JP4441049B2 - 不均化ロジン組成物および乳化剤 - Google Patents

不均化ロジン組成物および乳化剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、常温で液状の不均化ロジン組成物およびこれをアルカリで中和して得られる乳化剤に関し、より詳しくは、不均化したロジンと脂肪酸との混合物からなる不均化ロジン組成物ならびにスチレン- ブタジエンゴム等の合成ゴムを製造するのに好適な乳化重合用乳化剤に関する。
【従来の技術】
【0002】
【従来の技術】
ブタジエン,スチレン,クロロプレン,アクリロニトリル等の乳化重合に使用される乳化剤としては,不均化ロジンのほか、ステアリン酸,オレイン酸,不均化トール油脂肪酸等の脂肪酸が一般に使用されている。
【0003】
一般に、ロジンはアビエチン酸、パラストリン酸、レボピマール酸、ネオアビエチン酸等の分子中に共役二重結合を有する樹脂酸を含有しているため反応性に富み、従ってこれらの樹脂酸を含有するロジンのアルカリ塩を乳化重合用乳化剤として使用すると重合を阻害する。このため,ロジンを乳化重合用乳化剤として使用するにあたっては,ロジンを不均化し,共役二重結合を有しない誘導体に変換して使用されている。
【0004】
また、脂肪酸の場合も、リノール酸,リノレイン酸,エレオステアリン酸等のように分子中に二重結合を2つ以上有する不飽和脂肪酸は乳化重合を阻害することが知られている。このため,牛脂脂肪酸は硬化処理により、トール脂肪酸はロジンと共に不均化反応を行うことにより重合を阻害しない誘導体に変換して使用されている。
【0005】
ロジンの不均化反応は、通常、パラジウム−活性炭触媒( 米国特許第2177530号明細書),硫黄系触媒( 特公昭49-5360 号公報、同45-33771号公報),ヨウ素系触媒(特開昭51-34896号公報、同57-165499 号公報)等を使用して行われる。ロジンと脂肪酸混合系の不均化反応も特開昭51-34896号公報,特公昭45-33771号公報等に記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
乳化重合によって合成ゴムを製造するための乳化剤として、不均化ロジンと脂肪酸との混合物のアルカリ石鹸水溶液を使用する場合、このアルカリ石鹸水溶液は固形分5〜10重量%程度の低濃度で使用される。アルカリ石鹸水溶液は、通常、固形分30%程度の水溶液形態で移送および保存され、使用時に上記濃度に希釈される。
しかし、固形分30%程度のアルカリ石鹸水溶液を移送や保存するには多大のコストが必要であり経済性に劣るという問題がある。
【0007】
これに対して、不均化されたロジンと脂肪酸との混合物の性状が常温で液体であれば、水溶液の形態に調製することなく、そのままで移送や保存が可能となるので、移送や保存に要するコストを削減できるという利点がある。しかし、上記混合物の性状を液体とした場合、保存時にロジン成分が結晶化し析出するという問題があった。ロジン成分の結晶が析出した場合には,120℃程度まで加熱しなければ結晶は溶融しないため,作業性の面で大きな問題となる。また,脂肪酸の融点が室温以上では,液体性状を保持できないため加熱装置が必要となる。
【0008】
一方、他の乳化重合用乳化剤として、固形分20〜25%の不均化ロジンアルカリ石鹸水溶液と、融点が45℃付近の微水添牛脂脂肪酸のアルカリ石鹸水溶液との混合物が知られている。
しかし、微水添牛脂脂肪酸の石鹸水溶液は,粘度が高いため、低濃度で移送・保存しなければならないため、経済的でない。このため、微水添牛脂脂肪酸は固形分90〜100%の固体石鹸か脂肪酸の形態で移送されるが、固形分90〜100%の固体石鹸の場合は、使用時に熱水に溶解・希釈する必要があり、また脂肪酸の形で供給された場合にはケン化処理が必要となり、いずれの場合も複雑な装置や多大のエネルギーコストが必要となる。
また、固体の不均化ロジンを使用する場合、使用時に、不均化ロジン(通常200〜230kg程度)を充填・固化させたドラムをはぎ取り、不均化ロジンの塊を適当な大きさに破砕して釜に仕込む、いわゆる割り込み操作が必要となるため、作業性が非常に悪くなる。
