JP2001267448A - 多層セラミック基板およびその製造方法ならびに電子装置 - Google Patents

多層セラミック基板およびその製造方法ならびに電子装置

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JP2001267448A JP2000072036A JP2000072036A JP2001267448A JP 2001267448 A JP2001267448 A JP 2001267448A JP 2000072036 A JP2000072036 A JP 2000072036A JP 2000072036 A JP2000072036 A JP 2000072036A JP 2001267448 A JP2001267448 A JP 2001267448A
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Japan
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hole
ceramic substrate
multilayer ceramic
cavity
ceramic
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Yasunobu Hayashi
泰伸 林
Norio Sakai
範夫 酒井
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャビティを備える多層セラミック基板を製
造するため、複数のセラミックグリーンシートを積み重
ねときにずれが生じていると、プレスしたとき、キャビ
ティの開口側に位置するセラミックグリーンシートの一
部がキャビティ内に垂れ下がった状態となったり、ちぎ
れたりし、それによって、不所望な電気的短絡が生じた
り、キャビティ内に収容されるチップ部品のダイボンド
不良を起こしたりする。 【解決手段】 キャビティ26が、複数のセラミック層
22a〜22dの各々に設けられた貫通孔31,32の
重なりによって形成されているとき、これら貫通孔3
1,32のうち、キャビティ26の開口25を与えてい
る貫通孔31を最も大きくし、積み重ねずれが生じて
も、開口25から最も上のセラミック層22aのための
セラミックグリーンシートが出っ張らないようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、多層セラミック
基板およびその製造方法、ならびにこのような多層セラ
ミック基板を備える電子装置に関するもので、特に、多
層セラミック基板にキャビティを適正な状態で設けるこ
とができるようにするための改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4は、この発明にとって興味ある従来
の多層セラミック基板1を図解的に示す断面図である。
【0003】図4を参照して、多層セラミック基板1
は、積層された複数のセラミック層2a、2b、2c、
2d、2e、2fおよび2gをもって構成される積層体
3を備えている。この積層体3には、その積層方向にお
ける一方の端面4に沿って開口5を位置させているキャ
ビティ6が形成されている。キャビティ6内には、図示
しないが、半導体ICチップのようなチップ部品が収容
される。
【0004】積層体3には、セラミック層2a〜2gの
特定のものに関連して配線導体が設けられる。この配線
導体としては、積層体3の端面4上に形成される外部導
体膜7、セラミック層2a〜2gの間の特定の界面に沿
って形成される内部導体膜8、セラミック層2a〜2g
の特定のものを貫通するように形成されるビアホール導
体9ならびにキャビティ6の底面上に形成されるパッド
電極10等がある。
【0005】前述したキャビティ6は、複数のセラミッ
ク層2a〜2dの各々に設けられた貫通孔11の重なり
によって形成されている。
【0006】図5には、この発明にとって興味ある従来
の他の多層セラミック基板1aが示されている。
【0007】図5に示した多層セラミック基板1aは、
積層体3aの端面4上の外部導体膜7aがキャビティ6
の開口5の端縁から離れた状態で形成されていることを
