JP2001280485A - 車両用自動変速機のクリープ力制御装置 - Google Patents
車両用自動変速機のクリープ力制御装置Info
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Abstract
御装置に関し、解除レスポンスの向上を図るとともに、
シフトショックを低減できるようにする。 【解決手段】 自動変速機のシフトレンジが走行レンジ
であるときに所定の条件が成立すると、走行時に係合さ
れる摩擦要素の係合力を低下してクリープ力が低下し、
その後、フィードバック制御手段62により摩擦要素の
係合力がフィードバック制御されて、自動変速機がニュ
ートラル状態に近い状態に保持される。そして、判定手
段60によりクリープ力制御の解除条件が成立したと判
定されると、設定手段61において、上記解除条件の成
立時における自動変速機の入力回転速度に関連したパラ
メータ値に基づいて解除条件成立直後の摩擦要素に対す
る係合力指令値Dfが設定される。そして、このように
して解除条件成立直後の摩擦要素の係合力を制御するこ
とにより、クリープ力制御解除時の応答性が向上すると
ともに、このときのショックを低減することができる。
Description
レンジで停車した場合に、トルクコンバータによるクリ
ープ力を低減するようにした、車両用自動変速機のクリ
ープ力制御装置に関する。
トルクコンバータ式の自動変速機において、シフトレン
ジが走行レンジ(以下、Dレンジという)のままで停車
すると、低速段(例えば、第1速段)を達成するために
係合されていた摩擦要素(フォワードクラッチ)をスリ
ップさせて、ニュートラル状態に近づけるように制御す
る技術が提案されている。
トラル制御又はクリープ力制御と呼ばれるものであり、
このようなアイドルニュートラル制御(以下、単にニュ
ートラル制御という)を停車中に実行することで、トル
クコンバータを介して伝達されるエンジントルクを減少
させて、燃料消費量及びアイドル振動の低減を図ること
ができる。
えば、車速0km/h,フットブレーキ操作中,スロッ
トル開度0%及び第1速段達成から所定時間経過してい
ること、等が設定されており、上記全ての条件が成立す
ると、コントローラからの指令に基づきニュートラル制
御が開始される。また、フットブレーキ操作の解除,ア
クセルペダルの操作,車速が所定値以上となった、等の
ニュートラル制御解除条件がいずれか1つでも成立する
と、ニュートラル制御が解除される。
ニュートラル制御解除条件成立時には、シフトショック
の発生を極力回避しながら、速やかにニュートラル制御
を解除して発進時のレスポンスを高めたいという要望が
ある。本発明は、このような要望に応えるべく創案され
たもので、解除レスポンスの向上を図るとともに、シフ
トショックを低減できるようにした、車両用自動変速機
のクリープ力制御装置を提供することを目的とする。
車両用自動変速機のクリープ力制御装置では、自動変速
機のシフトレンジが走行レンジであるときに所定の条件
が成立すると、走行時に係合される摩擦要素の係合力を
低下してクリープ力が低下し、その後、フィードバック
制御手段により摩擦要素の係合力がフィードバック制御
されて、自動変速機がニュートラル状態に近い状態に保
持される。
解除条件が成立したと判定されると、設定手段におい
て、上記解除条件の成立時における自動変速機の入力回
転速度に関連したパラメータ値に基づいて解除条件成立
直後の摩擦要素に対する係合力指令値が設定される。そ
して、このようにして解除条件成立直後の摩擦要素の係
合力を制御することにより、クリープ力制御解除時の応
答性が向上するとともに、このときのショックを低減す
ることができる。
変速機のクリープ力制御装置では、設定手段に設けられ
た学習手段により、エンジン回転速度に関連したパラメ
ータ値毎に、又は油温に関連したパラメータ値毎に、係
合力指令値が学習補正される。これにより、常に最適な
係合力指令値が設定される。
