染料の可視吸収を大幅に
少なくすることができ、実質的に色のない熱現像感光材
料を容易に作ることができる。また、近年半導体レーザ
ーが普及してきており赤外感光用ハロゲン化銀感光材料
が使用される機会が多くなってきている。半導体レーザ
ーを含めたレーザー光は発光波長が決まっているため、
レーザーの発振波長に合わせた特性波長のみを強く増感
すれば良く、言い換えれば、レーザーの発振波長以外の
波長域の感度がむしろできるだけ低い方がセーフライト
安全性などの点から好ましい事が多い。このように特定
波長のみを強く増感させる技術は、ハロゲン化銀写真乳
剤の分光増感技術に於いてはJ−バンド増感として知ら
れている。J−バンドはJ凝集体という特殊な会合体の
形成によってもたらされ、吸光度が非常に高く、且つ、
半値幅の非常に狭い、極めて鋭い吸収を示す。分光感度
も、この吸収特性を反映して鋭い分光感度分布スペクト
ルを示す。しかし、このJ−バンド増感は可視光領域に
於いては極めて多くの例が知られており、例えば、フル
カラー感光材料の製造にとって必須の分光増感方法とな
っているが、赤外光領域に於ける例は極めて少なく、
A.H.Herz,Photogr.Sci.En
g.,18巻(3号)323〜335頁(1974年)
と、H.Kampfer,ICPS予稿集366〜36
9頁(1986年)に簡単な記載が見られるに過ぎな
い。また、熱現像感光材料における例も少ない。
【0008】一方、730nmよりも長波長側に増感極
大を有するような赤外増感系では、増感色素の添加量を
増すと減感が強く発生する(米国特許第4,011,0
83号明細書等に記載)。この減感は増感色素によりも
たらされる固有減感として良く知られており、長波長吸
収の色素ほど大きくなることも知られている。前述のよ
うな赤外域の増感色素では、この減感が極めて大きいた
め、通常はハロゲン化銀粒子表面に対する増感色素の被
覆率を10〜20%程度にせざるを得ず、必然的に光捕
捉率も低く、得られる分光感度も可視域で施されている
分光感度に比べ極めて低いものであり、かかる状態で得
られる分光感度分布はモレキュラー状態の吸収に基づく
非常にブロードなものであった。更にまた、上記の文献
ではJ−バンドの形成に言及してはいるものの、非常に
ブロードな分光感度分布スペクトルを沃臭化銀及び臭化
銀主体の塩臭化銀乳剤で得たとされていることからも、
該分光増感は増感色素のモレキュラー状態の分子に基づ
くM−バンド型分光増感と増感色素のJ会合体に基づく
J−バンド型分光増感を混在したものと推察され、レー
ザー露光やセーフライト下での取扱いやフルカラー感光
材料への適応などに充分な意識を持っていなかったため
に、不必要な領域の感度を抑えようとする認識が不足し
ており、とにかくJ−バンド増感は得られたものの、分
光増感分布の狭いJ−バンド型分光増感を主体的に実現
したものでもなく、実用性から見れば極めて不十分なも
のであった。
【0009】従って、赤外域、特に、半導体レーザー光
の波長に適合した分光感度の高いJ−バンド増感を与え
てなおかつ不要な領域の感度の低い増感方法が望まれて
いる。また、730nmより長波長の分光増感を施そう
とすると、用いる分光増感色素は長波長の光を効率的に
吸収できる色素となる。特開昭61−137,149号
公報、同63−197,947号公報、同55−13,
505号公報等、及び前述の特開昭59−191,03
2号公報、同59−192,242号公報、同60−8
0,841号公報等に赤外増感色素が開示されている
が、赤外域に吸収を持たせるために共役メチン鎖の長い
色素が用いられている。かかるメチン鎖の長いシアニン
色素ではJ−会合体をハロゲン化銀粒子上で形成させ、
J−バンド増感を支配的に施すことは極めて困難である
ばかりか、赤外線を吸収し分光増感する色素は一般的に
HOMOが高いため強い還元能を有し、熱現像感光材料
中の銀イオンを還元し、熱現像感光材料のカブリを悪化
させる傾向にある。特に、高温、高湿といった条件での
保存や、長期の保存では著しい性能変化が伴う場合があ
る。また保存性の劣化を防ぐためにHOMOの低い色素
を用いると、相対的にLUMOも低くなり分光増感効率
が低下し、感度が低くなる。このような感度、保存性、
性能変動に対する問題は、湿式写真感光材料だけでな
く、熱現像感光材料においては更に顕著となる。そこ
で、カブリが低く、かつ露光前保存時のカブリの上昇お
よび感度変動の少ない画像を得ることが可能で、環境面
・コスト面で有利な熱現像感光材料を提供する技術が望
まれていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術の問題
に鑑みて、本発明は、特に写真製版用、特にスキャナ
ー、イメージセッター用として、カブリが低い画像を形
成することができ、かつ露光前の保存によるカブリの上
昇や感度変動が少ない熱現像感光材料を提供することを
課題とした。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するために鋭意検討を重ねた結果、分光感度極大波長
およびその±30nmの分光感度または光学濃度が特定
の条件を満たすように分光増感すれば優れた熱現像感光
材料が得られることを見出し、本発明を提供するに至っ
た。すなわち、本発明は、支持体上に非感光性銀塩およ
び感光性ハロゲン化銀を含有する熱現像感光材料におい
て、該感光性ハロゲン化銀が分光増感剤により分光感度
極大波長が730nmよりも長くて、下記式(1)及び
(2)をともに満足するように分光増感されたことを特
徴とする熱現像感光材料を提供する。
【数3】 [上式において、λmaxは分光感度極大波長、S
(λ)は波長λにおける分光感度である]
【0012】また本発明は、支持体上に非感光性銀塩お
よび感光性ハロゲン化銀を含有する熱現像感光材料にお
いて、該感光性ハロゲン化銀が分光増感剤により分光感
度極大波長が730nmよりも長くて、下記式(3)及
び(4)をともに満足するように分光増感されたことを
特徴とする熱現像感光材料も提供する。
【数4】 [上式において、λmaxは分光感度極大波長、Ab
s.(λ)は波長λにおける光学濃度である]
【0013】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の熱現像感
光材料について詳細に説明する。本発明の熱現像感光材
料は、支持体上に非感光性銀塩および感光性ハロゲン化
銀を含有するものである。本発明の特徴は、感光性ハロ
ゲン化銀が分光増感剤により分光感度極大波長が730
nmよりも長くて、上記式(1)と(2)の感度比、お
よび/または、上記式(3)と(4)の光学濃度比を満
足するように分光増感されている点にある。このような
特徴を有する熱現像感光材料によれば、カブリ(Dmi
n)が低い画像を形成することができる。また、露光前
の保存によるカブリの上昇や感度の低下を抑制すること
ができる。このため、本発明の熱現像感光材料は、特に
写真製版用、なかでもスキャナー、イメージセッター用
として極めて有用である。また、本発明の熱現像感光材
料は、水を主成分とする溶媒(分散媒)を用いた水系塗
布により調製することができるため、環境面、コスト面
で有利である。特に、画像形成層側の主バインダーとし
てポリマーラテックスを用いれば、水系塗布を可能にす
ることができるとともに、良好な写真性能が得られるた
め好ましい。
【0014】式(1)および(2)の感度比を満足する
か否かは、分光感度極大波長における分光感度S(λm
ax)、分光感度極大波長よりも30nm長い波長にお
ける分光感度S(λmax+30nm)、分光感度極大
波長よりも30nm短い波長における分光感度S(λm
ax−30nm)を測定することにより判定する。分光
感度の測定は、分光増感色素を添加したハロゲン化銀乳
剤層を有する塗布フィルムを等エネルギー分光露光機で
ウエッジを通して露光後、現像処理したものに対して行
う。ここでいう感度は、カブリ(Dmin)濃度に0.
2加えた濃度を与える露光量の逆数である。式(1)で
表されるS(λmax)/S(λmax+30nm)は
4.5〜300であるが、5〜200であることが好ま
しく、10〜200であることが特に好ましい。なお、
本明細書において「〜」はその前後に記載される数値を
それぞれ最小値および最大値として包含する範囲を表
す。また、式(2)で表されるS(λmax)/S(λ
max−30nm)は2〜30であるが、2〜20であ
ることが好ましく、2〜10であることが特に好まし
い。
【0015】式(3)および(4)の光学濃度比(吸光
度比)を満足するか否かは、分光感度極大波長における
光学濃度Abs.(λmax)、分光感度極大波長より
も30nm長い波長における光学濃度Abs.(λma
x+30nm)、分光感度極大波長よりも30nm短い
波長における光学濃度Abs.(λmax−30nm)
を測定することにより判定する。光学濃度(吸光度)
は、分光増感色素を添加したハロゲン化銀乳剤層を有す
る塗布フィルムを積分球付きの分光光度計(例えば、日
立製作所分光光度計U−3410型)を用いて測定する
ことにより求めることができる。式(3)で表されるA
bs.(λmax)/Abs.(λmax+30nm)
は4.5〜300であるが、5〜200であることが好
ましく、10〜200であることが特に好ましい。式
(4)で表されるAbs.(λmax)/Abs.(λ
max−30nm)は2〜30であるが、2〜20であ
ることが好ましく、2〜10であることが特に好まし
い。上記式(1)〜(4)の最大値を超えると、いずれ
もレーザ光源の波長のばらつきの影響が出やすくなっ
て、感度の変動が大きくなるため好ましくない。
【0016】分光感度極大波長が730nmよりも長
く、上記式(1)と(2)の感度比、および/または、
上記式(3)と(4)の光学濃度比を満足すれば、本発
明の主要な目的は達成することができるが、分光増感色
素を単にハロゲン化銀乳剤中に添加しただけではそれら
を満足するような増感を施すことは難しい。以下に記載
するように分光増感色素を選択したうえで、適切な方法
によりこれを適用することによって、分光感度極大波長
が730nmよりも長く、上記式(1)と(2)の感度
比、および/または、上記式(3)と(4)の光学濃度
比を満足する分光増感を行うことができる。例えば、ハ
ロゲン化銀粒子の表面積1m2当たり、1×10-7mo
l(この量は、増感色素1分子当たりの占有面積が10
62とした場合、添加した増感色素がすべてハロゲン化
銀粒子に単層吸着したとすると、粒子表面のほぼ40%
弱を被覆する量に相当する)〜1×10-2mol、より
好ましくは5×10-7mol〜7×10-4molの分光
増感色素を、40℃〜90℃、より好ましくは50℃〜
80℃、更に好ましくは60℃〜70℃の範囲で添加
し、熟成することによって、上記感度比および/または
上記光学濃度比を満足させることが可能になる。
【0017】本発明に用いられる分光増感色素として
は、上記の感度比または/及び光学濃度比を満足するも
ので730nm以上に分光感度極大波長を有するもので
あれば何でもよいが、本発明の目的の一つである高感度
で、且つ、溶液状態で塗布前に保存された乳剤及び塗布
後の保存中に於ける熱現像感光材料の赤外光域の写真感
度の低下とカブリ濃度の増大が抑えられた熱現像感光材
料を提供するためには、用いられる分光増感色素の飽和
カロメラ電極に対するポーラログラフ半波還元電位が−
1.26Vより卑であり、且つ、ポーラログラフ半波酸
化電位が0.38Vより貴であることが望ましい。分光
増感色素のポーラログラフ半波還元電位と分光増感効率
との関係は、例えば、T.Tani, T.Suzumoto, K.Ohzeki,
Journal ofPhysical Chemistry,94巻(1990
年)、1298頁等にも記載されているように、半波還
元電位が卑になるほど効率がよい。しかしながら、前述
赤外増感に関する特許などに記載されているような、従
来のモレキュラー型分光増感をもたらす増感色素の半波
還元電位は−1.1〜−1.25V vs SCEのも
のが大半で、あまり卑ではない。このため、増感効率は
より卑な半波還元電位を持つ可視域増感用の色素に比
べ、極めて悪いのが現状である。本発明では、Jバンド
増感で赤外増感をさせ得た結果、増感効率の高い−1.
26V vs SCEより卑な増感色素を用いる事をも
可能にしたものであり、分光感度をより高めるために
は、用いる増感色素のポーラログラフ半波還元電位が−
1.26V vsSCEより卑であることが望ましい。
一方、従来から使用されてきた前述のモレキャラー型の
赤外増感色素の酸化電位は0.45V vs SCEよ
り卑なものが一般的で、大半は0.40V vs SC
Eより卑、中には0.30V vs SCEより卑な色
素も珍しくない。これは可視域用に用いられる増感色素
に比べかなり卑である。酸化電位がより卑になると、そ
れだけ酸化を受け易くなる。従って、かかる卑な酸化電
位を持つ従来からのキレキュラー型増感色素で分光増感
された赤外感光材料は、保存中における感度低下が著し
い。本発明者は、酸化電位が0.38より貴な増感色素
でJバンド型増感を施せば、この保存中の安定性が非常
に向上することを見いだした。従って、溶液状態で塗布
前に保存された乳剤及び塗布後の保存中に於ける熱現像
感光材料の赤外光域の写真感度の低下とカブリ濃度の増
大を抑えるためには、用いる増感色素のポーラログラフ
半波酸化電位が0.38V vs SCEより貴である
ことがより望ましい。ポーラログラフ半波電位は、T.Ta
ni, K.Ohzeki, K.Seki. Journal of the Electrochemic
al Society. 138巻、1411〜1415頁及びJ.Le
nhard.Journal of Imaging Science. 30巻、27〜3
5頁に記載の位相弁別第2高調波交流ボルタンメトリー
法により測定すればよい。
【0018】本発明に用いられる分光増感色素として
は、上記の感度比または/及び吸光度比を満足するもの
で730nm以上に増感極大を有するものであれば何で
もよいが、特に、一般式(I)で表される化合物が有用
である。
【化1】
【0019】式中、Z1及びZ2は、同一でも異なってい
てもよく、硫黄原子またはセレン原子を表す。Y1及び
4は水素原子を表すほか、Y2が水素原子でない場合の
1、及びY5が水素原子でない場合のY4はメチル基、
エチル基、ヒドロキシ基またはメトキシ基をも表す。Y
2及びY5は水素原子、炭素数3以下の置換されていても
良いアルキル基(より好ましくは、例えば、メチル基、
エチル基、プロピル基、メトキシメチル基、ヒドロキシ
エチル基等)、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ
基、単環式アリール基(より好ましくは、例えば、フェ
ニル基、トリル基、アニシル基、2−ピリジル基、4−
ピリジル基、2−チエニル基、2−フリル基等)、アセ
チルアミノ基及びプロピオニルアミノ基を表すほか、Y
2はY1とで、Y5はY4とで、それぞれ連結し、メチレン
ジオキシ基、トリメチレン基またはテトラメチレン基を
も表す。Y3及びY6は水素原子を表すほか、Y3はY
2と、Y6とY5とで、それぞれ連結し、メチレンジオキ
シ基、エチレンジオキシ基、トリメチレン基、テトラメ
チレン基、またはテトラデヒドロテトラメチレン基をも
表す。R1及びR2は同一でも異なっていてもよく、総炭
素数10以下の置換されていてもよいアルキル基又はア
ルケニル基を表す。アルキル基及びアルケニル基のより
好ましい置換基としては、例えば、スルホ基、カルボキ
シ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数6以下のア
ルコキシ基、炭素数12以下の置換されていてもよいア
リール基(例えば、フェニル基、トリル基、スルホフェ
ニル基、カルボキシフェニル基、ナフチル基、5−メチ
ルナフチル基、4−スルホナフチル基等)、複素環基
(例えば、フリル基、チエニル基等)、炭素数12以下
の置換されていてもよいアリールオキシ基(例えば、ク
ロロフェノキシ基、フェノキシ基、スルホフェノキシ
基、ヒドロキシフェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、
炭素数8以下のアシル基(例えば、ベンゼンスルホニル
基、メタンスルホニル基、アセチル基、プロピオニル基
等)、炭素数6以下のアルコキシカルボニル基(例え
ば、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基
等)、シアノ基、炭素数6以下のアルキルチオ基(例え
ば、メチルチオ基、エチルチオ基等)、炭素数8以下の
置換されていてもよいアリールチオ基(例えば、フェニ
ルチオ基、トリルチオ基等)、炭素数8以下の置換され
ていてもよいカルバモイル基(例えば、カルバモイル
基、N−エチルカルバモイル基等)、炭素数8以下のア
シルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、メタンスル
ホンアミノ基等)、炭素数8以下のアシルアミノカルボ
ニル基(例えば、アセチルアミノカルボニル基、メタン
スルホニルアミノカルボニル基等)、炭素数7以下のウ
レイド基(例えば、3−エチルウレイド基、3,3−ジ
メチルウレイド基等)等が挙げられる。置換基は、一個
以上有していてもよい。R3及びR5は、水素原子を表す
他、R3はR1と、R5はR2と、それぞれ連結して5員環
または6員環をも形成できることを表す。R4は水素原
子または置換されていても良い低級アルキル基を表す。
6は水素原子、メチル基、エチル基またはプロピル基
を表し、R7は置換されていても良い低級アルキル基ま
たは置換されていても良いフェニル基を表す。Xは、電
荷を中和するに必要な対イオンを表す。nは、0または
1を表し、分子内塩の場合は0である。
【0020】Z1及びZ2がその構成原子群の一つとなっ
て表わされる、前述の含窒素複素環核の具体例として
は、例えば、ベンゾチアゾール、5−メチルベンゾチア
ゾール、5−エチルベンゾチアゾール、5−プロピルベ
ンゾチアゾール、5,6−ジメチルベンゾチアゾール、
5−メトキシベンゾチアゾール、5−エトキシベンゾチ
アゾール、5,6−ジメトキシベンゾチアゾール、5−
メトキシ−6−メチルベンゾチアゾール、5−フェニル
ベンゾチアゾール、5−p−トリルベンゾチアゾール、
5−アセチルアミノベンゾチアゾール、5−プロピオニ
ルアミノベンゾチアゾール、5−ヒドロキシベンゾチア
ゾール、5−ヒドロキシ−6−メチルベンゾチアゾー
ル、5,6−ジオキシメチレンベンゾチアゾール、4,
5−ジオキシメチレンベンゾチアゾール、5,6−トリ
メチレンベンゾチアゾール、ナフト〔1,2−d〕チア
ゾール、5−メチルナフト〔1,2−d〕チアゾール、
8−メトキシナフト〔1,2−d〕チアゾール、8,9
−ジヒドロナフトチアゾール、ベンゾセレナゾール、5
−メチルベンゾセレナゾール、5−エチルベンゾセレナ
ゾール、5−メトキシベンゾセレナゾール、5−エトキ
シベンゾセレナゾール、5,6−ジメチルベンゾセレナ
ゾール、5−ヒドロキシベンゾセレナゾール、5−ヒド
ロキシ−6−メチルベンゾセレナゾール、ナフト〔1,
2−d〕セレナゾール等が挙げられる。
【0021】R1及びR2の具体例としては、例えばメチ
ル基、エチル基、プロピル基、アリル基、ペンチル基、
ヘキシル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、フ
ェネチル基、トリルエチル基、フェノキシエチル基、フ
ェノキシプロピル基、ナフトキシエチル基、スルホフェ
ネチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,
2,3,3−テトラフルオロプロピル基、カルバモイル
エチル基、ヒドロキシエチル基、2−(2−ヒドロキシ
エトキシ)エチル基、カルボキシメチル基、カルボキシ
エチル基、エトキシカルボニルメチル基、スルホエチル
基、2−クロロ−3−スルホプロピル基、3−スルホプ
ロピル基、2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル基、3
−スルホブチル基、4−スルホブチル基、2−(2,3
−ジヒドロキシプロピルオキシ)エチル基、2−〔2−
(3−スルホプロピルオキシ)エトキシ〕エチル基、ア
セチルアミノエチル基、メチルスルホニルアミノエチル
基、メチルスルホニルアミノカルボニルエチル基、アセ
チルアニノカルボニルエチル基、等が挙げられる。R4
が表す置換されていても良い低級アルキル基の好ましい
具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基また
はベンジル基が挙げられ、R7が表す置換されていても
良い低級アルキル基または置換されていても良いフェニ
ル基が表す好ましい具体例としては、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ベンジル基、フェニル基、
p−メトキシフェニル基、p−トリル基、等が挙げられ
る。Xが表す対イオンの具体例としては、カチオンの場
合にはカリウム、ナトリウム等のアルカリ金属イオン、
トリエチルアンモニウム、N,N−ジメチルベンジルア
ンモニウム等のアンモニウムイオン、ピリジニウム等の
インモニウムイオン等が挙げられ、アニオンの場合には
塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン等のハライドイオ
ン、p−トルエンスルホナート、ベンゼンスルホナート
等のスルホナートイオン、アセタート等のカルボキシラ
ートイオン等が挙げられる。
【0022】前記一般式(I)で表される増感色素にお
いて、より好ましい増感色素は、一般式(I)により表
される増感色素のうち、Z1及びZ2のうちの少なくとも
いずれか一方が硫黄原子を表す場合であり、Y1及びY4
が水素原子を表わし、Y2及びY5が水素原子、メチル
基、エチル基、プロピル基、メトキシメチル基、ヒドロ
キシエチル基、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ
基、フェニル基、アセチルアミノ基を表すほか、Y2
3と、Y5とY6とで、それぞれ、メチレンジオキシ
基、テトラメチレン基、またはテトラデヒドロテトラメ
チレン基を表し、且つ、R6が水素原子を表す場合であ
る。次に、一般式(I)で表される増感色素の具体例
を、本発明の内容をより具体的に説明するために列挙す
るが、本発明で用いることができる化合物はこれらに限
定されるものではない。
【0023】
【化2】
【0024】
【化3】
【0025】
【化4】
【0026】
【化5】
【0027】本発明に用いられる一般式(I)で表され
る増感色素は、公知の化合物であり、例えば、特開昭5
2−104,917号公報、特公昭48−25,652
号公報、特公昭57−22,268号公報等の各公報
や、F.M.Hamer,The Chemistryof Heterocyclic Compoun
ds,Vol.18,The Cyanine Dyes and Related compounds,
