JP2001279331A - 耐フクレ欠陥特性に優れたほうろう用冷延鋼板の製造方法 - Google Patents
耐フクレ欠陥特性に優れたほうろう用冷延鋼板の製造方法Info
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- JP2001279331A JP2001279331A JP2000093374A JP2000093374A JP2001279331A JP 2001279331 A JP2001279331 A JP 2001279331A JP 2000093374 A JP2000093374 A JP 2000093374A JP 2000093374 A JP2000093374 A JP 2000093374A JP 2001279331 A JP2001279331 A JP 2001279331A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 低炭・極低炭−高B系ほうろう用冷延鋼板を
素材とする場合であっても、ほうろう施釉、焼成後にフ
クレ欠陥が発生することのない、耐フクレ欠陥特性に優
れたほうろう用冷延鋼板を提供する。 【解決手段】 質量百分率で、C:0.01%以下、 Mn:
0.01〜1.0 %、B:0.010 %以上、O:0.010 %以上お
よびN:0.005 %以上を含有する組成になる連鋳スラブ
を、スラブ加熱後、熱間圧延し、ついで冷間圧延および
仕上げ焼鈍を施してほうろう用冷延鋼板を製造するに際
し、次式(1) で定義したスラブ中の固溶B指数IB IB =B(ppm) −22/48・O(ppm) −11/14・N(ppm)
--- (1) を10以下に制限すると共に、加熱炉からのスラブ抽出温
度を1200℃以下、熱間粗圧延時における幅殺し量を 170
mm以下とする。
素材とする場合であっても、ほうろう施釉、焼成後にフ
クレ欠陥が発生することのない、耐フクレ欠陥特性に優
れたほうろう用冷延鋼板を提供する。 【解決手段】 質量百分率で、C:0.01%以下、 Mn:
0.01〜1.0 %、B:0.010 %以上、O:0.010 %以上お
よびN:0.005 %以上を含有する組成になる連鋳スラブ
を、スラブ加熱後、熱間圧延し、ついで冷間圧延および
仕上げ焼鈍を施してほうろう用冷延鋼板を製造するに際
し、次式(1) で定義したスラブ中の固溶B指数IB IB =B(ppm) −22/48・O(ppm) −11/14・N(ppm)
--- (1) を10以下に制限すると共に、加熱炉からのスラブ抽出温
度を1200℃以下、熱間粗圧延時における幅殺し量を 170
mm以下とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ほうろう後の最
終製品における耐フクレ欠陥特性を飛躍的に向上させた
ほうろう用冷延鋼板の製造方法に関するものである。
終製品における耐フクレ欠陥特性を飛躍的に向上させた
ほうろう用冷延鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ほうろうは、素材鋼板の表面にガラス質
を焼き付けた不燃性の材料で、耐熱性をはじめとして、
耐候性、耐薬品性、耐水性および耐汚染性など種々の特
性を備える他、表面が美麗であるという特長がある。
を焼き付けた不燃性の材料で、耐熱性をはじめとして、
耐候性、耐薬品性、耐水性および耐汚染性など種々の特
性を備える他、表面が美麗であるという特長がある。
【0003】また、素材鋼板としては、主に耐つまとび
性、密着性および耐泡・黒点性等が必要とされるが、最
近では、高強度、プレス成形性さらには溶接性等が必要
とされる場合もある。
性、密着性および耐泡・黒点性等が必要とされるが、最
近では、高強度、プレス成形性さらには溶接性等が必要
とされる場合もある。
【0004】例えば、プレス成形後の強度の向上を図っ
たものとして、熱延中またはほうろう焼成中にTiCを微
細に析出させた、Ti添加鋼が知られている。しかしなが
ら、かようなTi添加鋼は、冷延鋼板、熱延鋼板の如何に
かかわらず、特開平2−93046 号公報に開示されている
