JP3646593B2 - 側突用エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の座席に配置されて、作動時、車内壁と乗員との間に膨張したエアバッグを配置させる側突用エアバッグ装置に関し、特に、折り畳まれたエアバッグが、折り崩れ防止用の破断可能なラッピングシートに包まれている側突用エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、側突用エアバッグ装置では、特開平9−136596号公報等に記載されているように、エアバッグが、折り畳んだ直後から座席のシートフレームに取り付けるまでに、折り崩れが生じないように、破断可能なラッピングシートによって包まれていた。
【0003】
なお、側突用エアバッグ装置では、座席に配置するために、コンパクトなものが要求され、エアバッグの後部側に、膨張用ガスを発生させるインフレーターを内蔵させ、そのインフレーターも、略円柱状のシリンダタイプものが使用されていた。
【0004】
そして、エアバッグを折り畳む際には、インフレーターを後部側に内蔵させた状態で、エアバッグの前部側を後部側に接近させるように折り畳み、そして、ラッピングシートで、折り畳んだエアバッグの周囲の後面・左右側面・前面を包んでいた。
【0005】
しかし、従来のラッピングシートの包み方は、両端相互を連結させて、折り畳んだエアバッグの周囲を、単に、筒状に覆うだけであった。
【0006】
そのため、エアバッグの折目がラッピングシートに直接結合されている訳ではないことから、折目間でずれることが避けられず、折目間が徐々にずれれば、包んだエアバッグの前部側が、インフレーターの配置部位を中心に、左右方向に振れるように変位して、折り崩れを生じさせる場合があった。特に、後部側に内蔵したインフレーターが略円柱状としているため、折り畳まれたエアバッグは、前部側をインフレーター側に押し付けられるように、ラッピングシートによって包まれても、不安定な状態となって、後部側に対して前部側が変位する折り崩れを、効果的に抑制し難かった。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、折り畳まれたエアバッグの折り崩れを、ラッピングシートを利用して、確実に防止できる側突用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る側突用エアバッグ装置は、エアバッグが、後部側にシリンダタイプのインフレーターを内蔵させるとともに、後部側に折り畳まれ、さらに、折り崩れ防止用の破断可能なラッピングシートに包まれて、前記インフレーターから突出する取付ボルトを利用し、後部側をシートフレームに取付固定させる側突用エアバッグ装置であって、
前記ラッピングシートが、
一端を、折り畳まれた前記エアバッグの折目間に挟持させるように挿入させた状態で、前記エアバッグの前部側を覆い、さらに、前記挟持部位を覆うように、前記エアバッグを少なくとも一周分巻き、かつ、前記取付ボルトを覆った中間部位と他端とを前記取付ボルトに係止させて、
折り畳まれた前記エアバッグを包んでいることを特徴とする。
【0009】
【発明の効果】
本発明に係る側突用エアバッグ装置では、折り畳まれたエアバッグが、内蔵したインフレーターごと、ラッピングシートにより包まれれば、折目間に挿入された一端(挿入端)が、摩擦抵抗によって、抜けず、折り畳まれたエアバッグに直接結合された状態となる。
【0010】
そのため、折り畳まれたエアバッグにおけるラッピングシート挿入端の位置から前方側の部位が、ラッピングシートの挿入端からエアバッグ前部側を覆うラッピングシートの部位よって、固く緊締される状態となり、エアバッグの前方側部位における折目間のずれが、防止される。
【0011】
また、折り畳まれたエアバッグにおけるラッピングシート挿入端の位置から後方側の部位も、ラッピングシートの挿入端からエアバッグ後部側を覆うラッピングシートの部位によって、固く緊締される状態となる。
【0012】
そして、折り畳まれたエアバッグにおけるラッピングシート挿入端位置の前方と後方との緊締された部位相互も、エアバッグを一巻き分以上巻いているラッピングシート全体により、固く緊締されることとなり、その結果、エアバッグ前部側のエアバッグ後部側に対して左右方向に振れるような変位が、抑制され、エアバッグの折り崩れが、防止される。
【0013】