特徴としている。その他の点については、図4に示した
多層セラミック基板1の場合と実質的に同様であるの
で、対応の要素には同様の参照符号を付し、重複する説
明は省略する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】図4に示した多層セラ
ミック基板1を製造しようとする場合、図6(1)に示
すように、セラミック層2a〜2gをそれぞれ与えるた
めの複数のセラミックグリーンシート12a、12b、
12c、12d、12e、12fおよび12gが用意さ
れ、これらセラミックグリーンシート12a〜12gの
特定のものに関連して、前述した配線導体としての外部
導体膜7、内部導体膜8、ビアホール導体9およびパッ
ド電極10が形成され、また、セラミックグリーンシー
ト12a〜12dには、キャビティ6のための貫通孔1
1が設けられる。
【0009】次いで、貫通孔11が設けられた複数のセ
ラミックグリーンシート12a〜12dが積層方向の一
方の端部側に位置するように、複数のセラミックグリー
ンシート12a〜12gが積み重ねられ、それによっ
て、生の積層体13が作製される。
【0010】次いで、この生の積層体13は、積層方向
にプレスされる。このプレスに際しては、キャビティ6
の内部にまで所望の圧力が及ぼされるように、たとえ
ば、弾性体を介してのプレスが採用される。
【0011】次いで、この生の積層体13が焼成され、
それによって、図4に示す多層セラミック基板1が得ら
れる。
【0012】図5に示した多層セラミック基板1aを製
造する場合であっても、上述した工程と同様の工程に従
って、図7(1)に示すような生の積層体13aが作製
され、次いで、プレスされ、焼成されることによって、
多層セラミック基板1aが得られる。
【0013】しかしながら、図4に示した多層セラミッ
ク基板1を製造する場合について言えば、図6(1)に
示すように、複数のセラミックグリーンシート12a〜
12gを積み重ねるとき、積み重ねのずれが生じること
がある。この積み重ねのずれは、特に、最も上に位置す
るセラミックグリーンシート12aにおいて生じやす
い。このような積み重ねのずれが生じた場合には、最も
上のセラミックグリーンシート12aの貫通孔11の周
縁部が、キャビティ6の開口5の部分において出っ張る
ことになる。
【0014】上述の状態で、プレスを実施すると、セラ
ミックグリーンシート12aは軟弱であるため、図6
(2)に示すように、その貫通孔11の周縁部がキャビ
ティ6の内部に垂れ下がる状態がもたらされてしまう。
なお、このようなプレス工程において、セラミックグリ
ーンシート12a〜12gの積み重ねずれが生じること
もあり、この場合であっても、最も上のセラミックグリ
ーンシート12aにおいてずれが生じやすい。
【0015】上述したように、セラミックグリーンシー
ト12aの貫通孔11の周縁部が垂れ下がったとき、そ
の上に形成されている外部導体膜7がキャビティ6の底
面上のパッド電極10に接触したり、接触しないまでも
互いに近接したりすることがあり、後者のように、接触
しない場合であっても、その後に実施されるめっき工程
を終えたときには、外部導体膜7とパッド電極10とが
電気的に短絡してしまうことがある。
【0016】他方、図5に示した多層セラミック基板1
aの場合には、外部導体膜7aが貫通孔11の周縁から
離れた状態で形成されているので、上述したような外部
導体膜7とパッド電極10との接触ないしは電気的短絡
の問題は生じにくい。
【0017】しかしながら、図7(1)に示した生の積
層体13aをプレスしたとき、図7(2)に示すよう
に、セラミックグリーンシート12aの貫通孔11の周
縁部の一部がちぎれ、その断片14がキャビティ6の底
面に付着してしまうことがある。このような断片14
は、パッド電極10上でのチップ部品のダイボンドを阻
害してしまう。
【0018】そこで、この発明の目的は、上述したよう
な問題を解決し得る、多層セラミック基板およびその製
造方法、ならびにこのような多層セラミック基板を用い
て構成される電子装置を提供しようとすることである。
【0019】
【課題を解決するための手段】この発明は、まず、積層
された複数のセラミック層とこれらセラミック層の特定
のものに関連して設けられる配線導体とをもって構成さ
