JP2001270992A - 不均化ロジン組成物および乳化剤 - Google Patents

不均化ロジン組成物および乳化剤

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常温で低粘度の液体であり,かつ常温で長期
間保存してもロジンの結晶析出が生じない、保存安定性
に優れた不均化ロジン組成物、およびアルカリ石鹸とし
て合成ゴム、合成樹脂等の乳化重合に有用な乳化剤を提
供することである。 【解決手段】 不均化したロジンと脂肪酸との混合物か
らなり、少なくとも、デヒドロアビエチン酸10〜23
重量%,セコデヒドロアビエチン酸5〜30重量%およ
び直鎖オクタデセン酸20〜45重量%を含む、常温で
液状の不均化ロジン組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、常温で液状の不均
化ロジン組成物およびこれをアルカリで中和して得られ
る乳化剤に関し、より詳しくは、不均化したロジンと脂
肪酸との混合物からなる不均化ロジン組成物ならびにス
チレン- ブタジエンゴム等の合成ゴムを製造するのに好
適な乳化重合用乳化剤に関する。
【従来の技術】
【0002】
【従来の技術】ブタジエン,スチレン,クロロプレン,
アクリロニトリル等の乳化重合に使用される乳化剤とし
ては,不均化ロジンのほか、ステアリン酸,オレイン
酸,不均化トール油脂肪酸等の脂肪酸が一般に使用され
ている。
【0003】一般に、ロジンはアビエチン酸、パラスト
リン酸、レボピマール酸、ネオアビエチン酸等の分子中
に共役二重結合を有する樹脂酸を含有しているため反応
性に富み、従ってこれらの樹脂酸を含有するロジンのア
ルカリ塩を乳化重合用乳化剤として使用すると重合を阻
害する。このため,ロジンを乳化重合用乳化剤として使
用するにあたっては,ロジンを不均化し,共役二重結合
を有しない誘導体に変換して使用されている。
【0004】また、脂肪酸の場合も、リノール酸,リノ
レイン酸,エレオステアリン酸等のように分子中に二重
結合を2つ以上有する不飽和脂肪酸は乳化重合を阻害す
ることが知られている。このため,牛脂脂肪酸は硬化処
理により、トール脂肪酸はロジンと共に不均化反応を行
うことにより重合を阻害しない誘導体に変換して使用さ
れている。
【0005】ロジンの不均化反応は、通常、パラジウム
−活性炭触媒( 米国特許第2177530号明細書),
硫黄系触媒( 特公昭49-5360 号公報、同45-33771号公
報),ヨウ素系触媒(特開昭51-34896号公報、同57-165
499 号公報)等を使用して行われる。ロジンと脂肪酸混
合系の不均化反応も特開昭51-34896号公報,特公昭45-3
3771号公報等に記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】乳化重合によって合成
ゴムを製造するための乳化剤として、不均化ロジンと脂
肪酸との混合物のアルカリ石鹸水溶液を使用する場合、
このアルカリ石鹸水溶液は固形分5〜10重量%程度の
低濃度で使用される。アルカリ石鹸水溶液は、通常、固
形分30%程度の水溶液形態で移送および保存され、使
用時に上記濃度に希釈される。しかし、固形分30%程
度のアルカリ石鹸水溶液を移送や保存するには多大のコ
ストが必要であり経済性に劣るという問題がある。
【0007】これに対して、不均化されたロジンと脂肪
酸との混合物の性状が常温で液体であれば、水溶液の形
態に調製することなく、そのままで移送や保存が可能と
なるので、移送や保存に要するコストを削減できるとい
う利点がある。しかし、上記混合物の性状を液体とした
場合、保存時にロジン成分が結晶化し析出するという問
題があった。ロジン成分の結晶が析出した場合には,1
20℃程度まで加熱しなければ結晶は溶融しないため,
作業性の面で大きな問題となる。また,脂肪酸の融点が
室温以上では,液体性状を保持できないため加熱装置が
必要となる。
【0008】一方、他の乳化重合用乳化剤として、固形
分20〜25%の不均化ロジンアルカリ石鹸水溶液と、
