JP2001240743A - ポリエステルカーボネート/ポリイミド組成物 - Google Patents

ポリエステルカーボネート/ポリイミド組成物

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JP2001240743A
JP2001240743A JP2000055512A JP2000055512A JP2001240743A JP 2001240743 A JP2001240743 A JP 2001240743A JP 2000055512 A JP2000055512 A JP 2000055512A JP 2000055512 A JP2000055512 A JP 2000055512A JP 2001240743 A JP2001240743 A JP 2001240743A
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polyimide
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composition according
polyester carbonate
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JP2000055512A
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Takashi Ito
伊藤  隆
Tomonori Sakurai
智徳 櫻井
Jirou Sadanobu
治朗 定延
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐熱性、高いガラス転移温度、吸湿・
吸水特性を有する成形体を得ることができる。 【解決手段】 特定の繰返し単位を有するポリイミドと
特定の繰返し単位を有するポリエステルカーボネートと
から成る樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、ポリエステルカ
ーボネート/ポリイミド組成物およびそれから成る成形
体に関する。より詳しくは、ポリエステルカーボネート
とポリイミドとから成る耐熱性および吸湿・吸水特性に
優れた組成物およびそれから成る成形体に関する。な
お、本願明細書において成形体とは3次元の形状を有す
るもののほかフィルム状のものも含まれる。
【0002】
【従来の技術】KAPTONに代表されるポリイミド
は、耐熱性の高さから電子分野をはじめとする広い範囲
で工業的に利用されている。しかしポリイミドは一般に
成形性が悪く、また吸湿性が高いために寸法安定性が低
いという欠点を有する。一方、吸湿に関する寸法安定性
に優れた耐熱素材としてポリアリレートやポリカーボネ
ートが挙げられるが、これらの素材のガラス転移温度は
高々200℃であるため耐熱性には限界があり、例えば
半田耐性などは期待できない。
【0003】このポリイミドとポリアリレートとの特性
を複合する試みとして、ポリアリレートとポリエーテル
イミドのブレンド(特開昭59−174644号、特許
1388258号)、ポリアリレートと芳香族ポリカル
ボミドの相溶性ブレンド(特開昭63−72755
号)、ポリエステル−カーボネートおよび/またはポリ
アリレートとポリエーテルイミドのブレンド(特開平6
−200128号)、ポリアリレートとポリエーテルイ
ミドと、ポリアリレートとポリエーテルイミド混合物と
融和性である熱可塑性重合体とから成る三元共重合体
(特開昭59−174643号)が報告されているが、
ブレンド組成物のガラス転移温度Tgは最高でも220
℃で半田耐性を有するような十分な耐熱性を有するブレ
ンド組成物は報告されていない。
【0004】また液晶ポリアリレートとポリイミドとの
ブレンドに関する研究(Polymer,1995,3
6巻,259〜266)も報告されているが、非相溶な
いしは部分相溶のブレンドからなる不均質な材料であ
り、またブレンド組成物の耐熱性は不十分である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本願発明の目的は、ポ
リエステルカーボネートとポリイミドという新規なポリ
マーブレンド組成物および、それから成る耐熱性と吸湿
・吸水特性に優れた新規な耐熱素材を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、ポリエ
ステルカーボネートと耐熱性に優れたポリイミドとが相
溶することを見出し、耐熱性と吸湿・吸水特性とに優れ
た新規な組成物およびそれから成る成形体が得られるこ
とを見出し本願発明を完成させるに至った。
【0007】すなわち、本願発明はポリエステルカーボ
ネートとポリイミドとから成る組成物およびそれから成
る成形体に関するものであり、具体的には次のとおりで
ある。
【0008】1. 下記式(1)
【0009】
【化7】
【0010】(ここで、Arは炭素数6〜15の芳香族
基であり、R1は炭素数2〜30の脂肪族基または炭素
数4〜30の脂環族基である)で示される繰り返し単位
から成るポリイミド(A)と、下記式(2)
【0011】
【化8】
【0012】(ここで、R2は炭素数6〜18の芳香族
基であり、R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10