施形態にかかる車両用自動変速機のクリープ力制御装置
について説明すると、図1はその全体構成を示す模式図
である。図1に示すように、自動変速機1はエンジン2
と結合された状態で図示しない車両に搭載されている。
エンジン2の出力軸2aはトルクコンバータ(流体継
手)3を介して変速機構4に連結され、その変速機構4
は図示しないディファレンシャルギアを介して車両の駆
動輪と接続されている。
コンバータ3のポンプインペラ3aに接続されており、
この出力軸2aの回転に伴いポンプインペラ3aが回転
すると、ATF(オートマチック・トランスミッション
・フルード)を介してタービンランナ3bが回転駆動さ
れ、その回転が変速機構4に伝達されるようになってい
る。
組の遊星歯車機構及びそれらの構成要素(サンギア,ピ
ニオンギア及びリングギア)の動作を許容又は規制する
クラッチやブレーキ類から構成されており、これらのク
ラッチやブレーキの係合状態を油圧源(オイルポンプ)
から供給されるATFにより適宜切り換えて、所望の変
速段を達成するようになっている。なお、この変速機構
4の構造については、一般に広く知られたものであるの
で、フォワードクラッチ7以外の構成については図示を
省略する。
レンジがNレンジ(非走行レンジ)からDレンジ(走行
レンジ)に切換えられたとき、変速機構4は発進に備え
るために第1速段に切り換えられるが、このときには、
Nレンジでの各種の摩擦係合要素の係合状態に対して、
さらにフォワードクラッチ7(摩擦要素)を係合するこ
とで第1速段が実現されるようになっている。
御ユニット、以下、単にECUという)11は、図示し
ない入出力装置,制御プログラムや制御マップ等の記憶
に供される記憶装置(ROM,RAM,BURAM
等),中央処理装置(CPU)及びタイマカウンタ等を
備えており、後述する各種センサからの情報に基づいて
各種の制御信号が設定されて、自動変速機1の総合的な
制御が行なわれるようになっている。
転速度Neを検出するエンジン回転速度センサ12、タ
ービンランナ3bの回転速度Nt(即ち、フォワードク
ラッチ7の入力回転速度)を検出するタービン回転速度
センサ13、車両の走行速度(車速)Vsを検出する車
速センサ14、ブレーキオイルの圧力に基づいてオンオ
フが切り換わるブレーキ圧スイッチ20、エンジン2の
スロットル開度θTH(=アクセル操作量)を検出するス
ロットルセンサ16、自動変速機用作動油(以下、AT
Fという)の油温TOIL を検出する油温センサ17、及
び運転者にて選択されたシフトポジション(例えば、N
レンジ,Dレンジ,Pレンジ及びRレンジ等)を検出す
るためのシフトポジションセンサ18等が接続されてい
る。なお、ブレーキ圧スイッチ20に代えて、ブレーキ
ペダルを踏んだときにオンとなるブレーキスイッチを設
けてもよい。また、スロットル開度を電気的に制御でき
るようなドライブバイワイヤシステムを適用する場合に
は、アクセルペダルの開度(踏み込み量)を検出するア
クセルポジションセンサを追加してもよい。
サ16で検出されたスロットル開度θTH及び車速センサ
14で検出された車速Vsを用いて図示しない変速マッ
プから目標変速段を設定し、この目標変速段を達成すべ
く変速機構4の係合要素(クラッチ及びブレーキ等)の
係合状態を切り換えて変速制御を実行するようになって
いる。
イルポンプからの作動油を切換制御して変速機構4のク
ラッチやブレーキの係合要素を作動させるための多数の
ソレノイドバルブが接続されている。なお、図1中で
は、このような多数のソレノイドバルブのうち、フォワ
ードクラッチ7の係合状態を切り換えるソレノイドバル
ブ(以下、単にソレノイドという)19及び上記ソレノ
イド19により調整される圧力調整弁21のみを図示し
ており、他のソレノイドバルブや圧力調整弁については
図示を省略する。
動がデューティ制御されるようになっており、このソレ
ノイド19の作動に応じて圧力調整弁21へのパイロッ
ト圧(制御圧)の供給状態が調整されるようになってい