融点が45℃付近の微水添牛脂脂肪酸のアルカリ石鹸水
溶液との混合物が知られている。しかし、微水添牛脂脂
肪酸の石鹸水溶液は,粘度が高いため、低濃度で移送・
保存しなければならないため、経済的でない。このた
め、微水添牛脂脂肪酸は固形分90〜100%の固体石
鹸か脂肪酸の形態で移送されるが、固形分90〜100
%の固体石鹸の場合は、使用時に熱水に溶解・希釈する
必要があり、また脂肪酸の形で供給された場合にはケン
化処理が必要となり、いずれの場合も複雑な装置や多大
のエネルギーコストが必要となる。また、固体の不均化
ロジンを使用する場合、使用時に、不均化ロジン(通常
200〜230kg程度)を充填・固化させたドラムを
はぎ取り、不均化ロジンの塊を適当な大きさに破砕して
釜に仕込む、いわゆる割り込み操作が必要となるため、
作業性が非常に悪くなる。
【0009】従って、本発明は、常温で低粘度の液体で
あり,かつ常温で長期間保存してもロジンの結晶析出が
生じない、保存安定性に優れた不均化ロジン組成物、お
よびアルカリ石鹸として合成ゴム、合成樹脂等の乳化重
合に有用な乳化剤を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ロジン成分の結晶析
出には不均化ロジン中に含まれるデヒドロアビエチン酸
の濃度が影響しているという新たな知見を得た。すなわ
ち、デヒドロアビエチン酸は乳化剤として乳化重合性に
優れた化合物であるが、濃度が大きくなると結晶析出が
生じやすくなるのである。
【0011】そこで、本発明者らは、デヒドロアビエチ
ン酸の一部をデヒドロアビエチン酸と同等の乳化重合性
のある低結晶性の他の樹脂酸に置き換えることによりロ
ジンの結晶性を低減できるのではないかと考え研究を重
ねた結果,セコデヒドロアビエチン酸が優れた乳化重合
性を示し、かつロジンの結晶性をも低減できることを見
出した。さらに、本発明者らは、不均化ロジンと混合さ
れる脂肪酸として、直鎖オクタデセン酸が融点が低く常
温での液体性状保持に極めて優れていることを見出し
た。
【0012】すなわち、本発明は、不均化したロジンと
脂肪酸との混合物からなり、少なくとも、デヒドロアビ
エチン酸10〜23重量%,セコデヒドロアビエチン酸
5〜30重量%および直鎖オクタデセン酸20〜45重
量%を含む、常温で液状の不均化ロジン組成物を提供す
るものである。
【0013】かかる本発明の組成物は常温で液体である
ため移送や保存に要するコストを削減でき、しかも長期
間の保存でも容易に結晶が析出しないため、保存安定性
に優れ、作業性にも優れている。加えて、上記組成物
は、これをアルカリ石鹸としたとき、乳化重合用の乳化
剤として優れた乳化重合性を示す。ここで、「常温」と
は15〜30℃程度の温度を意味するが、この温度範囲
に限定されるものではない。
【0014】また、本発明では、前記デヒドロアビエチ
ン酸、セコデヒドロアビエチン酸および直鎖オクタデセ
ン酸の各所定量に加えて、分岐脂肪酸3〜20重量%を
含むのが好ましい。分岐脂肪酸は組成物の液体性状をよ
り安定に保持し、かつ乳化重合性をより向上させる作用
を有する。
【0015】さらに、本発明の組成物は、樹脂酸の総量
が30〜45重量%,脂肪酸の総量が45〜60重量%
であるのが、液体性状および高い乳化重合性を保持する
うえで好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態にかかる組成
物は、所定量のデヒドロアビエチン酸、セコデヒドロア
ビエチン酸、直鎖オクタデセン酸および分岐脂肪酸を含
む、不均化したロジンと脂肪酸との混合物からなる。
【0017】デヒドロアビエチン酸は下記式(1) で表さ
れる構造を有する化合物であり、アビエチン酸またはロ
ジンの不均化反応により生成する。
【化1】
【0018】このデヒドロアビエチン酸は乳化重合性に
優れるが,結晶性が強いという特性を有する。従って、
組成物中のデヒドロアビエチン酸の含有量は10〜23
重量%、好ましくは10〜21重量%であるのがよい。
デヒドロアビエチン酸の含有量が23重量%を超える場
合には、保存時に結晶析出が生じるおそれがある。ま
