JP2001255682A - 電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ

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JP2001255682A JP2000066779A JP2000066779A JP2001255682A JP 2001255682 A JP2001255682 A JP 2001255682A JP 2000066779 A JP2000066779 A JP 2000066779A JP 2000066779 A JP2000066779 A JP 2000066779A JP 2001255682 A JP2001255682 A JP 2001255682A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は長期に亘って表面強度が高く、且つ
大きな凹凸の発生しにくい電子写真感光体、該電子写真
感光体を用いた良好なクリーニング性能を保持し、鮮明
な画像を長期間提供できる画像形成方法、画像形成装
置、及びプロセスカートリッジを提供することである。 【解決手段】 導電性支持体上に少なくとも複数の樹脂
層を有する電子写真感光体において、摩耗試験を行った
後の1回転あたりの摩耗量ΔHが0<ΔH≦1×10-5
(μm)で且つ摩耗試験後の十点平均表面粗さ(Rz
2)が初期十点平均表面粗さ(Rz1)の10倍以下で
あることを特徴とする電子写真感光体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真感光体と該
電子写真感光体を用いた画像形成方法、画像形成装置、
及びプロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真画像形成方法では、一般
にカールソン法を用いることが多い。一般にカールソン
法の電子写真画像形成方法においては、感光体は一様に
帯電された後、露光によって画像様に電荷が消去され、
静電潜像が形成される。次に紙等に転写された後、感光
体はその上に残留するトナーをブレードクリーニング等
により除去され、必要により残留電荷の消去露光を受け
た後、次の画像形成に移るといったプロセスを取る。
【0003】このように、電子写真感光体(以下単に感
光体とも云う)はその表面に化学的、機械的な外的刺激
が加わり合うため、それらの外力に対する耐久性が要求
されてきた。特に近年最も広く用いられている有機電子
写真感光体では、その耐久性を向上するための課題とし
てクリーニングブレード等の擦過による摩耗や傷を抑制
することが強く求められてきた。クリーニング工程や現
像工程では、摺擦による感光体表面の摩耗や傷の発生、
異物の混入や紙詰まり処理時の衝撃による傷や膜剥がれ
に対する耐久性については無機感光体並の強度が強く求
められている。
【0004】そのためのアプローチとして、例えば、感
光体の機械的耐久性に関しては、有機感光体の表面にビ
スフェノールZ型ポリカーボネートをバインダー(結着
樹脂)として用いることにより、表面の摩耗特性、トナ
ーフィルミング特性が改善されることが報告されてい
る。しかし、ビスフェノールZ型ポリカーボネートバイ
ンダーを用いた感光体では、なお耐摩耗特性が不足して
おり、十分な耐久性を有していない。
【0005】そこで、感光体の表面に高強度の保護層を
設置するなどの技術が検討されてきた。例えば特開平9
−190004号公報や特開平10−251277号公
報には強度的に優れるシロキサン樹脂を保護層に用いた
感光体が記載されている。しかしながら高強度の保護層
は低摩耗であるが、一旦感光体表面に形成された微細な
傷は逆に減耗により消失することなく、クリーニングブ
レードを摩耗させ、クリーニング不良やフィルミングを
発生させ、画像欠陥が生じるといった問題が新たに発生
してきた。
【0006】本発明者等はこの問題を解決するためには
感光体の表面特性が低摩耗で且つ大きな傷が発生しにく
い特性が必要であることを見出した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記問
題を解決し、長期に亘って表面強度が高く、且つ大きな
凹凸の発生しにくい電子写真感光体、該電子写真感光体
を用いた良好なクリーニング性能を保持し、鮮明な画像
を長期間提供できる画像形成方法、画像形成装置、及び
プロセスカートリッジを提供することにあり、またトナ
ーリサイクルを行う画像形成方法においても画像不良を
発生させない画像形成方法、及び画像形成装置を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は下記の構
成により達成される。
【0009】1.導電性支持体上に少なくとも複数の樹
脂層を有する電子写真感光体において、前記摩耗試験を
行った後の1回転あたりの摩耗量ΔHが0<ΔH≦1×
10 -5(μm)で且つ摩耗試験後の十点平均表面粗さ
(Rz2)が初期十点平均表面粗さ(Rz1)の10倍
以下であることを特徴とする電子写真感光体。
【0010】2.前記表面粗さ(Rz1)、及び(Rz
2)が1.5μm以下であることを特徴とする前記1記
載の電子写真感光体。
【0011】3.前記樹脂層の1つが有機ケイ素化合物
と該有機ケイ素化合物と反応性を有する電荷輸送性化合
物との反応により形成されたシロキサン系樹脂層である
ことを特徴とする前記1又は2に記載の電子写真感光
体。
【0012】4.前記電子写真感光体が導電性支持体上
に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、及び保護層を有
しており、該保護層が前記シロキサン系樹脂層であり、
且つ該電荷輸送層と隣接していることを特徴とする前記
3に記載の電子写真感光体。
【0013】5.前記保護層と前記電荷輸送層との接着
強度がJISK5400で規定される碁盤目テープ法に
よるはがれの幅が全正方形面積の65%未満であること
を特徴とする前記4に記載の電子写真感光体。
【0014】6.前記電荷輸送層のバインダーが粘度平
均分子量50,000以下のポリカーボネートを含有し
ていることを特徴とする前記4又は5に記載の電子写真
感光体。
【0015】7.前記シロキサン系樹脂層中にコロイダ
ルシリカを含有量1〜30質量%で含有させることを特
徴とする前記3〜6のいずれか1項に記載の電子写真感
光体。
【0016】8.前記シロキサン系樹脂層中にヒンダー
ドフェノール構造を有する酸化防止剤を含有量0.01
〜20質量%で含有させることを特徴とする前記3〜7
のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【0017】9.前記シロキサン系樹脂層中にヒンダー
ドアミン構造を有する酸化防止剤を含有量0.01〜2
0質量%で含有させることを特徴とする前記3〜7のい
ずれか1項に記載の電子写真感光体。
【0018】10.前記電子写真感光体が円筒状導電性
支持体上に下引層、電荷発生層、電荷輸送層、前記保護
層を有することを特徴とする前記4〜9のいずれか1項
に記載の電子写真感光体。
【0019】11.電子写真感光体上に、少なくとも帯
電、像露光、現像、クリーニングを行う工程を有する画
像形成方法において、該電子写真感光体に前記1〜10
のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いることを
特徴とする画像形成方法。
【0020】12.電子写真感光体と、少なくとも帯
電、像露光、現像、クリーニングの手段を有する画像形
成装置において、該電子写真感光体に前記1〜10のい
ずれか1項に記載の電子写真感光体を用いることを特徴
とする画像形成装置。
【0021】13.電子写真感光体と少なくとも帯電、
像露光、現像、クリーニングの手段を有する画像形成装
置に用いられるプロセスカートリッジが前記1〜10の
いずれか1項に記載の電子写真感光体と帯電器、像露光
器、現像器、クリーニング器のいずれか1つとを一体に
組み合わせて有しており、該画像形成装置に出し入れ自
由に設計されていることを特徴とするプロセスカートリ
ッジ。
【0022】14.少なくとも電子写真感光体上の静電
荷像をトナーを含有する現像剤で現像する工程、及び該
電子写真感光体上のトナーをクリーニングブレードを用
いてクリーニングする工程、該クリーニング工程で回収
されたトナーを現像工程の現像剤に戻して再利用するト
ナーのリサイクル工程を有する画像形成方法において、
該電子写真感光体に前記1〜10のいずれか1項に記載
の電子写真感光体を用いることを特徴とする画像形成方
法。
【0023】15.少なくとも電子写真感光体上の静電
荷像をトナーを含有する現像剤で現像する手段、及び該
電子写真感光体上のトナーをクリーニングブレードを用
いてクリーニングする手段、該クリーニング手段で回収
されたトナーを現像手段の現像剤に戻して再利用するト
ナーのリサイクル手段を有する画像形成装置において、
該電子写真感光体に前記1〜10のいずれか1項に記載
の感光体を用いることを特徴とする画像形成装置。
【0024】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の電子写真感光体は前記摩耗試験を行った後の1回
