JP2001247866A - 植物生育環境付与材及びその製造方法、並びにそれを含有する土壌組成物及びそれを用いた土壌改良方法 - Google Patents

植物生育環境付与材及びその製造方法、並びにそれを含有する土壌組成物及びそれを用いた土壌改良方法

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JP2001247866A
JP2001247866A JP2000059988A JP2000059988A JP2001247866A JP 2001247866 A JP2001247866 A JP 2001247866A JP 2000059988 A JP2000059988 A JP 2000059988A JP 2000059988 A JP2000059988 A JP 2000059988A JP 2001247866 A JP2001247866 A JP 2001247866A
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growth environment
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plant
soil
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JP2000059988A
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English (en)
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Motoyasu Nakanishi
幹育 中西
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Suzuki Sogyo Co Ltd
Original Assignee
Suzuki Sogyo Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C05FERTILISERS; MANUFACTURE THEREOF
    • C05GMIXTURES OF FERTILISERS COVERED INDIVIDUALLY BY DIFFERENT SUBCLASSES OF CLASS C05; MIXTURES OF ONE OR MORE FERTILISERS WITH MATERIALS NOT HAVING A SPECIFIC FERTILISING ACTIVITY, e.g. PESTICIDES, SOIL-CONDITIONERS, WETTING AGENTS; FERTILISERS CHARACTERISED BY THEIR FORM
    • C05G5/00Fertilisers characterised by their form
    • C05G5/40Fertilisers incorporated into a matrix

Abstract

(57)【要約】 【課題】 生分解性であって、製造するのに複雑な工程
が必要でなく、しかも通気性、保水性及び薬品徐放性を
も併せ持つため、植物が育成し易い土壌に改良すること
ができる生分解性樹脂押出発泡体から形成されてなる植
物生育環境付与材及びその製造方法などを提供する。 【解決手段】 セルロース・アセテート系樹脂を主成分
として含有する発泡性樹脂組成物を押し出しすると同時
に水分の気化膨張力により発泡させることにより製造さ
れたセルロース・アセテート系樹脂発泡体から形成され
てなる植物生育環境付与材、又は、農薬、環境保全用薬
剤、及び肥料から選ばれる少なくとも1種の生物活性関
与成分を含有することを特徴とする植物生育環境付与材
及びその製造方法、並びに土壌改良方法などを提供し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農園芸分野で使用
される生分解性を有する植物生育環境付与材及びその製
造方法、並びにそれを含有する土壌組成物及びそれを用
いた土壌改良方法に関し、さらに詳しくは、セルロース
・アセテート系樹脂を主原料とし、水発泡により製造さ
れた生分解性樹脂押出発泡体から形成された、生分解性
を有し、通気性、保水性及び薬品徐放性をも併せ持つ植
物生育環境付与材及びその製造方法、並びにそれを含有
する土壌組成物及びそれを用いた土壌改良方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、合成樹脂からなる発泡体は、多種
多様のものが製造され、食品包装容器、水質浄化材、断
熱材、緩衝体等の幅広い分野で活用されてきた。近年、
これら合成樹脂発泡体の需要は、年々増加する傾向にあ
り、このため廃棄される量も年々増加して、環境問題、
公害問題として、大きく社会的にクローズアップされて
きている。しかし、廃棄合成樹脂発泡体を再生利用する
には、社会的規模の様々な対応が求められ、一方、焼却
処分するには、有害ガスの発生防止、高熱発生による焼
却炉の劣化防止など、山積されている問題が多く、廃棄
処理が容易であり、生分解性である発泡体の開発が強く
望まれている。
【0003】一方、農園芸分野での植物の育成には、育
苗も含めて、その生育管理が難しく、多くの方法が行わ
れているが、総括的な管理を行うのに、多大な労力と費
用を要していた。その管理において重要な因子となるの
が、潅水管理と、農薬、肥料等の植物に対する有効成分
の供与方法である。すなわち、有用植物の良好な生育を
図るためには、生育期間中、土中の固相、液相、気相の
三相のバランスを保ち、たえず土壌に適度な水分を保持
させ、水分を植物に補給し続けることと、根の呼吸の維
持と根腐れを抑制するために、空気の流通を維持するこ
と(すなわち、通気効果)と、適当な時期に適当な量の
有効成分を与えることが不可欠な条件となっている。そ
のために土壌に保水性を付与する方法と肥料等の有効成
分を徐放させる方法などが多く行われている。例えば、
土壌に保水性を付与する方法としては、保水性のある植
物栽培用材料(又は改良剤)を土壌に混合することが広
く実施されている。しかし、保水性のある植物栽培用材
料の具体例としては、例えば、腐葉土、鹿沼土、ピート
モス、パーライト、バーミキュライト、発泡ウレタン等
が挙げられるが、これらは、保水効果及び通気効果の両
者を、必ずしも同時に満足するものではない。また、高
吸水性樹脂を用いた植物栽培用材料などでは、生分解性
を有していないために、長期にわたり土壌中に残留する
という問題がある。また、有効成分を植物に与える方法
としては、有効成分を空中から散布する方法、水溶液も
しくは水懸濁液を散布する方法などがあるが、その効果
は、一時的であり、効果が維持しない。効果を維持する
ためには、散布回数も増え、多大な労力を必要とする。
また、均一に薬剤を散布することが難しいので、必要と
しない部分とか、局所的に多量な薬剤が蓄積する恐れが
ある。さらに、有効成分を徐放させる方法としては、各
種薬剤を造粒して粒状に成形する方法も提案されてい
る。しかし、従来の成形体は、崩壊剤を混入して成形
し、その崩壊性を利用して、有効成分を拡散する方法が
取られていた。ところが、従来の崩壊剤は、溶解あるい
は溶出等の作用を利用して、時間をかけて徐々に崩壊さ
せるものであるため、内部の有効成分の拡散が十分でな
く、結果として有効成分の吸収などが不十分になる場合
があった。特に、土壌中で使用した場合には、有効成分
の拡散は、非常に困難であった。
【0004】上記のような問題点があるために、農園芸
分野や土木分野などに用いられる植物栽培用材料などに
は、従来から種々のものが提案されており、例えば、土
壌の保水性を向上させるために高吸水性樹脂又は高吸水
繊維を用いるもの(特開昭56−11723号、特開昭
59−34822号、特開平2−77487号、特開平
6−158493号公報など)や、ポリアミノ酸を含有
する樹脂組成物又は成形体を用いるもの(特開平11−
116798号、特開平11−116950号公報な
ど)、杉や桧の樹皮を針状に粉砕したものを用いるもの