た、デヒドロアビエチン酸の含有量が10重量%未満の
場合には、乳化重合性に劣るようになり、乳化重合時の
乳化剤の添加量が多くなるため、経済的に乳化重合性を
保持するのが困難となる。
【0019】セコデヒドロアビエチン酸は下記式(2) で
表される構造を有する化合物であり、アビエチン酸の不
均化反応によりデヒドロアビエチン酸と共に生成する。
【化2】
【0020】このセコデヒドロアビエチン酸は、アビエ
チン酸またはロジンから硫黄系触媒を用いて合成する方
法が知られている(特開平53-31650号公報)。本発明に
おいては、セコデヒドロアビエチン酸の生成量を向上さ
せるために、アビエチン酸、ロジンまたはトール油をヨ
ウ素系不均化触媒の存在下で不均化反応する方法にて合
成されたセコデヒドロアビエチン酸を使用するのがよ
い。ヨウ素系不均化触媒としては、例えばヨウ素、ヨウ
化鉄、ヨウ化ニッケル、ヨウ化スズ、ヨウ化亜鉛、ヨウ
化コバルト、ヨウ化銅等が挙げられる。
【0021】また、前記不均化反応は、ヨウ素系不均化
触媒と共に錫化合物を添加して行うのが好ましい。錫化
合物としては、例えば2−エチルヘキシル酸錫、ジn−
オクチル錫ビス(イソオクチルチオグリコール酸エステ
ル)、ジn−オクチル錫ビスアルキルマレートエステ
ル、ジn−オクチル錫ジラウリル酸塩、ジn−ブチル錫
ビスマレイン酸エステル塩、ジn−ブチル錫ビスオクチ
ルチオグリコール酸エステル塩、ジn−ブチル錫ラウレ
ート、ジn−メチル錫ビス(イソオクチルメルカプトア
セテート)等が挙げられる。反応は窒素ガス等の不活性
ガス雰囲気下で有効量のヨウ素系不均化触媒およびカル
ボン酸錫の存在下、約100〜300℃で1〜10時間
加熱することにより行われる。
【0022】組成物中のセコデヒドロアビエチン酸の含
有量は5〜30重量%、好ましくは5〜20重量%、よ
り好ましくは5〜15重量%である。セコデヒドロアビ
エチン酸の含有量が5重量%未満の場合には、不均化さ
れたロジンと脂肪酸混合物の結晶析出が保存時に生じや
すくなり好ましくない。セコデヒドロアビエチン酸の含
有量が30重量%を超える場合には蒸留精製が必要とな
り経済的に好ましくない。
【0023】本発明における直鎖オクタデセン酸は、オ
レイン酸((Z)−9−オクタデセン酸)、エライジン
酸((E)−9−オクタデセン酸)、さらにペトロセリ
ン酸(cis −6−オクタデセン酸)、またはこれらの混
合物を意味する。かかる直鎖オクタデセン酸は、単独で
使用してもよいが、直鎖オクタデセン酸を多く含有する
各種脂肪酸を使用してもよい。このような脂肪酸として
は、例えばトール油、トール油脂肪酸等の不均化反応
物、牛脂脂肪酸、大豆油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の水
素添加反応物等が挙げられる。一般には、トール油、ト
ール油脂肪酸等の不均化反応物を使用するのが好まし
い。
【0024】組成物中の直鎖オクタデセン酸の含有量は
20〜45重量%、好ましくは25〜40重量%であ
る。直鎖オクタデセン酸の含有量が20重量%未満の場
合、不均化ロジンと脂肪酸との混合物は常温での液体性
状が保持しにくくなり、逆に45重量%を超える場合
は、得られる乳化剤が経済的に高価なものになると共に
乳化重合性が低下するため好ましくない。
【0025】本発明で記載する分岐脂肪酸としては、例
えばオレイン酸,リノール酸,エライジン酸,パルミト
レイン酸,リノレイン酸などの炭素数8〜22の不飽和
脂肪酸あるいはこれらの混合物を結晶性粘土鉱物の存在
下で重合させてダイマー酸を合成する際に,重合後の反
応液から分離されるモノマー酸中に含まれるイソステア
リン酸,イソオレイン酸等の分岐脂肪酸が挙げられる。
この分岐脂肪酸はモノマー酸の精留操作によりモノマー
酸から分離される。得られる分岐脂肪酸の構造や分岐点
は一定でなく,数種の混合物からなる成分である。
【0026】かかる分岐脂肪酸は組成物の液体性状をよ
り安定的に保持し、かつ乳化重合性をより向上させるた
めに、必要に応じて組成物に添加されるものである。従
