JP2001244368A - 電気素子内蔵配線基板 - Google Patents

電気素子内蔵配線基板

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JP2001244368A JP2000054000A JP2000054000A JP2001244368A JP 2001244368 A JP2001244368 A JP 2001244368A JP 2000054000 A JP2000054000 A JP 2000054000A JP 2000054000 A JP2000054000 A JP 2000054000A JP 2001244368 A JP2001244368 A JP 2001244368A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】絶縁基板内部に電気素子を内蔵してなる配線基
板において、基板表面に半導体素子などをフリップチッ
プ実装可能であって、内蔵された電気素子と配線基板に
設けられた配線回路層との接続信頼性に優れ、電気素子
による機能を損なわない電気素子内蔵配線基板を得る。 【解決手段】絶縁基板1の表面および/または内部に配
線回路層8を形成してなり、絶縁基板1内に電気素子3
を内蔵してなる配線基板Aであって、絶縁基板1が、熱
硬化性樹脂と無機フィラーとの混合物からなる第1の絶
縁層1aと、繊維体中に熱硬化性樹脂を含浸してなる第
2の絶縁層1bとの積層構造体からなり、コンデンサ素
子などの電気素子3を第1の絶縁層1a内に内蔵してな
るとともに、第2の絶縁層1bを絶縁基板1の最表面に
配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、LSIチップなど
の電子部品を表面に実装可能であり、絶縁基板の内部に
コンデンサなどの電気素子を内蔵した電気素子内蔵配線
基板に関するものである。
【0002】
【従来技術】近年、通信機器の普及に伴い、高速動作が
求められる電子機器が広く使用されるようになり、さら
にこれに伴って高速動作が可能なパッケージが求められ
ている。このような高速動作を行うために、コンデンサ
等の受動性の電気素子を絶縁基板内部に内蔵させて、受
動性電気素子および配線部のインダクタンスを低減する
ことが必要とされている。
【0003】このような問題に対処する方法として、例
えば、特開平11−220262号には、回路部品内蔵
モジュールおよびその製造方法において、絶縁基板を構
成する絶縁層をすべて無機フィラーと熱硬化性樹脂とを
含む混合物によって形成した配線基板が提案されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この特
開平11−220262号の回路基板では、基板の絶対
強度が弱く、また、剛性が低いために、例えば、配線基
板表面に半導体素子をフリップチップ工法により実装す
る場合、配線基板が変形し、フリップチップ部が反って
しまう問題があった。
【0005】また、強度を高める方法として、絶縁基板
をガラスクロスに樹脂を含浸させたいわゆるプリプレグ
によって絶縁基板を構成することも提案されている。し
かしながら、繊維体としてはガラスなど非常に限られた
物質からなり、そのためにこのプリプレグ内に内蔵させ
たコンデンサ素子などの電気素子との熱膨張差が大きく
なる場合があり、その結果、電気素子と配線基板内の配
線回路層との接続性が変化したり、両者の熱膨張差によ
って発生する応力によって配線基板が変形し、そのため
に、配線基板表面の平坦性が失われ、半導体素子をフリ
ップチップ実装することができないという問題があっ
た。
【0006】従って、本発明は、絶縁基板の内部にコン
デンサなどの電気素子を内蔵してなる配線基板におい
て、基板表面に半導体素子などをフリップチップ実装す
る場合においても優れた実装性と実装信頼性を具備する
とともに、内蔵された電気素子と配線基板に設けられた
配線回路層との接続信頼性に優れた電気素子内蔵配線基
板を得ることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、絶縁基板
の内部に、コンデンサ素子などの電気素子を内蔵すると
ともに、前記絶縁基板の表面に電子部品を搭載する搭載