A.Weissbergered.,Interscience,NewYork,1964.、D.M.St
urmer,The Chemistry of Heterocyclic Compounds,Vo
l.30,A.Weissberger and E.C.Taylored.,Jhon Willy,Ne
wYork,p.441.、特開平4−146966号公報等を参照
すれば合成できる。
【0028】本発明に用いる一般式(I)で表されるシ
アニン色素をハロゲン化銀乳剤中に含有せしめるには、
それらを直接乳剤中に分散してもよいし、或いは水、メ
タノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチ
ルセルソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパ
ノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、3−メ
トキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノ
ール、1−メトキシ−2−プロパノール、N,N−ジメ
チルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶
解して乳剤に添加してもよい。また、米国特許3,46
9,987号明細書等に記載されるように、色素を揮発
性の有機溶剤に溶解し、該溶解を水または親水性コロイ
ド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特
公昭46−24,185号公報等に記載されるように、
水不溶製色素を溶解することなしに水溶性溶剤中に分散
させ、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44
−23,389号公報、特公昭44−27,555号公
報、特公昭57−22,091号公報等に記載されるよ
うに、色素を酸に溶解し、該溶液を乳剤中へ添加した
り、酸または塩基を共存させて水溶液とし乳剤中へ添加
する方法、米国特許3,822,135号明細書、米国
特許4,006,025号明細書等に記載されるよう
に、界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分
散物としたものを乳剤中へ添加する方法、特開昭53−
102,733号公報、特開昭58−105,141号
公報に記載されるように、親水性コロイド中に色素を直
接分散させ、その分散物を乳剤中へ添加する方法、特開
昭51−74,624号公報に記載されるようにレッド
シフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、該溶液を乳
剤中へ添加する方法等を用いる事もできる。また、溶解
に超音波を使用することもできる。
【0029】本発明に用いる増感色素をハロゲン化銀乳
剤中に添加する時期は、これまで有用である事が認めら
れている乳剤調製の如何なる工程中であってもよい。例
えば、米国特許2,735,766号明細書,米国特許
3,628,960号明細書、米国特許4,183,7
56号明細書、米国特許4,225,666号明細書、
特開昭58−184,142号公報、特開昭60−19
6,749号公報等の明細書に開示されているように、
ハロゲン化銀の粒子形成工程または/及び脱塩前の時
期、脱塩工程中及び/または脱塩後から化学熟成の開始
前迄の時期、特開昭58−113,920号公報等の明
細書に開示されているように、化学熟成の直前または工
程中の時期、化学熟成後塗布迄の時期の乳剤が塗布され
る前なら如何なる時期、工程に於いて添加されても良
い。また、米国特許4,225,666号明細書,特開
昭58−7,629号公報等の明細書に開示されている
ように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物
と組み合わせて、例えば、同一工程中、または粒子形成
工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分け
たり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるな
どの異種工程に分割して添加しても良く、分割して添加
する化合物及び化合物の組み合わせの種類をも変えて添
加されても良い。また、短時間で所定量を添加しても良
いし、長時間、例えば、粒子形成工程中の核形成後から
粒子形成完了迄や化学熟成工程の大半などにわたって連
続的に添加しても良い。より好ましい添加時期は、ハロ
ゲン化銀の粒子形成工程の核形成後から化学熟成工程の
前半迄の任意の時期である。
【0030】更にまた、本発明に於いて、本発明の効果
を更に増大せしめるためには、本発明に係わるハロゲン
化銀乳剤中に下記一般式(II)または一般式(III)の
いずれかで表されるテトラザインデン化合物と組み合わ
せて、増感色素を含有せしめることがより好ましい。
【化6】
【化7】
【0031】式中、R21、R22、R23及びR24は、同じ
でも異なっていてもよく、各々水素原子、総炭素数1〜
20の環や分岐を有していてもよい無置換或いは置換さ
れたアルキル基、単環もしくは双環の無置換或いは置換
されたアリール基、無置換或いは置換されたアミノ基、
ヒドロキシ基、総炭素数1〜20のアルコキシ基、総炭
素数1〜6のアルキルチオ基、脂肪族基または芳香族基
で置換されていてもよいカルバモイル基、ハロゲン原
子、シアノ基、カルボキシ基、総炭素数2〜20のアル
コキシカルボニル基、または、窒素原子、酸素原子、イ
オウ原子のごときヘテロ原子を有する5員もしくは6員
環を含むヘテロ環残基を表す。R21とR22またはR22
23とが連結し5員もしくは6員環を形成してもよい。
但し、R21とR23のうち、少なくともその一つはヒドロ
キシ基を表す。
【0032】前記無置換アルキル基の例としては、例え
ば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピ
ル基、tert−プロピル基、n−ブチル基、tert
−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペ
ンチルメチル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル
基、ヘプタデシル基などが挙げられる。前記置換アルキ
ル基に於ける置換基の例としては、例えば、単環もしく
は双環のアリール基、ヘテロ残基、ハロゲン原子、カル
ボキシ基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭
素数19以下のアルコキシ基、ヒドロキシ基等が挙げら
れ、置換アルキル基の具体例としては、例えば、ベンジ
ル基、フェネチル基、クロロメチル基、2−クロロエチ
ル基、トリフルオロメチル基、カルボキシメチル基、2
−カルボキシエチル基、2−(メトキシカルボニル)エ
チル基、エトキシカルボニルメチル基、2−メトキシエ
チル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基
等が挙げられる。前述無置換アリール基の例としては、
例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アリー
ル基が置換された場合の置換基の例としては、例えば、
炭素数4以下のアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ
基、シアノ基、炭素数6以下のアルコキシカルボニル
基、ヒドロキシ基、炭素数6以下のアルコキシ基等が挙
げられ、置換アリール基の具体例としては、例えば、p
−トリル基、m−トリル基、p−クロロフェニル基、p
−ブロモフェニル基、o−クロロフェニル基、m−シア
ノフェニル基、p−カルボキシフェニル基、o−カルボ
キシフェニル基、0−(メトキシカルボニル)フェニル
基、p−ヒドロキシフェニル基、p−メトキシフェニル
基、m−エトキシフェニル基等が挙げられる。前述置換
アミノ基の置換基の置換基の例としては、例えば、アル
キル基(例えばメチル基、エチル基、ブチル基)、アシ
ル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル
基、メチルスルホニル基)等が挙げられ、置換アミノ基
の具体例としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチ
ルアミノ基、ブチルアミノ基、アセチルアミノ基等が挙
げられる。前述アルコキシ基の具体例としては、例え
ば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘプタデシ
ルオキシ基等が挙げられる。前述アルキルチオ基の具体
例としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ヘ
キシルチオ基等が挙げられる。前述カルバモイル基は、
置換基として炭素数20以下のアルキル基や2環以内の
アリール基を一つまたは二つ有する事ができる。置換カ
ルバモイル基の具体例としては、メチルカルバモイル
基、ジメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、
フェニルカルバモイル基等が挙げられる。前述アルコキ
シカルボニル基の具体例としては、例えば、メトキシカ
ルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニ
ル基等が挙げられる。前述ハロゲン原子の具体例は、フ
ッソ原子、塩素原子及び臭素原子である。前述ヘテロ環
残基は単環でも、2〜3環の縮合環を有していてもよ
く、具体例としては、例えば、フリル基、ピリジル基、
2−(3−メチル)ベンゾチアゾリル基、1−ベンゾト
リアゾリル基等が挙げられる。前述の置換アルキル基に
於いて、R24が表す置換アルキル基の置換基がヘテロ環
残基である場合、下記の一般式(IV)で表される置換基
は好ましい。
【0033】
【化8】 上式中、R21、R22及びR23は、前記と同じ意義を表
し、nは2、3または4を表す。本発明に於いて、一般
式(II)または一般式(III)のいずれかで表される化
合物は、ハロゲン化銀1mol当たり1×10-5〜0.
2mol、特に、3×10-4〜0.02molの範囲で
含有され得るが、化合物の添加量は、ハロゲン化銀乳剤
の粒子サイズ、ハロゲン組成、化学増感の方法と程度、
画像形成層(乳剤層、感光性層)と他の層との関係、カ
ブリ防止化合物の種類等に応じて、最適の量を選択する
事が望ましい。その選択の為の試験方法は当業者に周知
であり、かつ容易である。本発明に於いて、一般式(I
I)または一般式(III)のいずれかで表される化合物を
本発明に係わるハロゲン化銀乳剤中に含有させるには、
前述の一般式(I)で示されるシアニン色素の添加方法
とまったく同様にして、該化合物を直接乳剤中に分散し
ても良いし、水に混和し得る有機溶剤の溶液とするか、
水溶性の場合には水溶液として、また、親水性コロイド
溶液中に分散してものを添加すれば良い。アルカリ性水
溶液とするのが溶解する上で好都合なこともある。本発
明に於いて、一般式(II)または一般式(III)のいず
れかで表される化合物をハロゲン化銀乳剤中に添加する
場合、その添加は、ハロゲン化銀の粒子形成の工程から
ハロゲン化銀乳剤の塗布までの任意の時期に行ってよい
が、添加量のうち、銀1mol当たり3×10-3mol
以下の範囲でハロゲン化銀の種類、粒子サイズにより適
切な量を選択して(増感色素による吸収強度が低下しな
いかむしろシャープで吸収強度が増大する量)、前記一
般式(I)で示されるシアニン色素の添加前に添加する
のがより好ましく、高塩化銀乳剤では化学熟成の開始以
前の時期にその量を添加するのがより好ましい。かかる
添加方法をとれば、カブリがより効果的に抑えられ、且
つ感度もより高められる。次に、一般式(II)または一
般式(III)のいずれかで表される化合物の具体例を示
すが、本発明はこれらの具体的化合物のみに限定される
ものではない。
【0034】
【化9】
【0035】
【化10】
【0036】
【化11】
【0037】
【化12】
【0038】本発明で用いるハロゲン化銀乳剤は、感光
波長域の拡大や強色増感の目的で、本発明に係わるシア
ニン色素以外のメチン色素または/及び強色増感剤を含
有していてもよく、本発明に係わるハロゲン化銀粒子以
外のハロゲン化銀粒子を同一層または別の層中に含有す
る場合、該ハロゲン化銀粒子が本発明に係わるシアニン
色素はもとより、その他のメチン色素及び強色増感剤で
分光増感されていてもよい。
【0039】本発明で用いられる色素としては、例えば
シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、
複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘ
ミシアニン色素、シチリル色素及びヘミオキソノール色
素等が挙げられる。特に有用な色素はシアニン色素、メ
ロシアニン色素及び複合メロシアニン色素に属する色素
である。これらの色素類には、塩基性複素環核としてシ
アニン色素類に通常利用される核のいずれをも適用でき
る。即ち、ピロリン核、オキサゾリン核、チアゾリン
核、セレナゾリン核、ピロール核、オキサゾール核、チ
アゾール核、セレナゾール核、イミダゾール核、テルラ
ゾール核、ピリジン核、テトラゾール核等;これらの核
に脂環式炭化水素環が縮合した核;及びこれらの核に芳
香族炭化水素環が縮合した核、即ち、インドレニン核、
ベンズインドレニン核、インドール核、ベンズオキサゾ
ール核、ナフトオキサゾール核、ベンズイミダゾール
核、ナフトイミダゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフ
トチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ナフトセレナ
ゾール核、キノリン核、ベンゾテルラゾール核等が適用
できる。これらの複素環核は炭素原子上に置換されてい
てもよい。
【0040】メロシアニン色素または複合メロシアニン
色素には、ケトメチレン構造を有する核として、通常メ
ロシアニン色素に利用される核のいずれをも適用でき
る。特に有用な核として、ピラゾリン−5−オン核、チ
オヒダントイン核、2−チオオキサゾリジン−2,4−
ジオン核、チオゾリジン−2,4−ジオン核、ローダニ
ン核、チオバルビツール酸核、2−チオセレナゾリジン
−2,4−ジオン核等の5員、6員の複素環核等を適用
することができる。
【0041】これらの増感色素は単独に用いてもよい
が、組み合わせて用いてもよい。増感色素の組合せは、
特に強色増感の目的でしばしば用いられる。その代表例
は米国特許第2,688,545号明細書、同2,97
7,229号明細書、同3,397,060号明細書、
同3,522,052号明細書、同3,527,641
号明細書、同3,617,293号明細書、同3,62
8,964号明細書、同3,666,480号明細書、
同3,672,898号明細書、同3,679,428
号明細書、同3,703,377号明細書、同3,76
9,301号明細書、同3,614,609号明細書、
同3,837,862号明細書、同4,026,707
号明細書、英国特許1,344,281号明細書、同
1,507,803号明細書、特公昭43−4,936
号公報、同53−12,375号公報、特開昭52−1
10,618号公報、同52−109,925号公報等
に記載されている。
【0042】強色増感剤の代表例としては、特開昭59
−142,541号公報等に記載のビスピリジニウム塩
化合物、特公昭59−18,691号公報等に記載のス
チルベン誘導体、特公昭49−46,932号公報等に
開示されている水溶性臭化物、米国特許3,743,5
10号明細書に開示されている芳香族化合物とホルムア
ルデヒドとの縮合物、カドミウム塩類及びアザインデン
化合物、欧州特許公開EP第587,338号公報、米
国特許第3,877,943号明細書、同第4,87
3,184号明細書に開示されている化合物、複素芳香
族あるいは脂肪族メルカプト化合物、複素芳香族ジスル
フィド化合物、スチルベン、ヒドラジン、トリアジンか
ら選択される化合物などが挙げられる。特に好ましい強
色増感剤は、特開平5−341432号公報に開示され
ている複素芳香族メルカプト化合物、複素芳香族ジスル
フィド化合物、特開平4−182639号公報の一般式
(I)あるいは(II)で表される化合物、特開平10−
111543号公報の一般式(I)で表されるスチルベ
ン化合物、特開平11−109547号公報の一般式
(I)で表わされる化合物である。具体的には特開平5
−341432号公報のM−1〜M−24の化合物、特
開平4−182639号公報のd−1)〜d−14)の
化合物、特開平10−111543号公報のSS−01
〜SS−07の化合物、特開平11−109547号公
報の31、32、37、38、41〜45、51〜53
の化合物である。
【0043】これらの強色増感剤の添加量は、画像形成
層中にハロゲン化銀1mol当たり10-4〜1molの
範囲が好ましく、ハロゲン化銀1mol当たり0.00
1〜0.3molの範囲がより好ましい。これらのメチ
ン色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これま
で有用であると知られている乳剤調製の如何なる段階で
あってもよく、添加する方法、添加量もこれまで有用で
あると知られている如何なる方法、量であってもよい。
具体的には、前述の一般式(I)で示されるシアニン色
素の添加時期、添加方法、並びに添加量として記載した
時期、添加方法、添加量が挙げられる。赤外域増感色素
はその添加条件によってはカブリをもたらす事も多く、
前述した如く一般式(II)または一般式(III)で表さ
れる化合物はそのカブリを防止しその点でも好ましい
が、ベンゾチアゾール4級塩化合物及び次の一般式
(V)で表される化合物もかかるカブリを抑制したり、
強色増感作用をもたらすものも多く好ましい。その添加
時期は、本発明に係わる増感色素を添加した後であっ
て、化学増感を施す場合には化学増感工程の後半以後の
時期から塗布される迄の間の任意の時期がより好まし
い。また、その添加量は、本発明に用いる増感色素に対
しての比率が0.3〜10当量がより好ましい。
【0044】
【化13】 式中、Z61は具体的にはアゾール環(例えばイミダゾー
ル、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサ
ゾール、セレナゾール、ベンズイミダゾール、ベンズイ
ンダゾール、ベンズトリアゾール、ベンズオキサゾー
ル、ベンズチアゾール、チアジアゾールオキサジアゾー
ル、ベンズセレナゾール、ピラゾール、ナフトチアゾー
ル、ナフトイミダゾール、ナフトオキサゾール、アザベ
ンズイミダゾール、プリンなど)、ピリミジン環、トリ
アジン環、ピリジン環、アザインデン環(例えば、トリ
アザインデン、ペンタインデンなど)である。
【0045】V61は水素原子または置換基を表わし置換
基の具体例としては置換または無置換のアルキル基(例
えば、メチル、エチル、ヒドロキシルエチル、トリフル
オロメチル、スルホプロピル、ジ−プロピルアミノエチ
ル、アダマンチル、ベンジル、p−クロロフェネチル、
エトキシエチル、エチルメルカプトエチル、シアノプロ
ピル、フェノキシエチル、カルバモイルエチル、カルボ
キシエチル、エトキシカルボニルプロピル、アセチルア
ミノエチルなど)、無置換または置換のアルケニル基
(例えば、アリルなど)、無置換または置換のアリール
基(例えば、フェニル、ナフチル、p−カルボキシ−フ
ェニル、3,5−ジカルボキシフェニル、m−スルホフ
ェニル、p−アセトアミドフェニル、3−カプリルアミ
ドフェニル、p−スルファモイルフェニル、m−ヒドロ
キシ−フェニル、p−ニトロフェニル、3,5−ジクロ
ロフェニル、p−アニシル、o−アニシル、p−シアノ
フェニル、p−N′−メチルウレイドフェニル、m−フ
ルオロフェニル、p−トリル、m−トリルなど)、置換
されていてもよいヘテロ環残基(例えば、ピリジル、5
−メチル−2−ピリジル、チエニルなど)、ハロゲン原
子(例えば、塩素、臭素)、メルカプト基、シアノ基、
カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基、カルバモイル
基、スルファモイル基、アミド基、ニトロ基、置換され
ていてもよいアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキ
シ、2−メトキシエトキシ、2−フェニルエトキシ、な
ど)、置換されていてもよいアリーロキシ基(例えば、
フェノキシ、p−メチルフェノキシなど)、アシル基
(例えば、アセチル、ベンゾイル、メタンスルホニルな
ど)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、カプ
ロイルアミノ、メチルスルホニルアミノ)、置換アミノ
基(例えば、ジエチルアミノ、ヒドロキシアミノ)、ア
ルキル又はアリールチオ基(例えば、メチルチオ、カル
ボキシエチル、スルホブチルチオ)、アルコキシカルボ
ニル基(例えば、メトキシカルボニル)、アリーロキシ
カルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)などが
挙げられる。
【0046】m61は5以下の正の整数を表わし、前記V
61が表わす置換基が同種または/及び異種の組合せで複
数含まれていてもよいことを表わす。一般式(V)の化
合物に於て、更により好ましい化合物は、メルカプト置
換アゾール環化合物類である。
【0047】本発明の熱現像感光材料には、非感光性銀
塩を用いる。本発明で用いる非感光性銀塩としては、有
機銀塩が好ましい。本発明に用いることができる有機銀
塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された光触
媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)および還元剤の存
在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀画
像を形成する銀塩である。有機銀塩は、還元可能な銀イ
オン源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀
塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28
の)長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子が
4.0〜10.0の範囲の錯体安定度定数を有する有機
または無機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好ま
しくは画像形成層の約5〜70質量%を構成することが
できる。好ましい有機銀塩として、カルボキシル基を有