転あたりの摩耗量ΔHが0<ΔH≦1×10-5(μm)
で且つ摩耗試験後の表面粗さ(Rz2)が初期表面粗さ
(Rz1)の10倍以下であることを特徴とする。
【0025】本発明の前記1回転当たりの膜厚減耗量Δ
Hd(μm)は0≦ΔHd<1×10-5であるが、好ま
しくは0≦ΔHd<5×10-6、更に好ましくは0≦Δ
Hd<3×10-6である。
【0026】以下、前記摩耗試験について説明する。図
1は前記摩耗試験におけるクリーニングブレードの感光
体への当接条件の説明図である。
【0027】図1において、電子写真感光体は81、当
接角はθで表される。又、前記クリーニングブレード8
2の自由長Lは図1に示すように支持部材83の端部B
から変形前のブレードの先端点の長さを表す。
【0028】84は支持部材83を固定するための固定
ねじである。hはブレードの厚さを示す。
【0029】又当接角θは感光体の当接点Aにおける接
線Xと変形前のブレード(図面では点線で示した)との
なす角を表す。
【0030】又、食い込み量aは図1に示すように感光
体外周S0の半径r0と変形前のブレード(図面では点線
で示した)の位置A′を一点とする感光体の中心軸Cを
中心とした円S1の半径r1との差である。
【0031】前記クリーニングブレードに用いられる弾
性体ゴムブレードの物性値;硬度と反発弾性はJISA
硬度及び反発弾性として、JISK6301の加硫ゴム
物理試験方法に基づいて測定される。
【0032】又、トナーの付着量とは現像器よりバイア
ス現像により感光体表面に現像された1cm2あたりの
トナー質量(mg)であり、本発明における摩耗試験で
はクリーニングブレードにより除去される単位面積あた
りのトナー量に相当する。
【0033】トナーの付着量は感光体表面に現像され付
着したトナーを粘着テープ上に転写し、トナー転写前後
の該粘着テープの質量差を求め、1cm2あたりに換算
することによって求められる。
【0034】《本発明における膜厚減耗量測定の具体
例》本発明における膜厚減耗量測定の具体例を次に示
す。コニカ社製デジタル複写機Konica7040を
改造して現像部、クリーニング部のみを有する摩耗試験
機を作製した。クリーニング部に硬度70°、反発弾性
35%、厚さ2(mm)、自由長9mmのクリーニング
ブレードをカウンター方向に当接角10°、食い込み量
1.5(mm)の条件で当接した。次に60mmφの円
筒状電子写真感光体を線速210(mm/sec)で回
転させながら現像部のバイアス電位とアースに接続され
た感光体との電位差を利用して電子写真感光体上に0.
1〜0.2(mg/cm2)のトナー付着量で現像を行
う。トナー及び現像剤は下記の評価用現像剤を用いた。
上記条件にて常温常湿環境下(20℃、50%RH)該
電子写真感光体を1,000,000回転を行い、現像
−クリーニングの工程を繰り返し行った際の感光体の膜
厚変動量(初期膜厚との差)を測定し、その値を感光体
の回転数で除した値を1回転あたりの膜厚減耗量とし
た。
【0035】評価用現像剤の作製 スチレン:ブチルアクリレート:ブチルメタクリレート
=75:20:5の質量比からなるスチレンアクリル樹
脂100部、カーボンブラック10部、低分子量ポリプ
ロピレン(数平均分子量=3500)4部とを溶融、混
練した後、機械式粉砕機を使用し、微粉砕を行い、分級
して体積平均粒径が8.5μmの着色粒子を得た。
【0036】得られた着色粒子100部に対して外添剤
として平均粒径12nmの疎水性シリカ粒子、0.4
部、平均粒径30nmのチタニア粒子0.6部を混合
し、ヘンシェルミキサーで常温下、撹拌羽根の周速40
(m/sec)で10分間混合し、負帯電性トナーを得
た。該トナーのカサ密度は0.41g/cm3であっ
た。
【0037】上記トナーに、シリコーン樹脂を被覆した
体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し
て、トナー濃度が5%の現像剤を調整した。
【0038】カサ(見掛け)密度測定:パウダーテスタ
ー(細川ミクロン製)を用い、見掛け密度を測定する。
【0039】測定としては、振動台に60メッシュフル
イをセットし、その真下にあらかじめ質量を測定した見
掛け密度測定用カップ(内容量100ml)を置く。次
にレオスタット目盛を2.0に合わせ振動を開始する。
この振動している60メッシュフルイ上部から静かに測
定試料を、前記測定用カップに入るように流出させる。
【0040】カップに山盛り試料が充填されたら、振動
を停止し、山盛のカップ上面をブレードによりすり切
り、天秤により正確に秤量する。
【0041】測定用カップは100mlの内容量となっ
ているため見掛け密度(g/cm3)=試料の質量÷1
00より求めることができる。
【0042】試料は20℃、50%RHの環境下で約1
2時間放置したものを用い、測定環境は20℃、50%
RHである。
【0043】*膜厚測定法 感光層の膜厚は均一膜厚部分をランダムに10ケ所測定
し、その平均値を感光層の膜厚とする。膜厚測定器は渦
電流方式の膜厚測定器EDDY560C(HELMUT
FISCHER GMBTE CO社製)を用いて行
った。
【0044】次に本発明の十点平均表面粗さについて説
明する。 十点平均表面粗さの定義と測定法 十点平均表面粗さRzとは、長さL間(本発明では15
mm)の5つの山頂の平均高さと5つの谷底の平均低さ
の差である。
【0045】本発明では前記十点平均表面粗さRzは表
面粗さ計(小坂研究所社製 Surfcorder S
E−30H)で測定した。但し、誤差範囲内で同一の結
果を生じる測定器であれば、他の測定器を用いても良
い。
【0046】本発明の感光体、即ち、前記1回転当たり
の膜厚減耗量と前記感光体の十点平均表面粗さを本発明
の範囲内に制御した感光体は以下のようにして作製する
ことができる。即ち、電子写真感光体を本発明の前記膜
厚減耗量と前記十点平均表面粗さの範囲内に制御するに
は該電子写真感光体の保護層と該保護層に隣接する層
(例えば電荷輸送層)に特別の特性をもたせ、該保護層
がクリーニングブレードや現像剤の擦過による摩耗に対
し十分な強さを持つことと、該保護層が隣接する層との
接着性も強く、均一に減耗していく特性が要求される。
本発明の複数の樹脂層の1つはこのような特性を有する
保護層であり、他の1つは該保護層に隣接する層であ
る。尚、本発明の複数の樹脂層とは層中にバインダーと
して高分子ポリマー又は高分子樹脂を含有した層が2層
以上存在することを意味している。以下、保護層、電荷
輸送層を中心に本発明に用いられる感光体の構成につい
て記載する。
【0047】保護層(電荷輸送性能を有するシロキサン
系樹脂を含有する樹脂層) 本発明の高硬度で且つ均一に摩耗する保護層としては有
機ケイ素化合物と該有機ケイ素化合物と反応性を有する
電荷輸送性化合物との反応により形成されるシロキサン
系樹脂層を保護層とした感光体が好ましい。このシロキ
サン系樹脂層は代表的には下記一般式(1)で表される
有機ケイ素化合物を原料とした塗布組成物を塗布乾燥す
ることにより形成される。これらの原料は親水性溶媒中
では加水分解とその後に生じる縮合反応により、溶媒中
で有機ケイ素化合物の縮合物(オリゴマー)を形成す
る。これら塗布組成物を塗布、乾燥することにより、3
次元網目構造を形成したシロキサン系樹脂を含有する樹
脂層を形成することができる。
【0048】一般式(1) (R)n−Si−(X)4-n 式中、Rはケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基
を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表し、nは0〜
3の整数を表す。
【0049】一般式(1)で表される有機ケイ素化合物
において、Rで示されるケイ素に炭素が直接結合した形
の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル
等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェ
ニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポ
キシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロ
キシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロ
キシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプ
ロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル
基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−
アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノ
プロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,
1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシ
ル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、そ
