JP5887105B2 - 油脂性菓子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
これらの欠点を克服するために、シェルとセンターとの間に可食性被膜を形成したり(特許文献1)、仕切り壁によってシェルの強度を向上させたりすること(特許文献2)が検討されている。
また、仕切り壁によってシェルの強度を向上させる場合は、センターを充填する際にシェルが仕切られているため、シェル内の隅々にまでセンターを行き渡らせるのが難しくなる等の欠点があった。また、仕切り壁の分だけセンターが減るため、センターの味わいやシェルとセンターの一体感が損なわれる等の弊害があった。
そして、前記押し型が−20℃〜+5℃、より好ましくは−10℃〜0℃の範囲に温度調節されていることが好ましい。この条件下で押し型を挿入した時に、流し型内壁に沿って押し広げられた油脂性菓子生地を、所望の速度で固化することができる。
<1.原材料について>
油脂性菓子生地としてはチョコレート、ファットスプレッド、プラリネペースト等が挙げられ、製造、流通段階で求められる諸条件を満たすものであれば使用可能である。チョコレートはスイートチョコレート、セミスイートチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート等いずれの種類のチョコレートでもよく、チョコレート類の表示に関する公正競争規約に定めるチョコレート規格を満たすことは必ずしも必要ではない。
本発明の油脂性菓子は、例えば次のようにして製造することができる。
油脂性菓子生地の充填量は、次の工程において押し型によって押し広げられた結果として流し型の表面全面を薄く覆うことができるくらいの量が好ましい。なお、流し型は一般的な金属製あるいは樹脂製型であれば特に限定はなく、ステンレス、砲金等の金属型や、プラスチックパンタトレイ、ポリカーボネイト製樹脂型等が使用できる。また充填に使用するデポジッターは充填ノズルも含めて一般的なデポジッターであれば特に限定はなく、油脂性菓子生地を一定量充填できるものが使用できる。
ここで、押し型全体は、直接油脂性菓子生地を押し広げるためのヘッド部(押し型)と、設備に固定するための固定部を備えている。そして、当該押し型は−20℃〜+5℃、より好ましくは−10℃〜0℃の範囲に温度調節されていることが好ましい。また、当該押し型は、流し型内壁に対して所定の間隙を有して挿入される形状及び大きさを有しているため、前記温度条件下で押し型を挿入した時に、流し型内壁に沿って押し広げられた油脂性菓子生地を、所望の速度で固化することができる。なお、押し型はあらかじめ冷却されている必要はなく、冷却されていない押し型を挿入した後、押し型及び流し型を冷却してもよい。また、押し型の材質としてはステンレス、砲金等の金属を始めとする、熱伝導率の高い材質が利用できる。
ここで、前記押し型は、少なくとも1つ以上の前記押し型構成面の表面に凹部を有するため、この凹部に入った油脂性菓子生地が、部分的に厚みが増した状態で固化される。そのため、厚みが部分的に増した油脂性菓子生地の外殻を得ることができる。また、前記押し型構成面の表面の凹部を、押し型を構成する各面の頂点や辺ではなく、押し型構成面の中央部分に形成することにより、油脂性菓子生地の外殻が形成する面の厚みが、当該面の中央部分に向かって増した油脂性菓子生地の外殻を得ることができる。さらに、前記押し型構成面の表面の凹部を、押し型構成面の中央部分に向かって滑らかに形成することにより、油脂性菓子生地の外殻が形成する面の厚みが、当該面の中央部分に向かって滑らかに増した油脂性菓子生地の外殻を得ることができる。
ここで、水分含有センターとは、水分を含むセンターのことであり、油脂と糖類等を主体とするチョコレートやクリーム等の油脂性センター、又は糖類等のシロップを主体とする水性センター等が挙げられ、生クリームとチョコレートを混ぜたガナッシュ、キャラメル状にした砂糖とナッツ類をペースト状にしたプラリネ、ナッツ類に砂糖とチョコレートを加えてペースト状にしたジャンドゥヤ、アーモンドと砂糖をペースト状にしたマジパン、糖類や生クリーム等を煮詰めたキャラメル、卵白と糖類にさらに可食粒状物や果肉を加えたヌガー、煮詰めた糖類をペースト状にしたフォンダン等であって、水分を含むものであればよい。また、クリーム状又はシロップ状の、油脂性又は水性の連続相の中に固形物を持つセンター(例えば、アーモンドやピーナッツ等の可食粒状物や果肉、ジャム、又は、ビスケットやパイ等の焼き菓子の組み合わせにより構成されるフィリング)であってもよい。
(製造例1)
(製造例2)
(製造例3)
(製造例4)
次に、製造例4で得た水分含有センターをテンパリングしておき、次位置へ移された流し型内部の生地Aからなる外殻の上から、テンパリングした当該センターをピストン式デポジッターで1.7ml充填した。そして、13℃設定の冷却トンネルで15分冷却した。