する有機化合物の銀塩を挙げることができる。具体的に
は、脂肪族カルボン酸の銀塩および芳香族カルボン酸の
銀塩を挙げることができるが、これらに限定されるもの
ではない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例として
は、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オ
レイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン
酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒
石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀および樟脳酸銀、これら
の混合物などを挙げることができる。
【0048】本発明においては、上記の有機酸銀ないし
は有機酸銀の混合物の中でも、ベヘン酸銀含有率75m
ol%以上の有機酸銀を用いることが好ましく、ベヘン
酸銀含有率85mol%以上の有機酸銀を用いることが
さらに好ましい。ここでベヘン酸銀含有率とは、使用す
る有機酸銀に対するベヘン酸銀のモル分率を示す。本発
明に用いる有機酸銀中に含まれるベヘン酸銀以外の有機
酸銀としては、上記の例示有機酸銀を好ましく用いるこ
とができる。本発明に好ましく用いられる有機酸銀は、
上記の有機酸のアルカリ金属塩(Na塩、K塩、Li塩
等が挙げられる)溶液または懸濁液と硝酸銀を反応させ
ることにより調製される。これらの調製方法について
は、特願平11−104187号明細書の段落番号[0
019]〜[0021]に記載の方法を用いることがで
きる。
【0049】本発明においては、液体を混合するための
密閉手段の中に硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属
塩溶液を添加することにより有機酸銀を調製する方法を
好ましく用いることができる。具体的には、特願平11
−203413号明細書に記載されている方法を用いる
ことができる。本発明においては有機酸銀の調製時に、
硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液、あるい
は反応液には水に可溶な分散剤を添加することができ
る。ここで用いる分散剤の種類および使用量について
は、特願平11−115457号明細書の段落番号[0
052]に具体例が記載されている。
【0050】本発明に用いる有機酸銀は第3アルコール
の存在下で調製することが好ましい。第3アルコールと
しては、好ましくは総炭素数15以下の化合物が好まし
く、10以下の化合物が特に好ましい。好ましい第3ア
ルコールの例としては、tert−ブタノール等が挙げ
られるが、本発明で使用することができる第3アルコー
ルはこれに限定されない。本発明に用いる第3アルコー
ルの添加時期は有機酸銀調製時のいずれのタイミングで
もよいが、有機酸アルカリ金属塩の調製時に添加して、
有機酸アルカリ金属塩を溶解して用いることが好まし
い。また、本発明で用いる第3アルコールは、有機酸銀
調製時の溶媒としての水に対して質量比で0.01〜1
0の範囲で使用することができるが、0.03〜1の範
囲で使用することが好ましい。
【0051】本発明に用いることができる有機銀塩の形
状やサイズは特に制限されないが、特願平11−104
187号明細書の段落番号[0024]に記載のものを
用いることが好ましい。有機銀塩の形状は、有機銀塩分
散物の透過型電子顕微鏡像から求めることができる。単
分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重
平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均
直径で割った値の百分率(変動係数)は好ましくは80
%以下、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは
30%以下である。測定方法としては、例えば液中に分
散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆ
らぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることによ
り得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求める
ことができる。この測定法での平均粒子サイズとしては
0.05μm〜10.0μmの固体微粒子分散物が好ま
しい。より好ましい平均粒子サイズは0.1μm〜5.
0μm、さらに好ましい平均粒子サイズは0.1μm〜
2.0μmである。
【0052】本発明に用いる有機銀塩は、脱塩したもの
であることが好ましい。脱塩法は特に制限されず、公知
の方法を用いることができるが、遠心濾過、吸引濾過、
限外濾過、凝集法によるフロック形成水洗等の公知の濾
過方法を好ましく用いることができる。限外濾過の方法
については、特願平11−115457号明細書に記載
の方法を用いることができる。本発明では、高S/N
で、粒子サイズが小さく、凝集のない有機銀塩固体分散
物を得る目的で、画像形成媒体である有機銀塩を含み、
かつ感光性銀塩を実質的に含まない水分散液を高速流に
変換した後、圧力降下させる分散法を用いることが好ま
しい。これらの分散方法については特願平11−104
187号明細書の段落番号[0027]〜[0038]
に記載の方法を用いることができる。
【0053】本発明で用いる有機銀塩固体微粒子分散物
の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。具体
的には、体積荷重平均直径の標準偏差を体積荷重平均直
径で割った値の百分率(変動係数)が80%以下、より
好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下で
ある。本発明に用いる有機銀塩固体微粒子分散物は、少
なくとも有機銀塩と水からなるものである。有機銀塩と
水との割合は特に限定されるものではないが、有機銀塩
の全体に占める割合は5〜50質量%であることが好ま
しく、特に10〜30質量%の範囲が好ましい。前述の
分散助剤を用いることは好ましいが、粒子サイズを最小
にするのに適した範囲で最少量使用するのが好ましく、
有機銀塩に対して0.5〜30質量%、特に1〜15質
量%の範囲が好ましい。本発明で用いる有機銀塩は所望
の量で使用できるが、銀量として0.1〜5g/m2
好ましく、さらに好ましくは1〜3g/m2である。
【0054】本発明にはCa、Mg、ZnおよびAgか
ら選ばれる金属イオンを非感光性有機銀塩へ添加するこ
とが好ましい。Ca、Mg、ZnおよびAgから選ばれ
る金属イオンの非感光性有機銀塩への添加については、
ハロゲン化物でない、水溶性の金属塩の形で添加するこ
とが好ましく、具体的には硝酸塩や硫酸塩などの形で添
加することが好ましい。ハロゲン化物での添加は処理後
の感光材料の光(室内光や太陽光など)による画像保存
性、いわゆるプリントアウト性を悪化させるので好まし
くない。このため、本発明ではハロゲン化物でない、水
溶性の金属塩の形で添加することが好ましい。本発明に
好ましく用いるCa、Mg、ZnおよびAgから選ばれ
る金属イオンの添加時期としては、該非感光性有機銀塩
の粒子形成後であって、粒子形成直後、分散前、分散後
および塗布液調製前後など塗布直前までであればいずれ
の時期でもよく、好ましくは分散後、塗布液調製前後で
ある。本発明におけるCa、Mg、ZnおよびAgから
選ばれる金属イオンの添加量としては、非感光性有機銀
1molあたり10-3〜10-1molが好ましく、特に
5×10-3〜5×10-2molが好ましい。
【0055】本発明の熱現像感光材料はハロゲン化銀を
含有する。本発明に用いる感光性ハロゲン化銀は、ハロ
ゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭
化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀を用いることができ
る。感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子形成については、特
開平11−119374号公報の段落番号[0217]
〜[0224]に記載されている方法で粒子形成するこ
とができるが、特にこの方法に限定されるものではな
い。ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、
十四面体、平板状、球状、棒状、ジャガイモ状等を挙げ
ることができるが、本発明においては特に立方体状粒子
あるいは平板状粒子が好ましい。粒子のアスペクト比、
面指数など粒子形状の特徴については、特開平11−1
19374号公報の段落番号[0225]に記載されて
いるものと同じである。また、ハロゲン組成の分布はハ
ロゲン化銀粒子の内部と表面において均一であってもよ
く、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよ
く、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コア
/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ましく用い
ることができる。構造としては好ましくは2〜5重構
造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を
用いることができる。また塩化銀または塩臭化銀粒子の
表面に臭化銀を局在させる技術も好ましく用いることが
できる。
【0056】本発明で用いるハロゲン化銀粒子の粒径分
布は、単分散度の値が30%以下であり、好ましくは1
〜20%であり、さらに5〜15%である。ここで単分
散度は、粒径の標準偏差を平均粒径で割った値の百分率
(%)(変動係数)として定義されるものである。なお
ハロゲン化銀粒子の粒径は、便宜上、立方体粒子の場合
は稜長で表し、その他の粒子(八面体、十四面体、平板
状など)は投影面積円相当直径で算出する。
【0057】本発明で用いる感光性ハロゲン化銀粒子
は、周期律表の第VII族あるいは第VIII族の金属または
金属錯体を含有する。周期律表の第VII族あるいは第VII
I族の金属または金属錯体の中心金属として好ましくは
ロジウム、レニウム、ルテニウム、オスニウム、イリジ
ウムである。特に好ましい金属錯体は、(NH43Rh
(H2O)Cl5、K2Ru(NO)Cl5、K3IrC
6、K4Fe(CN)6である。これら金属錯体は1種
類でもよいし、同種金属および異種金属の錯体を2種以
上併用してもよい。好ましい含有率は銀1molに対し
1×10-9mol〜1×10-3molの範囲が好まし
く、1×10-8mol〜1×10-4molの範囲がより
好ましい。具体的な金属錯体の構造としては特開平7−
225449号公報等に記載された構造の金属錯体を用
いることができる。これら重金属の種類、添加方法に関
しては、特開平11−119374号公報の段落番号
[0227]〜[0240]に記載されている。
【0058】感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フ
ロキュレーション法等、当業界で知られている水洗法に
より脱塩することができるが、本発明においては脱塩し
てもしなくてもよい。本発明で用いる感光性ハロゲン化
銀乳剤は化学増感することが好ましい。化学増感につい
ては、特開平11−119374号公報の段落番号[0
242]〜[0250]に記載されている方法を用いる
ことが好ましい。本発明で用いるハロゲン化銀乳剤に
は、欧州特許公開EP第293,917号公報に示され
る方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよ
い。
【0059】本発明に用いる感光性ハロゲン化銀に含有
するゼラチンとしては、感光性ハロゲン化銀乳剤の有機
銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持するため
に、低分子量ゼラチンを使用することが好ましい。低分
子量ゼラチンの分子量は、500〜60,000であ
り、好ましくは分子量1,000〜40,000であ
る。これらの低分子量ゼラチンは粒子形成時あるいは脱
塩処理後の分散時に使用してもよいが、脱塩処理後の分
散時に使用することが好ましい。また、粒子形成時は通
常のゼラチン(分子量100,000程度)を使用し、
脱塩処理後の分散時に低分子量ゼラチンを使用してもよ
い。
【0060】分散媒の濃度は0.05〜20質量%にす
ることができるが、取り扱い上5〜15質量%の濃度域
が好ましい。ゼラチンの種類としては、通常アルカリ処
理ゼラチンが用いられるが、その他に酸処理ゼラチン、
フタル化ゼラチンの如き修飾ゼラチンも用いることがで
きる。本発明に用いる熱現像感光材料中のハロゲン化銀
乳剤は、一種だけを用いてもよいし、二種以上(例え
ば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異な
るもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるも
の)を併用してもよい。
【0061】本発明で用いる感光性ハロゲン化銀の使用
量としては有機銀塩1molに対して感光性ハロゲン化
銀0.01mol〜0.5molが好ましく、0.02
mol〜0.3molがより好ましく、0.03mol
〜0.25molが特に好ましい。別々に調製した感光
性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法および混合条件に
ついては、それぞれ調製を終了したハロゲン化銀粒子と
有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロ
イドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法
や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミング
で調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩
を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に得ら
れる限り特に制限はない。また、混合する際に2種以上
の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を
混合することは、写真特性の調節のために好ましい方法
である。
【0062】本発明の熱現像感光材料には造核剤を用い
ることが好ましい。本発明で用いる造核剤の種類は特に
限定されないが、好ましい造核剤として、特願平11−
87297号明細書に記載の式(H)で表されるヒドラ
ジン誘導体(具体的には同明細書の表1〜表4に記載の
ヒドラジン誘導体)、特開平10−10672号公報、
特開平10−161270号公報、特開平10−628
98号公報、特開平9−304870号公報、特開平9
−304872号公報、特開平9−304871号公
報、特開平10−31282号公報、米国特許第5,4
96,695号明細書、欧州特許公開EP第741,3
20号公報に記載のすべてのヒドラジン誘導体を挙げる
ことができる。また、特願平11−87297号明細書
に記載の式(1)〜(3)で表される置換アルケン誘導
体、置換イソオキサゾール誘導体および特定のアセター
ル化合物、さらに好ましくは同明細書に記載の式(A)
または式(B)で表される環状化合物、具体的には同明
細書の化8〜化12に記載の化合物1〜72も用いるこ
とができる。さらに、これら造核剤を複数併用してもよ
い。
【0063】上記造核剤は、水または適当な有機溶媒、
例えばアルコ−ル類(メタノ−ル、エタノ−ル、プロパ
ノ−ル、フッ素化アルコ−ル)、ケトン類(アセトン、
メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用い
ることができる。また、既によく知られている乳化分散
法によって、ジブチルフタレ−ト、トリクレジルフォス
フェ−ト、グリセリルトリアセテ−トあるいはジエチル
フタレ−トなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノ
ンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物
を作製して用いることができる。あるいは固体分散法と
して知られている方法によって、造核剤の粉末を水等の
適当な溶媒中にボ−ルミル、コロイドミル、あるいは超
音波によって分散して用いることもできる。造核剤は、
支持体に対して画像形成層側のいずれの層に添加しても
よいが、該画像形成層あるいはそれに隣接する層に添加
することが好ましい。造核剤の添加量は銀1molに対
し1×10-6〜1molが好ましく、1×10-5〜5×
10-1molがより好ましく、2×10-5〜2×10-1
molが最も好ましい。
【0064】また上記の化合物の他に、米国特許第5,
545,515号明細書、同第5,635,339号明
細書、同第5,654,130号明細書、国際公開WO
97/34196号公報、米国特許第5,686,22
8号明細書に記載の化合物、或いはまた特開平11−1
19372号公報、特願平9−309813号明細書、
特開平11−119373号公報、特開平11−109
546号公報、特開平11−95365号公報、特開平
11−95366号公報、特開平11−149136号
公報に記載の化合物を用いてもよい。
【0065】本発明では超硬調画像形成のために、前記
の造核剤とともに硬調化促進剤を併用することができ
る。例えば、米国特許第5,545,505号明細書に
記載のアミン化合物、具体的にはAM−1〜AM−5、
米国特許第5,545,507号明細書に記載のヒドロ
キサム酸類、具体的にはHA−1〜HA−11、米国特
許第5,545,507号明細書に記載のアクリロニト
リル類、具体的にはCN−1〜CN−13、米国特許第
5,558,983号明細書に記載のヒドラジン化合
物、具体的にはCA−1〜CA−6、特開平9−297
368号公報に記載のオニュ−ム塩類、具体的にはA−
1〜A−42、B−1〜B−27、C−1〜C−14な
どを用いることができる。
【0066】非感光性銀塩、感光性ハロゲン化銀および
バインダーを有する熱現像感光材料において、蟻酸ある
いは蟻酸塩は強いかぶらせ物質となる。本発明では、熱
現像感光材料の感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成
層を有する側の蟻酸あるいは蟻酸塩の含有量が銀1mo
l当たり5mmol以下、さらには1mmol以下であ
ることが好ましい。
【0067】本発明の熱現像感光材料には五酸化二リン
が水和してできる酸またはその塩を造核剤と併用して用
いることが好ましい。五酸化二リンが水和してできる酸
またはその塩としては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸
(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン
酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)などを挙げることが
できる。特に好ましく用いられる五酸化二リンが水和し
てできる酸またはその塩としては、オルトリン酸
(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げることができ
る。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オル
トリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウ
ム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどがある。本発明
において好ましく用いることができる五酸化二リンが水
和してできる酸またはその塩は、少量で所望の効果を発
現するという点から画像形成層あるいはそれに隣接する
バインダー層に添加する。五酸化二リンが水和してでき
る酸またはその塩の使用量(熱現像感光材料1m 2あた
りの塗布量)は感度やカブリなどの性能に合わせて所望
の量でよいが、0.1〜500mg/m2が好ましく、
0.5〜100mg/m2がより好ましい。
【0068】本発明の熱現像感光材料は、好ましくは有
機銀塩のための還元剤を含む。有機銀塩のための還元剤
は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ましく
は有機物質である。フェニドン、ハイドロキノンおよび
カテコールなどの従来の写真現像剤は有用であるが、ヒ
ンダードフェノール還元剤が好ましい。還元剤は、画像
形成層を有する面の銀1molに対して5〜50mol
含まれることが好ましく、10〜40molで含まれる
ことがさらに好ましい。還元剤の添加層は支持体に対し
て画像形成層側のいかなる層でもよい。画像形成層以外
の層に添加する場合は銀1molに対して10〜50m
olと多めに使用することが好ましい。また、還元剤は
現像時のみ有効に機能するように誘導化されたいわゆる
プレカーサーであってもよい。
【0069】有機銀塩を利用した熱現像感光材料におい
ては広範囲の還元剤を使用することができる。例えば、
特開昭46−6074号公報、同47−1238号公
報、同47−33621号公報、同49−46427号
公報、同49−115540号公報、同50−1433
4号公報、同50−36110号公報、同50−147
711号公報、同51−32632号公報、同51−1
023721号公報、同51−32324号公報、同5
1−51933号公報、同52−84727号公報、同
55−108654号公報、同56−146133号公
報、同57−82828号公報、同57−82829号
公報、特開平6−3793号公報、米国特許第3,67
9,426号明細書、同第3,751,252号明細
書、同第3,751,255号明細書、同第3,76
1,270号明細書、同第3,782,949号明細
書、同第3,839,048号明細書、同第3,92
8,686号明細書、同第5,464,738号明細
書、独国特許第2,321,328号明細書、欧州特許
公開EP第692,732号公報などに開示されている
還元剤を用いることができる。例えば、フェニルアミド
オキシム、2−チエニルアミドオキシムおよびp−フェ
ノキシフェニルアミドオキシムなどのアミドオキシム;
例えば4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアル
デヒドアジンなどのアジン;2,2’−ビス(ヒドロキ
シメチル)プロピオニル−β−フェニルヒドラジンとア
スコルビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリ
ールヒドラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒド
ロキシベンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクトンお
よび/またはヒドラジンの組合せ(例えばハイドロキノ
ンと、ビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピ
ペリジノヘキソースレダクトンまたはホルミル−4−メ
チルフェニルヒドラジンの組合せなど);フェニルヒド
ロキサム酸、p−ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸お
よびβ−アリニンヒドロキサム酸などのヒドロキサム
酸;アジンとスルホンアミドフェノールとの組合せ(例
えば、フェノチアジンと2,6−ジクロロ−4−ベンゼ
ンスルホンアミドフェノールなど);エチル−α−シア
ノ−2−メチルフェニルアセテート、エチル−α−シア
ノフェニルアセテートなどのα−シアノフェニル酢酸誘
導体;2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチ
ル、6,6’−ジブロモ−2,2’−ジヒドロキシ−
1,1’−ビナフチルおよびビス(2−ヒドロキシ−1
−ナフチル)メタンに例示されるようなビス−β−ナフ
トール;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシ
ベンゼン誘導体(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾ
フェノンまたは2’,4’−ジヒドロキシアセトフェノ
ンなど)の組合せ;3−メチル−1−フェニル−5−ピ
ラゾロンなどの5−ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソ
ースレダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソース
レダクトンおよびアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソ
ースレダクトンに例示されるようなレダクトン;2,6
−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノールお
よびp−ベンゼンスルホンアミドフェノールなどのスル
ホンアミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−
1,3−ジオンなど;2,2−ジメチル−7−tert
−ブチル−6−ヒドロキシクロマンなどのクロマン;
2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,
4−ジヒドロピリジンなどの1,4−ジヒドロピリジ
ン;ビスフェノール(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−
3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
プロパン、4,4−エチリデン−ビス(2−tert−
ブチル−6−メチルフェノール)、1,1,−ビス(2
−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,
5−トリメチルヘキサンおよび2,2−ビス(3,5−
ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなど);
アスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1−アス
コルビル、ステアリン酸アスコルビルなど);ならびに
ベンジルおよびビアセチルなどのアルデヒドおよびケト
ン;3−ピラゾリドンおよびある種のインダン−1,3
−ジオン;クロマノール(トコフェロールなど)などが
ある。特に好ましい還元剤は、ビスフェノール、クロマ
ノールである。
【0070】本発明で還元剤を用いる場合、それは、水
溶液、有機溶媒溶液、粉末、固体微粒子分散物、乳化分
散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分
散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボー
ルミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ロ
ーラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散す
る際に分散助剤を用いてもよい。
【0071】画像を向上させる「色調剤」として知られ
る添加剤を含ませると光学濃度が高くなることがある。
また、色調剤は黒色銀画像を形成させるうえでも有利に
なることがある。色調剤は支持体に対して画像形成層側
の層に銀1molあたりの0.1〜50molの量含ま
せることが好ましく、0.5〜20mol含ませること
がさらに好ましい。また、色調剤は現像時のみ有効に機
能するように誘導化されたいわゆるプレカーサーであっ
てもよい。有機銀塩を利用した熱現像感光材料において
は広範囲の色調剤を使用することができる。例えば、特
開昭46−6077号公報、同47−10282号公
報、同49−5019号公報、同49−5020号公
報、同49−91215号公報、同49−91215号
公報、同50−2524号公報、同50−32927号
公報、同50−67132号公報、同50−67641
号公報、同50−114217号公報、同51−322
3号公報、同51−27923号公報、同52−147
88号公報、同52−99813号公報、同53−10
20号公報、同53−76020号公報、同54−15
6524号公報、同54−156525号公報、同61
−183642号公報、特開平4−56848号公報、
特公昭49−10727号公報、同54−20333号
公報、米国特許第3,080,254号明細書、同第
3,446,648号明細書、同第3,782,941
号明細書、同第4,123,282号明細書、同第4,
510,236号明細書、英国特許第1,380,79
5号明細書、ベルギー特許第841,910号明細書な
どに開示される色調剤を用いることができる。色調剤の
具体例としては、フタルイミドおよびN−ヒドロキシフ
タルイミド;スクシンイミド、ピラゾリン−5−オン、
ならびにキナゾリノン、3−フェニル−2−ピラゾリン
−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリンおよ
び2,4−チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナ
フタルイミド(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフ
タルイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサ
ミントリフルオロアセテート);3−メルカプト−1,
2,4−トリアゾール、2,4−ジメルカプトピリミジ
ン、3−メルカプト−4,5−ジフェニル−1,2,4
−トリアゾールおよび2,5−ジメルカプト−1,3,
4−チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N−
(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド、(例え
ば、(N,N−ジメチルアミノメチル)フタルイミドお
よびN,N−(ジメチルアミノメチル)−ナフタレン−
2,3−ジカルボキシイミド);ならびにブロック化ピ
ラゾール、イソチウロニウム誘導体およびある種の光退
色剤(例えば、N,N’−ヘキサメチレンビス(1−カ
ルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−
(3,6−ジアザオクタン)ビス(イソチウロニウムト
リフルオロアセテート)および2−(トリブロモメチル
スルホニル)−ベンゾチアゾール;ならびに3−エチル
−5−[(3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)
−1−メチルエチリデン]−2−チオ−2,4−オキサ
ゾリジンジオン;フタラジノン、フタラジノン誘導体も
しくは金属塩、または4−(1−ナフチル)フタラジノ
ン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタ
ラジノンおよび2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジン
ジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸誘導体
(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロ
フタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組
合せ;フタラジン、フタラジン誘導体(たとえば、4−
(1−ナフチル)フタラジン、6−クロロフタラジン、
5,7−ジメトキシフタラジン、6−イソブチルフタラ
ジン、6−tert−ブチルフタラジン、5,7−ジメ
チルフタラジン、および2,3−ジヒドロフタラジンな
どの誘導体)もしくは金属塩;フタラジンおよびその誘
導体とフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチル
フタル酸、4−ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水
フタル酸など)との組合せ;キナゾリンジオン、ベンズ
オキサジンまたはナフトオキサジン誘導体;色調調節剤
としてだけでなくその場でハロゲン化銀生成のためのハ
ライドイオンの源としても機能するロジウム錯体、例え
ばヘキサクロロロジウム(III)酸アンモニウム、臭化
ロジウム、硝酸ロジウムおよびヘキサクロロロジウム
(III)酸カリウムなど;無機過酸化物および過硫酸
塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウムおよび過酸化水
素;1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン、8−
メチル−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオンお
よび6−ニトロ−1,3−ベンズオキサジン−2,4−
ジオンなどのベンズオキサジン−2,4−ジオン;ピリ
ミジンおよび不斉−トリアジン(例えば、2,4−ジヒ
ドロキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4−アミノピリ
ミジンなど)、アザウラシル、およびテトラアザペンタ
レン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−
ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラ
アザペンタレン、および1,4−ジ(o−クロロフェニ
ル)−3,6−ジメルカプト−1H,4H−2,3a,
5,6a−テトラアザペンタレン)などがある。
【0072】本発明では色調剤として、特願平10−2
13487号明細書に記載の一般式(F)で表されるフ
タラジン誘導体が好ましく用いられる。具体的には同明
細書に記載のA−1〜A−10が好ましく用いられる色
調剤は、溶液、粉末、固体微粒子分散物などいかなる方
法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手
段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミ
ル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)
で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を
用いてもよい。
【0073】本発明の熱現像感光材料の熱現像処理前の
膜面pHは6.0以下であることが好ましく、さらに好
ましくは5.5以下である。その下限には特に制限はな
いが、3程度である。膜面pHの調節はフタル酸誘導体
などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアな
どの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させ
るという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しや
すく、塗布する工程や熱現像される前に除去できること
から低膜面pHを達成する上で好ましい。なお、膜面p
Hの測定方法は、特願平11−87297号明細書の段
落番号[0123]に記載されている。
【0074】本発明の熱現像感光材料において、ハロゲ
ン化銀乳剤および/または有機銀塩は、かぶり防止剤、
安定剤および安定剤前駆体によって、付加的なかぶりの
生成に対してさらに保護され、在庫貯蔵中における感度
の低下に対して安定化することができる。単独または組
合せて使用することができる適当なかぶり防止剤、安定
剤および安定剤前駆体は、米国特許第2,131,03
8号明細書および同第2,694,716号明細書に記
載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437号
明細書および同第2,444,605号明細書に記載の
アザインデン、米国特許第2,728,663号明細書
に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号明細
書に記載のウラゾール、米国特許第3,235,652
号明細書に記載のスルホカテコール、英国特許第62
3,448号明細書に記載のオキシム、ニトロン、ニト
ロインダゾール、米国特許第2,839,405号明細
書に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839
号明細書に記載のチウロニウム塩、ならびに米国特許第
2,566,263号明細書および同第2,597,9
15号明細書に記載のパラジウム、白金および金塩、米
国特許第4,108,665号明細書および同第4,4
42,202号明細書に記載のハロゲン置換有機化合
物、米国特許第4,128,557号明細書および同第
4,137,079号明細書、同第4,138,365
号明細書および同第4,459,350号明細書に記載
のトリアジンならびに米国特許第4,411,985号
明細書に記載のリン化合物などがある。
【0075】本発明の熱現像感光材料は、高感度化やか
ぶり防止を目的として安息香酸類を含有してもよい。本
発明で用いる安息香酸類はいかなる安息香酸誘導体でも
よいが、好ましい例としては、米国特許第4,784,
939号明細書、同第4,152,160号明細書、特
開平9−329863号公報、同9−329864号公
報、同9−281637号公報などに記載の化合物が挙
げられる。安息香酸類は熱現像感光材料のいかなる層に
添加してもよいが、支持体に対して画像形成層側の層に
添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加するこ
とがさらに好ましい。安息香酸類の添加は塗布液調製の
いかなる工程で行ってもよく、有機銀塩含有層に添加す
る場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工
程でもよいが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。
安息香酸類の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物
などいかなる方法で行ってもよい。また、増感色素、還
元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加
してもよい。安息香酸類の添加量としてはいかなる量で
もよいが、銀1mol当たり1×10-6mol〜2mo
lが好ましく、1×10-3mol〜0.5molがさら
に好ましい。
【0076】本発明を実施するために必須ではないが、
画像形成層にかぶり防止剤として水銀(II)塩を加える
ことが有利なことがある。この目的のために好ましい水
銀(II)塩は、酢酸水銀および臭化水銀である。本発明
に使用する水銀の添加量としては、塗布された銀1mo
l当たり好ましくは1×10-9mol〜1×10-3mo
l、さらに好ましくは1×10-8mol〜1×10-4
olの範囲である。
【0077】本発明で特に好ましく用いられるかぶり防
止剤は有機ハロゲン化物であり、例えば、特開昭50−
119624号公報、同50−120328号公報、同
51−121332号公報、同54−58022号公
報、同56−70543号公報、同56−99335号
公報、同59−90842号公報、同61−12964
2号公報、同62−129845号公報、特開平6−2
08191号公報、同7−5621号公報、同7−27
81号公報、同8−15809号公報、米国特許第5,
340,712号明細書、同第5,369,000号明
細書、同第5,464,737号明細書に開示されてい
るような化合物が挙げられる。特願平11−87297
号明細書に記載の式(P)で表される親水性有機ハロゲ
ン化物がかぶり防止剤として好ましく用いられる。具体
的には、同明細書に記載の(P−1)〜(P−118)
が好ましく用いられる。有機ハロゲン化物の添加量は、
Ag1molに対するmol量(mol/molAg)
で示して、好ましくは1×10-5〜2mol/molA
g、より好ましくは5×10-5〜1mol/molA
g、さらに好ましくは1×10-4〜5×10-1mol/
molAgである。これらは1種のみを用いても2種以
上を併用してもよい。
【0078】また、特願平11−87297号明細書に
記載の式(Z)で表されるサリチル酸誘導体がかぶり防
止剤として好ましく用いられる。具体的には、同明細書
に記載の(A−1)〜(A−60)が好ましく用いられ
る。式(Z)で表されるサリチル酸誘導体の添加量は、
Ag1molに対するmol量(mol/molAg)
で示して、好ましくは1×10-5〜5×10-1mol/
molAg、より好ましくは5×10-5〜1×10-1
ol/molAg、さらに好ましくは1×10 -4〜5×
10-2mol/molAgである。これらは1種のみを
用いても2種以上を併用してもよい。
【0079】本発明に好ましく用いられるかぶり防止剤
として、ホルマリンスカベンジャーが有効であり、例え
ば、特願平11−23995号明細書に記載の式(S)
で表される化合物およびその例示化合物(S−1)〜
(S−24)が挙げられる。本発明に用いるかぶり防止
剤は、水あるいは適当な有機溶媒、例えばアルコール類
(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化ア
ルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケト
ン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、
メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブ
チルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセ
リルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどの
オイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒
を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いる
ことができる。あるいは固体分散法として知られている
方法によって、粉末を水の中にボールミル、コロイドミ
ル、サンドグラインダーミル、マントンゴーリン、マイ
クロフルイダイザーあるいは超音波によって分散し用い
ることもできる。
【0080】本発明に用いるかぶり防止剤は、支持体に
対して画像形成層側の層、即ち画像形成層あるいはこの
層側の他のどの層に添加してもよいが、画像形成層ある
いはそれに隣接する層に添加することが好ましい。画像
形成層は還元可能な銀塩(有機銀塩)を含有する層であ
り、好ましくはさらに感光性ハロゲン化銀を含有する画
像形成層であることが好ましい。
【0081】本発明の熱現像感光材料には現像を抑制あ
るいは促進させ現像を制御することや、現像前後の保存
性を向上させることなどを目的としてメルカプト化合
物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させるこ
とができる。本発明にメルカプト化合物を使用する場
合、いかなる構造のものでもよいが、Ar−SM、Ar
−S−S−Arで表されるものが好ましい。式中、Mは
水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以
上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム
原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましく
は、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフスイミダゾ
ール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオ
キサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナゾー
ル、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾー
ル、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テト
ラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラ
ジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノン
である。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例え
ば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキ
シ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましく
は1〜4個の炭素原子を有するもの)、アルコキシ(例
えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素
