JP2001271061A - 蛍光熱感応性化合物及びこれを含有する組成物、熱記録媒体、有機エレクトロルミネッセンス素子及び温度マーカー - Google Patents

蛍光熱感応性化合物及びこれを含有する組成物、熱記録媒体、有機エレクトロルミネッセンス素子及び温度マーカー

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JP2001271061A JP2000086224A JP2000086224A JP2001271061A JP 2001271061 A JP2001271061 A JP 2001271061A JP 2000086224 A JP2000086224 A JP 2000086224A JP 2000086224 A JP2000086224 A JP 2000086224A JP 2001271061 A JP2001271061 A JP 2001271061A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 比較的弱いヒートモードレーザー照射で高速
に記録することが可能で、かつ分解能の高い熱記録媒体
を提供すること。有機エレクトロルミネッセンス素子に
おいて有機層を積層した後にレーザー光等の微小領域で
の熱エネルギー供与が可能な手段を用い、夾雑物を生成
することなく多色化を実現する方法を提供すること。小
面積でかつ100℃以上の高温領域で温度計測が可能な
不可逆性温度マーカーを提供することである。 【解決手段】 与えられた熱に応じて分子の異性化が起
こり、その結果として蛍光波長が変化し、かつその変化
が実質的に不可逆である熱感応性有機化合物を含有する
ことを特徴とする組成物。熱感応性化合物を下に例示す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、与える熱に応じて
蛍光波長が(熱の関数として連続的にまたは熱エネルギ
ーが域値を越えた場合に段階的に)変化しかつ変化後の
状態が安定で不可逆な熱感応性化合物またはそれを含有
する組成物に関し、さらに詳しくは、該熱感応性化合物
を含有する記録媒体、記録要素およびその記録方法、再
生方法に関し、また別の利用分野としては、該熱感応性
化合物を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子お
よびその多色化方法さらに該熱感応性化合物を含有する
温度マーカーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】〈光記録媒体〉従来、有機化合物を用い
た光記録媒体は多数提案されているが、これらの記録媒
体による記録原理は、ヒートモードレーザー光線をレン
ズで集光し、色素がその光を吸収して生じる熱によるビ
ット形成など記録媒体の形状変化に基づいているものが
多い。そのためその変化を吸収できるスペーシング層を
設けることが必要になり、記録媒体の構造が複雑となる
欠点がある。またその原理からみて記録密度、信頼性、
高速記録といった面にも制約が生じてくる。
【0003】即ち、光記録媒体上の記録層にレーザーを
照射し、照射部分を局部的に加熱し、融解、蒸発、昇華
または分解等の物理的あるいは化学的変化を起こさせる
には、大きな熱エネルギー、即ち高出力のレーザー照射
が必要であり、そのため高速記録、たとえば回転数18
00rpm以上での記録では感度が著しく低下してしま
う。また、物理的あるいは化学的変化による形状の変化
により記録ピットが形成されるため、ピットの形状の不
均一性は避けられず、そのためピットの非対称性等に由
来する時間分解能が十分でなく、さらに微小ピットの形
成も満足なものではなく、高密度記録に十分対応できる
とは言い難い。また、ピットの形成を伴わない結晶−非
晶質相変化を利用した光記録媒体の場合には、記録膜が
結晶質になる必要があり、そのため結晶粒界等が発生し
やすくなりノイズ、エラーの原因になり易い等の問題点
がある。
【0004】また、フォトンモードのレーザー光線で書
き込みあるいは読み出しをするフォトクロミズムを利用
した方法なども知られているが、保存性が悪いなどの問
題を包含し未だ満足すべきものが得られていないのが現
状である。具体的にはスピロピラン等のフォトクロミッ
ク化合物を用いたもの(特開昭59−227972号公
報等)、液晶高分子と色素との混合物を用いたもの(特
開平2−136289号公報等)などが提案されている
が、記録状態での安定性や記録・消去の繰り返し性が良
くなく、また、読みだし破壊等の問題があり、未だ実用
段階に至っていない。
【0005】一方、高密度記録の観点から有機蛍光物質
を利用した光(熱)記録媒体も近年注目されている。
【0006】有機蛍光物質を使った光(熱)記録−再生
方法としては、特開平5−50757号に記載された蛍
光色素に吸収波長領域の波長の光を照射することで、該
蛍光色素を破壊し光照射部の蛍光発光強度を低下させる
ことにより未変化の部分との蛍光発生量の差を利用した
方法、特開平8−6204号に記載されたDNAまたは
RNAに代表される核酸と蛍光色素を共存させ、そこに
光を照射することで蛍光波長が変化することを利用した
方法、特開平7−254153号に記載された平面性の
高い有機化合物を蒸着した薄膜にレーザー光を照射する
ことにより化合物の結晶−非晶質転移を起こしその結果
として蛍光強度に差が生じることを利用した方法等が知
られている。
【0007】一般に蛍光発光の検出は非常に感度が良好
で、化合物の超微量分析にも適用されているものである
が、上記特許に記載されている化合物をはじめ、通常の
有機蛍光色素は熱または光に対する堅牢性が極めて低
く、実用に供しないのが実状であった。
【0008】〈有機エレクトロルミネッセンス素子の多
色化方法〉有機エレクトロルミネッセンス素子は、次世
代のフラットパネルディスプレイとして注目されている
発光素子の一つであり、材料が有機化合物であることか
ら分子設計が容易で青〜赤まで多彩な発光色を再現でき
ることが特徴である。しかしながら有機エレクトロルミ
ネッセンス素子は、電子輸送層や正孔輸送層、発光層等
の機能を分離した層を多層積層する構成を採るため、特
にフルカラーディスプレイにするためには、基本的には
赤、緑、青それぞれの画素ごとに積層構成の素子を作製
する必要があり、製造上大きな問題となっている。
【0009】このような状況から、より簡便な多色化方
法が提案されている。例えば、エレクトロルミネッセン
ス発光する発光素子自体は青色に発光するものを作製
し、その上に青色を受けて緑色に発光する色変換層およ
び青色を受けて赤色に発光する色変換層を載せて多色化
(特開平3−152897号)する方法や、発光層にあ
らかじめルブレンのようなドーパントを全面に添加して
おき、酸素存在下(大気中下)で部分的に光照射(レー
ザー光等)することにより該ドーパントを失活させ、そ
の後真空封止を施して素子化するといういわゆる「フォ
トブリーチング法」と呼ばれる多色化方法((株)エヌ
・ティー・エス発行(1998年)「有機EL素子とそ
の工業化最前線」第118ページ、同第185ページ、
城戸ら:第44回応用物理学関係連合講演会講演予稿
集、第1156ページ(1997年)等に詳しく記載)
等が考案されている。
【0010】両方法とも、従来の、画素ごとに積層構造
を作製してゆく方法よりは製造の観点から有利であるも
のの、前者は青色から赤色への変換効率が低いこと、後
者は有機層を積層した後で発光色を変化させることがで
きる非常に優れた方法であるが、光照射した後の分解物
が発光物質の発光特性や寿命を劣化させてしまうことが
大きな問題として残っているのが現状であり、実用には
供していない。
【0011】〈不可逆性温度マーカー〉化学物質を使用
してある場所の最高到達温度を計測する比色系温度マー
カー(特開平7−151613号、同8−43214号
等)が実際に市販されている。しかしそれらは何れも色
素の融点を利用したものであり、具体的にはある域値温
度を越えた時に色素が溶融し、その溶融した色素を濾紙
のような吸着性のある媒体に吸着させ、吸着した色素の
拡散度合いから最高到達温度を見積もるもの(例えばス
リーエムヘルスケア(株)社製モニターマークや、日油
技研工業株式会社製サーモラベル、クールモニター等)
であったり、単に示温物質が溶融するかどうかを判定す
ることにより到達温度を計測する(例えば日油技研工業
社製サーモクレヨン−M等)ものであった。即ち、溶融
を利用する方式では原理上1つのマーカーでそのマーカ
ーに含まれる示温物質の融点よりも高いか低いかしか計
測することができず、対象物の温度がおよそ何度である
かを計測するには複数のマーカーを組み合わせて使用せ
ざるを得ないという問題があった。特に100℃以上の
高温用としては他のよい方式がないため、結局溶融方式
を採用せざるを得ず、その場合1つのマーカーで温度を
測定することができないのが現状である。
【0012】しかしながら、ニーズの多用化している昨
今では、1つのマーカーで高温領域まで簡便に温度をチ
ェックできるものも望まれている。例えば、工場や製造
ライン等に設置された大型機器類の局所温度測定や、自
動車や電車、船舶等のエンジン、ブレーキ、車軸および
その付随機器の局所温度、さらには蒸着装置内の蒸着ボ
ートやICやLSI等の電子部品の接点部などの微小部
分の温度測定等が挙げられる。この様な高温領域におい
ても1つのマーカーで温度測定の可能な不可逆性温度マ
ーカーの開発が望まれている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、比較的小さな熱エネルギー、即ち比較的弱いヒート
モードレーザー照射で高速に記録することが可能で、か
つ分解能の高い熱記録媒体を提供することである。
【0014】本発明の第2の目的は、有機エレクトロル
ミネッセンス素子において有機層を積層した後にレーザ
ー光等の微小領域での熱エネルギー供与が可能な手段を
