JP2001270415A - 車両用エアバッグ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エアバッグ装置本体の小型化及び軽量化を可
能とする車両用エアバッグ装置の開発。 【解決手段】 ディフューザ１２を、布又は樹脂シート
等からなるシート素材を用いて、インフレータ１１を収
納することができる内径であり、かつ筒状インフレータ
１１の軸長よりも長い筒軸を有する筒状袋に形成し、さ
らに該筒状袋であるディフューザ１２のインフレータ収
納部１２ａから延長した部位にインフレータ１１からの
圧力ガスを分散放出する複数個の透孔を穿設せしめたデ
ィフューザ部１２ｂを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、省スペース収納が
要求されるサイドエアバッグ装置等に好適な車両用エア
バッグ装置に関し、特にそのディフューザ構造に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば自動車が、その側面から衝撃を受
けたとき、その衝撃に対して乗員を保護するための手段
として、自動車の車室内に設備される座席背もたれの内
部から、乗員の側方と車体側壁（サイドドア）との間に
エアバッグを膨出させて、乗員を保護するサイドエアバ
ッグ装置が知られている。

【０００３】かかるサイドエアバッグ装置を構成してい
るエアバッグ装置本体は、例えば図５で示すように、細
長筒状に形成されているインフレータ１と、該インフレ
ータ１を内装保持し、かつインフレータ１が起爆したと
きの発生ガスをエアバッグ内に分散供給せしめるための
透孔２を穿設せしめてなる金属製のディフューザ３と、
該ディフューザ３の外側で巻きつけ保持されるエアバッ
グ４とで構成されており、かかるエアバッグ装置本体５
は、例えば図６で示すように、座席背もたれ６内部のシ
ートフレーム７に適宜の固定手段により固定されてい
る。

【０００４】そしてこのエアバッグ装置本体を装備する
車体の側面から衝撃力を受けると、インフレータ１が起
爆して圧力ガスが発生し、この圧力ガスは、ディフュー
ザ３に設けられている各透孔２から分散してエアバッグ
４内に分散供給される。この分散ガスを受けたエアバッ
グ４は、その分散ガス圧がパック内部の隅々まで迅速に
侵入されこのためにエアバッグは瞬時に展開膨張し、乗
員の保護がなされる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記した従
来のディフューザ３は、金属製の硬質部材であること、
またこの金属製ディフューザ３の外径はその内部にイン
フレータ１を収納しなければならないことから、当然の
ことながら、インフレータ１の外径よりも太くなってし
まう。従ってその金属製ディフューザ３の外周面にエア
バッグ４を巻回保持せしめてなるエアバッグ装置本体５
の外径（外形）が太くなり、これが原因で座席背もたれ
の内部に形成したエアバッグ装置本体収納空間内に内装
することが困難となる。また上記の外径が太いエアバッ
グ装置を強いて座席背もたれ内部に内装しようとするな
らば、背もたれの厚さを大きくしなければならず、これ
に伴ない座席の総重量が増大することは勿論のこと、経
済性が悪くなる等のことが考えられる。また従来のディ
フューザは金属製であることから、ディフューザ自体の
重量が嵩み、これが原因でエアバッグ装置本体の総重量
も増大している等の不具合があった。

【０００６】本発明は、かかることに着目してなされた
もので、ディフューザを、布又はシートを素材として形
成することにより、そのディフューザ自体の軽量化を可
能ならしめ、さらにはディフューザを可能なかぎり折り
曲げ収縮せしめながら、エアバッグをコンパクトに圧縮
巻回（折りたたみ）維持せしめることができるようにし
て、エアバッグ装置本体の小型化を可能ならしめること
ができる車両用エアバッグ装置の提供を目的としてい
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、筒状のインフレータと、該インフレー
タを内装するディフューザと、該ディフューザの外側に
配置せしめたエアバッグとからなるエアバッグ装置にお
いて、上記ディフューザを、布又は樹脂シート等からな
るシート素材を用いて、上記インフレータを収納するこ
とができる内径であり、かつ上記インフレータの軸長よ
りも長い筒軸を有する筒状袋に形成し、さらに該ディフ
ューザの上記インフレータが収納されるインフレータ収
納部から延長した部分に、上記インフレータからの圧力
ガスを分散放出する複数個の透孔を穿設せしめたディフ
ューザ部を設けた車両用エアバッグ装置であることを特
徴としている。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下に本発明を図面に示す実施例
に基いて詳細に説明する。

【０００９】図１乃至図４において、１１はサイドエア
バッグ装置に使用される細長円筒状のインフレータであ
り、１２は、このインフレータ１１を内装する筒状袋に
形成（縫製）されているディフューザである。このディ
フューザ１２は、通気性が低い厚手の生地又は樹脂シー
ト等のシート素材を用いて筒状袋に形成したものであっ
て、そのディフューザ１２の内径は、インフレータ１１
が収納できる大きさであり、またそのディフューザ１２
の筒軸方向長さは、インフレータ１１の長さよりも長く
設定し膨張展開されるエアバッグ１３の上縁部に達しう
る長さ（Ｌ）に設定されている。またこのディフューザ
１２のインフレータ１１が収納されるインフレータ収納
部１２ａからその先端方向の部分に、インフレータ１１
の動作により発生する圧力ガスを、エアバッグ１３内へ
分散放出せしめるための複数の透孔１４が穿設されたデ
ィフューザ部１２ｂを設けてなるものである。