原子を有するもの)およびアリール(置換基を有してい
てもよい)からなる置換基群から選択されるものを有し
てもよい。メルカプト置換複素芳香族化合物をとして
は、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプ
トベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾー
ル、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、
6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2,
2’−ジチオビス−(ベンゾチアゾール)、3−メルカ
プト−1,2,4−トリアゾール、4,5−ジフェニル
−2−イミダゾールチオール、2−メルカプトイミダゾ
ール、1−エチル−2−メルカプトベンズイミダゾー
ル、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプリン、
2−メルカプト−4(3H)−キナゾリノン、7−トリ
フルオロメチル−4−キノリンチオール、2,3,5,
6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、4−アミノ
−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジンモノヒド
レート、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チ
アジアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,
4−トリアゾール、4−ヒドキロシ−2−メルカプトピ
リミジン、2−メルカプトピリミジン、4,6−ジアミ
ノ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−4−
メチルピリミジンヒドロクロリド、3−メルカプト−5
−フェニル−1,2,4−トリアゾール、1−フェニル
−5−メルカプトテトラゾール、3−(5−メルカプト
テトラゾール)−ベンゼンスルホン酸ナトリウム、N−
メチル−N’−{3−(5−メルカプトテトラゾリル)
フェニル}ウレア、2−メルカプト−4−フェニルオキ
サゾールなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定さ
れない。これらのメルカプト化合物の添加量としては画
像形成層中に銀1mol当たり0.0001〜1.0m
olの範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀の1mo
l当たり0.001〜0.3molの量である。
【0082】本発明の熱現像感光材料は、支持体上に、
有機銀塩、還元剤および感光性ハロゲン化銀を含む画像
形成層を有し、画像形成層上には少なくとも1層の保護
層が設けられていることが好ましい。また、本発明の熱
現像感光材料は支持体に対して画像形成層と反対側(バ
ック面)に少なくとも1層のバック層を有することが好
ましく、画像形成層、保護層、そしてバック層のバイン
ダーとしてポリマーラテックスが用いられる。これらの
層にポリマーラテックスを用いることによって、水を主
成分とする溶媒(分散媒)を用いた水系塗布が可能にな
り、環境面、コスト面で有利になるとともに、熱現像時
にシワの発生がない熱現像感光材料が得られるようにな
る。また、所定の熱処理をした支持体を使用することに
より、熱現像の前後で寸法変化の少ない熱現像感光材料
が得られる。
【0083】本発明で用いるバインダーとして以下に述
べるポリマーラテックスを用いることが好ましい。本発
明の熱現像感光材料の感光性ハロゲン化銀を含有する画
像形成層のうち少なくとも1層は以下に述べるポリマー
ラテックスを全バインダーの50質量%以上用いた画像
形成層であることが好ましい。また、ポリマーラテック
スは画像形成層だけではなく、保護層やバック層に用い
てもよく、特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発明
の熱現像感光材料を用いる場合には、保護層やバック層
にもポリマーラテックスを用いることが好ましい。ただ
しここで言う「ポリマーラテックス」とは水不溶な疎水
性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散
されたものである。分散状態としてはポリマーが分散媒
中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル
分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親
水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散されたものな
どいずれでもよい。なお本発明で用いるポリマーラテッ
クスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣
寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラ
テックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原
啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成
ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1
970))」などに記載されている。分散粒子の平均粒
径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000
nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関し
ては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分
散の粒径分布を持つものでもよい。
【0084】本発明で用いるポリマーラテックスとして
は、通常の均一構造のポリマーラテックス以外の、いわ
ゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コ
アとシェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合が
ある。本発明で用いるバインダーに好ましく用いるポリ
マーラテックスのガラス転移温度(Tg)は保護層、バ
ック層と画像形成層とでは好ましい範囲が異なる。画像
形成層にあっては熱現像時に写真有用素材の拡散を促す
ため、−30〜40℃であることが好ましい。保護層や
バック層に用いる場合には種々の機器と接触するために
25〜70℃のガラス転移温度が好ましい。本発明で用
いるポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は−
30℃〜90℃、より好ましくは0℃〜70℃程度が好
ましい。最低造膜温度をコントロールするために造膜助
剤を添加してもよい。造膜助剤は可塑剤ともよばれポリ
マーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物
(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテックスの
化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」
に記載されている。
【0085】本発明で用いるポリマーラテックスに用い
られるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹
脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフ
ィン樹脂、またはこれらの共重合体などが挙げられる。
ポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリ
マーでも、また架橋されたポリマーでもよい。またポリ
マーとしては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポ
リマーでもよいし、2種以上のモノマーが重合したコポ
リマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマ
ーでもブロックコポリマーでもよい。ポリマーの分子量
は数平均分子量で5,000〜1,000,000、好
ましくは10,000〜100,000程度が好まし
い。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が
不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く、好まし
くない。
【0086】本発明の熱現像感光材料の画像形成層のバ
インダーとして用いられるポリマーラテックスの具体例
としては、メチルメタクリレート/エチルアクリレート
/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタク
リレート/ブタジエン/イタコン酸コポリマーのラテッ
クス、エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマー
のラテックス、メチルメタクリレート/2−エチルヘキ
シルアクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマーの
ラテックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリ
マーのラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニルベ
ンゼン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチル
メタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマーの
ラテックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/ア
クリロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテックス
などが挙げられる。さらに具体的には、メチルメタクリ
レート/エチルアクリレート/メタクリル酸=33.5
/50/16.5(質量%)のコポリマーラテックス、
メチルメタクリレート/ブタジエン/イタコン酸=4
7.5/47.5/5(質量%)のコポリマーラテック
ス、エチルアクリレート/メタクリル酸=95/5(質
量%)のコポリマーラテックスなどが挙げられる。ま
た、このようなポリマーは市販もされていて、例えばア
クリル樹脂の例として、セビアンA−4635,465
83、4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、N
ipol LX811、814、821、820、85
7(以上日本ゼオン(株)製)、VONCORT−R3
340、R3360、R3370、4280(以上大日
本インキ化学(株)製)など、ポリエステル樹脂として
は、FINETEX ES650、611、675、8
50(以上大日本インキ化学(株)製)、WD−siz
e、WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポリ
ウレタン樹脂としてはHYDRAN AP10、20、
30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴ
ム系樹脂としてはLACSTAR 7310K、330
7B、4700H、7132C(以上大日本インキ化学
(株)製)、Nipol LX410、430,43
5、438C(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビ
ニル樹脂としてはG351、G576(以上日本ゼオン
(株)製)など、塩化ビニリデン樹脂としてはL50
2、L513(以上旭化成工業(株)製)、アロンD7
020、D504、D5071(以上三井東圧(株)
製)など、オレフィン樹脂としてはケミパールS12
0、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙
げることができる。これらのポリマーは単独で用いても
よいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いてもよ
い。
【0087】画像形成層には全バインダーの50質量%
以上として上記ポリマーラテックスが好ましく用いられ
るが、70質量%以上として上記ポリマーラテックスが
用いられることがさらに好ましい。画像形成層には必要
に応じて全バインダーの50質量%以下の範囲でゼラチ
ン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの親水性
ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの
添加量は画像形成層の全バインダーの30質量%以下、
さらには15質量%以下が好ましい。
【0088】画像形成層は水系の塗布液を塗布後乾燥し
て調製することが好ましい。ただし、ここで言う「水
系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60質量%以上が水
であることをいう。塗布液の水以外の成分はメチルアル
コール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、
メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジメチルホルム
アミド、酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒を用いる
ことができる。具体的な溶媒組成の例としては以下のよ
うなものがある。水/メタノール=90/10、水/メ
タノール=70/30、水/エタノール=90/10、
水/イソプロパノール=90/10、水/ジメチルホル
ムアミド=95/5、水/メタノール/ジメチルホルム
アミド=80/15/5、水/メタノール/ジメチルホ
ルムアミド=90/5/5。(ただし数字は質量%を表
す。)
【0089】画像形成層の全バインダー量は0.2〜3
0g/m2、より好ましくは1〜15g/m2の範囲が好
ましい。画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改
良のための界面活性剤などを添加してもよい。さらに、
保護層用のバインダーとして、特願平11−6872号
明細書の段落番号[0025]〜[0029]に記載の
有機概念図に基づく無機性値を有機性値で割ったI/O
値の異なるポリマーラテックスの組み合わせを好ましく
用いることができる。
【0090】本発明においては必要に応じて、特願平1
1−143058号明細書の段落番号[0021]〜
[0025]に記載の可塑剤(例、ベンジルアルコー
ル、2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3
−モノイソブチレートなど)を添加して、造膜温度をコ
ントロールすることができる。また、特願平11−68
72号明細書の段落番号[0027]〜[0028]に
記載の如くポリマーバインダー中に親水性ポリマーを、
塗布液中に水混和性の有機溶媒を添加してもよい。
【0091】それぞれの層には、特願平10−1996
26号明細書の段落番号[0023]〜[0041]に
記載の官能基を導入した第一のポリマーラテックスとこ
の第一のポリマーラテックスと反応しうる官能基を有す
る架橋剤および/または第二のポリマーラテックスを用
いることもできる。上記の官能基は、カルボキシル基、
ヒドロキシル基、イソシアネート基、エポキシ基、N−
メチロール基、オキサゾリニル基など、架橋剤として
は、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、ブロック
イソシアネート化合物、メチロ−ル化合物、ヒドロキシ
化合物、カルボキシル化合物、アミノ化合物、エチレン
イミン化合物、アルデヒド化合物、ハロゲン化合物など
から選ばれる。架橋剤の具体例として、イソシアネート
化合物としてヘキサメチレンイソシアネート、デュラネ
ートWB40−80D、WX−1741(旭化成工業
(株)製)、バイヒジュール3100(住友バイエルウ
レタン(株)製)、タケネートWD725(武田薬品工
業(株)製)、アクアネート100、200(日本ポリ
ウレタン(株)製)、特開平9−160172号公報記
載の水分散型ポリイソシアネート;アミノ化合物として
スミテックスレジンM−3(住友化学工業(株)製);
エポキシ化合物としてデナコールEX−614B(ナガ
セ化成工業(株)製);ハロゲン化合物として2,4ジ
クロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナト
リウムなどが挙げられる。
【0092】画像形成層用の全バインダー量は0.2〜
30g/m2、より好ましくは1.0〜15g/m2の範
囲が好ましい。保護層用の全バインダー量は0.2〜1
0.0g/m2、より好ましくは0.5〜6.0g/m2
の範囲が好ましい。バック層用の全バインダー量は0.
01〜10.0g/m2、より好ましくは0.05〜
5.0g/m2の範囲が好ましい。
【0093】これらの各層は、2層以上設けられる場合
がある。画像形成層が2層以上である場合は、すべての
層のバインダーとしてポリマーラテックスを用いること
が好ましい。また、保護層は画像形成層上に設けられる
層であり2層以上存在する場合もあるが、少なくとも1
層、特に最外層の保護層にポリマーラテックスが用いら
れることが好ましい。また、バック層は支持体バック面
の下塗り層の上部に設けられる層であり2層以上存在す
る場合もあるが、少なくとも1層、特に最外層のバック
層にポリマーラテックスを用いることが好ましい。
【0094】本発明の熱現像感光材料には、滑り剤を使
用することができる。本明細書における滑り剤とは、物
体表面に存在させた時に、存在させない場合に比べて物
体表面の摩擦係数を減少させる化合物を意味する。その
種類は特に制限されない。本発明に用いる滑り剤として
は、特開平11−84573号公報の段落番号[006
1]〜[0064]、特願平11−106881号明細
書の段落番号[0049]〜[0062]に記載の化合
物を挙げることができる。好ましい滑り剤の具体例とし
ては、セロゾール524(主成分カルナバワックス)、
ポリロンA,393,H−481(主成分ポリエチレン
ワックス)、ハイミクロンG−110(主成分エチレン
ビスステアリン酸アマイド)、ハイミクロンG−270
(主成分ステアリン酸アマイド)(以上、中京油脂
(株)製)、 W−1 C1633−O−SO3Na W−2 C1837−O−SO3Na などが挙げられる。滑り剤の使用量は添加層のバインダ
ー量の0.1〜50質量%であり、好ましくは0.5〜
30質量%である。
【0095】本発明において、特願平10−34656
1号明細書、特願平11−106881号明細書に記載
のように予備加熱部を対向ローラーで搬送し、熱現像処
理部は画像形成層を有する側をローラーの駆動により、
その反対側のバック面を平滑面に滑らせて搬送する熱現
像処理装置を用いる場合、現像処理温度における熱現像
感光材料の画像形成層を有する側の最表面層とバック面
の最表面層との摩擦係数の比は、1.5以上であり、そ
の上限に特に制限はないが30程度である。また、μb
は1.0以下、好ましくは0.05〜0.8である。こ
の値は、下記の式によって求められる。 摩擦係数の比=熱現像機のローラー部材と画像形成層を
有する面との動摩擦係数(μe)/熱現像機の平滑面部
材とバック面との動摩擦係数(μb) 本発明において熱現像処理温度での熱現像処理機部材と
画像形成層を有する面および/またはその反対面の最表
面層の滑り性は、最表面層に滑り剤を含有させ、その添
加量を変えることにより調整することができる。
【0096】支持体の両面には、特開昭64−2054
4号公報、特開平1−180537号公報、特開平1−
209443号公報、特開平1−285939号公報、
特開平1−296243号公報、特開平2−24649
号公報、特開平2−24648号公報、特開平2−18
4844号公報、特開平3−109545号公報、特開
平3−137637号公報、特開平3−141346号
公報、特開平3−141347号公報、特開平4−96
055号公報、米国特許第4,645,731号明細
書、特開平4−68344号公報、特許第2,557,
641号公報の2頁右欄20行目〜3頁右欄30行目、
特願平10−221039号明細書の段落番号[002
0]〜[0037]、特願平11−106881号明細
書の段落番号[0063]〜[0080]に記載の塩化
ビニリデン単量体の繰り返し単位を70質量%以上含有
する塩化ビニリデン共重合体を含む下塗り層を設けるこ
とが好ましい。
【0097】塩化ビニリデン単量体が70質量%未満の
場合は、十分な防湿性が得られず、熱現像後の時間経過
における寸法変化が大きくなってしまう。また、塩化ビ
ニリデン共重合体は、塩化ビニリデン単量体のほかの構
成繰り返し単位としてカルボキシル基含有ビニル単量体
の繰り返し単位を含むことが好ましい。このような繰り
返し単位を含ませるのは、塩化ビニル単量体のみでは、
重合体(ポリマー)が結晶化してしまい、防湿層を塗設
する際に均一な膜を作り難くなり、また重合体(ポリマ
ー)の安定化のためにはカルボキシル基含有ビニル単量
体が不可欠であるからである。本発明で用いる塩化ビニ
リデン共重合体の分子量は、質量平均分子量で45,0
00以下、さらには10,000〜45,000が好ま
しい。分子量が大きくなると塩化ビニリデン共重合体層
とポリエステル等の支持体層との接着性が悪化してしま
う傾向がある。
【0098】本発明で用いる塩化ビニリデン共重合体の
含有量は、塩化ビニリデン共重合体を含有する下塗り層
の片面当たりの合計膜厚として0.3μm以上であり、
好ましくは0.3μm〜4μmの範囲である。なお、下
塗り層としての塩化ビニリデン共重合体層は、支持体に
直接設層される下塗り層第1層として設けることが好ま
しく、通常は片面ごとに1層ずつ設けられるが、場合に
よっては2層以上設けてもよい。2層以上の多層構成と
するときは、塩化ビニリデン共重合体量が合計で本発明
の範囲となるようにすればよい。このような層には塩化
ビニリデン共重合体のほか、架橋剤やマット剤などを含
有させてもよい。
【0099】支持体は必要に応じて塩化ビニリデン共重
合体層のほか、SBR、ポリエステル、ゼラチン等をバ
インダーとする下塗り層を塗布してもよい。これらの下
塗り層は多層構成としてもよく、また支持体に対して片
面または両面に設けてもよい。下塗り層の厚み(1層当
たり)は一般に0.01〜5μm、より好ましくは0.