れる積層体を備えるとともに、この積層体には、その積
層方向における少なくとも一方の端面に沿って開口を位
置させているキャビティが、特定の複数のセラミック層
の各々に設けられた貫通孔の重なりによって形成されて
いる、多層セラミック基板に向けられるものであって、
上述した技術的課題を解決するため、キャビティを形成
するための複数の貫通孔のうち、開口を与えている貫通
孔が最も大きくされることを特徴としている。
【0020】この発明に係る多層セラミック基板におい
て、上述の最も大きくされた貫通孔から露出するセラミ
ック層の貫通孔の周縁部には、配線導体が設けられてい
ないことが好ましい。
【0021】また、この発明の効果を得るためには、キ
ャビティの開口を与えている貫通孔のみが、他の貫通孔
より大きくされているだけで十分である。言い換える
と、キャビティの開口側の端部に位置する単に1つのセ
ラミック層に設けられる貫通孔のみが、他の貫通孔より
大きくされていれば十分である。
【0022】また、最も大きくされた貫通孔は、単に1
つのセラミック層に設けられても、あるいは複数のセラ
ミック層にわたって設けられてもよいが、いずれにして
も、このように最も大きくされた貫通孔は、キャビティ
の深さ方向に関して、積層体の端面から150μm以下
の範囲に位置するようにすることが好ましい。
【0023】また、最も大きくされた貫通孔とこれに隣
接する貫通孔との大きさの差は、10μm以上に選ばれ
ることが好ましい。
【0024】また、最も大きくされた貫通孔とこれに隣
接する貫通孔との大きさの差は、500μm以下に選ば
れることが好ましい。
【0025】また、この発明に係る多層セラミック基板
において、キャビティが、その内部に段部を形成してい
てもよい。この場合、この段部は、最も大きくされた貫
通孔に隣接する貫通孔よりさらに小さい貫通孔がそれぞ
れ設けられた複数のセラミック層によって与えられる。
【0026】上述のように、段部を形成する場合、この
段部においても、前述したような特徴的構成が採用され
ることが好ましい。すなわち、段部を与える複数のセラ
ミック層にそれぞれ設けられる貫通孔のうち、開口側に
位置するものが最も大きくされることが好ましい。
【0027】上述した好ましい実施態様において、段部
を与える複数のセラミック層にそれぞれ設けられた貫通
孔のうち、最も大きくされた貫通孔から露出するセラミ
ック層の貫通孔の周縁部には、配線導体が設けられない
ようにすることがより好ましい。
【0028】この発明に係る多層セラミック基板は、キ
ャビティ内に収容されるチップ部品をさらに備えていて
もよい。この場合、段部の、開口側の面には、配線導体
としてのパッド電極が形成され、チップ部品とパッド電
極とがボンディングワイヤによって電気的に接続される
ことが好ましい。
【0029】この発明は、また、複数のセラミックグリ
ーンシートを用意する工程と、セラミックグリーンシー
トの特定のものに関連して、配線導体を形成する工程
と、セラミックグリーンシートの特定のものに、キャビ
ティのための貫通孔を設ける工程と、貫通孔が設けられ
た複数のセラミックグリーンシートが積層方向の少なく
とも一方の端部側に位置するように、複数のセラミック
グリーンシートを積み重ねることによって、生の積層体
を作製する工程と、生の積層体を積層方向にプレスする
工程と、次いで、生の積層体を焼成する工程とを備え
る、多層セラミック基板の製造方法にも向けられ、前述
した技術的課題を解決するため、次のような構成を備え
ることを特徴としている。
【0030】すなわち、貫通孔を設けるにあたって、特
定のセラミックグリーンシートには、他のセラミックグ
リーンシートに設けられる貫通孔に比べて、大きい貫通
孔を設けるようにし、生の積層体を作製する工程におい
て、最も大きい貫通孔が設けられたセラミックグリーン
シートが最も外側に位置するように、複数のセラミック
グリーンシートが積み重ねられる。
【0031】前述したようなこの発明に係る多層セラミ
ック基板は、上述したような製造方法によって製造する
ことができる。
【0032】この発明は、また、上述したような多層セ
ラミック基板と、この多層セラミック基板が実装された
マザーボードとを備える、電子装置にも向けられる。
【0033】
【発明の実施の形態】図1は、この発明の一実施形態に
