JP4262841B2 - ポリアリレート/ポリイミド透明樹脂組成物および成形体 - Google Patents

ポリアリレート/ポリイミド透明樹脂組成物および成形体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、ポリアリレートとポリイミドとから成る透明樹脂組成物(本願明細書においては、「ポリアリレートとポリイミドとから成る透明樹脂組成物」を「ポリアリレート/ポリイミド透明樹脂組成物」とも言う)およびそれから成る成形体、および該透明樹脂組成物またはそれから成る成形体を用いたフレキシブルプリント基板、リジッドプリント基板、光電子プリント基板、封止剤、層間絶縁膜、光導波路用材料に関する。なお、本願明細書において成形体とは3次元の形状を有するもののほかフィルム状のものも含まれる。
【0002】
【従来の技術】
KAPTONに代表されるポリイミドは、耐熱性の高さから電子分野をはじめとする広い範囲で工業的に利用されている。しかしポリイミドは一般に成形性が悪く、吸湿・吸水性が高いために寸法安定性が低いという欠点を有する上、赤褐色に着色しており、光学的な透明性に劣っている。一方、吸湿・吸水に関する寸法安定性と光学的な透明性に優れた素材としてポリアリレートやポリカーボネートが挙げられるが、これらの素材のガラス転移温度は高々200℃であるため耐熱性には限界があり、例えば半田耐性などは期待できず、光電子プリント基板などに待望される次世代光学材料としては十分な性能を有していない。
【0003】
このポリイミドとポリアリレートの特性を複合する試みとして、ポリアリレートとポリエーテルイミドのブレンド(特開昭59−174644号公報、特許1388258号公報、特開昭61−58091号公報)、ポリアリレートと芳香族ポリカルボミドの相溶性ブレンド(特開昭63−72755号公報)、ポリエステル−カーボネートおよび/またはポリアリレートとポリエーテルイミドのブレンド(特開平6−200128号公報、特開平10−273591号公報)、ポリアリレートとポリエーテルイミドと、ポリアリレートとポリエーテルイミド混合物と融和性である熱可塑性重合体とから成る三元共重合体(特開昭59−174643号公報)が報告されているが、特開昭61−58091号公報によるとブレンド組成物はポリアリレート、ポリイミドの構成比率によっては必ずしも透明ではないことが報告されており、また、上記の特許において報告されているブレンド組成物のガラス転移温度Tgは最高でも220℃で半田耐性を有するような十分な耐熱性を有するブレンド組成物は報告されていない。
【0004】
また液晶ポリアリレートとポリイミドとのブレンドに関する研究(Polymer,1995,36巻,259〜266)も報告されているが、非相溶ないしは部分相溶のブレンドからなる不均質な材料であり、また報告されているブレンド組成物の耐熱性は不十分である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明の目的は、耐熱性および透明性に優れたポリイミド/ポリアリレート透明樹脂組成物と、それから成る成形体、および該透明樹脂組成物またはそれから成る成形体から成るフレキシブルプリント基板、リジッドプリント基板、光電子プリント基板、封止剤、層間絶縁膜、光導波路用材料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、ポリアリレートと耐熱性に優れたポリイミドとが相溶し得ることを見出し、耐熱性および透明性に優れた新規な透明樹脂組成物およびそれから成る成形体、および該透明樹脂組成物またはそれから成る成形体から成るフレキシブルプリント基板、リジッドプリント基板、光電子プリント基板、封止剤、層間絶縁膜、光導波路用材料が得られることを見出し本願発明を完成させるに至った。
すなわち、本願発明はポリアリレート/ポリイミド透明樹脂組成物に関するものであり、具体的には次の通りである。
【0007】
1. 下記式(1)
【0008】
【化15】
Figure 0004262841
【0009】
(ここで、Arは炭素数6〜15の芳香族基であり、R1は炭素数2〜30の脂肪族基または炭素数4〜30の脂環族である。)で表される繰り返し単位から成るポリイミドと、下記式(2)
【0010】
【化16】
Figure 0004262841
【0011】
(ここで、R2は炭素数6〜18の芳香族基であり、Xはそれぞれの芳香族基について独立して、炭素数1〜6の脂肪族基、炭素数6〜12の脂環族基、ハロゲン基から選択される基であり、yはそれぞれの芳香族基について独立して0〜4の値であり、R3は炭素数1〜10の脂肪基または炭素数6〜12の脂環族基であり、zは0〜1の値である。)で表される繰り返し単位から成るポリアリレートとから成る、波長400nmから800nmにおける光線吸収係数が200cm-1以下である透明樹脂組成物であって、該透明樹脂組成物100重量部に対して該ポリイミド成分が0.05〜99.95重量部であり、該ポリアリレート成分が99.95〜0.05重量部であることを特徴とする樹脂組成物。
【0012】
2. ポリイミドとポリアリレートとが共に有機溶剤可溶性であることを特徴とする上記1記載の樹脂組成物。
【0013】
3. ポリイミドとポリアリレートとが相溶していることを特徴とする上記1または2記載の樹脂組成物。
【0014】
