WO2018131719A1 - 全熱交換素子用シートおよび全熱交換素子用シート製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】通気を遮断する性能とともに高い透湿性を有し、かつ水溶性臭気物質の臭気移行を抑制することができる、全熱交換素子用シートおよび全熱交換素子用シート製造方法を提供する。 【解決手段】水溶性臭気物質の臭気移行を抑制するゼラチン3と、このゼラチン3に添加されてその高分子構造を安定化させるビスビニルスルホン化合物とが、透湿性を有する膜状の基材2に含有されているとともに、吸湿性を向上させる塩化リチウムが担持されている。
Description
本発明は、通気を遮断する性能とともに透湿性能を有する、全熱交換素子用シートおよび全熱交換素子用シート製造方法に関するものである。
建築基準法(平成15年法改正)において、居室を有する全ての建物に24時間換気を行う機械設置が義務づけられた。しかし、夏場や冬場などの屋内と屋外との温度差が大きい季節では、換気に伴って屋内の熱が屋外に放出されてしまうため、熱エネルギーのロスが大きいという問題がある。そこで、換気により屋外に放出される排気と屋内に取り込まれる給気との間で熱交換を行い熱エネルギーのロスを抑制する熱交換器が商品化されている。
ところで、空気中に存在する水蒸気には潜熱と呼ばれる熱エネルギーが含まれている。このため、熱交換時に、空気の温度差による熱移動による顕熱交換とともに水蒸気を移動させる潜熱交換を行う、いわゆる全熱交換を行うことで、高効率の熱交換を行うことができる。また、屋内の過乾燥防止の観点からも水蒸気による潜熱交換を行うことが望ましい。
一般的に全熱交換器の全熱交換素子は、図4に示すように、換気を行う換気層と給気を行う給気層とが交互に配置されており、各層を構成するための仕切り板として全熱交換素子用シートが用いられている。この全熱交換素子用シートは、上記のとおり全熱交換を行うため、換気と給気との通気を遮断する性能と潜熱交換の為の透湿性能との両立が必要とされている。そこで、これまでに、全熱交換素子用シートに関する発明が種々提案されている。
例えば、国際公開第02/099193号公報には、濾水度が150ml以下となるように繊維を叩いてほぐされた天然パルプを含む紙から構成された全熱交換素子用紙が提案されている(特許文献1)。また、国際公開第2014/014099号公報には、微細セルロース繊維からなる不織布層を少なくとも一層含む多層構造体であって、密度が0.10g/cm3以上0.90g/cm3以下である全熱交換器用シートが提案されている(特許文献2)。これら特許文献1および特許文献2に記載の発明は、繊維同士の間に形成された隙間や孔によって透湿性を確保しつつ、前記隙間や孔を密にすることで通気を遮断する機能を備えたものである。
また、特開2008-14623号公報には、親水性繊維を含有する多孔質シートに、親水性高分子を含有する水溶液を塗工して、前記多孔質シートの孔を塞いだ親水性高分子加工シートからなる全熱交換器用シートが提案されている(特許文献3)。また、特開昭53-16950号公報では、ロックウールやガラス繊維を主成分とする繊維状物と、結合剤を多量の水に分散させたスラリー状水溶液とを紙抄き用の機械によって紙葉状物とした全熱交換子が提案されている(特許文献4)。さらに、特許第4736718号公報には、基材紙に塩化カルシウムを添加するとともに、高分子樹脂を塗工または含浸させてなる全熱交換器エレメント用原紙が提案されている(特許文献5)。また、特許第3791726号公報には、製紙用繊維、ミクロフィブリル化セルロースおよび放湿性粉体を主成分とし、シリカゲルや活性白土等の吸放湿性の塗工層を設けてなる全熱交換器用紙が提案されている(特許文献6)。さらに、特開2015-59286号公報には、天然パルプを原料とした基材シートと、炭酸カルシウム等により前記基材シートの空隙を埋めた塗工層とを有する全熱交換素子用紙が提案されている(特許文献7)。
以上の特許文献3乃至特許文献7に記載の発明は、親水性や透湿性を有する繊維等を主成分とし、あるいは基材紙に対して吸湿性の高い塩化カルシウム等を含有させることで透湿性を確保しつつ、各繊維間の隙間や孔を高分子材等で塞ぐことにより通気を遮断する機能を備えたものである。
さらに、特開2007-64508号公報では、セロファンが高い透湿性とともに通気を遮断できる性能を有することを見出して全熱交換素子用シートとして用途利用した、単層または複数層のセロファンを用いた全熱交換器用シートが提案されている(特許文献8)。
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載された発明のように、繊維同士の間に隙間や孔を有するものは、特許文献3乃至特許文献8に記載された発明のような隙間や孔が吸湿性物質で埋められているものに比べて、通気を遮断する性能が低いという問題がある。
また、特許文献1乃至特許文献8に記載された従来の全熱交換素子用シートは、後述する実施例1で説明するとおり、いずれも水蒸気とともにアンモニア等の水溶性臭気物質を一緒に交換してしまうため、水溶性臭気物質を成分に含む悪臭ガスや有毒ガスを換気により室外に排出することができないという問題がある。
さらに、特許文献3乃至特許文献7に記載された発明のように、基材紙に対して吸湿性物質の塗工層を形成する場合、当該吸湿性物質の厚さを均一にしなければ通気を遮断する性能や透湿性能にムラができてしまうという問題がある。
本発明は、これらの問題点を解決するためになされたものであって、通気を遮断する性能とともに高い透湿性を有し、かつ水溶性臭気物質の臭気移行を抑制することができる、全熱交換素子用シートおよび全熱交換素子用シート製造方法を提供することを目的としている。
本発明者は、上記問題点を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ゼラチンが通気を遮断するとともに高い透湿性能を有し、かつ水溶性臭気物質の臭気移行を抑制する性能に優れていることを見出した。また、吸湿性を向上させる塩化リチウムを担持させることにより透湿性能が向上することを見出したが、一方で通気の遮断性能およびアンモニア等の水溶性臭気物質の遮断性能が低下する問題が生じた。そこで、これらの知見に基づいて、実用上有用な下記の各発明を完成した。
つまり、本発明に係る全熱交換素子用シートは、通気を遮断する性能と透湿性能とを両立させるとともに、水溶性臭気物質の臭気移行を抑制するという課題を解決するために、水溶性臭気物質の臭気移行を抑制するゼラチンと、このゼラチンに添加されてその高分子構造を安定化させるビスビニルスルホン化合物とが、透湿性を有する膜状の基材に含有されているとともに、吸湿性を向上させる塩化リチウムが担持されている。
また、本発明の一態様として、前記ビスビニルスルホン化合物の好適な含有量および前記塩化リチウムの好適な担持量を特定するという課題を解決するために、前記ビスビニルスルホン化合物が前記ゼラチンの乾燥重量に対して0.5~5重量%で含有されているとともに、前記塩化リチウムが5~10g/m2で担持されていてもよい。
さらに、本発明の一態様として、ゼラチンを基材に対して均一な厚さに塗工するという課題を解決するために、増粘材としてのメチルセルロースが前記ゼラチンに対して0.1~0.3倍の重量比率で含有されていることが好ましい。
本発明に係る全熱交換素子用シート製造方法は、基材にゼラチンの水溶液を均一に塗工するという課題を解決するために、ゼラチンの水溶液に当該水溶液の粘度を高める増粘材を添加し、前記水溶液を透湿性を有する膜状の基材に含有させて乾燥させる工程を有する。
また、本発明の一態様として、塩化リチウムを担持させることにより通気の遮断性能およびアンモニア等の水溶性臭気物質の遮断性能が低下するという課題を解決するために、前記ゼラチンの水溶液に当該水溶液の粘度を高める増粘材と前記ゼラチンの高分子構造を安定化させる架橋材とを添加し、前記水溶液を前記基材に含有させて乾燥させた後、吸湿性を向上させる吸湿材の水溶液をディッピングまたはスプレー後に乾燥させて前記吸湿材を担持させることが好ましい。