って、組成物中の分岐脂肪酸の含有量は0〜20重量
%、好ましくは3〜20重量%、より好ましくは3〜1
0重量%,最も好ましくは4〜8重量%である。分岐脂
肪酸の含有量が20重量%を超える場合は、モノマー酸
の高度な精製濃縮操作が必要となり経済的に好ましくな
い。本発明の組成物は、デヒドロアビエチン酸およびセ
コデヒドロアビエチン酸を含む樹脂酸と、直鎖オクタデ
セン酸および分岐脂肪酸を含む脂肪酸との混合物からな
る。
【0027】樹脂酸としては、上記以外のロジン由来の
種々の樹脂酸をも包含するが、本発明では組成物中の樹
脂酸の総量が30〜45重量%、好ましくは30〜42
重量%であるのがよい。樹脂酸の総量が30重量%を下
回る場合は乳化重合時のラテックスの粘度が高くなるお
それがある。逆に、樹脂酸の総量が45重量%を超える
場合は保存時の結晶析出を抑制できなくなるおそれがあ
る。かかる樹脂酸の量は、ASTM D803に記載さ
れている「Rosin acids,% 」の分析方法によって求める
ことができる。
【0028】一方、脂肪酸としては、上記以外の種々の
脂肪酸を包含していてもよい。このとき、組成物中の脂
肪酸の総量は45〜60重量%、好ましくは50〜60
重量%であるのがよい。脂肪酸の総量が45重量%を下
回る場合は保存時の結晶析出を抑制できなくなるおそれ
がある。逆に、脂肪酸の総量が60重量%を超える場合
は重合時のラテックスの粘度が高くなるおそれがある。
かかる脂肪酸の量は、ASTM D803に記載されて
いる「Fatty acids,% 」の分析方法によって求めること
ができる。
【0029】本発明の組成物は、上記樹脂酸および脂肪
酸以外に、樹脂酸や脂肪酸に由来する不ケン物等を含有
することがある。
【0030】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限
定されるものではない。なお、実施例中の「部」および
「%」は特に断わらない限り重量部および重量%をそれ
ぞれ意味する。
【0031】合成例1 オートクレーブにトール油脂肪酸(酸価195.0) 1
00部、モンモリロナイトクレー6部、水酸化リチウム
0.2部および水1部を加え, 窒素ガスで置換後,23
0℃まで昇温し3時間反応を行った。ついで、反応液を
120℃まで冷却し, 加圧濾過により固形物を取り除
き,ダイマー酸粗生成物を得た。この粗生成物から流下
膜式蒸留機にて圧力0.01MP、温度200℃の条件
でモノマー酸を留去した。このモノマー酸を精留機にて
精製し,分岐脂肪酸を24%含有する脂肪酸(酸価18
0)を得た。
【0032】合成例2 冷却管,窒素導入管,活栓および撹拌装置を備えた500m
l 四つ口フラスコに、120℃の溶融したトール油30
0部( 酸価183.4、樹脂酸含量45%、脂肪酸含量
52%) および合成例1で得た脂肪酸50部を仕込み、
窒素ガスで置換後、不均化触媒としてヨウ素1.5部お
よび2−エチルヘキシル酸錫0.1部を仕込み,240
℃に加熱し同温度で3 時間反応を続けた後、20KPa
の圧力にて水蒸気を導入して低沸点物を除去し,不均化
されたロジンと脂肪酸の混合物を得た。この混合物は酸
価175、樹脂酸含量37.7%、脂肪酸含量51.5
%であった、分析の結果、表1に示すように、混合物中
には、アビエチン酸は認められず、デヒドロアビエチン
酸18.0%、セコデヒドロアビエチン酸9.5%、直
鎖オクタデセン酸35.5%および分岐脂肪酸3.4%
が含まれていた。そして、この混合物は0℃にて30日
間保存しても析出物が生成せず、液体性状を保持してい
た。25℃での粘度は450mPa・Sであり低い粘性
であった。
【0033】合成例3 冷却管、窒素導入管、活栓および撹拌装置を備えた500m
l 四つ口フラスコに、160℃の溶融したトールロジン
350g(酸価176.5、樹脂酸含量91.3%、脂
肪酸含量2.5%)を仕込み,窒素置換後,不均化触媒
として1,1’−ジチオ−ジ−2−ナフトール3.5部
を加え、250℃に加熱し、同温度で5時間反応を行っ
た。ついで、20KPaの圧力にて水蒸気を導入し、低
沸点物を除去して不均化ロジン得た。