よる多層セラミック基板21を図解的に示す断面図であ
る。
【0034】図1を参照して、多層セラミック基板21
は、積層された複数のセラミック層22a、22b、2
2c、22d、22e、22fおよび22gをもって構
成される積層体23を備えている。この積層体23に
は、その積層方向における少なくとも一方の端面24に
沿って開口25を位置させているキャビティ26が形成
されている。
【0035】積層体23には、セラミック層22a〜2
2gの特定のものに関連して配線導体が設けられてい
る。この配線導体としては、端面24上に形成される外
部導体膜27、セラミック層22a〜22gの間の特定
の界面に沿って形成される内部導体膜28、セラミック
層22a〜22gの特定のものを貫通するように形成さ
れるビアホール導体29およびキャビティ26の底面上
に形成されるパッド電極30等がある。
【0036】これら配線導体27〜30は、たとえば、
導電性ペーストを付与し、焼成することによって形成さ
れるもので、この焼成は、積層体23を得るための焼成
と同時に行なわれる。
【0037】キャビティ26は、複数のセラミック層2
2a〜22dの各々に設けられた貫通孔31および32
の重なりによって形成されている。これら貫通孔31お
よび32のうち、最も上に位置するセラミック層22a
に設けられた貫通孔31、すなわち開口25を与えてい
る貫通孔31が、最も大きくされている。言い換える
と、この実施形態では、セラミック層22b〜22dの
各々に設けられた貫通孔32より、セラミック層22a
に設けられた貫通孔31の方が大きくされている。
【0038】また、最も大きくされた貫通孔31から露
出するセラミック層22bの周縁部には、何らの配線導
体も設けられていない。
【0039】このような多層セラミック基板21を製造
するため、前述した多層セラミック基板1または1aの
場合と同様、セラミック層22a〜22gとなるべき複
数のセラミックグリーンシートが用意され、これらセラ
ミックグリーンシートの特定のものに関連して、外部導
体膜27、内部導体膜28、ビアホール導体29および
パッド電極30のような配線導体が形成され、また、セ
ラミックグリーンシートの特定のものに、キャビティ2
6のための貫通孔31および32が設けられる。
【0040】これら貫通孔31および32を設けるにあ
たっては、セラミック層22aのためのセラミックグリ
ーンシートには、他のセラミック層22b〜22dのた
めのセラミックグリーンシートに設けられる貫通孔32
に比べて、大きい貫通孔31が設けられる。
【0041】次いで、上述のように、貫通孔31および
32が設けられた複数のセラミックグリーンシートが積
層方向の一方の端部側に位置するように、複数のセラミ
ックグリーンシートを積み重ねることによって、生の積
層体が作製される。
【0042】この積み重ねにおいて、セラミックグリー
ンシートがキャリアフィルムによって裏打ちされている
場合には、このキャリアフィルムからセラミックグリー
ンシートを剥がすことが行なわれる。また、積み重ねに
あたっては、たとえばセラミックグリーンシートに設け
られた位置決めマークを用いて位置合わせすることが行
なわれる。
【0043】上述した生の積層体を作製する工程におい
て、最も大きい貫通孔31が設けられたセラミックグリ
ーンシートが最も外側に位置するように、複数のセラミ
ックグリーンシートが積み重ねられる。このとき、最も
上の貫通孔31が他の貫通孔32より大きくされている
ので、最も上のセラミックグリーンシートにおいて積み
重ねずれが生じたとしても、このセラミックグリーンシ
ートの貫通孔31の周縁部がキャビティ26の開口25
の部分で出っ張らないように、あるいは出っ張りにくく
することができる。
【0044】なお、セラミックグリーンシートの積み重
ねのずれは、最大で5μm生じ得ることが経験的に知ら
れている。したがって、キャビティ26の開口25の部
分でのセラミックグリーンシートの出っ張りがより確実
に生じないようにするには、最も大きくされた貫通孔3
1とこれに隣接する貫通孔32との大きさの差を、5μ
mの2倍の10μm以上とすることが好ましい。
【0045】次に、上述した生の積層体は、積層方向に
プレスされる。このプレス工程においては、たとえば、