面を具備してなる電気素子内蔵配線基板における上記の
課題に対して検討を重ねた結果、絶縁基板を熱硬化性樹
脂と無機フィラーとの混合物からなる第1の絶縁層と、
繊維体中に熱硬化性樹脂を含浸してなる第2の絶縁層と
の積層構造体によって構成し、前記第1の絶縁層中に空
隙部を形成し、該空隙部内に電気素子を内蔵するととも
に、前記第2の絶縁層を前記絶縁基板の最表面に配置
し、電気素子と前記第1の絶縁層との熱膨張差を7×1
-6/℃以下とすることによって上記目的が達成され
る。
【0008】即ち、電気素子を熱硬化性樹脂と無機フィ
ラーとの混合物からなる第1の絶縁層に内蔵させること
によって、この絶縁体がフィラーの種類、量などによっ
て絶縁層の熱膨張係数を容易に変えることができるため
に、内蔵する電気素子の熱膨張係数に容易に整合させる
ことができる。そのために、熱膨張差に起因する応力の
発生を抑制し、配線基板の変形や配線基板の配線回路層
と電気素子との接続信頼性を高めることができる。
【0009】しかし、熱硬化性樹脂と無機フィラーとの
混合物からなる第1の絶縁層のみよって絶縁基板を構成
すると、基板全体の強度が低く、特に表面の平坦性も損
なわれやすい。そこで、本発明によれば、この熱硬化性
樹脂と無機フィラーとの混合物からなる絶縁層の上面あ
るいは下面に、繊維体中に熱硬化性樹脂を含浸してなる
第2の絶縁層を積層することによって、第1の絶縁層に
よる強度の低下を抑制するとともに、配線基板の表面の
平坦性をも向上し、半導体素子などののフリップチップ
実装する場合においても十分に適用できる配線基板を得
ることができる。
【0010】特に、上記の構成において、前記第1の絶
縁層が、熱硬化性樹脂を30〜65体積%と、無機フィ
ラーを35〜70体積%の割合で含有することが望まし
く、前記無機フィラーが、SiO2、Al23、AlN
およびSi34から選ばれる少なくとも1種であること
が望ましい。
【0011】また、前記第1の絶縁層および第2の絶縁
層中の熱硬化性樹脂としては、ポリフェニレンエーテル
系樹脂、エポキシ系樹脂、シアネート系樹脂から選ばれ
る少なくとも1種が好適に用いられる。
【0012】さらに、前記電気素子としては、積層セラ
ミックコンデンサを内蔵させることによって信号のノイ
ズ除去を行なうことができる。
【0013】また、前記第1の絶縁層および/または前
記第2の絶縁層に、金属粉末を充填したビアホール導体
が形成されてなることによって配線基板の小型化を図る
ことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の電気素子内蔵配線基板の
一実施例における概略断面図を示す図1をもとに詳細に
説明する。本発明における配線基板Aは、絶縁基板1の
内部にキャビティ2が形成されており、そのキャビティ
2内にコンデンサ素子3が内蔵されている。また、配線
基板Aのコンデンサ素子3が内蔵される直上には、電子
部品として半導体素子4が実装されている。
【0015】本発明において、配線基板Aにおける絶縁
基板1は、コンデンサ素子3を内蔵する部分が熱硬化性
樹脂と無機フィラーとの混合物からなる第1の絶縁層
(以下、単にCPC層という。)1aによって構成され
ており、絶縁基板1の半導体素子4が実装される表面
側、および/またはハンダボールパッドや接続ピンなど
の接続端子が配設される裏面側に、少なくとも1層以上
の繊維体中に熱硬化性樹脂を含浸してなる第2の絶縁層
(以下、単にプリプレグ層という。)1bが積層形成さ
れている。 (CPC層)コンデンサ素子3を内蔵するCPC層1a
は、熱硬化性樹脂と無機質フィラーとの複合体からなる
ものであるが、無機フィラーには、例えば、SiO2
Al23、AlNおよびSi34の群から選ばれる少な
くとも1種を好適に用いることができる。無機フィラー
は熱硬化性樹脂に対して、35〜70体積%の割合で含
有させることが望ましく、用いる無機フィラーの平均粒
径は1.0〜20μmの範囲が最適である。このCPC
層は、1層当たりの厚みが50〜150μm程度であっ
て、内蔵するコンデンサ素子などの電気素子の大きさに
応じて適宜積層されて所定の厚みに形成されている。
【0016】また、このCPC層は、熱膨張係数を任意
に制御できる利点を生かし、内蔵する電気素子との−6
5〜250℃の熱膨張差を7×10-6/℃以下、特に