(特開平11−241065号公報など)、パルプの発
泡化物よりなるセルローズスポンジとベントナイトとの
混合物を用いるもの(特開平11−246859号公
報)、及び古紙を用いるもの(特開平11−21756
6号公報)などがある。また、有効成分を植物に与える
方法としては、除草剤や肥料等の農業用及び/又は環境
保全用薬剤を、ポリ乳酸等の生分解性脂肪族ポリエステ
ルの溶融液又は溶解液に含有させて散布する方法(特開
平11−092304号公報)などが提案されている。
【0005】しかしながら、これらの提案にも拘わら
ず、未だ上記の欠点をなくした、すなわち、生分解性を
有し、通気性、保水性及び薬品徐放性をも併せ持つ植物
栽培用材料は、見当らない。そのため、特に、生分解性
を有し、土壌への蓄積性がなく、保水効果が高く、さら
に、有効成分の徐放性を制御できる植物栽培用材料の開
発が強く望まれていた。また、これら土壌に散布したり
土中に混合したりの植物栽培用材料の他にも、苗床マッ
トや、ミスト耕ないし水耕栽培用の基材ブロック、ある
いは、植物の育成ないし栽培というよりは寧ろ雑草の発
生を阻止する防草シートなどについても、前記植物栽培
用材料とほぼ同様なことが言え、このため、本明細書で
は、これらを植物生育環境付与材と総称して、以下説明
することとする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の植物栽培用材料などがもつ問題点を解消し、生分
解性であって、製造するのに複雑な工程が必要でなく、
しかも通気性、保水性及び薬品徐放性をも併せ持つた
め、植物が育成し易い土壌に改良することができる生分
解性樹脂押出発泡体から形成されてなる植物生育環境付
与材及びその製造方法などを提供することにある。さら
に詳しくは、使用後に分解し、土壌への蓄積性がなく、
通気性、保水性に優れ、かつ、薬品徐放性を持つことに
より、植物の根、葉等の成長を促進するなどの植物生育
環境付与材及びその製造方法などに関するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
対し鋭意研究を重ねた結果、セルロース・アセテート系
樹脂と、該樹脂の軟化点より低い温度の融点を有する生
分解性可塑剤と、発泡剤としての水分とを含有する特定
の発泡性生分解性樹脂組成物を、押し出しすると同時に
水分の気化膨張力により発泡させることにより製造され
た生分解性樹脂押出発泡体を植物生育環境付与材に用い
ると、通気性や透水性が適度なため、苗木の根腐れを起
こさなくて根張りがよい、植物生育環境付与材として優
れたものが得られることを見出した。本発明は、これら
の知見に基づいて完成に至ったものである。
【0008】すなわち、本発明によれば、セルロース・
アセテート系樹脂を主成分として含有する発泡性樹脂組
成物を押し出しすると同時に水分の気化膨張力により発
泡させることにより製造されたセルロース・アセテート
系樹脂発泡体から形成されてなる植物生育環境付与材が
提供される。
【0009】さらに、本発明によれば、農薬、環境保全
用薬剤、及び肥料から選ばれる少なくとも1種の生物活
性関与成分を含有することを特徴とする上記の植物生育
環境付与材、或いは、上記農薬は、除草剤、殺虫剤、殺
菌剤、防黴剤、植物成長調整剤、誘引剤、殺そ剤、及び
/又は害虫や動物の忌避剤であることを特徴とする上記
の植物生育環境付与材、或いは、上記環境保全用薬剤
は、水分、ミネラル、木酢液、竹酢液、ニンニク精油、
植物活力剤、植物延命剤、土壌浸透剤、及び/又は植物
ホルモンであることを特徴とする上記の植物生育環境付
与材、或いは、上記肥料は、窒素肥料、燐酸肥料、カリ
肥料、石灰肥料、及び/又は有機肥料であることを特徴
とする上記の植物生育環境付与材が提供される。
【0010】さらにまた、本発明によれば、その形状
は、粒剤状、錠剤状、棒状、シート状又は容器状である
ことを特徴とする上記のいずれかに記載の植物生育環境
付与材、或いは、生物活性関与成分の少なくとも表面
に、アルギン酸塩ゲルの被覆層を形成することを特徴と
する上記の植物生育環境付与材が提供される。
【0011】また、本発明によれば、さらに、植物種子
を含有させることを特徴とする上記の植物生育環境付与
材、或いは、その用途は、植物栽培用器、水耕栽培用マ
ット、又は切り花用切り口包材であることを特徴とする
上記の植物生育環境付与材が提供される。
【0012】一方、さらに、本発明によれば、予め、発
泡性樹脂組成物に、農薬、環境保全用薬剤、及び肥料か
ら選ばれる少なくとも1種の生物活性関与成分を配合す
ることを特徴とする上記の何れかに記載の植物生育環境
付与材の製造方法、或いは、セルロース・アセテート系
樹脂発泡体に、農薬、環境保全用薬剤、及び肥料から選
ばれる少なくとも1種の生物活性関与成分を含浸するこ
とを特徴とする上記の何れかに記載の植物生育環境付与
材の製造方法が提供される。
【0013】さらにまた、本発明によれば、上記のいず
れかに記載の植物生育環境付与材を含有することを特徴
とする土壌組成物が提供される。
【0014】またさらに、本発明によれば、上記のいず
れかに記載の植物生育環境付与材を、土壌に対して施用
することを特徴とする土壌改良方法が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0016】1.セルロース・アセテート系樹脂発泡体 (1)セルロース・アセテート系樹脂 本発明の植物生育環境付与材に用いられるセルロース・
アセテート系樹脂は、天然物に近い化学構造を持つため
に環境中の微生物等によって分解する性能、すなわち生
分解性能を持っているものであり、セルロース・アセテ
ートを主成分として含むものである。副成分として、さ
らに配合してもよい生分解性樹脂は、特に限定されるも
のではなく、一般に生分解性樹脂として用いられている
ものならば何でも使用することができる。これらに該当
するものとしては、例えば、スターチ系、セルロース系
などが挙げられる。
【0017】セルロース・アセテート系樹脂中で主成分
として含まれるセルロース・アセテートは、通常、綿の
実から得られるリンター、又は木材パルプのセルロース
に酢酸を反応させることにより製造される。本発明の植
物生育環境付与材に用いられるセルロース・アセテート
としては、通常「酢酸セルロース」として市販されてい
るグレードのものならば何でもよいが、その中でも、セ
ルロースの酢酸エステル化度が、セルロースに結合して
いる酢酸の重量割合で表される酢化度でいって45%以
上であるようなものがよく、特に酢化度が47〜60%
(セルロース1単位当たりの結合アセチル基の数は1.
9〜2.8)のものが好ましい。酢化度が45%未満の
場合には、溶融温度が高くなりすぎるため、安定して発
泡体に溶融成形することが困難となる。
【0018】セルロース・アセテートは、物性面では、
軟質又は中硬質のものがよく、表面硬度がロックウェル
硬さで、H=80〜100のもの、衝撃強度が20〜
30kg−cm/cmのものが好ましく用いられる。さ
らに、成形加工性の観点から、軟化して流動を始める軟
化点(流出温度)が150〜170℃のもの、ASTM
D 648に規定された荷重18.6kgf/cm
の条件での熱変形温度が、44〜55℃のものが好まし
く用いられる。一方、硬質のものでは、安定して発泡体
に溶融成形することが困難となる。
【0019】また、本発明の植物生育環境付与材に用い
られるセルロース・アセテート系樹脂には、単に酢酸基
をもつアセテートの他に、プロピオン酸或いは酪酸を混
合使用したセルロース・アセトプロピオネートや、セル
ロース・アセトブチレートも含まれ、溶融点、吸水率、
溶剤に対する溶解性等の観点から酸の混合比率を適宜選
択して使用できる。さらに、セルロースアセテート発泡
体は、通常、セルロースアセテート自体より遊離する酢
酸臭を除去するために、食品包装容器、水質浄化材、断
熱材、緩衝体等の用途にあっては、弱アルカリ溶液処理
等を施す場合が多いが、本発明の植物生育環境付与材に
用いられる場合には、酢酸自身が抗菌性付与のために役
立つことから、酢酸臭を除去するための後処理を行う必
要がなく、発泡体中にセルロースアセテートから遊離し
た酢酸が残存してもよい。