キャビティ26の開口25が位置する端面24側にラバ
ーを、他方の面に金型を取り付けた状態で、静水圧プレ
スが適用される。
【0046】プレス工程が実施されるとき、前述したよ
うに、キャビティ26の開口25の部分でセラミックグ
リーンシートの出っ張りが実質的に生じないようにする
ことができるので、図6(2)に示すようなセラミック
グリーンシートの垂れ下がりや、図7(2)に示すよう
なセラミックグリーンシートのちぎれが生じることを有
利に防止することができる。
【0047】なお、上述した最も上のセラミックグリー
ンシート以外のセラミックグリーンシートにおいて、積
み重ねずれが生じていても、それは、それほど問題には
ならない。なぜなら、プレス工程において垂れ下がりや
ちぎれがもたらされやすいのは、最も上のグリーンシー
トであるからである。
【0048】次に、プレスされた生の積層体が焼成され
ることによって、図1に示すような多層セラミック基板
21が得られる。
【0049】この多層セラミック基板21に備えるキャ
ビティ26内には、図示しないが、半導体ICチップの
ようなチップ部品が収容され、このチップ部品は、キャ
ビティ26の底面上のパッド電極30に対してダイボン
ドされるとともに、外部導体膜27との間でワイヤボン
ディングによって電気的に接続される。
【0050】この場合、ワイヤボンディングのためのワ
イヤの長さが長くなればなるほど、高周波特性が低下す
ることから、外部導体膜27は、貫通孔32の周縁から
端面24の延びる方向に測定して、片側250μm以内
に配置することが好ましい。そのため、外部導体膜27
は、セラミック層22aの貫通孔31の周縁にまで届く
ように形成するとともに、貫通孔31と貫通孔32との
大きさの差は、500μm以下にすることが好ましい。
【0051】図1に示した実施形態では、最も上のセラ
ミック層22aに対してのみ、最も大きい貫通孔31が
採用されたが、その下のセラミック層22bにおいて
も、最も大きい貫通孔31を採用するなど、複数のセラ
ミック層において最も大きい貫通孔31を採用してもよ
い。
【0052】いずれにしても、上述のように最も大きく
された貫通孔31は、キャビティ26の深さ方向に関し
て、端面24から150μm以下の範囲に位置するよう
にすることが好ましい。
【0053】図2は、この発明の他の実施形態による多
層セラミック基板41を図解的に示す断面図である。
【0054】図2に示した多層セラミック基板41は、
図1に示した多層セラミック基板21の場合と同様、積
層された複数のセラミック層42a、42b、42c、
42d、42e,42f、42g、42h、42iおよ
び42jをもって構成される積層体43を備えている。
【0055】また、積層体43には、その積層方向にお
ける一方の端面44に沿って開口45を位置させている
キャビティ46が形成されている。この多層セラミック
基板41においては、キャビティ46は、その内部に段
部47を形成していることを特徴としている。
【0056】積層体43は、また、複数のセラミック層
42a〜42jの特定のものに関連して設けられる配線
導体を備えている。この配線導体としては、端面44上
に形成される外部導体膜48、複数のセラミック層42
a〜42jの間の特定の界面に沿って形成される内部導
体膜49、セラミック層42a〜42jの特定のものを
貫通するように形成されるビアホール導体50、キャビ
ティ46の底面上に形成されるパッド電極51、ならび
に、段部47の、開口45側の面に形成されるパッド電
極52等がある。
【0057】また、キャビティ46は、セラミック層4
2a〜42gの各々に設けられた貫通孔53、54、5
5および56の重なりによって形成されている。
【0058】また、段部47は、貫通孔55および56
がそれぞれ設けられた複数のセラミック層42d〜42
gによって与えられている。
【0059】図2には、キャビティ46内に収容された
半導体ICチップのようなチップ部品57が図示されて
いる。チップ部品57は、キャビティ46の底面上のパ
ッド電極51に対して、ダイボンド58によって電気的
に接続されているとともに、段部47上のパッド電極5
2に対して、ボンディングワイヤ59によって電気的に
接続されている。このとき、段部47の高さは、パッド