ように、ほうろう処理を施した場合に、泡・黒点といっ
た表面欠陥が発生し易いという問題があった。
たものとして、熱延中またはほうろう焼成中にTiCを微
細に析出させた、Ti添加鋼が知られている。しかしなが
ら、かようなTi添加鋼は、冷延鋼板、熱延鋼板の如何に
かかわらず、特開平2−93046 号公報に開示されている
ように、ほうろう処理を施した場合に、泡・黒点といっ
た表面欠陥が発生し易いという問題があった。
【0005】また、プレス成形性に優れたほうろう用鋼
板として、特公平4− 16539号公報に開示されているよ
うなTi添加Alキルド鋼が知られているが、この種の鋼板
は、プラズマ溶接や TIG溶接などで継ぎ手溶接を行った
場合に、溶接部が凹状になったり、ブローホールが形成
され、ほうろう加工後の表面に筋状欠陥や泡欠陥が発生
するという問題があった。
板として、特公平4− 16539号公報に開示されているよ
うなTi添加Alキルド鋼が知られているが、この種の鋼板
は、プラズマ溶接や TIG溶接などで継ぎ手溶接を行った
場合に、溶接部が凹状になったり、ブローホールが形成
され、ほうろう加工後の表面に筋状欠陥や泡欠陥が発生
するという問題があった。
【0006】ところで、出願人会社は、先に、上記の問
題を解決するものとして、低炭素鋼または極低炭素鋼に
比較的多量のBを添加したほうろう用冷延鋼板を開発
し、特開平6−33187 号公報および特開平6−57374 号
公報において開示した。しかしながら、上記の低炭・極
低炭−高B系ほうろう用冷延鋼板では、需要者側でのほ
うろう施釉、焼成後に表裏面に凸状のフクレ欠陥が発生
する場合があるところに問題を残していた。
題を解決するものとして、低炭素鋼または極低炭素鋼に
比較的多量のBを添加したほうろう用冷延鋼板を開発
し、特開平6−33187 号公報および特開平6−57374 号
公報において開示した。しかしながら、上記の低炭・極
低炭−高B系ほうろう用冷延鋼板では、需要者側でのほ
うろう施釉、焼成後に表裏面に凸状のフクレ欠陥が発生
する場合があるところに問題を残していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を有利に解決するもので、低炭・極低炭−高B系の素
材を用いた場合であっても、ほうろう施釉、焼成後にフ
クレ欠陥が発生することのない、耐フクレ欠陥特性に優
れたほうろう用冷延鋼板の有利な製造方法を提案するこ
とを目的とする。
題を有利に解決するもので、低炭・極低炭−高B系の素
材を用いた場合であっても、ほうろう施釉、焼成後にフ
クレ欠陥が発生することのない、耐フクレ欠陥特性に優
れたほうろう用冷延鋼板の有利な製造方法を提案するこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、上記
の目的を達成すべく、まず、低炭・極低炭−高B系のほ
うろう用冷延鋼板を素材とする場合にフクレ欠陥が生じ
易い原因について調査したところ、低炭・極低炭−高B
系鋼では、連続鋳造時にスラブ内部割れが発生し易く、
しかもかかる欠陥は最終冷延製品まで解消されないまま
残存するためであることが究明された。
の目的を達成すべく、まず、低炭・極低炭−高B系のほ
うろう用冷延鋼板を素材とする場合にフクレ欠陥が生じ
易い原因について調査したところ、低炭・極低炭−高B
系鋼では、連続鋳造時にスラブ内部割れが発生し易く、
しかもかかる欠陥は最終冷延製品まで解消されないまま
残存するためであることが究明された。
【0009】そこで、発明者らは、上記の問題を解決す
べく、その成分組成および製造条件全般にわたり再検討
を行ったところ、低炭・極低炭−高B系鋼においてフク
レ欠陥の発生を防止するためには、鋼成分中とくに固溶
B量を低減すると共に、加熱炉からのスラブ抽出温度お
よび熱間粗圧延における幅殺し量を適正な範囲に制御す
ることが極めて有効であることの知見を得た。ここに、
幅殺しとは、スラブの幅を幅プレス等によって縮小する
処理のことで、連続鋳造時はスラブの幅を統一してお
き、粗圧延時に、同一のストランド材から種々の製品幅
へ幅集約を行うことによって、製造能率の向上を図るた
めに行われるものである。この発明は、上記の知見に立
脚するものである。
