JP2001270992A - 不均化ロジン組成物および乳化剤 - Google Patents
不均化ロジン組成物および乳化剤Info
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Abstract
間保存してもロジンの結晶析出が生じない、保存安定性
に優れた不均化ロジン組成物、およびアルカリ石鹸とし
て合成ゴム、合成樹脂等の乳化重合に有用な乳化剤を提
供することである。 【解決手段】 不均化したロジンと脂肪酸との混合物か
らなり、少なくとも、デヒドロアビエチン酸10〜23
重量%,セコデヒドロアビエチン酸5〜30重量%およ
び直鎖オクタデセン酸20〜45重量%を含む、常温で
液状の不均化ロジン組成物である。
Description
化ロジン組成物およびこれをアルカリで中和して得られ
る乳化剤に関し、より詳しくは、不均化したロジンと脂
肪酸との混合物からなる不均化ロジン組成物ならびにス
チレン- ブタジエンゴム等の合成ゴムを製造するのに好
適な乳化重合用乳化剤に関する。
アクリロニトリル等の乳化重合に使用される乳化剤とし
ては,不均化ロジンのほか、ステアリン酸,オレイン
酸,不均化トール油脂肪酸等の脂肪酸が一般に使用され
ている。
リン酸、レボピマール酸、ネオアビエチン酸等の分子中
に共役二重結合を有する樹脂酸を含有しているため反応
性に富み、従ってこれらの樹脂酸を含有するロジンのア
ルカリ塩を乳化重合用乳化剤として使用すると重合を阻
害する。このため,ロジンを乳化重合用乳化剤として使
用するにあたっては,ロジンを不均化し,共役二重結合
を有しない誘導体に変換して使用されている。
レイン酸,エレオステアリン酸等のように分子中に二重
結合を2つ以上有する不飽和脂肪酸は乳化重合を阻害す
ることが知られている。このため,牛脂脂肪酸は硬化処
理により、トール脂肪酸はロジンと共に不均化反応を行
うことにより重合を阻害しない誘導体に変換して使用さ
れている。
−活性炭触媒( 米国特許第2177530号明細書),
硫黄系触媒( 特公昭49-5360 号公報、同45-33771号公
報),ヨウ素系触媒(特開昭51-34896号公報、同57-165
499 号公報)等を使用して行われる。ロジンと脂肪酸混
合系の不均化反応も特開昭51-34896号公報,特公昭45-3
3771号公報等に記載されている。
ゴムを製造するための乳化剤として、不均化ロジンと脂
肪酸との混合物のアルカリ石鹸水溶液を使用する場合、
このアルカリ石鹸水溶液は固形分5〜10重量%程度の
低濃度で使用される。アルカリ石鹸水溶液は、通常、固
形分30%程度の水溶液形態で移送および保存され、使
用時に上記濃度に希釈される。しかし、固形分30%程
度のアルカリ石鹸水溶液を移送や保存するには多大のコ
ストが必要であり経済性に劣るという問題がある。
酸との混合物の性状が常温で液体であれば、水溶液の形
態に調製することなく、そのままで移送や保存が可能と
なるので、移送や保存に要するコストを削減できるとい
う利点がある。しかし、上記混合物の性状を液体とした
場合、保存時にロジン成分が結晶化し析出するという問
題があった。ロジン成分の結晶が析出した場合には,1
20℃程度まで加熱しなければ結晶は溶融しないため,
作業性の面で大きな問題となる。また,脂肪酸の融点が
室温以上では,液体性状を保持できないため加熱装置が
必要となる。
分20〜25%の不均化ロジンアルカリ石鹸水溶液と、
融点が45℃付近の微水添牛脂脂肪酸のアルカリ石鹸水
溶液との混合物が知られている。しかし、微水添牛脂脂
肪酸の石鹸水溶液は,粘度が高いため、低濃度で移送・
保存しなければならないため、経済的でない。このた
め、微水添牛脂脂肪酸は固形分90〜100%の固体石
鹸か脂肪酸の形態で移送されるが、固形分90〜100
%の固体石鹸の場合は、使用時に熱水に溶解・希釈する
必要があり、また脂肪酸の形で供給された場合にはケン
化処理が必要となり、いずれの場合も複雑な装置や多大
のエネルギーコストが必要となる。また、固体の不均化
ロジンを使用する場合、使用時に、不均化ロジン(通常
200〜230kg程度)を充填・固化させたドラムを