用い、夾雑物を生成することなく多色化を実現する方法
を提供することである。
【0015】本発明の第3の目的は、小面積でかつ10
0℃以上の高温領域で温度計測が可能な不可逆性温度マ
ーカーを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
の結果、与えられた熱に応じて分子の異性化が起こり、
その結果として蛍光波長が変化し、かつその変化が実質
的に不可逆である一連の化合物群を見つけ出すことに成
功し、その化合物およびその化合物を含む組成物を使用
することによって上記3つの目的を達成するに至った。
【0017】即ち、下記のような構成にて上記目的を達
成できることを見出した。 1.与えられた熱に応じて分子の異性化が起こり、その
結果として蛍光波長が変化し、かつその変化が実質的に
不可逆である熱感応性有機化合物を含有することを特徴
とする組成物。
【0018】2.熱感応性有機化合物の分子の異性化が
分子内の複数箇所で起こることを特徴とする前記1に記
載の組成物。
【0019】3.前記熱感応性有機化合物の分子の異性
化が置換基の回転障害による内部回転異性体への異性化
であることを特徴とする前記1または2記載の組成物。
【0020】4.前記熱感応性有機化合物が、分子内に
複数個の内部回転異性を付与しうる結合軸をもつビアリ
ール基を有することを特徴とする前記1〜3のいずれか
1項に記載の組成物。
【0021】5.蛍光性を有し、複数の内部回転異性体
が存在しうる構造を有する有機化合物を含有する組成物
であって、該有機化合物及び少なくとも1つの該有機化
合物の内部回転異性体を含有することを特徴とする組成
物。
【0022】6.蛍光性を有し、複数の内部回転異性体
が存在しうる構造を有する有機化合物が前記一般式
(1)で表される化合物であることを特徴とする前記5
に記載の組成物。
【0023】7.内部回転異性体が鏡像体または少なく
とも1種のジアステレオ異性体であることを特徴とする
前記6に記載の組成物。
【0024】8.前記一般式(A1)で表される、分子
内に複数個の、内部回転異性を付与しうる結合軸を有す
るビアリール基を含有することを特徴とするトリアリー
ルアミン化合物。
【0025】9.蛍光性を有し、複数の内部回転異性体
が存在しうる構造を有する有機化合物が前記一般式(A
1)で表される化合物であることを特徴とする前記5に
記載の組成物。
【0026】10.内部回転異性体が鏡像体または少な
くとも1種のジアステレオ異性体であることを特徴とす
る前記9に記載の組成物。
【0027】11.与えられた熱に応じて蛍光発光波長
が不可逆に変化することを特徴とする前記5、6、7、
9及び10のいずれか1項に記載の組成物。
【0028】12.前記1〜4及び11の何れか1項に
記載された組成物を含有することを特徴とする有機薄
膜。
【0029】13.前記8に記載された化合物を含有す
ることを特徴とする有機薄膜。 14.前記1〜4及び11の何れか1項に記載された組
成物を含有することを特徴とする熱記録媒体。
【0030】15.前記8に記載された化合物を含有す
ることを特徴とする熱記録媒体。 16.前記1〜4及び11の何れか1項に記載された組
成物を含有することを特徴とする追記型情報記録要素。
【0031】17.前記8に記載された化合物を含有す
ることを特徴とする追記型情報記録要素。
【0032】18.前記14又は15に記載された熱記
録媒体にレーザー光で情報を書き込むことを特徴とする
記録方法。
【0033】19.前記14又は15に記載された熱記
録媒体に書き込まれた情報を蛍光発光により読みとるこ
とを特徴とする情報の読み出し方法。
【0034】20.少なくとも2つの電極間に少なくと
も1種の有機化合物層を挟持した有機エレクトロルミネ
ッセンス素子において、該有機層の少なくとも1つが、
有機化合物が置換基の回転により複数の箇所で異性化を
起こしうる有機化合物及び該化合物の少なくとも1種の
内部回転異性体を含有する組成物であることを特徴とす
る有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0035】21.少なくとも1種の内部回転異性体が
鏡像体又はジアステレオ異性体であることを特徴とする
前記20に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0036】22.前記置換基の回転により複数の箇所
で異性化を起こしうる化合物及び該化合物の少なくとも
1種の内部回転異性体を含有する組成物が前記6、7、
9または10のいずれか1項に記載の組成物であること
を特徴とする前記20に記載の有機エレクトロルミネッ
センス素子。
【0037】23.少なくとも2つの電極間に前記1〜
4及び11の何れか1項に記載された組成物を含有する
少なくとも1種の有機化合物層を挟持する有機エレクト
ロルミネッセンス素子の発光波長を該組成物に熱を与え
ることにより変化させることを特徴とする有機エレクト
ロルミネッセンス素子の多色化方法。
【0038】24.少なくとも2つの電極間に前記5、
6、7、9または10のいずれか1項に記載された組成
物を含有する少なくとも1種の有機化合物層を挟持する
有機エレクトロルミネッセンス素子の発光波長を該組成
物に熱を与えることにより変化させることを特徴とする
有機エレクトロルミネッセンス素子の多色化方法。
【0039】25.熱の供給手段がレーザー光線である
ことを特徴とする前記23および24記載の有機エレク
トロルミネッセンス素子の多色化方法。
【0040】26.前記1〜4及び11の何れか1項に
記載された組成物を含有する物体を不可逆性温度マーカ
ーとして使用し、その蛍光波長変化により該物体が存在
した場所の温度を測定することを特徴とする温度測定方
法。
【0041】27.シートまたはペレット中に、前記1
〜4及び11の何れか1項に記載された組成物を含有す
ることを特徴とする不可逆性温度マーカー。
【0042】以下に本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、与えられた熱に応じて起こる分子の異性化は、
熱の関数として連続的に起こってもよいし、または熱エ
ネルギーが域値を越えた場合に段階的に起こってもよ
い。
【0043】本発明において、分子の異性化とは、分子
中に新たな結合形成や結合の切断が起こることなしに、
分子状態が変化することを言い、具体的には熱による内
部回転異性体の異性化や、シス−トランスの異性化、s
yn−antiの異性化等が挙げられるが、本発明で最
も適している異性化は、熱による内部回転異性体の異性
化(置換基の回転障害が熱的に緩和され自由回転するこ
とに起因する異性化)である。
【0044】本発明において、蛍光波長の変化とは、任
意の波長の励起光を照射した際に熱を与える前と与えた
後とで、その蛍光発光の発光極大波長が5nm以上変化
することを意味し、その蛍光波長測定条件は、固体状態
でも薄膜状態でも結晶状態でも分散状態でもよく、それ
らの何れかの状態で5nm以上変化すればよいが、希薄
溶液状態ではその変化が認められない場合があるので好
ましくない。
【0045】本発明において、蛍光波長の変化が実質的
に不可逆であるとは、ある熱量を加えて変化させた蛍光
波長または蛍光スペクトルの波形が、50℃で24時間
保存した際に、熱供与前の蛍光波長にもどらず(蛍光ス
ペクトルの波形がもとの状態に戻らない)かつ、100
0ルクスの照明下24時間保存しても熱供与前の蛍光波
長にもどらないものであることを意味する。
【0046】本発明において、分子内の複数箇所で異性
化を起こす分子とは、例えばその異性化が熱による内部
回転異性体の異性化(置換基の回転障害が熱的に緩和さ
れ自由回転することに起因する異性化)の場合、分子内
に2つ以上の、内部回転異性を付与しうる結合軸をもつ
置換基があれば特に制限はなく、「内部回転異性を付与
しうる結合軸」とは、例えば下記1,1′−ビナフチル
のナフタレン核とナフタレン核をつなぐ結合軸のよう
に、常温常圧下において立体障害により360度の自由
回転ができないような結合軸のことを意味し、便宜的に
はCPK模型を組んだ際に360度の自由回転ができな
ければその結合軸は「内部回転異性を付与しうる結合
軸」であると言うことができる。
【0047】
【化2】
【0048】また、「内部回転異性を付与しうる結合
軸」を有する化合物には異性体が存在し、その異性体を
「アトロプ異性体」または「内部回転光学異性体」(化
学大辞典 第6巻 第588頁 共立出版)というが、
逆に言うと「内部回転異性を付与しうる結合軸」をもつ
化合物(または置換基)とは「アトロプ異性体」または
「内部回転光学異性体」が存在する化合物(または置換
基)と言い換えることもできる。
【0049】本発明において、特に断りのない限り、ア
リール基は芳香族炭化水素(例えばフェニル、ナフチ
ル、アントリル等)系でも、芳香族複素環(例えばキノ
リル、ピリジル、チエニル、ベンゾイミダゾリル、イン
ドリル等)系でもどちらでもよく、さらに任意の置換基
によって置換されていてもよく、さらに飽和または不飽
和の環で縮合環を形成していてもよいものと定義する。
【0050】本発明において、ビアリール基とは、前記
アリール基が2つ結合手を介して直接結合(連結基を介
することなしに直接結合)した基を示し、1価でも、ま
た多価であってもよく、結合する2つのアリール基は同
一であっても異なっていてもよい。
【0051】以下に「内部回転異性を付与しうる結合軸
を持つビアリール基」を有する置換基の基本骨格(図で
示す化合物から任意の位置の水素原子を取り除いたもの
が置換基となる。また、その基本骨格はさらに置換基に
よって置換されていても良く、さらに縮合環を形成して
もよい。)の一例を示すが本発明はこれらに限定される
ものではない。
【0052】
【化3】
【0053】
【化4】
【0054】なお、構造式中のR101〜R136で表される
置換基は、Taftの立体的パラメータEs値(Ung
er,S.H.,C.:Prog.Phys.Org.