は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキ
ル基、アラルキル基またはアリール基であり、W,Xは
それぞれ独立にアルキリデン基、アルキレン基、シクロ
アルキリデン基、シクロアルキレン基、酸素原子、硫黄
原子、スルホキシド基またはスルホン基であり、u,v
はそれぞれ独立に0または1であり、aとbとは100
a/(a+b)が0.05〜99.95になる値であ
る)で示される繰り返し単位から成るポリエステルカー
ボネート(B)とから成る組成物であって、該樹脂組成
物中のポリイミド(A)とポリエステルカーボネート
(B)との重量割合いが、0.05対99.95〜9
9.95対0.05の間にある樹脂組成物(C)。
【0013】2. ポリイミド(A)とポリエステルカ
ーボネート(B)とが共に有機溶剤可溶性であることを
特徴とする上記1記載の組成物。
【0014】3. ポリイミド(A)とポリエステルカ
ーボネート(B)とが相溶していることを特徴とする上
記1または2に記載の組成物。
【0015】4. 組成物(C)のガラス転移温度が2
20℃以上であることを特徴とする上記1、2または3
に記載の組成物。
【0016】5. 上記式(1)において、Arが
【0017】
【化9】
【0018】よりなる群から選ばれる一つ以上の芳香族
基であることを特徴とする上記1,2,3または4に記
載の組成物。
【0019】6. 上記式(1)において、R1
【0020】
【化10】
【0021】よりなる群から選ばれる一つ以上のもので
あることを特徴とする上記1,2,3,4または5に記
載の組成物。
【0022】7. 上記式(2)において、R2
【0023】
【化11】
【0024】よりなる群から選ばれる一つ以上のもので
あることを特徴とする上記1,2,3,4,5または6
に記載の組成物。
【0025】8. 上記式(2)において、R3,R4
5,R6,R7,R8,R9,R10が水素原子、W,Xが
【0026】
【化12】
【0027】であり、u,vが1であることを特徴とす
る上記1,2,3,4,5,6または7に記載の組成
物。
【0028】9. 上記1,2,3,4,5,6,7ま
たは8に記載の組成物より成ることを特徴とする成形
体。
【0029】以下本願発明につき詳細に説明する。本願
発明におけるポリイミドは下記式(1)で表される構造
を有する。
【0030】
【化13】
【0031】上記式(1)中のArは炭素数6〜15の
芳香族基であり、R1は炭素数2〜30の脂肪族基また
は炭素数4〜30の脂環族基である。Arとしては、例
えば
【0032】
【化14】
【0033】を挙げることができる。これらは1種ある
いは2種以上一緒にポリマー鎖中に存在していても良
い。これらの中でも好ましいのは以下の構造
【0034】
【化15】
【0035】であり、より好ましいのは以下の構造であ
る。
【0036】
【化16】
【0037】なお、式(1)において、R1としてはエ
チレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、
ジメチルプロピレン、ヘキサメチレン、オクタメチレ
ン、デカメチレン、ドデカメチレン、ウンデカメチレ
ン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、
2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、およ
び以下の構造を例示できる。
【0038】
【化17】
【0039】これらは1種あるいは2種以上一緒にポリ
マー鎖中に存在していても良い。中でも好ましいのは以
下の構造である。
【0040】
【化18】
【0041】上記ポリイミドは公知の方法によって製造
することができる。例えば上記Arを誘導することので
きる原料のテトラカルボン酸の二無水物と、上記R1
誘導することのできるジアミンとからポリアミド酸を
得、次いで加熱閉環するか、または酸無水物とピリジ
ン、カルボジイミド、亜りん酸トリフェニル等の化学閉
環剤を用いて化学閉環する方法、上記テトラカルボン酸
の二無水物と上記R1を誘導することのできるジイソシ
アネートとを加熱して脱炭酸を行なって重合する方法等
を例示することができる。
【0042】上記方法で用いられるテトラカルボン酸の
二無水物としては、例えばピロメリット酸二無水物、
3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸
二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエー
テルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−
ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物を例示で
きる。
【0043】またジアミンとしては、エチレンジアミ
ン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジア
ミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、
1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチ
レンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、1,1
0−デカメチレンジアミン、1,11−ウンデカメチレ
ンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、2,
2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,
4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジ
アミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シ
クロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメチ
ルアミン、2−メチル−1,3−シクロヘキサンジアミ
ン等をあげることができる。
【0044】ジイソシアネート成分としては、エチレン
ジイソシアネート、1,2−プロパンジイソシアネー
ト、1,3−プロパンジイソシアネート、2,2−ジメ
チル−1,3−プロパンジイソシアネート、1,6−ヘ
キサメチレンジイソシアネート、1,8−オクタメチレ
ンジイソシアネート、1,9−ノナメチレンジイソシア
ネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、
1,11−ウンデカメチレンジイソシアネート、1,1
2−ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−ト
リメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4
−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソ
シアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネー
ト、1,4−シクロヘキサンジメチルイソシアネート、
2−メチル−1,3−シクロヘキサンジイソシアネート
等を挙げることができる。
【0045】本願発明におけるポリイミドの分子量には
特に制限はない。一般にポリイミドがフェノール/1,
1,2,2,−テトラクロロエタン混合溶媒(重量比6
/4)に溶解する場合は、温度35℃、濃度1.2g/
dlで測定した固有粘度が0.15以上、より好ましく
は0.25以上であり、上限は特に制限はないが実用的
には7以下が好ましい。
【0046】本願発明におけるポリエステルカーボネー
トは下記式(2)で表される。
【0047】
【化19】
【0048】式中R2は炭素数6〜18の芳香族基であ
る。R2としては例えば以下の構造が挙げられる。
【0049】
【化20】
【0050】中でも好ましいのは以下の構造である。
【0051】
【化21】
【0052】本願発明におけるポリエステルカーボネー
トのカルボン酸成分は2種類以上で構成されていても良
い。
【0053】式(2)において、R3、R4、R5、R6
7、R8、R9、R10は、それぞれ独立に、水素原子、
ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基またはアリー
ル基であり、W、Xはそれぞれ独立にアルキリデン基、
アルキレン基、シクロアルキリデン基、シクロアルキレ
ン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基またはスル
ホン基である。
【0054】式(2)中のuおよびvは0〜1の値をと
る。uおよびvはそれぞれ異なった値でも良い。uおよ
びvは1がより好ましい。
【0055】式(2)中のaとbは、100a/(a+
b)が0.05〜99.95になる値である。好ましく
は100a/(a+b)が2〜98、より好ましくは1
00a/(a+b)が5〜95になる値である。100
a/(a+b)が0.05より小さい場合ポリイミドと
ポリエステルカーボネートが相溶しにくくなり好ましく
ない。100a/(a+b)が99.95より大きい場
合ポリエステルカーボネートの溶解性が低下し好ましく
ない。
【0056】本願発明においてポリエステルカーボネー
トの製造に使用される2価フェノールは下記式(3)で
表される構造を有するものである。
【0057】
【化22】
【0058】式中の記号は式(2)中の記号と同じであ
る。
【0059】本願発明においてポリエステルカーボネー
トの製造に使用される2価フェノールはビスフェノール
A、ビス−(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−
(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒド
ロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メ
タン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−2−クロロフェ
ニル)エタン、1,3−ビス−(4−ヒドロキシ−2−
クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒド
ロキシ−2−クロロフェニル)プロパン、1,1−ビス