はぎ取り、不均化ロジンの塊を適当な大きさに破砕して
釜に仕込む、いわゆる割り込み操作が必要となるため、
作業性が非常に悪くなる。
あり,かつ常温で長期間保存してもロジンの結晶析出が
生じない、保存安定性に優れた不均化ロジン組成物、お
よびアルカリ石鹸として合成ゴム、合成樹脂等の乳化重
合に有用な乳化剤を提供することを目的とする。
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ロジン成分の結晶析
出には不均化ロジン中に含まれるデヒドロアビエチン酸
の濃度が影響しているという新たな知見を得た。すなわ
ち、デヒドロアビエチン酸は乳化剤として乳化重合性に
優れた化合物であるが、濃度が大きくなると結晶析出が
生じやすくなるのである。
ン酸の一部をデヒドロアビエチン酸と同等の乳化重合性
のある低結晶性の他の樹脂酸に置き換えることによりロ
ジンの結晶性を低減できるのではないかと考え研究を重
ねた結果,セコデヒドロアビエチン酸が優れた乳化重合
性を示し、かつロジンの結晶性をも低減できることを見
出した。さらに、本発明者らは、不均化ロジンと混合さ
れる脂肪酸として、直鎖オクタデセン酸が融点が低く常
温での液体性状保持に極めて優れていることを見出し
た。
脂肪酸との混合物からなり、少なくとも、デヒドロアビ
エチン酸10〜23重量%,セコデヒドロアビエチン酸
5〜30重量%および直鎖オクタデセン酸20〜45重
量%を含む、常温で液状の不均化ロジン組成物を提供す
るものである。
ため移送や保存に要するコストを削減でき、しかも長期
間の保存でも容易に結晶が析出しないため、保存安定性
に優れ、作業性にも優れている。加えて、上記組成物
は、これをアルカリ石鹸としたとき、乳化重合用の乳化
剤として優れた乳化重合性を示す。ここで、「常温」と
は15〜30℃程度の温度を意味するが、この温度範囲
に限定されるものではない。
ン酸、セコデヒドロアビエチン酸および直鎖オクタデセ
ン酸の各所定量に加えて、分岐脂肪酸3〜20重量%を
含むのが好ましい。分岐脂肪酸は組成物の液体性状をよ
り安定に保持し、かつ乳化重合性をより向上させる作用
を有する。
が30〜45重量%,脂肪酸の総量が45〜60重量%
であるのが、液体性状および高い乳化重合性を保持する
うえで好ましい。
物は、所定量のデヒドロアビエチン酸、セコデヒドロア
ビエチン酸、直鎖オクタデセン酸および分岐脂肪酸を含
む、不均化したロジンと脂肪酸との混合物からなる。
れる構造を有する化合物であり、アビエチン酸またはロ
ジンの不均化反応により生成する。
優れるが,結晶性が強いという特性を有する。従って、
組成物中のデヒドロアビエチン酸の含有量は10〜23
重量%、好ましくは10〜21重量%であるのがよい。
デヒドロアビエチン酸の含有量が23重量%を超える場
合には、保存時に結晶析出が生じるおそれがある。ま
た、デヒドロアビエチン酸の含有量が10重量%未満の
場合には、乳化重合性に劣るようになり、乳化重合時の
乳化剤の添加量が多くなるため、経済的に乳化重合性を
保持するのが困難となる。
表される構造を有する化合物であり、アビエチン酸の不
均化反応によりデヒドロアビエチン酸と共に生成する。
チン酸またはロジンから硫黄系触媒を用いて合成する方
法が知られている(特開平53-31650号公報)。本発明に
おいては、セコデヒドロアビエチン酸の生成量を向上さ
せるために、アビエチン酸、ロジンまたはトール油をヨ
ウ素系不均化触媒の存在下で不均化反応する方法にて合
成されたセコデヒドロアビエチン酸を使用するのがよ
い。ヨウ素系不均化触媒としては、例えばヨウ素、ヨウ
化鉄、ヨウ化ニッケル、ヨウ化スズ、ヨウ化亜鉛、ヨウ
化コバルト、ヨウ化銅等が挙げられる。
触媒と共に錫化合物を添加して行うのが好ましい。錫化
合物としては、例えば2−エチルヘキシル酸錫、ジn−
オクチル錫ビス(イソオクチルチオグリコール酸エステ
ル)、ジn−オクチル錫ビスアルキルマレートエステ
ル、ジn−オクチル錫ジラウリル酸塩、ジn−ブチル錫
ビスマレイン酸エステル塩、ジn−ブチル錫ビスオクチ
ルチオグリコール酸エステル塩、ジn−ブチル錫ラウレ
ート、ジn−メチル錫ビス(イソオクチルメルカプトア