05〜1μmである。
【0100】本発明の熱現像感光材料には、種々の支持
体を用いることができる。典型的な支持体としては、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート
などのポリエステル、硝酸セルロース、セルロースエス
テル、ポリビニルアセタール、シンジオタクチックポリ
スチレン、ポリカーボネート、両面がポリエチレンで被
覆された紙支持体などが挙げられる。このうち二軸延伸
したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート
(PET)が強度、寸法安定性、耐薬品性などの点から
好ましい。支持体の厚みは下塗り層を除いたベース厚み
で90〜180μmであることが好ましい。
【0101】本発明の熱現像感光材料に用いる支持体と
しては、特開平10−48772号公報、特開平10−
10676号公報、特開平10−10677号公報、特
開平11−65025号公報、特開平11−13864
8号公報に記載の二軸延伸時にフィルム中に残存する内
部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪み
をなくすために、130〜185℃の温度範囲で熱処理
を施したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレー
トが好ましく用いられる。このような熱処理後における
支持体の120℃、30秒加熱による寸法変化率は縦方
向(MD)が−0.03%〜+0.01%、横方向(T
D)が0〜0.04%であることが好ましい。
【0102】本発明の熱現像感光材料には、ゴミ付着の
減少、スタチックマーク発生防止、自動搬送工程での搬
送不良防止などの目的で、特開平11−84573号公
報の段落番号[0040]〜[0051]に記載の導電
性金属酸化物および/またはフッ素系界面活性剤を用い
て帯電防止することができる。導電性金属酸化物として
は、米国特許第5,575,957号明細書、特願平1
0−041302号明細書の段落番号[0012]〜
[0020]に記載のアンチモンでドーピングされた針
状導電性酸化錫、特開平4−29134号公報に記載の
アンチモンでドーピングされた繊維状酸化錫が好ましく
用いられる。金属酸化物含有層の表面比抵抗(表面抵抗
率)は25℃、相対湿度20%の雰囲気下で1012Ω以
下、好ましくは1011Ω以下がよい。これにより良好な
帯電防止性が得られる。このときの表面抵抗率の下限は
特に制限されないが、通常107Ω程度である。
【0103】本発明の熱現像感光材料の画像形成層を有
する面およびその反対面の最外層表面の少なくとも一
方、好ましくは両方のベック平滑度は、2000秒以下
であり、より好ましくは10秒〜2000秒である。本
発明におけるベック平滑度は、日本工業規格(JIS)
P8119「紙および板紙のベック試験器による平滑度
試験方法」およびTAPPI標準法T479により容易
に求めることができる。熱現像感光材料の画像形成層を
有する面の最外層およびその反対面の最外層のベック平
滑度は、特開平11−84573号公報の段落番号[0
052]〜[0059]に記載の如く、前記両面の層に
含有させるマット剤の粒径および添加量を適宜変化させ
ることによってコントロールすることができる。
【0104】本発明では水溶性ポリマーが塗布性付与の
ための増粘剤として好ましく利用され、天然物でも合成
ポリマーでもよく、その種類は特に限定されない。具体
的には、天然物としてはデンプン類(コーンスターチ、
デンプンなど)、海藻(寒天、アルギン酸ナトリウムな
ど)、植物性粘着物(アラビアゴムなど)、動物性タン
パク(にかわ、カゼイン、ゼラチン、卵白など)、発酵
粘着物(プルラン、デキストリンなど)などであり、半
合成ポリマーであるデンプン質(可溶性デンプン、カル
ボキシルデンプン、デキストランなど)、セルロース類
(ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロースなど)も挙げられ、さらに合成ポ
リマー(ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、
ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリエチ
レンイミン、ポリスチレンスルホン酸またはその共重合
体、ポリビニルスルファン酸またはその共重合体、ポリ
アクリル酸またはその共重合体、アクリル酸またはその
共重合体等、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエス
テル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸
またはその共重合体など)などである。
【0105】これらの中でも好ましく用いられる水溶性
ポリマーは、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デキス
トラン、デキストリン、メチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポ
リアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリスチレ
ンスルホン酸またはその共重合体、ポリアクリル酸また
はその共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、ア
クリロイルメチルプロパンスルホン酸またはその共重合
体などであり、特に増粘剤として好ましく利用される。
【0106】これらでも特に好ましい増粘剤としては、
ゼラチン、デキストラン、メチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポ
リビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニル
ピロリドン、ポリスチレンスルホン酸またはその共重合
体、ポリアクリル酸またはその共重合体、マレイン酸モ
ノエステル共重合体などである。これらの化合物は、
「新・水溶性ポリマーの応用と市場」(株式会社シーエ
ムシー発行、長友新治編集、1988年11月4日発
行)に詳細に記載されている。
【0107】増粘剤としての水溶性ポリマーの使用量
は、塗布液に添加した時に粘度が上昇すれば特に限定さ
れない。一般に液中の濃度は0.01〜30質量%、よ
り好ましくは0.05〜20質量%、特に好ましくは
0.1〜10質量%である。これらによって得られる粘
度は、初期の粘度からの上昇分として1〜200mPa
・sが好ましく、より好ましくは5〜100mPa・s
である。なお、粘度はB型回転粘度計で25℃で測定し
た値を示す。塗布液などへの添加に当たっては、一般に
増粘剤はできるだけ希薄溶液で添加することが望まし
い。また添加時は十分な攪拌を行なうことが好ましい。
【0108】本発明で用いる界面活性剤について以下に
述べる。本発明で用いる界面活性剤はその使用目的によ
って、分散剤、塗布剤、濡れ剤、帯電防止剤、写真性コ
ントロール剤などに分類されるが、以下に述べる界面活
性剤を適宜選択して使用することによってそれらの目的
は達成することができる。本発明で用いる界面活性剤
は、ノニオン性、イオン性(アニオン、カチオン、ベタ
イン)のいずれも使用できる。さらにフッ素系界面活性
剤も好ましく用いられる。
【0109】好ましいノニオン系界面活性剤としては、
ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキ
シブチレン、ポリグリシジルやソルビタンをノニオン性
親水性基とする界面活性剤を挙げることができ、具体的
には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンアルキルフェニールエーテル、ポリオキシエ
チレン−ポリオキシプロピレングリコール、多価アルコ
ール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アル
コール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸
エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエ
タノールアミド、トリエタノールアミン脂肪酸部分エス
テルを挙げることができる。
【0110】アニオン系界面活性剤としては、カルボン
酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩を挙げ
ることができ、代表的なものとしては脂肪酸塩、アルキ
ルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン
酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン
酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂
肪酸塩、N−メチル−N−オレイルタウリン、石油スル
ホン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸化油脂、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン
スチレン化フェニールエーテル硫酸塩、アルキルリン酸
塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ナ
フタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物などを挙
げることができる。
【0111】カチオン系界面活性剤としてはアミン塩、
4級アンモニウム塩、ピリジウム塩などを挙げることが
でき、第1〜第3脂肪アミン塩、第4級アンモニウム塩
(テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジ
ルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アルキルイ
ミダゾリウム塩など)を挙げることができる。
【0112】ベタイン系界面活性剤としてはカルボキシ
ベタイン、スルホベタインなどを挙げることができ、N
−トリアルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベ
タイン、N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアン
モニウムベタインなどを挙げることができる。
【0113】これらの界面活性剤は、「界面活性剤の応
用」(幸書房、刈米孝夫著、昭和55年9月1日発行)
に記載されている。本発明においては、好ましい界面活
性剤はその使用量において特に限定されず、目的とする
界面活性特性が得られる量であればよい。なお、フッ素
含有界面活性剤の塗布量は、1m2当り0.01mg〜
250mgが好ましい。
【0114】以下に界面活性剤の具体例を記すが、これ
に限定されるものではない(ここで、‐C64‐はフェ
ニレン基を表わす)。 WA−1 :C16H33(OCH2CH2)10OH WA−2 :C9H19‐C6H4‐(OCH2CH2)12OH WA−3 :ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム WA−4 :トリ(イソプロピル)ナフタレンスルホン
酸ナトリウム WA−5 :トリ(イソブチル)ナフタレンスルホン酸
ナトリウム WA−6 :ドデシル硫酸ナトリウム WA−7 :α−スルファコハク酸ジ(2−エチルヘキ
シル)エステルナトリウム塩 WA−8 :C8H17‐C6H4‐(CH2CH2O)3(CH2)2SO3K WA−10 :セチルトリメチルアンモニウムクロライ
ド WA−11 :C11H23CONHCH2CH2N+(CH3)2‐CH2COO- WA−12 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)16H WA−13 :C8F17SO2N(C3H7)CH2COOK WA−14 :C8F17SO3K WA−15 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)4(CH2)4SO3Na WA−16 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2)3OCH2CH2N+(CH3)3
‐CH3‐C6H4‐SO3 - WA−17 :C8F17SO2N(C3H7)CH2CH2CH2N+(CH3)2‐CH
2COO-
【0115】本発明の好ましい態様においては、画像形
成層および保護層に加えて、必要に応じて中間層を設け
てもよい。生産性の向上などを目的として、これらの複
数の層は水系において同時重層塗布することが好まし
い。塗布方式はエクストルージョン塗布、スライドビー
ド塗布、カーテン塗布などがあるが、特願平10−29
2849号明細書の図1に示されるスライドビード塗布
方式が特に好ましい。
【0116】ゼラチンを主バインダーとして用いるハロ
ゲン化銀写真感光材料の場合は、コーティングダイの下
流に設けられている第一乾燥ゾーンで急冷され、その結
果、ゼラチンのゲル化が起こり、塗布膜は冷却固化され
る。冷却固化されて流動の止まった塗布膜は続く第二乾
燥ゾーンに導かれ、これ以降の乾燥ゾーンで塗布液中の
溶媒が揮発され、成膜される。第二乾燥ゾーン以降の乾
燥方式としては、U字型のダクトからローラー支持され
た支持体に噴流を吹き付けるエアーループ方式や円筒状
のダクトに支持体をつるまき状に巻き付けて搬送乾燥す
る、つるまき方式(エアーフローティング方式)などが
挙げられる。バインダーの主成分がポリマーラテックス
である塗布液を用いて層形成を行うときには、急冷では
塗布液の流動を停止させることができないため、第一乾
燥ゾーンのみでは予備乾燥が不十分である場合もある。
この場合は、ハロゲン化銀写真感光材料で用いられてい
る様な乾燥方式では流れムラや乾燥ムラが生じ、塗布面
状に重大な欠陥を生じやすい。
【0117】本発明における好ましい乾燥方式は、特願
平10−292849号明細書に記載されているような
第一乾燥ゾーン、第二乾燥ゾーンを問わず、少なくとも
恒率乾燥が終了するまでの間は水平乾燥ゾーンで乾燥さ
せる方式である。塗布直後から水平乾燥ゾーンに導かれ
るまでの支持体の搬送は、水平搬送であってもなくても
どちらでもよく、塗布機の水平方向に対する立ち上がり
角度は0〜70°の間にあればよい。また、本発明にお
ける水平乾燥ゾーンとは、支持体が塗布機の水平方向に
対して上下に±15°以内に搬送されればよく、水平搬
送を意味するものではない。本発明における恒率乾燥と
は、液膜温度が一定で流入する熱量全てが溶媒の蒸発に
使用される乾燥過程を意味する。減率乾燥とは、乾燥末
期になると種々の要因(水分移動の材料内部拡散が律速
になる、蒸発表面の後退など)により乾燥速度が低下
し、与えられた熱が液膜温度上昇にも使用される乾燥過
程を意味する。恒率過程から減率過程に移行する限界含
水率は200〜300%である。恒率乾燥が終了する時
には、流動が停止するまで十分乾燥が進むため、ハロゲ
ン化銀写真感光材料の様な乾燥方式も採用することがで
きるが、本発明においては恒率乾燥後も最終的な乾燥点
まで水平乾燥ゾーンで乾燥させることが好ましい。
【0118】画像形成層および/または保護層を形成す
る時の乾燥条件は、恒率乾燥時の液膜表面温度がポリマ
ーラテックスの最低造膜温度(MTF;通常ポリマーの
ガラス転移温度Tgより3〜5℃高い)以上にすること
が好ましい。通常は製造設備の制限より25℃〜40℃
にすることが多い。また、減率乾燥時の乾球温度は支持
体のTg未満の温度(PETの場合通常80℃以下)が
好ましい。本明細書における液膜表面温度とは、支持体
に塗布された塗布液膜の溶媒液膜表面温度を言い、乾球
温度とは乾燥ゾーンの乾燥風の温度を意味する。恒率乾
燥時の液膜表面温度が低くなる条件で乾燥した場合、乾
燥が不十分になりやすい。このため特に保護層の造膜性
が著しく低下し、膜表面に亀裂が生じやすくなる。ま
た、膜強度も弱くなり、露光機や熱現像機での搬送中に
傷がつきやすくなるなどの重大な問題が生じやすくな
る。
【0119】一方、液膜表面温度が高くなる条件で乾燥
した場合は、主としてポリマーラテックスから構成され
る保護層は速やかに皮膜を形成するが、その一方で画像
形成層などの下層は流動性が停止していないので、表面
に凹凸が発生しやすくなる。また、支持体(ベース)に
Tgよりも高い過剰の熱がかかると、熱現像感光材料の
寸度安定性、耐巻き癖性も悪くなる傾向にある。下層を
塗布乾燥してから上層を塗布する逐次塗布においても同
様であるが、特に、下層の乾燥前に上層を塗布して、両
層を同時に乾燥する同時重層塗布を行うための塗布液物
性としては、画像形成層の塗布液と保護層の塗布液との
pH差が2.5以下であることが好ましく、このpH差
は小さい程好ましい。塗布液のpH差が大きくなると塗
布液界面でミクロな凝集が生じやすくなり、長尺連続塗
布時に塗布筋などの重大な面状故障が発生しやすくな
る。画像形成層の塗布液粘度は25℃で15〜100m
Pa・sが好ましく、さらに好ましくは30〜70mP
a・sである。一方、保護層の塗布液粘度は25℃で5
〜75mPa・sが好ましく、さらに好ましくは20〜
50mPa・sである。これらの粘度はB型粘度計によ
って測定される。
【0120】乾燥後の巻取りは温度20〜30℃、相対
湿度45±20%の条件下で行うことが好ましく、巻き
姿はその後の加工形態に合わせ画像形成層側の面を外側
にしてもよいし、内側にしてもよい。また、加工形態が
ロール品の場合は巻き姿で発生したカールを除去するた
めに加工時に巻き姿とは反対側に巻いたロール形態にす
ることも好ましい。なお、熱現像感光材料の相対湿度は
20〜55%(25℃測定)の範囲で制御されることが
好ましい。
【0121】ハロゲン化銀を含みゼラチンを基体とする
粘性液である従来の写真乳剤塗布液は、通常加圧送液す
るだけで気泡が液中に溶解、消滅してしまい、塗布時に
大気圧下に戻されても気泡が析出するようなことはほと
んどない。ところが、本発明で好ましく用いられる有機
銀塩分散物とポリマーラテックスなどを含む画像形成層
塗布液の場合は、加圧送液だけでは脱泡が不十分になり
やすいため、気液界面が生じないようにして送液しなが
ら超音波振動を与え脱泡することが好ましい。本発明に
おいて塗布液の脱泡は、塗布液を塗布される前に減圧脱
気し、さらに1.5kg/cm2以上の加圧状態に保
ち、かつ気液界面が生じないようにして連続的に送液し
ながら超音波振動を与える方式が好ましい。具体的に
は、特公昭55−6405号公報(4頁20行〜7頁1
1行)に記載されている方式が好ましい。このような脱
泡を行う装置として、特願平10−290003号明細
書の実施例と図3に示される装置を好ましく用いること
ができる。
【0122】加圧条件としては、1.5kg/cm2
上が好ましく、1.8kg/cm2以上がより好まし
い。その上限に特に制限はないが、通常5kg/cm2
程度である。与えられる超音波の音圧は0.2V以上、
好ましくは0.5V〜3.0Vであり、一般的に音圧は
高い方が好ましいが、音圧が高すぎるとキャピテーショ
ンにより部分的に高温状態になりカブリの発生原因とな
る。周波数は特に制約はないが、通常10kHz以上、
好ましくは20kHz〜200kHzである。なお、減
圧脱気は、タンク内(通常、調液タンクもしくは貯蔵タ
ンク)を密閉減圧し、塗布液中の気泡径を増大させ、浮
力をかせぎ脱気させることを指し、減圧脱気の際の減圧
条件は−200mmHgないしそれより低い圧力条件、
好ましくは−250mmHgないしそれより低い圧力条
件とし、その最も低い圧力条件は特に制限はないが通常
−800mmHg程度である。減圧時間は30分以上、
好ましくは45分以上であり、その上限は特に制限され
ない。
【0123】本発明において、画像形成層、画像形成層
の保護層、下塗層およびバック層には特開平11−84
573号公報の段落番号[0204]〜[0208]、
特願平11−106881号明細書の段落番号[024
0]〜[0241]に記載の如くハレーション防止など
の目的で、染料を含有させることができる。画像形成層
には色調改良、イラジエーション防止の観点から各種染
料や顔料を用いることができる。画像形成層に用いる染
料および顔料はいかなるものでもよいが、例えば特開平
11−119374号公報の段落番号[0297]に記
載されている化合物を用いることができる。これらの染
料の添加法としては、溶液、乳化物、固体微粒子分散
物、高分子媒染剤に媒染された状態などいかなる方法で
もよい。これらの化合物の使用量は目的の吸収量によっ
て決められるが、一般的に1m2当たり1×10-6g〜
1gの範囲で用いることが好ましい。
【0124】本発明でハレーション防止染料を使用する
場合、該染料は所望の範囲で目的の吸収を有し、処理後
に可視領域での吸収が充分少なく、上記バック層の好ま
しい吸光度スペクトルの形状が得られればいかなる化合
物でもよい。例えば特開平11−119374号公報の
段落番号[0300]に記載されている化合物を用いる
ことができる。また、ベルギー特許第733,706号
明細書に記載されるように染料による濃度を加熱による
消色で低下させる方法、特開昭54−17833号公報
に記載されるように光照射による消色で濃度を低下させ
る方法等を用いることもできる。
【0125】本発明の熱現像感光材料が熱現像後におい
て、PS版により刷版を作製する際にマスクとして用い
られる場合、熱現像後の熱現像感光材料は、製版機にお
いてPS版に対する露光条件を設定するための情報や、
マスク原稿およびPS版の搬送条件等の製版条件を設定
するための情報を画像情報として担持している。従っ
て、前記のイラジエーション染料、ハレーション染料、
フィルター染料の濃度(使用量)は、これらを読み取る
ために制限される。これら情報はLEDあるいはレーザ
ーによって読み取られるため、センサーの波長域のDm
in(最低濃度)が低い必要があり吸光度が0.3以下
である必要がある。例えば、富士写真フイルム(株)社
製、製版機S−FNRIIIはトンボ検出のための検出器
およびバーコードリーダーとして670nmの波長の光
源を使用している。また、清水製作社製、製版機APM
Lシリーズのバーコードリーダーとして670nmの光
源を使用している。すなわち670nm付近のDmin