【0034】合成例4 冷却管,窒素導入管,活栓および撹拌装置を備えた500m
l 四つ口フラスコに、160℃の溶融したトールロジン
100部(酸価176.5、樹脂酸含量91.3%、脂
肪酸含量2.5%)、トール脂肪酸250部(酸価19
5.0、樹脂酸含量0.1%、脂肪酸含量98.2%)
を仕込み、窒素ガスで置換後、不均化触媒としてヨウ素
1.8部を加え230℃に加熱し同温度で4時間反応を
続けた後、20KPaの圧力にて水蒸気を導入し, 低沸
点物を除去して不均化されたロジンと脂肪酸の混合物を
得た。分析の結果、この混合物にはアビエチン酸は認め
られなかった。
【0035】合成例5 冷却管,窒素導入管,活栓および撹拌装置を備えた500m
l 四つ口フラスコに、170℃の溶融したガムロジン3
50部(酸価169.0)を仕込み,窒素ガスで置換
後、不均化触媒として,5%パラジウムカーボン0.2
5部を加え270℃に加熱し同温度で4時間反応を続け
た。ついで、反応液を200℃まで冷却し,濾過器にて
触媒を除いて不均化ロジンを得た。この不均化ロジンに
は、セコデヒドロアビエチン酸およびアビエチン酸は認
められなかった。
【0036】合成例6 冷却管,窒素導入管,活栓および撹拌装置を備えた500m
l 四つ口フラスコに、120℃の溶融したトール油35
0部( 酸価184.0、樹脂酸含量44%、脂肪酸含量
53%)を仕込み、窒素ガスで置換後,不均化触媒とし
て,ヨウ素1.6部, を仕込み,240 ℃に加熱し同温度で3
時間反応を続けた後,20KPa の圧力にて水蒸気を導入
処理し、低沸点物を除去して,不均化されたロジンと脂
肪酸の混合物を得た。
【0037】合成例1〜6で得た各生成物の分析結果を
表1に示す。また、微水添牛脂脂肪酸(酸価200、融
点45℃)の分析値も併せて表1に示した。表1におい
て、デヒドロアビエチン酸、セコデヒドロアビエチン
酸、アビエチン酸、直鎖オクタデセン酸および分岐脂肪
酸の各含有量は、樹脂酸および脂肪酸をジアゾメタン法
によりメチルエステル体に誘導した後、ガスクロマトグ
ラフィー分析により求めた。ガスクロマトグラフィー分
析条件は以下の通りである。 分析装置:島津製作所製のGC−15A カラム :キャピラリーカラム URBON HR−S
S−10,FS−bonded, 0.25mm×50
m 液相:シアノプロピルシリコン 検出器: FID 測定条件:オーブン温度195℃、インジェクション温
度250℃、検出温度250℃、 キャリアーガス:He また、樹脂酸および脂肪酸はそれぞれ前記したASTM
D803に記載の方法により求めた。
【0038】
【表1】
【0039】実施例1〜6 表2に示すように、合成例1〜4および合成例6で得た
各生成物を単独でまたは適宜混合して不均化されたロジ
ンと脂肪酸の混合物を得た。なお、混合は120℃で行
い、ついで室温まで冷却した。 比較例1および2 表2に示すように、合成例1、4、5で得た生成物を単
独で、または適宜混合して不均化されたロジンと脂肪酸
の混合物を得た。なお、混合は180℃で行い、ついで
室温まで冷却した。得られた実施例1〜6および比較例
1、2で得た各混合物を用いて、下記の保存安定性試験
を行った。その結果を表2に併せて示す。
【0040】(保存安定性試験)各実施例および比較例
で得た試料(不均化されたロジンと脂肪酸の混合物)8
0gを100mlのガラス製広口瓶に入れ,室温(25
℃)で保存した。そして、試料の経時変化を観察し、以
下の基準にて保存安定性を評価した。 ◎:2ヶ月経過で結晶析出がない。 ○:1週間経過で結晶析出がない。 ×:1週間以内に結晶が析出する。 なお、析出した結晶とは80℃に加熱しても溶解しない
ロジンの結晶を意味する。
【0041】
【表2】
【0042】表2から明らかなように、デヒドロアビエ
チン酸の含有量が多く、セコデヒドロアビエチン酸の含
有量が少ない比較例1,2に比べて、実施例1〜6の組
成物は所定量のデヒドロアビエチン酸、セコデヒドロア
ビエチン酸および直鎖オクタデセン酸が含有されてお
り、かつ樹脂酸および脂肪酸が所定範囲内にあるため、