さらに、本発明の一態様として、ゼラチンの含有量に対して添加する増粘材、架橋材、および吸湿材の各素材の性能をより好適に発揮させるという課題を解決するために、前記ゼラチンを3~5重量%含有させた水溶液に、0.5~1重量%のメチルセルロースと前記ゼラチンの乾燥重量に対して0.5~5重量%のビスビニルスルホン化合物とを添加し、前記水溶液を前記基材に含有させて乾燥させた後、塩化リチウムの水溶液をディッピングまたはスプレー後に乾燥させて前記塩化リチウムを5~10g/m2で担持させるのが好ましい。
本発明によれば、通気を遮断する性能とともに高い透湿性を有し、かつ水溶性臭気物質の臭気移行を抑制することができる。
以下、本発明に係る全熱交換素子用シートおよび全熱交換素子用シート製造方法の一実施形態について図面を用いて説明する。
本実施形態の全熱交換素子用シート1は、図1に示すように、主に、透湿性を有する膜状の基材2と、この基材2に含有される水溶性臭気物質の臭気移行を抑制するゼラチン3または寒天4と、透湿性能等を向上させる各種の添加材5、6、7等とを有する。以下、各構成について説明する。
基材2は、繊維間の微細な隙間を備えてなる薄膜状の材料であり、前記隙間によって水蒸気等による湿気を透過する、いわゆる透湿性を有している。この基材2は、紙、不織布、多孔質シート等で構成されており、本実施形態では、厚さ約62μmの紙が用いられている。
ゼラチン3または寒天4は、基材2に存在する隙間を塞ぐことで通気を遮断するとともに、前記基材2よりも透湿性を高めつつ水溶性臭気物質の臭気移行を抑制するためのものである。
ここで、水蒸気の薄膜透過機構には、分子拡散機構と、溶解拡散機構とがある。分子拡散機構は、図3(a)に示すように、繊維材料や多孔質材料等から構成される薄膜が有する空隙を濃度勾配に伴って水蒸気が拡散する現象である。一方、溶解拡散機構は、図3(b)に示すように、材料表面に到達した水蒸気分子が、材料内部へ溶解し、濃度勾配が駆動力となって材料内部に拡散し、反対側表面から放出する現象である。
本発明は、ゼラチン3または寒天4の有する溶解拡散機構を利用して透湿性を確保するというものである。
ここで、ゼラチン3は、動物の皮膚や骨、腱などから抽出されたタンパク質を主成分とするものであり、高温の水中では水に溶解し、冷却することによってゲルとなって固形化する性質を有している。
また、寒天4は、テングサ等の紅藻類の粘液質を凍結・乾燥させた食物繊維である。高温の水中では水に溶解し、冷却することによって凝固する性質を有している。
本実施形態では、図2に示すように、ゼラチン3または寒天4を水に溶かした水溶液を基材2に含浸させ(S1~S3)、最終的にそれを乾燥させる(S4,S6)ことにより、前記基材2の微細な隙間に前記ゼラチン3または前記寒天4を含有させるようになっている。
このとき、後述する実施例3において説明するように、通気を遮断する性能とともに高い透湿性を有し、かつ水溶性臭気物質の臭気移行を抑制する性能を効果的に発揮させるために、ゼラチン濃度が約3~5重量%のゼラチン水溶液を基材2に含浸させて乾燥させ、完全に乾燥させた絶乾時で約2~6g/m2を含有させることが好ましい。
つぎに、本実施形態における添加材等としては、ゼラチン水溶液または寒天水溶液の粘度を増加させる増粘材5と、ゼラチン3または寒天4の高分子構造を安定化させる架橋材6と、吸湿性を向上させる吸湿材7とが挙げられる。
増粘材5は、基材2に含浸させるゼラチン水溶液または寒天水溶液の粘度を調整するためのものであり、特に前記各水溶液を基材2に含浸させる際の液だれ等を防止するためのものである。本実施形態における好適な増粘材5の一つは、メチルセルロースが挙げられ、図2に示すように、ゼラチン水溶液または寒天水溶液に対して適量添加される(S2)。
前記メチルセルロースは、後述する実施例3において説明するように、ゼラチン濃度が約3~5重量%のゼラチン水溶液の場合には、当該ゼラチン水溶液に対して約0.5~1重量%を添加されるのが好ましい。
そして、メチルセルロースが添加された水溶液を基材2の片面または両面に抄紙工程等に用いられるロールコーターやスプレーを用いて塗工する(S3)。この際、メチルセルロースの添加によりゼラチン水溶液または寒天水溶液の粘度が増加しているため、乾燥前の液だれが防止され、基材2に対して前記ゼラチン水溶液または前記寒天水溶液を均等の厚さに塗工することが可能である。メチルセルロースは、完成した全熱交換素子用シート1におけるゼラチン3の重量に対して約0.1~0.3倍の重量比率で含有されることが好ましい。
なお、増粘材5はメチルセルロースに限定されるものではなく、例えば、メチルセルロースなどのカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、またペクチン、カラギーナン、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、キサンタンガム、カードランなどの増粘多糖類などが利用可能である。
つぎに架橋材6について説明する。架橋材6は、ゼラチン3または寒天4の高分子構造を安定化させることで、後述する吸湿材7によって前記ゼラチン3または前記寒天4における高分子網目構造の一部が破壊されるのを抑制し、ゼラチン3または寒天4による通気を遮断する性能やアンモニア等の水溶性臭気物質を遮断する性能を維持する機能を果たす。例えば、下記の化学式1に示すように、架橋材6としてビニルスルフォン基(CH2=CH-SO2-)を添加した場合、前記ビニルスルフォン基がゼラチン3の水酸基(-OH)やアミン基(-NH2)と付加反応することでゼラチン3の架橋構造を作り、その高分子構造を安定化させる。また、この反応では、ガスなどが発生しないため、架橋材6として使用しやすい。よって、架橋材6は、ゼラチン3中や寒天4中のアミン基や水酸基との間で反応するものが望ましく、ビニルスルホン基、ビニルカルボン酸などが望ましい。
[化学式1]
[化学式1]
本実施形態における架橋材6の一例としては、ビスビニルスルホン化合物が挙げられ、図2に示すように、メチルセルロースとともにゼラチン水溶液または寒天水溶液に適量添加される(S2)。ビスビニルスルホン化合物としては、例えば、下記の構造式1に示すN,N'-ビス(ビニルスルホニルアセチル)トリメチレンジアミン、下記の構造式2に示すN,N'-ビス(ビニルスルホニルアセチル)エチレンジアミン、下記の構造式3に示す1,3-ビス(ビニルスルホニル)-2-プロパノール等が利用可能である。
[構造式1]
[構造式2]
[構造式3]
[構造式1]
[構造式2]
[構造式3]
ビスビニルスルホン化合物は、後述する実施例3において説明するように、前記塩化リチウムを5~10g/m2で担持させる場合は、前記ゼラチンの乾燥重量に対して約0.5~5重量%を添加させるのが好ましい。
なお、架橋材6はビスビニルスルホン化合物に限定されるものではなく、例えば、アミン基と架橋するホルムアルデヒドやグルタルアルデヒドなどのカルボニル基を有するものが利用できる。さらにイソチオシアネート、イソシアネート、アシルアジド、NHSエステル、スルホニルクロリド、グリオキサール、エポキシド、オキシラン、カーボネート、アリールハライド、イミドエステル、カルボジイミドなどのアミン反応性架橋材も利用可能である。
つぎに吸湿材7について説明する。吸湿材7は、ゼラチン3または寒天4を含有させた基材2の吸湿性能を向上させて透湿性を高めるためのものである。本実施形態における吸湿材7の一例としては、塩化リチウムが挙げられ、図2に示すように、メチルセルロースおよびビスビニルスルホン化合物を添加した、ゼラチン水溶液または寒天水溶液を基材2に含浸させて乾燥させた後に、塩化リチウムの水溶液にディッピングまたは塩化リチウムの水溶液をその表面にスプレーすることにより担持させるようになっている(S5)。