の他ニトロ、シアノ置換アルキル基を挙げられる。特に
はメチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基が
好ましい。又Xの加水分解性基としてはメトキシ、エト
キシ等のアルコキシ基、ハロゲン基、アシルオキシ基が
挙げられる。特には炭素数6以下のアルコキシ基が好ま
しい。
【0050】又一般式(1)で表される有機ケイ素化合
物は、単独でも良いし、2種以上組み合わせて使用して
も良い。但し、使用される一般式(1)で表される有機
ケイ素化合物の少なくとも一種がnが0又は1の有機ケ
イ素化合物を使用することが好ましい。
【0051】又一般式(1)で表される有機ケイ素化合
物の具体的化合物で、nが2以上の場合、複数のRは同
一でも異なっていても良い。同様に、nが2以下の場
合、複数のXは同一でも異なっていても良い。又、一般
式(1)で表される有機ケイ素化合物を2種以上を用い
るとき、R及びXはそれぞれの化合物間で同一でも良
く、異なっていても良い。
【0052】前記樹脂層は上記有機ケイ素化合物又はそ
の加水分解縮合物を含有する組成物にコロイダルシリカ
を含有させて形成されることが好ましい。コロイダルシ
リカとは分散媒中にコロイド状に分散した二酸化ケイ素
粒子であるが、コロイダルシリカの添加は塗布液組成物
調整のどの段階で加えても良い。コロイダルシリカは水
性またはアルコール性のゾルの形で添加しても良いし、
気相でつくられたエアロゾルを本発明の塗布液に直接分
散しても良い。
【0053】このほかチタニヤ、アルミナなどの金属酸
化物をゾルまたは粒子分散の形で添加しても良い。
【0054】コロイダルシリカや4官能(n=0)或い
は3官能(n=1)の前記有機ケイ素化合物は架橋構造
を生じること等により、本発明の樹脂層膜に弾性と剛性
を与える。2官能有機ケイ素化合物(n=2)の比率が
多くなるとゴム弾性が増すとともに疎水性があがり、1
官能有機ケイ素化合物(n=3)は高分子にはならない
が未反応残存SiOH基と反応して疎水性を上げる働き
がある。
【0055】本発明の高硬度で且つ高弾性が求められる
保護層としては前記有機ケイ素化合物の4官能(n=
0)或いは3官能(n=1)の少なくともいずれか一種
を原料として用い、弾性と剛性を備えたシロキサン系樹
脂層を形成することが好ましい。又、コロイダルシリカ
や金属酸化物粒子の保護層への添加は該シロキサン系樹
脂層の保護層と隣接する層、例えば電荷輸送層との接着
性を強固にし、保護層の剥離に対する強度を強くする効
果が大きい。
【0056】更に、前記シロキサン系樹脂層中には下記
一般式(2)で示される電荷輸送性化合物と前記有機ケ
イ素化合物又は該縮合物等との縮合反応により生成した
電荷輸送性を有する構造単位を含むシロキサン系樹脂が
含有され、このことにより該シロキサン系樹脂層の残留
電位上昇を小さく抑えることができると同時にシロキサ
ン系樹脂層に高い弾性特性を付与する。
【0057】一般式(2) B−(R1−ZH)m 式中、Bは電荷輸送性能を有する構造単位を含む1価又
は多価の基を表し、R 1は単結合又は2価のアルキレン
基を表し、Zは酸素原子、硫黄原子又はNHを表し、m
は2〜6の整数を表す。
【0058】又、前記一般式(2)で示された化合物は
コロイダルシリカの表面の水酸基との縮合反応により、
前記シロキサン系樹脂層に取り込まれても良い。
【0059】本発明にはコロイダルシリカ以外の他の金
属水酸化物(例えばアルミ、チタン、ジルコニウムの各
アルコキシドの加水分解物)を加えて複合化したシロキ
サン系セラミック樹脂層としても良い。
【0060】一般式(2)のBは電荷輸送性化合物構造
を含む2価以上の基である。ここでBが電荷輸送性化合
物構造を含むとは、一般式(2)中の(R1−ZH)基
を除いた化合物構造が電荷輸送性能を有しているか、又
は前記一般式(2)中の(R 1−ZH)基を水素原子で
置換したBHmの化合物が電荷輸送性能を有する事を意
味する。
【0061】尚、前記の電荷輸送性化合物とは電子或い
は正孔のドリフト移動度を有する性質を示す化合物であ
り、又別の定義としてはTime−Of−Flight
法などの電荷輸送性能を検知できる公知の方法により電
荷輸送に起因する検出電流が得られる化合物として定義
できる。
【0062】前記水酸基又は加水分解性基を有する有機
ケイ素化合物、及び水酸基又は加水分解性基を有する有
機ケイ素化合物から形成された縮合物との総量(H)と
前記一般式(2)の化合物(I)の組成物中の組成比と
しては、質量比で100:3〜50:100であること
が好ましく、より好ましくは100:10〜50:10
0の間である。
【0063】また本発明においては、コロイダルシリカ
又は他の金属酸化物を添加しても良いが、コロイダルシ
リカ又は他の金属酸化物(J)を添加する場合は前記総
量(H)+化合物(I)成分の総質量100部に対し
(J)を1〜30質量部を用いることが好ましい。
【0064】前記総量(H)成分が前記の範囲内で使用
されると、シロキサン系樹脂層を硬度が高く且つ弾力性
がある樹脂層とすることができる。(J)成分のコロイ
ダルシリカ成分の過不足も前記総量(H)成分と同様の
傾向がみられる。一方、前記化合物(I)成分が前記の
範囲内で使用されると感度や残留電位特性等の電子写真
特性が良好であり、且つ硬度が高いシロキサン系樹脂層
を形成できる。
【0065】前記のシロキサン系樹脂層を形成するには
縮合反応を促進するために縮合触媒を用いることが好ま
しい。ここで用いられる縮合触媒とは縮合反応に接触的
に作用する触媒、及び縮合反応の反応平衡を生成系に移
動させる働きをするものの少なくともいずれか一方の作
用をもつものであれば良い。
【0066】具体的な縮合触媒としては酸、金属酸化
物、金属塩、アルキルアミノシラン化合物など従来シリ
コンハードコート材料に用いられてきた公知の触媒を用
いることができる。例えば、有機カルボン酸、亜硝酸、
亜硫酸、アルミン酸、炭酸及びチオシアン酸の各アルカ
リ金属塩、有機アミン塩(水酸化テトラメチルアンモニ
ウム、テトラメチルアンモニウムアセテート)、スズ有
機酸塩(スタンナスオクトエート、ジブチルチンジアセ
テート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンメル
カプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチ
ルチンマリエート等)等が挙げられる。
【0067】以下に一般式(2)で表される代表的な化
合物例を挙げる。一般式(2)においてZが酸素原子の
化合物例を下記に挙げる。
【0068】
【化1】
【0069】
【化2】
【0070】
【化3】
【0071】
【化4】
【0072】
【化5】
【0073】次に、一般式(2)において、ZがNH基
である化合物例を下記に挙げる。
【0074】
【化6】
【0075】次に、一般式(2)において、Zがメルカ
プト基(SH)である化合物例を下記に挙げる。
【0076】
【化7】
【0077】前記一般式(2)で示された化合物の内最
も好ましい化合物はZが水酸基(OH)で且つmが2以
上の化合物である。Zが水酸基(OH)で且つmが2以
上の化合物は該化合物が前記有機ケイ素化合物と反応
し、その結果シロキサン系樹脂の網目構造中に入り込む
ことにより高硬度で且つ残留電位上昇が小さい樹脂層を
形成することができる。
【0078】更に、ケイ素原子含有基を有する電荷輸送
性化合物について説明する。ケイ素原子含有基を有する
電荷輸送性化合物は、以下のような構造の電荷輸送物質
である。この化合物も硬化性有機ケイ素化合物と結合し
て、本発明のシロキサン系樹脂層を形成することが出来
る。
【0079】 X−(−Z−Si(R113-a(R12an 式中、Siはケイ素原子、Xは電荷輸送性能を有する構
造単位を含む基であり、R11は水素原子、置換若しくは
未置換のアルキル基、アリール基を示し、R12は加水分
解性基又は水酸基を示し、Zは置換若しくは未置換のア
ルキレン基、アリーレン基を示す。aは1〜3の整数を
示し、nは整数を示す。
【0080】前記シロキサン系樹脂層を形成するには、
通常溶剤にシロキサン系樹脂組成物を溶解して塗布によ
り形成する。溶剤としてはメタノール、エタノール、プ
ロパノール、ブタノール、メチルセルソルブ、エチルセ
ルソルブ等のアルコール類及びこの誘導体;メチルエチ
ルケトン、アセトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブ
チル等のエステル類等が使用される。
【0081】前記シロキサン系樹脂層は加熱乾燥する事
が好ましい。この加熱によりシロキサン系樹脂層の架橋
・硬化反応が促進される。該架橋硬化条件としては使用
する溶剤種、触媒有無によって異なるが、およそ60〜
160℃の範囲で10分〜5時間の加熱が好ましく、よ
り好ましくは90〜120℃の範囲で30分〜2時間の
加熱が好ましい。
【0082】前記シロキサン系樹脂層の保護層を有する
電子写真感光体を製造するための塗布加工方法として
は、塗布液をディップ塗布、スプレー塗布、円形量規制
型塗布等を用いることができる。特にシロキサン系樹脂
層の保護層の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないた
め、又均一塗布加工を達成するためにスプレー塗布、円
形量規制型塗布(円形スライドホッパーがその代表例で
ある)を用いるのが好ましい。尚前記スプレー塗布につ
いては特開平3−90250号、同3−269238号
にその記載があり、前記円形量規制型塗布については特
開昭58−189061号に詳細が記載されている。
【0083】次に本発明の電子写真感光体に適用される
感光層について記載する。本発明の感光体の感光層構成
は導電性支持体上に直接、或いは下引層等を介して電荷
発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造
の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能
を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL層)に分
離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取る
ことにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制
御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御し
やすい。負帯電用の感光体では下引き層の上に電荷発生
層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL層)の構成
を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構
成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最
も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯
電感光体構成である。
【0084】以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成
について説明する。 電荷発生層 電荷発生層:電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を
含有する。その他の物質としては必要によりバインダー
樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0085】電荷発生物質(CGM)としては公知の電
荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフ
タロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニ
ウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り
返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGM
は複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる立体、電位
構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を
有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙
げられる。例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θ
が27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシア
ニン、同2θが12.4に最大ピークを有するベンズイ
ミダゾールペリレン等のCGMは繰り返し使用に伴う劣
化がほとんどなく、残留電位増加小さくすることができ
る。
【0086】電荷発生層にCGMの分散媒としてバイン
ダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用
いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマ
ール樹脂、ブチラール樹脂、シリコン樹脂、シリコン変
性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バ
インダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹
脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。
これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う
残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は
0.01μm〜2μmが好ましい。
【0087】電荷輸送層 電荷輸送層:電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及
びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。
その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤
を含有しても良い。
【0088】電荷輸送物質(CTM)としては公知の電
荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばト
リフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル
化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用
いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当な
バインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。これら
の中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくで
きるCTMは高移動度で、且つ組み合わされるCGMと
のイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性
を有するものであり、好ましくは0.25(eV)以下
である。
【0089】CGM、CTMのイオン化ポテンシャルは
表面分析装置AC−1(理研計器社製)で測定される。
【0090】電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂と
しては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリ
ル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニル
ブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フ
ェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、シリコン樹脂、メラミン樹脂並び
に、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含
む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N
−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられ
る。
【0091】これらCTLのバインダーとして最も好ま
しいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネ
ート樹脂はCTMの分散性、電子写真特性を良好にする
ことにおいて、最も好ましい。又、本発明の前記シロキ
サン系樹脂層の保護層との接着強度を大きくするために
は該ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量を50,0
00以下、10,000〜40,000の範囲がより好
ましい。粘度平均分子量が50,000より大きいと、
シロキサン系樹脂層の保護層とこの隣接する電荷輸送層
の境界領域における上と下の樹脂の絡み合いがすくなく
なり、該保護層の電荷輸送層への接着性が劣化しやす
い。
【0092】又、電荷輸送層中のポリカーボネート樹脂
と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量
部に対し30〜250質量部が好ましい。30未満だと
感度や残留電位等の電子写真特性の劣化が大きくなり、
250を越えると電荷輸送層の強度が小さくなって、感
光体全体としての表面強度を低下させる原因となり易
い。又、電荷輸送層の膜厚は10〜40μmが好まし
い。
【0093】電荷発生物質、電荷輸送物質の分散、溶解
の使用される溶媒としては、トルエン、キシレン等の炭
化水素類;メチレンクロライド、1,2−ジクロルエタ
ン等のハロゲン化炭化水素;メチルエチルケトン、シク
ロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等
のエステル類;メタノール、エタノール、メチルセルソ