−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,3−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス−(3−メチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−イソ
プロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2
−ビス−(2−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、p−ジヒドロキシベンゼン等を挙げるこ
とができる。
【0060】本願発明におけるポリエステルカーボネー
トは従来公知の方法で重合することができる。例えばジ
カルボン酸から誘導される酸クロリドとホスゲンと2価
フェノール類との重縮合を塩化メチレン溶媒下で行なう
方法、ジカルボン酸から誘導されるジフェニルエステル
とジフェニルカーボネートと2価フェノール類との反応
を触媒の存在下溶融重合する方法等を例示できる。
【0061】本願発明におけるポリエステルカーボネー
トの分子量は特に制限はないが、一般にはフェノール/
1,1,2,2,−テトラクロロエタン混合溶媒(重量
比6/4)中、温度35℃、濃度1.2g/dlで測定
した固有粘度が0.15以上、より好ましくは0.25
以上であり、上限は特に制限はないが実用的には7以下
が好ましい。
【0062】本願発明における組成物は、ポリエステル
カーボネートとポリイミドとの合計重量に基づいてポリ
イミドが0.05重量%〜99.95重量%、好ましく
は2重量%〜95重量%、より好ましくは5重量%〜9
0重量%を占める。0.05重量%より少ない場合ポリ
イミドをポリエステルカーボネートに添加した効果が得
られず十分な耐熱性の向上が得られない可能性があり好
ましくない。99.95重量%より多い場合ポリエステ
ルカーボネートをブレンドした効果が得られずポリイミ
ドの吸湿・吸水特性が改善されない可能性があり好まし
くない。
【0063】本願発明におけるポリエステルカーボネー
トおよびポリイミドは有機溶剤可溶性であることが好ま
しい。有機溶剤可溶性であることでポリエステルカーボ
ネート/ポリイミド組成物のガラス転移温度が高くても
成形できるようになる。また、ポリエステルカーボネー
トとポリイミドが共通の有機溶剤に可溶な場合、共通溶
剤中での混合が可能になる。
【0064】有機溶剤としてはジクロロメタン、クロロ
ホルム等のハロゲン化溶剤、テトラヒドロフラン、1,
3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン等の環状エーテ
ル溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のア
ミド系溶剤、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系
溶剤、フェノール、m−クレゾール、o−クロロフェノ
ール等のフェノール系溶剤を挙げることができる。
【0065】本願発明におけるポリエステルカーボネー
ト/ポリイミド組成物において、ポリエステルカーボネ
ートとポリイミドとは相溶性であることが好ましい。相
溶性が低いとTgが低くなり、機械的強度が劣り、透明
性が悪くなる傾向が現れる。
【0066】なお、ここで相溶性であるとは、示差走査
熱量測定(DSC)で昇温速度20℃/分で測定したと
き、もしくは動的粘弾性測定において、組成物のガラス
転移温度が1つだけ存在する場合、または組成物の光透
過度がそれぞれ単独の成分の光透過度の低いものと比較
して同等または透過度が高い場合の何れかを満たす場合
をいう。
【0067】本願発明におけるポリエステルカーボネー
ト/ポリイミド組成物は、波長400nmから800n
mにおける光線吸収係数が200cm-1以下であること
が望ましい。ここで光線吸収係数とは、光線透過率(I
/I0)が下記式(4)で示されるランベルトの法則に
従うと仮定したときの係数αのことである。 I/I0=exp(−αd)・・・・・(4) ここで、式(4)中Iは測定波長における透過光の強
度、I0は入射光の強度、dは組成物の厚さ(単位c
m)を表す。
【0068】この値が200cm-1を超すと着色が目立
つようになり好ましくない。好ましくは0〜150cm
-1の範囲であり、より好ましくは0〜100cm-1の範
囲である。
【0069】本願発明におけるポリエステルカーボネー
ト/ポリイミド組成物において、ガラス転移温度は22
0℃以上が好ましく、260℃以上であることがより好
ましい。ガラス転移温度が220℃未満ではポリエステ
ルカーボネートとポリイミドとの耐熱性が活かされず樹
脂の特性が十分得られなくなり好ましくない。
【0070】本願発明においてポリエステルカーボネー
ト/ポリイミド組成物の製造方法としては、ポリエステ
ルカーボネートとポリイミドとが共に有機溶剤に可溶で
ある場合は有機溶剤中で溶解混合させ、賦型後有機溶剤
を除去する方法で作成することができる。この方法は特
に本願発明における組成物のガラス転移温度が高い場合
には非常に有効である。
【0071】ポリマーの分解が起こらず、かつ少なくと
も一方のポリマーが流動する温度範囲であれば2軸エク
ストルーダーを用いて混合することもできる。更には、
ポリイミドの存在下でポリエステルカーボネートを重合