べく、その成分組成および製造条件全般にわたり再検討
を行ったところ、低炭・極低炭−高B系鋼においてフク
レ欠陥の発生を防止するためには、鋼成分中とくに固溶
B量を低減すると共に、加熱炉からのスラブ抽出温度お
よび熱間粗圧延における幅殺し量を適正な範囲に制御す
ることが極めて有効であることの知見を得た。ここに、
幅殺しとは、スラブの幅を幅プレス等によって縮小する
処理のことで、連続鋳造時はスラブの幅を統一してお
き、粗圧延時に、同一のストランド材から種々の製品幅
へ幅集約を行うことによって、製造能率の向上を図るた
めに行われるものである。この発明は、上記の知見に立
脚するものである。
【0010】すなわち、この発明は、質量百分率でC:
0.01%以下、Mn:0.05〜1.0 %、B:0.010 %以上、
O:0.010 %以上およびN:0.005 %以上を含有する組
成になる連鋳スラブを、スラブ加熱後、熱間圧延し、つ
いで冷間圧延および仕上げ焼鈍を施してほうろう用冷延
鋼板を製造するに際し、次式(1) で定義したスラブ中の
固溶B指数IB IB =B(ppm) −22/48・O(ppm) −11/14・N(ppm) --- (1) を10以下に制限すると共に、加熱炉からのスラブ抽出温
度を1200℃以下、熱間粗圧延時における幅殺し量を 170
mm以下とすることを特徴とする、耐フクレ欠陥特性に優
れたほうろう用冷延鋼板の製造方法。
0.01%以下、Mn:0.05〜1.0 %、B:0.010 %以上、
O:0.010 %以上およびN:0.005 %以上を含有する組
成になる連鋳スラブを、スラブ加熱後、熱間圧延し、つ
いで冷間圧延および仕上げ焼鈍を施してほうろう用冷延
鋼板を製造するに際し、次式(1) で定義したスラブ中の
固溶B指数IB IB =B(ppm) −22/48・O(ppm) −11/14・N(ppm) --- (1) を10以下に制限すると共に、加熱炉からのスラブ抽出温
度を1200℃以下、熱間粗圧延時における幅殺し量を 170
mm以下とすることを特徴とする、耐フクレ欠陥特性に優
れたほうろう用冷延鋼板の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明を具体的に説明す
る。図1に、スラブ中の固溶B量が、連続鋳造時におけ
るスラブ内部割れに及ぼす影響について調べた結果を、
固溶B指数IB と内部割れ指数(ICR)との関係で示す。
図中、固溶B指数IB は、次式(1) IB =B(ppm) −22/48・O(ppm) −11/14・N(ppm) --- (1) で、またスラブ内部割れ指数(ICR)は、次式(2) で定義
したものである。
る。図1に、スラブ中の固溶B量が、連続鋳造時におけ
るスラブ内部割れに及ぼす影響について調べた結果を、
固溶B指数IB と内部割れ指数(ICR)との関係で示す。
図中、固溶B指数IB は、次式(1) IB =B(ppm) −22/48・O(ppm) −11/14・N(ppm) --- (1) で、またスラブ内部割れ指数(ICR)は、次式(2) で定義
したものである。
【数1】
【0012】同図に示したように、スラブ内部割れと固
溶B量との間には相関があり、固溶B指数IB が高いほ
ど内部割れが多発し、IB が 10 を超えると急激に増加
することが判る。
溶B量との間には相関があり、固溶B指数IB が高いほ
ど内部割れが多発し、IB が 10 を超えると急激に増加
することが判る。
【0013】次に、図2に、固溶B指数IB が 10 以下
の領域で、熱間圧延時のスラブ抽出温度および粗圧延時
の幅殺し量が、フクレ欠陥の発生に及ぼす影響について
調べた結果を整理して示す。同図に示したとおり、フク
レ欠陥は、スラブ抽出温度が1200℃以上で、かつ幅殺し
量が 170mmを超えて大きい場合にのみ、発生している。
の領域で、熱間圧延時のスラブ抽出温度および粗圧延時
の幅殺し量が、フクレ欠陥の発生に及ぼす影響について
調べた結果を整理して示す。同図に示したとおり、フク
レ欠陥は、スラブ抽出温度が1200℃以上で、かつ幅殺し
量が 170mmを超えて大きい場合にのみ、発生している。
【0014】次に、この発明において、素材の成分組成