る。具体的には、ソレノイド19により圧力調整弁21
へパイロット圧が供給されると、圧力調整弁21のスプ
ール21aが図中左側に移動してフォワードクラッチ7
とドレーン油路とが直通状態となり、フォワードクラッ
チ7から油圧が排出されてフォワードクラッチ7の係合
力が低下する。また、これとは逆に、ソレノイド19に
よりパイロット圧が排出されると、フォワードクラッチ
7とライン圧油路とが直通状態となり、フォワードクラ
ッチ7へ油圧が供給されて係合力が大きくなる。このよ
うに、ソレノイド19のデューティ率を制御すること
で、フォワードクラッチ7の係合力を調整できるのであ
る。なお、本実施形態では、ソレノイド19のデューテ
ィ率が増加するほど、フォワードクラッチ7の係合力が
大きくなるように設定されている。
御)について簡単に説明すると、このニュートラル制御
は、Dレンジで走行中の車両が停止したときにフォワー
ドクラッチ7の係合力を低下させてニュートラル状態に
近い状態に制御するものであり、摩擦係合要素としての
フォワードクラッチ7をスリップさせることでニュート
ラル制御(クリープ力制御)が実行されるようになって
いる。
の開始条件として以下の(1)〜(3)の条件が設定さ
れている。 (1)ブレーキ圧スイッチ20がオン(ブレーキ圧が所
定値以上)。 (2)スロットルセンサ16によりアクセル非操作(ス
ロットル開度が所定量以下)が検出された。 (3)車速センサ14により検出された車速Vsが所定
値未満。
されると(つまり、車両が走行状態からほぼ停止状態に
移行したと推測されると)、ニュートラル制御が開始さ
れるようになっている。一方、ニュートラル制御の解除
条件としては以下の(1)〜(3)が設定されており、
そのいずれかが満たされると、運転者に発進意志がある
ものとして解除条件が成立し、ECU11により、ニュ
ートラル制御が解除されるようになっている。 (1)ブレーキ圧スイッチ20がオフ(ブレーキ圧が所
定値未満)になった場合。 (2)スロットルセンサ16によりアクセル操作(スロ
ットル開度θthが所定値以上)が検出された場合。 (3)車速センサ14で検出された走行速度Vsが所定
値以上になった場合。
立すれば、ニュートラル制御が解除されるようになって
いるのである。次に、図3(a)〜(c)を参照しなが
らニュートラル制御時の基本的な動作を説明する。 〔ニュートラル制御の突入制御〕ニュートラル制御の開
始(突入)時には、主に予備操作によるスリップ判定が
行なわれる。予備操作とは、フォワードクラッチ7の係
合圧を低減させクラッチを所定スリップ量付近まで解放
する操作をいう。
ートラル制御の開始条件が成立すると、フォワードクラ
ッチ7用のソレノイド19のデューティ率Dが次式
(1)にしたがって算出される。 D=DN −DNS・・・・・・(1) ここで、DN は係合状態のフォワードクラッチ7が滑り
出す直前のデューティ率として設定されたスリップ直前
値、DNSは0を始点として所定割合でデューティ率Dが
減少するよう設定される勾配項である。又、スリップ直
前値DN は次式にしたがって算出される。
同じくスリップ直前値DN の学習値であり、これらの値
DN0,DNLは、エンジン回転速度NeとATF油温T0I
L とに応じてマップ設定されており、その時点のエンジ
ン回転速度NeとATF油温T0IL とに応じたアドレス
から読み出されて用いられる。
ュートラル制御の開始条件の成立直後に、ソレノイド9
のデューティ率Dは100%からスリップ直前値DN ま
でステップ状に減少し〔図3(b)の点a〕、その後は
勾配項DNSにしたがって漸減する。これにより、圧力制
御弁21のスプール21aに作用するパイロット圧供給
量が増加して、フォワードクラッチ7のライン圧が急激
にドレーンされて、図3(c)に示すように、係合力が
低下するのである。
放側に操作され、図3(a)に示すように、係合状態で
停止保持されていたタービン回転速度Ntが上昇し始め
る。そして、タービン回転速度Ntがスリップ判定値N