【0009】
従って、本発明は、常温で低粘度の液体であり,かつ常温で長期間保存してもロジンの結晶析出が生じない、保存安定性に優れた不均化ロジン組成物、およびアルカリ石鹸として合成ゴム、合成樹脂等の乳化重合に有用な乳化剤を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ロジン成分の結晶析出には不均化ロジン中に含まれるデヒドロアビエチン酸の濃度が影響しているという新たな知見を得た。すなわち、デヒドロアビエチン酸は乳化剤として乳化重合性に優れた化合物であるが、濃度が大きくなると結晶析出が生じやすくなるのである。
【0011】
そこで、本発明者らは、デヒドロアビエチン酸の一部をデヒドロアビエチン酸と同等の乳化重合性のある低結晶性の他の樹脂酸に置き換えることによりロジンの結晶性を低減できるのではないかと考え研究を重ねた結果,セコデヒドロアビエチン酸が優れた乳化重合性を示し、かつロジンの結晶性をも低減できることを見出した。さらに、本発明者らは、不均化ロジンと混合される脂肪酸として、直鎖オクタデセン酸が融点が低く常温での液体性状保持に極めて優れていることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明は、不均化したロジンと脂肪酸との混合物からなり、少なくとも、デヒドロアビエチン酸10〜23重量%,セコデヒドロアビエチン酸5〜30重量%および直鎖オクタデセン酸20〜45重量%を含む、常温で液状の不均化ロジン組成物を提供するものである。
【0013】
かかる本発明の組成物は常温で液体であるため移送や保存に要するコストを削減でき、しかも長期間の保存でも容易に結晶が析出しないため、保存安定性に優れ、作業性にも優れている。加えて、上記組成物は、これをアルカリ石鹸としたとき、乳化重合用の乳化剤として優れた乳化重合性を示す。ここで、「常温」とは15〜30℃程度の温度を意味するが、この温度範囲に限定されるものではない。
【0014】
また、本発明では、前記デヒドロアビエチン酸、セコデヒドロアビエチン酸および直鎖オクタデセン酸の各所定量に加えて、分岐脂肪酸3〜20重量%を含むのが好ましい。
分岐脂肪酸は組成物の液体性状をより安定に保持し、かつ乳化重合性をより向上させる作用を有する。
【0015】
さらに、本発明の組成物は、樹脂酸の総量が30〜45重量%,脂肪酸の総量が45〜60重量%であるのが、液体性状および高い乳化重合性を保持するうえで好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態にかかる組成物は、所定量のデヒドロアビエチン酸、セコデヒドロアビエチン酸、直鎖オクタデセン酸および分岐脂肪酸を含む、不均化したロジンと脂肪酸との混合物からなる。
【0017】
デヒドロアビエチン酸は下記式(1) で表される構造を有する化合物であり、アビエチン酸またはロジンの不均化反応により生成する。
【化1】
Figure 0004441049
【0018】
このデヒドロアビエチン酸は乳化重合性に優れるが,結晶性が強いという特性を有する。従って、組成物中のデヒドロアビエチン酸の含有量は10〜23重量%、好ましくは10〜21重量%であるのがよい。デヒドロアビエチン酸の含有量が23重量%を超える場合には、保存時に結晶析出が生じるおそれがある。また、デヒドロアビエチン酸の含有量が10重量%未満の場合には、乳化重合性に劣るようになり、乳化重合時の乳化剤の添加量が多くなるため、経済的に乳化重合性を保持するのが困難となる。
【0019】
セコデヒドロアビエチン酸は下記式(2) で表される構造を有する化合物であり、アビエチン酸の不均化反応によりデヒドロアビエチン酸と共に生成する。
【化2】
Figure 0004441049
【0020】