を前記の範囲に限定した理由について説明する。なお、
各成分の含有比率の表示に用いた「%」は質量百分率を
意味する。 C:0.01%以下 Cは、浸入型の固溶元素であり、0.01%を超えて多量に
含有されるとプレス成形性が著しく劣化するので、C量
は0.01%以下に限定した。
を前記の範囲に限定した理由について説明する。なお、
各成分の含有比率の表示に用いた「%」は質量百分率を
意味する。 C:0.01%以下 Cは、浸入型の固溶元素であり、0.01%を超えて多量に
含有されるとプレス成形性が著しく劣化するので、C量
は0.01%以下に限定した。
【0015】Mn:0.05〜1.0 % Mnは、赤熱脆性の原因となるSをMnSとして固定するの
に有用なだけでなく、この発明鋼のように比較的多量に
Oを含有する成分系においてはMnOを形成して、つまと
び欠陥の原因となる水素をトラップするという効果も有
する。しかしながら、含有量が0.05%に満たないとその
添加効果に乏しく、一方 1.0%を超えるとコストの上昇
を招くので、Mn量は0.05〜1.0 %の範囲に限定した。
に有用なだけでなく、この発明鋼のように比較的多量に
Oを含有する成分系においてはMnOを形成して、つまと
び欠陥の原因となる水素をトラップするという効果も有
する。しかしながら、含有量が0.05%に満たないとその
添加効果に乏しく、一方 1.0%を超えるとコストの上昇
を招くので、Mn量は0.05〜1.0 %の範囲に限定した。
【0016】B:0.010 %以上 Bは、B2O3やBN等の酸化物、窒化物を形成し、かかる
析出物のまわりに形成されるボイドで水素をトラップす
ることによって耐つまとび性を向上させる有用元素であ
り、この効果を十分に発揮させるためには 0.010%以上
含有させる必要がある。しかしながら、含有量があまり
に多いと熱間圧延時に割れが発生し易くなるので、その
上限は 0.020%程度とすることが好ましい。
析出物のまわりに形成されるボイドで水素をトラップす
ることによって耐つまとび性を向上させる有用元素であ
り、この効果を十分に発揮させるためには 0.010%以上
含有させる必要がある。しかしながら、含有量があまり
に多いと熱間圧延時に割れが発生し易くなるので、その
上限は 0.020%程度とすることが好ましい。
【0017】O:0.010 %以上 Oは、上述したとおり、MnOやB2O3を形成して耐つまと
び性を改善させる有用元素であり、上記の目的のために
は、少なくとも 0.010%の含有が必要である。しかしな
がら含有量があまりに多くなると連鋳スラブの表面性状
が劣化し、表面の手入れにコストがかかり、また製品歩
留りも低下するので、その上限は0.040%程度とするこ
とが好ましい。
び性を改善させる有用元素であり、上記の目的のために
は、少なくとも 0.010%の含有が必要である。しかしな
がら含有量があまりに多くなると連鋳スラブの表面性状
が劣化し、表面の手入れにコストがかかり、また製品歩
留りも低下するので、その上限は0.040%程度とするこ
とが好ましい。
【0018】N:0.005 %以上 Nは、BNの形成により、耐つまとび性の向上に有効に
寄与するので、この観点から 0.005%以上含有させるこ
ととした。しかしながら含有量があまりに多くなると熱
間圧延時に割れの発生が懸念されるので、その上限は
0.015%程度とすることが好ましい。
寄与するので、この観点から 0.005%以上含有させるこ
ととした。しかしながら含有量があまりに多くなると熱
間圧延時に割れの発生が懸念されるので、その上限は
0.015%程度とすることが好ましい。
【0019】IB ≦10 以上、必須成分の適正範囲について説明したが、この発
明では、各成分を上記の範囲に単に限定するだけでは不
十分で、次式(1) で定義したスラブ中の固溶B指数IB IB =B(ppm) −22/48・O(ppm) −11/14・N(ppm) --- (1) を10以下に制限することが重要である。というのは、こ
のIB が10を超えると、前掲図1に示したように、連続
鋳造時における内部割れが増加し、ひいては製品板にお
いてフクレ欠陥が発生するようになるからである。
明では、各成分を上記の範囲に単に限定するだけでは不