t0(例えば、50rpm)に達すると、ECU11によ
り、フォワードクラッチ7が所定スリップ量付近まで操
作されたと判定される(スリップ判定)。そして、これ
以降、解除条件が成立するまでの間は、トルクコンバー
タ3のスリップ量ΔN(=Ne−Nt)を予め設定され
た目標値にすべく、後述するニュートラル制御の定常制
御(N制御)が実行される。
に移行すると、フィードバック制御のデューティ率Dの
初期値として、上述の予備操作で漸減させた最後のデュ
ーティ率Dに所定値ΔDSB(例えば、デューティ率Dの
2%)を加算した値(初期値)DS が初期値出力手段5
0から出力される〔(図3(b)の点b〕。
立するまで、この初期値DSを基本としてフィードバッ
ク制御が繰り返され、図3(a)に示すように、スリッ
プ量ΔNが目標値付近に保時される。なお、このときの
デューティ率DSは、エンジン回転速度センサ12及び
タービン回転速度センサ13からの情報に基づいて、後
述するフィードバック制御手段62により設定されるよ
うになっている(図2参照)。
転速度NeとATF油温T0IL とに基づいて学習補正さ
れるようになっている。学習値DNLの学習処理は、係合
状態のフォワードクラッチ7がニュートラル制御に移行
する際のトルク変動を低減すべく、スリップ直前値DN
を最適化するために行なわれる。概要を説明すると、予
備操作の所要時間T(ニュートラル制御の開始条件成立
からスリップ判定までの所要時間)について予め実現可
能な理想値として目標時間Ttgを設定し(例えば、1se
c)、その目標時間Ttgに対して実際の所要時間Tが長い
(T>Ttg)ときには学習値DNLを減少させ、逆に所要
時間Tが短い(T<Ttg)ときには学習値DNLを増加さ
せる。
ジン回転速度NeとATF油温TOIL とに応じたアドレ
スに格納されて、以降のスリップ直前値DN の算出に利
用されるようになっている。この処理の繰り返しによ
り、式(2)から算出されるスリップ直前値DN はスリ
ップ判定時のデューティ率付近まで低減されるため、予
備操作中のデューティ率の減少(DNS)が縮小されて、
タービン回転がスリップしたときのトルク変動による運
転者の違和感が防止される。 〔ニュートラル制御の解除制御〕次に、本発明の要部で
あるニュートラル制御の解除制御について説明すると、
本装置は、特にこのようなニュートラル制御解除時のレ
スポンス向上及びショックの低減を図るものであって、
以下のように構成されている。
ロック図であり、図示するように、ECU11内には判
定手段60,設定手段61及びフィードバック制御手段
62が設けられている。ここで、フィードバック制御手
段62は、ニュートラル制御の実行時にトルクコンバー
タ3内のスリップ量ΔN(=Ne−Nt)を目標値にす
べくソレノイド19のデューティ率を適宜設定してフォ
ワードクラッチ7の係合力をフィードバック制御するた
めの手段であり、上述した定常制御時に用いられるもの
である。
イッチ20,スロットルセンサ16及び車速センサ14
からの検出情報に基づいて、上述したニュートラル制御
の解除条件(1)〜(3)のいずれかが成立したか否か
を判定する手段である。また、設定手段61は、上記判
定手段60により解除条件が成立したと判定されると、
この解除条件成立時におけるトルクコンバータ3のスリ
ップ量変化率d(Ne−Nt)/dtを算出するととも
に、このスリップ量変化率d(Ne−Nt)/dtに基
づいて、定常制御解除時のソレノイド19のデューティ
率(係合力指令値)を設定するものである。なお、設定
手段61では、少なくとも自動変速機1の入力回転速度
に関連したパラメータ値に基づいてソレノイド19のデ
ューティ率を設定するように構成すればよく、例えば上
記スリップ量変化率d(Ne−Nt)/dtの代わりに
タービン回転速度変化率dNt/dtを用いてもよい。
転速度Neと自動変速機1のATF油温TOILとに基づ
いてソレノイド19のデューティ率を学習補正する学習
手段61aが設けられている。そして、学習手段61a