5.5以下とすることが必要である。これは、CPC層
に電気素子を内蔵してもこの熱膨張差が大きいとこの熱
膨張差によって発生する応力が大きくなり、これによっ
て配線基板の変形などによってフリップチッフ゜実装が難し
く、また電気素子と配線基板内の配線回路層との接続性
が損なわれてしまい、電気素子による特性が得られない
ためである。 (プリプレグ層)一方、プリプレグ層1bは、繊維体と
この繊維体に熱硬化性樹脂が含浸されたものであり、1
層あたりの厚さは約150μm以下であり、繊維体が4
0〜60体積%、熱硬化性樹脂が60〜40体積%の割
合からなる。
【0017】繊維体としては、ガラス、アラミド樹脂の
群から選ばれる少なくとも1種が用いられる。なお繊維
体の線径は10μm以下であることが強度を高める上で
望ましい。
【0018】また、この繊維体は均一に分散してなるも
のでもよいが、基板の剛性を高める上では、織布または
不織布からなることが望ましい。
【0019】上記のCPC層およびプリプレグ層に含ま
れる熱硬化性樹脂としては、APPE(アリル化ポリフ
ェニレンエーテル)樹脂、エポキシ系樹脂およびシアネ
ート系樹脂の群から選ばれる少なくとも1種が好まし
い。APPE樹脂は比誘電率が低く、誘電損失が低く、
吸水率が低く、さらに、ガラス転移点が高いために、特
に高耐熱性であることから、特に好ましい。さらに、混
合物はフィラーとのぬれ性を改善するために分散剤やカ
ップリング剤を含んでもよい。
【0020】CPC層中に内蔵されるコンデンサ素子3
は、2つ以上の正電極と2つ以上の負電極を具備するも
のが好適である。このようなコンデンサ素子3の一例を
図2の概略斜視図に示した。
【0021】この図2のコンデンサ素子3は、BaTi
3を主成分とするセラミック誘電体層5を積層して形
成された直方状の積層体からなる積層型セラミックコン
デンサからなるものであって、その積層体の外表面に
は、4つの正電極6aと4つの負電極6bとが独立して
均等に配置形成されている。図2(a)のコンデンサ素
子においては、負電極6bは各辺の中央部に、正電極6
aは、各角部に形成されている。
【0022】また、積層体の各セラミック誘電体層5間
には、図2(b)に示されるようなパターンの正極用内
部電極7aと図2(c)に示されるようなパターンの負
極用内部電極7bとが交互に形成されており、正極用内
部電極7aは、正電極6aと、負極用内部電極7bは負
電極6bと積層体の端面でそれぞれ電気的に接続されて
いる。
【0023】一方、CPC層1a中に内蔵された上記の
構造のコンデンサ素子3の電子部品搭載面表面との間の
プリプレグ層1bには、第1の導体層8、および第2の
導体層9が形成されている。そして、この第1の導体層
8は、図3(a)のパターン図に示すように、コンデン
サ素子3の4つの正電極6aと、この正電極6aから直
上に絶縁層を垂直に貫通して形成されたビアホール導体
10を介して電気的に接続されている。
【0024】また、同様に、第2の導体層9は、図3
(b)に示すパターン図に示すように、コンデンサ素子
3の4つの負電極6bと、この負電極6bから直上に絶
縁層を垂直に貫通して形成されたビアホール導体11を
介して電気的に接続されている。なお、第1の導体層8
には、負電極6bと第2の導体層9とを接続するビアホ
ール導体11と接触しないように導体が形成された開口
12が形成されている。
【0025】そして、コンデンサ素子3の正電極6aと
接続された第1の導体層8には、さらに、電子部品搭載
面にかけてビアホール導体13が形成されており、基板
表面に設けられた正電極用ランド14と接続されてお
り、また同様に、コンデンサ素子3の負電極6bと接続
された第2の導体層9には、さらに、電子部品搭載面に
かけてビアホール導体15が形成されており、基板表面
に設けられた負電極用ランド16と接続されている。
【0026】そして、絶縁基板1の表面に搭載された半
導体素子4のバンプと、前記正電極用ランド14および
負電極用ランド16と電気的に接続されている。 (製造方法)次に本発明の電気素子内蔵配線基板の製造
方法について説明する。まず、CPc層形成用として、
エポキシ系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などの熱