Chem.12,91(1976)および「薬物の構造
活性相関−ドラッグデザインと作用機構研究への指針」
化学の領域増感122号 南江堂社刊 第124〜12
6ページ)が−1.00よりも小さい置換基を表し、例
えば臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、エチル基、プロ
ピル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、tert
−ブチル基等の分岐アルキル基、シクロペンチル基、シ
クロブチル基等の環状アルキル基、フェニル基、ナフチ
ル基等の芳香族基、ピリジル基、イミダゾリル基、フリ
ル基等の複素環基、ニトロ基、メルカプト基等が挙げら
れる。
【0055】本発明において、内部回転異性を付与しう
る結合軸を持つビアリール基のうち特に好ましいもの
は、1,1′−ビナフチル部分を有するアリール基であ
る。1,1′−ビナフチルは前に示したが、該1,1′
−ビナフチル部分を有するアリール基とは、 1,1′−ビナフチルの任意の位置から水素原子を1
つ取り除いた基、 1,1′−ビナフチルから任意の数(m)の水素原子
を取り除いた1,1′−ビナフチル残基に(m−1)個
のそれぞれ独立した任意の置換基を置換した置換1,
1′−ビナフチル基、 またはアリール基の任意の位置に前記および/また
はの置換1,1′−ビナフチル基が置換したアリール
基を表す。
【0056】本発明において、ジアステレオ異性体と
は、複数個の、内部回転異性を付与しうる結合軸を持つ
ビアリール基をもつ化合物において、その化合物の内部
回転異性体でありながら鏡像関係にないものを意味し、
例えば便宜上3つの、内部回転異性を付与しうる結合軸
を持つビアリール基、をそれぞれBA1,BA2および
BA3とした場合その化合物をBA1−BA2−BA3
と表すことにすると、例えばその化合物の、内部回転異
性を付与しうる結合軸をもつビアリール基、が3つとも
R配置の時を、BA1(R)−BA2(R)−BA2
(R)という略称で示すものとする。この場合、BA1
(R)−BA2(R)−BA2(R)の鏡像体は、BA
1(S)−BA2(S)−BA3(S)になり、その鏡
像体以外の内部回転異性体BA1(S)−BA2(R)
−BA3(R)やBA1(S)−BA2(S)−BA3
(R),BA1(S)−BA2(R)−BA3(S),
BA1(R)−BA2(R)−BA3(S),BA1
(R)−BA2(S)−BA3(R),BA1(R)−
BA2(S)−BA3(S)は全てジアステレオ異性体
(ジアステレオマー)と言うことになる。
【0057】本発明において、ある有機化合物を含有す
る組成物とは、ある有機化合物単独でも、ある有機化合
物を分散した状態でも、ある有機化合物をハイブリッド
した状態でも、ある有機化合物をコンポジットした状態
でもよく、ある有機化合物がある機能発現のために用い
られる場合を(多少なりとも混合されている場合も含
め)「組成物」として定義する。
【0058】本発明において、有機薄膜とは、前記の組
成物を膜状にしたもののことを示し、好ましくは0.1
nm〜10mmの膜厚の膜状物を意味し、さらに好まし
くは、10nm〜100μmの膜状物を意味する。
【0059】次に、本発明の記録媒体の作製方法、およ
び記録媒体に関する付加的構成について説明する。本発
明の記録媒体は、基板上に、必要に応じて下引き層を介
して、記録層を形成し、さらに必要に応じて反射層及び
/又は光熱変換層、保護層、基板表面ハードコート層を
形成することにより作製することができる。
【0060】記録層には、光や熱などの外部エネルギー
の付与効率の向上、光エネルギー付与の際の波長整合
性、レーザ光吸収による発熱性向上などのために、光熱
変換色素を添加してもよい。そのような色素としては、
例えばポリメチン色素、ナフタロシアニン系、フタロシ
アニン系、スクアリリウム系、コロコニウム系、ピリリ
ウム系、ナフトキノン系、アントラキノン(インダンス
レン)系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、アズ
レン系、テトラヒドロコリン系、フェナンスレン系、ト
リフェノチアジン系、アゾメチン系などの染料、および
金属錯体化合物などが挙げられ、これらを単独で用いて
もよいし、2種以上の組合わせて用いてもよい。
【0061】また、記録層中に金属や金属化合物、例え
ばIn、Te、Bi、Al、Be、TeO2、SnO、
As、Cd、Fe、Cu、Cr、Ag、Au、Ptなど
を分散混合して、あるいはこれらを記録層の上下に積層
する形態で用いることもできる。
【0062】さらに、記録層中に高分子材料、例えばア
イオノマー樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニル系樹脂、天
然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の材料、も
しくはシランカップリング剤などを分散混合して用いて
もよいし、あるいは特性改良の目的で、安定剤(例えば
遷移金属錯体)、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、
界面活性剤、可塑剤などと一緒に用いることができる。
【0063】本発明の有機薄膜は、スピンコート法やキ
ャスト法、スプレー法、ローラーコーティング法、蒸着
法、CVD法、LB法、水面展開法、電解法さらにはグ
ラビア印刷やシルク印刷法等の公知の方法で形成するこ
とができる。
【0064】薄膜形成のために塗布法を用いる場合に
は、本発明の化合物の分散状態をつくるための他分子、
例えばポリメタクリル酸エステルまたはポリスチレン誘
導体、および必要により添加される上記補助剤を有機溶
媒に溶解させて、スプレー、ローラーコーティング、デ
ィッピングあるいはスピンコーティングなどの慣用のコ
ーティング法によって、その溶液を基板上あるいは下引
き層上に塗布し乾燥させて記録層を形成すればよい。
【0065】有機溶媒としては、一般にメタノール、エ
タノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセ
トン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなとのケ
トン類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメ
チルホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシ
ドなどのスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチ
ルエーテルなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル
などのエステル類、クロロホルム、塩化メチレン、ジク
ロロエタン、四塩化炭素、トリクロロエタンなどの脂肪
族ハロゲン化炭素類、あるいは、ベンゼン、キシレン、
モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族
類、メトキシエタノール、エトキシエタノールなどのセ
ルソルブ類、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、メ
チルシクロヘキサンなどの炭化水素類などを用いること
ができる。
【0066】記録媒体に用いる基板材料としては、例え
ばポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカー
ボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、
エポキシ樹脂、ポリイミドなどのプラスチック、あるい
はガラス、セラミック、金属などを挙げることができ
る。基板に必要な特性としては、基板側より記録・再生
を行う場合は使用レーザ光に対して透明でなければなら
ず、記録層側から記録・再生を行う場合は透明である必
要はない。また、基板の表面にはトラッキング用の案内
溝や案内ビット、さらにアドレス信号などのプレフォー
マットが形成されていてもよい。
【0067】下引き層は、a)接着性の向上、b)水ま
たはガスなどのバリアー、c)記録層の保存安定性の向
上、d)反射率の向上、e)溶剤からの基板の保護、
f)案内溝・案内ビット・プレフォーマット等の形成な
どを目的として使用されるものであり、a)の目的に対
しては高分子材料、例えばアイオノマー樹脂、ポリアミ
ド樹脂、ビニル系樹脂、天然樹脂、天然高分子、シリコ
ーン、液状ゴムなどの種々の高分子物質、およびシラン
カップリング剤などを用いることができ、b)および
c)の目的に対しては、上記高分子材料以外に無機化合
物、例えばSiO2、MgF2、SiO、TiO2、Zn
O、TiN、SiNなど、或いは金属または半金属、例
えばZn、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Au、A
g、Alなどを用いることができる。またd)の目的に
対しては金属、例えばAl、Ag等や、金属光沢を有す
る有機薄膜、例えばメチン染料、キサンテン系染料等を
用いることができ、e)およびf)の目的に対しては紫
外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を用いる
ことができる。下引き層の膜厚としては、0.01〜3
0μmが好ましく、特に0.05〜10μmが好まし
い。
【0068】保護層または基板表面ハードコート層は、
a)傷、ホコリ、汚れ等からの記録層の保護、b)記録
層の保存安定性の向上、c)反射率の向上などを目的と
して使用されるものであり、前記下引き層の材料として
示した材料を用いることができる。また無機材料とし
て、SiO、SiO2なども用いることができ、有機材
料として、ポリメチルアクリレート、ポリカーボネー