4. ポリイミド/ポリアリレート透明樹脂組成物のガラス転移温度が220℃以上であることを特徴とする上記1、2または3記載の樹脂組成物。
【0015】
5. ポリイミドが主として下記式(3)
【0016】
【化17】
Figure 0004262841
【0017】
で表される繰り返し単位から構成されることを特徴とする上記1、2、3または4記載の樹脂組成物。
【0018】
6. ポリアリレートが主として(A)テレフタル酸、(B)イソフタル酸、(C)ビスフェノールAから誘導され、成分(A)と成分(B)とのモル比が100/0〜0/100、成分(A)と成分(B)との合計量が成分(C)の100モルに対して90〜110モルの範囲であることを特徴とする上記1、2、3、4または5記載の樹脂組成物。
【0019】
7. 上記1、2、3、4、5または6記載の樹脂組成物より成ることを特徴とする成形体。
【0020】
8. 上記1、2、3、4、5または6記載の樹脂組成物または上記7記載の成形体を用いたフレキシブルプリント基板。
【0021】
9. 上記1、2、3、4、5または6記載の樹脂組成物または上記7記載の成形体を用いたリジッドプリント基板。
【0022】
10. 上記1、2、3、4、5または6記載の樹脂組成物または上記7記載の成形体を用いた光電子プリント基板。
【0023】
11. 上記1、2、3、4、5または6記載の樹脂組成物または上記7記載の成形体を用いた封止剤。
【0024】
12. 上記1、2、3、4、5または6記載の樹脂組成物または上記7記載の成形体を用いた層間絶縁膜。
【0025】
13. 上記1、2、3、4、5または6記載の樹脂組成物または上記7記載の成形体を用いた光導波路用材料。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下本願発明につき説明する。
本願発明におけるポリイミドは下記式(1)で表される。
【0027】
【化12】
Figure 0004262841
【0028】
上記式(1)中のArは炭素数6〜15の芳香族基であり、R1は炭素数2〜30の脂肪族基または炭素数4〜30の脂環族基である。
Arとしては、例えば
【0029】
【化4】
Figure 0004262841
【0030】
を挙げることができる。これらは1種あるいは2種以上一緒にポリマー鎖中に存在していても良い。これらの中でも好ましいのは以下の構造
【0031】
【化5】
Figure 0004262841
【0032】
であり、より好ましいのは以下の構造である。
【0033】
【化6】
Figure 0004262841
【0034】
式中R1は炭素数2〜30の脂肪族基または炭素数4〜30の脂環族基である。R1としてはエチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ジメチルプロピレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、デカメチレン、ドデカメチレン、ウンデカメチレン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、および以下の構造を例示できる。
【0035】
【化7】
Figure 0004262841
【0036】
これらは1種あるいは2種以上一緒にポリマー鎖中に存在していても良い。中でも好ましいのは以下の構造である。
【0037】
【化13】
Figure 0004262841
【0038】
上記ポリイミドは公知の方法によって製造することができる。例えば上記Arを誘導することのできる原料のテトラカルボン酸の二無水物と、上記R1を誘導することのできるジアミンとからポリアミド酸を得、次いで加熱閉環するか、または酸無水物とピリジン、カルボジイミド、亜りん酸トリフェニル等の化学閉環剤を用いて化学閉環する方法、上記テトラカルボン酸の二無水物と上記R1を誘導することのできるジイソシアネートとを加熱して脱炭酸を行なって重合する方法等を例示することができる。
【0039】
上記方法で用いられるテトラカルボン酸の二無水物としては、例えばピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物を例示できる。
【0040】
またジアミンとしては、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、1,11−ウンデカメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、2−メチル−1,3−シクロヘキサンジアミン等をあげることができる。
【0041】
ジイソシアネート成分としては、エチレンジイソシアネート、1,2−プロパンジイソシアネート、1,3−プロパンジイソシアネート、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−オクタメチレンジイソシアネート、1,9−ノナメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,11−ウンデカメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジメチルイソシアネート、2−メチル−1,3−シクロヘキサンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0042】