【0020】また、本発明の植物生育環境付与材に用い
られるセルロース・アセテート系樹脂は、生分解性能を
持っている。しかし、自然界においてこれを分解する微
生物、すなわちバクテリアの存在密度が低い場合もあ
り、この場合、生分解も比較的ゆっくり行われる。とこ
ろが、素材を調整することにより、生分解も含む分解速
度を促進させることが可能である。例えば、生分解性樹
脂中に、生分解性調整剤として、光触媒を含有させる
と、紫外線照射等を受ける自然環境下では、生分解とは
別に新たに光分解が起こり、この場合には、生分解と光
分解の両作用により分解速度が一層促進されることにな
る。その光触媒としては、酸化チタン類、酸化亜鉛、カ
ドミウムサルファイトなどの公知の光触媒を挙げること
ができ、中でも酸化チタン類が無害であって、化学的に
安定、かつ安価でもあり、好ましく用いられる。酸化チ
タン類としては、例えば、石原産業株式会社製の光触媒
用酸化チタンSTシリーズ、及びSTSシリーズのもの
を挙げることができる。生分解性樹脂中への生分解性調
整剤としての光触媒の含有量は、必要に応じて、適宜増
減することができるが、通常、生分解性樹脂、すなわち
セルロース・アセテート系樹脂100重量部に対して、
光触媒0.1〜50重量部であり、好ましくは0.5〜
10重量部である。光触媒の含有量が0.1重量部未満
では、光分解効果が小さすぎ、一方、50重量部を超え
ると、発泡性や成形性に支障が生じる恐れがある。
【0021】(2)生分解性可塑剤 本発明の植物生育環境付与材において、その主成分であ
るセルロース・アセテート系樹脂発泡体に用いられる特
定の生分解性可塑剤成分は、前記セルロース・アセテー
ト系樹脂の軟化点より低い温度の融点を有する生分解性
可塑剤からなり、ポリアルキレングリコール、多価アル
コール及びポリカプロラクトンから選ばれる少なくとも
1種である。
【0022】ポリアルキレングリコールとしては、エチ
レンオキサイド(オキシエチレン)、プロピレンオキサ
イド(オキシプロピレン)又は両者の混合物を原料とし
て開環重合して製造されるポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコールなどであり、中でもポリエチレ
ングリコールは、生分解性等の点から、特に好ましく用
いられる。また、ポリオキシアルキレングリコールのモ
ノエーテル、ジエーテル、ジオールを用いてもよい。さ
らに、ポリオキシアルキレングリコールとしては、オキ
シエチレンとオキシプロピレンのブロック又はランダム
重合でもよく、生分解性等の点からオキシエチレンとオ
キシプロピレンの割合は、オキシエチレンの割合が50
重量%〜100重量%が好ましい。これらのポリアルキ
レングリコール又はポリオキシアルキレングリコールの
分子量は、20000程度以下、特に200〜2000
が好ましい。
【0023】生分解性可塑剤として用いることができる
多価アルコールとしては、グリセリン、ソルビトール、
1,3ブタンジオール、ジグリセリン、ポリグリセリン
などを挙げることができ、生分解性を有する高沸点のも
のである。
【0024】さらに、生分解性可塑剤として用いること
ができるポリカプロラクトンとしては、次の一般式で表
される脂肪族ポリエステルが挙げられるが、この脂肪族
ポリエステルの市販品としては、例えば、日本ユニカー
株式会社販売の「トーン」(商品名)がある。
【0025】
【化1】
【0026】(式中、Rは、脂肪族部分を表し、nは正
の整数である。) 本発明において、生分解性可塑剤の一つとして用いるポ
リカプロラクトンは、生分解性であるばかりでなく、非
水溶性であり、さらに、好都合なことには、加熱により
セルロース・アセテート系樹脂を可塑化する働きがある
ため、可塑剤として働き、通常生分解性樹脂発泡体を製
造する際に必要な可塑剤を何ら添加しなくても、生分解
性樹脂発泡体が得られ、その上、水溶性可塑剤を用いて
いないため、水分との接触による可塑剤の溶出といった
弊害をも回避することができるという利点がある。
【0027】また、本発明において、用いられる特定の
生分解性可塑剤は、上記のように、融点がセルロース・
アセテート系樹脂の軟化点以下であることが必要であ
る。そのうち、好ましい融点は、100℃以下、特に好
ましい融点は、60℃近傍である。このような融点を有
する生分解性可塑剤を生分解性樹脂に添加すると、生分
解性樹脂中の水分の沸点が上昇するため、発泡体は緻密
かつ均一となって、得られた生分解性樹脂押出発泡体を
適宜、適当な形状に熱賦形すると、形状の良質なものが
簡単且つ容易に得ることが可能となる。さらに、この生
分解性可塑剤は、耐衝撃性を向上させ、苗木等に擦過傷
を与えないという特性を向上させる。一方、融点がセル
ロース・アセテート系樹脂の軟化点以上である可塑剤、
例えば高分子量のポリエチレングリコールやポリカプロ
ラクトンを用いると、生分解性であっても、可塑化する
働きをしないため、良好な生分解性樹脂発泡体が得られ
ない。
【0028】本発明において、生分解性可塑剤の配合量
は、セルロース・アセテート系樹脂100重量部に対し
て、20〜50重量部、好ましくは25〜45重量部の
範囲であることが重要である。配合量が20重量部未満
であると、セルロース・アセテート系樹脂を可塑化する
働きが乏しく、満足する発泡体が得られない。一方、5
0重量部を超えると、その可塑化する効果が過度とな
る。特に、生分解性可塑剤の好ましい配合量である25
〜45重量部の範囲にあると、得られた発泡体は、植物
生育環境付与材として通気性や保水性が適度となって、
苗木の根腐れなどを起こさなくなる。
【0029】(3)発泡性生分解性樹脂組成物 本発明の植物生育環境付与材おいて、その主成分である
セルロース・アセテート系樹脂発泡体に用いられる発泡
性生分解性樹脂組成物は、前記した如く、セルロース・
アセテート系樹脂(A)に、所定量の特定生分解性可塑
剤(B)と、発泡剤としての水分(C)を配合すること
により調製される。発泡剤としての水分の配合割合は、
セルロース・アセテート系樹脂(A)と生分解性可塑剤
(B)との樹脂成分(A+B)100重量部に対して、
3〜100重量部、好ましくは5〜50重量部である。
この発泡剤としての水分の配合量も、生分解性可塑剤の
配合量と同様に、発泡体を製造する場合の重要なファク
ターである。得られた発泡体が、例えばシート状となら
ずに異形バラ状となった場合には、水分の配合量を増加
させることにより、発泡を最適にし、シート状にするこ
とができる。
【0030】本発明に用いられる生分解性樹脂組成物に
は、前述したように、生分解性可塑剤として、ポリアル
キレングリコール、多価アルコール及びポリカプロラク
トンから選ばれる少なくとも1種を配合するものである
が、さらに必要に応じて、本発明の目的を損なわない範
囲で、他の可塑剤を配合してもよい。可塑剤としては、
加熱により、生分解性樹脂を可塑化するものであれば、
特に限定されないが、例えば、生分解性樹脂がセルロー
ス・アセテート系樹脂の場合には、フタル酸メチル等の
フタル酸エステル、リン酸トリブチル等のリン酸エステ
ル、セバシン酸ジオクチルやアジピン酸ジオクチル等の
二塩基酸エステルなどが適宜選ばれる。しかし、この可
塑剤を添加する場合には、発泡体が、例えばシート状に
ならない恐れがあるので、特に注意が必要である。そう
した場合には、特定の生分解性可塑剤又は添加する可塑
剤を低粘度のものにするなどして、適宜、発泡体が、例
えばシート状にすることができる。
【0031】さらに、上記生分解性樹脂組成物には、本
発明の目的を損なわない範囲で、他の添加剤等を配合し
てもよく、例えば、熱安定剤、発泡調整剤、発泡助剤、
増量材等が挙げられる。中でも、タルク、酸化珪素、酸
化チタン(光触媒用のものより、粒径が大のもの)、酸
化マグネシウム、酸化アルミニウム、珪酸カルシウム等
の無機系微粒子、セルロース粉末、キチン、キトサン、
木粉、ステアリン酸金属塩等の有機系微粒子などの発泡
調整剤、特にタルクは、該生分解性樹脂組成物に、好適
な発泡性を付与することができるので、均一でかつ高度
に発泡した発泡体が容易に得られる。このような発泡調
整剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併