さらに、次位置へ移された流し型内部の生地Aの外殻及び水分含有センターの上から、テンパリングした生地Aをピストン式デポジッターで0.6ml充填した。
そして、流し型上の余剰生地Aを、流し型上面に沿ってかき取ってチョコレート底面を形成し、冷却固化後に離型して、全体の形状が略正四角錐形状の、水分含有センター入りシェルチョコレートを得た。
そして、実施例1と同様に、製造例4で得た水分含有センターを1.7ml充填した後、さらに生地Aを0.8ml充填することにより、水分含有センター入りシェルチョコレートを得た。
そして、実施例1と同様に、製造例4で得た水分含有センターを1.7ml充填した後、さらに生地Aを0.6ml充填することにより、水分含有センター入りシェルチョコレートを得た。
(試験例)
外殻形成面の厚みが均一な比較例1〜3のチョコレートは、25℃での1ヶ月保存後、チョコレート外殻形成面の中央部分が各々変形し、すり鉢状の陥没が明確に認められ、製品としての外観が悪かった。しかし、チョコレート外殻底面についてはわずかに陥没が認められただけであった。
これに対し、外殻形成面の内側に、外殻形成面を二分割する梁を凸部として有する比較例4〜6のチョコレートは、25℃での1ヶ月保存後、チョコレート外殻形成面についてはわずかに陥没が認められただけであった。しかし、チョコレート外殻底面については、底面の中央部分が変形し、すり鉢状の陥没が明確に認められ、製品としての外観が悪かった。
一方、外殻形成面の内側が当該面の中央部分に向かって滑らかに厚くなっている実施例1〜3のチョコレートは、25℃での1ヶ月保存後でも、チョコレート外殻形成面についてはわずかに陥没が認められただけであった。また、チョコレート外殻底面についてもわずかに陥没が認められただけであった。そのため、製品としての外観は商品として耐え得るものであった。
Claims (4)
- 全ての面が固化した油脂性菓子生地の外殻で覆われている油脂性菓子であって、前記油脂性菓子の外面形状を構成する油脂性菓子外面側の外殻形成面が全て略平面によって形成され、かつ、水分含有センターに接触している前記油脂性菓子内面側の外殻形成面の少なくとも1つ以上の当該外殻形成面の厚みが、当該面の中央部分に向かって凸レンズ状に滑らかに増すことを特徴とする、水分含有センター入り油脂性菓子。
- 油脂性菓子生地を流し型に充填する工程と、流し型に充填された油脂性菓子生地を押し型によって流し型内部表面に押し広げ、固化させる工程と、前記押し型を流し型から抜き取る工程と、固化される油脂性菓子生地の外殻に水分含有センターを充填する工程と、油脂性菓子生地を充填し、水分含有センターを油脂性菓子生地の外殻中に埋設する工程と、油脂性菓子生地を固化させて、流し型から油脂性菓子を取り出す工程とを含み、前記押し型は、前記流し型内壁に対して所定の間隙を有して挿入される形状及び大きさをなすと共に、少なくとも1つ以上の前記押し型構成面の表面の中央部分に凹レンズ状に滑らかな凹部を有することにより、固化される油脂性菓子生地の水分含有センターに接触している側の外殻が形成する面の厚みが、当該面の中央部分に向かって凸レンズ状に滑らかに増すことを特徴とする、水分含有センター入り油脂性菓子の製造方法。
- 全ての面が固化した油脂性菓子生地の外殻で覆われ、かつ、油脂性菓子の外面形状を構成する油脂性菓子外面側の外殻形成面が全て略平面によって形成されている、油脂性菓子の製造方法であって、油脂性菓子生地を流し型に充填する工程と、流し型に充填された油脂性菓子生地を押し型によって流し型内部表面に押し広げ、固化させる工程と、前記押し型を流し型から抜き取る工程と、固化される油脂性菓子生地の外殻に水分含有センターを充填する工程と、油脂性菓子生地を充填し、水分含有センターを油脂性菓子生地の外殻中に埋設する工程と、油脂性菓子生地を固化させて、流し型から油脂性菓子を取り出す工程とを含み、前記押し型は、前記流し型内壁に対して所定の間隙を有して挿入される形状及び大きさをなすと共に、少なくとも1つ以上の前記押し型構成面の表面の中央部分に滑らかな凹部を有することにより、固化される油脂性菓子生地の水分含有センターに接触している側の外殻が形成する面の厚みが、当該面の中央部分に向かって滑らかに増すことを特徴とする、水分含有センター入り油脂性菓子の製造方法。
- 前記押し型の、少なくとも1つ以上の前記押し型構成面の表面の中央部分に凹レンズ状に滑らかな凹部を有することにより、固化される油脂性菓子生地の水分含有センターに接触している側の外殻が形成する面の厚みが、当該面の中央部分に向かって凸レンズ状に滑らかに増すことを特徴とする、請求項3に記載の油脂性菓子の製造方法。
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