保存安定性に優れている。特に、実施例1〜5の組成物
は所定量の分岐脂肪酸を含有しているため、高い保存安
定性を有している。
【0043】実施例7〜12 (乳化剤の調製)実施例1〜6で得た混合物を水酸化カ
リウム水溶液で中和し,固形分30%,pH10. 5の
乳化剤水溶液を得た。実施例7〜12で得た各乳化剤水
溶液は,以下の乳化重合試験に供した。
【0044】(乳化重合性試験)ボトル型耐圧容器に下
記に示す乳化重合処方の各成分を仕込み,回転撹拌機を
備えた5℃の低温水槽に装着した。下記処方において、
試料とは実施例7〜12で得た乳化剤である。低温水槽
に装着後30分間経過した段階でp−メンタンハイドロ
パーオキサイド0.03部を仕込んだ後、8時間重合反
応を行った。続いて,重合停止剤としてジエチルジチオ
カルバミン酸ナトリウム0.03部を注入した。得られ
た乳化重合物を105℃で乾燥後の乾燥重量から重合率
を求めて乳化重合性を評価した。その結果を表4に示
す。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】表4から明らかなように、実施例7〜12
で得た乳化剤は、優れた乳化重合性を有している。従っ
て、表2に示した保存安定性試験の結果をも含めて総合
的に評価すると、保存安定性に優れた実施例1〜6の組
成物を使用した実施例7〜12の乳化剤は、移送や保管
に要するコストの削減、重合時の作業性の向上等に貢献
でき、しかも優れた乳化重合性を有していることから、
実際の使用に適した有用性の高いものであることがわか
る。
【0048】
【発明の効果】本発明の組成物は、常温での性状が低粘
度の液体であり、常温で長期間保存しても,溶解が困難
なロジン成分の結晶を生じることがないので、水溶液形
態で移送や保存する場合のコストや、固体形態で移送や
保存する場合における熱水への希釈等に要するエネルギ
ーコストを大幅に削減でき、さらに作業性の向上にも大
きく寄与することができ、しかもアルカリ石鹸として合
成ゴム、合成樹脂等の乳化重合用乳化剤に使用するとき
は優れた乳化重合性を示すという効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瀬崎 崇生 兵庫県加古川市野口町水足671番地の4 ハリマ化成株式会社内 Fターム(参考) 4D077 AA10 AB14 AC01 CA02 CA15 DA02Y DC27Y 4J002 AF021 EF057 EF086 FD311 FD316 FD317 4J011 PA28 PA49 PA57 PB24 PC02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不均化したロジンと脂肪酸との混合物から
    なり、少なくとも、デヒドロアビエチン酸10〜23重
    量%,セコデヒドロアビエチン酸5〜30重量%および
    直鎖オクタデセン酸20〜45重量%を含む、常温で液
    状の不均化ロジン組成物。
  2. 【請求項2】前記セコデヒドロアビエチン酸が、アビエ
    チン酸、ロジンまたはトール油をヨウ素系不均化触媒の
    存在下で不均化して得られた化合物である請求項1記載
    の不均化ロジン組成物。
  3. 【請求項3】分岐脂肪酸3〜20重量%を含む請求項1
    または2記載の不均化ロジン組成物。
  4. 【請求項4】前記分岐脂肪酸が,炭素数8〜22の不飽
    和脂肪酸を重合させてダイマー酸を合成した反応液から
    分離されるモノマー酸に含まれる分岐脂肪酸である請求
    項3記載の不均化ロジン組成物。
  5. 【請求項5】樹脂酸の総量が30〜45重量%,脂肪酸
    の総量が45〜60重量%である請求項1〜4のいずれ
    かに記載の不均化ロジン組成物。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の不均化ロ
    ジン組成物をアルカリで中和して得られる乳化剤。
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