塩化リチウムは、後述する実施例3において説明するように、ゼラチン濃度が約3~5重量%のゼラチン水溶液にビスビニルスルホン化合物をゼラチンの乾燥重量に対して約0.5~5重量%で添加し、これを基材2に含浸させて乾燥させたものに対しては、塩化リチウムの水溶液にディッピングまたは塩化リチウムの水溶液をその表面にスプレー後に乾燥させて、約5~10g/m2で担持させることが好ましい。これにより、塩化リチウムは、完成品の全熱交換素子用シート1において前記ゼラチン3に対して約0.8~5倍の重量比率で担持される。
なお、吸湿材7は塩化リチウムに限定されるものではなく、例えば、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム等の塩化物および臭化リチウム等から適宜選択することができる。
最後に、図2に示すように、塩化リチウムの水溶液にディッピングまたは塩化リチウムの水溶液をその表面にスプレーした後、乾燥させることにより全熱交換素子用シート1は完成する(S6)。
なお、この全熱交換素子用シート1は、全熱交換素子8に用いられる。そこで、以下、全熱交換素子8の構成について簡単に説明する。
全熱交換素子8は、例えば、図4に示すように、温度および/または湿度の異なる二種類の気流を仕切る仕切り板81と、仕切り板81同士の間に設けられる間隔板82とを有し、これらの板材によって換気を行う換気層83と給気を行う給気層84とを形成してなる。
仕切り板81は、本発明に係る全熱交換素子用シート1で構成されており、換気層83と給気層84とを仕切ることにより各層間の通気を遮断するとともに、顕熱および潜熱の交換を可能としている。
間隔板82は、仕切り板81と同様に全熱交換素子用シート1で構成されており、各仕切り板81同士を通気可能な間隔で支持するものである。この間隔板82は、仕切り板81の間隔と同じ波高を有する波形状に形成されており、頂部と谷部が仕切り板81に接着固定されている。
また、間隔板82は、気流の方向を決めるためのものでもある。つまり、間隔板82は、各層の気流を波形状の頂部または谷部に沿った方向に流れるようにすることができる。そこで、間隔板82は、交互に90度回転されるように配置されて換気層83と給気層84とで気流の方向が直交するように構成されている。
なお、間隔板82の形状等は、その作用を果たしうる限り、波形状に限定されるものではなく、他の形状を適宜選択してもよい。また、換気層83と給気層84とにおける気流の方向は、直交するものに限定されず、図5に示すように、様々な対向関係を奏する配置から適宜選択してもよい。
つぎに、本実施形態の全熱交換素子用シート1における各構成の作用について、当該全熱交換素子用シート1を用いた全熱交換素子8の作用とともに説明する。
全熱交換素子8では、換気層83と給気層84とを流れる空気の温度が異なる場合、仕切り板81である全熱交換素子用シート1を介して各層83,84における顕熱の熱交換が行われる。全熱交換素子用シート1は薄膜状に形成されているため、各層83,84間では顕熱が伝わり易い。
よって、冬場等の暖房によって屋内の空気の温度が屋外の空気の温度に比べて高温に暖められている場合は、屋外から屋内へと給気される空気に、屋内から屋外へ排気される空気の顕熱が伝えられる。よって、屋内には、屋外の空気より暖められた空気が供給されることとなり、暖房に必要とされる熱エネルギーのロスが抑制される。
夏場等の冷房によって屋内の空気の温度が屋外の空気の温度に比べて低温に冷却されている場合は、屋外から屋内へと給気される空気から、屋内から屋外へ排気される空気に顕熱が奪われる。よって、屋内には、屋外の空気より冷却された空気が供給されることとなり、冷房に必要とされる熱エネルギーのロスが抑制される。
つぎに、換気層83と給気層84とを流れる空気の湿度が異なる場合は、全熱交換素子用シート1からなる仕切り板81を介して溶解拡散機構による潜熱の熱交換が行われる。
つまり、ゼラチン3または寒天4は、湿度の高い空気側の表面から水蒸気を溶解させ湿度の低い空気側の表面から水蒸気を放出する。このときの全熱交換素子用シート1の透湿性は、基材2自体の透湿性よりも高くなる。よって、本実施形態の全熱交換素子用シート1では、効率よく潜熱の熱交換が行われる。
吸湿材7は、ゼラチン3または寒天4の透湿性をさらに向上させる。例えば、塩化リチウムを用いた場合は、後述する実施例3において説明するように、従来品のセルロース膜(ビスコース塗工紙)と同程度またはそれ以上の約100~約110g/(m2・h)の透湿度を有することができる。
また、ゼラチン3または寒天4は、水蒸気に溶解されるアンモニア等の水溶性臭気物質の臭気移行を抑制することができる。例えば、ゼラチン3を含有させた全熱交換素子用シート1の場合、後述する実施例2において説明するように、温度20℃、湿度20%RHの条件下でアンモニアの臭気移行率ηを0.08に抑制することができ、高温高湿の条件下である、温度40℃、湿度90%RHの条件下でアンモニアの臭気移行率ηを0.49に抑制することができる。
同様に、寒天4を有する全熱交換素子用シート1の場合、温度20℃、湿度20%RHの条件下でアンモニアの臭気移行率ηを0.1に抑制することができる。また、温度40℃、湿度90%RHの高温高湿の条件下であってもアンモニアの臭気移行率ηを0.67に抑制することができる。
また、架橋材6は、ゼラチン3または寒天4の高分子構造を安定化させる。これにより、架橋材6は、吸湿材7によるゼラチン3または寒天4の高分子構造の破壊を抑制し、ゼラチン3または寒天4による通気を遮断する性能やアンモニア等の水溶性臭気物質を遮断する性能を維持することができる。ビスビニルスルホン化合物を用いた場合は、後述する実施例3に示すように、従来品のセルロース膜(ビスコース塗工紙)と同程度またはそれ以上の約9%のCO2移行率を有することができるとともに、アンモニアの臭気移行をほぼ完璧に遮断することができる。
以上のような本実施形態の全熱交換素子用シート1および全熱交換素子用シート製造方法によれば、以下の効果を奏することができる。
1.基材2の隙間にゼラチン3または寒天4を含有させることにより、前記ゼラチン3または前記寒天4による溶解拡散機構によって透湿性を有する一方、水溶性臭気物質の臭気移行を抑制することができる。
2.架橋材6としてビスビニルスルホン化合物を添加することにより、吸湿材7を担持させることによる透湿性能の向上と、ゼラチン3または寒天4による通気を遮断する性能やアンモニア等の水溶性臭気物質を遮断する性能の維持との両立を図ることができる。
3.増粘材5を添加することにより、基材2に対するゼラチン3または寒天4の厚さを均一にすることができる。
4.ゼラチン3または寒天4によって高温高湿の条件下における水溶性臭気物質の臭気移行を抑制することができる。
5.製造方法としてロールコーター等の紙を製造する既存の抄紙工程に用いられる方法を使用することができるため、製造ラインの導入コストが安く、連続的な製造を行うことができる。
1.基材2の隙間にゼラチン3または寒天4を含有させることにより、前記ゼラチン3または前記寒天4による溶解拡散機構によって透湿性を有する一方、水溶性臭気物質の臭気移行を抑制することができる。
2.架橋材6としてビスビニルスルホン化合物を添加することにより、吸湿材7を担持させることによる透湿性能の向上と、ゼラチン3または寒天4による通気を遮断する性能やアンモニア等の水溶性臭気物質を遮断する性能の維持との両立を図ることができる。
3.増粘材5を添加することにより、基材2に対するゼラチン3または寒天4の厚さを均一にすることができる。
4.ゼラチン3または寒天4によって高温高湿の条件下における水溶性臭気物質の臭気移行を抑制することができる。
5.製造方法としてロールコーター等の紙を製造する既存の抄紙工程に用いられる方法を使用することができるため、製造ラインの導入コストが安く、連続的な製造を行うことができる。
『従来製品の性能評価』
本実施例1では、従来製品の分子拡散機構を有する複数の透湿膜と、溶解拡散機構を有する複数の透湿膜について、それぞれ透湿性および水溶性臭気物質の臭気移行性について実験を行った。
本実施例1では、従来製品の分子拡散機構を有する複数の透湿膜と、溶解拡散機構を有する複数の透湿膜について、それぞれ透湿性および水溶性臭気物質の臭気移行性について実験を行った。