ルブ、エチルセルソルブ等のアルコール類及びこの誘導
体;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3
−ジオキソラン等のエーテル類;ピリジンやジエチルア
ミン等のアミン類;N,N−ジメチルホルムアミド等の
アミド類;その他脂肪酸及びフェノール類;二硫化炭素
や燐酸トリエチル等の硫黄、燐化合物等の1種又は2種
以上を用いることができる。
【0094】次に前記保護層、感光層以外の感光体の構
成要素について記載する。 導電性支持体 本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシー
ト状、円筒状のどちらを用いても良いが、画像形成装置
をコンパクトに設計するためには円筒状導電性支持体の
方が好ましい。
【0095】本発明の円筒状導電性支持体とは回転する
ことによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒
状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ
0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好まし
い。この真円度及び振れの範囲を超えると、良好な画像
形成が困難になる。
【0096】導電性の材料としてはアルミニウム、ニッ
ケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸
化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又
は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用
することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗
103Ωcm以下が好ましい。
【0097】下引層 本発明の感光体に用いられる下引層(UCL)は導電性
支持体と前記感光層のとの接着性改良、或いは該支持体
からの電荷注入を防止するために、該支持体と前記感光
層の間に設けられるが、該下引層の材料としては、ポリ
アミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂並びに、
これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共
重合体樹脂が挙げられる。これら下引き樹脂の中で繰り
返し使用に伴う残留電位増加を小さくできる樹脂として
はポリアミド樹脂が好ましい。又、これら樹脂を用いた
下引層の膜厚は0.01〜0.5μmが好ましい。
【0098】又本発明に最も好ましく用いられる下引層
はシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の有
機金属化合物を熱硬化させた硬化性金属樹脂を用いた下
引層が挙げられる。硬化性金属樹脂を用いた下引層の膜
厚は、0.1〜2μmが好ましい。
【0099】本発明では感光体の表面は未使用の感光体
表面の十点平均表面粗さRz1でも、摩耗試験10万回
転後の十点平均表面粗さRz2においても1.5以下で
あることが好ましい。感光体表面の微細な表面粗さを最
大で1.5以下に抑えることにより、クリーニング不良
やフィルミングによる画像欠陥を効果的に抑制すること
ができる。一般に未使用の感光体に比し、画像形成で十
分使い込んだ感光体の表面は十点平均粗さRzが増加す
る傾向にある。このことを前提として考えると未使用の
感光体表面は十点平均粗さRzで1.0以下、好ましく
は0.5以下である。
【0100】前記導電性支持体上に前記感光層や保護層
を塗布した後の表面粗さが十点平均粗さRzで1.0を
越さない範囲で該導電性支持体の表面を粗面化する事が
できる。該導電性支持体の表面を粗面化する事で導電性
支持体と下引き層の接着性を強固にすることができ、
又、レーザー等の干渉光を像露光光源に用いたときのモ
アレ防止にも有効である。該導電性支持体の粗面化に
は、切削工具などで支持体表面を削り粗面化する方法
や、微細な粒子を支持体表面に衝突させることによる、
サンドブラスト加工の方法、特開平4−204538号
に記載の氷粒子洗浄装置による加工の方法、特開平9−
236937号に記載のホーニング加工の方法がある。
また、陽極酸化法やアルマイト処理法、バフ加工法、あ
るいは、特開平4−233546号に記載のレーザー溶
発法による方法、特開平8−1502号に記載の研磨テ
ープによる方法や、特開平8−1510号に記載のロー
ラバニシング加工の方法等が挙げられる。しかし、支持
体の表面を荒らす方法としてはこれらに限定されるもの
ではない。
【0101】また保護層の前記シロキサン系樹脂層には
酸化防止剤を添加することにより、帯電器や転写極によ
って放出される、オゾンやNOX等の有害な活性ガスに
よる該シロキサン系樹脂層の強度劣化、及び残留電位上
昇や画像ボケを効果的に防止することができる。
【0102】ここで、酸化防止剤とは、その代表的なも
のは電子写真感光体中ないしは感光体表面に存在する自
動酸化性物質に対して、光、熱、放電等の条件下で酸素
の作用を防止ないし、抑制する性質を有する物質であ
る。詳しくは下記の化合物群が挙げられる。
【0103】(1)ラジカル連鎖禁止剤 ・フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系) ・アミン系酸化防止剤(ヒンダードアミン系、ジアリル
ジアミン系、ジアリルアミン系) ・ハイドロキノン系酸化防止剤 (2)過酸化物分解剤 ・硫黄系酸化防止剤(チオエーテル類) ・燐酸系酸化防止剤(亜燐酸エステル類) 上記酸化防止剤のうちでは、(1)のラジカル連鎖禁止
剤が良く、特にヒンダードフェノール系或いはヒンダー
ドアミン系酸化防止剤が好ましい。又、2種以上のもの
を併用してもよく、例えば(1)のヒンダードフェノー
ル系酸化防止剤と(2)のチオエーテル類の酸化防止剤
との併用も良い。更に、分子中に上記構造単位、例えば
ヒンダードフェノール構造単位とヒンダードアミン構造
単位を含んでいるものでも良い。
【0104】前記酸化防止剤の中でも特にヒンダードフ
ェノール系、ヒンダードアミン系酸化防止剤が高温高湿
時のシロキサン系樹脂の強度劣化、及びカブリの発生や
画像ボケ防止に特に効果がある。
【0105】ヒンダードフェノール系或いはヒンダード
アミン系酸化防止剤の樹脂層中の含有量は0.01〜2
0質量%が好ましい。0.01質量%未満だと高温高湿
時のカブリや画像ボケに効果がなく、20質量%より多
い含有量では樹脂層中の電荷輸送能の低下がおこり、残
留電位が増加しやすくなり、又膜強度の低下が発生す
る。
【0106】又、前記酸化防止剤は下層の電荷発生層或
いは電荷輸送層、中間層等にも必要により含有させて良
い。これらの層への前記酸化防止剤の添加量は各層に対
して0.01〜20質量%が好ましい。
【0107】ここでヒンダードフェノールとはフェノー
ル化合物の水酸基に対しオルト位置に分岐アルキル基を
有する化合物類及びその誘導体を云う(但し、水酸基が
アルコキシに変成されていても良い。)。
【0108】ヒンダードアミン系とはN原子近傍にかさ
高い有機基を有する化合物である。かさ高い有機基とし
ては分岐状アルキル基があり、例えばt−ブチル基が好
ましい。例えば下記構造式で示される有機基を有する化
合物類が好ましい。
【0109】
【化8】
【0110】式中のR13は水素原子又は1価の有機基、
14、R15、R16、R17はアルキル基、R18は水素原
子、水酸基又は1価の有機基を示す。
【0111】ヒンダードフェノール部分構造を持つ酸化
防止剤としては、例えば特開平1−118137号(P
7〜P14)記載の化合物が挙げられるが本発明はこれ
に限定されるものではない。
【0112】ヒンダードアミン部分構造を持つ酸化防止
剤としては、例えば特開平1−118138号(P7〜
P9)記載の化合物も挙げられるが本発明はこれに限定
されるものではない。
【0113】有機リン化合物としては、例えば、一般式
RO−P(OR)−ORで表される化合物がある。尚、
ここにおいてRは水素原子、各々置換もしくは未置換の
アルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。
【0114】有機硫黄系化合物としては、例えば、一般
式R−S−Rで表される化合物がある。尚、ここにおい
てRは水素原子、各々置換もしくは未置換のアルキル
基、アルケニル基又はアリール基を表す。
【0115】以下に代表的な酸化防止剤の化合物例を挙
げる。
【0116】
【化9】
【0117】
【化10】
【0118】
【化11】
【0119】
【化12】
【0120】
【化13】
【0121】又、製品化されている酸化防止剤としては
以下のような化合物、例えばヒンダードフェノール系と
して「イルガノックス1076」、「イルガノックス1
010」、「イルガノックス1098」、「イルガノッ
クス245」、「イルガノックス1330」、「イルガ
ノックス3114」、「イルガノックス1076」、
「3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシビフェニ
ル」、ヒンダードアミン系として「サノールLS262
6」、「サノールLS765」、「サノールLS77
0」、「サノールLS744」、「チヌビン144」、
「チヌビン622LD」、「マークLA57」、「マー
クLA67」、「マークLA62」、「マークLA6
8」、「マークLA63」が挙げられ、チオエーテル系
として「スミライザ−TPS」、「スミライザーTP−
D」が挙げられ、ホスファイト系として「マーク211
2」、「マークPEP−8」、「マークPEP−24
G」、「マークPEP−36」、「マーク329K」、
「マークHP−10」が挙げられる。
【0122】《ブレードにてクリーニングする工程》感
光体に圧接配置されたブレード状のクリーニング部材を
備えた装置を用いて、転写されず感光体上に残留したト
ナーをクリーニングする。クリーニング部材の感光体に
対する圧接力は、クリーニング性を向上させる観点から
5〜50g/cmが好ましい。なおクリーニング工程の
前段階においては、クリーニングを容易にするために感
光体表面を除電する除電工程を付加する事が好ましい。
この除電工程は、例えば交流コロナ放電を生じさせる除
電器により行われる。
【0123】本発明に用いられるクリーニングブレード
はシリコンゴム、ウレタンゴム等が用いられるが、ウレ
タンゴムで作られたものが最も好ましい。その中でも反
発弾性が20〜80(20℃、50±5%RHの条件
下)のポリウレタンゴムが好ましい。反発弾性が20未
満だとクリーニング性が十分でなく、80%を越えると
ブレードメクレが発生しやすい(ウレタンゴム物性値は
JIS−K6301に準じる)。
【0124】図2は本発明の画像形成装置の1例として
の電子写真画像形成装置の断面図である。
【0125】図2において50は像担持体である感光体
ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布し、
その上に本発明の樹脂層を塗設した感光体で、接地され
て時計方向に駆動回転される。52はスコロトロンの帯
電器で、感光体ドラム50周面に対し一様な帯電をコロ
ナ放電によって与えられる。この帯電器52による帯電
に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすため
に発光ダイオード等を用いた露光部51による露光を行
って感光体周面の除電をしてもよい。
【0126】感光体への一様帯電ののち像露光器53に
より画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像
露光器53は図示しないレーザーダイオードを露光光源
とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等
を経て反射ミラー542により光路を曲げられた光によ
り感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成され
る。
【0127】その静電潜像は次いで現像器54で現像さ
れる。感光体ドラム50周縁にはトナーとキャリアとか
ら成る現像剤を内蔵した現像器54が設けられていて、
マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリ
ーブ541によって現像が行われる。現像剤は、例えば
前述のフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂
をコーティングしたキャリアと、前述のスチレンアクリ
ル系樹脂を主材料としてカーボンブラック等の着色剤と
荷電制御剤と本発明の低分子量ポリオレフィンからなる
着色粒子に、シリカ、酸化チタン等を外添したトナーと
からなるもので、現像剤は層形成手段によって現像スリ
ーブ541上に100〜600μmの層厚に規制されて
現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は感
光体ドラム50と現像スリーブ541の間に直流バイア
ス、必要に応じて交流バイアス電圧をかけて現像が行わ
れる。また、現像剤は感光体に対して接触あるいは非接
触の状態で現像される。
【0128】記録紙Pは画像形成後、転写のタイミング
の整った時点で給紙ローラー57の回転作動により転写
域へと給紙される。
【0129】転写域においては転写のタイミングに同期
して感光体ドラム50の周面に転写ローラー(転写器)
58が圧接され、給紙された記録紙Pを挟着して転写さ
れる。
【0130】次いで記録紙Pは転写ローラーとほぼ同時
に圧接状態とされた分離ブラシ(分離器)59によって
除電がなされ、感光体ドラム50の周面により分離して
定着装置60に搬送され、熱ローラー601と圧着ロー
ラー602の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち
排紙ローラー61を介して装置外部に排出される。なお
前記の転写ローラー58及び分離ブラシ59は記録紙P
の通過後感光体ドラム50の周面より退避離間して次な
るトナー像の形成に備える。
【0131】一方記録紙Pを分離した後の感光体ドラム
50は、クリーニング器62のブレード621の圧接に
より残留トナーを除去・清掃し、再び露光部51による
除電と帯電器52による帯電を受けて次なる画像形成の
プロセスに入る。
【0132】尚、70は感光体、帯電器、転写器・分離
器及びクリーニング器が一体化されている着脱可能なプ
ロセスカートリッジである。
【0133】電子写真画像形成装置としては、上述の感
光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセ
スカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニ
ットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。
又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及び
クリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体
に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に
着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの
案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0134】プロセスカートリッジには、一般には以下
に示す一体型カートリッジ及び分離型カートリッジがあ
る。一体型カートリッジとは、帯電器、像露光器、現像
器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも
1つを感光体とともに一体に構成し、装置本体に着脱可
能な構成であり、分離型カートリッジとは感光体とは別
体に構成されている帯電器、像露光器、現像器、転写又
は分離器、及びクリーニング器であるが、装置本体に着
脱可能な構成であり、装置本体に組み込まれた時には感
光体と一体化される。本発明におけるプロセスカートリ
ッジは上記双方のタイプのカートリッジを含む。
【0135】トナーリサイクルを行うための方式として
は特に限定されるものでは無いが、例えば、クリーニン
グ部で回収されたトナーを搬送コンベアあるいは搬送ス
クリューによって補給用トナーホッパー、現像器あるい
は補給用トナーと中間室によって混合して現像器へ供給
する方法等をあげることができる。好ましくは現像器へ
直接戻す方式あるいは中間室にて補給用トナーとリサイ
クルトナーを混合して供給する方式をあげることができ
る。
【0136】次に図3において、トナーのリサイクル部
材斜視構成図の一例を挙げる。この方式は現像器へリサ
イクルトナーを直接戻す方式である。
【0137】クリーニングブレード4で回収された未転
写トナーはトナークリーニング器3内の搬送スクリュウ
によってトナーリサイクルパイプ5に集められ、更にこ
のリサイクルパイプの受け口6から現像器2に戻され、
再び現像剤として使用される。
【0138】図3は又、本発明の画像形成装置に着脱自
在のプロセスカートリッジの斜視図でもある。この図3
では斜視構造を判りやすくするため感光体ユニットと現
像剤ユニットを分離した図面になっているが、これを全
部一体化したユニットとして着脱自在に画像形成装置に
搭載できる。この場合、感光体ドラム1、現像器2、ク
リーニング器3及びリサイクル部材(トナーリサイクル
パイプ5)が一体となりプロセスカートリッジを構成し
ている。
【0139】又、上記画像形成装置は、感光体ドラム
と、帯電器、現像器、クリーニング器あるいはリサイク
ル部材等の少なくとも一つを含むプロセスカートリッジ
を搭載する形態にすることもできる。
【0140】次に、転写紙は代表的には普通紙である
が、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に限定
されず、OHP用のPETベース等も無論含まれる。
【0141】像露光は、電子写真画像形成装置を複写機
やプリンターとして使用する場合には、原稿からの反射
光や透過光を感光体に照射すること、或いはセンサーで
原稿を読み取り信号化し、この信号に従ってレーザービ