【００１０】かくして筒状袋に形成されているディフュ
ーザ１２を用いてエアバッグ装置本体を組立てるには、
先ずそのディフューザ１２の内側下部にインフレータ１
１を内装し、そのディフューザ１２を閉塞する。次いで
このディフューザ１２をインフレータ１１と共に予め縫
製されているエアバッグ１３の内部片隅に組付け、さら
にそのディフューザ１２のインフレータ収納部分１２ａ
以外の部分、即ちディフューザ部１２ｂを圧縮せしめな
がら、該圧縮部分１２ｂを芯としてエアバッグ１３をロ
ール状に巻回して図２で示す如きエアバッグ装置本体１
５を得る。

【００１１】このようにして組立てられたエアバッグ装
置本体１５は、図３で示すように、そのインフレータ１
１に該当する部分を、ブラケット１６を用いて座席背も
たれ１７のシートフレーム１８に固定し、座席背もたれ
１７内に装着し、サイドエアバッグ装置を完成する。

【００１２】このようにして座席背もたれ１７に組付け
られているエアバッグ装置のインフレータ１１が、車体
が受けた衝撃力により動作するとインフレータ１１から
は圧力ガスが発生され、この発生ガスは、筒状袋である
ディフューザ１２の各透孔を経てエアバッグ１３内に分
散供給され、その結果、該エアバッグ１３は迅速に膨張
される。

【００１３】以上のように本実施形態では、ディフュー
ザ１２が筒状袋であることから、このディフューザ１２
をコンパクトに圧縮することができ、これによってエア
バッグ１３をロール状に巻回せしめてなるエアバッグ装
置本体の外径Ｒをコンパクトに保形維持させることがで
き、このため該エアバッグ装置本体を座席の背もたれ内
部に内装する作業性が容易となり、また背もたれの厚さ
を拡大する必要もなくなる。

【００１４】またディフューザ１２はシート素材で形成
されていることから、エアバッグ装置本体が大幅に軽量
化し、車体の軽量化の要求に十分答えることができる。

【００１５】図４で示す本発明の他の実施形態は、１個
のインフレータ１１を筒軸方向の略中央部に配置するこ
とができる長尺のディフューザ１２を、上記実施形態と
同様に布又は樹脂シート等からなるシート素材で形成
し、その長尺ディフューザ１２の下半部は乗員の胴部を
保護する第１のエアバッグ１３Ａ内に位置固定し、また
その長尺ディフューザ１２の上半部は乗員の頭部を保護
する第２のエアバッグ１３Ｂ内に位置固定したエアバッ
グ装置本体を示すものである。

【００１６】従ってこの実施形態の場合も長尺状のディ
フューザがシート素材で形成されている筒状袋であるこ
とから上記実施形態と同様に、そのディフューザの圧縮
コンパクト化と軽量化が可能である。

【００１７】なお、上記の実施形態及び他の実施形態で
は、いずれもサイドエアバッグ装置の場合について説明
したが、これに限られるものではなく、例えばハンドル
装着される運転席用エアバッグ装置、インストルメント
パネルに装着される助手席用エアバッグ装置、さらには
運転席又は助手席足元に装着されるニーエアバッグ装置
等種々のエアバッグ装置に適用できる。

【００１８】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、インフ
レータを収納するディフューザをシート素材で形成した
ので、そのディフューザを圧縮することができるので該
ディフューザを具備するエアバッグ装置本体の小型化が
可能となる。またこのディフューザは、シート素材で形
成されているので、従来の金属製のディフューザと比し
て大幅に軽量化することができるという作用効果を奏す
るものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明よりなる実施形態を示したインフレータ
とディフューザとの説明図。

【図２】本発明よりなる実施形態を示したエアバッグ装
置本体の組立説明図。

【図３】本発明よりなる実施形態を示したエアバッグ装
置本体の座席背もたれへの取付け説明図。

【図４】本発明よりなる他の実施形態を示したエアバッ
グ装置本体の説明図。

【図５】従来のエアバッグ装置本体の説明図。

【図６】従来のエアバッグ装置本体の座席背もたれへの
取付け説明図。

【符号の説明】

１１…インフレータ １２…ディフューザ １３…エアバッグ １４…透孔 １５…エアバッグ装置本体

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 筒状のインフレータと、該インフレータ
   を内装するディフューザと、該ディフューザの外側に配
   置せしめたエアバッグとからなるエアバッグ装置におい
   て、上記ディフューザを、布又は樹脂シート等からなる
   シート素材を用いて、上記インフレータを収納すること
   ができる内径であり、かつ上記インフレータの軸長より
   も長い筒軸を有する筒状袋に形成し、さらに該ディフュ
   ーザの上記インフレータが収納されるインフレータ収納
   部から延長した部分に、上記インフレータからの圧力ガ
   スを分散放出する複数個の透孔を穿設せしめたディフュ
   ーザ部を設けてなることを特徴とする車両用エアバッグ
   装置。