ト、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリエステル樹脂、
ビニル樹脂、セルロース、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族
炭化水素樹脂、天然ゴム、スチレン−ブタジエン樹脂、
クロロプレンゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性
油、ロジン等の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性
樹脂なども用いることができる。上記材料のうち保護層
または基板表面ハードコート層に最も好ましい物質は、
生産性に優れた紫外線硬化樹脂である。保護層または基
板表面ハードコート層の膜厚としては、0.01〜30
μmが好ましく、特に0.05〜10μmが好ましい。
【0069】なお、下引き層、保護層または基板表面ハ
ードコート層には、記録層の場合と同様に、安定剤、分
散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤
等を含有させることができる。
【0070】反射層には単体で高反射率の得られる、腐
食されにくい金属、半金属等を用いることができ、材料
例としてはAu、Ag、Cu、Cr、Ni、Alなどが
挙げられ、特にAu、Alが好ましい。これらの金属、
半金属は単独で使用してもよく、2種以上の合金として
使用してもよい。膜形成方法としては、蒸着、スパッタ
リングなどが挙げられ、膜厚としては5nm〜300n
mが好ましく、特に10nm〜100nmが好ましい。
【0071】光熱変換層は、記録層(本発明の化合物を
含有する層)に隣接する層に用いることが好ましく、材
料としてはAu、Ag、Cu、Cr、Ni、Al、F
e、Cu、Pt、Co、Znなどの金属、および/また
はレーザ光の発光波長に吸収吸収を持つ色素を添加して
もよい。そのような色素としては、例えばポリメチン色
素、ナフタロシアニン系、フタロシアニン系、スクアリ
リウム系、コロコニウム系、ピリリウム系、ナフトキノ
ン系、アントラキノン(インダンスレン)系、キサンテ
ン系、トリフェニルメタン系、アズレン系、テトラヒド
ロコリン系、フェナンスレン系、トリフェノチアジン
系、アゾメチン系などの染料が挙げられる。
【0072】次に、本発明における情報記録の具体的な
手段について説明する。本発明において、蛍光波長変化
を起こさせるには熱エネルギーを用いる。熱エネルギー
を与える手段としては、レーザー光やサーマルヘッドな
どを用いることができる。高密度記録にはスポット径を
小さくできるレーザー光が有利である。なお、レーザー
光を効率よく有機色素分子に吸収させるためには、前記
の如く一般にレーザー波長に吸収を持つ光吸収層、光熱
変換層などを設けることが好ましい。また、サーマルヘ
ッドは分解能は大きくないが、大きな面積を加熱する場
合および透明な物質を加熱する場合に都合がよく、表示
記録媒体に好適である。
【0073】これらの加熱方法は一般に記録操作で用い
られるが、本発明の化合物を用いた記録媒体を必要に応
じて消去することも可能である。消去の方法は、記録さ
れた部分を再加熱しそれを急冷することにより最初の加
熱されていない蛍光波長の状態に近づけることができ
る。消去操作には記録媒体を一度に加熱できる熱板プレ
ス法やロール法などが好ましいがレーザー光を用いても
構わない。さらに、加熱された記録媒体を冷却するには
自然放熱してもよいが、冷板プレス法、ロール法、また
は冷気流により急冷する方法が好ましい。
【0074】本発明では、ある波長領域での蛍光強度を
検出して記録媒体に記録された情報を出力することがで
きるが、励起光と蛍光との波長が異なるため、蛍光強度
の測定感度(記録の読み出し感度)を高くすることがで
きる。しかも、蛍光は発光領域が小さくても四方に放射
されるため、記録領域を極めて小さくすることができ、
高密度記録に適する。例えば最近では、分子1個からの
蛍光発光も測定されており、原理的に分子サイズ近くま
での超高密度記録も可能である。さらに蛍光の検出に当
って、検出手段の厳密な位置制御が不要となり、ひいて
はシステムの小形化が可能となる。またEL強度を検出
して情報を出力する場合は、単に情報記録媒体に所定の
電界を印加するだけで自己発光を示すので、光源の別設
などが不要となる。
【0075】いずれにおいても、反射率や吸収率の違い
を検出する方法と異なり、膜厚を特に厳密に制御する必
要はなく、作製プロセス上も有利である。
【0076】さらに本発明の化合物の中には、与えられ
た熱により約100nmくらい蛍光波長が変化するもの
がある。それらは与える熱量により連続的に波長が変化
するため、検出側の操作によりon−offの2値ばか
りでなく多値の記録再生も可能である。当然のことなが
ら、そのような多値記録は記録密度を著しく増加させる
ことができる優れた性能である。
【0077】次に、本発明の有機エレクトロルミネッセ
ンス素子の作製方法について説明する。
【0078】本発明でいうエレクトロルミネッセンス素
子とは、基盤上に(エレクトロルミネッセンス材料
と、)エレクトロルミネッセンス材料を含有する層を挟
んで一対の対向電極を有する素子をいう。
【0079】本発明におけるエレクトロルミネッセンス
素子は、必要に応じて電子注入層や、正孔注入層を介在
させてもかまわない。
【0080】本発明のエレクトロルミネッセンス素子に
好ましく用いられる基盤は、ガラス、プラスチックなど
の種類には特に限定はなく、また、透明のものであれば
特に制限はない。本発明のエレクトロルミネッセンス素
子に好ましく用いられる基盤としては例えばガラス、石
英、光透過性プラスチックフィルムを挙げることができ
る。
【0081】光透過性プラスチックフィルムとしては、
例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエ
チレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン
(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテ
ルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレー
ト、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルロー
ストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプ
ロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げら
れる。
【0082】本発明のエレクトロルミネッセンス素子
は、本発明の化合物および/またはそれを含有する組成
物を発光層に用いることが好ましいが、公知の発光材料
と併用してもかまわない。具体的には例えば「有機EL
素子とその工業化最前線」1998年11月30日
(株)エヌ・ティー・エス発行(以下、文献Aというこ
ともある)の第1編第3章(第35頁〜第51頁)に記
載されている低分子系発光材料、同文献Aの第1編第4
章(第55頁〜第79頁)に記載されている色素ドープ
材料、同文献Aの第1編第5章(第81頁〜第100
頁、第178頁〜第189頁、第192頁〜第212
頁)に記載されている高分子系材料などを挙げることが
できる。また、これらの文献中の引用文献に挙がってい
る化合物も同様に使用することができる。
【0083】エレクトロルミネッセンス素子は通常2つ
の電極間に単層または複数の層を含有して構成され、該
構成層としては前記発光層の他に正孔注入層(または電
荷注入層、ホール注入層、電荷輸送層、ホール輸送層と
もいう)、電子注入層(または電子輸送層ともいう)等
が挙げられる。
【0084】前記、正孔注入層および電子注入層は必要
に応じてさらに積層構造をとっていてもよく、例えば、
陽極/第1正孔注入層/第2正孔注入層(正孔輸送層)
/発光層/第2電子注入層(電子輸送層)/第1電子注
入層/陰極のような層構成を取ってもよい。
【0085】以下に本発明におけるエレクトロルミネッ
センス素子の層構成の例を示す(ただし、上記の如く複
数の正孔注入層および/または電子注入層についての記
載は省略するが、当然それらが複数の化合物を重ねてな
る積層構造を形成していても良い。)。
【0086】(1)基板/陽極/発光層/陰極 (2)基板/陽極/正孔注入層/発光層/陰極 (3)基板/陽極/発光層/電子注入層/陰極 (4)基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/
陰極 ここで、各素子はさらに各素子の外側を基板で覆っても
良い。なお、陽極と発光層または正孔注入層の間、およ
び、陰極と発光層または電子注入層との間にはバッファ
ー層(電極界面層)を存在させてもよい。
【0087】バッファー層とは、駆動電圧低下や発光効
率向上のために電極と有機層間に設けられる層のこと
で、文献Aの第2編第2章「電極材料」(第123頁〜
第166頁)に詳細に記載されており、陽極バッファー
層と陰極バッファー層とがある。
【0088】陽極バッファー層としては、銅フタロシア
ニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バ
ナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファ
スカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディ
ン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子
バッファー層等が挙げられる。
【0089】陰極バッファー層としては、ストロンチウ
ムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フ
ッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファ
ー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金
属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される
酸化物バッファー層等が挙げられる。
【0090】上記バッファー層はごく薄い膜であること
が望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1〜10
0nmの範囲が好ましい。
【0091】発光層、正孔注入層、電子注入層又はバッ
ファー層を形成する方法としては、例えば蒸着法、スピ
ンコート法、キャスト法、LB法などの公知の方法によ
り薄膜化することにより形成することができる。
【0092】また、この発光層は、特開昭57−517
81号公報に記載されているように、樹脂などの結着材
と共に上記発光材料を溶剤に溶かして溶液としたのち、
これをスピンコート法などにより薄膜化して形成するこ
とができる。このようにして形成された発光層の膜厚に
ついては特に制限はなく、状況に応じて適宜選択するこ
とができるが、5nm〜5μmの範囲で用いられること
が好ましい。
【0093】このエレクトロルミネッセンス素子におけ
る陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金
属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極
物質とするものが好ましく用いられる。このような電極
物質の具体例としてはAuなどの金属、CuI、インジ
ウムティンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO、亜
鉛ドープ酸化インジウム(IZO)などの導電性透明材
料が挙げられる。該陽極は、これらの電極物質を蒸着や
スパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させ、フ
ォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成し
てもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない
場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着や
スパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパター
ンを形成してもよい。
【0094】この陽極より発光を取り出す場合には、透
過率を10%より大きくすることが望ましく、また、陽
極としてのシート抵抗は103Ω/□以下が好ましい。
陽極の膜厚は材料によって適宜選択できるが、10nm
〜1μm程度で用いるのが好ましく、10〜200nm
であることが更に好ましい。
【0095】一方、陰極としては、仕事関数の小さい
(4eV未満)金属(電子注入性金属と称することもあ
る)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電
極物質とするものが用いられる。このような電極物質の
具体例としては、カリウム、ナトリウム、ナトリウム−
カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム
/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/
アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合
物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合
物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土
類金属などが挙げられる。
【0096】これらの中で、電子注入性及び酸化などに
対する耐久性の点から、マグネシウム/銀混合物、マグ
ネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジ
ウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2
3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物などのよ
うに、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きな
金属との混合物が好適である。
【0097】ただし、陰極表面に前記のような陰極バッ
ファー層を塗設して使用する場合には、仕事関数の制限
は解除され、例えば特開平11−224783号に記載
されているように陰極バッファー層(該特許明細書中で
は「電子注入層」と称している)にアルカリ金属やアル
カリ土類金属のフッ化物を用いることにより、陰極はI
TOやSnO2、In23、ZnO:Al等の通常陽極
として使用される仕事関数の大きな物質を使用すること
もでき、また文献Aの第145頁第15行目〜第28行
目に記載されているように、陰極バッファー層としてフ
ッ化リチウム(膜厚0.5〜1μm)を用いることによ
り、アルミニウムが陰極材料として使用できること、等
が知られており、このような陰極バッファー層を用いる
場合の陰極材料としては、前記酸化アルミニウム等の金
属酸化物やアルミニウムの他、銀、銅、プラチナ、金等
の周期律表で「金属」として定義されている元素が使用
できる。
【0098】該陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパ
ッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることに
より作製することができる。さらに、特開平11−80
74号に記載されているようなメッキ法によって作製す
ることも可能である。
【0099】陰極としてのシート抵抗は103Ω/□以
下が好ましい。また、陰極の膜厚は10nm〜100μ
mであることが好ましく、50〜2000nmであるこ
とが更に好ましい。
【0100】なお、発光を透過させるため、電極が透明
又は半透明であることが発光効率を向上させ好ましい。
【0101】ここで、電極が透明又は半透明であるとは
400nm〜700nmにおける可視光透過率が20%
以上であることを意味し、50%以上であることが好ま
しい。
【0102】本発明において必要に応じて設けられる正
孔注入層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達す
る機能を有するものであり、この正孔注入層を陽極と発
光層の間に介在させることにより、より低い電界で多く
の正孔が発光層に注入される。また、発光層に陰極又は
電子注入層より注入された電子と、発光層と正孔注入層
の界面に存在する電子の障壁により、発光層内の界面に
累積され発光効率が向上するなど発光性能の優れた素子
となる。
【0103】この正孔注入層に用いられる材料(以下、
正孔注入材料という)については、前記の機能を有する
ものであれば特に制限はなく、従来、公知のものの中か
ら任意のものを選択して用いることができる。
【0104】上記正孔注入材料は、正孔の注入、電子の
障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物
のいずれであってもよい。
【0105】有機の正孔注入材料には、例えば、特開昭
63−295695号公報、特開平2−191694号
公報、特開平3−792号公報、特開平5−23468
1号公報、特開平5−239455号公報、特開平5−
299174号公報、特開平7−126225号公報、
特開平7−126226号公報、特開平8−10017
2号公報、EP650,955A1号公報等に記載され
ている各種有機化合物を用いることができる。例えば、
フタロシアニン誘導体、テトラアリールベンジシン化合
物、芳香族三級アミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾー
ル誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、
アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、ポリチオフ
ェン等である。これらの化合物は2種以上を併用しても
よく、併用するときは別層にして積層したり、混合した
りすればよい。
【0106】正孔注入層を積層して使用する場合(正孔
注入と正孔輸送の機能を使い分ける時)は、上記の化合
物のなかから好ましい組合せを選択して用いることがで
きる。このとき、陽極(ITO等)側からイオン化ポテ
ンシャルの小さい化合物の層の順に積層することが好ま
しい。
【0107】また、陽極表面には薄膜性(製膜性)の良
好な化合物(例えば特開平4−308688号等に記載
されているスターバースト型化合物等がその代表例であ
る)を用いることが好ましい。
【0108】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素
子は、有機層を積層した後にレーザー光やサーマルヘッ
ド等の熱供与手段を用いて発光色の色変化(多色化)を
施すため、積層される有機物は熱的に安定なものが好ま
しく、特にガラス転移点(Tg)が100℃以上のもの
が好ましい。その観点から、正孔注入材料はフタロシア
ニン誘導体または無機材料が好ましく、電子注入材料は
金属錯体化合物が好ましい。また前記の陽極バッファー
層や陰極バッファー層などの使用も好ましい。
【0109】次に本発明の不可逆性温度マーカーについ