セテート)等が挙げられる。反応は窒素ガス等の不活性
ガス雰囲気下で有効量のヨウ素系不均化触媒およびカル
ボン酸錫の存在下、約100〜300℃で1〜10時間
加熱することにより行われる。
有量は5〜30重量%、好ましくは5〜20重量%、よ
り好ましくは5〜15重量%である。セコデヒドロアビ
エチン酸の含有量が5重量%未満の場合には、不均化さ
れたロジンと脂肪酸混合物の結晶析出が保存時に生じや
すくなり好ましくない。セコデヒドロアビエチン酸の含
有量が30重量%を超える場合には蒸留精製が必要とな
り経済的に好ましくない。
レイン酸((Z)−9−オクタデセン酸)、エライジン
酸((E)−9−オクタデセン酸)、さらにペトロセリ
ン酸(cis −6−オクタデセン酸)、またはこれらの混
合物を意味する。かかる直鎖オクタデセン酸は、単独で
使用してもよいが、直鎖オクタデセン酸を多く含有する
各種脂肪酸を使用してもよい。このような脂肪酸として
は、例えばトール油、トール油脂肪酸等の不均化反応
物、牛脂脂肪酸、大豆油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の水
素添加反応物等が挙げられる。一般には、トール油、ト
ール油脂肪酸等の不均化反応物を使用するのが好まし
い。
20〜45重量%、好ましくは25〜40重量%であ
る。直鎖オクタデセン酸の含有量が20重量%未満の場
合、不均化ロジンと脂肪酸との混合物は常温での液体性
状が保持しにくくなり、逆に45重量%を超える場合
は、得られる乳化剤が経済的に高価なものになると共に
乳化重合性が低下するため好ましくない。
えばオレイン酸,リノール酸,エライジン酸,パルミト
レイン酸,リノレイン酸などの炭素数8〜22の不飽和
脂肪酸あるいはこれらの混合物を結晶性粘土鉱物の存在
下で重合させてダイマー酸を合成する際に,重合後の反
応液から分離されるモノマー酸中に含まれるイソステア
リン酸,イソオレイン酸等の分岐脂肪酸が挙げられる。
この分岐脂肪酸はモノマー酸の精留操作によりモノマー
酸から分離される。得られる分岐脂肪酸の構造や分岐点
は一定でなく,数種の混合物からなる成分である。
り安定的に保持し、かつ乳化重合性をより向上させるた
めに、必要に応じて組成物に添加されるものである。従
って、組成物中の分岐脂肪酸の含有量は0〜20重量
%、好ましくは3〜20重量%、より好ましくは3〜1
0重量%,最も好ましくは4〜8重量%である。分岐脂
肪酸の含有量が20重量%を超える場合は、モノマー酸
の高度な精製濃縮操作が必要となり経済的に好ましくな
い。本発明の組成物は、デヒドロアビエチン酸およびセ
コデヒドロアビエチン酸を含む樹脂酸と、直鎖オクタデ
セン酸および分岐脂肪酸を含む脂肪酸との混合物からな
る。
種々の樹脂酸をも包含するが、本発明では組成物中の樹
脂酸の総量が30〜45重量%、好ましくは30〜42
重量%であるのがよい。樹脂酸の総量が30重量%を下
回る場合は乳化重合時のラテックスの粘度が高くなるお
それがある。逆に、樹脂酸の総量が45重量%を超える
場合は保存時の結晶析出を抑制できなくなるおそれがあ
る。かかる樹脂酸の量は、ASTM D803に記載さ
れている「Rosin acids,% 」の分析方法によって求める
ことができる。
脂肪酸を包含していてもよい。このとき、組成物中の脂
肪酸の総量は45〜60重量%、好ましくは50〜60
重量%であるのがよい。脂肪酸の総量が45重量%を下
回る場合は保存時の結晶析出を抑制できなくなるおそれ
がある。逆に、脂肪酸の総量が60重量%を超える場合
は重合時のラテックスの粘度が高くなるおそれがある。
かかる脂肪酸の量は、ASTM D803に記載されて
いる「Fatty acids,% 」の分析方法によって求めること
ができる。
酸以外に、樹脂酸や脂肪酸に由来する不ケン物等を含有
することがある。
具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限
定されるものではない。なお、実施例中の「部」および
「%」は特に断わらない限り重量部および重量%をそれ
ぞれ意味する。
00部、モンモリロナイトクレー6部、水酸化リチウム