しながら混合する方法によっても製造することができ
る。
【0072】また、本願発明のポリエステルカーボネー
ト/ポリイミド組成物は、仮に透明性を失うことになろ
うとも、必要に応じて各種の添加剤を配合することも可
能である。添加剤としては、ガラス繊維、金属繊維、ア
ラミド繊維、セラミックス繊維、チタン酸カリウムウィ
スカー、炭素繊維のような繊維状強化剤、タルク、炭酸
カルシウム、マイカ、クレー、酸化チタン、酸化アルミ
ニウム、金属粉末などの各種充填剤、りん酸エステル、
亜りん酸エステルに代表されるような熱安定剤あるいは
酸化安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、難
燃化剤、難燃助剤、可塑剤、結晶核剤などを挙げること
ができる。
【0073】更に、本願発明に係る樹脂組成物の物性を
損なわない範囲で他の樹脂をブレンドすることも可能で
ある。
【0074】
【発明の効果】本願発明によれば、優れた機械的強度、
透明性に加えて、ポリエステルカーボネート単独では得
られないほど十分な耐熱性、高いガラス転移温度を有す
る組成物およびそれから成る成形体を得ることができ
る。また、同様にポリイミド単独では得られない、吸湿
・吸水特性と耐熱性共に優れた組成物およびそれから成
る成形体を得ることができる。本願発明の組成物および
それから成る成形体は、上述した優れた特性を利用し
て、フレキシブル太陽電池基板、フレキシブルプリント
基板、液晶配向膜、光基板材料、光学素子、耐熱性接着
剤等に展開でき、その工業的意義は大きい。
【0075】
【実施例】以下に実施例を挙げて本願発明を説明する
が、本願発明はこれに限定されるものではない。なお、
分析方法は下記の方法によった。
【0076】[粘度の測定方法]還元粘度(ηsp/
C)はフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタ
ン混合溶媒(重量比6/4)中、濃度1.2g/dl、
温度35℃で測定した。
【0077】[ガラス転移温度の測定方法]ガラス転移
温度(Tg)は、RSA−II粘弾性測定装置を用い、
引張モード1Hzで測定したときのE”のピーク温度を
ガラス転移温度とした。
【0078】[吸水率の測定方法]吸水率は、フィルム
を23.5℃24時間蒸留水に浸漬後の重量増加(Δ
W)を測定し、以下の式に従い算出した;(吸水率)=
ΔW/W0。ここでW0は蒸留水に浸漬前のフィルムの重
量である。
【0079】[光線透過率、イエローネスインデックス
(YI)の測定方法]フィルムのイエローネスインデッ
クスはJIS K7103に従い島津UV2400PC
を用いて測定した。フィルムの光線透過スペクトルは島
津UV2400PCを用いて測定した。
【0080】[実施例1]ポリイミドは次のようにして
合成した。ディーンスターク装置、冷却管、撹拌装置お
よび窒素導入管を備えた5Lのセパラタブルフラスコ中
で、イソホロンジアミン221g(1.3mol)と無
水ピロメリット酸283g(1.3mol)とを、ベン
ジルアルコール2L/トルエン0.5L混合溶液を溶媒
として、180℃まで加温し、留出する水をディーンス
ターク装置で系外に除去しながら重合、閉環反応を進行
させた。留出した水は理論量である47mLであった。
同温度で1時間保持後放冷し、反応溶液が80℃に下が
ったところで反応溶液を水にあけ、粉砕機で粉砕後アセ
トン洗浄し、ηsp/C=0.94のポリイミドを得
た。
【0081】ポリエステルカーボネートは次のようにし
て合成した。撹拌装置、真空留出系を備えた重合装置内
で、ジブチル錫ジアセテート触媒の存在下、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸ジフェニルエステル194g
(0.5mol)とジフェニルカーボネート118g
(0.5mol)とビスフェノールA240g(1.0
mol)とを260℃で溶融後、徐々に減圧しながら3
40℃まで昇温しポリエステルカーボネートを重合し
た。得られたポリエステルカーボネートはηsp/C=
1.20であった。
【0082】得られたポリイミドとポリエステルカーボ
ネートを5/5(重量比)の割合でジクロロメタンに溶
解して10重量%ポリマー溶液を作成し、ガラス板上で
キャスティング後150℃で乾燥して透明均一なフイル
ムを得た。
【0083】得られたフイルムの物性を表1に示す。表
1より、フィルムの透過率(I/Io)は全波長にわたり、
50%以上を示して透明性が維持されており、且つ、ガ
ラス転移温度がポリイミド(370℃)とポリエステル
カーボネート(195℃)の中間値278℃と一つであ
り、相溶ブレンドの特徴である加成性が示されており、
このフィルム中のポリイミドとポリエステルカーボネー
トは相溶していると確認された。
【0084】[比較例1]実施例1で得たポリエステル
カーボネートをジクロロメタンに溶解して10重量%ポ
リマー溶液を作成し、ガラス板上でキャスティング後1
50℃で乾燥して透明均一なフイルムを得た。得られた
フイルムの物性を表1に示す。
【0085】[比較例2]表1の式(5)で示されるポ
リエーテルイミド(GE製,商品名Ultem)と実施
例1で得たポリエステルカーボネートとを5/5(重量
比)の割合でジクロロメタンに溶解して10重量%ポリ
マー溶液を作成し、ガラス板上でキャスティング後15