て説明する。本発明の不可逆性温度マーカーは、本発明
の化合物を含有していれば特に形状や添加状態に制限は
ないが、形状としてはシート状またはペレット状が好ま
しく、添加状態は本発明の化合物およびそれを含有する
組成物単独か、または無機材料(例えばSiO2、Ti
2、ZnO、ゼオライト等)や有機高分子材料(例え
ばポリメチルアクリレート、ポリカーボネート、エポキ
シ樹脂、ポリスチレン、ポリエステル樹脂、ビニル樹
脂、セルロース、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素
樹脂、天然ゴム、スチレン−ブタジエン樹脂、クロロプ
レンゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジン
等の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂など)
に分散、ハイブリッド、またはコンポジットした状態が
好ましい。
【0110】本発明の不可逆性温度マーカーは、本発明
の化合物の他にさらに有色の色素や染料を含有していて
もよい。
【0111】次に本発明に用いられる化合物について説
明する。本発明に用いられる化合物の第1の特徴は、熱
によって異性化が起こりその結果として蛍光波長が変化
することである。情報記録媒体用の有機化合物としてこ
れと類似したものが、特開平7−254153号に記載
されているが、そこに記載されている化合物は熱によっ
て結晶−非晶質転移を起こし、その際に蛍光強度が変化
することを利用しており、化合物の結晶状態変化のみを
利用し、異性化を利用していない点で本発明と異なるも
のである。
【0112】本発明に用いられる化合物の第2の特徴
は、分子の異性化が置換基の回転障害による内部回転異
性体の異性化であることである。
【0113】内部回転異性体(またはアトロプ異性体)
はアミノ酸などの生体関連化合物に多く存在する炭素原
子に異なる4つの置換基が結合した、いわゆる光学活性
炭素タイプの異性体とはことなり、置換基同士の回転障
害に起因するキラリティーの発現が特徴である。そのた
め、異性化(ラセミ化)する際に結合の切断や再結合の
必要がなく、単に熱的な回転障壁緩和がドライビングフ
ォースになる。
【0114】本発明に用いられる化合物の第3の特徴
は、置換基の回転障害による内部回転異性体の異性化を
起こす箇所が分子内に少なくとも2つ存在することであ
る。
【0115】即ち、キラリティーを発現する箇所が複数
箇所存在する分子であるため、鏡像体以外のジアステレ
オ異性体を複数共存させることができることが特徴であ
る。
【0116】また、有機合成の原則から、ラセミの原料
を光学活性源なしに反応させると、必ずラセミの生成物
(例えば、精製した化合物の旋光度は基本的にゼロであ
る)を与え、もし、生成物に複数箇所のキラリティーを
発現する箇所(内部回転異性を付与する結合軸や光学活
性炭素)が存在する場合には、それらの中には必然的に
複数の回転異性体(鏡像体対とジアステレオマー異性
体)が共存することになる。
【0117】本発明の化合物が、熱により蛍光波長が変
化する大きな要因は上記第3の特徴によるものと推定し
ている。
【0118】つまり、合成時に生成する回転異性体(鏡
像体対やジアステレオマー異性体)混合物は、熱力学的
には最安定状態ではなく、準安定状態であり、その混合
物に熱を加えることにより内部回転障壁が緩和され(自
由回転が起こり)最安定状態へと異性化するものと考え
られる。おそらく複数種あった回転異性体(鏡像体やジ
アステレオマー異性体)の存在比率が変化し、それに伴
う分子会合状態の変化が蛍光波長の変化を引き起こして
いるものと推定しているが、今のところ確証を掴むに至
っていない。
【0119】従って、この自由回転を、安定なコンフォ
メーションに収束させれば(徐冷すれば)不可逆性の蛍
光波長変化が得られるし、逆に最安定状態(蛍光波長が
変化した状態)をさらに加熱し自由回転が瞬時に停止す
る程度の速い速度で冷却してやれば、最初の準安定状態
に戻すことも可能である。
【0120】以下に一般式(A1)で表される本発明の
化合物の具体例を示すが、本発明はそれらに限定される
ものではない。なお、ジアステレオ異性体については特
に表記しないが、断りのない限り一つの構造でその鏡像
体およびジアステレオ異性体を混合していることを意味
するものとする。
【0121】
【化5】
【0122】
【化6】
【0123】
【化7】
【0124】
【化8】
【0125】
【化9】
【0126】
【化10】
【0127】
【化11】
【0128】
【化12】
【0129】又、以下に一般式(1)又で表される本発
明の化合物の具体例を示すが、本発明はそれらに限定さ
れるものではない。
【0130】
【化13】
【0131】
【化14】
【0132】
【化15】
【0133】
【化16】
【0134】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0135】実施例1 例示化合物A−3の合成
【0136】
【化17】
【0137】(中間体2の合成)1,1′−ビナフチル
50gを2000mlの4頭フラスコ内で塩化メチレン
600mlに溶解させ、氷浴中において臭素10.2m
lを塩化メチレンで10倍希釈した溶液を少量ずつ滴下
した。その後液温を室温に戻しさらに3時間攪拌した。
【0138】反応液の溶媒を減圧留去し、得られた粗生
成物をアセトニトリルから再結晶し、さらにメタノール
によって懸濁洗浄を2回行うことにより中間体1を4
3.9g得た。
【0139】次に窒素置換した1000mlの3頭フラ
スコ中に、前記中間体1を25gとりこれに脱水テトラ
ヒドロフラン(以後TFHと略)100mlを加えて溶
解した後、ドライアイスとメタノールを入れた浴で冷却
し、その溶液中に1.5モル濃度のn−ブチルリチウム
のヘキサン溶液50mlを約30分かけて徐々に滴下し
た。滴下終了後1時間攪拌し、さらにその反応溶液にト
リメトキシボラン8.5mlを約30分かけて滴下し
た。反応溶液を室温まで昇温させ、室温でさらに1時間
攪拌した後、10%の希硫酸を少量ずつ加え、室温で4
時間攪拌した。
【0140】反応液に酢酸エチル200mlと水100
mlを加えて分液し、有機相を無水硫酸マグネシウムで
乾燥させた。有機溶媒を減圧で留去し、淡黄色オイル状
の粗精製物を得た。
【0141】この粗生成物をシリカゲルカラムクロマト
グラフィーにて精製し、さらに酢酸エチル/テトラヒド
ロフランの混合溶媒で再結晶することにより白色固体状
の中間体2を18g得た。(構造は1HNMR,FDマ
ススペクトルで確認した) (中間体3の合成)トリフェニルアミン25.2gをク
ロロホルム200mlに室温で溶解し、その溶液を氷浴
で内温約0℃とした。そこに、臭素49.2gを200
mlのクロロホルムに溶解した溶液を約2時間かけて滴
下した。滴下後約2時間室温で攪拌した後、約50℃に
暖めたn−ヘキサン300mlを加えて静置した。析出
した粗結晶を取り出し、さらにトルエン/エタノール=
3/4の混合溶媒で再結晶することにより、白色結晶の
中間体3を46.6g得た。(構造は1HNMR,FD
−マススペクトルで同定した。) (例示化合物A−3の合成)300mlの3頭フラスコ
に、中間体2を15.2g(45mmol)と中間体3
を5.8g(12mmol)および1,4−ジオキサン
を150ml加え、加熱して溶解させた。次に、炭酸カ
リウム10.45gを水100mlに溶かし、これを上
記ジオキサン溶液に加えた。この溶液に窒素ガスを約3
0分導入した後、触媒のトリフェニルホスフィンパラジ
ウム(Pd(PPh34:アルドリッチ社製)1.74
gを加えた。その後、窒素気流下、内温85〜90℃で
8時間加熱攪拌しカップリング反応を行った。
【0142】反応終了後、反応液を室温まで冷却したと
ころ黄褐色の固体が生成した。反応液にテトラヒドロフ
ランを加えてこの固体を溶解させ、不溶物を吸引濾過し
た後に飽和食塩水とテトラヒドロフランを加え分液して
有機相を得た。この有機相を無水硫酸マグネシウムで乾
燥させ、溶媒を減圧留去し、褐色オイル状の粗生成物約
14gを得た。
【0143】この粗生成物4.7gを取り、カラムクロ
マトグラフィーで精製(展開溶媒はシクロヘキサン:ト
ルエン=9:1〜2:1)し、得られた固体をトルエン
/メタノールの混合溶媒で再結晶することにより、白色
の例示化合物A−3を1.13g得た。(構造は1HN
MR,FD−マススペクトルで同定した。融点は約22
0〜250℃であった。ガラス転移温度(Tg)は17
0℃であった。) 図1に例示化合物A−3のテトラヒドロフラン中での蛍
光スペクトルおよび吸収スペクトルを示す(吸収極大波
長:361nm、蛍光極大波長:441nm)、更に励
起スペクトルを示す。なお、蛍光量子収率は0.57で
あった。
【0144】図2に例示化合物A−3の高速液体クロマ
トグラフィーチャートを示す。なお、測定に用いたカラ
ム(固定相)はGLサイエンス社製Inertsil
ODS−2(充填剤の平均粒径5μm、口径4.6m
m、長さ250mm)、移動相はアセトニトリル100
%、流速4ml/min、カラム温度60℃で測定し
た。
【0145】図2でわかるように例示化合物A−3には
2つの成分がある(RTで7.38分と8.57分の成
分)。また用いたカラムが非光学活性の充填剤(オクタ
デシルシリカ)であることから、この2つの成分は鏡像
体ではない。さらに、この2つの成分を分取しそれぞれ
マススペクトルを測定したところ、両者ともにm/e=
1001の分子イオンピークを示し、フラクションパタ
ーンも全く同じであった。以上のことから、この2つの
ピークはジアステレオマー異性体に相当するものである
ことが明らかになった。
【0146】実施例2(高密度記録媒体の作製) 厚さ約0.5mmのガラス板上に金属クロムを蒸着して
光熱変換層を形成した。一方、光学研磨された厚さ1.