分子拡散機構を有する透湿膜には、下記の表1に示すように、建築用透湿防水シート等に用いられる膜厚約0.1mmのポリエチレン不織布、全熱交換素子用シートとして用いられる膜厚約0.06mmポリオレフィン系フィルム、紙おむつやマスク等に用いられる膜厚約0.2mmのポリプロピレン不織布および画用紙等に用いられる膜厚約0.3mmのケント紙を使用した。
一方、溶解拡散機構を有する透湿膜には、従来品として全熱交換素子用シートに用いられる膜厚約0.06mmのセルロース膜(ビスコース加工紙)および透写紙等に用いられる膜厚約0.045mmのトレーシングペーパーを使用した。前記トレーシングペーパーは、全国大学生協協同組合連合会が販売する坪量40g/m2のトレーシングペーパー(型番:T-50N)である。
[表1]
[表1]
(1)透湿性について
上記各透湿膜の透湿度を計測し、それぞれの透湿性について検討を行った。本実施例1において、透湿度の計測は、JIS L 1099 A-1に準拠し、図6に示すように、塩化カルシウムを収容し、かつ各透湿膜を蓋として使用した透湿カップを、温度40℃、湿度90%RHの恒温恒湿器に1時間入れ、投入前後における前記塩化カルシウムの質量の変化量を計測し、下記式1にその値を代入することで算出した。
[式1]
P=(m2-m1)/A
ここで、Pは透湿度(g/(m2・h))、(m2-m1)は塩化カルシウムの質量の変化量(g/h)、Aは透湿面積(m2)である。
上記各透湿膜の透湿度を計測し、それぞれの透湿性について検討を行った。本実施例1において、透湿度の計測は、JIS L 1099 A-1に準拠し、図6に示すように、塩化カルシウムを収容し、かつ各透湿膜を蓋として使用した透湿カップを、温度40℃、湿度90%RHの恒温恒湿器に1時間入れ、投入前後における前記塩化カルシウムの質量の変化量を計測し、下記式1にその値を代入することで算出した。
[式1]
P=(m2-m1)/A
ここで、Pは透湿度(g/(m2・h))、(m2-m1)は塩化カルシウムの質量の変化量(g/h)、Aは透湿面積(m2)である。
各透湿膜の透湿度Pを算出した結果を下記の表2にまとめる。分子拡散機構を有する透湿膜では、全熱交換素子用シートとして用いられているポリオレフィン系フィルムやマスク等に用いられるポリプロピレン不織布、溶解拡散機構を有する透湿膜では、全熱交換素子用シートに用いられるセルロース膜の透湿度が高かった。
[表2]
[表2]
以上より、透湿性能が高いのは、分子拡散機構を有する透湿膜のポリオレフィン系フィルムおよびポリプロピレン不織布、溶解拡散機構を有する透湿膜のセルロース膜であった。
(2)アンモニア(水溶性臭気物質)の臭気移行性について
各透湿膜の臭気移行率を計測し、アンモニア(水溶性臭気物質)を遮断する性能の検討を行った。実験は、図7に示すように、透湿度の計測に用いた透湿カップを小型のチャンバー内に設置し、前記透湿カップの内外にアンモニアセンサーを配置した実験装置を用いた。
各透湿膜の臭気移行率を計測し、アンモニア(水溶性臭気物質)を遮断する性能の検討を行った。実験は、図7に示すように、透湿度の計測に用いた透湿カップを小型のチャンバー内に設置し、前記透湿カップの内外にアンモニアセンサーを配置した実験装置を用いた。
また、実験条件として、温度20℃、湿度20%RHの前記チャンバー内に約50ppmのアンモニア(NH3)を注入し、注入後から10分間、前記透湿カップ内および前記透湿カップ外のアンモニア濃度を計測し、下記の式2に計測値を代入することで算出した。
[式2]
η≡C2/C1
ここで、ηは臭気移行率(-)、C1はガス注入後10分間のチャンバー内濃度平均値(ppm)、C2はガス注入後10分後の透湿カップ内濃度(ppm)である。
[式2]
η≡C2/C1
ここで、ηは臭気移行率(-)、C1はガス注入後10分間のチャンバー内濃度平均値(ppm)、C2はガス注入後10分後の透湿カップ内濃度(ppm)である。
図8乃至図13に、アンモニア注入後から各アンモニアセンサーにより計測された結果を示す。各図において、横軸がアンモニア注入後の経過時間を示し、縦軸がアンモニアセンサーの値を示す。縦軸の値が大きいほどアンモニア濃度が濃いことを示す。
まず、図8に示すように、透湿カップ外のアンモニア濃度はアンモニア注入後、急激に上昇し、1分以内にほぼ一定の値となった。これはチャンバー内に注入されたアンモニアが当該チャンバー内で拡散し1分以内に均等な濃度になったことを示している。この傾向は、図9乃至図13に示すように、他の実験においても同様である。
一方、透湿カップ内のアンモニア濃度は、透湿カップの蓋に用いられた素材の種類によって濃度変化に相違があった。以下、各図面を参照しつつ説明する。
まず、分子拡散機構を有する透湿膜であるポリオレフィン系フィルムやポリプロピレン不織布を透湿カップの蓋に用いた場合では、図8および図9に示すように、アンモニア注入後、透湿カップ内のアンモニア濃度は急激に上昇して1分以内にほぼ一定の値となった。また、透湿カップ内のアンモニア濃度は、透湿カップ外のアンモニア濃度に近い値となった。これらのことから、ポリオレフィン系フィルムやポリプロピレン不織布では、アンモニアが容易に移行され、アンモニアの臭気移行を遮断する性能はほぼ無いことがわかった。
つぎに、分子拡散機構を有する透湿膜であるポリエチレン不織布やケント紙を透湿カップの蓋に用いた場合では、図10および図11に示すように、アンモニア注入後における透湿カップ内のアンモニア濃度の上昇速度は、図8および図9に示したポリオレフィン系フィルム等と比べて、緩やかである。しかし、時間経過とともに透湿カップ外のアンモニア濃度に漸近することから、ポリエチレン不織布およびケント紙は、ポリオレフィン系フィルム等と同様、アンモニアの臭気移行を遮断する性能は非常に低いことがわかった。
つぎに、溶解拡散機構を有する透湿膜であるセルロース膜やトレーシングペーパーを透湿カップの蓋に用いた場合では、図12および図13に示すように、透湿カップ内のアンモニア濃度の変化は、極めて緩やかであるか、または全く変化がなかった。つまり、セルロース膜やトレーシングペーパーは、アンモニアの臭気移行を遮断する性能が非常に高いことがわかった。
ここで、各素材の臭気移行率ηを算出した結果を下記の表3にまとめた。表3に示すように、分子拡散機構を有する透湿膜であるポリエチレン不織布、ポリオレフィン系フィルム、ポリプロピレン不織布およびケント紙は0.37以上と、比較的高い臭気移行率であった。それに対し、溶解拡散機構を有する透湿膜であるセルロース膜では0.05、トレーシングペーパーでは検出限界以下と、分子拡散機構を有する各透湿膜に対して一桁以上低い値であった。
[表3]
[表3]
以上より、本実験条件である温度20℃、湿度20%RHの下においては、アンモニアの臭気移行を抑制する性能は、溶解拡散機構を有する透湿膜が高いことが示された。
(3)水蒸気圧に対する臭気移行性とガスの種類に対する臭気移行性について
チャンバー内の水蒸気圧を変化させ、分子拡散機構を有する透湿膜であるポリオレフィン系フィルムおよび溶解拡散機構を有する透湿膜であるセルロース膜の臭気移行率ηを計測し、水蒸気圧に対する臭気移行性の検討を行った。また、水溶性臭気物質であるアンモニアと、水に難溶性を示すトルエンとをガスとして注入し、ガスの種類に対する臭気移行性の検討を行った。
チャンバー内の水蒸気圧を変化させ、分子拡散機構を有する透湿膜であるポリオレフィン系フィルムおよび溶解拡散機構を有する透湿膜であるセルロース膜の臭気移行率ηを計測し、水蒸気圧に対する臭気移行性の検討を行った。また、水溶性臭気物質であるアンモニアと、水に難溶性を示すトルエンとをガスとして注入し、ガスの種類に対する臭気移行性の検討を行った。
アンモニアに対する実験は、本実施例1の(2)と同様、図7に示すように、透湿カップと、チャンバーおよび前記透湿カップの内外に設けられたアンモニアセンサーからなる実験装置を用いて行った。また、トルエンに対する実験は、それと同じ透湿カップおよび同じチャンバーを用い、アンモニアセンサーの代わりに揮発性有機化合物(VOC)センサーを透湿カップの内外に設けられた実験装置を使用した。