用してもよい。さらに発泡性を向上させたり、発泡体製
造時に副生される酸性物質を中和させると共にガスを発
生させる目的で、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素
カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシ
ウム等の無機微粒子を併用してもよい。また、増量材と
して、オカラ、木粉、麩(小麦の皮)、米粉、澱粉、コ
ーンスターチ、ソフトフェライト、古紙等を添加するこ
ともできる。なお、これら例示した増量材の大部分は、
何れ分解して、植物にとって栄養素に分解されるもので
もある。
【0032】本発明に用いられる生分解性樹脂組成物の
好ましい態様として、セルロース・アセテート系樹脂
に、特定の生分解性可塑剤と、発泡調整剤としてタル
ク、及び発泡剤としての水分からなる生分解性樹脂組成
物が挙げられ、また、この生分解性樹脂組成物には、上
記した増量材を添加してもよい。この発泡調整剤として
タルク(E)の生分解性樹脂組成物に対する配合量は、
セルロース・アセテート系樹脂(A)100重量部に対
して、5〜50重量部、好ましくは10〜30重量部の
範囲である。配合量が5重量部未満であると、タルクを
配合した効果が現れず、不均一で粗い発泡体が形成され
やすく、一方50重量部を超えると、タルクの2次凝集
が起こりやすくなるため、やはり不均一で粗い発泡体が
形成されやすくなる。
【0033】(4)生分解性樹脂押出発泡体及びその製
造方法 本発明の植物生育環境付与材に、主成分として用いられ
る生分解性樹脂押出発泡体は、前記の発泡性生分解性樹
脂組成物を、Tダイ又はノズルから押し出しすると同時
に水分の気化膨張力により発泡させることにより製造さ
れる。そのため、本発明の植物生育環境付与材は、生分
解性樹脂をセルロース・アセテートを主成分として含む
ものにより構成したことを特徴とするものであるが、さ
らに次の特徴を有している。 1)水によって発泡させている。 2)素材がすべて生分解性であるため、汎用プラスチッ
ク発泡体や吸水性樹脂などに比べて様々な廃棄処理にも
対処できる。 3)通気性や保水性が適度であるために、苗木の根腐れ
などを起こさなくて根張りがよい。 4)生分解性樹脂がセルロース・アセテートを主成分と
しているために、抗菌性に優れ、植物生育環境付与材と
して、苗木に耐病性又は除虫性の付与が期待できる。 5)スターチ系の生分解性樹脂発泡体などに比べて雰囲
気湿度や水分によってふやけたり、強度が低下すること
なく、水耕栽培用の基材ブロック用途等に適している。
【0034】上記の生分解性樹脂押出発泡体は、前述の
如く、発泡性生分解性樹脂組成物を押し出しすると同時
に水分の気化膨張力により発泡させることにより製造さ
れるが、さらに、この製法を詳記すると、以下のように
なる。セルロース・アセテート系樹脂、特定の生分解性
可塑剤および水分(発泡剤)を含有する発泡性生分解性
樹脂組成物は、所定の割合で調製された後、前方にTダ
イ又は押出ノズルを有する筒状容器内(例えば、混練押
出機)に投入される。筒状容器内に水分を投入する方法
としては、発泡用の生分解性樹脂組成物に予め所定量の
水分を含有させるようにしてもよいし、或いは生分解性
樹脂や特定の生分解性可塑剤の生分解性樹脂配合物と共
に水そのものをホッパ内に直接添加してもよく、生分解
性樹脂配合物と水分とが一緒に供給されさえすればよ
い。また、その投入割合は、前記したように、樹脂成分
(A+B)100重量部に対して水分(C)が3〜10
0重量部、好ましくは5〜50重量部であることが望ま
しい。次いで、この生分解性樹脂組成物は、前記Tダイ
又はノズルに押送するまでの間に、120〜250℃、
好ましくは180〜220℃の温度で加熱溶融混練さ
れ、その結果、流動状の加熱加圧状態とされた後、リッ
プ幅又は細孔口径が例えば0.5〜5mmのTダイ又は
ノズルから押し出される。溶融混練時間は、単位時間当
たりの吐出量、溶融混練温度などにより異なってくるの
で一概に決定することはできないが、該混合物が均一に
溶融混練されるに十分な時間であればよい。また、吐出
部のTダイ又はノズルの温度は、前記溶融混練温度と同
じでもよいが、吐出できる範囲内で該温度よりも低温に
してもよい。ここで、溶融混練に使用される押出機は、
高温高圧下となって水分がセルロースアセテート中に無
理やり溶解されるようになっている限り、どのようなタ
イプの押出機でもよいが、通常は1軸又は2軸のスクリ
ュータイプの押出機が用いられる。その後、Tダイ又は
ノズルから吐出された溶融生分解性樹脂組成物は、その
温度及び水分量によって発泡開始位置が異なるが、通常
はダイ又はノズル部より約0.1mm離れた位置から発
泡が開始され、発泡を終えた後、押出し口の形状に合っ
た発泡体が、二次成形の工程がなくても得ることができ
る。Tダイ又はノズルの押出し口の形状は、丸、三角、
四角、矩形、星形、中空等いずれであってもよく、ま
た、細孔や異形のものにすることもでき、発泡体の用途
や目的に応じて適宜選択すればよいが、通常、四角又は
丸である。
【0035】(5)生分解性樹脂押出発泡体成形品及び
その製造方法 本発明の植物生育環境付与材において、用いられる生分
解性樹脂押出発泡体は、Tダイ又はノズルから出てきた
直後に適宜の長さでカットされて得られるシート状、大
小粒状、棒状などのまま用いられる他、特に限定され
ず、その使用用途に応じて適宜、種々の形状、大きさの
ものに熱賦形又は圧縮成形されて用いられる。熱賦形
は、通常、プラスチック分野でシート材料を成形する手
段として常用されている真空成形、圧空成形、圧縮成形
(プレス成形)等から適宜選択することができる。熱賦
形又は圧縮成形される前の発泡体の形状については、原
料への水添加量、ダイ又はノズルからの樹脂吐出量、ダ
イ又はノズルの吐出開口幅を適宜設定することにより調
整することができるが、発泡剤として水を使用すること
が重要である。即ち水の蒸発潜熱により、例えば、ダイ
より吐出された発泡シートは、急激に冷やされて固化さ
れるため、発泡にともなうシートの幅方向の広がりが抑
制され、皺を形成することが可能となる。形成した皺
は、シートを成形する際に極めて有益である。すなわ
ち、押し出し発泡で得られたシートは、そのままでは所
望する形状、例えば適当な形状を有する植物栽培用途な
どに成形するには、可撓性が不十分である場合がある
が、皺を形成させることにより、成形時にこの皺が伸
び、可撓性の不足を補い、適当な形状を有する植物栽培
用途などの成形物を得ることができるようになる。さら
に、バラ状の発泡体を集合接着させて成形品(容器状)
とする、その他、例えば、シート状を複数枚重ねたり、
ロール巻きしたりして成形品(容器状)としてもよい。
【0036】2.植物生育環境付与材及びその調製方法 本発明の植物生育環境付与材は、上記のセルロース・ア
セテート系樹脂発泡体又はその成形品をその特性(通気
性、保水性、通水性、耐湿・耐水性、酸素供給性など)
を活かしてそのままの状態で使用することもできるが、
好ましくは、さらに植物栽培用としての機能を増大させ
るために、植物の生育に関する各種の有用成分、すなわ
ち生物活性関与成分を含有させることにより調製するこ
とができる。
【0037】生物活性関与成分としては、例えば、水
分、有機肥料、生物肥料、化学肥料、堆肥、鶏糞、有機
窒素材、pH調整剤、腐食物質、保水性保肥性改良鉱物
質粉末材(ベントナイト、ゼオライト粉末等)、農薬
(殺虫剤、殺菌剤、除草剤、防黴剤等)、植物活力剤、
植物延命剤、害虫及び動物の忌避剤、土壌浸透剤、微量
元素の栄養成分、珪藻土、粘土、石灰、植物ホルモン、
ミネラル、コーラルサンド、活性炭、炭酸カルシウム、
炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、アルミナ、シリ
カ、酸化チタン、タルク、ケイソウ土、マイカ、シラス
バルーン、ガラスビーズ等の無機質粒子、合成樹脂製の
ペレット、ビーズ、粗粒、木の小片、おがくず、穀物
粉、植物の殻や茎の粉砕物、い草粉、各種精油、植物の
種、有用菌体等が挙げらる。また、フェルグソン等の微