このセコデヒドロアビエチン酸は、アビエチン酸またはロジンから硫黄系触媒を用いて合成する方法が知られている(特開53-31650号公報)。本発明においては、セコデヒドロアビエチン酸の生成量を向上させるために、アビエチン酸、ロジンまたはトール油をヨウ素系不均化触媒の存在下で不均化反応する方法にて合成されたセコデヒドロアビエチン酸を使用するのがよい。ヨウ素系不均化触媒としては、例えばヨウ素、ヨウ化鉄、ヨウ化ニッケル、ヨウ化スズ、ヨウ化亜鉛、ヨウ化コバルト、ヨウ化銅等が挙げられる。
【0021】
また、前記不均化反応は、ヨウ素系不均化触媒と共に錫化合物を添加して行うのが好ましい。錫化合物としては、例えば2−エチルヘキシル酸錫、ジn−オクチル錫ビス(イソオクチルチオグリコール酸エステル)、ジn−オクチル錫ビスアルキルマレートエステル、ジn−オクチル錫ジラウリル酸塩、ジn−ブチル錫ビスマレイン酸エステル塩、ジn−ブチル錫ビスオクチルチオグリコール酸エステル塩、ジn−ブチル錫ラウレート、ジn−メチル錫ビス(イソオクチルメルカプトアセテート)等が挙げられる。反応は窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で有効量のヨウ素系不均化触媒およびカルボン酸錫の存在下、約100〜300℃で1〜10時間加熱することにより行われる。
【0022】
組成物中のセコデヒドロアビエチン酸の含有量は5〜30重量%、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%である。セコデヒドロアビエチン酸の含有量が5重量%未満の場合には、不均化されたロジンと脂肪酸混合物の結晶析出が保存時に生じやすくなり好ましくない。セコデヒドロアビエチン酸の含有量が30重量%を超える場合には蒸留精製が必要となり経済的に好ましくない。
【0023】
本発明における直鎖オクタデセン酸は、オレイン酸((Z)−9−オクタデセン酸)、エライジン酸((E)−9−オクタデセン酸)、さらにペトロセリン酸(cis −6−オクタデセン酸)、またはこれらの混合物を意味する。かかる直鎖オクタデセン酸は、単独で使用してもよいが、直鎖オクタデセン酸を多く含有する各種脂肪酸を使用してもよい。このような脂肪酸としては、例えばトール油、トール油脂肪酸等の不均化反応物、牛脂脂肪酸、大豆油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の水素添加反応物等が挙げられる。一般には、トール油、トール油脂肪酸等の不均化反応物を使用するのが好ましい。
【0024】
組成物中の直鎖オクタデセン酸の含有量は20〜45重量%、好ましくは25〜40重量%である。直鎖オクタデセン酸の含有量が20重量%未満の場合、不均化ロジンと脂肪酸との混合物は常温での液体性状が保持しにくくなり、逆に45重量%を超える場合は、得られる乳化剤が経済的に高価なものになると共に乳化重合性が低下するため好ましくない。
【0025】
本発明で記載する分岐脂肪酸としては、例えばオレイン酸,リノール酸,エライジン酸,パルミトレイン酸,リノレイン酸などの炭素数8〜22の不飽和脂肪酸あるいはこれらの混合物を結晶性粘土鉱物の存在下で重合させてダイマー酸を合成する際に,重合後の反応液から分離されるモノマー酸中に含まれるイソステアリン酸,イソオレイン酸等の分岐脂肪酸が挙げられる。この分岐脂肪酸はモノマー酸の精留操作によりモノマー酸から分離される。得られる分岐脂肪酸の構造や分岐点は一定でなく,数種の混合物からなる成分である。
【0026】
かかる分岐脂肪酸は組成物の液体性状をより安定的に保持し、かつ乳化重合性をより向上させるために、必要に応じて組成物に添加されるものである。従って、組成物中の分岐脂肪酸の含有量は0〜20重量%、好ましくは3〜20重量%、より好ましくは3〜10重量%,最も好ましくは4〜8重量%である。分岐脂肪酸の含有量が20重量%を超える場合は、モノマー酸の高度な精製濃縮操作が必要となり経済的に好ましくない。
本発明の組成物は、デヒドロアビエチン酸およびセコデヒドロアビエチン酸を含む樹脂酸と、直鎖オクタデセン酸および分岐脂肪酸を含む脂肪酸との混合物からなる。
【0027】