ームの走査、LEDアレイの駆動、又は液晶シャッター
アレイの駆動を行い感光体に光を照射することなどによ
り行われる。
【0142】尚、ファクシミリのプリンターとして使用
する場合には、像露光器53は受信データをプリントす
るための露光を行うことになる。
【0143】本発明の電子写真感光体は、複写機、レー
ザープリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式
プリンター等の電子写真装置一般に適用し得るものであ
るが、更には電子写真技術を応用したディスプレイ、記
録、軽印刷、製版、ファクシミリ等の装置にも広く適用
し得るものである。
【0144】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。なお、文中
「部」とは「質量部」を表す。
【0145】 感光体1の作製 〈下引層〉 チタンキレート化合物(TC−750 松本製薬製) 30g シランカップリング剤(KBM−503 信越化学社製) 17g 2−プロパノール 150ml 上記塗布液を用いてφ60mmの円筒形の導電性支持体
上に、乾燥膜厚0.5μmとなるよう塗布した。
【0146】 〈電荷発生層〉 Y型チタニルフタロシアニン(Cu−Kα特性X線による X線回折の最大ピーク角度が2θで27.3) 60g シリコーン変性ブチラール樹脂(X−40−1211:信越化学社製) 700g 2−ブタノン 2000ml を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発
生層塗布液を調製した。この塗布液を前記下引層の上に
浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.2μmの電荷発生層
を形成した。
【0147】 〈電荷輸送層〉 電荷輸送物質(4−メトキシ−4′−(4−メチル−α−フェニルスチリル) トリフェニルアミン) 225g ポリカーボネート(粘度平均分子量30,000) 300g 酸化防止剤(例示化合物1−3) 6g ジクロロメタン 2000ml を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この
塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾
燥膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0148】 〈保護層〉 メチルトリメトキシシラン 182g 化合物(例示化合物B−1) 40g 酸化防止剤(例示化合物2−1) 1g 2−プロパノール 225g 2%酢酸 106g アルミニウムトリスアセチルアセトナート 1g を混合し、保護層用の塗布液を調製した。この塗布液を
前記電荷輸送層の上に円形量規制型塗布装置により乾燥
膜厚3μmの保護層(架橋構造を有するシロキサン系樹
脂層)を形成し、110℃、1時間の加熱硬化を行い、
感光体1を作製した。
【0149】感光体2の作製 感光体1の作製において保護層の塗布液にコロイダルシ
リカ(30%メタノール溶液)106gを加えた他は感
光体1と同様にして感光体2を作製した。
【0150】感光体3の作製 感光体1において保護層の酸化防止剤を除いた他は感光
体2と同様にして感光体3を作製した。
【0151】感光体4の作製 感光体1において下引層を除いた以外は同様にして感光
体4を作製した。
【0152】感光体5の作製 感光体1と同様にして電荷輸送層までを作製した。
【0153】 〈保護層〉 メチルトリメトキシシラン 150g フェニルトリメトキシシラン 30g 化合物(例示化合物B−1) 75g 酸化防止剤(例示化合物1−8) 1g 2−プロパノール 225g 2%酢酸 106g コロイダルシリカ(30%メタノール溶液) 106g トリアセチルアセトナトアルミニウム 4g を混合し、保護層用の塗布液を調製した。この塗布液を
前記電荷輸送層の上に円形量規制型塗布装置により乾燥
膜厚3μmの保護層(架橋構造を有するシロキサン系樹
脂層)を形成し、110℃、1時間の加熱硬化を行い、
感光体5を作製した。
【0154】感光体6の作製 感光体1と同様にして電荷輸送層までを作製した。 〈樹脂層〉 メチルトリメトキシシラン 100g ジメトキシジメチルシラン 53g 化合物(例示化合物B−1) 45g 酸化防止剤(例示化合物2−1) 1g 2−プロパノール 225g 3%酢酸 30g コロイダルシリカ(30%メタノール溶液) 80g トリアセチルアセトナトアルミニウム 3g を混合し、樹脂層用の塗布液を調製した。この塗布液を
前記電荷輸送層の上に円形量規制型塗布装置により乾燥
膜厚2μmの保護層(架橋構造を有するシロキサン系樹
脂層)を形成し、110℃、1時間の加熱硬化を行い、
感光体6を作製した。
【0155】感光体7の作製 感光体1において、保護層の化合物(例示化合物B−
1)を除いた他は感光体1と同様にして感光体7を作製
した。
【0156】感光体8の作製 感光体1において電荷輸送層の膜厚を23μmに変更
し、保護層を用いず100℃、1時間の乾燥を行った以
外は同様にして感光体8を作製した。
【0157】〈評価〉 1.摩耗試験 本発明の詳細な説明の《本発明における膜厚減耗量測定
の具体例》で記した摩耗試験を感光体100,000回
転行い前記本文中で示した方法により感光体の膜厚減耗
量を測定し、1回転あたりの膜厚減耗量、及び表面粗さ
(Rz1:摩耗試験前)、(Rz2:摩耗試験後)を求
めた。
【0158】2.付着性評価 接着性評価はJISK 5400に基づき、碁盤目テー
プ法により行った。特に指定のない項目についてはJI
Sの規定に従う。
【0159】測定手順を次に示す。 実施例で作製した電子写真感光体を固定し、感光体の
中央1カ所にカッターナイフにより試料の製品規格に規
定するすきま間隔のカッターガイドなどを用いて碁盤目
上の切り傷を付ける。
【0160】切り傷の間隔は1mmでます目の数は10
0を基準とする。樹脂層と感光層の界面以外の界面部分
で剥離された碁盤目については測定対象外とするが、半
数以上の碁盤目が対象外となった場合には切り傷のます
目間隔を1mm単位で順次広げていき測定可能なます目
間隔で測定する。
【0161】切り傷を付けるときのカッターナイフは
常に新しいものを用い、塗面に対して35〜45度の範
囲の一定の角度に保つようにする。
【0162】切り傷は、塗膜を貫通して導電性支持体
に届くように、切り傷1本につき約0.5秒間かけて等
速で引く。
【0163】碁盤目の上に接着部分の長さが約50m
mになるようにセロハン粘着テープを貼りつけ、消しゴ
ムでこすって塗膜にテープを完全に付着させる。
【0164】テープを付着させてから1〜2分後に、
テープの一方の端を持って塗面に直角に保ち、瞬間的に
引き剥がす。
【0165】塗面とテープを観察し、感光層と樹脂層
の界面で剥離された碁盤目数を求め、剥がれ面積の割合
を算出する。接着性試験は上記感光体をJIS記載の方
法により碁盤目試験を行い、100個のうち残留した碁
盤目の数をカウントした。
【0166】摩耗試験、及び付着性評価の結果を表1に
示す。 3.画像評価 画像評価は本感光体をコニカ社製デジタル複写機Kon
ica7050(レーザ露光、反転現像、爪分離、ブレ
ードクリーニングプロセスを有する)に搭載し、初期帯
電電位を−750Vに設定し、A4普通紙20万枚の連
続コピー評価を行った。
【0167】評価は、画素率が7%の文字画像、人物顔
写真、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分に
あるオリジナル画像をA4での複写を行い、1000枚
毎にハーフトーン、ベタ白画像、ベタ黒画像を評価し
た。残留電位変動の指標としての画像濃度評価はベタ黒
画像の濃度をマクベス社製RD−918を使用し絶対反
射濃度で測定した。残留電位の上昇が大きくなると画像
濃度は低下する。膜厚減耗の指標としてのカブリについ
てはベタ白画像を使用し目視で確認した。膜厚減耗が大
きくなると帯電性が低下し、カブリが発生し易くなる。
また、表面のフィルミング状態を目視判定で評価を行っ
た。膜厚変動速度に対して残留電位変動速度が大きくな
るとフィルミングが発生し易くなる。
【0168】尚、上記画像評価器の現像条件は下記の条
件に設定した。 DCバイアス ;−500V Dsd(感光体と現像スリーブ間距離);600μm 現像剤層規制 ;磁性H−Cut方式 現像剤層厚 ;700μm 現像スリーブ径;40mm さらに、クリーニング部で回収されたトナーは現像器へ
回収され、再使用する方式を使用した。
【0169】画像評価用現像剤は下記のトナー及び現像
剤を用いた。 トナー;体積平均粒径:6.5μm、バインダー:スチ
レンアクリル樹脂、外添剤:平均粒径30nmの酸化チ
タン粒子 現像剤;上記トナーに、シリコーン樹脂を被覆した体積
平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合して、ト
ナー濃度が5%の現像剤を調整した。