放射性鉱物、遠赤外線放射性セラミックス、大谷石、ゼ
オライト等のエチレンガス吸収性鉱物等を含有すること
もできる。さらに、パーライト、パミス、バーミキュラ
イト等の無機系保水材を含有することもできる。これら
は、必要により、2種類以上を混合して用いることもで
きる。これらは、液体であるものは液体のまま、或いは
何かの担体に担持させた固体として、固体であっても溶
液化できるものは水溶液などの溶液として、溶液化でき
ないものは分散液としたり微粉体とするなどしてセルロ
ース・アセテート系樹脂発泡体に含有させることができ
る。この中で、生物活性関与成分として、特に、農薬、
環境保全用薬剤、及び肥料を好ましく用いることができ
る。これらについて、更に説明する。
【0038】(1)農薬 本発明に使用される農薬の例としては、特に限定されな
いが、目的とする植物の種類、育成方法、土壌の種類、
生育条件等によって変わる。本発明に使用される農薬の
具体例としては、除草剤、殺菌剤、殺虫剤、植物成長調
整剤、誘引剤、殺そ剤、忌避剤などであり、例えば、
『12695の化学商品(化学工業日報社(東京都中央
区日本橋浜町3−16−8)、1995年1月25日発
行)』の『第28類(1439〜1558頁)』に開示
されている農薬としての用途を有する化合物、それらの
混合物、それらの組成物を包含する。
【0039】除草剤としては、PCP粒剤、PCP混合
粒剤、2,4PA粒剤、2,4PA混合粒剤、MCP粒
剤、MCC−MCP粒剤、MCPB粒剤、MCPCA粒
剤、CNP粒剤、CNP−MCP粒剤、DBN粒剤、C
AT粒剤、プロメトリン粒剤、プロメトリン−MCPB
粒剤、シメトリン粒剤、シメトリン混合粒剤、トリフル
ラリン粒剤、ベンチオカーブ粒剤、ベンチオカーブ−シ
メトリン粒剤、ベンチオカーブ−CNP粒剤、NIP粒
剤、NIP−MCP粒剤、モリネート−シメトリン粒
剤、塩素酸塩類等が挙げられる。殺菌剤としては、いも
ち病用のIBP粒剤、植物の病原菌やうどんこ病等用の
ベンレート(商品名、デュポン社製)、サンボルドー
(商品名、タケダ園芸社製)等が挙げられる。殺虫剤と
しては、ジメトエート粒剤、エチルチオメトン粒剤、エ
チルチオメトン混合粒剤、DEP粒剤、MPP粒剤、ダ
イアジノン粒剤、ダイアジノン混合粒剤、カルタップ粒
剤、カルタップ混合粒剤、クロフェナミジン粒剤、クロ
フェナミジン混合粒剤等が挙げられ、また、殺線虫剤と
しては、DCIP粒剤、DBCP粒剤等が挙げられる。
これらは必要により、2種類以上を混合して用いること
もできる。有用菌体としては、VA菌根菌、根粒菌、シ
ュードモナス、バチルス等が挙げられる。抗微生物剤と
しては、キヤブタン、グリオジン、ベンレート、チオベ
ンダゾール、アミカール、バイオサイド、カスガマイシ
ン、グリセオフルビン、ポリオキシン等が挙げられる。
植物成長調整剤としては、スリトーン(商品名、タケダ
園芸社製)等が挙げられる。動物の忌避剤としては、モ
グラ、ネズミ、ザリガニ、昆虫類、ねこ等の動物を忌避
できる薬剤、例えばモグラット(商品名、三東物産社
製)、タケダのねずみにげる(商品名、タケダ園芸社
製)等が挙げられる。忌避すべき動物の種類に応じて、
それぞれの忌避剤を配合すれば良い。忌避剤の配合量
は、適宜定めることができるが、例えばモグラットの場
合、一般に散布後の単位面積あたり1〜3ml/m
程度になるようにすれば良い。
【0040】(2)環境保全用薬剤 本発明に用いられる環境保全用薬剤としては、特に限定
されないが、農薬との識別が相互に100%厳密ではな
いものの、水分、ミネラル、木酢液、竹酢液、ニンニク
精油、動植物の各種精油、植物活力剤、植物延命剤、土
壌浸透剤、植物ホルモンなどが挙げられる。
【0041】本発明に用いられるミネラルの例として
は、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ストロンチ
ウム、バリウム、アルミニウム等があり、特に限定され
ないが炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、
リン酸塩、水酸化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物等の形
で用いられる。
【0042】本発明に用いられる木酢液や竹酢液は、木
材又は竹を乾留して得られる液体生成物であり、酢酸を
はじめとする有機酸類やフェノール類、カルボニル化合
物などの250種類以上にも及ぶ化合物が含まれている
とされる液である。特に、竹の育成は、早くて均質な性
状のものが得られ易いので、竹酢液が好ましく用いられ
る。竹酢液は、植物の成長促進や抗酸化作用があり、微
生物活性、殺虫、虫忌避、及び土壌改良剤などとしても
働くものである。
【0043】ニンニク精油は、ニンニク油、ガーリック
オイルとも言われ、ニンニクの成分であるアリシン等を
抽出したものであって、害虫等の虫に忌避効果や抗菌作
用があり、ニンニク精油には、ニンニク抽出液も含まれ
る。ニンニク精油の例として、ガーリックリサーチ研究
所(米国)が製造している商品名「ガーリックバリヤ
ー」などが挙げられる。また、動植物の各種精油として
は、樟脳油(樟脳、合成樟脳も含む)、テレピン油、ト
ール油、魚油、牛油などが挙げられる。
【0044】植物ホルモンの例としては、発根とカルス
化を促進する2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、ナフタ
レン酢酸、インドール酢酸等のオーキシン、芽の分化を
促進するカイネチン、ゼアチン、インペンテニルアデニ
ン、ベンジルアデニン等のサイトカイニンが挙げられ
る。その他、茎や葉梢の成長を促進するジベレリン、成
長バランスの調節作用を有するアブシジン酸、開花や果
実の成熟を促進するエチレン等が挙げられる。必要とな
るホルモンは、植物の種類によっても異なる。これら
は、単独でも2種以上を混合して用いても良い。本発明
の植物生育環境付与材には、界面活性剤や土壌浸透剤を
含んでいてもよい。界面活性剤や土壌浸透剤は、特に限
定されないが、環境保全の意味から生分解性を有するも
のが好ましい。
【0045】(3)肥料 本発明に使用される肥料の例としては、特に限定されな
いが、目的とする植物の種類、育成方法、土壌の種類、
生育条件等によって変わる。本発明に使用される肥料の
具体例としては、窒素肥料、燐酸肥料、カリ肥料、石灰
肥料、有機肥料などであり、例えば、『12695の化
学商品(化学工業日報社(東京都中央区日本橋浜町3−
16−8)、1995年1月25日発行)』の『第1類
アンモニア・カーバイド・硫酸・化学肥料(1〜23
頁)』に開示されている肥料としての用途を有する化合
物、それらの混合物、化学肥料、化成肥料、普通化成肥
料、複合肥料を包含する。
【0046】その例としては、硫安、尿素、石灰窒素、
塩安、硝安、熔成カリ、硫酸カリ、塩化カリ、硝酸カ
リ、重炭酸カリ、一りん安、二りん安、過りん酸石灰、
重過石、過石、消石灰、生石灰、熔りん、重焼りん、焼
成りん、硫マグ、水マグ、炭マグ、珪カル、炭カル等の
肥料成分があり、骨粉、カリ苦土、IB、CDU、U
F、苦土過石、混合りん肥、ほう酸塩肥料、魚肥、植物
油粕、有機質肥、普通化成、尿素入り硫加りん安、IB
りん加安、りん硝安カリ、尿素入り硫加りん安、IB
CDU りん加安、塩化りん安、苦土塩加りん安、硫加
りん安、塩加りん安、りん加安、硫加りん安、りん加
安、硫加りん安、マグ入り硫加りん安、尿素りん加安、
マグ入り尿素硫加りん安、硝りん加安、尿素硫加りん
安、塩加りん安、苦土入り尿素りん加安、りん加苦土等
の高度化成、NK化成、りん硝安系高度化成、りん硝安
カリ系高度化成、有機入り化成肥料、Mg入り化成、コ
ーティング肥料等が挙げられる。これらは必要により、
2種類以上を混合して用いることもできる。その形態
は、特に限定されず、顆粒、粉末、水溶液等が挙げられ
る。
【0047】本発明の植物生育環境付与材は、上記した
ように、セルロース・アセテート系樹脂発泡体又はその
成形品に、植物の生育に関する各種の有用成分、すなわ
ち生物活性関与成分を含有させることにより調製するこ
とができるものであるが、さらに、所望により、水分や