電極52とチップ部品57の上面とが実質的に同じ高さ
になるように選ばれることが好ましく、また、段部47
の上面から端面44までの高さは、ボンディングワイヤ
59が開口45から突出しないように選ばれることが好
ましい。
【0060】この多層セラミック基板41においても、
最も上に位置するセラミック層42aに設けられる貫通
孔53、すなわち開口45を与えている貫通孔53が、
最も大きくされている。
【0061】また、段部47を与えるセラミック層42
d〜42gの各々において設けられた貫通孔55および
56は、上述の最も大きくされた貫通孔53に隣接する
貫通孔54よりさらに小さいものであるが、これら貫通
孔55および56のうち、開口45側に位置する貫通孔
55が最も大きくされている。
【0062】このように、貫通孔55が貫通孔56より
大きくされたのは、貫通孔53が貫通孔54より大きく
されたのと同様の理由によるもので、複数のセラミック
グリーンシートの積み重ねのずれが生じた状態でのプレ
スによって、不所望な電気的短絡や、セラミックグリー
ンシートのちぎれを生じにくくしようとするためのもの
である。
【0063】この多層セラミック基板41においても、
最も大きくされた貫通孔53から露出するセラミック層
42bの貫通孔54の周縁部には、何らの配線導体も設
けられておらず、また、段部47を与えるセラミック層
42d〜42gにそれぞれ設けられた貫通孔55および
56のうち、最も大きくされた貫通孔55から露出する
セラミック層42eの貫通孔56の周縁部にも、配線導
体が設けられていない。
【0064】この多層セラミック基板41についても、
最も大きくされた貫通孔53は、キャビティ46の深さ
方向に関して、端面44から150μm以下の範囲に位
置していることが好ましく、また、最も大きくされた貫
通孔53とこれに隣接する貫通孔54との大きさの差
は、10μm以上でありかつ500μm以下に選ばれる
ことが好ましい。
【0065】同様に、段部47の部分において最も大き
くされた貫通孔55とこれに隣接する貫通孔56との大
きさの差についても、10μm以上でありかつ500μ
m以下に選ばれることが好ましい。
【0066】多層セラミック基板41は、図1に示した
多層セラミック基板21の場合と実質的に同様の方法に
よって製造することができる。
【0067】多層セラミック基板41は、図2において
想像線で示すように、マザーボード60上に、たとえば
外部導体膜48を端子として実装され、所望の電子装置
を構成する状態とされる。なお、図1に示した多層セラ
ミック基板21についても、図示しないが、適当なマザ
ーボード上に実装され、それによって、所望の電子装置
が提供される。
【0068】図3は、この発明のさらに他の実施形態に
よる多層セラミック基板41aを図解的に示す断面図で
ある。図3に示した多層セラミック基板41aは、図2
に示した多層セラミック基板41と共通する多くの要素
を備えているので、対応の要素には同様の参照符号を付
すことによって、重複する説明は省略する。
【0069】図3に示した多層セラミック基板41a
は、その積層体43aの端面44上にある外部導体膜4
8aが、開口45の周縁から離れて形成されていること
を特徴としている。
【0070】また、段部47上のパッド電極52におい
ても、貫通孔55の周縁から離れて形成されている。
【0071】以上、この発明を図示した実施形態に関連
して説明したが、この発明の範囲内において、その他、
種々の変形例が可能である。たとえば、図2に示した多
層セラミック基板41においては、1つの段部47がキ
ャビティ46内に形成されたものであったが、1つのキ
ャビティ内に複数の段部が形成されてもよい。
【0072】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、多層
セラミック基板においてキャビティを形成するために複
数のセラミック層の各々に設けられた貫通孔のうち、キ
ャビティの開口を与えている貫通孔が最も大きくされて
いるので、このような多層セラミック基板を得るための
複数のセラミックグリーンシートの積み重ねにおいてず
れが生じても、開口の部分でセラミックグリーンシート
の一部の出っ張りが生じにくくなり、そのため、プレス
工程の後、このような出っ張りがキャビティ内に垂れ下