(最低濃度)が高い場合にはフィルム上の情報が正確に
検出できず搬送不良、露光不良など製版機で作業エラー
が発生する。従って、670nmの光源で情報を読み取
るためには670nm付近のDminが低い必要があ
り、熱現像後の660〜680nmの吸光度が0.3以
下である必要がある。より好ましくは0.25以下であ
る。その下限に特に制限はないが、通常は0.10程度
である。
【0126】本発明において、像様露光に用いられる露
光装置は露光時間が10-7秒以下の露光が可能な装置で
あればいずれでもよいが、一般的にはレーザダイオード
(LD)、発光ダイオード(LED)を光源に使用した
露光装置が好ましく用いられる。特に、LDは高出力、
高解像度の点でより好ましい。これらの光源は目的波長
範囲の電磁波スペクトルの光を発生することができるも
のであればいずれでもよい。例えばLDであれば、色素
レーザー、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レーザ
ーなどを用いることができる。特に、半導体レーザーが
好ましく、その具体例としては、In1−xGaxP
(〜700nm)、GaAs1−xPx(610〜90
0nm)、Ga1−xAlxAs(690〜900n
m)、InGaAsP(1100〜1670nm)Al
GaAsSb(1250〜1400nm)等の材料を用
いた半導体レーザーが挙げられる。本発明におけるカラ
ー感光材料への光の照射は、上記半導体レーザーによる
ものの他に、Nb:YAG結晶をGaAsxP(1−
x)発光ダイオードにより励起するYAGレーザー(1
064nm)であっても良い。好ましくは、670、6
80、750、780、810、830、880nmの
半導体レーザーの光束の中から選択して用いるのがよ
い。
【0127】また、本発明において、第2高調波発生素
子(SHG素子)とは、非線形光学効果を応用してレー
ザー光の波長を2分の1に変換するものであり、例え
ば、非線形光学結晶としてCD*AおよびKD*Pを用
いたものが挙げられる(レーザーハンドブック、レーザ
ー学会編、昭和57年12月15日発行、122頁〜1
39頁参照)。また、LiNbO3結晶内にLi+をH+
でイオン交換した光導波路を形成したLiNbO3光導
波路素子を用いることができる(NIKKEIELEC
TRONICS 1986.7.14(no.399)
第89〜90頁)。本発明には、特開昭63−2265
52号明細書に記載の出力装置を用いることができる。
【0128】本発明における露光は光源の光ビームをオ
ーバーラップさせて露光する。オーバーラップとは副走
査ピッチ幅がビーム径より小さいことをいう。オーバー
ラップは、例えばビーム径をビーム強度の半値幅(FW
HM)で表わしたとき、FWHM/副走査ピッチ幅(オ
ーバーラップ係数)で定量的に表現することができる。
本発明ではこのオーバーラップ係数が0.2以上である
ことが好ましい。また、露光する際のエネルギー密度は
数μJ/cm2〜数100μJ/cm2であることが好ま
しい。さらには、数μJ/cm2〜数10μJ/cm2
あることが好ましい。
【0129】本発明に使用する露光装置の光源の走査方
式は特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒内面走査
方式、平面走査方式などを用いることができる。また、
光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネル
でもよいが、円筒外面方式の場合にはマルチチャンネル
が好ましく用いられる。本発明の熱現像感光材料は露光
時のヘイズが低く、干渉縞が発生しやすい傾向にある。
この干渉縞の発生防止技術としては、特開平5−113
548号公報などに開示されているレーザー光を熱現像
感光材料に対して斜めに入光させる技術や、国際公開W
O95/31754号公報などに開示されているマルチ
モードレーザーを利用する方法が知られており、これら
の技術を用いることが好ましい。
【0130】本発明に用いる画像形成方法の加熱現像工
程はいかなる方法であってもよいが、通常イメージワイ
ズに露光した熱現像感光材料を昇温して現像される。用
いられる熱現像機の好ましい態様としては、熱現像感光
材料をヒートローラーやヒートドラムなどの熱源に接触
させるタイプとして特公平5−56499号公報、特開
平9−292695号公報、特開平9−297385号
公報および国際公開WO95/30934号に記載の熱
現像機、非接触型のタイプとして特開平7−13294
号公報、国際公開WO97/28489号公報、同97
/28488号公報および同97/28487号公報に
記載の熱現像機がある。特に好ましい態様としては非接
触型の熱現像機である。好ましい現像温度としては80
〜250℃であり、さらに好ましくは100〜140℃
である。現像時間としては1〜180秒が好ましく、5
〜90秒がさらに好ましい。ラインスピードは140c
m/min以下が好ましい。
【0131】熱現像時における熱現像感光材料の寸法変
化による処理ムラを防止する方法として、80℃〜11
5℃未満の温度で画像が出ないようにして、5秒以上加
熱した後、110℃〜140℃で熱現像して画像形成さ
せる方法(いわゆる多段階加熱方法)を採用することが
有効である。
【0132】本発明の熱現像感光材料を熱現像処理する
とき、110℃以上の高温にさらされるため、該材料中
に含まれている成分の一部、あるいは熱現像による分解
成分の一部が揮発してくる。これらの揮発成分は現像ム
ラの原因になったり、熱現像機の構成部材を腐食させた
り、温度の低い場所で析出し異物として画面の変形を引
起こしたり、画面に付着して汚れとなる種々の悪い影響
があることが知られている。これらの影響を除くための
方法として、熱現像機にフィルターを設置し、また熱現
像機内の空気の流れを最適に調整することが知られてい
る。これらの方法は有効に組み合わせて利用することが
できる。国際公開WO95/30933号公報、同97
/21150号公報、特表平10−500496号公報
には、結合吸収粒子を有し揮発分を導入する第一の開口
部と排出する第二の開口部とを有するフィルターカート
リッジを、熱現像感光材料と接触して加熱する加熱装置
に用いることが記載されている。また、国際公開WO9
6/12213号公報、特表平10−507403号公
報には、熱伝導性の凝縮捕集器とガス吸収性微粒子フィ
ルターを組み合わせたフィルターを用いることが記載さ
れている。本発明ではこれらを好ましく用いることがで
きる。また、米国特許第4,518,845号明細書、
特公平3−54331号公報には、熱現像感光材料から
の蒸気を除去する装置と熱現像感光材料を伝熱部材へ押
圧する加圧装置と伝熱部材を加熱する装置とを有する構
成が記載されている。また、国際公開WO98/274
58号には、熱現像感光材料から揮発するかぶりを増加
させる成分を熱現像感光材料表面から取り除くことが記
載されている。これらについても本発明では好ましく用
いることができる。
【0133】本発明の熱現像感光材料の熱現像処理に用
いられる熱現像機の一構成例を図1に示す。図1は熱現
像機の側面図を示したものである。図1の熱現像機は熱
現像感光材料10を平面状に矯正および予備加熱しなが
ら加熱部に搬入する搬入ローラー対11(上部ローラー
はシリコンゴムローラーで、下部ローラーがアルミ製の
ヒートローラー)と熱現像後の熱現像感光材料10を平
面状に矯正しながら加熱部から搬出する搬出ローラー対
12を有する。熱現像感光材料10は搬入ローラー対1
1から搬出ローラー対12へと搬送される間に熱現像さ
れる。この熱現像中の熱現像感光材料10を搬送する搬
送手段は画像形成層を有する面が接触する側に複数のロ
ーラー13が設置され、その反対側のバック面が接触す
る側には不織布(例えば芳香族ポリアミドやテフロンか
ら成る)等が貼り合わされた平滑面14が設置される。
熱現像感光材料10は画像形成層を有する面に接触する
複数のローラー13の駆動により、バック面を平滑面1
4の上に滑らせながら搬送される。ローラー13の上部
および平滑面14の下部には、熱現像感光材料10の両
面から加熱されるように加熱ヒーター15が設置され
る。この場合の加熱手段としては板状ヒーター等が挙げ
られる。ローラー13と平滑面14とのクリアランスは
平滑面の部材により異なるが、熱現像感光材料10が搬
送できるクリアランスに適宜調整される。好ましくは0
〜1mmである。ローラー13の表面の材質および平滑
面14の部材は、高温耐久性があり、熱現像感光材料1
0の搬送に支障がなければ何でもよいが、ローラー表面
の材質はシリコンゴム、平滑面の部材は芳香族ポリアミ
ドまたはテフロン(登録商標)(PTFE)製の不織布
が好ましい。加熱手段としては複数のヒーターを用い、
それぞれ加熱温度を自由に設定することが好ましい。
【0134】なお、加熱部は、搬入ローラー対11を有
する予備加熱部Aと、加熱ヒーター15を備えた熱現像
加熱部Bとで構成されるが、熱現像処理部Bの上流の予
備加熱部Aは、熱現像温度よりも低く(例えば10〜3
0℃程度低く)、熱現像感光材料10中の水分量を蒸発
させるのに十分な温度および時間に設定することが望ま
しく、熱現像感光材料10の支持体のガラス転移温度
(Tg)よりも高い温度で、現像ムラが出ないように設
定することが好ましい。予備加熱部と熱現像処理部の温
度分布としては±1℃以下が好ましく、さらには±0.
5℃以下が好ましい。また、熱現像処理部Bの下流には
ガイド板16が設置され、搬出ローラー対12とガイド
板16とを有する徐冷部Cが設置される。ガイド板16
は熱伝導率の低い素材が好ましく、熱現像感光材料10
に変形が起こらないようにするために冷却は徐々に行う
のが好ましく、冷却速度としては、0.5〜10℃/秒
が好ましい。
【0135】以上、図示例に従って説明したが、これに
限らず、例えば特開平7−13294号公報に記載のも
のなど、本発明に用いる熱現像機は種々の構成のもので
あってもよい。また、本発明において好ましく用いられ
る多段加熱方法の場合は、上述のような装置において、
加熱温度の異なる熱源を2個以上設置し、連続的に異な
る温度で加熱するようにすればよい。
【0136】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操
作等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更するこ
とができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具
体例に制限されるものではない。
【0137】<実施例1> 《ハロゲン化銀乳剤Aの調製》水700mlにアルカリ
処理ゼラチン(カルシウム含有量として2700ppm
以下)11gおよび臭化カリウム30mg、4−メチル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム1.3gを溶解して温度
40℃にてpHを6.5に調整した後、硝酸銀18.6
gを含む水溶液159mlと臭化カリウムを1mol/
L及びK3IrCl6を2×10-5mol/Lで含む水溶
液をpAg7.7に保ちながらコントロールダブルジェ
ット法で6分30秒間かけて添加した。ついで、硝酸銀
55.5gを含む水溶液476mlと臭化カリウムを1
mol/L及びK3IrCl6を2×10-5mol/Lで
含むハロゲン塩水溶液をpAg7.7に保ちながらコン
トロールダブルジェット法で28分30秒間かけて添加
した。その後pHを下げて凝集沈降させて脱塩処理を
し、平均分子量15,000の低分子量ゼラチン(カル
シウム含有量として20ppm以下)51.1g加え、
pH5.9、pAg8.0に調整した。得られた粒子は
平均粒子サイズ0.08μm、投影面積変動係数9%、
(100)面比率90%の立方体粒子であった。こうし
て得たハロゲン化銀粒子に銀1mol当たり2×10-5
molの4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,
7−テトラザインデンを添加し、次いで表1に示した増
感色素を添加し、70℃30分熟成後、60℃に降温し
て銀1mol当たりベンゼンチオスルホン酸ナトリウム
76μmolを添加し、3分後にトリエチルチオ尿素7
1μmolを添加した後、100分間熟成し、4−ヒド
ロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザイン
デンを5×10-4mol、化合物Aを0.17g加えた
後、40℃に降温させハロゲン化銀乳剤Aの調製を終了
した。
【0138】
【化14】
【0139】《ベヘン酸銀分散物Aの調製》ベヘン酸
(ヘンケル社製、製品名EdenorC22−85R)
87.6kg、蒸留水423リットル、5mol/L濃
度のNaOH水溶液49.2リットル、tert−ブチ
ルアルコール120リットルを混合し、75℃にて1時
間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液を得た。別
に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2リットルを
用意し、10℃にて保温した。635リットルの蒸留水
と30リットルのtert−ブチルアルコールを入れた
反応容器を30℃に保温し、攪拌しながら先のベヘン酸
ナトリウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定
でそれぞれ62分10秒と60分かけて添加した。この
時、硝酸銀水溶液添加開始後7分20秒間は硝酸銀水溶
液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリ
ウム溶液を添加開始し、硝酸銀水溶液添加終了後9分3
0秒間はベヘン酸ナトリウム溶液のみが添加されるよう
にした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液
温度が上がらないようにコントロールした。また、ベヘ
ン酸ナトリウム溶液の添加系の配管は、スチームトレー
スにより保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75
℃になるようにスチーム量をコントロールした。また、
硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を
循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶
液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は攪拌軸を中心
として対称的な配置とし、また反応液に接触しないよう
な高さに調節した。ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了
後、そのままの温度で20分間攪拌放置し、25℃に降
温した。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を
濾水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こ
うして得られた固形分は、乾燥させないでウエットケー
キとして保管した。得られたベヘン酸銀の粒子の形態を
電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均投影面積径
0.52μm、平均粒子厚み0.14μm、平均球相当
径の変動係数15%の鱗片状の結晶であった。
【0140】つぎに、以下の方法でベヘン酸銀の分散物
を作製した。乾燥固形分100g相当のウエットケーキ
に対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−21
7,平均重合度:約1700)7.4gおよび水を添加
し、全体量を385gとしてからホモミキサーにて予備
分散した。次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:
マイクロフルイダイザーM−110S−EH、マイクロ
フルイデックス・インターナショナル・コーポレーショ
ン製、G10Zインタラクションチャンバー使用)の圧
力を1750kg/cm2に調節して、三回処理し、ベ
ヘン酸銀分散物Aを得た。冷却操作は蛇管式熱交換器を
インタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒
の温度を調節することで所望の分散温度に設定した。こ
うして得たベヘン酸銀分散物Aに含まれるベヘン酸銀粒
子は体積加重平均直径0.52μm、変動係数15%の
粒子であった。粒子サイズの測定は、Malvern
Instruments Ltd.製MasterSi
zerXにて行った。また電子顕微鏡撮影により評価す
ると、長辺と短辺の比が1.5、粒子厚み0.14μ
m、平均アスペクト比(粒子の投影面積の円相当径と粒
子厚みの比)が5.1であった。
【0141】《還元剤Aの固体微粒子分散物の調製》還
元剤A[1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメ
チルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン]1
0kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、
ポバールMP203)の20質量%水溶液10kgに、
サーフィノール104E(日信化学(株)製)400g
と、メタノール640g、水16kgを添加して、良く
混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラム
ポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビー
ズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメック
ス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイ
ソチアゾリノンナトリウム塩4gと水を加えて還元剤の
濃度が25質量%になるように調製し、還元剤の固体微
粒子分散物を得た。こうして得た分散物に含まれる還元
剤粒子はメジアン径0.44μm、最大粒子径2.0μ
m以下、平均粒子径の変動係数19%であった。得られ
た分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルタ
ーにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0142】《有機ポリハロゲン化合物Aの固体微粒子
分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物A[トリブロモ
メチル(4−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホ
ニル)フェニル)スルホン]10kgと、変性ポリビニ
ルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の
20質量%水溶液10kgと、トリイソプロピルナフタ
レンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液639g
と、サーフィノール104E(日信化学(株)製)40
0gと、メタノール640gと水16kgを添加して、
良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフ
ラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニア
ビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメ
ックス(株)製)にて5時間分散したのち水を加えて有
機ポリハロゲン化合物Aの濃度が25質量%になるよう
に調製し、有機ポリハロゲン化合物Aの固体微粒子分散
物を得た。こうして得た分散物に含まれる有機ポリハロ
ゲン化合物粒子はメジアン径0.36μm、最大粒子径
2.0μm以下、平均粒子径の変動係数18%であっ
た。得られた分散物は、孔径3.0μmのポリプロピレ
ン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去し
て収納した。
【0143】《有機ポリハロゲン化合物Bの固体微粒子
分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物B[トリブロモ
メチルナフチルスルホン]5kgと変性ポリビニルアル
コール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質
量%水溶液2.5kgと、トリイソプロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液213gと、
水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。
このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径
0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミ
ル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分
散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩2.
5gと水を加えての有機ポリハロゲン化合物Bの濃度が
20質量%になるように調製し、有機ポリハロゲン化合
物Bの固体微粒子分散物を得た。こうして得た分散物に
含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.
38μm、最大粒子径2.0μm以下、平均粒子径の変
動係数20%であった。得られた分散物は孔径3.0μ
mのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ
等の異物を除去して収納した。
【0144】《有機ポリハロゲン化合物C水溶液の調
製》室温で攪拌しながら、水75.0ml、トリプロピ
ルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20%水溶液8.