実験条件は、チャンバー内の水蒸気圧を約1000Pa、約4400Paおよび約6500Paとし、各状態における臭気移行率ηを計測した。
計測した結果を図14に示す。分子拡散機構を有する透湿膜であるポリオレフィン系フィルムの場合、水蒸気圧やガスの種類にかかわらず、臭気移行率ηが1に近い値を示した。よって、ポリオレフィン系フィルム等は、水溶性臭気物質であるアンモニアおよび水に難溶性を示すトルエンのいずれにおいても、臭気移行を遮断する性能が非常に低いことがわかった。
一方、溶解拡散機構を有する透湿膜であるセルロース膜の場合、水に難溶性であるトルエンでは、水蒸気圧にかかわらず臭気移行率ηが0.1以下であり臭気移行を遮断する性能が高かった。しかし、水溶性であるアンモニアでは、水蒸気圧の上昇にともない、臭気移行率ηの値が急激に大きくなり、臭気移行を遮断する性能が著しく低下した。
(4)従来製品のまとめ
以上のように、従来製品の中では溶解拡散機構を有する透湿膜であるセルロース膜が、透湿性および水溶性臭気物質を遮断する性能のいずれも高い性能を示した。しかし、このセルロース膜であっても高温高湿の条件下におけるアンモニア等からなる水溶性臭気物質の臭気移行の遮断性能は低いことがわかった。
以上のように、従来製品の中では溶解拡散機構を有する透湿膜であるセルロース膜が、透湿性および水溶性臭気物質を遮断する性能のいずれも高い性能を示した。しかし、このセルロース膜であっても高温高湿の条件下におけるアンモニア等からなる水溶性臭気物質の臭気移行の遮断性能は低いことがわかった。
『ゼラチンおよび寒天を用いた全熱交換素子用シートの検討』
本実施例2では、実施例1において溶解拡散機構を有する透湿膜が透湿性および水溶性臭気物質の遮断性能が高いとの知見に基づき、基材にゼラチンおよび寒天を含有させた新たな溶解拡散機構を有する透湿膜の開発を行った。また、その新たな透湿膜について、透湿性や高温高湿の条件下における水溶性臭気物質であるアンモニアの遮断性能について実験を行った。
本実施例2では、実施例1において溶解拡散機構を有する透湿膜が透湿性および水溶性臭気物質の遮断性能が高いとの知見に基づき、基材にゼラチンおよび寒天を含有させた新たな溶解拡散機構を有する透湿膜の開発を行った。また、その新たな透湿膜について、透湿性や高温高湿の条件下における水溶性臭気物質であるアンモニアの遮断性能について実験を行った。
(1)全熱交換素子用シートの作成
本実施例2において実験に用いた透湿膜は、従来製品である膜厚60μmのセルロース膜、膜厚65μmの半紙、この半紙にゼラチンを含有させた膜厚85μmのゼラチン膜、前記半紙に寒天を含有させた膜厚90μmの寒天膜、前記ゼラチン膜に吸湿材である塩化リチウムを担持させた膜厚85μmの塩担持ゼラチン膜および前記寒天膜に塩化リチウムを担持させた膜厚90μmの塩担持寒天膜である。本実施例2において使用した半紙は、株式会社呉竹の半紙、「呉竹ぼくてき半紙(品番:LA17-2)」である。
本実施例2において実験に用いた透湿膜は、従来製品である膜厚60μmのセルロース膜、膜厚65μmの半紙、この半紙にゼラチンを含有させた膜厚85μmのゼラチン膜、前記半紙に寒天を含有させた膜厚90μmの寒天膜、前記ゼラチン膜に吸湿材である塩化リチウムを担持させた膜厚85μmの塩担持ゼラチン膜および前記寒天膜に塩化リチウムを担持させた膜厚90μmの塩担持寒天膜である。本実施例2において使用した半紙は、株式会社呉竹の半紙、「呉竹ぼくてき半紙(品番:LA17-2)」である。
ゼラチンおよび寒天は、濃度1重量%のゼラチン水溶液または寒天水溶液を基材に含浸させ、それを室温にて乾燥させることにより形成した。本実施例2において使用したゼラチンは、野洲化学工業株式会社の板ゼラチン、「ゼラチンリーフ300」である。また、塩担持ゼラチンおよび塩担持寒天は、前記ゼラチン膜および前記寒天膜にボトルスプレーで約5重量%の塩化リチウム水溶液を表面に吹きかけて乾燥させることにより担持させた。
(2)透湿性について
各透湿膜の透湿度を計測し、それぞれの透湿性について検討を行った。透湿度Pの計測は、実施例1(1)と同様、JIS L 1099 A-1に準拠して行った。計測時の温度は40℃、相対湿度は90%である。
各透湿膜の透湿度を計測し、それぞれの透湿性について検討を行った。透湿度Pの計測は、実施例1(1)と同様、JIS L 1099 A-1に準拠して行った。計測時の温度は40℃、相対湿度は90%である。
計測した結果を図15に示す。従来製品であるセルロース膜の透湿度に対し、ゼラチンや寒天を含有させたゼラチン膜および寒天膜は同等の透湿度であることが示された。また、塩化リチウムを担持させた塩担持ゼラチン膜および塩化リチウムを担持させた塩担持寒天膜では、セルロース膜より高い透湿度を示し、約10~20%透湿性能が向上した。
(3)アンモニアの臭気移行性について
実施例1(3)と同様、チャンバー内の水蒸気圧を変化させ、各透湿膜のアンモニアに対する臭気移行率ηを計測し、アンモニアの臭気移行性の検討を行った。
実施例1(3)と同様、チャンバー内の水蒸気圧を変化させ、各透湿膜のアンモニアに対する臭気移行率ηを計測し、アンモニアの臭気移行性の検討を行った。
チャンバー内の各水蒸気圧に対する臭気移行率ηを計測した結果を図16に示す。従来製品であるセルロース膜は、実施例1(3)でも説明したとおり、約6500Paの高い水蒸気圧の条件下において、臭気移行率ηが0.9程度まで高くなりアンモニアの臭気移行を遮断性能が著しく低下した。
これに対して、ゼラチン膜および寒天膜の臭気移行率ηは、セルロース膜の臭気移行率ηと同様、水蒸気圧が高くなるに従って値が大きくなるため、臭気移行を遮断性能は低下していく。しかし、臭気移行の遮断性能の低下は、セルロース膜に比べて常に緩やかである。例えば、約6500Paの高い水蒸気圧の条件下の場合、ゼラチン膜の臭気移行率ηは0.49、寒天膜の臭気移行率ηは0.67といずれもセルロース膜の臭気移行率ηの0.9に比べて低い値となった。また、ゼラチン膜は夏季外気条件よりも高い条件である水蒸気圧約4400paの高温高湿条件下であっても約0.1を示し、アンモニアの臭気移行の遮断性能が極めて高いことがわかった。なお、塩化リチウムを担持させた塩担持ゼラチン膜では、担持させていないゼラチン膜よりもアンモニアの遮断性能が低下することが示された。
図17および図18は、水蒸気圧が約6500Paの条件下における、セルロース膜およびゼラチン膜を透湿カップの蓋に用いた場合における透湿カップ内のアンモニア濃度変化を示すものである。
図17に示すように、セルロース膜の場合、透湿カップ内のアンモニア濃度は急激に上昇し、2分程度で臭気移行率ηは約0.9の値に至った。一方、図18に示すように、ゼラチン膜の場合、透湿カップ内のアンモニア濃度の上昇は緩やかであり、2分程度の短時間においては、アンモニアは殆ど移行されなかった。
よって、ゼラチン膜は、従来製品であるセルロース膜に比べて、アンモニア等の水溶性臭気物質の臭気移行を抑制する性能が高いことがわかった。
(4)ゼラチン膜および寒天膜を作製する際の水溶液濃度と透湿性について
ゼラチン膜および寒天膜を作製する際の水溶液濃度と透湿性との関係について検討を行った。基材には透湿度103g/m2・hのトレーシングペーパーと、透湿度53g/m2・hのトレーシングペーパーとを用いた。ゼラチン膜は、各トレーシングペーパーに濃度0.5重量%、1重量%、5重量%、および10重量%のゼラチン水溶液を浸透させて形成した。また、寒天膜は、前記各トレーシングペーパーに濃度0.5重量%、1重量%、および5重量%の寒天水溶液を浸透させて形成した。
ゼラチン膜および寒天膜を作製する際の水溶液濃度と透湿性との関係について検討を行った。基材には透湿度103g/m2・hのトレーシングペーパーと、透湿度53g/m2・hのトレーシングペーパーとを用いた。ゼラチン膜は、各トレーシングペーパーに濃度0.5重量%、1重量%、5重量%、および10重量%のゼラチン水溶液を浸透させて形成した。また、寒天膜は、前記各トレーシングペーパーに濃度0.5重量%、1重量%、および5重量%の寒天水溶液を浸透させて形成した。