本願発明におけるポリイミドの分子量は特に制限はない。一般にポリイミドがフェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(重量比6/4)に溶解する場合は、温度35℃、濃度1.2g/dlで測定した固有粘度が0.15以上、より好ましくは0.25以上であり、上限は特に制限はないが実用的には7以下が好ましい。
本願発明におけるポリアリレートは下記式(2)で表される。
【0043】
【化14】
Figure 0004262841
【0044】
式中R2は炭素数6〜18の芳香族基である。R2としては例えば以下の構造が挙げられる。
【0045】
【化8】
Figure 0004262841
【0046】
中でも好ましいのは以下の構造である。
【0047】
【化9】
Figure 0004262841
【0048】
本願発明におけるポリアリレートのカルボン酸成分は2種類以上で構成されていても良い。より好ましいのは以下の2種類の構成成分から成るポリアリレートである。
【0049】
【化10】
Figure 0004262841
【0050】
式(2)中Xはそれぞれの芳香族基について独立して、炭素数1〜6の脂肪族基、炭素数6〜12の脂環族基、ハロゲン基から選択される。Xとしてはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ネオペンチル、シクロヘキシル、クロル、ブロモ等を例示できる。
【0051】
式中yはそれぞれの芳香族基について独立して、0〜4の値をとる。好ましくは0〜2であり、より好ましくは0〜1である。
【0052】
式中R3は炭素数1〜10の脂肪族基または炭素数6〜12の脂環族基を表す。具体的にはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ネオペンチル、シクロヘキシル等を例示できる。
【0053】
式中zは0〜1の値をとる。
【0054】
本願発明においてポリアリレートの製造に使用される2価フェノールは以下の構造式を有するものである。
【0055】
【化11】
Figure 0004262841
【0056】
式中Xはそれぞれの芳香族基について独立して、炭素数1〜6の脂肪族基、炭素数6〜12の脂環族基、ハロゲン基から選択される。Xとしてはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ネオペンチル、シクロヘキシル、クロル、ブロモ等を例示できる。
【0057】
式中yはそれぞれの芳香族基について独立して、0〜4の値をとる。好ましくは0〜2であり、より好ましくは0〜1である。
【0058】
式中R3は炭素数1〜10の脂肪族基または炭素数6〜12の脂環族基を表す。具体的にはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ネオペンチル、シクロヘキシル等を例示できる。
【0059】
式中zは0〜1の値をとる。
【0060】
本願発明においてポリアリレートの製造に使用される2価フェノールは2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,3−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(2−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス−(2−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,3−ビス−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)エタン、1,2−ビス−(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)プロパン、1,3−ビス−(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、1,2−ビス−(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)プロパン、1,3−ビス−(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,3−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(2−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、p−ジヒドロキシベンゼン等を挙げることができる。
【0061】
本願発明におけるポリアリレートは従来公知の方法で重合することができる。例えばジカルボン酸から誘導される酸クロリドと2価フェノール類との重縮合を塩化メチレン溶媒下で行なう方法、ジカルボン酸から誘導されるジフェニルエステルと2価フェノール類との反応を触媒の存在下溶融重合する方法等を例示できる。
【0062】
本願発明におけるポリアリレートの分子量は特に制限はないが、一般にはフェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(重量比6/4)中、温度35℃、濃度1.2g/dlで測定した固有粘度が0.15以上、より好ましくは0.25以上であり、上限は特に制限はないが実用的には7以下が好ましい。