6ml、オルトりん酸二水素ナトリウム・2水和物の5
%水溶液6.8ml、水酸化カリウムの1mol/l水
溶液9.5mlを順次添加し、添加完了後5分間攪拌混
合した。さらに、攪拌しながら有機ポリハロゲン化合物
C[3−トリブロモメタンスルホニルベンゾイルアミノ
酢酸]4.0gの粉末を添加し、溶液が透明になるまで
均一に溶解させて有機ポリハロゲン化合物C水溶液10
0mlを得た。得られた水溶液は、200メッシュのポ
リエステル製スクリーンにてろ過を行い、ゴミ等の異物
を除去して収納した。
【0145】《化合物Zの乳化分散物の調製》化合物Z
を85質量%含有する三光(株)製R−054を10k
gとMIBK11.66kgを混合した後、窒素置換し
て80℃で1時間溶解した。この液に水25.52kg
とクラレ(株)製MPポリマーのMP−203の20質
量%水溶液12.76kgとトリイソプロピルナフタレ
ンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.44k
gを添加して、20〜40℃、3600rpmで60分
間乳化分散した。さらに、この液にサーフィノール10
4E(日信化学(株)製)0.08kgと水47.94
kgを添加して減圧蒸留しMIBKを除去したのち、化
合物Zの濃度が10質量%になるように調製した。こう
して得た分散物に含まれる化合物Zの粒子はメジアン径
0.19μm、最大粒子径1.5μm以下、粒子径の変
動係数17%であった。得られた分散物は、孔径3.0
μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴ
ミ等の異物を除去して収納した。
【0146】《6−イソプロピルフタラジン化合物の分
散液の調製》室温で水62.35gを攪拌しながら変性
ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP
203)2.0gが塊状にならない様に添加し10分間
攪拌混合した。その後加熱し、内温が65℃になるまで
昇温した後、90分間攪拌し均一に溶解させた。内温を
40℃以下に降温し、ポリビニルアルコール(クラレ
(株)製、PVA−217)の10%水溶液25.5
g、トリプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの2
0%水溶液3.0g、6−イソプロピルフタラジン(7
0%水溶液)7.15gを添加し、30分攪拌し透明分
散液100gを得た。得られた分散物は、孔径3.0μ
mのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ
等の異物を除去して収納した。
【0147】《造核剤Yの固体微粒子分散物の調製》造
核剤Yの4kgに対してクラレ(株)製ポバールPVA
−217を1kgと水36kgとを添加して良く混合し
てスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプ
で送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充
填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス
(株)製)にて12時間分散したのち、ベンゾイソチア
ゾリノンナトリウム塩4gと水を加えて造核剤Yの濃度
が10質量%になるように調製し、造核剤Yの固体微粒
子分散物を得た。こうして得た分散物に含まれる造核剤
の粒子はメジアン径0.34μm、最大粒子径3.0μ
m以下、粒子径の変動係数19%であった。得られた分
散物は、孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルター
にてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0148】《画像形成層塗布液の調製》上記で作製し
たベヘン酸銀分散物Aの銀1molに対して、以下のバ
インダー、素材、およびハロゲン化銀乳剤Aを添加し
て、水を加えて、画像形成層塗布液とした。完成後、減
圧脱気を圧力0.54atmで45分間行った。塗布液
のpHは7.3〜7.7、粘度は25℃で40〜50m
Pa・sであった。 バインダー;ラックスター3307B 固形分として 397g (大日本インキ化学工業(株)製;SBRラテックスでガラス転移温度17℃) 還元剤A 固形分として 149g 有機ポリハロゲン化合物A 固形分として 43.6g 有機ポリハロゲン化合物B 固形分として 13.8g 有機ポリハロゲン化合物C 固形分として 2.25g エチルチオスルホン酸ナトリウム 0.47g ベンゾトリアゾール 1.02g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA−235) 10.8g 6−イソプロピルフタラジン 17g 化合物Z 固形分として 9.7g 造核剤Y 15.3g 染料A(平均分子量15,000の低分子量ゼラチンとの混合液として添加) 783nmの光学濃度が0.15になる塗布量 (目安として0.19g) ハロゲン化銀乳剤A Ag量として0.06mol 防腐剤として化合物A 塗布液中に40ppm(塗布量として2.5mg/m2) メタノールの塗布液中総溶媒量として 2質量% エタノールの塗布液中総溶媒量として 1質量% (なお、塗布膜のガラス転移温度は17℃であった。)
【0149】
【化15】
【0150】《下層保護層塗布液の調製》メチルメタク
リレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート
/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=
58.9/8.6/25.4/5.1/2(質量%)の
ポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度4
6℃(計算値)、固形分濃度として21.5質量%、化
合物Aを100ppm含有させ、さらに造膜助剤として
化合物Dをラテックスの固形分に対して15質量%含有
させ塗布液のガラス転移温度を24℃とした、平均粒子
径116nm)943gに水を加え、化合物E1.62
g、有機ポリハロゲン化合物Cの水溶液112.7g、
現像促進剤Aを固形分として11.54g、マット剤
(ポリスチレン粒子、平均粒径7μm、平均粒径の変動
係数8%)1.58gおよびポリビニルアルコール(ク
ラレ(株)製,PVA−235)29.4gを加え、さ
らに水を加えて塗布液(メタノール溶媒を2質量%含
有)を調製した。完成後、減圧脱気を圧力0.47at
mで60分間行った。塗布液のpHは5.4、粘度は2
5℃で39mPa・sであった。
【0151】《上層保護層塗布液の調製》メチルメタク
リレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート
/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=
58.9/8.6/25.4/5.1/2(質量%)の
ポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度4
6℃(計算値)、固形分濃度として21.5質量%、化
合物Aを100ppm含有させ、さらに造膜助剤として
化合物Dをラテックスの固形分に対して15質量%含有
させ、塗布液のガラス転移温度を24℃とした、平均粒
子径72nm)649gに水を加え、カルナヴァワック
ス(中京油脂(株)製、セロゾール524:シリコーン
含有量として5ppm未満)30質量%溶液6.30
g、化合物C0.23g、化合物E0.93g、化合物
F7.95g、化合物H1.8g、マット剤(ポリスチ
レン粒子、平均粒径7μm、平均粒径の変動係数8%)
1.18gおよびポリビニルアルコール(クラレ(株)
製,PVA−235)12.1gを加え、さらに水を加
えて塗布液(メタノール溶媒を1.5質量%含有)を調
製した。完成後、減圧脱気を圧力0.47atmで60
分間行った。塗布液のpHは2.8、粘度は25℃で3
0mPa・sであった。
【0152】
【化16】
【0153】《バック/下塗り層のついたポリエチレン
テレフタレート(PET)支持体の作製》 (1)PET支持体の作製 テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従
い、固有粘度IV=0.66(フェノール/テトラクロ
ルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のポリエ
チレンテレフタレートを得た。これをペレット化した
後、130℃で4時間乾燥した後、300℃で溶融後T
型ダイから押し出した後急冷し、熱固定後の膜厚が12
0μmになるような厚みの未延伸フイルムを作製した。
これを周速の異なるロールを用い、3.3倍に縦延伸、
ついでテンターで4.5倍に横延伸を実施した。このと
きの温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。こ
の後、240℃で20秒間熱固定後、これと同じ温度で
横方向に4%緩和した。この後、テンターのチャック部
をスリットした後、両端にナール加工を行い、4.8k
g/cm2で巻きとった。このようにして、幅2.4
m、長さ3500m、厚み120μmのロール状のPE
T支持体を得た。
【0154】(2)下塗り層及びバック層の作成 (2−1)下塗り第一層 上記PET支持体に0.375kV・A・分/m2のコ
ロナ放電処理を施した後、以下に示す組成の塗布液を
6.2ml/m2となる様に支持体上に塗布し、125
℃で30秒、150℃で30秒、185℃で30秒乾燥
した。 ラテックス−A 280g KOH 0.5g ポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm、平均粒径の変動係数7%) 0.03g 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 1.8g 化合物Bc−C 0.097g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0155】(2−2)下塗り第二層 以下に示す組成の塗布液を5.5ml/m2となる様に
下塗り第一層の上に塗布し、125℃で30秒、150
℃で30秒、170℃で30秒乾燥した。 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm、ゼリー強度230g) 10g 酢酸(20%水溶液) 10g 化合物−Bc−A 0.04g メチルセルロース(2%水溶液) 25g エマレックス710(日本エマルジョン(株)製) 0.3g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0156】(2−3)バック第一層 前記下塗り層塗布面とは反対側の面に0.375kV・
A・分/m2のコロナ放電処理を施し、その面に以下に
示す組成の塗布液を13.8ml/m2となる様に塗布
し、125℃で30秒、150℃で30秒、185℃で
30秒乾燥した。 ジュリマーET410(30%水分散物、日本純薬(株)製) 23g アルカリ処理ゼラチン(分子量約10000、Ca2+含量30ppm) 4.44g 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm) 0.84g 化合物−Bc−A 0.02g 染料−Bc−A(783nmの光学濃度として1.3〜1.4になるように調整) 目安として0.88g ポリオキシエチレンフェニルエーテル 1.7g スミテックスレジンM−3(8%水溶液) 15g (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) FS−10D(SbドープSnO2の針状粒子の水分散物、 石原産業(株)製) 24g ポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm,平均粒径の変動係数7%) 0.03g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0157】(2−4)バック第二層 以下に示す組成の塗布液を5.5ml/m2となる様に
バック第一層上に塗布し、125℃で30秒、150℃
で30秒、170℃で30秒乾燥した。 ジュリマーET410(30%水分散物、日本純薬(株)製) 57.5g ポリオキシエチレンフェニルエーテル 1.7g スミテックスレジンM−3(8%水溶液) 15g (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) セロゾール524(30%水溶液、中京油脂(株)製) 6.6g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0158】(2−5)バック第三層 下塗り第一層と同じ塗布液を6.2ml/m2となる様
にバック第二層上に塗布し、125℃で30秒、150
℃で30秒、185℃で30秒乾燥した。
【0159】(2−6)バック第四層 以下に示す組成の塗布液を13.8ml/m2となる様
にバック第三層上に塗布し、125℃で30秒、150
℃で30秒、170℃で30秒乾燥した。 ラテックス−B 286g 化合物−Bc−B 2.7g 化合物−Bc−C 0.6g 化合物−Bc−D 0.5g 2,4ジクロロ−6−ヒドロキシーs−トリアジン 2.5g ポリメチルメタクリレート(10%水分散物、 平均粒子径5μm、平均粒子の変動係数7%) 7.7g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0160】
【化17】
【0161】ラテックス−A:コア部90質量%、シェ
ル部10質量%のコアシェルタイプのラテックスコア部
塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチルメタク
リレート/アクリロニトリル/アクリル酸=93/3/
3/0.9/0.1(質量%)シェル部 塩化ビニリデ
ン/メチルアクリレート/メチルメタクリレート/アク
リロニトリル/アクリル酸=88/3/3/3/3(質
量%)質量平均分子量38000 ラテックス−B:メチルメタクリレート/スチレン/2
−エチルヘキシルアクリレート/2−ヒドロキシエチル
メタクリレート/アクリル酸=59/9/26/5/1
(質量%)の共重合体
【0162】(3)搬送熱処理 このようにして作製したバック/下塗り層のついたPE
T支持体を160℃設定した全長200m熱処理ゾーン
に入れ、張力2kg/cm2、搬送速度20m/分で搬
送することにより熱処理した。上記熱処理に引き続き、
40℃のゾーンに15秒間通して後熱処理を行い、巻き
取った。この時の巻き取り張力は10kg/cm2であ
った。
【0163】《熱現像感光材料の作製》前記下塗り第一
層と下塗り第二層を塗布した側のPET支持体の下塗り
層の上に、特願平10−292849号明細書中の図1
で開示されているスライドビート塗布方式を用いて、前
記の画像形成層塗布液を塗布銀量1.5g/m2になる
ように塗布した。さらにその上に、前記下層保護層塗布
液をポリマーラテックスの固形分塗布量が1.31g/
2になるように画像形成層塗布液と共に同時重層塗布
した。その後でその上に前記上層保護層塗布液をポリマ
ーラテックスの固形分塗布量が3.11g/m2になる
ように塗布し、熱現像感光材料を作製した。塗布時の乾
燥は、恒率過程、減率過程とも乾球温度70〜75℃、
露点8〜25℃、液膜表面温度35〜40℃の範囲で、
水平乾燥ゾーン(塗布機の水平方向に対し支持体が1.
5°〜3°の角度)で行った。乾燥後の巻取りは温度2
5±5℃、相対湿度45±10%の条件下で行われ、巻
き姿はその後の加工形態(画像形成層面側外巻)に合わ
せ、画像形成層面側を外にした。なお、熱現像感光材料
の包袋内湿度は相対湿度20〜40%(25℃測定)
で、得られた熱現像感光材料の画像形成側の膜面pHは
5.0、ベック平滑度は850秒であり、反対側の膜面
pHは5.9、ベック平滑度は560秒であった。
【0164】《写真性能の評価》 (露光処理)得られた熱現像感光材料を、ビーム径(ビ
ーム強度の1/2のFWHM)12.56μm、レーザ
ー出力50mW、出力波長783nmの半導体レーザー
を搭載した単チャンネル円筒内面方式のレーザー露光装
置を使用し、ミラー回転数64000rpm、露光時間
1.1×10-8秒で露光を実施した。この時のオーバー
ラップ係数0.449にした。 (熱現像処理)露光済みの熱現像感光材料を図1に示し
た熱現像機を用いて、熱現像処理を行った。熱現像処理
部のローラー表面材質はシリコンゴム、平滑面はテフロ
ン不織布にして、搬送のラインスピードは150cm/
minで熱現像処理を行った。予備加熱部12.2秒
(予備加熱部と熱現像処理部の駆動系は独立しており、
熱現像部との速度差は−0.5%〜−1%に設定、各予
熱部の金属ローラーの温度設定、時間は第1ローラー温
度67℃、2.0秒、第2ローラー温度82℃、2.0
秒、第3ローラー温度98℃、2.0秒、第4ローラー
温度温度107℃、2.0秒、第5ローラー温度115
℃、2.0秒、第6ローラー温度120℃、2.0秒に
した)、熱現像処理部120℃(熱現像感光材料面温
度)で17.2秒、徐冷部は13.6秒で熱現像処理を
行った。ここでの処理時間はラインスピードに応じて変
化する。なお、幅方向の温度精度は±0.5℃であっ
た。各ローラー温度の設定は熱現像感光材料の幅(例え
ば幅61cm)よりも両側それぞれ5cm長くして、そ
の部分にも温度をかけて、温度精度が出るようにした。
なお、各ローラーの両端部分は温度低下が激しいので、
熱現像感光材料の幅よりも5cm長くした部分はローラ
ー中央部よりも1〜3℃温度が高くなるように設定し、
熱現像感光材料(例えば幅61cmの中で)の画像濃度
が均質な仕上がりになるように留意した。 (写真性能の評価)得られた画像の評価をマクベスTD
904濃度計(可視濃度)により行った。測定の結果
は、Dmin(カブリ)および感度(Dminより1.
5高い濃度を与える露光量の比の逆数の相対値で評価
し、表1に記載の熱現像感光材料1を100とした。熱
現像感光材料面のレーザーエネルギー密度としては15
0μJ/cm2であった。)で評価した。また、保存性
の評価として塗布後50℃相対湿度75%の環境下に3
日間放置した後、Dminおよび感度を評価した。各熱
現像感光材料について上記評価を実施した結果を表1に
示す。
【0165】
【表1】
【0166】
【化18】
【0167】表1より本発明の増感色素で分光増感させ
た熱現像感光材料は、カブリ(Dmin)が低く感度が
高くかつ保存性が良好であることがわかる。以上より、
本発明の効果は明らかである。
【0168】<実施例2> 《熱現像感光材料の作製》実施例1の画像形成層塗布液
および下層保護層塗布液を実施例1と同様にして同時重
層塗布した。その後でその上に下記の2種類の保護層塗
布液をポリマーラテックスの固形分塗布量が中間層保護
層1.97g/m2に、最上層保護層1.07g/m2
なるように中間層保護層塗布液と最上層保護層塗布液を
同時重層塗布し、熱現像感光材料を作製した。
【0169】《中間層保護層塗布液の調製》メチルメタ
クリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレー
ト/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸
=58.9/8.6/25.4/5.1/2(質量%)
のポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度
46℃(計算値)、固形分濃度として21.5質量%、
化合物Aを100ppm含有させ、さらに造膜助剤とし
て化合物Dをラテックスの固形分に対して15質量%含
有させ、塗布液のガラス転移温度を24℃とした、平均
粒子径72nm)625gに水を加え、化合物C0.2
3g、化合物E0.13g、化合物F12.1g、化合
物H2.75gおよびポリビニルアルコール(クラレ
(株)製,PVA−235)11.5gを加え、さらに
水を加えて塗布液(メタノール溶媒を0.5質量%含
有)を調製した。完成後、減圧脱気を圧力0.47at
mで60分間行った。塗布液のpHは2.6、粘度は2
5℃で50mPa・sであった。
【0170】《最上層保護層塗布液の調製》メチルメタ
クリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレー
ト/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸
=58.9/8.6/25.4/5.1/2(質量%)
のポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度
46℃(計算値)、固形分濃度として21.5質量%、
化合物Aを100ppm含有させ、さらに造膜助剤とし
て化合物Dをラテックスの固形分に対して15質量%含
有させ塗布液のガラス転移温度を24℃とした、平均粒
子径116nm)649gに水を加え、化合物C0.2
3g、化合物E1.85g、化合物G1.0g、カルナ
ヴァワックス(中京油脂(株)製、セロゾール524:
シリコーン含有量として5ppm未満)30質量%溶液
18.4g、マット剤(ポリスチレン粒子、平均粒径7
μm、平均粒径の変動係数8%)3.45gおよびポリ
ビニルアルコール(クラレ(株)製,PVA−235)
26.5gを加え、さらに水を加えて塗布液(メタノー
ル溶媒を3質量%含有)を調製した。完成後、減圧脱気
を圧力0.47atmで60分間行った。塗布液のpH
は5.2、粘度は25℃で24mPa・sであった。得
られた各熱現像材料に対して実施例1と同様の評価を実
施した結果、実施例1の結果をほぼ再現し、本発明の増
感色素で分光増感させた熱現像感光材料は、カブリ(D
min)が低く感度が高くかつ保存性が良好であった。
よって、本発明の効果は明らかである。
【0171】<実施例3>実施例1で使用したサンプル
の露光を円筒外面方式マルチチャンネル(50mW半導
体レーザーヘッド30機搭載)で行い、実施例1と同様
に熱現像したところ本発明の増感色素で分光増感させた
熱現像感光材料は、カブリ(Dmin)が低く感度が高
くかつ保存性が良好であった。よって、本発明の効果は
明らかである。
【0172】
【発明の効果】本発明の熱現像感光材料は、感度が高
く、長期保存時のカブリ上昇や感度変動が小さくて、写
真製版用途に最適な写真特性を示す。また、環境面、コ
スト面で有利な水系塗布により製造することが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の熱現像感光材料の熱現像処理に用い
られる熱現像機の一構成例を示す側面図である。
【符号の説明】
10 熱現像感光材料 11 搬入ローラー対 12 搬出ローラー対 13 ローラー 14 平滑面 15 加熱ヒーター 16 ガイド板 A 予備加熱部 B 熱現像処理部 C 徐冷部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に非感光性銀塩および感光性ハ
    ロゲン化銀を含有する熱現像感光材料において、該感光
    性ハロゲン化銀が分光増感剤により分光感度極大波長が
    730nmよりも長くて、下記式(1)及び(2)をと
    もに満足するように分光増感されたことを特徴とする熱
    現像感光材料。 【数1】 [上式において、λmaxは分光感度極大波長、S
    (λ)は波長λにおける分光感度である]
  2. 【請求項2】 支持体上に非感光性銀塩および感光性ハ
    ロゲン化銀を含有する熱現像感光材料において、該感光
    性ハロゲン化銀が分光増感剤により分光感度極大波長が
    730nmよりも長くて、下記式(3)及び(4)をと
    もに満足するように分光増感されたことを特徴とする熱
    現像感光材料。 【数2】 [上式において、λmaxは分光感度極大波長、Ab
    s.(λ)は波長λにおける光学濃度である]
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