では、設定手段61で設定されたデューティ率(ベース
デューティ率)に対して学習補正を行なうようになって
いる。
設定手法について具体的に説明すると、判定手段60に
より定常制御の解除が判定されると、図3(b)に示す
ように、設定手段61により一時的にデューティ率が高
められるようになっている。これを初期フィルといい、
このような初期フィルを与えることで、フォワードクラ
ッチ7が係合側に制御されて係合レスポンスが向上する
ようになっている。
下式により算出されるようになっている。 Df=Da+ΔD ここで、Daはデューティ率Dfのベース値、ΔDはベ
ース値Daに対する加算項である。
時間Ta内にタービン回転速度の落ち込み量が予め設定
された目標値となるように学習補正され、エンジン回転
速度Ne及びATF油温TOIL毎に記憶されるようにな
っている。なお、タービン回転速度の落ち込み量に代え
てタービン回転速度変化率、トルクコンバータのスリッ
プ量(Ne−Nt)を用いてもよい。
るようになっている。 ΔD=D1+D2 解除制御では、応答性向上とシフトショック低減を両立
させるよう解除初期の制御安定化が不可欠である。そこ
で、解除直前のスリップ量変化率の影響、すなわち解除
直前のフィードバック制御(ニュートラル制御の定常制
御)で制御しきれないスリップ量変化率を相殺するよう
D1を設定している。換言すれば、D1により解除直前
におけるスリップ量変化率d(Ne−Nt)/dtを0
とするように補正するのである。
d(Ne−Nt)/dtを算出し、その正負に基づいて
D1を設定することにより、解除条件成立時のフォワー
ドクラッチ7に対する係合力制御が、係合側,解放側の
いずれにあっても最適な初期フィルを出力できるように
なっている。具体的には、解除直前のスリップ量変化率
d(Ne−Nt)/dtが正のときは、トルクコンバー
タ3のスリップ量が上昇方向のためクラッチの係合力が
足りないと判定してプラス補正し、負のときはスリップ
量が下降方向のためクラッチの係合力が強過ぎると判定
してマイナス補正するのである。
切であれば、スリップ量変化率は一定(≒0)であるか
ら、デューティ率D1は、定常制御解除直前において、
フィードバック制御で対応しきれずスリップ量変化率が
変化したときその大きさに応じて出力される補正項を表
すことになる。また、本実施形態では、デューティ率D
1の値として、スリップ量変化率d(Ne−Nt)/d
tの大きさに対応した任意の数式で求めるようにしてい
るが、これ以外にも、例えばデューティ率D1をマップ
化して、スリップ量変化率d(Ne−Nt)/dtの値
に応じてきめ細かにデューティ率D1を設定するように
してもよい。
で設定される学習値であって、ベース値Daの出力時間
Taが予め設定された目標時間と一致するように学習補
正される。この学習補正されたデューティ率D2は、エ
ンジン回転速度Ne,ATF油温TOIL毎に記憶され
る。そして、このように初期フィルの設定時においてエ
ンジン回転速度Ne及びATF油温T0IL 毎にデューテ
ィ率D1を学習補正することにより、加算項ΔDの精度
を高めることができるのである。
が設定されると、設定手段61ではこのデューティ率D
fを解除条件成立時から所定時間Tfだけ出力するよう
になっている。ここで、所定時間Tfとは、例えば、ニ
ュートラル制御を行なうための制御ルーチンの2周期分
の時間として設定されている。これは解除レスポンスの
向上を図るためである。つまり、初期フィル時のデュー
ティ率の大きさよりも出力時間を優先して、この出力時
間を比較的短い時間に設定するとともに、デューティ率
の大きさについては上述したように適宜算出して設定す
ることにより、解除レスポンスを高めることができるの
である。
fを出力した後デューティ率Daを出力するようになっ
ている。本発明の一実施形態にかかる車両用自動変速機
のクリープ力制御装置は、上述のように構成されている
ので、例えば図4,図5に示すようなフローチャートに
したがってニュートラル制御(クリープ力制御)の解除