さらに、ラッピングシートの挿入端から連なる連結部位や他端側が、取付ボルトに係止されて、ずれないため、ラッピングシートの固い緊締状態を、安定して維持可能となる。
【0014】
したがって、本発明に係る側突用エアバッグ装置では、折り畳まれたエアバッグの折り崩れを、ラッピングシートを利用して、確実に防止できる。そして、ラッピングシートで包まれたエアバッグは、折り崩れが防止されていることから、シートフレームへの組付性が向上し、さらに、エアバッグを、変位させることなく、適正な姿勢でシートフレームに組み付けることができることとなって、座席ヘの組付後におけるエアバッグの展開膨張時、エアバッグの展開膨張方向を、安定させることができる。
【0015】
また、ラッピングシートは、一端側をエアバッグの折目間に挿入し、他端側等を取付ボルトに係止させるだけで、エアバッグを包めることから、接着剤等を使用しなくとも良く、簡単に、エアバッグを包むことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
実施形態の側突用エアバッグ装置Mは、図1・2に示すように、車両用の座席1の背もたれ部2における車外側部位の上部に配置されている。
【0018】
背もたれ部2には、略上下方向に配置されるシ−トフレ−ム3が配設され、側突用エアバッグ装置Mは、インフレーター11のブラケット13から突出する取付ボルト13bをナット8止めされて、フレーム3に固定されている。なお、4はクッション、5・6は装飾布等からなる表皮であり、さらに、7は、背もたれ部2の車外側部位に取り付けられて、エアバッグ15の展開膨張時に開くカバ−である。
【0019】
側突用エアバッグ装置Mは、エアバッグ15の他、エアバッグ15に膨張用ガスを供給するインフレーター11と、折り畳まれたエアバッグ15を包むラッピングシート22と、折り畳まれたエアバッグ15の後部側を覆うケース29と、を備えて構成されている。
【0020】
ケ−ス29は、車両の前方側を開口させた断面U字形状の板金製として、インフレーター11の二本の取付ボルト13bをそれぞれ挿通させる貫通孔29aを備えて、構成されている。
【0021】
インフレーター11は、図2・3に示すように、インフレーター本体12と、二つのブラケット13と、を備えて構成され、インフレーター本体12は、丸棒状のシリンダタイプとして、リード線12dから所定の電気信号を入力した際に、膨張用ガスを吐出させるものである。インフレーター本体12は、円柱状の大径部12aと、大径部12aの下端に設けられた小径部12bと、を備えて構成され、小径部12bが、膨張用ガスを吐出させるガス吐出口12c(図2参照)を備えて構成されている。各ブラケット13は、円環状の板金製のクランプ部13aと、クランプ部13aに固着された取付ボルト13bと、を備えて構成されている。各ブラケット13は、インフレーター本体12の大径部12aにクランプ部13aが外装されるとともに、クランプ部13aが縮径されるようにかしめられて、インフレーター本体12に固定されている。
【0022】
側突用エアバッグ15は、図1〜3に示すように、展開膨張時の形状を、略長方形の板状に形成され、後部17(図3のA参照)の内部側に、インフレーター11を内蔵させている。また、後部17には、インフレーター11の各取付ボルト13bを挿通させる取付孔17aが形成されるとともに、インフレーター11から延びるリード線12dを挿通させる図示しない挿通孔が形成されている。さらに、後部17の内周側には、インフレーター本体12の側方を覆うように、補強布20が配置されている。
【0023】
なお、エアバッグ15は、後部17側が折目となった一枚の布材から形成され、その後部17側を除いた部位の外周縁相互が縫合されて、袋状に形成されている。また、エアバッグ15や補強布20は、ポリアミドやポリエステル等の織布から構成されている。
【0024】
ラッピングシート22は、エアバッグ15の展開膨張時に破断可能な可撓性を有した不織布等から形成され、実施形態の場合、インフレーター11を内蔵した状態で前後方向に圧縮されるように折り畳まれたエアバッグ15に、略二巻き分弱程度、巻き付けることができる長さの帯状に形成されている。また、ラッピングシート22には、幅方向(エアバッグ15の上下方向に対応する)に2個ずつ2箇所に配置されて、各取付ボルト13bを挿入させる係止孔25a・27a(図4参照)が、形成されている。さらに、ラッピングシート22の上縁側には、折り畳んだエアバッグ15を包む際に、インフレーター11のリード線12dと干渉しないように、凹部22aが形成されている。なお、ラッピングシート22の幅寸法は、折り畳まれたエアバッグ15の上下方向の長さ寸法と略等しく設定されている。