0.2部および水1部を加え, 窒素ガスで置換後,23
0℃まで昇温し3時間反応を行った。ついで、反応液を
120℃まで冷却し, 加圧濾過により固形物を取り除
き,ダイマー酸粗生成物を得た。この粗生成物から流下
膜式蒸留機にて圧力0.01MP、温度200℃の条件
でモノマー酸を留去した。このモノマー酸を精留機にて
精製し,分岐脂肪酸を24%含有する脂肪酸(酸価18
0)を得た。
l 四つ口フラスコに、120℃の溶融したトール油30
0部( 酸価183.4、樹脂酸含量45%、脂肪酸含量
52%) および合成例1で得た脂肪酸50部を仕込み、
窒素ガスで置換後、不均化触媒としてヨウ素1.5部お
よび2−エチルヘキシル酸錫0.1部を仕込み,240
℃に加熱し同温度で3 時間反応を続けた後、20KPa
の圧力にて水蒸気を導入して低沸点物を除去し,不均化
されたロジンと脂肪酸の混合物を得た。この混合物は酸
価175、樹脂酸含量37.7%、脂肪酸含量51.5
%であった、分析の結果、表1に示すように、混合物中
には、アビエチン酸は認められず、デヒドロアビエチン
酸18.0%、セコデヒドロアビエチン酸9.5%、直
鎖オクタデセン酸35.5%および分岐脂肪酸3.4%
が含まれていた。そして、この混合物は0℃にて30日
間保存しても析出物が生成せず、液体性状を保持してい
た。25℃での粘度は450mPa・Sであり低い粘性
であった。
l 四つ口フラスコに、160℃の溶融したトールロジン
350g(酸価176.5、樹脂酸含量91.3%、脂
肪酸含量2.5%)を仕込み,窒素置換後,不均化触媒
として1,1’−ジチオ−ジ−2−ナフトール3.5部
を加え、250℃に加熱し、同温度で5時間反応を行っ
た。ついで、20KPaの圧力にて水蒸気を導入し、低
沸点物を除去して不均化ロジン得た。
l 四つ口フラスコに、160℃の溶融したトールロジン
100部(酸価176.5、樹脂酸含量91.3%、脂
肪酸含量2.5%)、トール脂肪酸250部(酸価19
5.0、樹脂酸含量0.1%、脂肪酸含量98.2%)
を仕込み、窒素ガスで置換後、不均化触媒としてヨウ素
1.8部を加え230℃に加熱し同温度で4時間反応を
続けた後、20KPaの圧力にて水蒸気を導入し, 低沸
点物を除去して不均化されたロジンと脂肪酸の混合物を
得た。分析の結果、この混合物にはアビエチン酸は認め
られなかった。
l 四つ口フラスコに、170℃の溶融したガムロジン3
50部(酸価169.0)を仕込み,窒素ガスで置換
後、不均化触媒として,5%パラジウムカーボン0.2
5部を加え270℃に加熱し同温度で4時間反応を続け
た。ついで、反応液を200℃まで冷却し,濾過器にて
触媒を除いて不均化ロジンを得た。この不均化ロジンに
は、セコデヒドロアビエチン酸およびアビエチン酸は認
められなかった。
l 四つ口フラスコに、120℃の溶融したトール油35
0部( 酸価184.0、樹脂酸含量44%、脂肪酸含量
53%)を仕込み、窒素ガスで置換後,不均化触媒とし
て,ヨウ素1.6部, を仕込み,240 ℃に加熱し同温度で3
時間反応を続けた後,20KPa の圧力にて水蒸気を導入
処理し、低沸点物を除去して,不均化されたロジンと脂
肪酸の混合物を得た。
表1に示す。また、微水添牛脂脂肪酸(酸価200、融
点45℃)の分析値も併せて表1に示した。表1におい
て、デヒドロアビエチン酸、セコデヒドロアビエチン
酸、アビエチン酸、直鎖オクタデセン酸および分岐脂肪
酸の各含有量は、樹脂酸および脂肪酸をジアゾメタン法
によりメチルエステル体に誘導した後、ガスクロマトグ
ラフィー分析により求めた。ガスクロマトグラフィー分
析条件は以下の通りである。 分析装置:島津製作所製のGC−15A カラム :キャピラリーカラム URBON HR−S
S−10,FS−bonded, 0.25mm×50
m 液相:シアノプロピルシリコン 検出器: FID 測定条件:オーブン温度195℃、インジェクション温
度250℃、検出温度250℃、 キャリアーガス:He また、樹脂酸および脂肪酸はそれぞれ前記したASTM
D803に記載の方法により求めた。
各生成物を単独でまたは適宜混合して不均化されたロジ
ンと脂肪酸の混合物を得た。なお、混合は120℃で行