0℃で乾燥してフイルムを得た。得られたフイルムの物
性を表1に示す。
【0086】
【表1】
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67/00 C08L 67/00 (72)発明者 定延 治朗 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 Fターム(参考) 4F071 AA50 AA60 AH19 BA02 BB02 BC01 4J002 CG04X CM04W FD010 FD060 GQ00 4J029 AA08 AB07 AC02 AC03 AD07 AE01 BB12A BB13A BE04 BE05A BE05B BF13 BF14A BF14B CB04A CB04B CB05A CB05B CB06A CB06B CB10A CB10B CB11A CB11B CB11C CB12A CB12B CB12C CC05A CC05B CC06A CC06B HA01 HC01 HD03 HD05 JE212 KE03 KE09 4J043 PA02 QB26 QB31 SA06 SA11 SA62 SA67 TA14 TA22 TA71 UA121 UA122 UA131 UA132 UA262 UB012 UB022 UB121 UB151 UB301 VA021 VA022 VA031 VA061 VA062 VA071 VA091 VA092 VA101 ZB51

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1) 【化1】 (ここで、Arは炭素数6〜15の芳香族基であり、R
    1は炭素数2〜30の脂肪族基または炭素数4〜30の
    脂環族基である)で示される繰り返し単位から成るポリ
    イミド(A)と、下記式(2) 【化2】 (ここで、R2は炭素数6〜18の芳香族基であり、
    3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10は、それぞ
    れ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラ
    ルキル基またはアリール基であり、W,Xはそれぞれ独
    立にアルキリデン基、アルキレン基、シクロアルキリデ
    ン基、シクロアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、スル
    ホキシド基またはスルホン基であり、u,vはそれぞれ
    独立に0または1であり、aとbとは100a/(a+
    b)が0.05〜99.95になる値である)で示され
    る繰り返し単位から成るポリエステルカーボネート
    (B)とから成る組成物であって、該樹脂組成物中のポ
    リイミド(A)とポリエステルカーボネート(B)との
    重量割合いが、0.05対99.95〜99.95対
    0.05の間にある樹脂組成物(C)。
  2. 【請求項2】 ポリイミド(A)とポリエステルカーボ
    ネート(B)とが共に有機溶剤可溶性であることを特徴
    とする請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 ポリイミド(A)とポリエステルカーボ
    ネート(B)とが相溶していることを特徴とする請求項
    1または2に記載の組成物。
  4. 【請求項4】 組成物(C)のガラス転移温度が220
    ℃以上であることを特徴とする請求項1,2または3に
    記載の組成物。
  5. 【請求項5】 上記式(1)において、Arが 【化3】 よりなる群から選ばれる一つ以上の芳香族基であること
    を特徴とする請求項1,2,3または4に記載の組成
    物。
  6. 【請求項6】 上記式(1)において、R1が 【化4】 よりなる群から選ばれる一つ以上のものであることを特
    徴とする請求項1,2,3,4または5に記載の組成
    物。
  7. 【請求項7】 上記式(2)において、R2が 【化5】 よりなる群から選ばれる一つ以上のものであることを特
    徴とする請求項1,2,3,4,5または6に記載の組
    成物。
  8. 【請求項8】 上記式(2)において、R3,R4
    5,R6,R7,R8,R 9,R10が水素原子、W,Xが 【化6】 であり、u,vが1であることを特徴とする請求項1,
    2,3,4,5,6または7に記載の組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1,2,3,4,5,6,7また
    は8に記載の組成物より成ることを特徴とする成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN1311039C (zh) * 2003-01-31 2007-04-18 帝人株式会社 粘合片材和层合体
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WO2021132279A1 (ja) * 2019-12-24 2021-07-01 株式会社カネカ 樹脂組成物およびフィルム

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