【0025】
実施形態のエアバッグ15の折り畳みは、まず、図3のA・Bに示すように、各取付ボルト13bを突出させて後部17内にインフレーター11を内蔵させた状態で、エアバッグ15の下部19を上方へ折り曲げるとともに、エアバッグ15の上部18を下方へ折り曲げる。なお、この折りの前には、インフレーター11におけるガス吐出口12c近傍の補強布20の下端側を、図3のAに示すように、前方側を塞がないように、上方へ折り返して、インフレーター本体12の小径部12b付近を補強布20の下端側で覆っておく。
【0026】
ついで、図3のC・Dに示すように、エアバッグ15の前部16側を後部17側に接近するように、上下方向の折目となる山折りと谷折りとを繰り返して、蛇腹折りする。
【0027】
その後、図4に示すように、折り畳まれたエアバッグ15をラッピングシート22で包む。その際、まず、図4のAに示すように、ラッピングシート22の幅方向とエアバッグ15の上下方向とを合わせて、シート22の中央付近に折り畳んだエアバッグ15を置く。
【0028】
ついで、図4のBに示すように、折り畳んだエアバッグ15の前部15a側を後部15b側へ押えつつ、かつ、エアバッグ前部15a側を巻いて、シート22におけるエアバッグ後部15b側の端部23を、インフレーター11の直前の谷折りの折目V1に挿入して、山折りの折目Y1・Y2間に挟持させ、さらに、端部23側に連なる中間部位25をエアバッグ後部15b側に引っ張りつつ、各係止孔25aに取付ボルト13bを係止させる。
【0029】
そして、図4のB・Cに示すように、シート22の他方の端部27側に連なる中間部位26が折目Y1・Y2による端部23側の挟持部位24と中間部位25とを覆うように、中間部位26でエアバッグ15の前部15a側を巻き、さらに、端部27の各係止孔27aに取付ボルト13bを係止させれば、ラッピングシート22により、折り畳んだエアバッグ15を包むことができる。なお、図4のB・Cでは、ラッピングシート22を、エアバッグ15と隙間を空けて図示したが、実際には、ラッピングシート22は、エアバッグ15に圧接された状態で、エアバッグ15を包んでいる。
【0030】
その後、ラッピングシート22から突出した各取付ボルト13bを、ケース29の貫通孔29aから突出させ、図示しない薄いプッシュナット等をボルト13bに外装して、ボルト13bの貫通孔29aからの抜け止めを行なえば、助手席用エアバッグ装置Mの組立てを完了させることができる。
【0031】
そして、各ボルト13bをシ−トフレ−ム3にナット8止めすれば、座席1の背もたれ部2にエアバッグ装置Mを取り付けることができる。勿論、座席1は、エアバッグ装置Mを取り付けた後、表皮5・6やカバ−7等を取り付けて組み立てが完了され、車両に装着されることとなる。また、座席1を車両に装着する際には、インフレ−タ−11から延びるリ−ド線12dを、車両の所定のエアバッグ作動回路に結線させることとなる。
【0032】
このエアバッグ装置Mが車両に装着された後、所定の信号がインフレ−タ−本体12に入力されれば、インフレ−タ−本体12のガス吐出口12cから膨張用ガスが吐出され、エアバッグ15は、前方側へ展開膨張しつつ、ラッピングシート22を破断させるとともに、カバ−7を押して開かせ、図1・2の2点鎖線で示すように、大きく膨張することとなる。
【0033】
そして、実施形態の側突用エアバッグ装置Mでは、折り畳まれたエアバッグ15が、内蔵したインフレーター11ごと、ラッピングシート22により包まれれば、折目Y1・Y2間に挿入された一端(挿入端)23が、摩擦抵抗によって、抜けず、折り畳まれたエアバッグ15に直接結合された状態となる。
【0034】
そのため、折り畳まれたエアバッグ15におけるラッピングシート挿入端22の位置から前方側の部位15F(図4のC参照)が、ラッピングシート22の挿入端23からエアバッグ前部15a側を覆うラッピングシート22の部位25によって、固く緊締される状態となり、エアバッグ前方側部位15Fにおける蛇腹折りの各折目間のずれが、防止される。
【0035】
また、折り畳まれたエアバッグ15におけるラッピングシート挿入端23の位置から後方側の部位15Bも、ラッピングシート22の挿入端23からエアバッグ後部15b側を覆うラッピングシート22の部位25によって、固く緊締される状態となる。
【0036】