2mmのガラス基板上に本発明の化合物A−3の10%
テトラヒドロフラン溶液をスピンコート法により塗設し
た後80℃の真空オーブンで2時間乾燥させ(乾燥後の
膜厚約80nm)本発明の化合物を含有した有機薄膜を
得た。この有機薄膜の有機物側にさらに厚さ約0.5m
mのガラスを載せ、厚着後四方をエポキシ系接着剤で封
止した。以上のようにして、ガラス基板\記録層\光熱
変換層\ガラス板という構造の本発明の化合物を含有し
た記録媒体を作製した。
【0147】この記録媒体を900rpmで回転させな
がら、半導体レーザーから波長780nmのレーザービ
ームをスポット径1μm、照射強度10mWの条件で照
射した。この後、光記録媒体を蛍光顕微鏡(励起光の波
長350nm)で観察した結果、レーザービーム照射部
のみが緑色に強い蛍光を発する幅約1μmのラインが観
察された。なお非照射部は紫色に見えた。
【0148】また、同じ記録媒体を900rpmで回転
させながら、半導体レーザーから波長780nmのレー
ザービームをスポット径1μm、照射強度1mWの条件
で照射した。この後、光記録媒体を蛍光顕微鏡(励起光
の波長350nm)で観察した結果、レーザービーム照
射部のみが青色に強い蛍光を発する幅約1μmのライン
が観察された。なお非照射部は紫色に見えた。
【0149】以上のように本発明の化合物を含有した記
録媒体を用いることにより、高密度に情報の記録および
再生ができることがわかり、さらに書き込む時のエネル
ギーを変化させることにより他の色に蛍光を発する記録
部を作製することができることもわかった。即ち、照射
エネルギー量の調整により多値記録が可能であることが
わかった。
【0150】実施例3(高密度光記録媒体) 記録層として、構造式(A−3)で示される化合物の代
わりに構造式(A−20)で示される化合物を用いた以
外は実施例1と同様にして、ガラス基板\記録層\光熱
変換層\ガラス板という構造の光記録媒体を作製した。
【0151】この光記録媒体を900rpmで回転させ
ながら、半導体レーザーから波長780nmのレーザー
ビームをスポット径1μm、照射強度10mWの条件で
照射した。この後、光記録媒体を蛍光顕微鏡で観察した
結果、レーザービーム照射部のみが緑色に強い蛍光を発
する幅約1μmのラインが観察された。なお非照射部は
紫色に見えた。
【0152】また、同じ記録媒体を900rpmで回転
させながら、半導体レーザーから波長780nmのレー
ザービームをスポット径1μm、照射強度1mWの条件
で照射した。この後、光記録媒体を蛍光顕微鏡(励起光
の波長350nm)で観察した結果、レーザービーム照
射部のみが青紫色に強い蛍光を発する幅約1μmのライ
ンが観察された。なお非照射部は紫色に見えた。
【0153】その他、記録層に本発明の化合物B−4,
B−12,B−18,B−19を用いた記録媒体におい
ても同様の結果が得られた。
【0154】実施例4(高分子分散型高密度記録媒体) 厚さ0.5mmのガラス基板上に金属クロムを蒸着して
光熱変換層を形成した。また、構造式(A−3)で示さ
れる化合物とポリメチルアクリレートとを質量比1:2
の割合で含有するシクロペンタノン溶液を調製した。次
いで、前記光熱変換層上にこのシクロペンタノン溶液を
ディップ塗布法で塗布し、80℃の真空オーブンで2時
間乾燥させ(乾燥後の膜厚約150nm)本発明の化合
物を含有した有機薄膜を得た。この有機薄膜の有機物側
にさらに厚さ約0.5mmのガラスを載せ、厚着後四方
をエポキシ系接着剤で封止した。以上のようにして、ガ
ラス基板\記録層\光熱変換層\ガラス板という構造の
本発明の化合物を含有した記録媒体を作製した。
【0155】この光記録媒体を900rpmで回転させ
ながら、半導体レーザーから波長780nmのレーザー
ビームをスポット径1μm、照射強度10mWの条件で
照射した。この後、光記録媒体を蛍光顕微鏡(励起光の
波長350nm)で観察した結果、レーザービーム照射
部のみが緑色に強い蛍光を発する幅約1μmのラインが
観察された。なお非照射部は紫色に見えた。
【0156】また、同じ記録媒体を900rpmで回転
させながら、半導体レーザーから波長780nmのレー
ザービームをスポット径1μm、照射強度1mWの条件
で照射した。この後、光記録媒体を蛍光顕微鏡(励起光
の波長350nm)で観察した結果、レーザービーム照
射部のみが青色に強い蛍光を発する幅約1μmのライン
が観察された。なお非照射部は紫色に見えた。
【0157】以上のように本発明の化合物を高分子に分
散させた記録媒体を用いることにより、高密度に情報の
記録および再生ができることがわかり、さらに書き込む
時のエネルギーを変化させることにより他の色に蛍光を
発する記録部を作製することができることもわかった。
即ち、照射エネルギー量の調整により多値記録が可能で
あり蛍光発光を読み取ることが可能であることがわかっ
た。
【0158】実施例5(ジアステレオ異性体混合物を含
有した有機エレクトロルミネッセンス素子) 比較用トリアリールアミン(PA−3)の合成 実施例1で合成した本発明の化合物A−3(ジアステレ
オ異性体混合物)100mgを分取用高速液体クロマト
グラフィーによりジアステレオマーを分取し、鏡像体の
みで構成されるジアステレオ異性体を含まないA−3
(以降PA−3と称す)20mgを得た。
【0159】(有機エレクトロルミネッセンス素子の作
製)陽極としてガラス上にITOを150nmの膜厚で
成膜した基板(NHテクノグラス社製NA−45)にパ
ターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透
明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、
乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行なっ
た。この透明支持基板を、市販の真空蒸着装置の基板ホ
ルダーに固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボート
に、銅フタロシアニン(CuPc)を入れ、別のモリブ
デン製抵抗加熱ボートに本発明のトリアリールアミンの
ジアステレオ異性体混合物(A−3)を入れ、真空蒸着
装置に取付けた。次いで、真空槽を7×10-4Paまで
減圧した後、CuPcの入った前記加熱ボートに通電し
て加熱し、蒸着速度0.1〜0.3nm/secで透明
支持基板に蒸着し、膜厚15nmの正孔注入層を設け
た。さらに、A−3の入った前記加熱ボートを通電して
加熱し、蒸着速度0.1〜0.3nm/secで前記正
孔注入層上に蒸着して膜厚70nmの発光層を設けた。
なお、蒸着時の基板温度は室温であった。次に、真空槽
をあけ、電子注入層の上にステンレス鋼製の長方形穴あ
きマスクを設置し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボート
にマグネシウム3gを入れ、タングステン製の蒸着用バ
スケットに銀を0.5g入れ、再び真空槽を3×10-4
Paまで減圧した後、マグネシウム入りのボートに通電
して蒸着速度1.5〜2.0nm/secでマグネシウ
ムを蒸着し、この際、同時に銀のバスケットを加熱し、
蒸着速度0.1nm/secで銀を蒸着し、前記マグネ
シウムと銀との混合物からなる対向電極とすることによ
り、有機エレクトロルミネッセンス素子EL−1を作製
した。
【0160】また、EL−1で使用した本発明のトリア
リールアミンのジアステレオ異性体混合物(A−3)の
替わりに、比較のジアステレオ異性体混合物を含まない
トリアリールアミン(PA−3)を用いた以外はEL−
1と全く同じ方法で作製した比較用有機エレクトロルミ
ネッセンス素子EL−2を作製した。
【0161】これらの素子のITO電極を陽極、マグネ
シウムと銀からなる対向電極を陰極として温度23℃、
乾燥窒素ガス雰囲気下で15V直流電圧印加による連続
点灯を行い、点灯開始時の発光輝度(cd/m2)およ
び輝度の半減する時間を測定した。
【0162】その結果、本発明のEL−1では初期輝度
380cd/m2の青紫色の発光が得られ、その半減時
間はおよそ215時間であった。一方、比較のEL−2
では初期輝度160cd/m2の青緑色発光で、半減時
間もおよそ49時間と短いことがわかった。
【0163】つまり、構造式上では同一に記載されるA
−3とPA−3の間に有機エレクトロルミネッセンス材
料として性能の差があることが明らかになった。このこ
とは、おそらく複数のジアステレオ異性体混合物である
A−3は素子にした際に結晶化しにくく、安定なアモル
ファス膜を形成しやすいことに起因しているものと考え
られる。
【0164】実施例6(ジアステレオ異性体混合物を含
有した有機エレクトロルミネッセンス素子のレーザー光
照射による発光色変化) 実施例5で作製した本発明の素子EL−1を窒素気流下
にて陰極上に0.5mmのガラス板をエポキシ樹脂系接
着剤で張り合わせ簡易的な封止を行った。
【0165】その素子の陽極側から波長780nmの半
導体レーザービームを集光しスポット径10μm、照射
強度10mWの条件で照射した。このレーザー照射を連
続して横方向に走査し10μm×2mmの範囲を加熱し
た。
【0166】この素子に15Vの直流電圧を印加したと
ころ、レーザー照射した部分のみが緑色に、照射しなか
った部分が青紫色に発光する素子が得られた。
【0167】つまり、有機層を蒸着した後に加熱するこ
とで発光色を変化させることができた。
【0168】実施例7(不可逆性温度マーカーの作製お
よびそれを用いた温度測定) (温度検量線の作製)本発明の例示化合物であるジアス
テレオ異性体混合物A−3の約3mgを昇温速度10℃
/minで加熱し、最終到達温度300℃,350℃,
400℃,450℃および500℃まで加熱したサンプ
ルを作製した。それら各サンプルの固体状態での蛍光ス
ペクトルを励起光348nmにて測定し各々の極大発光
波長を求めた。
【0169】その結果を表1に、さらにその結果から作
製した検量線を図3に示す。
【0170】
【表1】
【0171】(不可逆性温度マーカーの作製)厚さ0.