がったりちぎれたりしにくくすることができる。その結
果、出っ張った部分上に形成される配線導体とたとえば
キャビティの底面上に形成される配線導体との間で不所
望な接触ないしは電気的短絡が生じにくくすることがで
きるとともに、セラミックグリーンシートの断片による
ダイボンド不良を生じにくくすることができる。
【0073】したがって、このような多層セラミック基
板をもって電子装置を構成すれば、このような電子装置
の信頼性を高めることができる。
【0074】この発明において、開口を与えている貫通
孔のみ、すなわち積層体の端面に沿って延びる1つのセ
ラミック層に設けられる貫通孔のみが、他の貫通孔より
大きくされていると、キャビティの内面形状を従来のも
のとそれほど異ならせることなく、上述したような効果
を十分に達成することができる。
【0075】また、この発明において、最も大きくされ
た貫通孔とこれに隣接する貫通孔との大きさの差が、1
0μm以上に選ばれると、積み重ねのずれにも関わら
ず、上述したような効果をより確実に達成することがで
きる。
【0076】また、この発明において、最も大きくされ
た貫通孔とこれに隣接する貫通孔との大きさの差が、5
00μm以下に選ばれると、ボンディングワイヤの長さ
を高周波特性の低下をそれほど招かない範囲内に留めて
おくことが可能になる。
【0077】また、キャビティ内に段部が形成される場
合には、このような段部を与える複数のセラミック層の
それぞれに設けられる貫通孔のうち、開口側に位置する
ものを最も大きくしておくことにより、この段部に関し
ても、前述したような不所望な電気的短絡およびダイボ
ンド不良を生じにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による多層セラミック基
板21を図解的に示す断面図である。
【図2】この発明の他の実施形態による多層セラミック
基板41を図解的に示す断面図である。
【図3】この発明のさらに他の実施形態による多層セラ
ミック基板41aを図解的に示す断面図である。
【図4】この発明にとって興味ある従来の多層セラミッ
ク基板1を図解的に示す断面図である。
【図5】この発明にとって興味ある従来の他の多層セラ
ミック基板1aを図解的に示す断面図である。
【図6】図4に示した多層セラミック基板1を得るため
に用意される生の積層体13をプレスする工程を説明す
るための断面図である。
【図7】図5に示した多層セラミック基板1aを得るた
めに用意される生の積層体13aをプレスする工程を説
明するための断面図である。
【符号の説明】
21,41,41a 多層セラミック基板 22a〜22g、42a〜42j セラミック層 23,43,43a 積層体 24,44 端面 25,45 開口 26,46 キャビティ 27,48,48a 外部導体膜(配線導体) 28,49 内部導体膜(配線導体) 29,50 ビアホール導体(配線導体) 30,51,52 パッド電極(配線導体) 31,32,53〜56 貫通孔 47 キャビティ 57 チップ部品 59 ボンディングワイヤ 60 マザーボード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5E346 AA02 AA05 AA22 AA43 AA45 AA51 AA54 BB11 BB15 BB16 CC16 EE24 EE29 EE30 GG04 GG05 GG06 GG08 HH01 HH11

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 積層された複数のセラミック層と前記セ
    ラミック層の特定のものに関連して設けられる配線導体
    とをもって構成される積層体を備えるとともに、前記積
    層体には、その積層方向における少なくとも一方の端面
    に沿って開口を位置させているキャビティが、特定の複
    数の前記セラミック層の各々に設けられた貫通孔の重な
    りによって形成されている、多層セラミック基板であっ
    て、 前記キャビティを形成するための複数の前記貫通孔のう
    ち、前記開口を与えている前記貫通孔が最も大きくされ
    ている、多層セラミック基板。
  2. 【請求項2】 最も大きくされた前記貫通孔から露出す