肥料等の生物活性関与成分とともに、植物種子を含有さ
せることもできる。
【0048】(4)植物生育環境付与材の調製方法 セルロース・アセテート系樹脂発泡体から植物生育環境
付与材を調製する方法は、特に限定されないが、代表的
な方法として、セルロース・アセテート系樹脂発泡体又
はその成形品に、水分や肥料などの生物活性関与成分を
含浸させることにより調製される方法などがある。例え
ば、水分を、セルロース・アセテート系樹脂発泡体又は
その成形品に含有させる方法としては、特に限定され
ず、水を噴霧する方法、水滴をかける方法、水中に発泡
体又はその成形品を浸漬する方法、水分を含む媒質を接
触させる方法、高湿の中に入れる方法等が挙げられる。
肥料などの場合も、セルロース・アセテート系樹脂発泡
体又はその成形品に含有させる方法としては、特に限定
されず、水分の場合と同様に、肥料(液肥)を噴霧する
方法、液肥をかける方法、肥料(液肥)中に発泡体又は
その成形品を浸漬する方法などが挙げられる。特に、水
分や肥料などの生物活性関与成分を、セルロース・アセ
テート系樹脂発泡体又はその成形品に含有させる方法と
しては、減圧(真空)下で行うことが好ましく用いられ
る。
【0049】また、セルロース・アセテート系樹脂発泡
体は、前述の如く、発泡性生分解性樹脂組成物を押し出
しすると同時に水分の気化膨張力により発泡させること
により製造されるが、この発泡性生分解性樹脂組成物
に、予め、農薬、環境保全用薬剤、及び肥料から選ばれ
る少なくとも1種の生物活性関与成分を配合した後、発
泡させることによりセルロース・アセテート系樹脂発泡
体又はその成形品を製造して、植物生育環境付与材とし
てもよい。なお、このように生物活性関与成分を発泡前
の発泡性生分解性樹脂組成物に配合する場合や、熱賦形
などの成形品製造前に配合してある場合には、溶融混練
や熱賦形の加熱の際に、生物活性関与成分が揮発した
り、分解、反応しないことを確認し、相応の配慮をする
必要がある。この点、発泡体あるいは成形品とした後に
生物活性関与成分を水溶液などとして含浸するのは有利
である。
【0050】さらに、本発明の植物生育環境付与材の形
状としては、その使用目的や用途により、所望の形状で
ある種々のものにすることができ、例えば、粒剤状、錠
剤状、棒状、シート状又は容器状などが挙げられる。ま
た、保水性等の付与のために、生物活性関与成分の少な
くとも表面に、アルギン酸塩ゲルの被覆層を形成するこ
とも好ましく用いられる。このアルギン酸塩ゲルは、水
溶性アルギン酸塩を塩化カルシウム等の金属水溶液中に
分散させ、または塩化カルシウム等の金属水溶液を水溶
性アルギン酸塩水溶液中に分散させることにより、分散
粒の表面ないし表面内側が水に不溶性となる被覆層を作
ること、及び不水溶性アルギン酸塩ゲルコート(被覆
層)のガス透過性がポリビニールアルコールに比べて優
れていることなどの性質があり、これらの性質を利用し
て、例えば、液肥などの生物活性関与成分とアルギン酸
塩水溶液との混合液をセルロース・アセテート系樹脂発
泡体に含浸させ、その後に、これを塩化カリシウム等の
金属水溶液中に浸し、セルロース・アセテート系樹脂発
泡体の発泡組織(気孔)中あるいは表面に付着している
箇所において、アルギン酸塩ゲル化させるのである。水
溶性アルギン酸金属塩は、具体的にはアルギン酸ナトリ
ウムに代表されるものであり、ほかにもアルギン酸アン
モニウムなどを使用することができる。ここでは代表し
てアルギン酸ナトリウムについて説明する。このアルギ
ン酸ナトリウムは、コンブ、カジメ、アラメなどの褐藻
類の細胞膜を形成する物質であり、乳化安定剤、粘強
剤、型剥離剤などとして用いられる。この物質は極めて
高粘性のコロイド物質で親水性が強く、冷水、温水いず
れにもよく溶解し、非常に粘均一な溶液となる性質を有
する。また、この溶液にアルミニウム、バリウム、カル
シウム、銅、鉄、鉛、亜、鉛、ニッケルなどの金属塩を
加えると、水に不溶性のアルギン酸塩となる。この金属
塩は、多価金属イオンとなり得る金属の各金属塩であ
り、具体的にはアルミニウム、バリウム、カルシウム、
銅、鉄、鉛、亜鉛、ニッケルなどの金属塩(例えば塩化
カルシウム)がある。要は使用する金属塩自体は、水溶
性であるが、これがアルギン酸の金属塩となったときに
水に不溶性ないしは難溶性となるような金属の塩を選定
すればよい。例えば、アルギン酸ナトリウムがカルシウ
ムイオンと結合してアルギン酸カルシウムとなり、生物
活性関与成分とともにセルロース・アセテート系樹脂発
泡体の発泡組織(気孔)中あるいは表面に付着している
箇所において、アルギン酸塩ゲル化させて被覆層を形成
し、その結果、植物生育環境付与材の粒剤が得られるよ
うになる。
【0051】(5)植物生育環境付与材の通気性、保水
性と徐放性 本発明の植物生育環境付与材の効果は、特に通気性、ふ
やけたりして強度低下することのない保水性と薬品(す
なわち、生物活性関与成分)徐放性にあり、使用する用
途、目的に応じて、それらが必要とする通気性、保水性
及び徐放性は異なる。保水性は、一定期間必要であり、
場合によっては、一定期間後になくなる方が好ましい。
保水性が十分でないものは、保水の効果が薄く、架橋ポ
リアクリル酸系樹脂に代表される保水性が強すぎる吸水
性樹脂の場合は、根腐れを起こしやすく、また、乾燥下
において水分量が少なくなったときは、ゲル中の水を植
物が有効に利用できない。一方、本発明の植物生育環境
付与材に用いられるセルロース・アセテート系樹脂発泡
体又はその成形体は、植物の根腐れを起こさず、比較的
乾燥下においても、例えば、根が発泡体中の発泡組織
(気孔)中にまで入り込んだりして、発泡体中の水分を
植物が有効に利用できる。
【0052】徐放性について、本発明の植物生育環境付
与材は、種々の場合においても有効に作用させることが
できる。例えば、長期にわたり生物活性関与成分による
効果を持続させたい場合、短期で効率よく効果を発現さ
せたい場合、一定期間、一定量の効果を維持したい場
合、一定期間後に、効果を発現させたい場合などに、適
宜、生物活性関与成分の徐放性を制御することができ、
効果的である。
【0053】本発明の植物生育環境付与材における徐放
性の制御方法は、セルロース・アセテート系樹脂発泡体
の生分解性作用による分解制御と、生物活性関与成分の
薬品徐放性の組み合わせにより制御を行う方法である。
具体的なその要因としては、植物生育環境付与材自体の
保水性や通気性能、セルロース・アセテート系樹脂発泡
体自体の生分解性能、生分解性寄与材や光触媒の含有
量、生物活性関与成分の種類(例えば液肥や固体肥料な
ど)、発泡体への生物活性関与成分の含有方法(例えば
有効成分の直接又は間接含有など)、成形方法、成形体
の強度、崩壊性、添加物の種類、もしくはその含有量等
である。セルロース・アセテート系樹脂発泡体の生分解
性能は、生物活性関与成分(有効成分)の放出の初期か
ら中期に至る領域にわたり、関係するものである。成形
方法による徐放性の違いは、他の要因を強く受け、一概
に言えないが、一般的な傾向としては、圧縮成形体は、
徐放性が短期間で行われる傾向である。一方、樹脂など
を用いて間接的に発泡体への生物活性関与成分を含有し
たものは、徐放性が長くなる。なお、生物活性関与成分
の少なくとも表面を、アルギン酸塩ゲルの被覆層で覆っ
た粒剤等である本発明の植物生育環境付与材は、徐放性
が適度となる。
【0054】3.植物生育環境付与材を含有する土壌組
成物 本発明の植物生育環境付与材は、土に混合して土壌組成
物として使用できる。本発明の土壌組成物に使用する土
としては、例えば、保水性と排水がよい赤玉土、保水性
と排水がよい鹿沼土、腐葉土、黒土、桐生砂、軽石砂、
富士砂、矢作砂、荒木田砂、川砂、朝明砂、けと土、バ
ーミキュライト、燻炭、日向土、クレイ等が挙げられ
る。又は土壌組成物を施す田畑、砂地等の土壌もしくは
他の土壌も使用できる。これらは単独でも混合して培養
土として用いても良い。このとき、植物の種類もしくは
使用する形態に応じた配合が可能である。また、所望に
より、ピートモスを添加してもよい。
【0055】土壌組成物を調製する際に使用する土は、
土壌組成物を調製した際に、実質的に充分な保水効果と