十分で、次式(1) で定義したスラブ中の固溶B指数IB IB =B(ppm) −22/48・O(ppm) −11/14・N(ppm) --- (1) を10以下に制限することが重要である。というのは、こ
のIB が10を超えると、前掲図1に示したように、連続
鋳造時における内部割れが増加し、ひいては製品板にお
いてフクレ欠陥が発生するようになるからである。
【0020】以上、必須成分について説明したが、この
発明では、その他にも以下に示す元素を適宜含有させる
ことができる。 Nb:0.01〜0.03% Nbは、NbCを形成し、時効劣化の原因となる固溶Cを減
少させてプレス成形性を確保するのに有利な元素であ
る。この効果を引き出すためには少なくとも0.01%の含
有を必要とするが、0.03%を超えて含有させてもその効
果は飽和に達し、むしろコストの上昇を招くので、Nbを
含有させる場合には0.01〜0.03%の範囲とすることが好
ましい。
発明では、その他にも以下に示す元素を適宜含有させる
ことができる。 Nb:0.01〜0.03% Nbは、NbCを形成し、時効劣化の原因となる固溶Cを減
少させてプレス成形性を確保するのに有利な元素であ
る。この効果を引き出すためには少なくとも0.01%の含
有を必要とするが、0.03%を超えて含有させてもその効
果は飽和に達し、むしろコストの上昇を招くので、Nbを
含有させる場合には0.01〜0.03%の範囲とすることが好
ましい。
【0021】次に、この発明の製造条件について説明す
る。さて、上記したような好適成分組成に調整された連
鋳スラブは、熱間圧延に先立ち、加熱炉においてスラブ
加熱が施されるが、このスラブ加熱に際し、スラブを加
熱炉から抽出する温度は1200℃以下とする必要がある。
というのは、スラブ抽出温度が1200℃を超えると、前掲
図2に示したように、固溶B指数IB を10以下に制限し
た場合であっても、フクレ欠陥が発生するおそれがある
からである。特に好ましくは1150℃以下である。
る。さて、上記したような好適成分組成に調整された連
鋳スラブは、熱間圧延に先立ち、加熱炉においてスラブ
加熱が施されるが、このスラブ加熱に際し、スラブを加
熱炉から抽出する温度は1200℃以下とする必要がある。
というのは、スラブ抽出温度が1200℃を超えると、前掲
図2に示したように、固溶B指数IB を10以下に制限し
た場合であっても、フクレ欠陥が発生するおそれがある
からである。特に好ましくは1150℃以下である。
【0022】ついで、熱間圧延を行うが、この発明で
は、この熱間圧延の粗圧延工程で行われる幅殺し量を 1
70mm以下に制限することが重要である。というのは、幅
殺し量が 170mmを超えると、前掲図2に示したように、
固溶B指数IB やスラブ抽出温度が適正であっても、や
はりフクレ欠陥の発生が免れ得ない。
は、この熱間圧延の粗圧延工程で行われる幅殺し量を 1
70mm以下に制限することが重要である。というのは、幅
殺し量が 170mmを超えると、前掲図2に示したように、
固溶B指数IB やスラブ抽出温度が適正であっても、や
はりフクレ欠陥の発生が免れ得ない。
【0023】上記の熱間粗圧延後、仕上げ圧延を施した
のち、冷間圧延ついで仕上げ焼鈍が施されるが、この発
明では、これらの工程が限定されることはなく、従来公
知の方法いずれもが適合する。ちなみに、好適な処理条
件を掲げると、熱間仕上げ圧延温度は 860〜950 ℃程
度、冷延圧下率は75〜90%程度、仕上げ焼鈍は 750〜85
0 ℃、2〜6 min程度の連続焼鈍とすることが好まし
い。
のち、冷間圧延ついで仕上げ焼鈍が施されるが、この発
明では、これらの工程が限定されることはなく、従来公
知の方法いずれもが適合する。ちなみに、好適な処理条
件を掲げると、熱間仕上げ圧延温度は 860〜950 ℃程
度、冷延圧下率は75〜90%程度、仕上げ焼鈍は 750〜85
0 ℃、2〜6 min程度の連続焼鈍とすることが好まし
い。
【0024】
【実施例】実施例1 表1に示す種々の成分組成になる鋼スラブを、スラブ加
熱後、1150℃で加熱炉から抽出したのち、熱間粗圧延に
て90mmの幅殺しを行い、ついで 880℃で仕上げ熱延を終