【0170】 画像濃度 ◎:1.2以上:良好 ○:1.2未満〜1.0:実用上問題ないレベル ×:1.0未満:実用上問題となるレベル カブリ ○:カブリ発生無し ×:時々カブリ発生有り ××:連続したカブリ発生有り 表面観察(感光体表面を目視で観察) ◎:20万枚でフィルミング発生なし ○:10万枚までフィルミング発生なし ×:10万枚未満でフィルミング発生 画像欠陥(コピー画像の黒筋、白筋の発生と感光体表面の傷観察と対応させ て評価した) ◎:20万枚中1枚も黒筋、白筋発生無し ○:20万枚中1枚〜20枚未満の黒筋又は白筋発生 ×:20万枚中20枚以上の黒筋又は白筋発生 画像評価の結果を表2に示す。
【0171】
【表1】
【0172】
【表2】
【0173】〈評価結果〉本発明の実施例1〜6では1
0万回転の感光体の摩耗試験において、減耗量、及び十
点平均表面粗さRzの値も非常に小さかった。このこと
が複写画像評価において、感光体表面のキズが殆ど見ら
れず、ハーフトーン画像上にもスリ傷による画像欠陥は
見られなかった。また、感光体表面へのトナーフィルミ
ングも発生しにくく、20万枚の複写画像評価におい
て、カブリも発生せず、且つ黒ベタ部の濃度は反射濃度
で1.2以上の高画質な画像が得られた。一方比較例1
は平均的な膜厚減耗量は小さい値を示しているが、表面
粗さRzは、摩耗試験後の変化率が大きく、画像形成中
に感光体表面に深い凹凸が発生していると思われる。こ
の為、複写画像評価ではフィルミング、画像欠陥の発生
があり、繰り返し画像形成に伴う残留電位上昇による画
像濃度の低下も見られる。比較例2は摩耗試験による膜
厚減耗量、及び表面粗さRzの変化率も大きく、この為
膜厚減耗に伴うカブリの上昇、及び感光体表面の深いス
ジ傷等による画像欠陥が発生している。
【0174】
【発明の効果】以上の実施例より、本発明の感光体、該
感光体を用いた画像形成方法、画像形成装置、及びプロ
セスカートリッジを用いることにより、多数枚の画像形
成を行ってもスジ故障等の画像欠陥のない、高濃度の鮮
明な電子写真画像がえられることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】摩耗試験におけるクリーニングブレードの感光
体への当接条件の説明図。
【図2】本発明の画像形成装置の1例としての電子写真
画像形成装置の断面図。
【図3】トナーのリサイクル部材斜視構成図。
【符号の説明】
1 感光体ドラム 2 現像器 3 クリーニング器 4 クリーニングブレード 5 トナーリサイクルパイプ 6 リサイクルパイプの受け口 50 感光体ドラム(又は感光体) 51 露光部 52 帯電器 53 像露光器 54 現像器 57 給紙ローラー 58 転写ローラー(転写器) 59 分離ブラシ(分離器) 60 定着装置 61 排紙ローラー 62 クリーニング器 70 プロセスカートリッジ 81 電子写真感光体 82 クリーニングブレード 83 支持部材 84 固定ネジ

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に少なくとも複数の樹脂
    層を有する電子写真感光体において、下記摩耗試験を行
    った後の1回転あたりの摩耗量ΔHが0<ΔH≦1×1
    -5(μm)で且つ摩耗試験後の十点平均表面粗さ(R
    z2)が初期十点平均表面粗さ(Rz1)の10倍以下
    であることを特徴とする電子写真感光体。 ・摩耗試験 常温常湿環境下(20℃、50%RH)駆動部に接続し
    た電子写真感光体に硬度70±1°、反発弾性35±1
    %、厚さ2±0.1(mm)、自由長9±0.1mmの
    クリーニングブレードをカウンター方向に当接角10±
    0.5°、食い込み量1.5±0.2(mm)の条件で
    当接し、電子写真感光体を1回転0.1〜10秒の回転
    で駆動部により回転させながら電子写真感光体上に0.
    15±0.05(mg/cm2)の付着量で現像された
    カサ密度が0.41±0.1g/cm3、且つ個数平均
    粒径10〜40(nm)の粉体が外添剤としてトナーに
    対して1±0.1質量(%)で混合された体積平均粒径
    8.5±0.2μmのトナーをクリーニングする。上記
    条件にて該電子写真感光体が100,000回以上の回
    転を行った際の感光体の膜厚変動量を測定し、その値を
    感光体の回転数で除した値を1回転あたりの膜厚減耗量
    とする。
  2. 【請求項2】 前記表面粗さ(Rz1)、及び(Rz
    2)が1.5μm以下であることを特徴とする請求項1
    記載の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 前記樹脂層の1つが有機ケイ素化合物と
    該有機ケイ素化合物と反応性を有する電荷輸送性化合物
    との反応により形成されたシロキサン系樹脂層であるこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光
    体。
  4. 【請求項4】 前記電子写真感光体が導電性支持体上に
    少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、及び保護層を有し
    ており、該保護層が前記シロキサン系樹脂層であり、且
    つ該電荷輸送層と隣接していることを特徴とする請求項
    3に記載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 前記保護層と前記電荷輸送層との接着強
    度がJISK5400で規定される碁盤目テープ法によ
    るはがれの幅が全正方形面積の65%未満であることを
    特徴とする請求項4に記載の電子写真感光体。
  6. 【請求項6】 前記電荷輸送層のバインダーが粘度平均
    分子量50,000以下のポリカーボネートを含有して
    いることを特徴とする請求項4又は5に記載の電子写真
    感光体。
  7. 【請求項7】 前記シロキサン系樹脂層中にコロイダル
    シリカを含有量1〜30質量%で含有させることを特徴
    とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の電子写真感
    光体。
  8. 【請求項8】 前記シロキサン系樹脂層中にヒンダード
    フェノール構造を有する酸化防止剤を含有量0.01〜
    20質量%で含有させることを特徴とする請求項3〜7
    のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  9. 【請求項9】 前記シロキサン系樹脂層中にヒンダード
    アミン構造を有する酸化防止剤を含有量0.01〜20
    質量%で含有させることを特徴とする請求項3〜7のい
    ずれか1項に記載の電子写真感光体。
  10. 【請求項10】 前記電子写真感光体が円筒状導電性支
    持体上に下引層、電荷発生層、電荷輸送層、前記保護層
    を有することを特徴とする請求項4〜9のいずれか1項
    に記載の電子写真感光体。
  11. 【請求項11】 電子写真感光体上に、少なくとも帯
    電、像露光、現像、クリーニングを行う工程を有する画
    像形成方法において、該電子写真感光体に請求項1〜1
    0のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いること
    を特徴とする画像形成方法。
  12. 【請求項12】 電子写真感光体と、少なくとも帯電、
    像露光、現像、クリーニングの手段を有する画像形成装
    置において、該電子写真感光体に請求項1〜10のいず
    れか1項に記載の電子写真感光体を用いることを特徴と
    する画像形成装置。
  13. 【請求項13】 電子写真感光体と少なくとも帯電、像
    露光、現像、クリーニングの手段を有する画像形成装置
    に用いられるプロセスカートリッジが請求項1〜10の
    いずれか1項に記載の電子写真感光体と帯電器、像露光
    器、現像器、クリーニング器のいずれか1つとを一体に
    組み合わせて有しており、該画像形成装置に出し入れ自
    由に設計されていることを特徴とするプロセスカートリ
    ッジ。
  14. 【請求項14】 少なくとも電子写真感光体上の静電荷
    像をトナーを含有する現像剤で現像する工程、及び該電
    子写真感光体上のトナーをクリーニングブレードを用い
    てクリーニングする工程、該クリーニング工程で回収さ
    れたトナーを現像工程の現像剤に戻して再利用するトナ
    ーのリサイクル工程を有する画像形成方法において、該
    電子写真感光体に請求項1〜10のいずれか1項に記載
    の電子写真感光体を用いることを特徴とする画像形成方
    法。
  15. 【請求項15】 少なくとも電子写真感光体上の静電荷
    像をトナーを含有する現像剤で現像する手段、及び該電
    子写真感光体上のトナーをクリーニングブレードを用い
    てクリーニングする手段、該クリーニング手段で回収さ
    れたトナーを現像手段の現像剤に戻して再利用するトナ
    ーのリサイクル手段を有する画像形成装置において、該
    電子写真感光体に請求項1〜10のいずれか1項に記載
    の感光体を用いることを特徴とする画像形成装置。
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