が実行され、このときの制御特性は、図6(c),
(d)のようになる。なお、図6(a),(b)はいず
れも本発明を適用しない場合の制御特性を示す図であ
る。また、図6(a),(c)はいずれもデューティ率
の特性を示す図、図6(b),(d)はいずれもタービ
ン回転速度変化率の特性を示す図である。
を用いて本発明の作用を説明する。まず、ステップS1
において、ブレーキ圧スイッチ20,スロットルセンサ
16及び車速センサ14からの検出情報に基づいて、ニ
ュートラル制御の解除条件が成立したか否かが判定さ
れ、解除条件が成立した場合にはステップS2に進み、
そうでない場合にはリターンする。
の出力デューティ率Dfを演算する。これをサブルーチ
ンとして図5を用いて説明すると、まずステップS21
において解除条件成立時のエンジン回転速度Ne,AT
F油温油温T0IL 毎に記憶されたマップから所定のデュ
ーティ率(ベース値)Daを読み出す。なお、上述した
通りDaは学習補正されている。
を求める。加算項ΔDは ΔD=D1+D2 として定義されており、まず解除条件成立直前のスリッ
プ量変化率d(Ne−Nt)/dtとその正負とに応じ
てデューティ率D1を決定する。続いて、解除条件成立
時のエンジン回転速度Ne,ATF油温TOIL 毎に記憶
されたマップから所定のデューティ率D2を読み出す。
なお、上述した通りD2は学習補正されている。
e,ATF油温TOIL ,スリップ量変化率d(Ne−N
t)/dtに基づいて決定されるということができる。
次に,ステップS23おいて、初期フィル時に出力され
るデューティ率Dfを Df=Da+ΔD=Da+(D1+D2) として演算する。
と、図4のステップS3に進み、ソレノイドバルブ19
を駆動する。これにより、図6(c),(d)に示すよ
うに、一時的にデューティ率が上昇してタービン回転速
度変化率dNt/dtも上昇する。ステップS4では、
デューティ率Dfが出力されてから所定時間Tfが経過
したか否かを判定し、所定時間Tf経過するまではデュ
ーティ率Dfの出力を継続する。なお、ここではTfを
ニュートラル制御の2周期分の時間として設定してい
る。
判定されるとステップS5に進み、出力デューティ率を
DfからDaのみに変更する。次に、ステップS6でタ
ービン回転速度Ntが予め設定された低減量ΔNtに達
したか否かを判定し、低減量ΔNtに達するまでデュー
ティ率Daの出力を継続する。なお、デューティ率Da
は所定の割合で増加するように設定してもよい。
びD2の学習補正を行なう。この学習補正は、デューテ
ィ率Daを出力した実際の時間Taと予め設定された目
標時間とを比較し、この差に応じてDa,D2それぞれ
のマップを更新する。ステップS8では、実際のタービ
ン回転速度変化率dNt/dtが目標タービン回転速度
変化率となるようにフィードバック制御を実行し、実際
のタービン回転速度変化率dNt/dtが目標タービン
回転速度変化率と略一致したと判定(図3中の「同期判
定」)されたら、そのときの出力デューティ率を所定時
間保持したのち、デューティ率を100%に変更して全
圧供給し、フォワードクラッチ7を完全係合させる。
(a),(b)に示すような特性となる。この場合、フ
ィードバック制御がオーバシュートしているため、解除
レスポンスが低下するとともに、解除時にシフトショッ
クが生じている。これは、解除条件成立後、タービン回
転速度変化率の目標値が設定されても、解除条件成立時
のタービン回転速度,タービン回転速度変化率,油温及
び制御圧等に応じてデューティ率を細かく設定していな
いためである。
のクリープ力制御装置によれば、フィードバック制御中
(ニュートラル制御実行中)のタービン回転速度変化率
dNt/dtやスリップ量変化率d(Ne−Nt)/d
tが増加側であっても減少側であっても、最適なデュー
ティ率(係合力指令値)を設定することができ、解除レ
スポンスを向上させることができるとともに、解除時の
シフトショックを低減することができるのである。