硬化性樹脂とシリカ、アルミナなどの無機質フィラーと
の混合材料からなる未硬化状態の絶縁シートを作製す
る。また、プリプレグ層用として、ガラス繊維やアラミ
ド繊維などの織布または不織布からなる繊維体にエポキ
シ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸した、未硬化状態の絶
縁シートを作製する。
【0027】そして、まず図4の工程図に示すように、
上記CPC層絶縁シート20に対して、コンデンサ素子
を内蔵するキャビティ21をパンチングなどによって形
成する(a)。一方、プリプレグ層絶縁シート22に対
してレーザー加工法により、ビアホール23を形成し、
そのビアホール23にCu粉末などの導電性粉末を含有
する導電性ペーストを充填してビアホール導体24を形
成する(b)。その後、このプリプレグ層絶縁シート2
2の表面に、導体層25を形成する(c)。この導体層
25は例えば、Cu箔、Al箔などの金属箔をに絶縁シ
ートの表面に貼着した後、レジスト塗布、露光、現像、
エッチング、レジスト除去の工程によって所定のパター
ンの導体層を形成する方法、またはあらかじめ、樹脂フ
ィルムの表面に前記金属箔を貼着して上記と同様にして
所定のパターンの導体層を形成したものを前記絶縁シー
トの表面に転写する方法がある。このうち、後者の方法
は、絶縁シートがエッチング液などにさらされることが
なく、絶縁シートが劣化することがない点で後者の方が
好適である。
【0028】そして、CPC層用絶縁シート20のキャ
ビティ21内にコンデンサ素子26を設置するととも
に、この絶縁シート20の上下に、前記(b)(c)の
製造方法を応用して前記ビアホール導体27や導体層2
8、半導体素子との接続用パッド29を形成したプリプ
レグ層用絶縁シート30a、30b、30c、30d、
30eを積層し、この積層物を前記CPC用絶縁シート
およびプリプレグ層絶縁シート中の熱硬化性樹脂が硬化
するに充分な温度で加熱することにより、図1に示した
ようなコンデンサ素子を内蔵した配線基板を作製するこ
とができる。
【0029】なお、CPC層用絶縁シート20内に配設
されたコンデンサ素子26の正電極および負電極とプリ
プレグ層用絶縁シート30のビアホール導体27との電
気的な接続を行なうために、ビアホール導体27のコン
デンサ素子26との接続部および/またはコンデンサ素
子26の正電極および負電極表面に熱硬化温度で溶融可
能な半田を塗布しておくことによって、コンデンサ素子
とビアホール導体との接続を確実に行なうことができ
る。
【0030】
【実施例】実施例 (1)BaTiO3系の複数のセラミック誘電体シート
の表面に、Ag−Pdの金属ペーストを用いて図2に示
したような正極用内部電極や負極用内部電極のパターン
をスクリーン印刷した。その後、それらのシートを温度
55℃、圧力150kg/cm2下で積層密着させ、グ
リーンの状態でカッターを用いて切断した後、大気雰囲
気1220℃の温度において焼成してコンデンサ素体を
作製した。そして、このコンデンサ素体の外表面に、A
g−Pdのペーストを正電極形成部および負電極形成部
に塗布して温度850℃で焼き付け、複数の正電極およ
び負電極を具備する図2で示したような8端子の積層セ
ラミックコンデンサを作製した。
【0031】なお、このコンデンサ素子は、−65〜2
50℃における熱膨張係数が10.2×10-6/℃、寸
法が1.6×1.6×0.59(mm3)、静電容量が
0.22μF、自己インダクタンスが80(pH)であ
り、4箇所の正電極と4箇所の負電極とが形成されたも
のである。 (2)PPE(ポリフェニレンエーテル)樹脂に対しシ
リカ粉末50体積%の割合となるように、ワニス状態の
樹脂と粉末を混合しドクターブレード法により、厚さ1
50μmの複数の絶縁シートAを作製し、それらの絶縁
シートAに、炭酸ガスレーザーによるトレパン加工によ
り、収納するコンデンサの大きさよりもわずかに大きい
縦1.6mm×横1.6mmのキャビティを形成した。
【0032】また、同じく、炭酸ガスレーザにより、ビ
アホールを形成し、そのビアホールにCu粉末などの導
電性粉末を含有する導電性ペーストを充填してビアホー
ル導体を形成する。導体層と半導体素子のバンプと接続
するためのビアホール導体、およびコンデンサ素子と導
体層とを接続するためのビアホール導体として、表面に