了し、酸洗後、圧下率:80%の冷間圧延を施して 1.0mm
厚に仕上げたのち、 800℃、3 minの仕上げ焼鈍を施し
た。ついで、この原板を、脱脂、前処理(酸洗、Ni処
理)後、通常の2回施釉(グランドコート、カバーコー
ト)、2回焼成(800 ℃)からなるほうろう処理を施し
た。
熱後、1150℃で加熱炉から抽出したのち、熱間粗圧延に
て90mmの幅殺しを行い、ついで 880℃で仕上げ熱延を終
了し、酸洗後、圧下率:80%の冷間圧延を施して 1.0mm
厚に仕上げたのち、 800℃、3 minの仕上げ焼鈍を施し
た。ついで、この原板を、脱脂、前処理(酸洗、Ni処
理)後、通常の2回施釉(グランドコート、カバーコー
ト)、2回焼成(800 ℃)からなるほうろう処理を施し
た。
【0025】かくして得られたほうろう材の耐フクレ欠
陥特性、耐つまとび性およびホーロー密着性について調
べた結果を表1に併記する。なお、耐フクレ欠陥、耐つ
まとび性およびホーロー密着性の評価方法は次のとおり
である。 <耐フクレ欠陥特性>目視によりフクレの発生の有無を
判定した。判定基準は次のとおりである。 ○:フクレ欠陥なし ×:フクレ欠陥有り <耐つまとび性>大気中にて80℃, 24hの促進試験後、
目視によりつまとびの発生の有無を判定した。判定基準
は次のとおりである。 ○:つまとび欠陥なし ×:つまとび欠陥有り <ホーロー密着性>ASTM-C313-59に準拠して、密着性を
評価した。なお、密着性 100%は、ホーローの剥離が全
くない状態である。また、80%以上であればホーロー密
着性は良好といえる。
陥特性、耐つまとび性およびホーロー密着性について調
べた結果を表1に併記する。なお、耐フクレ欠陥、耐つ
まとび性およびホーロー密着性の評価方法は次のとおり
である。 <耐フクレ欠陥特性>目視によりフクレの発生の有無を
判定した。判定基準は次のとおりである。 ○:フクレ欠陥なし ×:フクレ欠陥有り <耐つまとび性>大気中にて80℃, 24hの促進試験後、
目視によりつまとびの発生の有無を判定した。判定基準
は次のとおりである。 ○:つまとび欠陥なし ×:つまとび欠陥有り <ホーロー密着性>ASTM-C313-59に準拠して、密着性を
評価した。なお、密着性 100%は、ホーローの剥離が全
くない状態である。また、80%以上であればホーロー密
着性は良好といえる。
【0026】
【表1】
【0027】表1に示したとおり、この発明の成分組成
を満足する発明例はいずれも、良好な耐フクレ欠陥特性
および耐つまとび性が得られるだけでなく、ホーロー密
着性にも優れていた。
を満足する発明例はいずれも、良好な耐フクレ欠陥特性
および耐つまとび性が得られるだけでなく、ホーロー密
着性にも優れていた。
【0028】実施例2 表1中、鋼記号Aに示した成分組成になる鋼スラブを、
表2に示す種々の条件で処理してほうろう用冷延鋼板を
製造した。なお、冷延圧下率は80%とした。ついで、実
施例1と同様なほうろう処理を施した。かくして得られ
たほうろう材の耐フクレ欠陥特性、耐つまとび性および
ホーロー密着性について調べた結果を表2に併記する。
表2に示す種々の条件で処理してほうろう用冷延鋼板を
製造した。なお、冷延圧下率は80%とした。ついで、実
施例1と同様なほうろう処理を施した。かくして得られ
たほうろう材の耐フクレ欠陥特性、耐つまとび性および
ホーロー密着性について調べた結果を表2に併記する。
【0029】
【表2】
【0030】表2に示したとおり、この発明に従う条件
で製造した場合はいずれも、耐フクレ欠陥特性はいうま
でもなく、耐つまとび性およびホーロー密着性の面にお
いても優れた結果が得られている。
で製造した場合はいずれも、耐フクレ欠陥特性はいうま
でもなく、耐つまとび性およびホーロー密着性の面にお
いても優れた結果が得られている。
【0031】
【発明の効果】かくして、この発明によれば、従来、ほ
うろう処理後にフクレ欠陥の発生が懸念された低炭・極
低炭−高B系冷延鋼板を素材とした場合であっても、フ
クレ欠陥の発生を格段に低減することができ、ひいては
ほうろう用鋼板の歩留りが大幅に向上する。
うろう処理後にフクレ欠陥の発生が懸念された低炭・極
低炭−高B系冷延鋼板を素材とした場合であっても、フ