1mmの5mm四方のアルミニウム板の中央部に2mm
四方の大きさになるようにマスキングし、本発明のジア
ステレオ異性体混合物A−3の20%テトラヒドロフラ
ン溶液をウエット膜厚約0.2mmでキャストコートし
た。マスキングしたまま室温で乾燥させ、さらにマスキ
ングを取り除いて80℃の真空オーブンで約1時間乾燥
させた。
【0172】そのアルミニウム板の塗布物を覆うように
5mm四方の厚さ0.2mmのガラス板を接着し温度マ
ーカー(TM−1)とした。
【0173】(有機エレクトロルミネッセンス素子作製
用加熱ボートの内部温度測定)実施例5の銅フタロシア
ニン(CuPc)を入れた製抵抗加熱ボート内に本発明
の温度マーカーTM−1実施例6と同じ条件で真空蒸着
を行った。
【0174】素子作製終了後、加熱ボート内のTM−1
を取り出し、TM−1のガラス側に348nmの励起光
を照射し、その蛍光極大波長を測定したところ、497
nmに極大発光波長を有することがわかった。
【0175】この測定結果と表1(図3)の検量線か
ら、蒸着時のCuPcは約440℃まで昇温されていた
ことがわかった。
【0176】
【発明の効果】与える熱に応じて蛍光波長が不可逆に変
化する新規な熱感応性化合物を用いた記録媒体、記録方
法および再生方法、該化合物からなる組成物を含有した
有機エレクトロルミネッセンス素子およびその多色化方
法さらに高温領域で温度計測の可能な温度マーカー等の
記録素子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】例示化合物A−3のテトラヒドロフラン中での
蛍光スペクトルおよび吸収スペクトル。
【図2】例示化合物A−3の高速液体クロマトグラフィ
ーチャート。
【図3】例示化合物A−3を用いた温度検量線。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 11/06 660 C09K 11/06 660 B41M 5/26 C07C 211/54 C07C 211/54 G01N 21/66 G01N 21/66 G11B 7/24 516 G11B 7/24 516 522A 522 B41M 5/26 Y S Fターム(参考) 2G043 AA03 DA02 EA01 GA07 GB21 KA03 KA09 2H111 EA03 EA25 EA43 FB42 HA12 HA32 4H006 AA01 AA03 AB92 BJ50 BU46 5D029 JA04 JC01

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 与えられた熱に応じて分子の異性化が起
    こり、その結果として蛍光波長が変化し、かつその変化
    が実質的に不可逆である熱感応性有機化合物を含有する
    ことを特徴とする組成物。
  2. 【請求項2】 前記熱感応性有機化合物の分子の異性化
    が分子内の複数箇所で起こることを特徴とする請求項1
    に記載の組成物。
  3. 【請求項3】 前記熱感応性有機化合物の分子の異性化
    が置換基の回転障害による内部回転異性体への異性化で
    あることを特徴とする請求項1または2記載の組成物。
  4. 【請求項4】 前記熱感応性有機化合物が、分子内に複
    数個の内部回転異性を付与しうる結合軸をもつビアリー
    ル基を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    1項に記載の組成物。
  5. 【請求項5】 蛍光性を有し、複数の内部回転異性体が
    存在しうる構造を有する有機化合物を含有する組成物で
    あって、該有機化合物及び少なくとも1つの該有機化合
    物の内部回転異性体を含有することを特徴とする組成
    物。
  6. 【請求項6】 蛍光性を有し、複数の内部回転異性体が
    存在しうる構造を有する有機化合物が下記一般式(1)
    で表される化合物であることを特徴とする請求項5に記
    載の組成物。 一般式(1) Ar1−Z−(R)n [式中、Ar1は少なくとも1つのアリール基を有し、
    かつ、内部回転異性を付与しうる結合軸を含有する部分
    を有する置換基を表し、nは1以上の自然数を表し、R
    は水素原子、アルキル基、アリール基、Ar1または、
    内部回転異性を付与しうる結合軸をもつビアリール基を
    含有する部分を有する置換基を表し、Zは単なる結合手
    または(n+1)価の連結基、または−N(R)
    2-n−,−C(R)3-n−,−B(R)2-n−,−Si
    (R)3-n−,−Ge(R)3-n−を表し、Rはそれぞれ
    独立に水素原子または置換基を表し、またRが複数個存
    在する場合、複数のRは同一であっても異なっていても
    よく、かつ、一般式(1)で表される分子には少なくと
    も2つの内部回転異性を付与しうる結合軸が存在す
    る。]
  7. 【請求項7】 内部回転異性体が鏡像体または少なくと
    も1種のジアステレオ異性体であることを特徴とする請
    求項6に記載の組成物。
  8. 【請求項8】 下記一般式(A1)で表される、分子内
    に複数個の、内部回転異性を付与しうる結合軸を有する
    ビアリール基を含有することを特徴とするトリアリール
    アミン化合物。 【化1】 [式中、Ar11,Ar12およびAr13はアリール基を表
    し、かつAr11,Ar12,Ar13のうち少なくとも2つ
    は、内部回転異性を付与しうる結合軸をもつビアリール
    基を有する置換基である。]
  9. 【請求項9】 蛍光性を有し、複数の内部回転異性体が
    存在しうる構造を有する有機化合物が前記一般式(A
    1)で表される化合物であることを特徴とする請求項5
    に記載の組成物。
  10. 【請求項10】 内部回転異性体が鏡像体または少なく
    とも1種のジアステレオ異性体であることを特徴とする
    請求項9に記載の組成物。
  11. 【請求項11】 与えられた熱に応じて蛍光発光波長が
    不可逆に変化することを特徴とする請求項5、6、7、
    9及び10のいずれか1項に記載の組成物。
  12. 【請求項12】 請求項1〜4及び11の何れか1項に
    記載された組成物を含有することを特徴とする有機薄
    膜。
  13. 【請求項13】 請求項8に記載された化合物を含有す
    ることを特徴とする有機薄膜。
  14. 【請求項14】 請求項1〜4及び11の何れか1項に
    記載された組成物を含有することを特徴とする熱記録媒
    体。
  15. 【請求項15】 請求項8に記載された化合物を含有す
    ることを特徴とする熱記録媒体。
  16. 【請求項16】 請求項1〜4及び11の何れか1項に
    記載された組成物を含有することを特徴とする追記型情
    報記録要素。
  17. 【請求項17】 請求項8に記載された化合物を含有す
    ることを特徴とする追記型情報記録要素。
  18. 【請求項18】 請求項14又は15に記載された熱記
    録媒体にレーザー光で情報を書き込むことを特徴とする
    記録方法。
  19. 【請求項19】 請求項14又は15に記載された熱記
    録媒体に書き込まれた情報を蛍光発光により読みとるこ
    とを特徴とする情報の読み出し方法。
  20. 【請求項20】 少なくとも2つの電極間に少なくとも
    1種の有機化合物層を挟持した有機エレクトロルミネッ
    センス素子において、該有機層の少なくとも1つが、有
    機化合物が置換基の回転により複数の箇所で異性化を起
    こしうる有機化合物及び該化合物の少なくとも1種の内
    部回転異性体を含有する組成物であることを特徴とする
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  21. 【請求項21】 少なくとも1種の内部回転異性体が鏡
    像体又はジアステレオ異性体であることを特徴とする請
    求項20に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  22. 【請求項22】 前記置換基の回転により複数の箇所で
    異性化を起こしうる化合物及び該化合物の少なくとも1
    種の内部回転異性体を含有する組成物が請求項6、7、
    9または10のいずれか1項に記載の組成物であること
    を特徴とする請求項20に記載の有機エレクトロルミネ
    ッセンス素子。
  23. 【請求項23】 少なくとも2つの電極間に請求項1〜
    4及び11の何れか1項に記載された組成物を含有する
    少なくとも1種の有機化合物層を挟持する有機エレクト
    ロルミネッセンス素子の発光波長を該組成物に熱を与え
    ることにより変化させることを特徴とする有機エレクト
    ロルミネッセンス素子の多色化方法。
  24. 【請求項24】 少なくとも2つの電極間に請求項5、
    6、7、9または10のいずれか1項に記載された組成
    物を含有する少なくとも1種の有機化合物層を挟持する
    有機エレクトロルミネッセンス素子の発光波長を該組成
    物に熱を与えることにより変化させることを特徴とする
    有機エレクトロルミネッセンス素子の多色化方法。
  25. 【請求項25】 熱の供給手段がレーザー光線であるこ
    とを特徴とする請求項23又は24記載の有機エレクト
    ロルミネッセンス素子の多色化方法。
  26. 【請求項26】 請求項1〜4及び11の何れか1項に
    記載された組成物を含有する物体を不可逆性温度マーカ
    ーとして使用し、その蛍光波長変化により該物体が存在
    した場所の温度を測定することを特徴とする温度測定方
    法。
  27. 【請求項27】 シートまたはペレット中に、請求項1
    〜4及び11の何れか1項に記載された組成物を含有す
    ることを特徴とする不可逆性温度マーカー。
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