銀をメッキした平均粒径が5μmの銅粉末を含む導体ペ
ーストを充填してビアホール導体を形成した。なお、ビ
アホール導体としては、半導体素子のバンプの数に適合
して、252個のビアホール導体を形成した。 (3)A−PPE(熱硬化型ポリフェニレンエーテル)
樹脂(硬化温度=220)52〜68体積%、ガラスク
ロス32〜48体積%のプリプレグからなる絶縁シート
Bを準備した。また、同じくプリプレグの一部に炭酸ガ
スレーザーによるトレパン加工によりビアホール23を
形成し、そのビアホール23にCu粉末などの導電性粉
末を含有する導電性ペーストを充填してビアホール導体
24を形成する。 (4)一方、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹
脂からなる転写シートの表面に接着剤を塗布し、厚さ1
2μm、表面粗さ0.8μmの銅箔を一面に接着した。
そして、フォトレジスト(ドライフィルム)を塗布し露
光現像を行った後、これを塩化第二鉄溶液中に浸漬して
非パターン部をエッチング除去して正極用導体層および
負極用導体層を形成した。また、合わせて線幅が20μ
m、配線と配線との間隔が20μmの微細なパターンか
らなる配線回路層も形成した。 (5)そして、(3)で作製した絶縁シートBの表面
に、転写シートの導体層側を絶縁シートBに30kg/
cm2の圧力で圧着した後、転写シートを剥がして、導
体層を絶縁シートBに転写させた。 (6)次に、(2)で作製したキャビティが形成された
絶縁シートAをコンデンサ素子の厚み分積層し、そのキ
ャビティ内に(1)で作製した積層セラミックコンデン
サチップを仮設置し、チップの周りの隙間にエポキシ樹
脂40体積%、シリカ60体積%を充填して仮固定し
た。 (7)そして、このコンデンサ素子を収納した絶縁シー
トAの表面および裏面にに、(3)(4)を経て作製さ
れた導体層およびビアホール導体を有する絶縁シートB
を仮積層した。 (8)そして、この積層物を220℃で1時間加熱して
完全硬化させて多層配線基板を作製した。なお、加熱に
よる樹脂の流動で絶縁シートの空隙が収縮して絶縁層と
コンデンサチップとが密着しチップと絶縁層との隙間は
ほとんどなくなっていた。こうして全体厚みが1.2m
mのコンデンサ内蔵配線基板を作製した。
【0033】そして、作製したコンデンサ内蔵配線基板
に対して以下の検討を行なった。
【0034】そして、作製した基板全体の−65〜25
0℃の線熱膨張係数を測定した。また、Auスタッドバ
ンプを形成したSiチップを約60℃の加熱した基板に
フリップチップ実装し、基板のパッドとSiチップ側の
回路との周回した導通抵抗を測定し、導通の有無を確認
した。また、配線基板全体の機械的強度をインストロン
評価装置を用いて測定した。
【0035】さらに、インピーダンスアナライザを用い
て、周波数1.0MHz〜1.8MHzにおいて、イン
ピーダンスの周波数特性を測定し、同時に、1MHzで
のコンデンサの容量値を測定し、そして、f0=1/
(2π(L・C)1/2)(式中、f0:共振周波数(H
z)、C:静電容量(F)、L:インダクタンス
(H))に基づいて、共振周波数からインダクタンスを
計算で求めた。
【0036】なお、この測定は、室温および熱衝撃試験
300サイクル後におけるインピーダンスも測定した。
また、コンデンサ素子の上面の絶縁層の厚みを表1のよ
うに変えて特性の変化を測定した。熱衝撃試験は、炭酸
ガスを冷媒とし、電気ヒータを加熱源として圧力1at
mのチャンバー内で−55〜125℃の温度サイクルを
5分毎のサイクルを100回付与した。
【0037】比較例1 実施例における(3)の熱硬化性樹脂と無機フィラーと
の混合物からなる絶縁シートのみを用いて配線基板を作
製し、上記と同様の評価を行った。
【0038】比較例2 実施例において、絶縁シートA、と絶縁シートBとの配
置を全く逆にし、絶縁シートBにコンデンサ素子を内蔵
させる以外は、全く同様にして配線基板を作製し、上記
と同様の評価を行った。
【0039】
【表1】
【0040】表1の結果から明らかなように、本発明に
基づき、配線基板の表層部にプリプレグからなる絶縁層
と、コンデンサ素子を内蔵する内層部を無機フィラーと
熱硬化性樹脂との混合物からなる絶縁層(CPC)によ