各ゼラチン膜および各寒天膜の透湿度を計測し、それぞれの透湿性について検討を行った。透湿度Pの計測は、実施例1(1)と同様、JIS L 1099 A-1に準拠して行った。計測時の温度は40℃、相対湿度は90%である。計測した結果を下記の表4に示す。
[表4]
[表4]
表4に示すように、基材であるトレーシングペーパーと、ゼラチン膜および寒天膜との透湿性はほぼ同程度の値を示した。このことからゼラチン膜および寒天膜は基材の透湿性能に依存することが確認できた。
よって、ゼラチン膜および寒天膜を作製する際の水溶液濃度は、透湿度の低下や原料コストの高騰を考慮して、必要以上に高くする必要がないと考えられる。よって、水溶液濃度は、約1~5重量%が好ましいと考えられる。
(5)基材の透湿度について
つぎに、基材の透湿度とゼラチン膜および寒天膜の透湿度との関係について検討を行った。表4に示すように、基材となるトレーシングペーパーの透湿度が高い場合はゼラチン膜および寒天膜の透湿度も高く、トレーシングペーパーの透湿度が低い場合はゼラチン膜および寒天膜の透湿度も低い値を示した。同様に、図19に示すように、基材に透湿度の高い半紙を用いた場合は、ゼラチン膜および寒天膜の透湿度も同程度に高い値を示した。
つぎに、基材の透湿度とゼラチン膜および寒天膜の透湿度との関係について検討を行った。表4に示すように、基材となるトレーシングペーパーの透湿度が高い場合はゼラチン膜および寒天膜の透湿度も高く、トレーシングペーパーの透湿度が低い場合はゼラチン膜および寒天膜の透湿度も低い値を示した。同様に、図19に示すように、基材に透湿度の高い半紙を用いた場合は、ゼラチン膜および寒天膜の透湿度も同程度に高い値を示した。
よって、ゼラチン膜および寒天膜の透湿度は、基材の透湿度に依存し、セルロース膜に匹敵する高い透湿性能を得ることができることがわかった。
『添加材等の検討』
実施例2(2)に示すように、塩化リチウムを担持させた塩担持ゼラチン膜では、担時させていないゼラチン膜よりも透湿性能は高かったものの、同(3)に示すように、アンモニアの臭気移行の遮断性能は低下するという問題があった。また、実施例2において基材となる紙にゼラチンを含有させるゼラチン膜の場合、ゼラチン水溶液の粘度が低いため基材に必要量を均一に含有させるのが難しいという問題があった。本実施例3では、これらの問題を解決するため、添加材等の検討を行った。
実施例2(2)に示すように、塩化リチウムを担持させた塩担持ゼラチン膜では、担時させていないゼラチン膜よりも透湿性能は高かったものの、同(3)に示すように、アンモニアの臭気移行の遮断性能は低下するという問題があった。また、実施例2において基材となる紙にゼラチンを含有させるゼラチン膜の場合、ゼラチン水溶液の粘度が低いため基材に必要量を均一に含有させるのが難しいという問題があった。本実施例3では、これらの問題を解決するため、添加材等の検討を行った。
(1)増粘材について
まず、ゼラチン水溶液を基材に均一の厚さで含有させるため、増粘材の検討を行った。その結果、増粘材としてメチルセルロースを選択し、さらに、ゼラチンの含有量および添加するメチルセルロースの添加量について、透湿性および通気の遮断性能を評価基準とする実験を行った。本実施例3で使用したゼラチンは実施例2で使用したものと同一である。また、本実施例3で使用した基材は、日本製紙株式会社の上質紙(非塗工紙)、坪量52.3g/m2、紙厚66μmの「しおらい」である。なお、実測値において、基材の紙厚は約62μmであった。
まず、ゼラチン水溶液を基材に均一の厚さで含有させるため、増粘材の検討を行った。その結果、増粘材としてメチルセルロースを選択し、さらに、ゼラチンの含有量および添加するメチルセルロースの添加量について、透湿性および通気の遮断性能を評価基準とする実験を行った。本実施例3で使用したゼラチンは実施例2で使用したものと同一である。また、本実施例3で使用した基材は、日本製紙株式会社の上質紙(非塗工紙)、坪量52.3g/m2、紙厚66μmの「しおらい」である。なお、実測値において、基材の紙厚は約62μmであった。
本実施例3では、ゼラチン水溶液にメチルセルロースを添加させ、それをロールコーターで基材の片面に塗工し、乾燥させることでゼラチン膜を形成した。
また、各ゼラチン膜におけるゼラチンの担持量は、実施例2(4)の実験結果に基づき、下記の表5に示すように、3g/m2、4g/m2、5g/m2とした。また、メチルセルロースの担持量は、それぞれ0.3g/m2、0.5g/m2、1g/m2であり、ゼラチン担持量の約0.06~0.33倍の重量比率とした。
[表5]
[表5]
全熱交換素子が有していなければならない最も重要な性能の一つとして、CO2の移行が少ないことが要求される。そこで、まずCO2移行率の測定を行った。CO2移行率の測定は、図20に示すように、容器1と、これに連通する容器2と、これら容器1および容器2を収容した恒温恒湿庫を有する装置で行った。また、容器1にはCO2ボンベが接続されており、CO2を容器1内に供給できるようになっている。また、容器1と容器2とはゼラチン膜を介して連通されており、容器1に供給されたCO2が当該ゼラチン膜を介して容器2に移行できるようになっている。容器2は一部が開放されており、容器2に移行されたCO2が恒温恒湿庫内に充満するようになっている。
さらに、容器1内および恒温恒湿庫内には、それぞれCO2センサーおよび温度・湿度センサーが配置されており、それぞれデータロガーに接続され、容器1内および恒温恒湿庫内のCO2濃度、容器1内および恒温恒湿庫内の温度および湿度の時間変化が記録されるようになっている。
本実施例3では、下記式3を用いてCO2移行率を計算した。
[式3]
CO2移行率=C60min-COA/(C0-COA)
ここで、C0は容器1内の初期CO2濃度(ppm)、C60minは容器1内の60分経過後のCO2濃度(ppm)、COAは恒温恒湿庫内のCO2濃度(ppm)である。
[式3]
CO2移行率=C60min-COA/(C0-COA)
ここで、C0は容器1内の初期CO2濃度(ppm)、C60minは容器1内の60分経過後のCO2濃度(ppm)、COAは恒温恒湿庫内のCO2濃度(ppm)である。
表5に示すように、基材である紙のCO2移行率は、99%であり通気を遮断する性能は有していない。一方、メチルセルロースを担持させた各ゼラチン膜は、CO2移行率が3~11%であり、従来製品のセルロース膜(ビスコース塗工紙)のCO2移行率が15%であったことと比較しても、高い通気を遮断する性能が得られることがわかった。これは、ゼラチンの有する通気を遮断する性能に加えて、ゼラチン水溶液にメチルセルロースを添加したことで粘度が増加し、液だれが防止されるため、ゼラチンを均一の厚さに担持させることにより、通気を遮断する性能が向上したものと考えられる。
つぎに、透湿度の測定は、実施例1(1)および実施例2(2)と同様、JIS L 1099 A-1に準拠して行った。実験時の温度は25℃であり、約90%RHの高湿度条件下とした。
透湿度の測定の結果、各基材である紙の透湿度が88g/(m2・h)であるのに対して、65~73g/(m2・h)と約2割低下した。また、セルロース膜の透湿度である104g/(m2・h)に対しては約3割低下した。
以上より、ゼラチン水溶液にメチルセルロースを適量添加することで、ゼラチン水溶液の粘度は増加し、基材への塗工時の液だれを防止することで、通気の遮断性能は向上することがわかった。一方、ゼラチン水溶液にメチルセルロースを添加すると、透湿性能はやや低下することがわかった。
(2)吸湿材について
本実施例3(1)に示すように、ゼラチン水溶液にメチルセルロースを適量添加すると、透湿性能がやや低下することから、透湿性能を向上させる吸湿材を担持させることを試みた。本実施例3では、ゼラチン水溶液にメチルセルロースとともに、吸湿材である塩化リチウムを5重量%添加して、基材の紙に当該水溶液を塗工して塩化リチウムを担持させた塩担持ゼラチン膜を形成した。