い、ついで室温まで冷却した。 比較例1および2 表2に示すように、合成例1、4、5で得た生成物を単
独で、または適宜混合して不均化されたロジンと脂肪酸
の混合物を得た。なお、混合は180℃で行い、ついで
室温まで冷却した。得られた実施例1〜6および比較例
1、2で得た各混合物を用いて、下記の保存安定性試験
を行った。その結果を表2に併せて示す。
で得た試料(不均化されたロジンと脂肪酸の混合物)8
0gを100mlのガラス製広口瓶に入れ,室温(25
℃)で保存した。そして、試料の経時変化を観察し、以
下の基準にて保存安定性を評価した。 ◎:2ヶ月経過で結晶析出がない。 ○:1週間経過で結晶析出がない。 ×:1週間以内に結晶が析出する。 なお、析出した結晶とは80℃に加熱しても溶解しない
ロジンの結晶を意味する。
チン酸の含有量が多く、セコデヒドロアビエチン酸の含
有量が少ない比較例1,2に比べて、実施例1〜6の組
成物は所定量のデヒドロアビエチン酸、セコデヒドロア
ビエチン酸および直鎖オクタデセン酸が含有されてお
り、かつ樹脂酸および脂肪酸が所定範囲内にあるため、
保存安定性に優れている。特に、実施例1〜5の組成物
は所定量の分岐脂肪酸を含有しているため、高い保存安
定性を有している。
リウム水溶液で中和し,固形分30%,pH10. 5の
乳化剤水溶液を得た。実施例7〜12で得た各乳化剤水
溶液は,以下の乳化重合試験に供した。
記に示す乳化重合処方の各成分を仕込み,回転撹拌機を
備えた5℃の低温水槽に装着した。下記処方において、
試料とは実施例7〜12で得た乳化剤である。低温水槽
に装着後30分間経過した段階でp−メンタンハイドロ
パーオキサイド0.03部を仕込んだ後、8時間重合反
応を行った。続いて,重合停止剤としてジエチルジチオ
カルバミン酸ナトリウム0.03部を注入した。得られ
た乳化重合物を105℃で乾燥後の乾燥重量から重合率
を求めて乳化重合性を評価した。その結果を表4に示
す。
で得た乳化剤は、優れた乳化重合性を有している。従っ
て、表2に示した保存安定性試験の結果をも含めて総合
的に評価すると、保存安定性に優れた実施例1〜6の組
成物を使用した実施例7〜12の乳化剤は、移送や保管
に要するコストの削減、重合時の作業性の向上等に貢献
でき、しかも優れた乳化重合性を有していることから、
実際の使用に適した有用性の高いものであることがわか
る。
度の液体であり、常温で長期間保存しても,溶解が困難
なロジン成分の結晶を生じることがないので、水溶液形
態で移送や保存する場合のコストや、固体形態で移送や
保存する場合における熱水への希釈等に要するエネルギ
ーコストを大幅に削減でき、さらに作業性の向上にも大
きく寄与することができ、しかもアルカリ石鹸として合
成ゴム、合成樹脂等の乳化重合用乳化剤に使用するとき
は優れた乳化重合性を示すという効果がある。
Claims (6)
- 【請求項1】不均化したロジンと脂肪酸との混合物から
なり、少なくとも、デヒドロアビエチン酸10〜23重
量%,セコデヒドロアビエチン酸5〜30重量%および
直鎖オクタデセン酸20〜45重量%を含む、常温で液
状の不均化ロジン組成物。 - 【請求項2】前記セコデヒドロアビエチン酸が、アビエ
チン酸、ロジンまたはトール油をヨウ素系不均化触媒の
存在下で不均化して得られた化合物である請求項1記載
の不均化ロジン組成物。 - 【請求項3】分岐脂肪酸3〜20重量%を含む請求項1
または2記載の不均化ロジン組成物。 - 【請求項4】前記分岐脂肪酸が,炭素数8〜22の不飽
和脂肪酸を重合させてダイマー酸を合成した反応液から
分離されるモノマー酸に含まれる分岐脂肪酸である請求
項3記載の不均化ロジン組成物。 - 【請求項5】樹脂酸の総量が30〜45重量%,脂肪酸
の総量が45〜60重量%である請求項1〜4のいずれ
かに記載の不均化ロジン組成物。 - 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の不均化ロ
ジン組成物をアルカリで中和して得られる乳化剤。
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