通気効果(又は排水効果)を同時に発揮できるのであれ
ば特に限定されず、その形態は、粉末でも粒状でも構わ
ない。一般的には、優れた通気性及び透水性に優れた粗
孔隙を発現し得る、粒度5〜50メッシュ程度(乾燥状
態)、又は、粒径0.5〜5.0mm程度(乾燥状態)
に造粒したものが好ましい。
【0056】土壌組成物は、必要により、本発明の植物
生育環境付与材内に含有するもの以外に、各種の有用成
分を含有してもよい。例えば、水分、有機肥料、生物肥
料、化学肥料、堆肥、鶏糞、有機質素材、pH調整剤、
界面活性剤、発泡剤、腐食物質、保水性や保肥性改良鉱
物質粉末材(ベントナイト、ゼオライト粉末等)、農薬
(殺虫剤、殺菌剤、除草剤、防黴剤等)、植物活力剤、
植物延命剤、害虫及び動物の忌避剤、土壌浸透剤、微量
元素の栄養成分、珪藻土、粘土、石灰、植物ホルモン、
ミネラル、コーラルサンド、活性炭、炭酸カルシウム、
炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、アルミナ、シリ
カ、酸化チタン、タルク、ケイソウ土、マイカ、シラス
バルーン、ガラスビーズ等の無機質粒子、合成樹脂製の
ペレット、ビーズ、粗粒、木の小片、おがくず、穀物
粉、植物の殻や茎の粉砕物、植物の種、菌体、フェルグ
ソン等の微放射性鉱物、遠赤外線放射性セラミックス、
大谷石、ゼオライト等のエチレンガス吸収性鉱物等、パ
ーライト、パミス、バーミキュライト等の無機系保水
材、吸水性樹脂等等が挙げられる。これらの有用成分
は、環境保全の意味から生分解性を有するものが好まし
い。
【0057】また、本発明の土壌組成物は、バインダー
によって固形物としてもよい。バインダーの例として
は、十分に発酵させた油カス、粘土、アクリル酸エステ
ル系ラテックス、スチレンブタジエン系ラテックス、酢
酸ビニル系ラテックス、アクリル酸−アクリルアミドプ
ロパンスルホンアミド−コポリマー、ポリビニルアルコ
ール部分鹸化物等が挙げられる。これらのバインダー
は、環境保全の意味から生分解性を有するものが好まし
い。
【0058】4.植物生育環境付与材の使用方法、使用
場所 本発明の植物生育環境付与材の使用方法や使用場所は、
特に限定されないが、使用目的に応じて、植物生育環境
付与材或いは土壌組成物を田畑に表土として散布する方
法、培養土として苗床等に使用する方法などがある。ま
た、水田、川、池等に散布しても構わない。散布は、人
力で行なっても、機械を用いてもよい。ヘリコプター、
飛行機、ラジコン(登録商標)飛行機等を用いて空中か
ら散布する方法もある。また、植物生育環境付与材の所
定量を土中に埋めていく方法でもよい。また。成形苗等
に含ませて植物と一緒に移植しても構わない。また土壌
を耕しながら、混合していく方法でも構わない。また、
使用する植物の形態は、広い範囲で使用でき、植物の育
成を行う範囲で特に限定されないが、例えば、種子の発
芽、育苗、葉菜、果菜、根菜、花等の生育、成木の植え
替え等に使用できる。このように、生物活性関与成分を
含有した植物生育環境付与材或いは土壌組成物を散布や
土中に埋めるなどをすれば、主成分のセルロース・アセ
テート系樹脂発泡体が生分解するにつれて、有効成分が
徐々に放出されるので、比較的少量の有効成分から発泡
体の分解期間に応じた長期間の持続効果を得ることがで
きる。
【0059】本発明により得られた植物生育環境付与材
は、前述したように、種々の特徴・利点を有している。
すなわち、最も大きな特徴は、水発泡により製造された
生分解性樹脂押出発泡体から形成されているため、生分
解性を有し、通気性、ふやけたりして強度低下すること
のない保水性及び薬品徐放性をも併せ持つという特性を
有している。しかも、植物生育環境付与材として、植物
の育苗期間中は分解せず、用済み後は土壌中で分解消滅
を可能となし、通気性や保水性が適度なため、さらに
は、保肥力があるため、苗木の根腐れを起こさなくて根
張りなどがよく、植物の育苗に優れる。そのため、土壌
に散布したり、土中に混合したりの他、苗床マットやミ
スト耕ないし水耕栽培用の基材ブロック、マット、切り
花用切り口包材などの各種用途に用いることができる。
更には、植物の育成ないし栽培というよりは、寧ろ雑草
の発生を阻止する防草シートなどの用途にも勿論用いる
ことができる。
【0060】
【実施例】以下に、本発明について実施例及び比較例を
挙げてさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実
施例に特に限定されるものではない。
【0061】[実施例1〜2]実施例1は、生分解性樹
脂として、軟質の帝人株式会社製セルロース・ジアセテ
ート(表面硬度(H):85、衝撃強度:25kgf
・cm/cm、流出温度:155℃、熱変形温度:4
8℃、酢化度:57%)(基準:100重量部)と、生
分解性可塑剤として、日本ユニカー株式会社販売のポリ
カプロラクトン(商品名:TONEポリマー P−76
7、融点:60℃、密度:1.145g/cm 、分
子量:4万)(40重量部)とを用い、発泡調整剤とし
て、タルク(14重量部)を添加して、生分解性樹脂配
合物とし、これに、発泡剤として、水分(31重量部)
を添加して、混練押出機のホッパーに供給し、180℃
の温度で加熱溶融混練した後、ダイ幅500mm、リッ
プ幅4mmを有するTダイ部から押し出して、幅490
mm、高さ6mm程で皺のあるシート状の生分解性樹脂
の発泡体を得て、これを畑に埋設したブロック上に置か
れ、苺の幼苗が植えられた浅い植木鉢の下に敷いて苺を
栽培することとした。実施例2の植物生育環境付与材と
しては、実施例1のTダイ部から押し出して得られるま
まのシート状の生分解性樹脂発泡体に変えて、このシー
ト状の生分解性樹脂発泡体100重量部に対して、生物
活性関与成分たる竹酢液の300倍水希釈液を20重量
部含浸させて調製し、これを実施例1と同様に、植木鉢
の下に敷いて苺を栽培することとした。
【0062】[実施例3]実施例3では、実施例1のシ
ート状の生分解性樹脂発泡体を得るに際して使用したT
ダイに変えて、口径3mmのノズルを用い、ノズルから
押し出される直後で連続カットして、直径5mm、長さ
8mm程の米俵形の粒剤状の生分解性樹脂発泡体を得た
後、この100重量部に、生物活性関与成分たる竹酢液
の300倍水希釈液を20重量部含浸させて、実施例3
としての植物生育環境付与材を調製し、これを椀状ガラ
スカップの8分目程に満たし、その上面から1cm下に
大豆の種を入れ、大豆が発根し掛かるまでは大豆の乾燥
に注意して、その後の生育を観察した。
【0063】[実施例4〜6]実施例4では、実施例3
で得られた植物生育環境付与材と多少粘土質の高い山土
とを同体積比率で混合して土壌組成物とし、この土壌組
成物を入れた植木鉢に苺の幼苗を植えて、苺を栽培する
こととした。実施例5では、実施例3の竹酢液に変え
て、ニンニク精油(抽出液)の100倍希釈液を15重
量部含浸させて調製した植物生育環境付与材を用いる以
外、実施例4と同様にして、山土と混合して土壌組成物
と成し、苺を栽培した。実施例6では、実施例3におけ
る生分解性樹脂配合物中のタルクに変えて、タルクと同
程度に粉砕した骨粉の14重量部を添加して粒剤状の生
分解性樹脂押出発泡体を植物生育環境付与材として得た
上で、これを実施例4と同様にして、山土と混合して土
壌組成物と成し、苺を栽培した。
【0064】[比較例1〜3]比較例1としては、植木
鉢の下には植物生育環境付与材を何ら敷くことなく、植
木鉢をブロック上に直置きして苺を栽培することとし
た。比較例2としては、植物生育環境付与材に変えて市
販の吸水性ポリマーを用いたこと以外は実施例3と同様
にして、大豆の生育を観察した。比較例3としては、何
れの植物生育環境付与材とも混合することなく山土のみ
を入れた植木鉢にて苺を栽培することとした。
【0065】上記実施例1〜6及び比較例1〜3での組
成や性状等、並びに栽培時に観察した結果を表1〜2に
示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】すなわち、先ず、実施例1及び実施例2
は、比較例1に比べて、苺そのものの生育度合いに関し
ては、格別の好影響も悪影響も感じられなかったが、比