本実施例3(1)に示すように、ゼラチン水溶液にメチルセルロースを適量添加すると、透湿性能がやや低下することから、透湿性能を向上させる吸湿材を担持させることを試みた。本実施例3では、ゼラチン水溶液にメチルセルロースとともに、吸湿材である塩化リチウムを5重量%添加して、基材の紙に当該水溶液を塗工して塩化リチウムを担持させた塩担持ゼラチン膜を形成した。
そして、塩担持ゼラチン膜の透湿度を計測したところ、透湿度は100g/(m2・h)となり、セルロース膜の104g/(m2・h)とほぼ同等の値を示した。よって、ゼラチン水溶液にメチルセルロースを添加した場合であっても塩化リチウムを担持させることで透湿性は向上することがわかった。
しかし、当該塩担持ゼラチン膜のCO2移行率を計測したところ、セルローズ膜の12%に比べて、CO2移行率は88%であった。つまり、塩化リチウムを担持させることにより、通気の遮断性能は著しく低下することがわかった。
また、実施例2(3)に示すように、塩化リチウムを添加すると、アンモニアの臭気移行を抑制する効果が低下することがわかっている。
これら通気の遮断性能の低下およびアンモニアの臭気移行を遮断する性能の低下した理由は、塩化リチウムが、ゼラチンにおける高分子の網目構造の一部を破壊し、基材の隙間に含有されているゼラチンにミクロな欠損が生じたためと推察される。
(3)架橋材について
そこで、吸湿材によるゼラチンの高分子構造の破壊という問題を解決するため、ゼラチンの高分子構造を安定化させる架橋材の検討を行い、水性ポリマーの改質剤として用いられるビスビニルスルホン化合物が有効であることを見出した。
そこで、吸湿材によるゼラチンの高分子構造の破壊という問題を解決するため、ゼラチンの高分子構造を安定化させる架橋材の検討を行い、水性ポリマーの改質剤として用いられるビスビニルスルホン化合物が有効であることを見出した。
また、塩化リチウムは、ゼラチン水溶液を基材に塗工後、乾燥させる過程において高分子構造の一部を破壊すると考えた。そこで、製造方法においても高分子構造の破壊させない工程を以下のように考えた。
1)まず、3~5%のゼラチン水溶液に架橋材として前記ゼラチンの乾燥重量に対して数%のビスビニルスルホン化合物と増粘材として前記ゼラチン水溶液に対して数%のメチルセルロースを添加する。
2)つぎに、基材の表面にロールコーターまたはスプレーにて均一に塗工して、絶乾時で約2~6g/m2で担持させる。
3)さらに後工程として、塩化リチウム水溶液にディッピングする、または塩化リチウム水溶液をスプレーして乾燥させる。このとき、前記塩化リチウムの担持量は、絶乾時で約5~10g/m2担持させる。
1)まず、3~5%のゼラチン水溶液に架橋材として前記ゼラチンの乾燥重量に対して数%のビスビニルスルホン化合物と増粘材として前記ゼラチン水溶液に対して数%のメチルセルロースを添加する。
2)つぎに、基材の表面にロールコーターまたはスプレーにて均一に塗工して、絶乾時で約2~6g/m2で担持させる。
3)さらに後工程として、塩化リチウム水溶液にディッピングする、または塩化リチウム水溶液をスプレーして乾燥させる。このとき、前記塩化リチウムの担持量は、絶乾時で約5~10g/m2担持させる。
(4)ビスビニルスルホン化合物の添加量について
つぎに、ビスビニルスルホン化合物の添加量の好適値を検討した。本実施例3で使用したビスビニルスルホン化合物は、上記の構造式1で示した、N,N'-ビス(ビニルスルホニルアセチル)トリメチレンジアミンである。本実施例3では、下記の表6に示すように、ゼラチンを約3~5重量%含有させた水溶液に、メチルセルロースを0.5重量%添加したものに、前記ビスビニルスルホン化合物を5重量%添加させたもの(No.2-1)、3重量%添加させたもの(No.2-2)、0.5重量%添加させたもの(No.2-3)および0.1重量%添加させたもの(No.2-4)を基材の表面に塗工して乾燥させ、塩化リチウム(LiCl)を5g/m2担持させた。
[表6]
つぎに、ビスビニルスルホン化合物の添加量の好適値を検討した。本実施例3で使用したビスビニルスルホン化合物は、上記の構造式1で示した、N,N'-ビス(ビニルスルホニルアセチル)トリメチレンジアミンである。本実施例3では、下記の表6に示すように、ゼラチンを約3~5重量%含有させた水溶液に、メチルセルロースを0.5重量%添加したものに、前記ビスビニルスルホン化合物を5重量%添加させたもの(No.2-1)、3重量%添加させたもの(No.2-2)、0.5重量%添加させたもの(No.2-3)および0.1重量%添加させたもの(No.2-4)を基材の表面に塗工して乾燥させ、塩化リチウム(LiCl)を5g/m2担持させた。
[表6]
各セルロース膜について透湿度およびCO2移行率を計測した。その結果、表6に示すように、ビスビニルスルホン化合物の添加量が少ないほど透湿度は大きくなるが、CO2移行率は大きくなる(通気の遮断性能は低下する)ことがわかった。
つまり、架橋材であるビスビニルスルホン化合物の添加量がゼラチンの乾燥重量に対して0.1重量%の場合、表7に示すように、透湿度は、100g/(m2・h)でありセルロース膜の透湿度104g/(m2・h)と比べて同等の性能を示した。一方、CO2移行率は、82%でありセルロース膜の15%に比べて著しく低下し、全熱交換素子用シートとしては十分な性能は得られないと考えられる。
また、ビスビニルスルホン化合物の添加量がゼラチンの乾燥重量に対して0.5重量%の場合、透湿度は、85g/(m2・h)でありセルロース膜の透湿度104g/(m2・h)と比べてやや劣るものの全熱交換素子用シートとしては許容可能な性能であった。また、CO2移行率は、12%でありセルロース膜の15%に比べて同等以上の性能が得られた。
さらに、ビスビニルスルホン化合物の添加量がゼラチンの乾燥重量に対して3重量%の場合、透湿度は78g/(m2・h)であり、セルロース膜の透湿度104g/(m2・h)と比べて劣るものの全熱交換素子用シートとしては許容可能な性能であった。また、CO2移行率は3%であり、セルロース膜の15%に比べて極めて優れた性能が得られた。
さらにまた、ビスビニルスルホン化合物の添加量がゼラチンの乾燥重量に対して5重量%の場合、透湿度は67g/(m2・h)であり、セルロース膜の透湿度104g/(m2・h)と比べて劣るものの全熱交換素子用シートとしては許容可能な性能であった。また、CO2移行率は1%であり、セルロース膜の15%に比べて極めて優れた性能が得られた。
以上より、ビスビニルスルホン化合物をゼラチンの乾燥重量に対して約0.5~5重量%添加することにより、全熱交換素子用シートとしてCO2移行率に対し十分な性能を得ることがわかった。
塩化リチウムの担持量を8~10g/m2まで増やした場合の透湿度、CO2移行率およびアンモニア(NH3)移行率について、表8中の他の透湿膜とともに、下記の表9に示す。
[表9]
◎:ビスコース塗工紙と比較して110%~以上の性能
○:ビスコース塗工紙と比較して80~100%の性能
△:ビスコース塗工紙と比較して60~80%の性能
×:ビスコース塗工紙と比較して0~60%の性能
[表9]
◎:ビスコース塗工紙と比較して110%~以上の性能
○:ビスコース塗工紙と比較して80~100%の性能
△:ビスコース塗工紙と比較して60~80%の性能
×:ビスコース塗工紙と比較して0~60%の性能
表9に示すように、紙基材では、透湿度が88g/(m2・h)であり全熱交換素子用シートとしての性能としては十分であった。一方、CO2移行率は99%であり通気を遮断する性能は不十分であった。
ゼラチンにメチルセルロースのみを添加した場合では、透湿度が67g/(m2・h)であり全熱交換素子用シートとしての性能としては許容範囲であった。また、CO2移行率は2%であり、通気を遮断する性能は非常に優れていた。さらに、アンモニア移行率は表9では0となっているが計測器では計測不可となる値であって、アンモニアの臭気移行をほぼ完璧に遮断することができた。
ゼラチンにメチルセルロースを添加し、さらに塩化リチウムを担持させた場合は、透湿度は100g/(m2・h)であり、ビスコース塗工紙と同等の性能が得られた。一方、CO2移行率は88%まで低下し、通気を遮断する性能は不十分であった。