樹脂酸としては、上記以外のロジン由来の種々の樹脂酸をも包含するが、本発明では組成物中の樹脂酸の総量が30〜45重量%、好ましくは30〜42重量%であるのがよい。樹脂酸の総量が30重量%を下回る場合は乳化重合時のラテックスの粘度が高くなるおそれがある。逆に、樹脂酸の総量が45重量%を超える場合は保存時の結晶析出を抑制できなくなるおそれがある。
かかる樹脂酸の量は、ASTM D803に記載されている「Rosin acids, % 」の分析方法によって求めることができる。
【0028】
一方、脂肪酸としては、上記以外の種々の脂肪酸を包含していてもよい。このとき、組成物中の脂肪酸の総量は45〜60重量%、好ましくは50〜60重量%であるのがよい。脂肪酸の総量が45重量%を下回る場合は保存時の結晶析出を抑制できなくなるおそれがある。逆に、脂肪酸の総量が60重量%を超える場合は重合時のラテックスの粘度が高くなるおそれがある。
かかる脂肪酸の量は、ASTM D803に記載されている「Fatty acids, % 」の分析方法によって求めることができる。
【0029】
本発明の組成物は、上記樹脂酸および脂肪酸以外に、樹脂酸や脂肪酸に由来する不ケン物等を含有することがある。
【0030】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」および「%」は特に断わらない限り重量部および重量%をそれぞれ意味する。
【0031】
合成例1
オートクレーブにトール油脂肪酸(酸価195.0) 100部、モンモリロナイトクレー6部、水酸化リチウム0.2部および水1部を加え, 窒素ガスで置換後,230℃まで昇温し3時間反応を行った。ついで、反応液を120℃まで冷却し, 加圧濾過により固形物を取り除き,ダイマー酸粗生成物を得た。この粗生成物から流下膜式蒸留機にて圧力0.01MP、温度200℃の条件でモノマー酸を留去した。このモノマー酸を精留機にて精製し,分岐脂肪酸を24%含有する脂肪酸(酸価180)を得た。
【0032】
合成例2
冷却管,窒素導入管,活栓および撹拌装置を備えた500ml 四つ口フラスコに、120℃の溶融したトール油300部( 酸価183.4、樹脂酸含量45%、脂肪酸含量52%) および合成例1で得た脂肪酸50部を仕込み、窒素ガスで置換後、不均化触媒としてヨウ素1.5部および2−エチルヘキシル酸錫0.1部を仕込み,240℃に加熱し同温度で3 時間反応を続けた後、20KPaの圧力にて水蒸気を導入して低沸点物を除去し,不均化されたロジンと脂肪酸の混合物を得た。
この混合物は酸価175、樹脂酸含量37.7%、脂肪酸含量51.5%であった、分析の結果、表1に示すように、混合物中には、アビエチン酸は認められず、デヒドロアビエチン酸18.0%、セコデヒドロアビエチン酸9.5%、直鎖オクタデセン酸35.5%および分岐脂肪酸3.4%が含まれていた。そして、この混合物は0℃にて30日間保存しても析出物が生成せず、液体性状を保持していた。25℃での粘度は450mPa・Sであり低い粘性であった。
【0033】
合成例3
冷却管、窒素導入管、活栓および撹拌装置を備えた500ml 四つ口フラスコに、160℃の溶融したトールロジン350g(酸価176.5、樹脂酸含量91.3%、脂肪酸含量2.5%)を仕込み,窒素置換後,不均化触媒として1,1’−ジチオ−ジ−2−ナフトール3.5部を加え、250℃に加熱し、同温度で5時間反応を行った。ついで、20KPaの圧力にて水蒸気を導入し、低沸点物を除去して不均化ロジン得た。
【0034】
合成例4
冷却管,窒素導入管,活栓および撹拌装置を備えた500ml 四つ口フラスコに、160℃の溶融したトールロジン100部(酸価176.5、樹脂酸含量91.3%、脂肪酸含量2.5%)、トール脂肪酸250部(酸価195.0、樹脂酸含量0.1%、脂肪酸含量98.2%)を仕込み、窒素ガスで置換後、不均化触媒としてヨウ素1.8部を加え230℃に加熱し同温度で4時間反応を続けた後、20KPaの圧力にて水蒸気を導入し, 低沸点物を除去して不均化されたロジンと脂肪酸の混合物を得た。分析の結果、この混合物にはアビエチン酸は認められなかった。
【0035】
合成例5