    る前記セラミック層の前記貫通孔の周縁部には、前記配
    線導体が設けられていない、請求項1に記載の多層セラ
    ミック基板。
  3. 【請求項3】 前記開口を与えている前記貫通孔のみ
    が、他の前記貫通孔より大きくされている、請求項1ま
    たは2に記載の多層セラミック基板。
  4. 【請求項4】 最も大きくされた前記貫通孔は、前記キ
    ャビティの深さ方向に関して、前記端面から150μm
    以下の範囲に位置している、請求項1ないし3のいずれ
    かに記載の多層セラミック基板。
  5. 【請求項5】 最も大きくされた前記貫通孔とこれに隣
    接する前記貫通孔との大きさの差は、10μm以上に選
    ばれる、請求項1ないし4のいずれかに記載の多層セラ
    ミック基板。
  6. 【請求項6】 最も大きくされた前記貫通孔とこれに隣
    接する前記貫通孔との大きさの差は、500μm以下に
    選ばれる、請求項1ないし5のいずれかに記載の多層セ
    ラミック基板。
  7. 【請求項7】 前記キャビティは、その内部に段部を形
    成しており、前記段部は、最も大きくされた前記貫通孔
    に隣接する前記貫通孔よりさらに小さい前記貫通孔がそ
    れぞれ設けられた複数の前記セラミック層によって与え
    られている、請求項1ないし6のいずれかに記載の多層
    セラミック基板。
  8. 【請求項8】 前記段部を与える複数の前記セラミック
    層にそれぞれ設けられた前記貫通孔のうち、前記開口側
    に位置するものが最も大きくされている、請求項7に記
    載の多層セラミック基板。
  9. 【請求項9】 前記段部を与える複数の前記セラミック
    層にそれぞれ設けられた前記貫通孔のうち、最も大きく
    された前記貫通孔から露出する前記セラミック層の前記
    貫通孔の周縁部には、前記配線導体が設けられていな
    い、請求項8に記載の多層セラミック基板。
  10. 【請求項10】 前記キャビティ内に収容されるチップ
    部品をさらに備え、前記段部の、前記開口側の面には、
    前記配線導体としてのパッド電極が形成され、前記チッ
    プ部品と前記パッド電極とがボンディングワイヤによっ
    て電気的に接続されている、請求項7ないし9のいずれ
    かに記載の多層セラミック基板。
  11. 【請求項11】 複数のセラミックグリーンシートを用
    意する工程と、 前記セラミックグリーンシートの特定のものに関連し
    て、配線導体を形成する工程と、 前記セラミックグリーンシートの特定のものに、キャビ
    ティのための貫通孔を設ける工程と、 前記貫通孔が設けられた複数の前記セラミックグリーン
    シートが積層方向の少なくとも一方の端部側に位置する
    ように、複数の前記セラミックグリーンシートを積み重
    ねることによって、生の積層体を作製する工程と、 前記生の積層体を積層方向にプレスする工程と、 次いで、前記生の積層体を焼成する工程とを備える、多
    層セラミック基板の製造方法であって、 前記貫通孔を設ける工程は、特定の前記セラミックグリ
    ーンシートに、他の前記セラミックグリーンシートに設
    けられる前記貫通孔に比べて、大きい貫通孔を設ける工
    程を含み、 前記生の積層体を作製する工程において、最も大きい前
    記貫通孔が設けられた前記セラミックグリーンシートが
    最も外側に位置するように、複数の前記セラミックグリ
    ーンシートが積み重ねられる、多層セラミック基板の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の製造方法によって
    得られた、請求項1ないし10のいずれかに記載の多層
    セラミック基板。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし10および12のいず
    れかに記載の多層セラミック基板と、前記多層セラミッ
    ク基板が実装されたマザーボードとを備える、電子装
    置。
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