JP2001245594A - 耐熱性の優れた菓子の製造法 - Google Patents

耐熱性の優れた菓子の製造法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、形が崩れたり、表面がべたつ
いたり、互いに付着したりせずに食することができ、油
脂性菓子生地本来の食感を損なわない、耐熱性の優れた
菓子の製造法を提供することにある。 【解決手段】本発明者らは、上記課題を解決するため
に、鋭意研究を重ねた結果、油脂性菓子生地表面を吸湿
させ、これを焼成することにより、耐熱性の優れた菓子
の製造法を提供できることがわかった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼き菓子、キャン
デー類、ナッツ類、スナック菓子等の可食物にチョコレ
ート等の油脂性菓子生地が付着又は被覆された複合菓子
の製造法に関し、油脂性菓子生地の耐熱性が著しく向上
された菓子の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、焼き菓子、キャンデー類、ナ
ッツ類、スナック菓子等の可食物とチョコレートに代表
される油脂性菓子生地を組み合わせた商品は、油脂性菓
子生地自体の融点によって耐熱性に限界があり、油脂が
融解して油脂性菓子生地の形が崩れたり、表面がべたつ
いたり、互いに付着しあう等商品価値を失ってしまうと
いう問題があった。そこで油脂性菓子生地であるチョコ
レート生地の耐熱性を向上させる方法が種々検討されて
いる。例えば、高い融点を持つ油脂を使用したり、特公
昭55−9174号公報には、チョコレート生地等の油
脂性菓子生地を80℃以上に加熱して固化させることに
より、融点以上の温度に放置してもべとついたり、形が
崩れたりすることなく、手指を汚さずに食することがで
きるようにした耐熱性に優れた菓子の製造法が開示され
ている。又、特開平10−210934号公報には、チ
ョコレート生地に気泡を含有させた後、成形し、焼成し
て固化することを特徴とする焼き菓子の製造法が提案さ
れている。
【0003】しかしながら、これら従来の方法にはいく
つかの問題点を有する。高い融点を持つ油脂を使用する
と口溶けの悪いものとなってしまう。又、特公昭55−
9174号公報に開示された方法で得られる加熱固化さ
れたチョコレート等の菓子は、80℃以上に加熱するこ
とによって、硬くてボソボソとした食感になってしま
う。又、特開平10−210934号公報に提案された
方法で得られたチョコレートは気泡を含有しておりチョ
コレート本来の食感を有しないものとなってしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、形が
崩れたり、表面がべたついたり、互いに付着したりせず
に食することができ、油脂性菓子生地本来の食感を損な
わない、耐熱性の優れた菓子の製造法を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、油脂性菓子
生地表面を吸湿させ、これを焼成することにより、耐熱
性の優れた菓子の製造法を提供できることがわかった。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において油脂性菓子生地と
しては、チョコレート生地、ホワイトチョコレート生地
等のチョコレート類生地(即ちカカオ脂含量の多寡やカ
カオ成分の有無を問わない)が利用出来る。又、ナッツ
クリーム生地、油脂性ふりかけ生地等のごとく、油脂に
糖類を混合した生地が利用できる。例えば、油脂に糖類
及び必要に応じナッツペースト、ナッツ粉末、全脂粉
乳、脱脂粉乳、澱粉類、チーズ粉末、カレー粉末、粉末
果汁、インスタントコーヒー等の旨味成分、乳化剤、香
料、着色料等を1種又は2種以上加えたものが利用でき
る。
【0007】本発明の油脂性菓子生地で使用する油脂
は、所謂ハードバターで、カカオ脂、カカオ脂代用脂等
のテンパリング型油脂、エライジン酸を構成脂肪酸とす
るトランス型ハードバター等のノンテンパリング型油脂
が利用できる。その他油脂の硬化、分別、エステル交換
等を施した加工油脂が利用できる。原料として例えば、
菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、
米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポッ
ク油、胡麻油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、
カカオ脂、ヤシ脂、パーム核油等の植物性油脂並びに乳
脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物油脂、並びに、そ
れら油脂の硬化、分別、エステル交換等を施した加工油
脂が例示できる。
【0008】本発明の油脂性菓子生地で使用する糖類
は、糖原料としては、単糖類、オリゴ糖類、糖アルコー
ル類、デキストリン、水飴等が例示できる。単糖類とし
ては具体的には、グルコース、フルクトース、マンノー
ス、キシロースを挙げることができる。またオリゴ糖類
としては、通常2糖類から6糖類までのものが含まれる
が、具体的にはショ糖、マルトース、乳糖、トレハロー
ス、マルトトリオース等を挙げることができる。糖アル
コール類としては具体的には、ソルビトール、マルチト
ール、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、
オリゴ糖アルコール等を挙げることができる。これらの
糖類を単独又は組み合わせて使用することが出来る。
【0009】本発明の油脂性菓子生地は、市販のチョコ
レート類を溶融使用したり、上記の油脂、上記の糖類、
その他の原料を融解混合したものが使用できる。必要に
応じ混合物をロールに掛けて粒度を調整しても良い。
【0010】油脂性菓子生地を付着又は被覆する菓子と
しては、ビスケット、クラッカー、パイ、シュウ、ウエ
ハース等の焼き菓子、ドロップ、ヌガー、ゼリー等のキ