ゼラチンにメチルセルロースとビスビニルスルホン化合物を添加し、さらに塩化リチウムを担持させた場合は、透湿度は108g/(m2・h)であり、ビスコース塗工紙と同等以上の性能が得られた。また、CO2移行率は9%であり、ビスコース塗工紙よりも通気を遮断する性能が優れていた。さらに、アンモニアの臭気移行については、ほぼ完璧に遮断することができた。
(5)まとめ
以上のように、基材にゼラチンを含有させてなる全熱交換素子用シートにおいて、添加材を添加することにより、通気の遮断性能、透湿性能およびアンモニアなどの水溶性臭気物質の臭気移行を遮断する性能を改善させられることがわかった。
以上のように、基材にゼラチンを含有させてなる全熱交換素子用シートにおいて、添加材を添加することにより、通気の遮断性能、透湿性能およびアンモニアなどの水溶性臭気物質の臭気移行を遮断する性能を改善させられることがわかった。
例えば、メチルセルロースを添加すると、透湿性能は若干低下するものの、基材に対して均一にゼラチン水溶液を塗工することができるようになり、さらに通気の遮断性能およびアンモニアなどの水溶性臭気物質の臭気移行を遮断する性能は、従来製品のセルロース膜(ビスコース塗工紙)よりも高いことがわかった。また、メチルセルロースは、ゼラチンを約3~5重量%含有させた水溶液に対して約0.5重量%以上を添加することが好ましく、透湿性能の低下を考慮すると約0.5~1重量%添加するのがより好ましいことがわかった。
また、ビスビニルスルホン化合物を添加するとともに、乾燥後に塩化リチウムを表面に担持させると、当該塩化リチウムの吸湿性によって透湿性能が向上し、かつゼラチンの高分子構造はビスビニルスルホン化合物によって安定化するため、通気の遮断性能を維持または向上させられることがわかった。また、製造工程において、塩化リチウムを担持させるタイミングとしては、ビスビニルスルホン化合物を添加させたゼラチン水溶液を基材に塗工し、乾燥させた後に担持させればよいことがわかった。さらに、ゼラチンを約3~5重量%含有させた水溶液に対し、メチルセルロースを約0.5~1重量%とともに前記ゼラチンの乾燥重量に対して約0.5~5重量%のビスビニルスルホン化合物を添加して乾燥させた後、塩化リチウムの水溶液をディッピングまたはスプレーした後に乾燥させて前記塩化リチウムを約5~10g/m2で担持させることが好ましいことがわかった。
『全熱交換素子用シートの動的性能の検討』
実施例1~実施例3は、空気やアンモニア等のガスが拡散によって移動する、いわゆる静的な条件の下で実験を行った。しかし、実施例2および実施例3において検討したゼラチンまたは寒天を含有させてなる全熱交換素子用シートを、全熱交換器の全熱交換素子として適用する場合を考慮すると、汚染物質を含む空気を通風させる条件下でアンモニア等の水溶性臭気物質の臭気移行性に関する性能を調べる必要がある。
実施例1~実施例3は、空気やアンモニア等のガスが拡散によって移動する、いわゆる静的な条件の下で実験を行った。しかし、実施例2および実施例3において検討したゼラチンまたは寒天を含有させてなる全熱交換素子用シートを、全熱交換器の全熱交換素子として適用する場合を考慮すると、汚染物質を含む空気を通風させる条件下でアンモニア等の水溶性臭気物質の臭気移行性に関する性能を調べる必要がある。
そこで、本実施例4では、アンモニアを連続的に供給できる実験装置を用いて臭気移行性の検討を行った。実験装置は、図21に示すように、恒温恒湿庫内にアクリル容器を配置して構成した。このアクリル容器は、透湿膜により2つの空間に分割されている。一方の空間には、アンモニアガスを連続発生させるためのパーミエーターと、アンモニアを吸着する吸着剤とが接続されている。他方の空間には、流量ポンプが接続されており、一定の流量で空気を通風させるようになっている。また、分割された各空間にはそれぞれアンモニアセンサーが配置されており、データロガーによって各空間におけるアンモニア濃度の時間変化が記録できるようになっている。
また、透湿膜には、従来製品であるセルロース膜(ビスコース塗工紙)と、実施例3において作成した本発明に係るゼラチンにメチルセルロースとビスビニルスルホン化合物を添加し、さらに塩化リチウムを担持させた全熱交換素子用シートとを使用した。
実験条件は、以下の通りである。
1)通風された空気の温度と相対湿度:25℃、90%RH
2)通風された空気中のアンモニア濃度:25ppm
3)通風された空気流量:100 mL/min (6 L/h)
1)通風された空気の温度と相対湿度:25℃、90%RH
2)通風された空気中のアンモニア濃度:25ppm
3)通風された空気流量:100 mL/min (6 L/h)
計測結果を図22および図23に示す。図22に示すように、ビスコース塗工紙はアンモニアガスを流し始めてから20分後付近からアンモニア濃度が上昇していることがわかる。これまでの実施例2等の結果と同様に、ビスコース塗工紙のアンモニアの臭気移行を遮断する性能は低いことが確認された。
これに対し、図23に示すように、本発明に係る全熱交換素子用シートは、測定開始から2時間後においてもアンモニアガス濃度の上昇が全く見られなかった。したがって、本発明に係る全熱交換素子用シートは、アンモニアの臭気移行を遮断する性能が高いことがわかった。
以上より、本発明に係る全熱交換素子用シートは、全熱交換素子として使用される実用的な通風環境下においてもアンモニアの臭気移行を遮断する性能が高いことがわかった。
なお、本発明に係る全熱交換素子用シートおよび全熱交換素子用シート製造方法は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、添加材として、抗菌剤または防カビ剤を含有させ、菌の繁殖やカビの発生を抑制してもよい。また、脱臭剤または臭気物質分解剤を含有させ、脱臭性を向上させてもよい。さらに、難燃材または不燃材を含有させ、難燃性または不燃性を向上させてもよい。
1 全熱交換素子用シート
2 基材
3 ゼラチン
4 寒天
5 増粘材
6 架橋材
7 吸湿材
8 全熱交換素子
81 仕切り板
82 間隔板
83 換気層
84 給気層
2 基材
3 ゼラチン
4 寒天
5 増粘材
6 架橋材
7 吸湿材
8 全熱交換素子
81 仕切り板
82 間隔板
83 換気層
84 給気層
Claims (6)
- 水溶性臭気物質の臭気移行を抑制するゼラチンと、このゼラチンに添加されてその高分子構造を安定化させるビスビニルスルホン化合物とが、透湿性を有する膜状の基材に含有されているとともに、吸湿性を向上させる塩化リチウムが担持されている、全熱交換素子用シート。
- 前記ビスビニルスルホン化合物が前記ゼラチンの乾燥重量に対して0.5~5重量%で含有されているとともに、前記塩化リチウムが5~10g/m2で担持されている、請求項1に記載の全熱交換素子用シート。
- 増粘材としてのメチルセルロースが前記ゼラチンに対して0.1~0.3倍の重量比率で含有されている、請求項1または請求項2に記載の全熱交換素子用シート。
- ゼラチンの水溶液に当該水溶液の粘度を高める増粘材を添加し、前記水溶液を透湿性を有する膜状の基材に含有させて乾燥させる、全熱交換素子用シート製造方法。
- 前記ゼラチンの水溶液に当該水溶液の粘度を高める増粘材と前記ゼラチンの高分子構造を安定化させる架橋材とを添加し、前記水溶液を前記基材に含有させて乾燥させた後、吸湿性を向上させる吸湿材の水溶液をディッピングまたはスプレー後に乾燥させて前記吸湿材を担持させる、請求項4に記載の全熱交換素子用シート製造方法。
- 前記ゼラチンを3~5重量%含有させた水溶液に、0.5~1重量%のメチルセルロースと前記ゼラチンの乾燥重量に対して0.5~5重量%のビスビニルスルホン化合物とを添加し、前記水溶液を前記基材に含有させて乾燥させた後、塩化リチウムの水溶液をディッピングまたはスプレー後に乾燥させて前記塩化リチウムを5~10g/m2で担持させる、請求項4または請求項5に記載の全熱交換素子用シート製造方法。
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