冷却管,窒素導入管,活栓および撹拌装置を備えた500ml 四つ口フラスコに、170℃の溶融したガムロジン350部(酸価169.0)を仕込み,窒素ガスで置換後、不均化触媒として,5%パラジウムカーボン0.25部を加え270℃に加熱し同温度で4時間反応を続けた。ついで、反応液を200℃まで冷却し,濾過器にて触媒を除いて不均化ロジンを得た。
この不均化ロジンには、セコデヒドロアビエチン酸およびアビエチン酸は認められなかった。
【0036】
合成例6
冷却管,窒素導入管,活栓および撹拌装置を備えた500ml 四つ口フラスコに、120℃の溶融したトール油350部( 酸価184.0、樹脂酸含量44%、脂肪酸含量53%)を仕込み、窒素ガスで置換後,不均化触媒として,ヨウ素1.6 部, を仕込み,240 ℃に加熱し同温度で3 時間反応を続けた後,20KPa の圧力にて水蒸気を導入処理し、低沸点物を除去して,不均化されたロジンと脂肪酸の混合物を得た。
【0037】
合成例1〜6で得た各生成物の分析結果を表1に示す。また、微水添牛脂脂肪酸(酸価200、融点45℃)の分析値も併せて表1に示した。
表1において、デヒドロアビエチン酸、セコデヒドロアビエチン酸、アビエチン酸、直鎖オクタデセン酸および分岐脂肪酸の各含有量は、樹脂酸および脂肪酸をジアゾメタン法によりメチルエステル体に誘導した後、ガスクロマトグラフィー分析により求めた。ガスクロマトグラフィー分析条件は以下の通りである。
Figure 0004441049
また、樹脂酸および脂肪酸はそれぞれ前記したASTM D803に記載の方法により求めた。
【0038】
【表1】
Figure 0004441049
【0039】
実施例1〜6
表2に示すように、合成例1〜4および合成例6で得た各生成物を単独でまたは適宜混合して不均化されたロジンと脂肪酸の混合物を得た。なお、混合は120℃で行い、ついで室温まで冷却した。
比較例1および2
表2に示すように、合成例1、4、5で得た生成物を単独で、または適宜混合して不均化されたロジンと脂肪酸の混合物を得た。なお、混合は180℃で行い、ついで室温まで冷却した。
得られた実施例1〜6および比較例1、2で得た各混合物を用いて、下記の保存安定性試験を行った。その結果を表2に併せて示す。
【0040】
(保存安定性試験)
各実施例および比較例で得た試料(不均化されたロジンと脂肪酸の混合物)80gを100mlのガラス製広口瓶に入れ,室温(25℃)で保存した。そして、試料の経時変化を観察し、以下の基準にて保存安定性を評価した。
◎:2ヶ月経過で結晶析出がない。
○:1週間経過で結晶析出がない。
×:1週間以内に結晶が析出する。
なお、析出した結晶とは80℃に加熱しても溶解しないロジンの結晶を意味する。
【0041】
【表2】
Figure 0004441049
【0042】
表2から明らかなように、デヒドロアビエチン酸の含有量が多く、セコデヒドロアビエチン酸の含有量が少ない比較例1,2に比べて、実施例1〜6の組成物は所定量のデヒドロアビエチン酸、セコデヒドロアビエチン酸および直鎖オクタデセン酸が含有されており、かつ樹脂酸および脂肪酸が所定範囲内にあるため、保存安定性に優れている。特に、実施例1〜5の組成物は所定量の分岐脂肪酸を含有しているため、高い保存安定性を有している。
【0043】
実施例7〜12
(乳化剤の調製)
実施例1〜6で得た混合物を水酸化カリウム水溶液で中和し,固形分30%,pH10. 5の乳化剤水溶液を得た。
実施例7〜12で得た各乳化剤水溶液は,以下の乳化重合試験に供した。
【0044】
(乳化重合性試験)
ボトル型耐圧容器に下記に示す乳化重合処方の各成分を仕込み,回転撹拌機を備えた5℃の低温水槽に装着した。下記処方において、試料とは実施例7〜12で得た乳化剤である。低温水槽に装着後30分間経過した段階でp−メンタンハイドロパーオキサイド0.03部を仕込んだ後、8時間重合反応を行った。続いて,重合停止剤としてジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム0.03部を注入した。得られた乳化重合物を105℃で乾燥後の乾燥重量から重合率を求めて乳化重合性を評価した。その結果を表4に示す。