較例1の植木鉢外壁面及びブロック上には、テカテカ光
る筋が付着しており、植木鉢を上げて底を見たらナメク
ジ1匹が棲息しており、これが植木鉢を這い上がった際
の痕跡であると判った。また、何れの虫によるかは確定
できなかったが、葉や果実にも囓られたような痕跡があ
った。実施例1〜2には、これらの現象はなく、虫の忌
避効果が確認された。さらに、水遣りには十分注意を払
ったので、結果的には生育結果に違いは見られなかった
ものの、水遣り時、実施例では、敷いたシート状の植物
生育環境付与材が植木鉢の底を一旦塞ぐ格好となってい
るので、植木鉢に注いだ水が暫くの間は植木鉢に保た
れ、植木鉢内の全域土壌に水が行き渡ってから排出され
てゆくのに対し、比較例1の方は、土壌如何によって即
排水されてしまうこともあり、植木鉢内の全域土壌へ水
を至らせようとすると、水遣り時間を長くするなどの配
慮が必要となり、水遣り不足となる危険も感じられた。
【0069】実施例3は、比較例2に比べて、明らかに
大豆の生育に関して違いが出た。実施例3では、発根時
の乾燥に注意したものの、根が出だしてしまえば、その
後の水の追加に何ら注意することなく、少なくともガラ
スカップの3分目程までに追加してやれば、太い根とし
て成長してきたのに対し、比較例2では、根が出だして
も、吸水性ポリマーの保水力が強すぎるのか、成長が遅
く、その分水を追加しても、根に届く深さまで水を追加
しないと効果的でなく、ところが、根に至るまで水を満
たすと今度は、通気性に不足するようになるのか、根腐
れ気味となり、何れにせよ、水遣り管理が長期に亘り大
変であったことからして、実施例における保水性、透水
性、通気性に優れることが確認された。
【0070】実施例4〜6は、比較例3に比べて、苺の
栽培に関して幾つかの違いが顕著に出た。先ずは、比較
例3よりも各実施例の方が、苺自体が青々と大きく強く
成長したことであり、実施例6での苺果実は、実施例の
中でも特に大きく結実しており、実施例における優れた
保水性、透水性、通気性とともに施肥効果を確認でき
た。また、害虫が寄ってくるか否かに関しても、各実施
例では効果があった。比較例3では、苗がまだ大きく育
たない内からアブラムシが付き出したり、蟻が行き来し
始めたのに比べ、実施例4及び5では、果実の結実まで
アブラムシが葉などに付着することはなく、実施例6で
も、苗自体が負けない位に大きくなるまでアブラムシの
付着は抑えられ、実施例では虫の忌避効果が認められ
た。また、何れの実施例1〜6でも生分解性は、阻害さ
れず、数ヶ月〜1年程で分解できる。
【0071】
【発明の効果】本発明の植物生育環境付与材は、セルロ
ース・アセテート系樹脂を主成分として含有する発泡性
樹脂組成物を押し出しすると同時に水分の気化膨張力に
より発泡させることにより製造されたセルロース・アセ
テート系樹脂発泡体から形成されていることを特徴と
し、また、その機能を増大させるために、さらに、農
薬、環境保全用薬剤、及び肥料から選ばれる少なくとも
1種の生物活性関与成分を含有することを特徴としてい
る。この植物生育環境付与材は、植物の生育期間中は分
解せず、生分解性を有するため、用済み後に於いて焼却
の必要性がなく、また、使用後には土壌への蓄積性がな
く、土壌中などで容易に分解消滅する。従って焼却によ
る有害物質の放出、焼却炉の損傷等から解放され自然汚
染の恐れがない。更に、通気性や保水性が適度なため、
苗木の根腐れを起こさなくて根張りがよく、生物活性関
与成分の薬品徐放性にも優れるという効果、すなわち、
植物の育苗や虫の忌避などに優れるという効果を有する
ものである。そのため、本発明により得られた植物生育
環境付与材は、それらの特徴を活かし、植物栽培用成形
体としても、植物栽培用器、水耕栽培用マット、又は切
り花用切り口包材などの各種用途に用いることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A01N 65/00 A01N 65/00 D C05G 3/00 C05G 3/00 Z 3/02 3/02 3/04 3/04 5/00 5/00 Z // C09K 101:00 C09K 101:00 Fターム(参考) 2B022 BA02 BA03 BA22 BB01 BB02 4H011 AA01 AB01 AC01 AC06 AC07 AE01 AE02 BB22 BC19 DA23 DD04 DG06 DH10 4H026 AA10 AB01 AB04 4H061 AA01 AA02 AA04 BB01 BB21 BB51 CC01 DD06 DD07 DD08 DD14 DD18 EE02 EE35 EE51 EE61 FF08 FF10 FF11 FF12 FF15 GG45 HH03 HH14 HH15 KK02 KK03 KK07 KK09

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース・アセテート系樹脂を主成分
    として含有する発泡性樹脂組成物を押し出しすると同時
    に水分の気化膨張力により発泡させることにより製造さ
    れたセルロース・アセテート系樹脂発泡体から形成され
    てなる植物生育環境付与材。
  2. 【請求項2】 農薬、環境保全用薬剤、及び肥料から選
    ばれる少なくとも1種の生物活性関与成分を含有するこ
    とを特徴とする請求項1記載の植物生育環境付与材。
  3. 【請求項3】 上記農薬は、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、
    防黴剤、植物成長調整剤、誘引剤、殺そ剤、及び/又は
    害虫や動物の忌避剤であることを特徴とする請求項2記
    載の植物生育環境付与材。
  4. 【請求項4】 上記環境保全用薬剤は、水分、ミネラ
    ル、木酢液、竹酢液、ニンニク精油、植物活力剤、植物
    延命剤、土壌浸透剤、及び/又は植物ホルモンであるこ
    とを特徴とする請求項2記載の植物生育環境付与材。
  5. 【請求項5】 上記肥料は、窒素肥料、燐酸肥料、カリ
    肥料、石灰肥料、及び/又は有機肥料であることを特徴
    とする請求項2記載の植物生育環境付与材。
  6. 【請求項6】 その形状は、粒剤状、錠剤状、棒状、シ
    ート状又は容器状であることを特徴とする請求項1乃至
    5のいずれかに記載の植物生育環境付与材。
  7. 【請求項7】 生物活性関与成分の少なくとも表面に、
    アルギン酸塩ゲルの被覆層を形成することを特徴とする
    請求項2乃至6のいずれかに記載の植物生育環境付与
    材。
  8. 【請求項8】 さらに、植物種子を含有させることを特
    徴とする請求項2記載の植物生育環境付与材。
  9. 【請求項9】 その用途は、植物栽培用器、水耕栽培用
    マット、又は切り花用切り口包材であることを特徴とす
    る請求項6記載の植物生育環境付与材。
  10. 【請求項10】 予め、発泡性樹脂組成物に、農薬、環
    境保全用薬剤、及び肥料から選ばれる少なくとも1種の
    生物活性関与成分を配合することを特徴とする請求項1
    乃至7のいずれかに記載の植物生育環境付与材の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 セルロース・アセテート系樹脂発泡体
    に、農薬、環境保全用薬剤、及び肥料から選ばれる少な
    くとも1種の生物活性関与成分を含浸することを特徴と
    する請求項1乃至7の何れかに記載の植物生育環境付与
    材の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至9の何れかに記載の植物
    生育環境付与材を含有することを特徴とする土壌組成
    物。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至9の何れかに記載の植物
    生育環境付与材を、土壌に対して施用することを特徴と
    する土壌改良方法。
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