って形成した本発明の配線基板は、基板の機械的強度が
300MPa以上と高く、しかもフリップチップ実装が
可能であった。また、コンデンサ素子によるインダクタ
ンスの変化についても、室温での初期特性と熱衝撃試験
後においても変化がなく、信頼性の高いものであった。
【0041】
【発明の効果】 上述した通り、本発明によれば、コン
デンサ素子などの電気素子を内蔵した配線基板におい
て、半導体素子などを実装する表層部の絶縁層に高強度
のプリプレグを用いて、また、電気素子を内蔵する内層
の絶縁層に無機フィラーと熱硬化性樹脂との混合物から
なる絶縁層を用いることによって、配線基板の表層部に
半導体素子をフリップチップ実装すると同時に、内層の
絶縁層にコンデンサ素子を内蔵した、低インダクタンス
の多層配線基板を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気素子内蔵配線基板の概略断面図で
ある。
【図2】本発明で用いられるコンデンサ素子を説明する
ためのものであって、(a)は、概略斜視図、(b)は
正極用内部電極のパターン図、(c)は負極用内部電極
パターン図である。
【図3】本発明の配線基板における(a)第1の導体層
のパターン図と、(b)第2の導体層のパターン図であ
る。
【図4】本発明の電気素子内蔵配線基板を製造するため
に工程図である。
【符号の説明】 A 配線基板 1 絶縁基板 1a 第1の絶縁層 1b 第2の絶縁層 2 キャビティ 3 コンデンサ素子 4 半導体素子 5 セラミック誘電体層 6a 正電極 6b 負電極 7a 正極用内部電極 7b 負極用内部電極 8 第1の導体層 9 第2の導体層 10、11、17 ビアホール導体
フロントページの続き Fターム(参考) 5E346 AA02 AA12 AA15 AA25 AA29 AA35 AA42 BB11 CC02 CC05 CC09 CC32 CC42 CC43 DD02 DD12 EE09 EE13 FF18 FF27 GG02 GG15 HH05 HH07 HH22 HH24 HH31

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁基板の表面および/または内部に配線
    回路層を形成してなり、前記絶縁基板内に電気素子を内
    蔵してなる配線基板であって、前記絶縁基板が、熱硬化
    性樹脂と無機フィラーとの混合物からなる第1の絶縁層
    と、繊維体中に熱硬化性樹脂を含浸してなる第2の絶縁
    層との積層構造体からなり、前記第1の絶縁層中に電気
    素子を内蔵してなるとともに、前記第2の絶縁層を前記
    絶縁基板の最表面に配置し、且つ前記電気素子と前記第
    1の絶縁層との熱膨張差が7×10-6/℃以下であるこ
    とを特徴とする電気素子内蔵配線基板。
  2. 【請求項2】前記第1の絶縁層が、熱硬化性樹脂を30
    〜65体積%と、無機フィラーを35〜70体積%の割
    合で含有することを特徴とする請求項1記載の電気素子
    内蔵配線基板。
  3. 【請求項3】前記無機フィラーが、SiO2、Al
    23、AlNおよびSi3 4から選ばれる少なくとも1
    種であることを特徴とする請求項1または請求項2記載
    の電気素子内蔵配線基板。
  4. 【請求項4】前記第1の絶縁層および第2の絶縁層中の
    熱硬化性樹脂が、ポリフェニレンエーテル系樹脂、エポ
    キシ系樹脂、シアネート系樹脂から選ばれる少なくとも
    1種を含む請求項1または請求項3のいずれか電気素子
    内蔵配線基板。
  5. 【請求項5】前記電気素子が、積層セラミックコンデン
    サからなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のい
    ずれか記載の電気素子内蔵配線基板。
  6. 【請求項6】前記第1の絶縁層および/または前記第2
    の絶縁層に、金属粉末を充填したビアホール導体が形成
    されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項6のい
    ずれか記載の電気素子内蔵配線基板。
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