【0063】
本願発明における透明樹脂組成物は、波長400nmから800nmにおける光線吸収係数が200cm-1以下であることが必要である。更100cm-1〜以下であることがより好ましく、0cm-1〜50cm-1の範囲にあることがとりわけ好ましい。ここで光線吸収係数とは、光線透過率が下記式(4)で示されるランベルトの法則に従うと仮定したときの係数αのことである。
【0064】
【式1】
I/I0=exp(−αd) (4)
ここで、式中Iは測定波長における透過光の強度、I0は入射光の強度、dは樹脂組成物の厚さ(単位cm)を表す。
【0065】
この値が200cm-1を超すと着色が目立つようになり好ましくない。より好ましくは100cm-1以下であり、より好ましくは50cm-1以下である。
【0066】
本願発明における透明樹脂組成物は、ポリイミドとポリアリレートとの合計重量に基づいてポリイミド成分が0.05重量%〜99.95重量%、好ましくは2重量%〜95重量%、より好ましくは5重量%〜90重量%を占める。0.05重量%より少ない場合ポリイミドブレンドの効果が得られず十分な耐熱性の向上が得られない可能性があり好ましくない。99.95重量%より多い場合ポリアリレートブレンドの効果が得られずポリイミドの吸湿・吸水特性が改善されない可能性があり好ましくない。
【0067】
本願発明におけるポリアリレート、ポリイミドは有機溶剤可溶性であることが好ましい。有機溶剤可溶性であることでポリアリレート/ポリイミド透明樹脂組成物のガラス転移温度が高くても成形できるようになる。
【0068】
有機溶剤としてはジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化溶剤、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、フェノール、m−クレゾール、o−クロロフェノール等のフェノール系溶剤等を挙げることができる。
【0069】
本願発明における透明樹脂組成物において、ポリアリレートとポリイミドとは相溶性であることが好ましい。ここで相溶性であるとは、示差走査熱量測定(DSC)で昇温速度20℃/分で測定したとき、もしくは動的粘弾性測定において、樹脂組成物のガラス転移温度が1つだけ存在する場合、または組成物の光透過度がそれぞれ単独の成分の光透過度の低いものと比較して同等または透過度が高い場合の何れかを満たす場合をいう。
【0070】
本願発明における透明樹脂組成物のガラス転移温度は220℃以上が必要であるが、半田耐性を考えると好ましくは270℃以上、より好ましくは280℃以上である。
【0071】
本願発明における透明樹脂組成物およびそれより成る成形体の製造方法は、ポリアリレートとポリイミドとが共に有機溶剤に可溶である場合は有機溶剤中で溶解混合させ、賦型後有機溶剤を除去する方法で作成することができる。この方法は特に本願発明における樹脂組成物のガラス転移温度が高い場合には非常に有効である。ポリマーの分解が発生せず、かつ少なくとも一方のポリマーが流動する温度範囲であれば2軸エクストルーダーを用いて混合することもできる。更には、ポリイミドの存在下でポリアリレートを重合しながら混合する方法によっても製造することができる。
【0072】
また、本願発明の透明樹脂組成物は、仮に透明性を失うことになろうとも、必要に応じて各種の添加剤を配合することも可能である。添加剤としては、ガラス繊維、金属繊維、アラミド繊維、セラミックス繊維、チタン酸カリウムウィスカー、炭素繊維のような繊維状強化剤、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、クレー、酸化チタン、酸化アルミニウム、金属粉末などの各種充填剤、りん酸エステル、亜りん酸エステルに代表されるような熱安定剤あるいは酸化安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、難燃化剤、難燃助剤、可塑剤、結晶核剤などを挙げることができる。
【0073】
【発明の効果】
本願発明によれば、ポリアリレート単独では得られないほど十分な耐熱性、高いガラス転移温度を有する透明樹脂組成物および成形体を得ることができる。また、同様にポリイミド単独では得られない、吸湿・吸水特性と耐熱性共に優れた透明樹脂組成物および成形体を得ることができる。本願発明のポリイミド/ポリアリレート透明樹脂組成物および成形体は、上述した優れた特性を利用して、フレキシブルプリント基板、リジッドプリント基板、光電子プリント基板、封止剤、層間絶縁膜、光導波路用材料等に展開でき、その工業的意義は大きい。
【0074】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本願発明を説明するが、本願発明はこれに限定されるものではない。
還元粘度(ηsp/C)はフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶媒(重量比6/4)中、濃度1.2g/dl、温度35℃で測定した。
【0075】
イエローネスインデックスはJIS K7103に従い島津UV2400PCを用いて測定した。光線透過スペクトルは島津UV2400PCを用いて測定した。
【0076】