速度Ne及びATF油温T0IL を考慮して解除時のデュ
ーティ率を常に最適な値に学習補正することにより、さ
らなる解除レスポンスの向上及び解除ショックの低減を
図ることができるのである。なお、本発明の車両用自動
変速機のクリープ力制御装置は、上述の実施形態のもの
に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない
範囲で種々の変形が可能である。例えば、上述では、エ
ンジン回転速度NeとATF油温TOIL とに応じて図示
しないマップからデューティ率D2を求めるように構成
されているが、エンジン回転速度NeとATF油温TOI
L とをパラメータとして計算によりデューティ率を求め
てもよいし、また、これ以外の手法で学習を行なっても
よい。
速度NeとATF油温TOIL との両方を用いて学習補正
されるように構成されているが、エンジン回転速度Ne
とATF油温TOIL とのうち、いずれか一方に関連した
パラメータ値に基づいて学習を実行するように構成して
もよい。さらに、ATF油温TOIL に代えて、エンジン
用のオイルの油温,エンジン冷却水温を用いてもよい。
ンバータ)を介してエンジンの駆動力を伝達する自動変
速機に広く適用可能である。例えば、ベルト式無段変速
機に対しては前後進を切り替えるための摩擦要素に用い
ることができる。
発明の車両用自動変速機のクリープ力制御装置によれ
ば、解除条件成立直前の自動変速機の入力回転速度の変
化状態に対応するパラメータ値に基づいて、摩擦要素に
対する係合力指令値を設定するので、フィードバック制
御解除直前の自動変速機の入力回転速度が増加側であっ
ても減少側であっても最適な係合力指令値を得ることが
でき、解除レスポンスの向上及び解除時のシフトショッ
クの低減を図ることができるという利点がある。
変速機のクリープ力制御装置によれば、エンジン回転速
度毎又は油温毎にフィードバック制御解除時のデューテ
ィ率が常に最適な値に学習補正されるので、さらなる解
除レスポンスの向上及び解除ショックの低減を図ること
ができるという利点がある。
クリープ力制御装置の全体構成を示す模式図である。
クリープ力制御装置の要部機能に着目した機能ブロック
図である。
に係る車両用自動変速機のクリープ力制御装置の動作の
概要を説明するためのタイムチャート図である。
クリープ力制御装置の要部の動作を説明するためのフロ
ーチャートである。
クリープ力制御装置の要部の動作を説明するためのフロ
ーチャートである。
クリープ力制御装置の特性を、本発明を適用しない場合
と比較しながら説明するための図であって、(a),
(b)は本発明を適用しない場合の特性を示す図、
(c),(d)は本発明を適用しない場合の特性を示す
図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 自動変速機のシフトレンジが走行レンジ
にあるときに所定の条件が成立すると、走行時に係合さ
れる摩擦要素の係合力を低下させてクリープ力を低下さ
せるように構成された車両用自動変速機のクリープ力制
御装置において、 該所定の条件の成立後、該摩擦要素の係合力に対するフ
ィードバック制御を実行するフィードバック制御手段
と、 該フィードバック制御の解除条件が成立したか否かを判
定する判定手段と、 該解除条件が成立したと判定されると、該解除条件の成
立時での該自動変速機の入力回転速度に関連したパラメ
ータ値に基づいて該解除条件成立直後の該摩擦要素に対
する係合力指令値を設定する設定手段とをそなえている
ことを特徴とする、車両用自動変速機のクリープ力制御
装置。 - 【請求項2】 該設定手段は、少なくともエンジン回転
速度に関連したパラメータ値毎又は油温に関連したパラ
メータ値毎に該係合力指令値を学習補正する学習手段を
そなえていることを特徴とする、請求項1記載の車両用
自動変速機のクリープ力制御装置。
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