【0045】
【表3】
Figure 0004441049
【0046】
【表4】
Figure 0004441049
【0047】
表4から明らかなように、実施例7〜12で得た乳化剤は、優れた乳化重合性を有している。従って、表2に示した保存安定性試験の結果をも含めて総合的に評価すると、保存安定性に優れた実施例1〜6の組成物を使用した実施例7〜12の乳化剤は、移送や保管に要するコストの削減、重合時の作業性の向上等に貢献でき、しかも優れた乳化重合性を有していることから、実際の使用に適した有用性の高いものであることがわかる。
【0048】
【発明の効果】
本発明の組成物は、常温での性状が低粘度の液体であり、常温で長期間保存しても,溶解が困難なロジン成分の結晶を生じることがないので、水溶液形態で移送や保存する場合のコストや、固体形態で移送や保存する場合における熱水への希釈等に要するエネルギーコストを大幅に削減でき、さらに作業性の向上にも大きく寄与することができ、しかもアルカリ石鹸として合成ゴム、合成樹脂等の乳化重合用乳化剤に使用するときは優れた乳化重合性を示すという効果がある。

Claims (7)

  1. 不均化したロジンと脂肪酸との混合物からなり、少なくとも、デヒドロアビエチン酸10〜23重量%,セコデヒドロアビエチン酸5〜30重量%直鎖オクタデセン酸20〜45重量%および分岐脂肪酸3〜20重量%を含み、前記デヒドロアビエチン酸およびセコデヒドロアビエチン酸を含む不均化したロジン由来の樹脂酸の総量が30〜45重量%,前記直鎖オクタデセン酸および分岐脂肪酸を含む脂肪酸の総量が45〜60重量%であることを特徴とする、常温で液状の不均化ロジン組成物。
  2. 前記セコデヒドロアビエチン酸が、アビエチン酸、ロジンまたはトール油をヨウ素系不均化触媒の存在下で不均化して得られた化合物である請求項1記載の不均化ロジン組成物。
  3. 前記分岐脂肪酸が,炭素数8〜22の不飽和脂肪酸を重合させてダイマー酸を合成した反応液から分離されるモノマー酸に含まれる分岐脂肪酸である請求項記載の不均化ロジン組成物。
  4. 炭素数8〜22の不飽和脂肪酸を重合させてダイマー酸を合成した反応液からモノマー酸を分離し、このモノマー酸から直鎖オクタデセン酸および分岐脂肪酸を含む脂肪酸を分離し、
    この脂肪酸とアビエチン酸、ロジンまたはトール油とを混合し、アビエチン酸、ロジンまたはトール油をヨウ素系不均化触媒の存在下で不均化して、樹脂酸としてデヒドロアビエチン酸およびセコデヒドロアビエチン酸を含む不均化ロジンと脂肪酸との混合物を得ることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の不均化ロジン組成物の製造方法。
  5. 炭素数8〜22の不飽和脂肪酸を重合させてダイマー酸を合成した反応液からモノマー酸を分離し、このモノマー酸から直鎖オクタデセン酸および分岐脂肪酸を含む脂肪酸を分離し、
    アビエチン酸、ロジンまたはトール油をヨウ素系不均化触媒の存在下で不均化して、樹脂酸としてデヒドロアビエチン酸およびセコデヒドロアビエチン酸を含む不均化ロジンを得、
    この不均化ロジンと前記脂肪酸とを混合することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の不均化ロジン組成物の製造方法。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の不均化ロジン組成物をアルカリで中和して得られる乳化剤。
  7. 不均化したロジンと脂肪酸との混合物からなり、少なくとも、デヒドロアビエチン酸10〜23重量%と,セコデヒドロアビエチン酸5〜30重量%と、直鎖オクタデセン酸20〜45重量%と、炭素数8〜22の不飽和脂肪酸を重合させてダイマー酸を合成した反応液から分離されるモノマー酸に含まれる分岐脂肪酸3〜20重量%とを含む、常温で液状の不均化ロジン組成物をアルカリで中和して得られる乳化剤。
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