吸水率は、フィルムを23.5℃24時間蒸留水に浸漬後の重量増加(ΔW)を測定し、以下の式に従い算出した;(吸水率)=ΔW/W0。ここでW0は蒸留水に浸漬前のフィルムの重量である。
【0077】
ガラス転移温度(Tg)はRSA−II粘弾性測定装置を用い、引張モード1Hzで測定したときのE″のピーク温度をガラス転移温度とした。
【0078】
[実施例1〜3]
ディーンスターク、冷却管、撹拌装置および窒素導入管を備えた5Lのセパラタブルフラスコ中で、イソホロンジアミン221g(1.3mol)と無水ピロメリット酸283g(1.3mol)を、ベンジルアルコール2L/トルエン0.5L混合溶液を溶媒として、180℃まで加温し、留出する水をディーンスターク装置で系外に除去しながら重合、閉環反応を進行させた。
【0079】
留出した水は理論量である47mLであった。同温度で4時間保持後放冷し、反応溶液が80℃に下がったところで反応溶液を水にあけ、粉砕機で粉砕後アセトン洗浄した。得られたポリマーは、ηsp/C=0.83であった。
【0080】
得られたポリマーとポリアリレート(ユニチカ製、商品名U−ポリマー)とを下表に示した重量比でジクロロメタンに溶解して10重量%ドープを作成し、ガラス板上でキャスティング後150℃で乾燥して透明均一なフイルムを得た。得られたフイルムの物性を下表に示す。
【0081】
[比較例1]
ポリアリレート(ユニチカ製、商品名U−ポリマー)をジクロロメタンに溶解して10重量%ドープを作成し、ガラス板上でキャスティング後150℃で乾燥して透明均一なフイルムを得た。得られたフイルムの物性を下表に示す。
【0082】
[比較例2]
ポリイミド(東レ・デュポン製、商品名カプトン)をジクロロメタンに溶解して10重量%ドープを作成し、ガラス板上でキャスティング後150℃で乾燥して透明均一なフイルムを得た。得られたフイルムの物性を下表に示す。
【0083】
【表1】
Figure 0004262841

Claims (13)

  1. 下記式(1)
    Figure 0004262841
    (ここで、Arは炭素数6〜15の芳香族基であり、R1は炭素数2〜30の脂肪族基または炭素数4〜30の脂環族である。)で表される繰り返し単位から成るポリイミドと、下記式(2)
    Figure 0004262841
    (ここで、R2は炭素数6〜18の芳香族基であり、Xはそれぞれの芳香族基について独立して、炭素数1〜6の脂肪族基、炭素数6〜12の脂環族基、ハロゲン基から選択される基であり、yはそれぞれの芳香族基について独立して0〜4の値であり、R3は炭素数1〜10の脂肪基または炭素数6〜12の脂環族基であり、zは0〜1の値である。)で表される繰り返し単位から成るポリアリレートとから成る、波長400nmから800nmにおける光線吸収係数が200cm-1以下である透明樹脂組成物であって、該透明樹脂組成物100重量部に対して該ポリイミド成分が0.05〜99.95重量部であり、該ポリアリレート成分が99.95〜0.05重量部であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. ポリイミドとポリアリレートとが共に有機溶剤可溶性であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  3. ポリイミドとポリアリレートとが相溶していることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. ポリイミド/ポリアリレート透明樹脂組成物のガラス転移温度が220℃以上であることを特徴とする請求項1、2または3記載の樹脂組成物。
  5. ポリイミドが主として下記式(3)
    Figure 0004262841
    で表される繰り返し単位から構成されることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の樹脂組成物。
  6. ポリアリレートが主として(A)テレフタル酸、(B)イソフタル酸、(C)ビスフェノールAから誘導され、成分(A)と成分(B)とのモル比が100/0〜0/100、成分(A)と成分(B)との合計量が成分(C)の100モルに対して90〜110モルの範囲であることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1、2、3、4、5または6記載の樹脂組成物より成ることを特徴とする成形体。
  8. 請求項1、2、3、4、5または6記載の樹脂組成物または請求項7記載の成形体を用いたフレキシブルプリント基板。
  9. 請求項1、2、3、4、5または6記載の樹脂組成物または請求項7記載の成形体を用いたリジッドプリント基板。
  10. 請求項1、2、3、4、5または6記載の樹脂組成物または請求項7記載の成形体を用いた光電子プリント基板。
  11. 請求項1、2、3、4、5または6記載の樹脂組成物または請求項7記載の成形体を用いた封止剤。
  12. 請求項1、2、3、4、5または6記載の樹脂組成物または請求項7記載の成形体を用いた層間絶縁膜。
  13. 請求項1、2、3、4、5または6記載の樹脂組成物または請求項7記載の成形体を用いた光導波路用材料。
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