クレ欠陥の発生を格段に低減することができ、ひいては
ほうろう用鋼板の歩留りが大幅に向上する。
【図1】 スラブ中の固溶B量が、連続鋳造時における
スラブ内部割れに及ぼす影響について調べた結果を、固
溶B指数IB と内部割れ指数(ICR)との関係で示したグ
ラフである。
スラブ内部割れに及ぼす影響について調べた結果を、固
溶B指数IB と内部割れ指数(ICR)との関係で示したグ
ラフである。
【図2】 熱間圧延時のスラブ抽出温度および粗圧延時
の幅殺し量が、フクレ欠陥の発生に及ぼす影響を示した
図である。
の幅殺し量が、フクレ欠陥の発生に及ぼす影響を示した
図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 質量百分率で C:0.01%以下、 Mn:0.05〜1.0 %、 B:0.010 %以上、 O:0.010 %以上および N:0.005 %以上 を含有する組成になる連鋳スラブを、スラブ加熱後、熱
間圧延し、ついで冷間圧延および仕上げ焼鈍を施してほ
うろう用冷延鋼板を製造するに際し、次式(1) で定義し
たスラブ中の固溶B指数IB IB =B(ppm) −22/48・O(ppm) −11/14・N(ppm) --- (1) を10以下に制限すると共に、加熱炉からのスラブ抽出温
度を1200℃以下、熱間粗圧延時における幅殺し量を 170
mm以下とすることを特徴とする、耐フクレ欠陥特性に優
れたほうろう用冷延鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000093374A JP2001279331A (ja) | 2000-03-30 | 2000-03-30 | 耐フクレ欠陥特性に優れたほうろう用冷延鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000093374A JP2001279331A (ja) | 2000-03-30 | 2000-03-30 | 耐フクレ欠陥特性に優れたほうろう用冷延鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001279331A true JP2001279331A (ja) | 2001-10-10 |
Family
ID=18608568
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000093374A Pending JP2001279331A (ja) | 2000-03-30 | 2000-03-30 | 耐フクレ欠陥特性に優れたほうろう用冷延鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001279331A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007055400A1 (ja) * | 2005-11-09 | 2007-05-18 | Nippon Steel Corporation | 耐つまとび性に著しく優れた連続鋳造ほうろう用鋼板およびその製造方法 |
-
2000
- 2000-03-30 JP JP2000093374A patent/JP2001279331A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2007055400A1 (ja) * | 2005-11-09 | 2007-05-18 | Nippon Steel Corporation | 耐つまとび性に著しく優れた連続鋳造ほうろう用鋼板およびその製造方法 |
JP4954889B2 (ja) * | 2005-11-09 | 2012-06-20 | 新日本製鐵株式会社 | 耐つまとび性に著しく優れた連続鋳造ほうろう用鋼板およびその製造方法 |
CN101356295B (zh) * | 2005-11-09 | 2012-07-04 | 新日本制铁株式会社 | 抗鳞爆性显著优异的连铸搪瓷用钢板及其制造方法 |
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