ャンデー類、ナッツ類、パン類、乾燥果実、スナック菓
子等が例示できる。これらの菓子は、調製直後でも調製
後時間を経過したものでも良く、場合によっては油脂性
菓子生地部分の焼成と共に焼成が完成されるものでも良
い。
【0011】本発明の菓子の製造法としては、油脂性菓
子生地を融解し、上記菓子表面に付着又は被覆した後、
油脂性菓子生地表面の固化又は、固化途中に吸湿させ焼
成して、冷却することにより得ることができる。固化途
中に吸湿させる方が水が油脂性菓子生地表面に均一に覆
うようになり易く好ましい。
【0012】菓子表面に油脂性菓子生地を付着又は被覆
する方法としては、油脂性菓子生地を融解し、デポジッ
ト法、コーティング法等何れの方法でも良く、作業とし
ては、手作業、コーティングマシーン等の機械を使用す
ることも出来る。
【0013】油脂性菓子生地表面を吸湿させる方法とし
ては、水、糖溶液、乳化剤溶液等を油脂性菓子生地表面
に噴霧若しくは塗布、又は蒸し器のような加湿環境下に
おくのが良い。これらの方法により、油脂性菓子生地表
面を微少水滴が均一に覆うようにするのが好ましい。大
きな水滴が部分的に覆っているようなものは、焼成で表
面がまだら状になり外観が劣る。
【0014】焼成は、例えばオーブン、電子レンジ等を
用いて行うことが出来る。焼成の程度は、油脂性菓子生
地の表面のみが加熱凝固し、いわば薄皮ができたような
状態まで行えば足り、むしろ油脂性菓子生地の全体が加
熱凝固したような状態まで加熱すると全体がかさぶた状
の見栄えの良くない外観となる。オーブンの場合通常1
10〜250℃で、数秒〜数10分間の範囲にあり、よ
り好ましくは130〜180℃の範囲が適している。焼
成温度の上限を超えると、表面にムラが出来、表面が焦
げてしまう。下限未満では、油脂性菓子生地に耐熱性を
持たせるまでには時間を要し効率が悪い。
【0015】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳
細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定さ
れるものではない。なお、例中、%及び部は、いずれも
重量基準を意味する。
【0016】実施例1 カカオマス5部、ココアパウダー10部、全脂粉乳15
部、砂糖35部、融点35℃の硬化パームオレイン35
部、レシチン0.4部にて常法通り作製したチョコレー
ト生地を40℃に温調し、市販のビスケット表面に2g
毎をコーティングした後、まだ固化しないうちに水を噴
霧して表面を微少水滴が覆うようにした後、150℃オ
ーブンで4分間焼成した。焼成後冷却し、チョコレート
生地がコーティングされたビスケットを作製した。風味
評価をしたところ、口溶け、食感は良好であった。耐熱
性評価のため、37℃の恒温器にコーティングされたビ
スケットを6時間放置したが、チョコレート表面の軟
化、溶解現象は見られず、手指にも付着しなかった。
【0017】実施例2 全脂粉乳20部、砂糖45部、ココアバター35部、レ
シチン0.4部にて常法通り作製したホワイトチョコレ
ート生地を40℃に温調し、市販のウエハース生地表面
に3g毎をデポジットした後、同上の方法で焼成した。
焼成後冷却し、ホワイトチョコレート生地がデポジット
されたウエハースを作製した。実施例1と同様に風味評
価をしたところ、口溶け、食感は良好であった。実施例
1と同様な耐熱性評価においても、ホワイトチョコレー
ト表面の軟化、溶解現象は見られず、手指にも付着しな
かった。
【0018】実施例3 ショートニング(不二製油社製パンパスLB)40部、
砂糖30部、全卵10部、水10部、重曹0.3部、薄
力粉100部にて常法によりクッキー生地を作製した。
クッキー生地を、4mmに圧延、40mm四方に成型し
表面に、40℃に温調した実施例1のチョコレート生地
3g毎をコーティングした後、20ブリックスのショ糖
溶液を塗布して160℃オーブンで8分間焼成した。焼
成後冷却し、チョコレート生地類がコーティングされた
クッキーを作製した。実施例1と同様に風味評価をした
ところ、口溶け、食感は良好であった。実施例1と同様
な耐熱性評価においても、チョコレート表面の軟化、溶
解現象は見られず、手指にも付着しなかった。
【0019】比較例1 実施例1のチョコレート生地を40℃に温調し、市販の
ビスケット表面にチョコレート生地2g毎をコーティン
グした後、水の噴霧なしに150℃オーブンで4分間焼
成した。焼成後のチョコレート表面は局部的に焦げが生
じかつ、皮膜形成が不充分で37℃の耐熱性も得られな
かった。
【0020】
【発明の効果】本発明により、形が崩れたり、表面がべ
たついたり、互いに付着したりせずに食することがで
き、油脂性菓子生地本来の食感を損なわない、耐熱性の
優れた油脂性菓子の製造法を提供することが可能になっ
たのである。
フロントページの続き (72)発明者 山脇 祥夫 茨城県筑波郡谷和原村絹の台4丁目3番地 不二製油株式会社つくば研究開発センタ ー内 Fターム(参考) 4B014 GB04 GE02 GP15 GP20 4B032 DB01 DB21 DE06 DK70 DP55

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】油脂性菓子生地表面を吸湿させ、これを焼
    成することを特徴とする、菓子の製造法。
  2. 【請求項2】吸湿が、水の噴霧若しくは塗布、又は加湿
    環境下におくことにより行われる、請求項1記載の菓子
    の製造法。
  3. 【請求項3】油脂性菓子生地が菓子表面に付着又は被覆
    された、請求項1記載の菓子の製造法。
  4. 【請求項4】油脂性菓子生地が油脂及び糖類を含有す
    る、請求項1記載の菓子の製造法。
  5. 【請求項5】油脂性菓子生地を付着又は被覆される菓子
    が、焼き菓子、キャンデー類、ナッツ類、パン類、乾燥
    果実、又はスナック菓子である、請求項1記載の菓子の
    製造法。
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