そして、折り畳まれたエアバッグ15におけるラッピングシート挿入端23の位置の前方と後方との緊締された部位15F・15B相互も、エアバッグ15を一巻き分以上巻いているラッピングシート22全体により、固く緊締されることとなって、その結果、エアバッグ前部15a側のエアバッグ後部15b側に対して左右方向に振れるような変位が、抑制され、エアバッグ15の折り崩れが、防止される。
【0037】
さらに、ラッピングシート22の挿入端23から連なる連結部位25や他端27側が、取付ボルト13bに係止されて、ずれないため、ラッピングシート22の固い緊締状態を、安定して維持可能となる。
【0038】
したがって、実施形態の側突用エアバッグ装置Mでは、折り畳まれたエアバッグ15の折り崩れを、ラッピングシート22を利用して、確実に防止できる。そして、ラッピングシート22で包まれたエアバッグ15は、折り崩れが防止されていることから、シートフレーム3への組付性が向上し、さらに、エアバッグ15を、変位させることなく、適正な姿勢でシートフレーム3に組み付けることができることとなって、座席1ヘの組付後におけるエアバッグ15の展開膨張時、エアバッグ15の展開膨張方向を、安定させることができる。
【0039】
また、ラッピングシート22は、一端23側をエアバッグ15の折目Y1・Y2間に挿入し、他端27側等を取付ボルト13bに係止させるだけで、エアバッグ15を包めることから、接着剤等を使用しなくとも良く、簡単に、エアバッグ15を包むことができる。
【0040】
そしてまた、実施形態の場合には、ラッピングシート22の一端23を、内蔵したインフレーター11の直前の谷折りの折目V1に差し込んで、インフレーター11の直前の山折りの折目Y1・Y2に挟持させている。そのため、一端23を折目Y1・Y2に挟持させつつ中間部位25を引っ張って取付ボルト13bに係止させる際、エアバッグ15の折目を有した全体を、中間部位25により包むことができて、そのエアバッグ前方側部位15Fを大きく圧縮させることができることから、インフレーター11の部位を除く、折り畳まれたエアバッグ15の略全体だけを、固く緊締することが可能となって、エアバッグ15の折り崩れを、一層防止することができる。
【0041】
なお、この点を考慮しなければ、ラッピングシート22の端部23を、インフレーター11の直前より前方のエアバッグ前部15a側の折目間に、挿入させても良い。
【0042】
また、実施形態の場合には、ラッピングシート22を、エアバッグ15を二巻き分弱程度巻ける長さとしたが、ラッピングシート22の一端23を、折り畳まれたエアバッグ15の折目間に挟持させるように挿入させた状態で、エアバッグ15の前部15a側を覆い、さらに、挟持部位24を覆うように、エアバッグ15を巻ければ、ラッピングシート22は、エアバッグ15の一周分程度の巻き数の長さとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるエアバッグ装置の使用態様を示す座席の側面図である。
【図2】図1のII−II部位の概略断面図である。
【図3】同実施形態のエアバッグ装置におけるエアバッグの折り畳み工程を説明する図である。
【図4】同実施形態のエアバッグ装置におけるエアバッグをラッピングシートで包む工程を説明する図である。
【符号の説明】
1…座席、
2…背もたれ部、
3…シートフレーム、
11…インフレーター、
13b…取付ボルト、
15…エアバッグ、
15a・16…前部、
15b・17…後部、
22…ラッピングシート、
23・27…端部、
24…挟持部位、
25・26…中間部位、
25a・27a…係止孔、
Y1・Y2…折目、
M…側突用エアバッグ装置。
Claims (1)
- エアバッグが、後部側にシリンダタイプのインフレーターを内蔵させるとともに、後部側に折り畳まれ、さらに、折り崩れ防止用の破断可能なラッピングシートに包まれて、前記インフレーターから突出する取付ボルトを利用し、後部側をシートフレームに取付固定させる側突用エアバッグ装置であって、
前記ラッピングシートが、
一端を、折り畳まれた前記エアバッグの折目間に挟持させるように挿入させた状態で、前記エアバッグの前部側を覆い、さらに、前記挟持部位を覆うように、前記エアバッグを少なくとも一周分巻き、かつ、前記取付ボルトを覆った中間部位と他端とを前記取付ボルトに係止させて、
折り畳まれた前記エアバッグを包んでいることを特徴とする側突用エアバッグ装置。
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